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▶ ダイムラー・アクチェンゲゼルシャフトの特許一覧

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  • 特開-車両構造 図1
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  • 特開-車両構造 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022085067
(43)【公開日】2022-06-08
(54)【発明の名称】車両構造
(51)【国際特許分類】
   B62D 33/067 20060101AFI20220601BHJP
   B60K 11/04 20060101ALI20220601BHJP
【FI】
B62D33/067 Z
B62D33/067 V
B60K11/04 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020196548
(22)【出願日】2020-11-27
(71)【出願人】
【識別番号】598051819
【氏名又は名称】ダイムラー・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Daimler AG
【住所又は居所原語表記】Mercedesstrasse 120,70372 Stuttgart,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100187322
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 直輝
(74)【代理人】
【識別番号】100111143
【弁理士】
【氏名又は名称】安達 枝里
(72)【発明者】
【氏名】石井 誠
【テーマコード(参考)】
3D038
【Fターム(参考)】
3D038AA05
3D038AB03
3D038AC01
3D038AC11
(57)【要約】
【課題】ラジエータにより効率的に走行風を導入することができるスタビライザを提供する。
【解決手段】車両20に設けられ、走行風を導入するラジエータ30と、ラジエータ30より前方に配置され、車幅方向に延在し、両端部の断面の外形が真円形状であり、かつ、中央部の断面の外形の少なくとも前側が前方に向けて先細り形状であるスタビライザ41と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられ、走行風を導入するラジエータと、
前記ラジエータより前方に配置され、車幅方向に延在し、両端部の断面の外形が真円形状であり、かつ、中央部の断面の外形の少なくとも前側が前方に向けて先細り形状であるスタビライザと、
を備える車両構造。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両構造に関する。
【背景技術】
【0002】
トラック等の車両は、キャブの下部に、車幅方向に配置されるスタビライザが備えられる。スタビライザは、車両の旋回時等にキャブが傾くと捩じれモーメントに対する反力を発生させて、キャブの傾きを抑制する機能を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-144838号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、スタビライザの後方には、ラジエータが備えられることがある。このラジエータは走行風により冷却されるが、スタビライザの形状によっては、ラジエータへより効率的に走行風が流れない可能性がある。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ラジエータにより効率的に走行風を導入することができるスタビライザを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は前述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様又は適用例として実現することができる。
【0007】
本適用例に係る車両構造は、車両に設けられ、走行風を導入するラジエータと、前記ラジエータより前方に配置され、車幅方向に延在し、両端部の断面の外形が真円形状であり、かつ、中央部の断面の外形の少なくとも前側が前方に向けて先細り形状であるスタビライザと、を備える。
【0008】
このように構成された車両構造は、スタビライザの中央部が後方から前方に向かって先細りの形状になっているため、車両の走行風に対してスタビライザが発生する空気抵抗を低減することができる。また、同形状により、スタビライザの外形近傍における走行風の気流の乱れが整い、ラジエータについてスタビライザと前後方向に重なる部分へも走行風が導入されやすくすることで、ラジエータの冷却効率を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態の車両構造を適用した車両の概略図である。
図2】本発明の一実施形態の車両構造を車両左前方から見た斜視図である。
図3図2のA面の断面図である。
図4図2のB面の断面図である。
図5】スタビライザの変形例について図2のA面に対応する断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づき説明する。
【0011】
図1は本発明の一実施形態の車両構造を適用した車両の概略図である。本実施形態に係る車両構造10は、図1に示す車両20に適用されている。車両20は、例えば大型のトラックであり、車両20の前方のシャシフレーム(不図示)上にキャブ21が配置されて構成されている。なお、前後とは車両の前後、上下とは車両の鉛直方向(垂直方向)における上下、左右とは車両の車幅方向における左右を示しているものとして、以下説明する。
【0012】
本実施形態に係る車両構造10は、図1に示すように、キャブ21の床面より下側で且つ車両前部設けられたラジエータ30と、フロントキャブエアサスペンション40(以下エアサスペンション40という)を有している。なお、本実施形態のキャブ21は下前部を支点に後部が上昇(チルト)可能である。
