(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022085120
(43)【公開日】2022-06-08
(54)【発明の名称】給電コードクリップ
(51)【国際特許分類】
H01R 11/24 20060101AFI20220601BHJP
A01K 89/017 20060101ALI20220601BHJP
A01K 89/012 20060101ALI20220601BHJP
【FI】
H01R11/24
A01K89/017
A01K89/012
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020196627
(22)【出願日】2020-11-27
(71)【出願人】
【識別番号】000002495
【氏名又は名称】グローブライド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 信之
【テーマコード(参考)】
2B108
【Fターム(参考)】
2B108DA06
2B108GA18
(57)【要約】
【課題】様々な太さや形状のバッテリの端子に簡易かつ強固に接続することができるとともに、簡易に取り外すことができる給電コードクリップを提供する。
【解決手段】上顎部W1を備えるクリップ本体2と、下顎部W2を備えるとともにクリップ本体2に対して回動可能に取り付けられた揺動体3と、揺動体3に対して回動可能に取り付けられた操作レバー4と、操作レバー4に対して一端側が回動可能に取り付けられるとともに、他端側がクリップ本体2に対して回動可能に取り付けられたシャフト5と、クリップ本体2に対する揺動体3の開き角度を調整する調整ネジ6と、を有し、操作レバー4を閉じると倍力作用によって上顎部W1と下顎部W2とで端子Mを掴持するとともにその掴持状態を保持し、操作レバー4を所定の角度より開くと掴持状態が解除される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給電コードの端部に設けられ、バッテリの端子に着脱自在に形成された給電コードクリップであって、
前記バッテリの端子に接触する上顎部を備えるとともに前記給電コードのリード線が導電可能に取り付けられたクリップ本体と、
前記バッテリの端子に接触する下顎部を備えるとともに第一ピン軸を介して前記クリップ本体に対して回動可能に取り付けられた揺動体と、
第二ピン軸を介して前記揺動体に対して回動可能に取り付けられた操作レバーと、
第三ピン軸を介して前記操作レバーに対して一端側が回動可能に取り付けられるとともに、他端側が前記クリップ本体に対して回動可能に取り付けられたシャフトと、
前記シャフトの他端側に当接し前記シャフトの傾斜角度を変更することで、前記クリップ本体に対する前記揺動体の開き角度を調整する調整ネジと、を有し、
前記操作レバーを閉じると倍力作用によって前記上顎部と前記下顎部とで前記端子を掴持するとともにその掴持状態を保持し、前記操作レバーを所定の角度より開くと掴持状態が解除されることを特徴とする給電コードクリップ。
【請求項2】
前記上顎部に設けられた上凹部及び前記下顎部に設けられた下凹部は、前記端子の外周面に沿う形状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の給電コードクリップ。
【請求項3】
前記上顎部と前記下顎部とを離間する方向に付勢する付勢部材を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の給電コードクリップ。
【請求項4】
釣りで用いられる電動リールの給電コードの端部に設けられることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の給電コードクリップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給電コードクリップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、給電コードの端部に設けられ、バッテリの端子に電気的に接続するための給電コードクリップが記載されている。当該給電コードクリップは、一対の把持部と、端子に接触する挟持部と、挟持部が常に閉じる方向に付勢する付勢部材(コイルばね)とを備えている。利用者は、給電コードクリップの把持部を手で握り、コイルばねの付勢力に抗して先端の挟持部を開くことで当該挟持部を端子に接続することができる。
【0003】
一方、釣竿に取り付けられる電動リールは、バッテリの電力を電動リールに供給するための給電コードを備えている。例えば、特許文献2には、給電コードの端部に設けられ、バッテリの端子に着脱自在に形成された給電コードクリップが開示されている。当該給電コードクリップは、一対の挟持片と、一対の挟持片を離間する方向に付勢する付勢部材(コイルばね)と、一対の挟持片を被覆する被覆カバーとを備えている。
