(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022085078
(43)【公開日】2022-06-08
(54)【発明の名称】旋動式破砕機、及び、ダストシールリング摩耗状態推定方法
(51)【国際特許分類】
B02C 2/06 20060101AFI20220601BHJP
B02C 2/04 20060101ALI20220601BHJP
【FI】
B02C2/06
B02C2/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020196567
(22)【出願日】2020-11-27
(71)【出願人】
【識別番号】503245465
【氏名又は名称】株式会社アーステクニカ
(74)【代理人】
【識別番号】100118784
【弁理士】
【氏名又は名称】桂川 直己
(72)【発明者】
【氏名】木島 崇
(72)【発明者】
【氏名】小林 純
【テーマコード(参考)】
4D063
【Fターム(参考)】
4D063BB04
4D063BB06
4D063BB17
4D063GA07
4D063GB02
4D063GC27
4D063GC29
4D063GC40
4D063GD04
4D063GD13
(57)【要約】
【課題】ダストシールリングに関するメンテナンス作業を容易化することができる旋動式破砕機を提供する。
【解決手段】旋動式破砕機は、被破砕物を破砕する。旋動式破砕機は、コーンケーブ7と、偏心スリーブ8と、主軸5と、マントルと6、油室41と、仕切部44と、ダストシールリング45と、環状空間42と、供給口61と、圧力センサ81と、制御部と、を備える。仕切部44は、油室41の周囲に設けられる。ダストシールリング45は、仕切部44の周囲に設けられ、マントル6及び仕切部44とともに主軸5を囲むように環状空間42を形成する。供給口61から、環状空間42に気体が供給される。圧力センサ81は、環状空間42の圧力を検出する。前記制御部は、圧力センサ81により検出された圧力に基づいて時間経過に伴う環状空間42の圧力変化量を取得し、これに基づく情報を出力する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被破砕物を破砕する旋動式破砕機であって、
第1支持部に支持されたコーンケーブと、
第2支持部に回転可能に支持された偏心スリーブと、
前記偏心スリーブに挿入され、前記偏心スリーブの回転により偏心運動する主軸と、
前記コーンケーブと対向する破砕部を有し、前記主軸に装着された状態で、前記主軸の偏心運動に伴って偏心運動するマントルと、
前記マントルの下方で前記主軸の周囲に設けられ、潤滑油を充填する油室と、
前記油室の周囲に設けられた仕切部と、
前記マントルと対向するように配置され、前記仕切部の周囲に設けられ、前記マントル及び前記仕切部とともに前記主軸を囲むように環状空間を形成するダストシールリングと、
前記環状空間に気体を供給するための供給口と、
前記環状空間の圧力を検出する圧力センサと、
前記圧力センサにより検出された圧力に基づいて時間経過に伴う前記環状空間の圧力変化量を取得し、当該圧力変化量に基づく情報を出力する制御部と、
を備えることを特徴とする旋動式破砕機。
【請求項2】
請求項1に記載の旋動式破砕機であって、
前記制御部は、前記コーンケーブ及び前記マントルの無負荷時又は停止時において圧力センサが検出した圧力に基づいて、前記圧力変化量を取得することを特徴とする旋動式破砕機。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の旋動式破砕機であって、
前記制御部は、取得した前記環状空間の圧力変化量に基づいて、前記ダストシールリングの摩耗に関する状態を判定し、判定結果を出力することを特徴とする旋動式破砕機。
【請求項4】
請求項1から3までの何れか一項に記載の旋動式破砕機であって、
前記制御部は、取得した前記環状空間の圧力変化量が所定の閾値よりも大きいと判断した場合に、前記ダストシールリングの交換が必要な状態であると判定することを特徴とする旋動式破砕機。
【請求項5】
請求項1から4までの何れか一項に記載の旋動式破砕機であって、
前記圧力センサからの信号、又は、前記制御部からの信号が、前記旋動式破砕機が備えるフレームの外部に出力されることを特徴とする旋動式破砕機。
【請求項6】
請求項1から5までの何れか一項に記載の旋動式破砕機であって、
前記制御部の出力に応じてアラームを発生可能なアラーム部を備えることを特徴とする旋動式破砕機。
【請求項7】
請求項1から6までの何れか一項に記載の旋動式破砕機であって、
前記供給口は、前記環状空間に気体を送り込む供給部と接続され、
前記制御部は、前記環状空間の圧力に応じて、前記環状空間への気体の供給量が変化するように前記供給部を制御することを特徴とする旋動式破砕機。
【請求項8】
請求項1から7までの何れか一項に記載の旋動式破砕機であって、
前記供給口は、前記環状空間に気体を送り込む供給部と接続され、
前記制御部は、前記環状空間へ送り込まれる気体に関する前記供給部の吐出圧力を取得し、そのときの前記環状空間の圧力と取得した前記供給部の吐出圧力とに基づく情報を出力することを特徴とする旋動式破砕機。
