(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022085139
(43)【公開日】2022-06-08
(54)【発明の名称】シート給送装置
(51)【国際特許分類】
B65H 1/04 20060101AFI20220601BHJP
B65H 3/06 20060101ALI20220601BHJP
B65H 11/00 20060101ALI20220601BHJP
【FI】
B65H1/04 310A
B65H3/06 A
B65H11/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020196654
(22)【出願日】2020-11-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001117
【氏名又は名称】特許業務法人ぱてな
(72)【発明者】
【氏名】内田 真理子
(72)【発明者】
【氏名】森田 哲矢
【テーマコード(参考)】
3F063
3F343
【Fターム(参考)】
3F063BA02
3F063CA02
3F063CA04
3F343FA02
3F343FB01
3F343FC03
3F343GA01
3F343GB01
3F343GC01
3F343GD01
3F343HA12
3F343HD02
3F343JA01
3F343KB03
3F343LA04
3F343LA16
3F343LB01
3F343LC19
3F343MB04
3F343MB09
3F343MC21
(57)【要約】
【課題】シートの給送不良を抑制できるシート給送装置を提供する。
【解決手段】シート給送装置1は、シートSHを給送方向DF1に給送する給送ローラ21と、給送方向DF1の上流端3Uから下流端3Dまで下り傾斜してシートSHを支持する支持面3Aを有する給送トレイ3であって、支持面3Aの幅方向DW1に延びる回動軸心X31周りに回動可能に支持されて給送ローラ21よりも下方で上下動する圧板31を有し、圧板31の上面が支持面3Aにおける下流端3Dを含む一部を構成する給送トレイ3と、圧板31を給送ローラ21に向けて付勢する付勢手段60と、給送トレイ3に設けられ、上端が支持面3Aよりも上方に位置してシートSHを支持する凸部50と、を備える。凸部50は、回動軸心X31に対して給送方向DF1で重複する位置、又は回動軸心X31よりも給送方向DF1の上流の位置に設けられる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを給送方向に給送する給送ローラと、
前記給送方向の上流端から下流端まで下り傾斜してシートを支持する支持面を有する給送トレイであって、前記支持面の幅方向に延びる回動軸心周りに回動可能に支持されて前記給送ローラよりも下方で上下動する圧板を有し、前記圧板の上面が前記支持面における前記下流端を含む一部を構成する前記給送トレイと、
前記圧板を前記給送ローラに向けて付勢する付勢手段と、
前記給送トレイに設けられ、上端が前記支持面よりも上方に位置してシートを支持する凸部と、を備え、
前記凸部は、前記回動軸心に対して前記給送方向で重複する位置、又は前記回動軸心よりも前記給送方向の上流の位置に設けられていることを特徴とするシート給送装置。
【請求項2】
前記凸部は、前記回動軸心よりも前記給送方向の上流の位置において、前記圧板に設けられている請求項1記載のシート給送装置。
【請求項3】
前記凸部は、前記支持面に沿うように臥せた退避位置と、前記上端が前記支持面よりも上方に突出する突出位置と、の間で移動可能である請求項1又は2記載のシート給送装置。
【請求項4】
前記給送トレイと前記凸部との間に設けられ、前記凸部を前記突出位置に向けて付勢する凸部付勢部材をさらに備えている請求項3記載のシート給送装置。
【請求項5】
筐体をさらに備え、
前記給送トレイは、前記支持面によってシートを支持可能な開位置と、前記筐体の側面に沿うように閉じた閉位置と、の間で回動可能に前記筐体に支持され、
前記筐体には、前記給送トレイが前記開位置から前記閉位置に移動するときに前記突出位置にある前記凸部の前記上端に当接し、前記凸部を前記突出位置から前記退避位置に向けて案内する第1案内面が設けられている請求項4記載のシート給送装置。
【請求項6】
前記給送トレイは、前記圧板が設けられた給送トレイ本体と、
前記給送トレイ本体よりも前記給送方向の上流に延びる展開位置と、前記給送トレイ本体と重なる収納位置と、の間で移動可能に前記給送トレイ本体に支持され、前記展開位置にある状態で前記支持面における前記上流端を含む一部を構成するサブトレイと、を有し、
