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  • 特開-ベンチュリ管 図1
  • 特開-ベンチュリ管 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022085075
(43)【公開日】2022-06-08
(54)【発明の名称】ベンチュリ管
(51)【国際特許分類】
   B01F 25/30 20220101AFI20220601BHJP
   B01F 23/2326 20220101ALI20220601BHJP
【FI】
B01F5/04
B01F3/04 F
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020196564
(22)【出願日】2020-11-27
(71)【出願人】
【識別番号】518381422
【氏名又は名称】リオウ、フエイ タルング
【氏名又は名称原語表記】LIOU,HUEI TARNG
【住所又は居所原語表記】11F.-3,NO.18,LN.70,SEC.3,KANGNING RD.,TAIPEI CITY 114,TAIWAN
(74)【代理人】
【識別番号】100105795
【弁理士】
【氏名又は名称】名塚 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100105131
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 満
(72)【発明者】
【氏名】リオウ、フエイ タルング
【テーマコード(参考)】
4G035
【Fターム(参考)】
4G035AA01
4G035AB20
4G035AC22
4G035AE01
4G035AE13
(57)【要約】      (修正有)
【課題】一般に入手可能なベンチュリ管とは異なる構造のベンチュリ管を提供する。
【解決手段】本発明は、第1の円錐体20と第2の円錐体30とが配置された円筒管10を備えるベンチュリ管に向けられている。第1の円錐体と第2の円錐体とが、それらの基部が互いに対向し、かつ間隙を隔てて配置されている。吸引管40は、入口42と出口44とを有する。入口は円筒管の外側に位置し、出口は第1の基部22と第2の基部32との間、すなわち、第1の基部と第2の基部との間の間隙に位置する。気液混合器として機能するこの構造のベンチュリ管は、より高いガス溶解度を有する。この構造のベンチュリ管は、従来に比べて短い長さで同量の液体を処理するので、製造コストが低い。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管直径と流体流入端と流体流出端とを有する円筒管と、
第1の基部と第1の開き角度とを有する第1の円錐体であって、前記第1の基部が前記流体流入端と反対側を向いた状態で前記円筒管内に同心状に配置されている、第1の円錐体と、
第2の基部と第2の開き角度とを有する第2の円錐体であって、前記第2の基部が前記第1の基部からある距離だけ離れるようにして前記円筒管内に同心状に配置され、前記第2の基部は、前記第1の基部と等しく且つ前記管直径よりも小さい基部直径を有する、第2の円錐体と、
入口と出口とを有する吸引管であって、前記入口は前記円筒管の外側に位置し、前記出口は前記第1の基部と前記第2の基部との間に位置する、吸引管と、を備えたベンチュリ管。
【請求項2】
前記第1の開き角度は、前記第2の開き角度よりも大きい、請求項1記載のベンチュリ管。
【請求項3】
前記第2の円錐体は切頭にされており、前記円筒管は、前記切頭にされた円錐体に適合されてその長さが短くなっている、請求項2記載のベンチュリ管。
【請求項4】
前記出口は、前記第1の基部の中心と前記第2の基部の中心との間に位置している、請求項2記載のベンチュリ管。
【請求項5】
前記出口は、前記第1の基部の中心と前記第2の基部の中心との間に位置している、請求項3記載のベンチュリ管。
【請求項6】
前記第1の基部と前記第2の基部との間の前記距離は、1mm~3mmである、請求項5記載のベンチュリ管。
【請求項7】
前記第1の基部の直径は、前記円筒管の直径より0.5mm~2mm小さい、請求項5記載のベンチュリ管。
【請求項8】
前記第1の基部の直径は、前記円筒管の直径より0.5mm~2mm小さい、請求項6記載のベンチュリ管。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に入手可能なベンチュリ管とは内部構造が異なるベンチュリ管に関する。
【背景技術】
【0002】
ベンチュリ管は、当該技術分野において周知である。図1に示されるように、従来のベンチュリ管100は、先細りの入口(入口円錐管)112、狭いスロート116、および末広がりの出口(出口円錐管)114を有し、ベルヌーイの原理に従って作動する。ベルヌーイの原理は、流体の水平流に対して、より速い流速のポイントは、より遅い流速のポイントよりも低い圧力を有する。流体が先細りの入口112を通過するとき、液体流の速度が増加する。したがって、ベルヌーイの原理に従って、流体流の速度が増加すると、圧力が減少する。圧力が減少すると、吸引効果が生じる。したがって、ベンチュリ管は、流体-ガス混合器として使用することができる。液体がベンチュリ管100を通って流れるとき、スロート116において吸引効果が生じ、減圧がガスを吸引してスロート116を流れる液体と混合する。