【請求項9】
第1支持部に支持されたコーンケーブと、
第2支持部に回転可能に支持された偏心スリーブと、
前記偏心スリーブに挿入され、前記偏心スリーブの回転により偏心運動する主軸と、
前記コーンケーブと対向する破砕部を有し、前記主軸に装着された状態で、前記主軸の偏心運動に伴って偏心運動するマントルと、
前記マントルの下方で前記主軸の周囲に設けられ、潤滑油を充填する油室と、
前記油室の周囲に設けられた仕切部と、
前記マントルと対向するように配置され、前記仕切部の周囲に設けられ、前記マントル及び前記仕切部とともに前記主軸を囲むように環状空間を形成するダストシールリングと、
を備える旋動式破砕機において前記ダストシールリングの摩耗に関する状態を推定するダストシールリング摩耗状態推定方法において、
前記環状空間に気体を供給した場合の当該環状空間の圧力を圧力センサで検出する第1工程と、
前記第1工程で取得した前記環状空間の圧力が時間経過に伴って変化する圧力変化量に基づいて、前記ダストシールリングの摩耗に関する状態を推定する第2工程と、
を含むことを特徴とするダストシールリング摩耗状態推定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、旋動式破砕機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、岩石等を砕く機械として、コーンクラッシャ等の旋動式破砕機が用いられている。この旋動式破砕機は、マントル及びコーンケーブによって岩石を破砕する。特許文献1は、この種の旋動式破砕機を開示する。
【0003】
特許文献1の旋動式破砕機は、主軸と、偏心スリーブと、マントルと、コーンケーブと、を備える。主軸は、フレーム組立に納められた偏心スリーブに回転可能に挿入されている。マントルは、主軸に固定されたマントルコアの上に装着されている。マントルコアの裏面は、フレーム組立に設けられたマントル受台により支持されている。そして、旋動式破砕機の運転時にマントルが主軸の回転に従ってコーンケーブに対してすりこぎ運動をして、このマントルとコーンケーブとにより両者間に形成された破砕室に供給された被破砕物が破砕されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の旋動式破砕機においては、その運転中には主軸に大きな負荷が掛かることから、主軸を円滑に回転させるために、主軸の周囲に潤滑油が供給されている。潤滑油の一部は、すりこぎ運動を行うマントルがマントル受台に支持される部分(摺動部分)に供給されている。潤滑油は、マントル受台の内側に形成された油室に充填されている。
【0006】
潤滑油は、前記摺動部分を通じて、油室と、マントル受台の外側に形成された環状空間と、の間で移動可能となっている。環状空間は破砕室に対して所定距離をあけた状態で配置されているが、破砕室に充満する破砕粉等のダストが環状空間で潤滑油に混入する可能性がある。潤滑油にダストが混入すると、潤滑性能が劣化するので、潤滑油を交換する必要が生じたり、主軸の軸受部分が破損したりするおそれがある。
【0007】
そこで、旋動式破砕機には、環状空間内部に空気を連続的に封入し、この空間の圧力を高めてダストが破砕室側から環状空間に侵入することを防止するダストシール構造が設けられている。ダストシール構造は、環状空間と破砕室とを仕切るダストシールリングを備える。ダストシールリングは、フレーム組立のフレームに取り付けられた仕切板に嵌められ、当該仕切板の外壁に密着して固定されている。また、ダストシールリングは、マントルコアと、これに固定されたダストリングカバーと、により形成された嵌合溝に挿入されている。
【0008】
ダストシールリングは、主軸の回転につれて嵌合溝と共回りして仕切板の周囲を摺動する。そのため、旋動式破砕機が長期間にわたって運転されると、仕切板の外面が摩耗するととともに、ダストシールリングの内径部分が減耗して、仕切板とダストシールリングとの隙間が徐々に広がる。そうすると、環状空間内部に封入されている空気の漏れ量が増加して、環状空間と破砕室の差圧が小さくなり、破砕室側のダストがこの隙間を通じて環状空間に侵入し易い状態となる。
【0009】
そこで、ダストシール構造の機能を維持するため、ダストシールリングの状態(摩耗の程度)を確認して交換の有無を判断するためのメンテナンス作業が定期的に行われる。このメンテナンス作業では、作業者がダストシールリングの状態を目視で確認する必要がある。しかし、ダストシールリングの設置箇所は旋動式破砕機の機内であり、設置状態によっては高所でかつ暗所であるので、作業者にとってメンテナンス作業が非常に手間の掛かるものとなっている。
【0010】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その主な目的は、ダストシールリングに関するメンテナンス作業を容易化することができる旋動式破砕機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0012】
