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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022085058
(43)【公開日】2022-06-08
(54)【発明の名称】簡易構造物
(51)【国際特許分類】
   E04F 15/02 20060101AFI20220601BHJP
   E04F 19/02 20060101ALI20220601BHJP
【FI】
E04F15/02 J
E04F19/02 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020196538
(22)【出願日】2020-11-27
(71)【出願人】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】寺田 容一
(72)【発明者】
【氏名】東郷 道彦
(72)【発明者】
【氏名】岩▲崎▼ 勝也
(72)【発明者】
【氏名】岡島 功洋
【テーマコード(参考)】
2E220
【Fターム(参考)】
2E220AA12
2E220AA33
2E220AA43
2E220AB00
2E220AB23
2E220AC03
2E220BA03
2E220CA04
2E220CA13
2E220DA11
2E220EA05
2E220GA25X
2E220GB32X
2E220GB32Z
2E220GB43X
2E220GB43Z
(57)【要約】      (修正有)
【課題】デッキ材の小口を覆う幕板を設ける必要のない簡易構造物を提供する。
【解決手段】デッキ材4と、小口キャップ1を備え、小口キャップ1は、デッキ材4に対向する側の面において中央部が左右に対して凸となるように沿った形で成形されており、かつ、デッキ材4の左右両側面で取り付けられることにより、全体として平坦となるようにして応力がかけられた状態で固定されている簡易構造物。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デッキ材と、小口キャップを備え、
小口キャップは、デッキ材に対向する側の面において中央部が左右に対して凸となるように沿った形で成形されており、かつ、デッキ材の左右両側面で取り付けられることにより、全体として平坦となるようにして応力がかけられた状態で固定されていることを特徴とする簡易構造物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅の庭等に設置される簡易構造物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅の庭にデッキが設置されることがある。そうしたデッキでは、デッキ材の小口を覆うように幕板が貼られているが、外観上、野暮ったくなる印象がどうしても否めなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は以上に述べた実情に鑑み、デッキ材の小口を覆う幕板を設ける必要のない簡易構造物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、デッキ材と、小口キャップを備え、小口キャップは、デッキ材に対向する側の面において中央部が左右に対して凸となるように沿った形で成形されており、かつ、デッキ材の左右両側面で取り付けられることにより、全体として平坦となるようにして応力がかけられた状態で固定されていることを特徴とする簡易構造物とすることで前述の課題を解決した。
【発明の効果】
【0005】
デッキ材の小口を覆う幕板を設ける必要がないばかりか、小口キャップが木口のように見えてデッキ材一本一本が恰も木であるかの如き印象を醸し出し外観を良好にでき、さらには、デッキ材と小口キャップとの間に隙間があかないようにできる簡易構造物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】住宅の庭に設置されるデッキの斜視図
図2】デッキの正面図
図3】デッキの側面図
図4】小口キャップの背面図、側面図、側断面図
図5】小口キャップの下面図
図6】デッキ材に取り付けられている様子を、背面の構造を可視化しつつ、示した小口キャップの正面図、側面図
図7】デッキ材厚さのバラつきを小口キャップで隠している様子を示す概念図