【0004】
利用者は、一対の挟持片を指で押圧して給電コードクリップの先端部を開口させることで、バッテリの端子に給電コードクリップを接続することができる。また、利用者は一対の挟持片を押圧して給電コードクリップの先端部を開いて接続状態を解除することで、バッテリの端子から給電コードクリップを取り外すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002-093487号公報
【特許文献2】特開2017-216911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に係る給電コードクリップの場合、例えば、作業中に給電コードクリップが外れないように、バッテリの端子と給電コードクリップとが強固に接続されることが好ましい。給電コードクリップを端子に強固に接続するためには、コイルばねの付勢力を大きくすることが考えられる。しかし、コイルばねの付勢力を大きくすると非力の人では挟持部を開くことが困難になるという問題がある。
【0007】
また、特許文献2に係る給電コードクリップの場合、実釣時においては、電動リールを動かしたり給電コードに触れたりするため、バッテリの端子と給電コードクリップとは強固に接続されていることが好ましい。これにより、給電コードクリップの接触不良や脱落(電力の遮断)を防ぐことができる。バッテリの端子と給電コードクリップとを強固に接続するためには、給電コードクリップに設けられたコイルばねの付勢力を大きくすることが考えられる。
【0008】
しかし、コイルばねの付勢力を大きくすると、非力な人では給電コードクリップの先端部を十分に開くことができないという問題がある。給電コードクリップの先端部を十分に開くことができないと、給電コードクリップをバッテリの端子に接続することも、取り外すことも困難となる。また、力が強い人でも、気温が低い時や悪天候の時などにおいては、指が悴んでしまったり、水や雨によって手が濡れて滑ったりすると給電コードクリップの操作が困難となる。
【0009】
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、様々な太さや形状のバッテリの端子に簡易かつ強固に接続することができるとともに、簡易に取り外すことができる給電コードクリップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために本発明は、給電コードの端部に設けられ、バッテリの端子に着脱自在に形成された給電コードクリップであって、前記バッテリの端子に接触する上顎部を備えるとともに前記給電コードのリード線が導電可能に取り付けられたクリップ本体と、前記バッテリの端子に接触する下顎部を備えるとともに第一ピン軸を介して前記クリップ本体に対して回動可能に取り付けられた揺動体と、第二ピン軸を介して前記揺動体に対して回動可能に取り付けられた操作レバーと、第三ピン軸を介して前記操作レバーに対して一端側が回動可能に取り付けられるとともに、他端側が前記クリップ本体に対して回動可能に取り付けられたシャフトと、前記シャフトの他端側に当接し前記シャフトの傾斜角度を変更することで、前記クリップ本体に対する前記揺動体の開き角度を調整する調整ネジと、を有し、前記操作レバーを閉じると倍力作用によって前記上顎部と前記下顎部とで前記端子を掴持するとともにその掴持状態を保持し、前記操作レバーを所定の角度より開くと掴持状態が解除されることを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、倍力作用によって上顎部と下顎部とでバッテリの端子を掴持することができるため、利用者の小さな力で簡易かつ強固に接続することができるとともに、利用者が手を離しても、強固に接続した状態を維持することができる。一方、操作レバーを所定の角度より開くだけで倍力作用が解除されるため、利用者の小さな力で簡易に取り外すことができる。
【0012】
また、前記上顎部に設けられた上凹部及び前記下顎部に設けられた下凹部は、前記端子の外周面に沿う形状に形成されていることが好ましい。
【0013】
本発明によれば、接触不良を防止するとともに、バッテリの端子が損傷するのを防ぐことができる。
【0014】
また、前記上顎部と前記下顎部とを離間する方向に付勢する付勢部材を有することが好ましい。
【0015】
本発明によれば、上顎部と下顎部とが常時開いているため、バッテリの端子に給電コードクリップを接続しやすくなる。
【0016】
また、釣りで用いられる電動リールの給電コードの端部に設けられることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、様々な太さや形状のバッテリの端子に簡易かつ強固に接続することができるとともに、簡易に取り外すことができる給電コードクリップを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施形態に係る給電コードクリップを示す側面図である。