本発明の第1の観点によれば、以下の構成の旋動式破砕機が提供される。即ち、この旋動式破砕機は、被破砕物を破砕する。前記旋動式破砕機は、コーンケーブと、偏心スリーブと、主軸と、マントルと、油室と、仕切部と、ダストシールリングと、供給口と、圧力センサと、制御部と、を備える。前記コーンケーブは、第1支持部に支持される。前記偏心スリーブは、第2支持部に回転可能に支持される。前記主軸は、偏心スリーブに挿入され、前記偏心スリーブの回転により偏心運動する。前記マントルは、前記コーンケーブと対向する破砕部を有する。前記マントルは、前記主軸に装着された状態で、前記主軸の偏心運動に伴って偏心運動する。前記油室は、前記マントルの下方で前記主軸の周囲に設けられ、潤滑油を充填する。前記仕切部は、前記油室の周囲に設けられる。前記ダストシールリングは、前記マントルと対向するように配置され、前記仕切部の周囲に設けられ、前記マントル及び前記仕切部とともに前記主軸を囲むように環状空間を形成する。前記圧力センサは、前記環状空間の圧力を検出する。前記制御部は、前記圧力センサにより検出された圧力に基づいて時間経過に伴う前記環状空間の圧力変化量を取得し、当該圧力変化量に基づく情報を出力する。
【0013】
本発明の第2の観点によれば、旋動式破砕機における、以下のダストシールリング摩耗状態推定方法が提供される。即ち、前記旋動式破砕機は、コーンケーブと、偏心スリーブと、主軸と、マントルと、油室と、仕切部と、ダストシールリングと、を備える。前記コーンケーブは、第1支持部に支持される。前記偏心スリーブは、第2支持部に回転可能に支持される。前記主軸は、前記偏心スリーブに挿入され、前記偏心スリーブの回転により偏心運動する。前記マントルは、前記コーンケーブと対向する破砕部を有し、前記主軸に装着された状態で、前記主軸の偏心運動に伴って偏心運動する。前記油室は、前記マントルの下方で前記主軸の周囲に設けられ、潤滑油を充填する。前記仕切部は、前記油室の周囲に設けられる。前記ダストシールリングは、前記マントルと対向するように配置され、前記仕切部の周囲に設けられ、前記マントル及び前記仕切部とともに前記主軸を囲むように環状空間を形成する。前記ダストシールリング摩耗状態推定方法は、第1工程と、第2工程と、を含む。前記第1工程では、前記環状空間に気体を供給した場合の当該環状空間の圧力を圧力センサで検出する。前記第2工程では、前記第1工程で取得した前記環状空間の圧力が時間経過に伴って変化する圧力変化量に基づいて、前記ダストシールリングの摩耗に関する状態を推定する。
【0014】
これにより、圧力センサにより検出される環状空間の圧力を用いて、ダストシールリングの状態(摩耗量)を推定することができる。よって、ダストシールリングに関するメンテナンス作業を行う際、作業者が目視でダストシールリングの状態を確認する手間を省くことができる。従って、メンテナンス作業を容易化することができる。しかも、メンテナンス作業の安全性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ダストシールリングに関するメンテナンス作業の容易化及び安全性向上を実現することができる旋動式破砕機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態に係る旋動式破砕機の構成を示す概略的な断面図。
【
図2】旋動式破砕機の電気的構成の一部を示すブロック図。
【
図3】旋動式破砕機における主軸の軸方向途中部の周囲の構成を示す一部拡大断面図。
【
図4】ダストシールリングに関する制御部の処理の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る旋動式破砕機1の構成を示す概略的な断面図である。
図2は、旋動式破砕機1の電気的構成の一部を示すブロック図である。
【0018】
図1に示す旋動式破砕機1は、破砕対象物である原石等の岩石(被破砕物)を適宜の粒度となるように破砕するコーンクラッシャとして構成されている。旋動式破砕機1は、上部フレーム(第1支持部)3と、下部フレーム(第2支持部)4と、主軸5と、マントル6と、コーンケーブ7と、偏心スリーブ8と、動力伝達機構9と、を備えている。
【0019】
上部フレーム3は、中空状に形成されており、上向きに開口するとともに、下向きに開口している。下部フレーム4は、中空状に形成され、上向きに開口している。下部フレーム4は、上部フレーム3の下方に配置され、互いの内部空間が連続するように上部フレーム3と結合されている。
【0020】
主軸5は、丸棒状の部材である。主軸5は、上部フレーム3の内部空間と下部フレーム4の内部空間とにわたって上下方向に延びるように設けられている。主軸5は、上部フレーム3及び下部フレーム4のそれぞれの略中央に配置されている。
【0021】
主軸5の上端部は、上部軸受11によって回転可能に支持されている。上部軸受11は例えば球面軸受として構成されており、主軸5の軸線の向きを変更することができるようになっている。上部軸受11は、上部フレーム3の略中央に位置した状態で、上部フレーム3に支持されている。
【0022】
マントル6は、主軸5の軸方向(上下方向)途中部の周囲に配置され、当該主軸5の軸方向途中部に固定されている。マントル6は、マントルコア15と、破砕部16と、を有する。
【0023】
マントルコア15は、下方に向かうに従って径が大きくなる円錐状に形成されている。マントルコア15は、その中心部を通る主軸5の軸方向途中部に固定されている。