前記サブトレイには、前記サブトレイが前記展開位置から前記収納位置に移動するときに前記突出位置にある前記凸部の前記上端に当接し、前記凸部を前記突出位置から前記退避位置に向けて案内する第2案内面が設けられている請求項4記載のシート給送装置。
【請求項7】
前記給送方向に延びて前記支持面の前記下流端と前記上流端とを結ぶ仮想直線を規定すると、
前記圧板が最大上昇位置まで回動した状態において、前記凸部の前記上端は、前記仮想直線よりも上方に位置している請求項1乃至6のいずれか1項記載のシート給送装置。
【請求項8】
前記凸部は、前記支持面における前記幅方向の中央に設けられている請求項1乃至7のいずれか1項記載のシート給送装置。
【請求項9】
前記幅方向において互いに接近及び離間可能に前記給送トレイに設けられ、前記支持面に支持されたシートを前記支持面における前記幅方向の前記中央基準で位置決めする一対のサイドガイドをさらに備え、
前記凸部の前記幅方向の長さは、前記支持面が支持可能な最小サイズのシートを前記中央基準で位置決めするときにおける一方の前記サイドガイドと他方の前記サイドガイドとの前記幅方向の間隔よりも小さい請求項8記載のシート給送装置。
【請求項10】
前記給送ローラによって給送されるシートに画像を形成する画像形成部をさらに備えている請求項1乃至9のいずれか1項記載のシート給送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシート給送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来のシート給送装置の一例が開示されている。このシート給送装置は、ピックアップローラ、MPトレイ及び第1ばねを備えている。
【0003】
ピックアップローラは、シートを給送方向に給送する。MPトレイは、支持面を有している。支持面は、給送方向の上流端から下流端まで下り傾斜してシートを支持する。また、MPトレイは、圧板を有している。圧板は、圧板回動軸部周りに回動可能に支持されている。圧板は、ピックアップローラよりも下方で上下動する。圧板の上面は、支持面における給送方向の下流端を含む一部を構成している。第1ばねは、圧板をピックアップローラに向けて付勢している。
【0004】
このシート給送装置では、第1ばねに付勢された圧板が上向きに回動し、支持面に支持された最上位のシートをピックアップローラに圧接することで、シートの給送を実行する。
【0005】
一方、特許文献2に従来のシート給送装置の別の一例が開示されている。このシート給送装置は、給紙ローラ、用紙積載板及び凸部を備えているが、特許文献1に開示されたような圧板は備えていない。
【0006】
給紙ローラは、用紙を給送方向に給送する。用紙積載板は、用紙を支持する支持面を有している。用紙積載板は、昇降装置によって、給紙ローラよりも下方で上下動する。凸部は、用紙積載板に設けられている。凸部は、上端が支持面よりも上方に位置して用紙を支持する。凸部は、給送方向において支持面の下流端に近い位置であって、給紙ローラの手前の位置に設けられている。
【0007】
この用紙給送装置では、用紙積載板が上昇し、支持面に支持された最上位の用紙を給紙ローラに圧接することで、用紙の給送を実行する。この際、凸部は、支持面の幅方向において下に凸条のカールを解消することで、用紙の給送不良を抑制する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2020-93922号公報
【特許文献2】特開2005-247537号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、上記特許文献1開示のシート給送装置では、支持面に支持された最上位のシートをピックアップローラが給送するときの圧接荷重は、主に第1ばねが圧板を押し上げる力によって決まり、支持面に支持されたシートの枚数や厚みによって変化するシートの自重負荷等によってばらつく。そして、支持面に支持されたシートにおける給送方向の中央が上向きの凸条にカールした場合、支持面における給送方向の下流端を含む圧板にそのカールしたシートの自重負荷が集中し易くなる。その結果、このシート給送装置では、圧接荷重のばらつきが増大し易くなり、シートの給送不良を抑制することが難しくなるおそれがある。
【0010】