図8】小口キャップの熱変形についての対策を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0007】
(実施例)
以下、図面を使って説明するが、以下の図面は説明を目的に作成されたもので、分かりやすくするため、説明に不要な部材を意図的に図示していない場合がある。また、説明のため部材を意図的に大きくまたは小さく図示している場合があり、正確な縮尺を示す図面ではない。なお、以下の説明で、異なる図における同一符号は同一機能の部位を示しており、各図における重複説明は適宜省略する。
【0008】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1~3は、本発明に係る簡易構造物の実施形態であって、住宅の庭に設置されるデッキに適用した場合を示している。図1に示すように、本デッキは、住宅の反対側を前と規定し、前からの正面視により左右を規定した場合において、後側の縁を建物の外壁に沿わせて設置され、建物のテラス窓からデッキに降りられるようにしている。本デッキは、前後左右に立設された支柱2の上に、前後に間隔をおいて複数の大引3が架け渡され、大引3の上にデッキ材4が前後方向に向けて左右方向に並べられて複数架け渡されている。それぞれのデッキ材4の小口には、小口キャップ1が嵌め込まれている。デッキ材4は、木粉を混ぜた合成樹脂を押出成形した合成木材であって、図2及び6に示されるように、内側上面443、内側下面444、内側左側面445、内側右側面446からなる中空部と、中空部を複数に区画する竪壁を有している。小口キャップ1も合成木材であるが、押出成形でなく射出成形によって成型加工されている。
【0009】
図2は、本デッキの上部分であって、かつ、一部を破断させた正面図である。また、図2は、後記する小口キャップ1の特徴とデッキ材4との係合の様子を見て取ることができるように、複数並んだ小口キャップ1の内部の様子を一部可視化して示している。すなわち、左端の小口キャップ1は、普通の状態で描かれており、左から2番目の小口キャップ1は、小口キャップ1の背面の構造とデッキ材4の構造とが透視された状態で描かれており、右端に存在されるべき小口キャップ1は、取り外されていてデッキ材4の小口が見えているものとして描かれている。
【0010】
図3は、本デッキの上部分の側面図である。図3及び6に示されるように、小口キャップ1の上端部18がデッキ材4の上面と同面にされている一方で、小口キャップ1の下端部19はデッキ材4の下面より下方に突出している。合成木材の小口キャップ1の上端がデッキ材4の上端と面一となるように取り付けられていることで、デッキ材4を目線位置から俯瞰したときに、自然な木の装いとなるようにされている。合成ゴム等の安価な小口キャップを用いた場合には工業製品としての装いが否めないものとなってしまうところ、本発明の実施形態は、デッキ材4にあたかも天然木が用いられているかのようにされ、前後方向に揃えられたデッキ材4の高級感を際立たせている。
【0011】
(小口キャップの固定及び係止構造)
図4は、小口キャップ1の構造、特に、背面の構造を示すための図である。図4(a)は小口キャップ1の背面を、図4(b)は小口キャップ1の側面を、図4(c)は図4(a)のA-A間側断面を示している。図4(b)から見て取れるように、左右方向全幅に亘って蓋部11が直線状となっており、小口キャップ1がデッキ材4に取り付けられた状態を示している。デッキ材4に取り付けられる前の状態では、蓋部11は湾曲状に沿った形状をなしている。
【0012】
図5は、小口キャップ1がデッキ材4に取り付けられた状態を示すための小口キャップ1の下面図である。破線で描かれた曲線がデッキ材4に取り付けられる前の小口キャップ1の形状である。このことについては、後述する。図4図5とを併せてみると理解できるように、デッキ材4に取り付けられるときに正面に位置することになる蓋部11の背面から飲み込み方向奧に向かって8つの延出部材が設けられている。8つの延出部材のうちの4つは、小口キャップ1をデッキ材4に固定するための手段としてネジ止めのための孔を有する。当該4つの部材は、左右に設けられた側面ネジ止め部12と、中央下ほどに2つ設けられた下面ネジ止め部13とにさらに類別される。これらのネジ止め部は、主たる固定手段として機能するものであって、いずれもデッキ材4の内側側面や内側下面に摺接しつつ、デッキ材4の中空部内に飲み込まれるようにされている。飲み込み位置で、小口キャップ1は、固定されるべき適正な上下位置に調整された上でネジ122によってネジ止めされている。