【0024】
破砕部16は、下方に向かうに従って径が大きくなる円錐筒状に形成されている。破砕部16は、マントルコア15を上方から覆うように配置され、当該マントルコア15に固定されている。
【0025】
コーンケーブ7は、下方に向かうに従って径方向の寸法が大きくなる円錐筒状に形成されている。コーンケーブ7は、上部フレーム3の内周部に固定されている。そして、コーンケーブ7は、その内周面がマントル6の破砕部16の外周面と対向するように配置されている。
【0026】
コーンケーブ7の内周面とマントル6の破砕部16の外周面との間には、破砕室20が形成されている。破砕室20では、コーンケーブ7の内周面と、マントル6の破砕部16の外周面と、の間隔が、下方に向かうに従って次第に狭くなっている。
【0027】
コーンケーブ7、及びマントル6の破砕部16は、それぞれ、破砕対象物である岩石に作用する部分である。そのため、これらは、高マンガン鋼等の硬くて摩耗しにくい材料で構成されている。また、コーンケーブ7、及びマントル6の破砕部16は、ある程度摩耗したら交換できるように、それぞれの固定箇所に対して着脱可能に固定されている。
【0028】
偏心スリーブ8は、円筒状に形成された部材である。偏心スリーブ8は、マントル6の下方で下部フレーム4に形成された筒状部に挿入され、軸線が上下方向に沿うように配置されている。偏心スリーブ8は、その軸線を中心として回転することができるように、下部フレーム4に支持されている。
【0029】
偏心スリーブ8の筒孔の軸線は、当該偏心スリーブ8の軸線に対して偏心している。そして、偏心スリーブ8の筒孔に対して相対回転可能な状態で、主軸5の下側が偏心スリーブ8に挿入されている。主軸5と、偏心スリーブ8の筒孔の内周面と、の間にはブッシュが配置されている。
【0030】
動力伝達機構9は、偏心スリーブ8を回転させるための動力を、駆動源(例えば、電動モータ)23から偏心スリーブ8に伝達する。この駆動源23は、
図2に示すように、旋動式破砕機1の制御部25と接続され、制御部25により制御される。動力伝達機構9は、横軸31と、ベベルピニオン32と、ベベルギア33と、を備えている。
【0031】
横軸31は、丸棒状の部材である。横軸31は、その回転軸線を水平方向(横方向)に向けた状態で、軸受を介して下部フレーム4に回転可能に支持されている。横軸31の両端部のうち主軸5に近い側に配置される端部には、ベベルピニオン32が固定されている。横軸31は、Vベルト及びVプーリ等を介して駆動源23からの動力が伝達されることにより回転する。
【0032】
ベベルギア33は、偏心スリーブ8に固定されている。ベベルギア33は、ベベルピニオン32と噛み合うように設けられている。この結果、横軸31が回転したとき、横軸31に伝達された動力がベベルピニオン32からベベルギア33に伝達されて、ベベルギア33が回転する。これにより、偏心スリーブ8が回転する。
【0033】
このような構成において、偏心スリーブ8が回転すると、偏心スリーブ8の筒孔に挿入された主軸5が偏心回転する。即ち、主軸5は、上部軸受11により支持されている部分を中心にして、その軸線の向きを順次変化させながら下側部分を回転させる。
【0034】
このように主軸5がすりこぎ運動を行う。主軸5のすりこぎ運動により平面視での破砕部16の位置が周期的に変動するようにマントル6が回転するので、周方向の所定位置では互いに対向するコーンケーブ7の内周面と破砕部16の外周面との間の距離が繰り返し増減する。
【0035】
この際、コーンケーブ7の内周面とマントル6の破砕部16の外周面との間に形成される破砕室20で、岩石の破砕が行われ得る。即ち、上部フレーム3の上側に設けられた投入口37から投入された岩石は、破砕室20に向かって落下し、破砕室20で更に落下しながら破砕部16(マントル6)及びコーンケーブ7の作用により破砕される。
【0036】
次に、マントル6の下部近傍における構成について説明する。
図3は、主軸5の軸方向途中部の周囲の構成を示す一部拡大断面図である。
【0037】
図3に示すように、マントル6の下方において、主軸5の軸方向途中部の周囲には、潤滑油が充填される油室41が環状に形成されている。油室41は、偏心スリーブ8と後述の仕切部44等とにより形成された溝状部から構成されている。油室41に充填された潤滑油は、主軸5と偏心スリーブ8との間の軸受部分を潤滑する。
【0038】
油室41と隣り合うように、環状空間42が設けられている。環状空間42は、主として、マントルコア15の底部の一部と、仕切部44と、ダストシールリング45と、により形成されている。環状空間42は、主軸5の周囲に配置され、ダストシールリング45により破砕室20と仕切られている。更に、この環状空間42に空気が封入されることによって、破砕室20からのダストの侵入が遮断される。従って、破砕室20において破砕粉等のダストが大量に発生しても、油室41の潤滑油がダストによって汚染されるのを防止することができる。
【0039】
具体的には、仕切部44が、マントル6の下方で主軸5の周囲に位置するように、下部フレーム4に取り付けられている。仕切部44は、仕切筒48と、仕切板49と、を有している。
【0040】