この点、上記特許文献2開示のシート給送装置が備える凸部を上記特許文献1開示のシート給送装置に適用することを検討してみる。この場合、凸部は、給送方向においてMPトレイの支持面の下流端に近い位置であって、ピックアップローラの手前の位置に設けられる。しかしながら、この場合、圧板の上昇によって凸部とピックアップローラとの間でシートが蛇行するように曲げられて、最上位のシートに作用する給送抵抗が増大するおそれがある。その結果、上記特許文献2に係る凸部が適用された特許文献1開示のシート給送装置であっても、シートの給送不良を抑制することが難しくなるおそれがある。
【0011】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、シートの給送不良を抑制できるシート給送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のシート給送装置は、シートを給送方向に給送する給送ローラと、
前記給送方向の上流端から下流端まで下り傾斜してシートを支持する支持面を有する給送トレイであって、前記支持面の幅方向に延びる回動軸心周りに回動可能に支持されて前記給送ローラよりも下方で上下動する圧板を有し、前記圧板の上面が前記支持面における前記下流端を含む一部を構成する前記給送トレイと、
前記圧板を前記給送ローラに向けて付勢する付勢手段と、
前記給送トレイに設けられ、上端が前記支持面よりも上方に位置してシートを支持する凸部と、を備え、
前記凸部は、前記回動軸心に対して前記給送方向で重複する位置、又は前記回動軸心よりも前記給送方向の上流の位置に設けられていることを特徴とする。
【0013】
本発明のシート給送装置では、支持面に支持されたシートにおける給送方向の中央が上向きの凸条にカールした場合、凸部により、そのカールしたシートにおける給送方向の中央を支持する。これにより、支持面における給送方向の下流端を含む圧板にそのカールしたシートの自重負荷が集中し難くなる。その結果、このシート給送装置では、圧接荷重のばらつきの増大を抑制できる。
【0014】
また、このシート給送装置では、凸部が回動軸心に対して給送方向で重複する位置、又は回動軸心よりも給送方向の上流の位置に設けられていることにより、圧板が上昇しても凸部と給送ローラとの間でシートが蛇行するように曲げられ難く、最上位のシートに作用する給送抵抗が増大し難い。
【0015】
したがって、本発明のシート給送装置では、シートの給送不良を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施例の画像形成装置の部分斜視図であって、開位置にある給送トレイを主に示す図である。
【
図2】実施例の画像形成装置の部分断面図であって、開位置にある給送トレイを主に示す図である。
【
図4】実施例の画像形成装置の部分断面図であって、閉位置にある給送トレイを主に示す図である。
【
図6】開位置にある給送トレイの断面図であって、圧板が最大上昇位置にあり、凸部が突出位置にある状態を示す図である。
【
図7】給送トレイの断面図であって、凸部及び凸部付勢部材の作用を説明する図である。
【
図8】変形例1の画像形成装置に係り、開位置にある給送トレイと、凸部とを主に示す図である。
【
図9】変形例2の画像形成装置に係り、開位置にある給送トレイと、凸部とを主に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を具体化した実施例について図面を参照しつつ説明する。
【0018】
(実施例)
図1に示すように、実施例の画像形成装置1は、本発明のシート給送装置の具体的態様の一例である。
図1では、筐体9の前面9S側を装置の前方と規定し、前面9Sに向かった場合に左に来る側を左方と規定して、前後、左右及び上下の各方向を表示する。そして、
図2以降の各図に示す各方向は、全て
図1に示す各方向に対応させて表示する。以下、
図1等に基づいて、画像形成装置1が備える各構成要素について説明する。
【0019】
図1に示すように、画像形成装置1は、筐体9、給紙カセット2C、画像形成部2及び図示しない搬送部を備えている。筐体9は略箱状体であり、その上面に排出トレイ9Tが凹設されている。給紙カセット2Cは、筐体9内の下部分に設けられている。給紙カセット2Cは、複数枚のシートを積層状態で収容している。
【0020】
画像形成部2は、筐体9内の上部分に設けられている。画像形成部2は、電子写真方式、サーマル方式、インクジェット方式その他の一般的な画像形成方式により、用紙やOHPシート等であるシートに画像を形成するものである。
【0021】
図示しない搬送部は、給紙カセット2Cからシートを一枚ずつ画像形成部2に供給する。そのシートは、画像形成部2によって画像が形成される。その後、図示しない搬送部は、画像が形成されたシートを搬送して排出トレイ9Tに排出する。