【0013】
図2は、本発明の一実施形態の車両構造10を車両左前方から見た斜視図である。具体的には、図1のラジエータ30と、エアサスペンション40を拡大した斜視図である。図2に示すように、車両構造10は、左右対称に構成されている。
【0014】
ラジエータ30は、図2に示すように、主に上下方向及び車幅方向に広がる直方体形状の外形をなしている。また、ラジエータ30は、その大部分を占めるフィン部31を有するフィン部31は車幅方向に延びるフィン付きの細管を多数有し、当該細管内を車幅方向一側から他側にエンジン冷却水等の冷媒が流れることで、外気と冷媒との熱交換が行われる。具体的には、ラジエータ30は、走行風を受け止めるように前面が垂直に立っている。これにより、車両20の走行時に前方からの走行風がラジエータ30のフィン部31に導入され、エンジン冷却水との熱交換が行われる。
【0015】
エアサスペンション40は、図2に示すように、車両20の車幅方向に対して中央に設けられたスタビライザ41と、スタビライザ41の両端をそれぞれ挿通させてスタビライザ41を支持する挿通部を上部に有する一対のキャブヒンジブラケット42と、各キャブヒンジブラケット42に搭載される緩衝機構であるコネクチングアーム43、エアスプリング44、アッパブラケット45、及びショックアブソーバ46と、を備える。また、エアサスペンション40は、キャブヒンジブラケット42がシャシフレームに連結されている。このような構成により、エアサスペンション40は、車両20のシャシフレームからキャブ21に伝わる振動を低減する機能を持つ。また、スタビライザ41を軸にキャブ21はチルトする。
【0016】
エアサスペンション40は、車幅方向においてラジエータ30を挟み込むように近接して設けられる。また、スタビライザ41はラジエータ30の上部の前方に配置される。スタビライザ41は、車幅方向に延在する中空の棒形状の部材で、ラジエータ30の車幅方向の幅より大きい長さを有する。なお、スタビライザ41は、車両20のキャブ21がロールした場合に、キャブ21のロールを抑制する機能をもつ。さらに、スタビライザ41は、ラジエータ30のフィン部31の車幅方向の両端の位置に対応する図2に示す2つの破線付近を境界とする中央部411と、中央部411から左右方向両側に延びる一対の両端部412と、を有する。スタビライザ41は、例えば中空の金属管等をプレス加工等して中央部411の外形を変形させて形成され、上記機能を達成するために必要な外径及び肉厚を有する。
【0017】
次にスタビライザ41の形状を説明する。図3は、図2のA面での断面図である。図4図2のB面での断面図である。具体的には図3はスタビライザ41の中央部411を含む上下方向及び前後方向に形成される仮想面Aでの断面図であり、図4は、スタビライザ41の両端部412を含む上下方向及び前後方向に形成される仮想面Bでの断面図である。スタビライザ41は、中央部411において、図3に示すように、断面の外形が前後方向に扁平な、すなわち、前側が後方から前方に向けて先細り形状であり後側が前方から後方に向けて先細り形状となる楕円形状であり、両端部412においては、図4に示すように断面の外形が真円形状である。
【0018】
以上のように構成された車両構造10は、スタビライザ41の中央部411の前側が後方から前方に向かって先細りの形状になっているため、車両20の走行風に対してスタビライザ41が発生する空気抵抗を低減することができる。また、後側が前方から後方に向けて先細り形状であることで、スタビライザ41の外形近傍における走行風の気流の乱れが整う。これにより、当該スタビライザ41がラジエータ30に導入される走行風を妨げる位置にあっても、中央部411の断面が真円形状である場合よりも、走行風がラジエータ30導入されやすくすることで、ラジエータ30の冷却効率を向上することができる。また、空気抵抗の低減により車両20の燃費を向上することができる。一方で、スタビライザ41の両端部412においては断面が従来通り真円形状であることから、キャブヒンジブラケット42は設計の変更が不要となる場合もあり、また、スタビライザ41の支持強度を容易に確保することができる。
【0019】
以上で本発明に係る車両の車両構造10の実施形態についての説明を終えるが、本発明の態様はこの実施形態に限定されるものではない。
【0020】
上記実施形態においては、スタビライザ41の中央部411の断面の外形は楕円形状であったが、少なくとも前側が後方から前方に先細り形状であればよい。例えば、図5に示す変形例のスタビライザ41’ように、断面の外形が三角形状でもよい。この場合、図5に示すスタビライザ41’の外形形状である三角形状の3つの頂点413a、413b、413cのうち、最も角度の小さい頂点413aを前方に、頂点413aに対向する辺414aを後方に配置することが好ましい。さらに、図5に示すように、スタビライザ41’がラジエータ30の上部の前方に配置される場合は、上方に位置する三角形の辺414bを走行風の流れと平行になるように配置することが好ましい。これによりスタビライザ41’の上方に導入される走行風は気流の乱れが抑制されて直進し、ラジエータ30のフィン部31を外れて上方へ拡散されにくくなる。一方、スタビライザ41’の下方に導入される走行風では気流の乱れが発生し走行風が拡散されるが、ラジエータ30がスタビライザ41’の下方に延設されているため、ラジエータ30の下部において拡散した走行風を導入することができ、冷却効率を向上することができる。
【0021】
また、上記実施形態においては、スタビライザ41は中空であったが、中実であっても構わない。中実の場合は、同じ強度でもスタビライザ自体を細くすることができるため、さらに空気抵抗を抑制することができる。
【符号の説明】
【0022】
10 :車両構造
20 :車両
21 :キャブ
30 :ラジエータ
31 :フィン部
40 :フロントキャブエアサスペンション
41、41' :スタビライザ
42 :キャブヒンジブラケット
43 :コネクチングアーム
44 :エアスプリング
45 :アッパブラケット
46 :ショックアブソーバ
411 :中央部
412 :両端部
図1
図2
図3
図4
図5