仕切筒48は、円筒状に形成されている。仕切筒48は、軸方向が上下方向に沿うように配置されている。仕切筒48は、下部フレーム4に取り付けられている。仕切筒48は、油室41の周囲に位置し、主軸5の外周側で当該主軸5から径方向に所定距離をあけて配置されている。
【0041】
仕切板49は、環状かつ板状に形成されている。仕切板49は、仕切筒48に取り付けられている。仕切板49は、仕切筒48内で当該仕切筒48と同軸に配置されている。仕切板49は、主軸5と仕切筒48との間であって、偏心スリーブ8及び油室41の上方に配置されている。
【0042】
仕切板49と主軸5との間には、スプラッシュリング51が設けられている。スプラッシュリング51は、主軸5と偏心スリーブ8との間の軸受部分に対してその上方(環状空間42側)に位置し、主軸5に嵌められている。スプラッシュリング51により、旋動式破砕機1の動作時に、油室41の潤滑油の飛沫が環状空間42に向かって飛散するのを防止することができる。
【0043】
マントルコア15の底部のうち主軸5に近い側である内周側は、下向きに開口する凹状に形成されている。マントルコア15の底部のうち外周縁部には、庇部53が設けられている。
【0044】
庇部53と、仕切部44の仕切筒48と、の間に、ダストシールリング45が設けられている。ダストシールリング45は、環状に形成されている。ダストシールリング45は、マントルコア15の底部に対向しつつダストリングカバー65に乗るように配置され、ダストリングカバー65に接触した状態で仕切筒48に嵌められている。
【0045】
こうして、環状空間42が、主軸5の軸方向途中部の周囲に、主として、マントルコア15の底部の一部、仕切部44、及びダストシールリング45により形成されている。ダストシールリング45は、ダストが破砕室20側から環状空間42に侵入することを防止する。
【0046】
油室41には、図示しない潤滑油回収用通路が接続されている。潤滑油回収用通路は、下部フレーム4に設けられており、下部フレーム4の孔及び配管により構成されている。潤滑油回収用通路を通じて、油室41に溜まる潤滑油が回収される。
【0047】
また、環状空間42には、空気供給用通路60が接続されている。空気供給用通路60は、下部フレーム4に設けられており、下部フレーム4の孔及び配管により構成されている。空気供給用通路60には、空気供給部(供給部)62が接続されている。空気供給部62は、例えば、ブロア装置として構成される。空気供給部62は、空気供給用通路60を通じて、環状空間42に空気(気体)を送り込むことができる。
【0048】
空気供給用通路60は、環状空間42に開口する供給口61を有している。供給口61は、空気供給部62から空気供給用通路60を通じて送られてくる空気を環状空間42に向かって排出する。供給口61は、環状空間42において、仕切板49及びスプラッシュリング51よりも上方に配置されている。
【0049】
図2に示すように、空気供給部62は、制御部25と接続され、制御部25により制御される。制御部25は、空気供給部62が一定の量で空気を常時供給するように制御を行う。これにより、環状空間42の内部について適宜の正圧を維持して、破砕室20から環状空間42へのダストの侵入を防止することができる。従って、潤滑油の汚染を確実に防止することができる。
【0050】
本実施形態では、ダストシールリング45の設置のために、ダストリングカバー65が設けられている。ダストリングカバー65は、環状に形成されている。ダストリングカバー65は、マントルコア15の底部の内周側の下方に配置されている。マントルコア15において仕切筒48と近接している部分と、ダストリングカバー65と、の間には、上下方向に所定の隙間が形成されている。ダストリングカバー65は、マントルコア15の庇部53の内周側に取り付けられている。
【0051】
マントルコア15の底部の内周側のうちダストリングカバー65と対向する部分には、保持部67が設けられている。保持部67とダストリングカバー65とにより、仕切筒48に向かって開口する環状溝が形成されている。この環状溝に、ダストシールリング45が配置される。ダストシールリング45は、仕切筒48の外側に嵌められた状態で、保持部67とダストリングカバー65とで挟み込まれる。これにより、ダストシールリング45が、仕切筒48に保持されるとともに、マントルコア15及びダストリングカバー65とにより保持される。
【0052】
ダストシールリング45は、旋動式破砕機1の運転時に主軸5が偏心回転するのに伴って、ダストシールリング45は、共回りして仕切筒48に対して摺動する。そのため、旋動式破砕機1が長期間にわたって運転されると、ダストシールリング45の内周部分が摩耗して、仕切筒48とダストシールリング45との隙間が徐々に広がる。それにより、環状空間42に封入されている空気の漏れ量が大きくなり、当該環状空間42の圧力(空気封入圧)が低下する。これにより、破砕室20からのダストが環状空間42に侵入し易くなる。
【0053】
ダストシールリング45の摩耗が進行すると、気密性を保つことができなくなる。従って、当該ダストシールリング45は適宜の頻度で交換する必要がある。これを考慮して、旋動式破砕機1においては、ダストシールリング45の状態(摩耗量)を推定するための推定装置が設けられている。