【0022】
また、画像形成装置1は、給送トレイ3を備えている。給送トレイ3は、サイズや厚みが異なる複数種類のシートSHを画像形成部2に給送するためのマルチパーパストレイである。
【0023】
給送トレイ3は、筐体9の前面9S側に設けられている。給送トレイ3は、
図1~
図3に示すように、前面9Sから前方に延びる開位置と、
図4に示すように、筐体9の前面9Sに沿うように閉じた閉位置と、の間で回動可能に筐体9に支持されている。筐体9の前面9Sは、本発明の「筐体の側面」の一例である。
【0024】
図1~
図3に示すように、給送トレイ3が開位置にある状態では、給送トレイ3の上を向く面が支持面3Aとなる。支持面3Aに支持されたシートSHの給送方向DF1は、後向きに緩やかに下り傾斜する方向である。支持面3Aは、給送方向DF1の上流端3Uから下流端3Dまで下り傾斜してシートSHを支持する。支持面3Aの幅方向DW1は、左右方向である。
【0025】
なお、給送トレイ3を構成する複数の部材の形状等について説明する際には、上下方向及び前後方向について、開位置にある給送トレイ3の姿勢を基準とする。
【0026】
図1及び
図2に示すように、筐体9は、前面9Sから後向きに凹む給送トレイ収容部90を有している。給送トレイ収容部90の左右の内壁には、一対のリンクレバー91A、91Bの一端が回動可能に支持されている。
【0027】
<給送ローラ、分離ローラ、分離パッド>
図2に示すように、筐体9は、給送トレイ収容部90によりも下方において、ローラ支持部材29を支持している。また、筐体9は、ローラ支持部材29によりも下方において、給送ガイド部材28を支持している。画像形成装置1は、給送ローラ21、分離ローラ22及び分離パッド22Aを備えている。
【0028】
給送ローラ21及び分離ローラ22は、ローラ支持部材29に回転可能に支持されている。また、給送ローラ21及び分離ローラ22は、それぞれの回転軸心の位置が変動しないように、ローラ支持部材29に支持されている。
【0029】
給送ローラ21及び分離ローラ22のそれぞれの下部分は、ローラ支持部材29よりも下方に突出している。
【0030】
図2及び
図3に示すように、給送ローラ21は、支持面3Aよりも上方にあって、支持面3Aの下流端3Dよりも給送方向DF1の上流に位置している。分離ローラ22は、上下方向において給送ローラ21とほぼ同じ位置にあって、支持面3Aの下流端3Dよりも給送方向DF1の下流に位置している。
【0031】
図2に示すように、給送ガイド部材28は、規制面28A及び給送面28Bを有している。規制面28Aは、上下方向及び左右方向に延びる前向きの面である。規制面28Aは、支持面3Aの下流端3Dに給送方向DF1の下流から対向している。給送面28Bは、規制面28Aの上端に接続し、給送方向DF1の下流に向かって上り傾斜している。
【0032】
規制面28Aは、支持面3Aに支持されたシートSHの給送方向DF1の下流端を当て止める。給送ローラ21は、支持面3Aに支持された最上位のシートSHを給送方向DF1に給送する。給送面28Bは、給送ローラ21によって給送されるシートSHを案内する。
【0033】
分離パッド22Aは、分離ローラ22の真下の位置で、給送面28Bから露出するように給送ガイド部材28に支持されている。分離パッド22Aは、分離ローラ22に向けて押圧されている。
【0034】
分離ローラ22は、分離ローラ22と分離パッド22Aとのニップ位置に到達したシートSHに対して給送方向DF1の下流に向かう搬送力を付与する。分離パッド22Aは、ニップ位置に到達したシートSHが複数枚であれば、分離ローラ22に接触するシートSH以外のシートSHに対し、そのシートSHの搬送を止める力を付与する。
【0035】
こうして、給送ローラ21、分離ローラ22及び分離パッド22Aは、支持面3Aに支持されたシートSHを画像形成部2に一枚ずつ給送する。そのシートSHは、画像形成部2によって画像が形成される。その後、図示しない搬送部は、画像が形成されたシートSHを搬送して排出トレイ9Tに排出する。
【0036】
<給送トレイの詳細構成>
図1~
図3に示すように、給送トレイ3は、給送トレイ本体30、圧板31、第1サブトレイ41及び第2サブトレイ42を有している。第1サブトレイ41及び第2サブトレイ42は、本発明の「サブトレイ」の一例である。
【0037】
図1に示すように、給送トレイ本体30は、開閉軸心X30周りに揺動可能に筐体9に支持されている。開閉軸心X30は、給送トレイ収容部90の下端側で左右方向に延びている。
【0038】