【0003】
再び図1を参照すると、中心軸Zは、ベンチュリ管100に沿った長手方向の軸である。PfiおよびPfoは、それぞれ、入口112および出口114における流体圧である。Paは、スロート116におけるガス圧である。ガスがガス入口142からスロート116に吸い込まれると、スロート116において気泡が形成される。スロート116において形成される気泡の体積をVa(一般にスロート116の断面積に依存するが)と仮定すると、それは、ベンチュリ管100の出口114に到達するとき、体積Vcまで膨張し得る。出口114におけるガス(気泡)の体積Vcは、以下の式に示されるようになる。
【0004】
Vc=(Pa/Pfo)Va
【0005】
PfoはPaよりも大きいので、VcはVaよりも小さい。このことは、気泡がスロート116から出口114に移動するにつれて収縮することを示唆している。しかしながら、ベンチュリ管内の圧力勾配により、スロート116を離れると、気泡は軸線Z(流体の流れの軸方向)から遠ざかり、末広がりの出口114の内面に向かって押しやられる。気泡が流動するにつれて軸線Zからずれるので、気泡が流体に溶けにくくなる。気泡が流動するにつれて、気泡同士が衝突する確率が高くなり、図1に示すように、気泡同士が結合してさらに大きな気泡を形成しやすくなる。
【0006】
ガス溶解率に影響する要因は2つある。
【0007】
1.スロートの断面積
スロートの断面積が大きいほど、気泡の体積が大きくなり、流体とガスとの接触面が小さくなり、その結果、溶解率が低下する。
【0008】
2.ベンチュリ管内の圧力勾配
ベンチュリ管100内の圧力勾配により、スロート116を出た気泡は、中心軸Zから押し離されて円錐管114の表面に向かって流れ、液体に溶けにくくなり、他の気泡と衝突して大きな気泡を形成する傾向がある。気泡の大きさが大きいほど、気泡と流体との接触が少なくなる。その結果、ガス溶解率が大幅に低下する。
【0009】
ガス溶解率が低いことに加えて、一つの大きな欠点は、ベンチュリ管のサイズ(長さ)であり、これはベンチュリ管の用途を制限するだけでなく、製造コストを高くする。
【0010】
従って、より大きなガス溶解率を可能にする改良されたベンチュリ管が必要とされている。また、より小型で低コストのベンチュリ管を製造する必要もある。
【発明の概要】
【0011】
本発明は、ベルヌーイの原理にも従って作動するが、一般に入手可能なベンチュリ管とは構造が異なるベンチュリ管を提供する。
【0012】
本発明のベンチュリ管は、円筒管と、第1の円錐体(円錐体)と、第2の円錐体(円錐体)とを備える。第1の円錐体と第2の円錐体とは、円筒管内に取り付けられ、それらの基部同士が互いに対向して隙間を隔てて配置されている。ベンチュリ管は、さらに、入口と出口とを有する吸引管を備える。入口は円筒管の外側に位置し、出口は第1の基部と第2の基部との間、すなわち第1の基部と第2の基部との間隙に位置する。
【0013】
このように第1の円錐体と第2の円錐体とを構成することにより、円筒管と第1の円錐体と第2の円錐体との間に形成される流体通路が環状となる。環状通路の断面積が従来のベンチュリ管のスロートよりも大きくなるため、流量が多くなる。このため、従来のベンチュリ管と同じ流体流量で処理すれば、本発明のベンチュリ管を小型化することができる。
【0014】
さらに、本発明のベンチュリ管にガスを吸引すると、従来のベンチュリ管で形成される気泡よりも、気泡の大きさが小さくなる。流体と、より小さな気泡との全体的な接触面積が、流体と、より大きな気泡との全体的な接触面積よりも大きくなる。したがって、気液混合器として用いる本発明のベンチュリ管の方が、従来のベンチュリ管よりもガス溶解率が高くなる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、従来のベンチュリ管を示す。
図2図2は、本発明のベンチュリ管を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図2は、本発明のベンチュリ管1を示す。ベンチュリ管1は、対応する圧力Pfi'およびPfo'をそれぞれ有する流体流入端12および流体流出端14を有する円筒管10を備える。
【0017】
ベンチュリ管1はさらに、第1の円錐体(コーン)20と第2の円錐体(コーン)30とを備えている。第1の円錐体20は第1の基部22と第1の開き角度θ1を有し、第2の円錐体30は第2の基部32と第2の開き角度θ2を有している。第1の円錐体20は、第1の基部22が流体導入端12と反対側を向いた状態で円筒管10内に同心状に配置されている。第1の開き角度θ1は第2の開き角度θ2よりも大きい。第2の円錐体30は、第2の基部32が第1の基部22から距離Dcだけ離れる状態で円筒管10内に同心状に配置されている。本実施形態では、距離Dcは1mmから3mmである。第2の基部32は、第1の基部22と等しく且つ管直径Dtよりも小さい基部直径Dbを有する。したがって、基部22、32と円筒管10との間の間隙Rg