【0054】
次に、ダストシールリング45の状態(摩耗量)を推定するための推定装置について説明する。
【0055】
推定装置は、圧力センサ81と、アラーム部82と、を備える。推定装置は、制御部25を更に備える。
【0056】
圧力センサ81は、環状空間42の圧力を検出する。
図2に示すように、圧力センサ81は、制御部25と接続される。制御部25は、当該圧力センサ81の動作(特に検出タイミング)を制御する。圧力センサ81は、検出した圧力(検出値)を制御部25に送信する。
【0057】
図3に示すように、圧力センサ81は、環状空間42に面するように、仕切部44の仕切筒48に取り付けられている。圧力センサ81は、環状空間42において、空気供給用通路60の供給口61と同様に、スプラッシュリング51よりも上方に配置されている。
【0058】
アラーム部82は、アラームを発生させることができる。
図2に示すように、アラーム部82は、制御部25と接続され、制御部25により制御される。アラーム部82の具体的な構成としては、例えばランプやブザー等が考えられる。
【0059】
本実施形態において、制御部25、駆動源23、空気供給部62及びアラーム部82は、旋動式破砕機1が備えるフレーム(具体的には、上部フレーム3及び下部フレーム4からなる組立体)の外部に配置されている。一方、圧力センサ81は、環状空間42の内部に配置されている。図示しないが、圧力センサ81には適宜の信号ケーブルが電気的に接続される。この信号ケーブルが旋動式破砕機1のフレームの外側に引き出されて、制御部25に接続される。
【0060】
制御部25は、圧力センサ81により検出された検出値を取得し、取得した検出値に基づいてダストシールリング45の状態を推定する。制御部25は、記憶部84と、算出部85と、判定部86と、を有する。
【0061】
制御部25は公知のコンピュータとして構成されており、不図示のCPU、記憶装置、入出力部等を備える。CPUは、各種プログラム等を記憶装置から読み出して実行することができる。記憶装置には、各種のプログラムやデータが記憶されている。そして、上記のハードウェアとソフトウェアの協働により、制御部25を、記憶部84、算出部85、及び判定部86として動作させることができる。
【0062】
記憶部84は、所定の閾値を予め記憶している。この閾値は、環状空間42の圧力について、所定の時点からの変化量に関するものである。
【0063】
ダストシールリング45が新品であれば、空気供給部62の動作により、環状空間42の圧力を容易に高めることができる。一方、摩耗による隙間がダストシールリング45等に生じて気密性が低下していれば、空気供給部62を同じように動作させても環状空間42の空気が隙間から漏れてしまうので、環状空間42の圧力をあまり高めることができない。
【0064】
上記の閾値は、環状空間42の圧力変化量とダストシールリング45の摩耗量との関係に基づいて適宜設定される。
【0065】
また、記憶部84は、制御部25が圧力センサ81から検出値を取得する度に、取得した検出値を記憶する。
【0066】
算出部85は、ダストシールリング45が摩耗していない時期における、空気供給部62により環状空間42に空気が供給されている状態での環状空間42の圧力を初期値として取得する。その後、制御部25が圧力センサ81の検出値を新たに取得すると、算出部85は、初期値と新たに取得された検出値とに基づいて、時間経過に伴う環状空間42の圧力変化量を算出する。
【0067】
判定部86は、算出部85により算出された環状空間42の圧力変化量と、記憶部84に記憶された閾値とを比較し、環状空間42の圧力変化量が閾値よりも大きいか否かを判定する。判定部86の判定結果に基づいて、制御部25は、ダストシールリング45の状態(摩耗量)を推定する。
【0068】
判定部86により圧力変化量が閾値よりも大きくないと判定された場合、制御部25は、ダストシールリング45の摩耗量が許容範囲内であると推定する。また、判定部86により圧力変化量が閾値よりも大きいと判定された場合、制御部25は、ダストシールリング45の摩耗量が許容範囲を超えたと推定する。
【0069】
このように、制御部25は、圧力センサ81を用いて環状空間42の圧力変化を監視し、適宜のタイミングにおける判定部86の判定結果に基づいてダストシールリング45の状態(摩耗量)を推定する。例えば、制御部25は、ダストシールリング45の状態(摩耗量)を推定するために、
図4に示すような処理を行う。
【0070】
図4を参照して、制御部25が行う処理を詳細に説明する。まず、制御部25は、ダストシールリング45が摩耗していないタイミングで、圧力センサ81により検出された環状空間42の圧力を取得する(ステップS101)。このタイミングとしては、例えば、旋動式破砕機1を工場に設置した直後、又は、新品のダストシールリング45に交換した直後等が考えられる。制御部25は、取得した検出値を初期値として記憶部84に記憶する。
【0071】
なお、圧力センサ81による環状空間42の圧力の検出は、圧力変動が少ない、マントル6及びコーンケーブ7の無負荷時(旋動式破砕機1に岩石が投入されていないとき)又は停止時に行うことが好ましい。
【0072】