給送トレイ本体30は、平板部35、一対のリンクレール36A、36B、及び一対のスライドレール37A、37Bを有している。
【0039】
平板部35は、給送トレイ3が
図1等に示す開位置にある状態で、開閉軸心X30側から前向きに緩やかに上り傾斜するように延び、かつ左右方向に延びている。
【0040】
平板部35は、給送トレイ3が
図4に示す閉位置にある状態で、その前方を向く外装面35Sが前面9Sと面一となって、筐体9の意匠面の一部を構成する。平板部35における外装面35Sとは反対側の面を内面35Tとする。
【0041】
図1~
図3に示すように、一対のリンクレール36A、36Bは、平板部35の内面35Tにおける左端側及び右端側に凸設され、かつ給送方向DF1に延びている。一対のリンクレール36A、36Bには、リンク穴36Hが給送方向DF1に延びる長穴状に貫設されている。
【0042】
一対のスライドレール37A、37Bは、平板部35の内面35Tにおける一対のリンクレール36A、36Bに対して左右方向の内側に凸設され、かつ給送方向DF1に延びている。
【0043】
圧板31は、給送トレイ本体30の内面35T側に設けられている。圧板31は、給送方向DF1及び左右方向に延びる略平板部材である。圧板31における開閉軸心X30側から離れた2つの角部には、一対の軸部32A、32Bが凸設されている。一対の軸部32A、32Bは、支持面3Aの幅方向DW1である左右方向に延びる回動軸心X31を中心として、互いに離間するように突出している。
【0044】
左方の軸部32Aは、左方のリンクレール36Aのリンク穴36Hに挿通され、さらに、左方のリンクレバー91Aの他端に挿通されている。右方の軸部32Bは、右方のリンクレバー91Bの他端に挿通され、さらに、右方のリンクレール36Bのリンク穴36Hに挿通されている。
【0045】
このような構成により、給送トレイ3が
図1等に示す開位置にある状態で、給送トレイ本体30の姿勢が決まるとともに回動軸心X31の位置が決まり、圧板31が回動軸心X31周りに回動可能に支持される。
【0046】
圧板31は、回動軸心X31周りの回動により、給送ローラ21よりも下方で上下動する。圧板31の上面は、支持面3Aにおける下流端3Dを含む一部を構成している。
【0047】
第1サブトレイ41及び第2サブトレイ42は、
図1~
図3に示すように、給送トレイ本体30よりも給送方向DF1の上流に延びる展開位置と、
図4に示すように、給送トレイ本体30及び圧板31と重なる収納位置と、の間で移動可能に給送トレイ本体30に支持されている。
【0048】
図1~
図3に示すように、第1サブトレイ41は展開位置にある状態で、給送方向DF1の下流端が一対のスライドレール37A、37Bにおける給送方向DF1の上流端に支持されている。第1サブトレイ41は、圧板31よりも給送方向DF1の上流に位置し、給送トレイ本体30よりも大きな角度で前向きに上り傾斜するように延び、かつ左右方向に延びている。
【0049】
第2サブトレイ42は、第1サブトレイ41における給送方向DF1の上流端に支持され、回動軸心X42周りに回動可能となっている。第2サブトレイ42は展開位置にある状態で、第1サブトレイ41よりも大きな角度で前向きに上り傾斜するように延び、かつ左右方向に延びている。
【0050】
第1サブトレイ41及び第2サブトレイ42は、展開位置にある状態で支持面3Aにおける上流端3Uを含む一部を構成する。
【0051】
図4に示すように、第2サブトレイ42が回動して第1サブトレイ41に重なり、次に、第1サブトレイ41が一対のスライドレール37A、37Bに案内されてスライドすることにより、第1サブトレイ41及び第2サブトレイ42は、給送トレイ本体30及び圧板31と重なる収納位置に移動する。
【0052】
<一対のサイドガイド>
図1~
図3に示すように、画像形成装置1は、一対のサイドガイド70A、70Bをさらに備えている。一対のサイドガイド70A、70Bは、給送トレイ3の圧板31に設けられている。
【0053】
一対のサイドガイド70A、70Bは、ラック&ピニオン機構によって幅方向DW1において互いに接近及び離間可能である。一対のサイドガイド70A、70Bは、支持面3Aに支持されたシートSHを支持面3Aにおける幅方向DW1の中央基準で位置決めする。
【0054】
図1及び
図3に実線で示す一対のサイドガイド70A、70Bの位置は、支持面3Aが支持可能な最大サイズのシートSHを幅方向DW1の中央基準で位置決めするときの位置である。
【0055】
図1及び
図3に二点鎖線で示す一対のサイドガイド70A、70Bの位置は、支持面3Aが支持可能な最小サイズのシートSHを幅方向DW1の中央基準で位置決めするときの位置である。