【0013】
8つの延出部材のうち、他の4つは、2つの内側係止部14と2つの外側係止部15である。内側係止部14と外側係止部15は、ネジ止めのための孔を持たない代わりに、延出された部分がデッキ材4の中空部の内側面に摺接する側が鋸状凹凸部とされている。内側係止部14と外側係止部15は、射出成形される際に鋸状凹凸部が中空部の区画壁442の側面に強く摺接されるように方向づけがされて形作られている。内側係止部14と外側係止部15も摩擦力によって小口キャップ1をデッキ材4に固定するための手段として機能するものである。特に、2つの内側係止部14は、デッキ材4の中空部の中央に位置する中央区画壁441を強く挟み込む挟着部となっており、強力な摩擦力を付与している。このため、内側係止部14は、小口キャップ1が不用意に浮いたりすることを有効に防止している。一般的な小口キャップは、経年劣化による熱伸びで膨らんでしまい、小口キャップの中央付近が浮いてしまうことがあったところ、内側係止部14による挟着作用で、経年変化による熱伸び対策とすることができる。
なお、全ての竪壁を挟着部により挟み込むようにしていないことにも明確な理由がある。木粉を混ぜた合成樹脂を押出成形した合成木材は、アルミ材の押出成形品より寸法公差が大きいところ、本デッキに用いられるデッキ材4の幅にはどうしても一定程度の加工上のバラつきが生じてしまう。このようなデッキ材4の幅寸法公差の存在故に、全ての竪壁を内側係止部14,14で挟むのは難しい。そこで、外側係止部15、15をそれぞれ別の中空部内に配置し、外側に向かって突っ張らせるようにしつつ、中央区画壁441のみを内側係止部14,14で挟むようにしているのである。しかしながら、技術改良等により合成木材の寸法公差が向上した際には、全ての竪壁を挟み込む構造も採用し得るのは勿論のことである。
【0014】
図6は、小口キャップ1がデッキ材4に取り付けられている様子をデッキ材4とともに示した図である。図6(a)は正面図であるが、先に説明した蓋部11の背面構造も把握できるように図示されており、かつ、デッキ材4の中空部との位置関係も把握できるように描かれている。図6(b)はネジ止めされている状態での側面図である。小口キャップ1の側面ネジ止め部12のネジ穴は、ネジ122に対応した雌ネジ部である一方で、デッキ材4の側面の対応位置に穿設されている孔は、側面ネジ止め部12のネジ穴よりも径が大きなものとされている。ただし、径の大きさは、ネジ122の座面からデッキ材4に対して軸力が十分に働く大きさとなる範囲に制限されている。このように構成されることによって、デッキ材4に対する小口キャップ1の上下位置は調整可能となる。設置に際して、上端部18がデッキ材4の上面と同面に調整されて固定される一方で、下端部19がデッキ材4の下面より下方に突出するようにして、小口キャップ1はデッキ材4に取り付けられる。
なお、小口キャップ1の側面ネジ止め部12のネジ穴の方向は、図6の紙面上で水平に見えるが、実は、抜き勾配が付与されている。このことについては、後述する。
【0015】
木粉を混ぜた合成樹脂を押出成形した合成木材は、アルミ材の押出成形品より寸法公差が大きいところ、本デッキに用いられるデッキ材4の厚さにはどうしても一定程度の加工上のバラつきが生じてしまう。デッキ材4に対する小口キャップ1の上下位置を調整できるようにすることで、デッキ材4の厚さバラつきを目立たないものとすることができる。
図7が示すように、小口キャップ1の上端部18はデッキ材4の上面と同面にされ、全体の形状がフラットとなり外観上優れている。このことは、小口キャップが木口のように見えることと相まって、デッキ材一本一本が恰も木であるかの如き印象を醸し出し外観を良好にできる。
一方で、下端部19はデッキ材4の下面より下方に突出している。このようなデッキ材4を上方から俯瞰しても、デッキ材4の厚さにバラつきがあることは認識されない。すなわち、デッキ材厚さのバラつきを吸収できるのである。なお、図7は、誇張して描かれているもので、実際には、これほどのバラつきが生じることはない。飽くまで、理解を助けるために、分かり易く示した図である。
【0016】