【0018】
Rg=(Dt-Db)/2
【0019】
本実施形態では、基部直径Dbは、管直径Dtよりも0.5mm~2mm小さい。間隙Rgは0.25mm~1mmである。
【0020】
ベンチュリ管1はさらに、吸引管40を備えている。吸引管40は、入口42と出口44とを有する。入口42は円筒管10の外側に位置し、出口44は第1の基部22と第2の基部32との間に位置している。本実施形態では、出口44は、吸引されたガスをベンチュリ管1を通過する流体中により均一に分配するために、第1の基部22の中心と第2の基部32の中心の間に位置している。
【0021】
一実施形態では、第2の円錐体30を切頭にすることができる。切頭円錐体の長さは、開口角と底面が同じである場合、切頭にされていない円錐体よりも短い。円筒管10は、短縮された長さを有するように切頭円錐体に適合することができる。したがって、切頭にされた第2の円錐体30を有するベンチュリ管1は、長さが短くなり、したがって、より軽くなり、より少ない空間を占める。
【0022】
図2を参照すると、ベンチュリ管1において、円筒管10と第1の円錐体20および第2の円錐体30との間に形成される流体通路の断面は、環状であることが理解できる。流体通路の断面積は、軸Zに沿って、流体流入端12から徐々に減少し、第1の基部22または第2の基部32が位置する点で最小値に達し、その後、流体流出端14に向かって徐々に増加する。その結果、流体速度は、流体流入端12および流体流出端14で遅くなり、流体通路の断面積が最小となる第1の基部22および第2の基部32で最も速くなる。ベルヌーイの原理では、流体速度が最も速くなる点、すなわち流体通路の断面積が最小となる位置で圧力が最小となる。
【0023】
吸引管40の出口44は、第1の基部22の中心と第2の基部32の中心との間、すなわち断面積が最小となる位置に配置されている。この出口44から管40を介してガスが吸引される。
【0024】
液体がベンチュリ管1を流れると、出口44からガスが吸引されて気泡が形成される。気泡が出口44から離れるとき、これらの気泡の体積と圧力をそれぞれVa'およびPa'と仮定する。体積Va'は、第1の基部22と第2の基部32との間の距離Dcに関連付けられる。気泡がベンチュリ管に沿って流れ続けると、気泡は、Pa'からPfo'への圧力増加によって体積Vc'まで収縮する。気泡のサイズが小さいほど、ガス溶解度は高くなる。第2の円錐体30の幾何学的形状のために、ベンチュリ管を流れる液体は、これらの小さな気泡を第2の円錐体30の表面に向かって、すなわち流れの中心軸Zに向かって引っ張る圧力勾配を作り出す。流れの中心軸Zの周りを流れる気泡は、流体と接触する機会が多くなる。その結果、気泡が中心軸Zから離れて流れる従来のベンチュリ管100よりも、ガス溶解率が高くなる。
【0025】
本発明のベンチュリ管は、流体が流れる流路が環状である。環状の流路は、従来のベンチュリ管のスロートと比較して有効断面積が大きく、流量が多い。このため、ベンチュリ管のサイズを大幅に縮小することができる。
【0026】
従来のベンチュリ管と比較して、本発明は小型化が可能である。加えて、本発明のベンチュリ管は、より小さな気泡を生成し、したがってガス溶解率が高い。
【0027】
以上の実施形態は、限定的なものではなく、例示的なものであることを当業者は理解すべきである。よって、上述した概念を逸脱することなく、本発明をさらに修正し、改良することができる。
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2022-04-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管直径と流体流入端と流体流出端とを有する円筒管と、
第1の基部と第1の開き角度とを有する第1の円錐体であって、前記第1の基部が前記流体流入端と反対側を向いた状態で前記円筒管内に同心状に配置されている、第1の円錐体と、
第2の基部と第2の開き角度とを有する第2の円錐体であって、前記第2の基部が前記第1の基部からある距離だけ離れて1mm~3mmの間隙を形成するようにして前記円筒管内に同心状に配置され、前記第2の基部は、前記第1の基部と等しく且つ前記管直径よりも0.5mm~2mm小さい基部直径を有する、第2の円錐体と、
入口と出口とを有する吸引管であって、前記入口は前記円筒管の外側に位置し、前記出口は前記第1の基部と前記第2の基部との間に位置する、吸引管と、を備えたベンチュリ管。
【請求項2】
前記第1の開き角度は、前記第2の開き角度よりも大きい、請求項1記載のベンチュリ管。
【請求項3】
前記第2の円錐体は切頭にされており、前記円筒管は、前記切頭にされた円錐体に適合されてその長さが短くなっている、請求項2記載のベンチュリ管。
【請求項4】
前記出口は、前記第1の基部の中心と前記第2の基部の中心との間に位置している、請求項2記載のベンチュリ管。
【請求項5】
前記出口は、前記第1の基部の中心と前記第2の基部の中心との間に位置している、請求項3記載のベンチュリ管。
【外国語明細書】