【0056】
最小サイズのシートSHを幅方向DW1の中央基準で位置決めするときにおける一方のサイドガイド70Aと他方のサイドガイド70Bとの幅方向DW1の間隔を最小間隔W2とする。
【0057】
<付勢手段>
図5に示すように、画像形成装置1は、付勢手段60をさらに備えている。
図5では、圧板41の左側面側に位置する1組の付勢手段60を示している。圧板41の右側面側には、もう1組の付勢手段60が設けられているが、同様の構成であるので図示は省略する。付勢手段60は、引っ張りコイルバネ61、伝達ギヤ62及び伝達レバー63を有している。
【0058】
引っ張りコイルバネ61の一端は、給送ガイド部材28の左側面の上方かつ後方に設けられた係止凸部28Tに係止されている。
【0059】
伝達ギヤ62は、給送ガイド部材28の左側面の下端側に回転可能に支持されている。伝達ギヤ62は、図示しないダンパを内蔵しているとともに、径外方向に突出する係止片62Tを有している。引っ張りコイルバネ61の他端は、係止片62Tに係止されている。
【0060】
伝達レバー63は、給送ガイド部材28の左側面における伝達ギヤ62よりも上方に回動可能に支持され、前方に突出している。伝達レバー63は、伝達ギヤ62と噛み合うギヤ歯63Gを有している。
【0061】
圧板31の左側面における給送方向DF1の下流端には、当接部31Tが下向きに凸設されている。伝達レバー63の前端は、圧板31の当接部31Tに下から当接することにより圧板31を支持し、圧板31の傾斜姿勢を決める。
【0062】
引っ張りコイルバネ61の付勢力によって、伝達ギヤ62は、
図5の時計方向に回転する。この際、伝達ギヤ62は、図示しないダンパにより低速で回転する。伝達ギヤ62の低速回転が伝達レバー63に伝達されることにより、伝達レバー63は、
図5の反時計方向に回動する。
【0063】
これにより、伝達レバー63は、その前端を低速で上昇させて当接部31Tを押し上げ、圧板31を上昇させる。こうして、付勢手段60は、圧板31を給送ローラ21に向けて付勢している。
【0064】
支持面3Aに支持された最上位のシートSHを給送ローラ21が給送するときの圧接荷重は、主に付勢手段60が圧板31を押し上げる力F1によって決まり、支持面3Aに支持されたシートSHの枚数や厚みによって変化するシートSHの自重負荷F2や、伝達レバー63の前端と圧板31の当接部31Tとの間に作用する摩擦抵抗等によってばらつく。
【0065】
図6に示すように、給送方向DF1に延びて支持面3Aの下流端3Dと上流端3Uとを結ぶ仮想直線K1を規定する。仮想直線K1における紙面左側の一端の高さは、圧板31の上下動によって変化する。
【0066】
図6は、圧板31が最大上昇位置まで回動した状態、すなわち、圧板31の上面が給送ローラ21の下端に当接した状態を示している。この状態では、仮想直線K1における紙面左側の一端は、最も高い位置にある。
【0067】
<凸部>
図1~
図3に示すように、画像形成装置1は、給送トレイ3に設けられた凸部50をさらに備えている。凸部50は、回動軸心X31よりも給送方向DF1の上流の位置において、圧板31に設けられている。つまり、凸部50は、給送ローラ21から給送方向DF1の上流に遠く離れた位置に設けられている。
【0068】
また、凸部50は、支持面3Aにおける幅方向DW1の中央に設けられている。
図3に示すように、凸部50の幅方向DW1の長さW1は、一対のサイドガイド70A、70Bの最小間隔W2よりも小さい。
【0069】
凸部50は、圧板31における給送方向DF1の上流端に支持されて、回動軸心X50周りに回動可能となっている。凸部50は、
図3及び
図4に示すように、支持面3Aに沿うように臥せた退避位置と、
図1に示すように、上端が支持面3Aよりも上方に突出する突出位置と、の間で回動可能である。
【0070】
図2及び
図6~
図9に実線で示す凸部50の位置は、突出位置である。
図2及び
図6~
図9に二点鎖線で示す凸部50の位置は、退避位置である。
【0071】
図2~
図4に示すように、圧板31と凸部50との間には、捩じりコイルバネである凸部付勢部材59が設けられている。凸部付勢部材59は、凸部50を突出位置に向けて付勢している。
【0072】
なお、本実施例では、ユーザの選択操作によって、凸部50を退避位置に保持可能な図示しない保持手段が圧板31に設けられている。
【0073】
図2及び
図7に示すように、突出位置にある凸部50は、上端が支持面3Aよりも上方に位置してシートSHにおける給送方向DF1の中央を支持する。
【0074】