【
図2】本実施形態に係る給電コードクリップを示す分解斜視図である。
【
図3】本実施形態に係る給電コードクリップをバッテリの端子に接続した状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態に係る給電コードクリップについて、図面を参照して説明する。実施形態において、同一の部分には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。本発明の実施形態では、釣りで用いられる電動リールの給電コードの端部に設けられる給電コードクリップを例示する。なお、本発明は、電動リール以外にも、自動車、建設機械、農業機械、鉄道車両、遊戯、工具、照明又は家電製品等で用いられるバッテリにも適用することができる。
【0020】
図1に示すように、本実施形態に係る電動リールの給電コードクリップ1(以下、単に「給電コードクリップ1」と言う。)は、クリップ本体2と、揺動体3と、操作レバー4と、シャフト5と、調整ネジ6と、カバー7とを備えている。なお、本説明における「上下」、「左右」、「前後」は
図2の矢印に従う。
【0021】
クリップ本体2は、
図1及び
図2に示すように、給電コードCに接続される部材である。クリップ本体2は、基体部11と、前壁12と、一対の側壁13,13と、後壁15とを備えている。基体部11は、前後方向に延びる矩形の板状部位である。前壁12は基体部11の前端から下方に延設されている。側壁13,13は、基体部11の左右端から下方に延設され、互いに対向している。後壁15は、側壁13,13に連続するとともに基体部11の後端から下方に延設されている。
【0022】
クリップ本体2は、導電性を備えた金属で形成されている。基体部11の後側には給電コードCが取り付けられるネジ穴11aが形成され、前側にはカバー7が係合する係合孔11bが形成されている。
【0023】
側壁13,13の前端側の下縁には、上凹部12aがそれぞれ形成されている。上凹部12aは、上方に凹となるように形成されている。
図3に示すように、バッテリの端子Mは本実施形態では円柱状になっている。そのため、上凹部12aは、本実施形態では円弧状に切り欠かれている。つまり、上凹部12aは、バッテリの端子Mの外周面に沿う形状になっている。クリップ本体2の前端部分(前壁12、基体部11及び側壁13,13の前端部分)が、バッテリの端子M(
図3参照)に接触して掴持する上顎部W1となる。
【0024】
側壁13,13の中央には、ピン孔13aがそれぞれ形成されている。ピン孔13a,13aは、左右方向に沿って配置される第一ピン軸P1が挿通される孔である。側壁13,13の後側には、前後方向に延設されたガイド孔13bがそれぞれ形成されている。ガイド孔13bは、長丸形状を呈する。ガイド孔13bは、後記するシャフト5の傾斜片53が前後方向に摺動する孔である。後壁15の中央には、調整ネジ6が螺合するネジ穴15aが形成されている。
【0025】
給電コードCは電動リール(図示省略)に接続されており、バッテリの電力を電動リールに供給する部材である。給電コードCの先端(リード線)は保護部材21で被覆されている。また、保護部材21の先端には連結板22が形成されている。連結板22と基体部11とがネジ穴11aを介してビス23で導電可能に締結されている。
【0026】
揺動体3はクリップ本体2に対して回動可能に連結される部材である。揺動体3は、基体部31と、前壁32と、側壁33,33と、張出部34,34とを備えている。基体部31は、前後方向に延びる矩形の板状部材である。前壁32は、基体部31の前端から上方に延設されている。側壁33,33は、基体部31の左右端から上方に延設され、互いに対向している。張出部34,34は、側壁33からそれぞれ上方に延設された板状部位である。
【0027】
揺動体3は、導電性を備えた金属で形成されている。側壁33,33の前端側の上縁には、下凹部32aがそれぞれ形成されている。下凹部32aは、下方に凹となるように形成されている。
図3に示すように、バッテリの端子Mは本実施形態では円柱状になっている。そのため、下凹部32aは、本実施形態では円弧状に切り欠かれている。つまり、下凹部32aは、バッテリの端子Mの外周面に沿う形状になっている。揺動体3の前端部分(前壁32、基体部31及び側壁33,33の前端部分)が、バッテリの端子Mに接触して掴持する下顎部W2となる。
【0028】
張出部34,34は、クリップ本体2の側壁13,13の内側に挿入可能に形成されている。張出部34,34の先端側には、第一ピン軸P1が挿入されるピン孔34aがそれぞれ形成されている。つまり、第一ピン軸P1は、クリップ本体2のピン孔13a,13aと揺動体3のピン孔34a,34aに挿通する。これにより、揺動体3はクリップ本体2に対して第一ピン軸P1を支点に上下方向に回動する。