次に、制御部25は、前回の圧力検出時点から所定の時間が経過したとき、この時点における検出値を圧力センサ81から新たに取得する(ステップS102)。制御部25は、新たに取得した検出値を記憶部84に記憶する。なお、ここでの所定の時間は任意に設定可能である。
【0073】
次に、制御部25は、初期値と、ステップS102で新たに取得した検出値と、に基づいて、時間経過に伴う環状空間42の圧力変化量を算出する(ステップS103)。
【0074】
次に、制御部25は、ステップS103で得られた圧力変化量と、記憶部84に記憶された所定の閾値と、を比較して、圧力変化量が閾値よりも大きいか否かを判定する(ステップS104)。
【0075】
圧力変化量が閾値よりも大きくないと判定した場合(ステップS104、No)、制御部25は、ダストシールリング45の摩耗量が許容範囲であると判断し、ステップS102に戻る。
【0076】
圧力変化量が閾値よりも大きいと判定した場合(ステップS104、Yes)、制御部25は、ダストシールリング45の摩耗量が許容範囲外であると判断し、アラーム部82にアラームを発生させる(ステップS105)。このアラームは、例えばダストシールリング45の交換を促すものである。
【0077】
図4のフローチャートは、本発明のダストシールリング摩耗状態推定方法を実現するものである。この処理において、ステップS101及びステップS102が第1工程に相当し、ステップS104が第2工程に相当する。
【0078】
以上に説明したように、本実施形態の旋動式破砕機1は、岩石を破砕する。旋動式破砕機1は、コーンケーブ7と、偏心スリーブ8と、主軸5と、マントル6と、油室41と、仕切部44と、ダストシールリング45と、供給口61と、圧力センサ81と、制御部25と、を備える。コーンケーブ7は、上部フレーム3に支持される。偏心スリーブ8は、下部フレーム4に回転可能に支持される。主軸5は、偏心スリーブ8に挿入され、偏心スリーブ8の回転により偏心運動する。マントル6は、コーンケーブ7と対向する破砕部16を有する。マントル6は、主軸5に装着された状態で、主軸5の偏心運動に伴って偏心運動する。油室41は、マントル6の下方で主軸5の周囲に設けられ、潤滑油を充填する。仕切部44は、油室41の周囲に設けられる。ダストシールリング45は、マントル6と対向するように配置され、仕切部44の周囲に設けられ、マントル6及び仕切部44とともに主軸5を囲むように環状空間42を形成する。供給口61は、環状空間42に空気を供給するためのものである。圧力センサ81は、環状空間42の圧力を検出する。制御部25は、圧力センサ81により検出された圧力に基づいて時間経過に伴う環状空間42の圧力変化量を取得し、当該圧力変化量に基づく情報を出力する。
【0079】
これにより、圧力センサ81により検出される環状空間42の圧力の変化を用いて、ダストシールリング45の状態を推定することができる。よって、ダストシールリング45に関するメンテナンス作業を行う際、作業者が目視でダストシールリング45の摩耗具合を確認する手間を省くことができる。従って、メンテナンス作業を容易化することができる。しかも、目視によるダストシールリング45の摩耗具合の確認が不要となるので、メンテナンス作業時に作業者が旋動式破砕機1の機内に移動せずに済み、メンテナンス作業の安全性を向上させることができる。
【0080】
また、本実施形態の旋動式破砕機1において、制御部25は、コーンケーブ7及びマントル6の無負荷時又は停止時において圧力センサ81が検出した圧力に基づいて、前記圧力変化量を取得する。
【0081】
旋動式破砕機1が実際に破砕を行っている状態では、環状空間42の圧力が大きく変動するおそれがある。そのような状況を避けて環状空間42の圧力変化量を取得することで、ダストシールリング45の交換の必要性等に関して正確な判断を行うことができる。
【0082】
また、本実施形態の旋動式破砕機1において、制御部25は、取得した環状空間42の圧力変化量に基づいて、ダストシールリング45の摩耗に関する状態を判定し、判定結果を出力する。
【0083】
これにより、例えば旋動式破砕機1のオペレータが、ダストシールリング45の交換時期を容易に把握することができる。
【0084】
本実施形態の旋動式破砕機1において、制御部25は、取得した環状空間42の圧力変化量が所定の閾値よりも大きいと判断した場合に、ダストシールリング45の交換が必要な状態であると判定する。
【0085】
これにより、簡単な処理で、ダストシールリング45の交換の必要性について判定を行うことができる。
【0086】
本実施形態の旋動式破砕機1において、圧力センサ81からの信号が、旋動式破砕機1が備えるフレーム(上部フレーム3及び下部フレーム4からなる組立体)の外部に出力される。
【0087】
これにより、オペレータ等は、旋動式破砕機1の内部にアクセスしなくても、ダストシールリング45の状態を外部から容易に把握することができる。
【0088】
本実施形態の旋動式破砕機1において、制御部25の出力に応じてアラームを発生可能なアラーム部82を備える。
【0089】
これにより、ダストシールリング45の交換をオペレータ等に対して確実に促すことができる。
【0090】