図7に示すように、圧板31が最大上昇位置まで回動した状態においても、突出位置にある凸部50の上端は、仮想直線K1よりも上方に位置している。つまり、圧板31が上下動する全範囲において、凸部50の上端は、仮想直線K1よりも上方に位置してシートSHを支持する。
【0075】
図2及び
図4に示すように、給送トレイ収容部90には、第1案内面9Gが設けられている。第1案内面9Gは、給送トレイ収容部90の奥で前方の向く壁面の上端側から前向きに突出する突起の前面に形成されている。第1案内面9Gは、その上端から下向きに延びながら後向きに傾斜している。
【0076】
第1案内面9Gは、給送トレイ3が
図1等に示す開位置から
図4に示す閉位置に回動するときに突出位置にある凸部50の上端に当接し、凸部50を突出位置から退避位置に向けて案内する。
【0077】
給送トレイ3が閉位置から開位置に回動するときには、第1案内面9Gが凸部50の上端から離間することで、凸部50が凸部付勢部材59に付勢されて退避位置から突出位置に回動する。
【0078】
つまり、給送トレイ3の開閉動作を行うだけで、凸部50を突出位置と退避位置との間で回動させることができる。
【0079】
<作用効果>
実施例の画像形成装置1では、
図2に示すように、支持面3Aに支持されたシートSHにおける給送方向DF1の中央が上向きの凸条にカールした場合、凸部50により、そのカールしたシートSHにおける給送方向DF1の中央を支持する。これにより、支持面3Aにおける給送方向DF1の下流端3Dを含む圧板31にそのカールしたシートSHの自重負荷F2が集中し難くなる。そして、伝達レバー63の前端と圧板31の当接部31Tとの間に作用する摩擦抵抗の増大も抑制できる。
【0080】
支持面3Aに支持されたシートSHにおける給送方向DF1の中央が上向きの凸条にカールしていない場合も、同様である。
【0081】
その結果、この画像形成装置1では、支持面3Aに支持された最上位のシートSHを給送ローラ21が給送するときの圧接荷重のばらつきの増大を抑制できる。
【0082】
また、この画像形成装置1では、凸部50が回動軸心X31よりも給送方向DF1の上流の位置に設けられていることにより、圧板31が上昇しても凸部50と給送ローラ21との間でシートSHが蛇行するように曲げられ難く、最上位のシートSHに作用する給送抵抗が増大し難い。
【0083】
したがって、実施例の画像形成装置1では、シートSHの給送不良を抑制できる。
【0084】
また、この画像形成装置1では、凸部50は、回動軸心X31よりも給送方向DF1の上流の位置において、圧板31に設けられている。支持面3Aに支持されたシートSHの自重負荷F2は、積載枚数が多い給送開始時に大きく、給送が進んで積載枚数が少なくなる程小さくなる。このため、凸部50によるシートSHの支持は、給送開始の初期段階で達成できればよく、その後は、凸部50によって最上位のシートSHに作用する給送抵抗が増大しないように、凸部50によるシートSHの支持が弱まることが好ましい。この点、上記構成により、積載枚数が少なってシートSHの自重負荷F2が小さくなるほど、すなわち、圧板31が上昇するほど、凸部50の突出量が小さくなり、凸部50が支持面3Aに支持されたシートSHから退避するので、最上位のシートSHに作用する給送抵抗を好適に抑制できる。
【0085】
さらに、この画像形成装置1では、凸部50は、
図2に二点鎖線で示すように、支持面3Aに沿うように臥せた退避位置と、
図2に実線で示すように、上端が支持面3Aよりも上方に突出する突出位置と、の間で移動可能である。
【0086】
この場合、例えば、シートSHのサイズ、厚み、又はカール状態等に応じて凸部50を使う場合と使わない場合とで、ユーザが図示しない保持手段を選択操作して、凸部50について、突出位置と退避位置とを選択できる。これにより、凸部50が常に突出位置にある状態を避けることができ、カールしていない厚紙や、折り目がつき易い薄紙等のシートSHに凸部50が影響を与えることを抑制できる。
【0087】
また、この画像形成装置1では、給送トレイ3と凸部50との間に設けられた凸部付勢部材59が凸部50を突出位置に向けて付勢している。この構成により、
図7に示すように、支持面3Aに支持されたシートSHを凸部50が支持するときに、カールしていないシートSHによって凸部50が強く押されれば、凸部付勢部材59が凸部50の突出量を小さくする。その一方、
図2に示すように、カールしたシートSHによって凸部50が弱く押されれば、凸部付勢部材59が凸部50の突出量を大きくする。つまり、シートSHのカール状態に応じて、凸部50の突出量を好適に変化させることができる。