【0029】
また、張出部34,34の基端側には第二ピン軸P2が挿入されるピン孔34bがそれぞれ形成されている。第二ピン軸P2は、左右方向に沿って配置されている。
【0030】
操作レバー4は、揺動体3及びシャフト5にそれぞれ連結される部材である。操作レバー4は、本体部41と、本体部41から後方に延設される板状部42とを備えている。操作レバー4は、例えば、樹脂で形成されている。本体部41は、側面視して略三角形を呈する。本体部41の前端は、揺動体3の張出部34,34の内側に挿入可能に形成されている。本体部41の前部には第二ピン軸P2が挿入されるピン孔41aが形成され、上部には第三ピン軸P3が挿入されるピン孔41bが形成されている。ピン孔41a,41bは、いずれも左右方向に沿って延設されている。
【0031】
第二ピン軸P2は、揺動体3のピン孔34b,34bと操作レバー4のピン孔41aに挿通する。これにより、操作レバー4は揺動体3に対して第二ピン軸P2を支点に上下方向に回動する。
【0032】
本体部41のピン孔41bに対応する位置には、後記するシャフト5の側壁52,52が挿入されるスリット41c,41cが形成されている。スリット41cは、シャフト5に対して操作レバー4が上下方向に回動するように形成されている。
【0033】
シャフト5は、クリップ本体2と操作レバー4とを連結する部材である。シャフト5の一端側(前端側)は操作レバー4に連結され、シャフト5の他端側(後端側)はクリップ本体2に連結されている。シャフト5は、基体部51と、側壁52,52と、傾斜片53とを備えている。シャフト5の幅は、クリップ本体2の側壁13,13の内側に挿入可能に形成されている。また、シャフト5の側壁52,52の一端側(前端側)は、操作レバー4のスリット41c,41cに挿入されている。
【0034】
基体部51は、前後方向に延びる矩形の板状部材である。側壁52,52は、板状を呈する基体部51の左右端から下方に延設され互いに対向している。側壁52,52の一端側には、第三ピン軸P3が挿入されるピン孔52aがそれぞれ形成されている。第三ピン軸P3は、左右方向と沿って配置されている。
【0035】
傾斜片53は、基体部51の後端から基体部51に対して斜め下方に向けて延設された板状部材である。傾斜片53の左右の側端53a,53aは、側方に向けて突出しており、側壁13のガイド孔13b,13b内を摺動するように構成されている。また、側端53a,53aは、シャフト5の傾斜角度が変わった際に、ガイド孔13b,13b内で左右軸回りに回動可能に(シャフト5の傾倒を許容するように)形成されている。
【0036】
シャフト5の傾斜片53の他端(後端)は、調整ネジ6の軸部6bの先端と当接している。
図3に示すように、この傾斜片53の他端(後端)と調整ネジ6の軸部6bの先端とが当接する点を当接点Xとする。操作レバー4を上下動させると、当接点Xを支点にクリップ本体2に対するシャフト5の傾斜角度が変わるように形成されている。またこの際、第三ピン軸P3を支点に、操作レバー4及びシャフト5の傾斜角度が相対的に変わるように形成されている。
【0037】
調整ネジ6は、クリップ本体2に対する揺動体3の開き角度を調整する部材である。調整ネジ6は、後壁15のネジ穴15aに螺合される部材であって、先端がシャフト5の後端(傾斜片53の後端)に常に当接する。調整ネジ6の頭部6aには、回しやすくするためのローレットが形成されている。調整ネジ6を締め込んで前進させると、クリップ本体2とシャフト5との内角が大きくなり、クリップ本体2に対する揺動体3の開き角度が小さくなる。つまり、上顎部W1と下顎部W2との間隔が小さくなる。
【0038】
一方、調整ネジ6を後退させると、クリップ本体2とシャフト5との内角が小さくなり、クリップ本体2に対する揺動体3との開き角度が大きくなる。つまり、上顎部W1と下顎部W2との間隔が大きくなる。
【0039】
カバー7は、クリップ本体2及び保護部材21等を被覆する部材である。カバー7は、本実施形態では樹脂で形成されている。カバー7は、上壁71と、側壁72,72と、後壁73とを有し、下方に開放する箱状体である。
【0040】
上壁71は、上部71aと、下部71bと、傾斜部71cとを有する。下部71bは、上部71aよりも一段下がった位置にあり、傾斜部71cを介して上部71aと連結されている。つまり、カバー7の内部は、上段部と下段部を備えた二段構造になっている。側壁72,72は、上壁71の左右端から下方に延設されており、互いに対向している。後壁73は、側壁72,72に連続するとともに上壁71の後端から下方に延設されている。
【0041】