なお、小口キャップ1の下端部19を、より下方に積極的に突出させるように構成してもよい。小口キャップ1の上下位置の調整代を取るための下方への突出量は、合成木材の厚さ寸法の公差+αで十分であるのだが、突出量をより大きいものとすることで、この小口キャップ1の突出した部分は、デッキ材4の下面であって間口近辺に存在する見た目上の不要物に対して目隠しとなる。デッキには、照明スタンドが設けられたり、ステップが併設されたりする(図示せず)ところ、これらの部材との接続のため、デッキ材4の下面にアングルが設けられることがあるが、小口キャップ1によって、アングルを隠すことができる。
【0017】
(小口キャップの排水構造)
小口キャップ1がデッキ材4の小口を完全な水密構造で塞いでしまうと、デッキ材4の中空部のいずれかの箇所から入り込んだ雨水等が中空部に溜まってしまい、この状態が長く続くとデッキ材4を傷めてしまったり、異臭の原因となったりする。本デッキの小口キャップ1には、この対策が施されている。すなわち、小口キャップ1には、排水溝16が設けられている。この排水溝16は、単に、デッキ材4の中空部内の滞留水を排出するという考えに止まらず、デッキ材4の上面からの雨水をデッキ材4の小口端面で通過させるように下方へ送り、積極的に洗い流す働きをもするものである。図4~6を用いて説明する。
【0018】
排水溝16は、図4(a)及び図4(c)から理解されるように、蓋部11の裏面側の一部を薄肉とすることで形成されている。図4(c)の側断面図から薄肉状であることを確認することができる。また、図6(a)から理解されるように、排水溝16を為す薄肉部は、デッキ材4の複数に区画された4つの中空部それぞれの内側上面443、すなわち、中空部それぞれの天板よりも高い位置に設けられた4つの流入部161から始まり、デッキ材の中空部の内側下面を越えて小口キャップ1の下端まで延びるようにされ、下端は排出部162として機能するように形成されている。ただし、排出部162は、4つの区画のうち、左右両端の区画に対応する2箇所だけに設けられている。このため、排水溝16の中間位置には、2つの内側整流部163と2つの外側整流部164が設けられている。内側整流部163とは外側整流部164とは、前者が内から外への勾配形状、後者が外から内への勾配形状となっており、互いに逆勾配となるように形成されている。この配置は、4か所の流入部161から流入した雨水等が2か所の排出部162から効率よく排出されるような整流作用を生じさせている。排出については4か所に分散させるよりも、2か所に集中させて纏まった水量が排出される方が、水切りのために有利であることが理由である。また、雨が上がった後に、デッキ材内に溜まっていた水が排出されるとき、4か所から排出されるよりも2か所から排出されている方が目立ちにくい。
【0019】
排水溝16は、上方から下方へ雨水等を用いて中空部内を積極的に洗い流すように、薄肉部がデッキ材4の中空部の天板より高い位置から形成されている。デッキ材4の上面側から流れてくる雨水等は、比較的綺麗なものであるため、流水として積極的に利用するようにしている。このことにより、洗浄面でも効率のよい排水を行うことができる。
このことに加えて、本発明の実施の形態においては、更なる工夫が二段階で施されている。先ず、側方からの雨水は侵入されないように、デッキ材4の4つに区画された中空部のうちの両端のものについての内側左側面及び内側右側面には、薄肉部が及ばないようにされている。その理由は、複数のデッキ材4同士の間隙には、降雨時でない時に風によって舞い上がった埃、塵、砂、場合によっては異物等が堆積されがちになるところ、これを巻き込むことで汚濁された雨水等でデッキ材4の中空部内を洗い流すと却って中空部内を傷める原因や、異臭を発生させる原因となるからである。汚れた水で洗濯を行うことと同じである。また、排水されるのであるから関係がないということにもならない。排水といっても完全を期すのは難しく、汚濁された雨水等が中空部内に残ることもあり、そうであるならば、汚濁された雨水等はむしろ一切侵入させないようにした方がよいということである。
さらに、本発明の実施の形態では、図4(b)に示されるように、側面ネジ止め部12は固定には寄与しない下方部分であっても、中空部に飲み込まれる深さ以上の範囲で、下まで延出された形状となっている。元より、側面ネジ止め部12は、ネジ122で固定される位置より奥迄飲み込まれる拡がりを持っているため、側方からの雨水が排水溝16に到達すること十分に防いでいるのであるが、中空部の下方部分が途中で途切れてしまっていたら、そこから雨水が侵入してしまう虞がある。そこで、本発明の実施の形態では、側面ネジ止め部12の一部を延出させて水返し部121を形成しているのである。水返し部121は、ネジ止め部12の本体部と協働して側方の間隙からの雨水等を跳ね返すように十分に機能する。このことから、側方からの汚濁された雨水の侵入に対し、なお一層の防止が図られている。