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0091】
上記の実施形態において、制御部25は、環状空間42の圧力変化量と、所定の閾値と、に基づいて、ダストシールリング45の交換を促すために、アラーム部82にアラームを1回発生させるが、環状空間42の圧力変化量に応じて、アラーム部82にアラームを複数回発生させるようにしても良い。この場合、ダストシールリング45の摩耗量が予め設定された量(所定の閾値を含む)に変化する度にアラームを発生させることができるので、旋動式破砕機1のオペレータ等にダストシールリング45の詳しい状態(例えば、交換時期が近づいた状態)を知らせることができる。
【0092】
制御部25は、環状空間42の圧力に応じて、環状空間42への空気の供給量を変化させるように空気供給部62を制御しても良い。具体的には、制御部25は、環状空間42の圧力が低下した場合、環状空間42への空気の供給量を増大させるように空気供給部62を制御しても良い。これにより、環状空間42へのダストの侵入を確実に防止することが可能となる。なお、この場合、空気の供給量をある程度増大させても環状空間42の圧力が所定値に到達しないときに、アラーム部82がアラームを発生するように構成することができる。
【0093】
アラーム部82は、特に限定されるものではなく、ダストシールリング45の交換を促すための通知等のダストシールリング45に関する通知を発生させることができるものであれば良い。
【0094】
制御部25は、ダストシールリング45について推定される状態(具体的には、交換が必要な状態か否か)を出力することに代えて、圧力変化量に基づいて得られる適宜の情報を出力することができる。制御部25は、例えば、推定隙間量をディスプレイに表示しても良いし、交換が必要になると予想される時期をディスプレイに表示しても良い。
【0095】
制御部25は、圧力変化量そのものをディスプレイに表示しても良い。この場合、ダストシールリングの摩耗に関する状態は、オペレータが、表示される圧力変化量の値に基づいて推定すれば良い。
【0096】
制御部25は、空気供給部62が空気を環状空間42へ送り込むために吐出する際の空気供給部62の吐出圧力を取得し、そのときの環状空間42の圧力と取得した空気供給部62の吐出圧力とに基づく情報を出力するように構成することができる。この場合、制御部25は、空気供給部62の吐出圧力を検出するセンサと接続される。そして、制御部25は、空気供給部62の吐出圧力をして、そのときの環状空間42の圧力と取得した空気供給部62の吐出圧力との圧力差を算出し、両者の圧力差に基づいて得られる情報を出力するように構成される。これにより、ダストシールリング45の状態をより正確に推定することが可能となる。
【0097】
例えば、制御部25は、装置が正常であれば通常想定される圧力差(例えば、旋動式破砕機1が新品状態で動作しているときの圧力差)を、基準圧力差として予め取得しておく。この例で、圧力差とは、空気供給部62の吐出圧力から環状空間42の圧力を減じたものである。旋動式破砕機1を運用する過程で、制御部25は、空気供給部62の吐出圧力及び環状空間42の圧力を定期又は不定期に取得して、圧力差を計算し、基準圧力差と比較する。
【0098】
空気供給部62の吐出圧力の変化と、上述の圧力差の変化と、を複合的に考慮することで、異常の原因を推定することができる。例えば、制御部25は、空気供給部62の吐出圧力に変化が殆どないにもかかわらず、現在の圧力差が基準圧力差に対して許容範囲を超えて増加方向に変化していれば、環状空間42の圧力が低下していると判定するとともに、ダストシールリング45に状態異常(破損、摩耗等)が発生している可能性があると判定し、判定内容についての情報を出力する。この場合、圧力差の変化の原因として、空気供給用通路60を構成する配管の破損等により空気供給用通路60から空気が漏れていることもあり得るので、この内容を、出力される情報に追加するようにしても良い。別の例として、制御部25は、空気供給部62の吐出圧力が正常時の値に対して許容範囲を超えて減少方向に変化していれば、空気供給部62に故障が発生していると判定し、判定内容についての情報を出力することができる。
【0099】
ダストシールリング45の摩耗状態を推定する制御部が、圧力センサ81とともに、環状空間42の内部に配置されても良い。この場合、制御部からの信号が、適宜の信号ケーブルによって、旋動式破砕機1のフレームの外部に出力されることが好ましい。
【0100】
上記の実施形態において、旋動式破砕機1は、いわゆる油圧式コーンクラッシャとしているが、機械式コーンクラッシャであっても良い。
【0101】
上述の教示を考慮すれば、本発明が多くの変更形態及び変形形態をとり得ることは明らかである。従って、本発明が、添付の特許請求の範囲内において、本明細書に記載された以外の方法で実施され得ることを理解されたい。
【符号の説明】
【0102】
1 旋動式破砕機
3 上部フレーム(第1支持部)
4 下部フレーム(第2支持部)
5 主軸
6 マントル
7 コーンケーブ
8 偏心スリーブ
16 破砕部
25 制御部
41 油室
42 環状空間
44 仕切部
45 ダストシールリング
62 空気供給部(供給部)
81 圧力センサ
82 アラーム部