後壁73の上部には、保護部材21(給電コードC)が挿通される貫通孔74が形成されている。後壁73の下部には、調整ネジ6が挿通される貫通孔75が形成されている。上壁71の下部71bの前端には、クリップ本体2の係合孔11bと係合する係合フック76が形成されている。カバー7の幅寸法は、操作レバー4の幅寸法と概ね同一になっている。
【0042】
カバー7の内側の上段部は、保護部材21、連結板22及びビス23を覆い、下段部はクリップ本体2の側壁13及び後壁15を覆っている。なお、クリップ本体2の前端部分(上顎部W1)は、カバー7で被覆されずに露出している。
【0043】
<使用方法・作用効果>
図1に示すように、利用者は、給電コードクリップ1の操作レバー4及びカバー7を指で摘み、クリップ本体2の上凹部12aと揺動体3の下凹部32aとをバッテリの端子Mに位置させる。次に、
図3に示すように、操作レバー4及びカバー7を指で閉じると、上凹部12aと下凹部32aとで端子Mを挟持することができる。さらに操作レバー4及びカバー7を互いに近接する方向に押圧すると倍力作用が発現し、上顎部W1と下顎部W2とで端子Mを掴持するとともに、掴持状態を保持することができる。
【0044】
つまり、
図3に示すように、第二ピン軸P2の軸心P2aと当接点Xとを結ぶ仮想線Nよりも、第三ピン軸P3の軸心P3aが上方(クリップ本体2側)に移動すると、掴持状態を保持することができる。これにより、給電コードクリップ1から指を離しても、掴持状態を維持することができる。なお、「掴持状態」とは、利用者が指を離してもバッテリの端子Mを上顎部W1と下顎部W2とで強い力で挟持している状態を言う。
【0045】
一方、操作レバー4をクリップ本体2から離間する方向に所定の角度で回動させれば掴持状態が解除されるため、給電コードクリップ1を端子Mから取り外すことができる。つまり、
図3に示すように、操作レバー4を回動させて、仮想線Nよりも第三ピン軸P3の軸心P3aが下方(クリップ本体2から離間する側)に移動すると、掴持状態が解除される(
図1の状態となる)。
【0046】
仮に、バッテリの端子Mに給電コードクリップ1を嵌め込むことができない場合、又は、操作レバー4を閉じても倍力作用が発現しない場合は、調整ネジ6を進退させて上顎部W1と下顎部W2との間隔を適宜調整することで対応することができる。
【0047】
以上説明した本実施形態に係る給電コードクリップ1によれば、倍力作用によって上顎部W1と下顎部W2とでバッテリの端子Mを掴持することができるため、利用者の小さな力で簡易かつ強固に接続することができるとともに、利用者が手を離しても、強固に接続した状態を維持することができる。一方、操作レバー4を所定の角度より開くだけ(所定の位置まで押し下げるだけ)で倍力作用が解除されるため、利用者の小さな力で簡単に取り外すことができる。
【0048】
また、クリップ本体2に設けられた上凹部12a及び揺動体3に設けられた下凹部32aは、端子Mの外周面に沿う形状に形成されているため、上凹部12a及び下凹部32aが無い場合に比べて前後方向にずれ難くなっている。これにより、接触不良を防止するとともに、バッテリの端子Mが損傷するのを防ぐことができる。
【0049】
また、
図3に示すように、操作レバー4を閉じて掴持状態とした場合、揺動体3及び操作レバー4の前後方向の長さ寸法は、クリップ本体2の前後方向の長さ寸法と概ね同一になっている。つまり、コンパクトな構造になっているため、人や物が操作レバー4に当たってバッテリの端子Mから給電コードクリップ1が脱落するのを防ぐことができる。また、全体的にすっきりとしたデザインとすることができる。また、操作レバー4及びカバー7を樹脂製とすることでグリップ感が良好になるとともに、感電を防止することができる。
【0050】
以上本発明の実施形態について説明したが、本発明の趣旨に反しない範囲で適宜設計変更が可能である。例えば、上凹部12a及び下凹部32aの形状は、円弧状に限定されず端子の形状に合わせて適宜他の形状としてもよい。例えば、バッテリの端子Mが角柱である場合は、その形状に合わせて上凹部12a及び下凹部32aを角形状に形成することが好ましい。また、上凹部12a及び下凹部32aの形状をギザギザにしてもよいし、円弧状、角形状とした上でギザギザにしてもよい。
【0051】
また、上顎部W1と下顎部W2とを離間する方向に常時付勢する付勢部材を設けてもよい。例えば、第一ピン軸P1にコイルばねを挿通し、コイルばねの一端をクリップ本体2の前端側に当接させるとともに、他端を揺動体3の前端側に当接させ、クリップ本体2に対して揺動体3が常時開くように構成してもよい。つまり、上顎部W1に対して下顎部W2が常時開くように構成してもよい。付勢部材は、コイルばねの他に板ばねなどの他の部材を用いてもよい。
【符号の説明】
【0052】
1 給電コードクリップ
2 クリップ本体
3 揺動体
4 操作レバー
5 シャフト
6 調整ネジ
7 カバー
12a 上凹部
32a 下凹部
C 給電コード
M 端子
W1 上顎部
W2 下顎部