【0020】
(小口キャップの経年変化対策)
これまで何度か述べたように、合成木材には、経年変化に伴う熱伸びという問題がある。先に、内側係止部14での対策につき、説明したが、本実施形態では、さらなる熱伸び対策が施されている。先述したように、何らの対策を施していない一般的な小口キャップは、経年劣化による熱伸びで膨らんでしまい、小口キャップの中央付近が浮いてしまう。このことを端的に示したのが図8(a)である。
【0021】
経年変化による熱伸び対策について説明する。図5において、小口キャップ1の蓋部11が存在する面は水平に示されているが、これは、デッキ材4の小口に取り付けられたときの状態であって、取り付けられる前の蓋部11が存在する面は平面でなく、実際には、図5において破線で示される曲面に沿って蓋部11が存在している。ここで、蓋部11が反ることによって、蓋部11の左右両端が前方に突出する割合は、蓋部11の全幅に対して、2.4%程度である。
【0022】
このことを分かり易く示したのが図8である。まだ、デッキ材4に取り付けられる直前の型抜きされた小口キャップ1の実際の形状が図8(b)である。小口キャップ1は、デッキ材に対向する側の面において中央部が左右に対して凸となるように沿った形で成形されている。その後、デッキ材4の小口に挿入させた状態を示しているのが、図8(c)である。この状態で、小口キャップ1の左右両端を飲み込み方向に押さえつけつつ、側面ネジ止め部12にネジ122を軽くねじ込み、仮止めした後、デッキ材4に対する小口キャップ1の上下位置が適正になるように調整してしっかりとねじ込み、全体として平坦となるようにして応力がかけられた状態で本固定する。本固定された状態が図8(d)であり、これまで説明してきた状態と同じように、全体が平坦となるようにされている。本発明の実施形態は、経年変化による小口キャップ1全体の形状変化を逆手にとって上手く利用したものと評価することができる。
【0023】
ところで、先に、後述するとした、側面ネジ止め部12のネジ穴に付与されている抜き勾配であるが、沿った形で小口キャップ1を成形するという前提と大きく関係している。すなわち、型抜きする際には斜めになっている側面ネジ止め部12のネジ穴は、小口キャップ1をデッキ材4に取り付けるときには強制的に水平方向とされ、ネジ122がねじ込まれる方向を適正に与えることになる。
【0024】
なお、本実施形態において、蓋部11が反ることによって、蓋部11の左右両端が前方に突出する割合は、蓋部11の全幅207mmに対して、2.4%の5mmであるが、この範囲に限定されるものではない。1%程度の反りであっても、平坦であることに比べれば効果が全く得られないというものでないことは、容易に理解されるであろう。
【0025】
なお、デッキ材の小口形状は、長短のある矩形であるため、熱伸びによる顕著な影響を受ける長い幅を有する方向について、凸となるように沿った形とされているが、小口の形状が正方形の場合は、左右・上下に対して凸になるように沿った形とするとなおよい。
【0026】
以上、本発明に係る実施例の簡易構造物について、図面を参照して詳述し、その構造について説明してきたが、具体的な構成は、これらの実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。例えば、デッキは住宅に併設されることなく、独立したデッキであっても構わない。
【0027】
また、前述の実施例は、その目的および構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用して組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0028】
1 小口キャップ
11 蓋部
12 側面ネジ止め部(固定手段)
13 下面ネジ止め部(固定手段)
14 内側係止部(挟着部)
15 外側係止部(固定手段)
16 排水溝
161 流入部
162 排出部
163 内側整流部
164 外側整流部
2 支柱
3 大引
4 デッキ材
441 中央区画壁
442 区画壁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8