【0088】
さらに、この画像形成装置1は、
図4に示すように、給送トレイ収容部90に設けられた第1案内面9Gは、給送トレイ3が開位置から閉位置に移動するときに突出位置にある凸部50の上端に当接し、凸部50を突出位置から退避位置に向けて案内する。このような第1案内面9Gによって、給送トレイ3を閉位置に移動させる動作とは別に、凸部50を退避位置に移動させる動作を行う必要がないので、ユーザの手間を省くことができる。
【0089】
また、この画像形成装置1では、
図6に示すように、圧板31が最大上昇位置まで回動した状態において、凸部50の上端は、仮想直線K1よりも上方に位置している。このような具体的構成により、凸部50は、圧板31が上下動する全範囲に対応してシートSHを確実性高く支持できる。
【0090】
さらに、この画像形成装置1では、
図3に示すように、凸部50は、支持面3Aにおける幅方向DW1の中央に設けられている。この構成により、凸部50は、多様なサイズのシートSHが支持面3Aに支持される場合でも、それぞれのシートSHを確実性高く支持できる。
【0091】
また、この画像形成装置1では、凸部50の幅方向DW1の長さW1は、一対のサイドガイド70A、70Bの最小間隔W2よりも小さい。この構成により、凸部50を一方のサイドガイド70Aと他方のサイドガイド70Bとの間に配置するときのレイアウト自由度を向上させることができる。
【0092】
以上において、本発明を実施例に即して説明したが、本発明は上記実施例に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0093】
(変形例1)
図8に示すように、変形例1では、実施例に係る凸部50の配置を変更し、凸部50が回動軸心X31に対して給送方向DF1で重複する位置において圧板31に設けられている。また、変形例1では、実施例に係る凸部付勢部材59を無くし、凸部50がユーザの手動操作によって、突出位置に回動したときには突出位置に固定され、退避位置に回動したときには退避位置に固定されるように変更している。このような構成である変形例1の画像形成装置でも、実施例の画像形成装置1と同様に、シートSHの給送不良を抑制できる。
【0094】
(変形例2)
図9に示すように、変形例2では、実施例に係る凸部50の配置を変更し、凸部50が回動軸心X31よりも給送方向DF1の上流の位置において、第1サブトレイ41に設けられている。つまり、凸部50は、圧板31よりも給送方向DF1の上流の位置に設けられている。実施例に係る凸部付勢部材59は、第1サブトレイ41と、配置が変更された凸部50との間に設けられ、凸部50を突出位置に向けて付勢している。このような構成である変形例2の画像形成装置でも、実施例の画像形成装置1と同様に、シートSHの給送不良を抑制できる。
【0095】
また、変形例2では、第2サブトレイ42に第2案内面42Gが設けられている。第2案内面42Gは、第1サブトレイ41及び第2サブトレイ42が展開位置から収納位置に移動するときに、第2サブトレイ42が第1サブトレイ41に重なるように回動することによって、突出位置にある凸部50の上端に当接し、凸部50を突出位置から退避位置に向けて案内する。このような第2案内面42Gによって、第1サブトレイ41及び第2サブトレイ42を収納位置に移動させる動作とは別に、凸部50を退避位置に移動させる動作を行う必要がないので、ユーザの手間を省くことができる。
【0096】
実施例に係る凸部50が突出位置に固定されて回動しないように変更された構成も、本発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明は例えば、画像形成装置、画像読取装置又は複合機等に利用可能である。
【符号の説明】
【0098】
1…シート給送装置(画像形成装置)、SH…シート
DF1…給送方向、21…給送ローラ、3A…支持面
3U…支持面における給送方向の上流端
3D…支持面における給送方向の下流端
3…給送トレイ、DW1…支持面の幅方向、X31…回動軸心
31…圧板、60…付勢手段、50…凸部、59…凸部付勢部材
9…筐体、9S…筐体の側面(前面)
9G…第1案内面、30…給送トレイ本体
41、42…サブトレイ(41…第1サブトレイ、42…第2サブトレイ)
42G…第2案内面、K1…仮想直線
70A、70B…一対のサイドガイド、W1…凸部の幅方向の長さ
W2…支持面が支持可能な最小サイズのシートを中央基準で位置決めするときにおける一方のサイドガイドと他方のサイドガイドとの幅方向の間隔(最小間隔)
2…画像形成部