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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022085140
(43)【公開日】2022-06-08
(54)【発明の名称】発光装置、及び車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 41/255 20180101AFI20220601BHJP
   F21S 41/148 20180101ALI20220601BHJP
   F21S 41/275 20180101ALI20220601BHJP
   F21S 41/29 20180101ALI20220601BHJP
   F21V 5/00 20180101ALI20220601BHJP
   F21V 5/04 20060101ALI20220601BHJP
   F21W 102/135 20180101ALN20220601BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20220601BHJP
【FI】
F21S41/255
F21S41/148
F21S41/275
F21S41/29
F21V5/00 510
F21V5/04 450
F21W102:135
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020196655
(22)【出願日】2020-11-27
(71)【出願人】
【識別番号】000000136
【氏名又は名称】市光工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145908
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 信雄
(74)【代理人】
【識別番号】100136711
【弁理士】
【氏名又は名称】益頭 正一
(72)【発明者】
【氏名】デアリバ アレクサンドル
(57)【要約】
【課題】小型化、低コスト化できると共に、消費電力を低減でき、且つ、要求される輝度を確保できる発光装置を提供する。
【解決手段】発光デバイス100は、発光面112から光を放射する光源デバイス110と、発光面112から放射された光を集束させるレンズ120とを備え、レンズ120は、発光面112に対して対向する入射面121と、入射面121から入射した光を出射する出射面122と、入射面121の外周縁部から出射面122の外周縁部へ延びる側面123とを備え、側面123は、入射面121から側面123に進行した光を全反射する第1及び第2の全反射面123A,123Cを備え、出射面122は、入射面121の側に凹んだ凹面である。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光面から光を放射する光源部と、
前記発光面から放射された光を集束させるレンズと
を備え、
前記レンズは、
前記発光面に対して対向する入射面と、
前記入射面から入射した光を出射する出射面と、
前記入射面の外周縁部から前記出射面の外周縁部へ延びる側面と
を備え、
前記側面は、前記入射面から前記側面に進行した光を全反射する全反射面を備え、
前記出射面は、前記入射面の側に凹んだ凹面である発光装置。
【請求項2】
前記側面は、
前記入射面の外周縁部から前記レンズの外周側へ膨出した前記全反射面である第1の全反射面と、
前記第1の全反射面から前記レンズの内周側へ凹んだ凹状部と、
前記凹状部から前記出射面の外周縁部へ延びる前記全反射面である第2の全反射面と
を備える請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記レンズの光軸に対して直交する方向に見た場合における前記第1の全反射面の曲率は、前記レンズの光軸に対して直交する方向に見た場合における前記第2の全反射面の曲率よりも大きい請求項2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記入射面と前記発光面とは相互に接触し、又は接着層を介して接合されている請求項1~3の何れか1項に記載の発光装置。
【請求項5】
前記接着層の屈折率は、1.0より大きく4.5より小さい請求項4に記載の発光装置。
【請求項6】
前記レンズの屈折率は、1.0より大きく4.5より小さい請求項1~5の何れか1項に記載の発光装置。
【請求項7】
前記接着層の屈折率は、前記レンズの屈折率の±0.5の範囲内である請求項5を引用する請求項6に記載の発光装置。
【請求項8】
前記出射面の中心と前記出射面の外周縁部とを結ぶ直線と、前記レンズの光軸に対して直交する直線との角度は、0°より大きく45°以下である請求項1~7の何れか1項に記載の発光装置。
【請求項9】
請求項1~8に記載の前記発光装置と、
前記発光装置から出射された光を投影する光学系と
を備える車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置、及び車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
LED(Light Emitting Diode)を光源とする車両用前照灯として、LEDデバイスと、LEDデバイスから放射された光を集光するレンズとを備えるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。また、LEDを光源とするLED投光装置として、LEDデバイスと、LEDデバイスから放射された光を集光するレンズとを備えるものが知られている(例えば、特許文献2参照)。特許文献1に記載の車両用前照灯では、レンズの側面に反射コーティングが設けられていることにより、LEDデバイスから放射された光がレンズの側面で反射される。また、特許文献2に記載のLED投光装置では、LEDデバイスから放射された光がレンズの側面で全反射されるように、レンズの側面が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2008-524045号公報
【特許文献2】特開2002-43629号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のレンズは、径や高さ(光軸方向の長さ)がLEDデバイスの発光面の縦横の寸法に比して格段に大きい大型のレンズであり、LEDデバイスとユニット化されたものではない。他方で、特許文献2に記載のレンズは、高さ(光軸方向の長さ)は特許文献1に記載のレンズに比して小さいものの、出射面の径は特許文献1に記載のレンズと同様にLEDデバイスの発光面の縦横の寸法に比して格段に大きい。従って、特許文献2に記載のレンズ投光装置は、レンズの側面で反射されずに直接、出射面から出射される光の割合が、特許文献1の車両用前照灯に比して相対的に高くなる。それにより、特許文献2に記載のレンズ投光装置は、特許文献1に記載の車両用前照灯に比して輝度が低くなる。
【0005】
ここで、高輝度のLEDを使用することにより、要求される輝度を確保することは可能である。しかしながら、高輝度のLEDは、高コストであり、消費電力も大きい。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑み、小型化、低コスト化できると共に、消費電力を低減でき、且つ、要求される輝度を確保できる発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、発光面から光を放射する光源部と、前記発光面から放射された光を集束させるレンズとを備え、前記レンズは、前記発光面に対して対向する入射面と、前記入射面から入射した光を出射する出射面と、前記入射面の外周縁部から前記出射面の外周縁部へ延びる側面とを備え、前記側面は、前記入射面から前記側面に進行した光を全反射する全反射面を備え、前記出射面は、前記入射面の側に凹んだ凹面である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、入射面から側面に進行する光が、側面の全反射面により全反射されると共に、入射面から出射面に直接進行する光が、凹面である出射面によりレンズの光軸の側に屈折されることにより、集光効率を高めることができる。従って、レンズの小型化による発光装置の小型化、低輝度の光源部の使用による低コスト化、消費電力の低減が可能になると共に、要求される輝度を確保することも可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、一実施形態に係る発光デバイスを備える車両用灯具を示す側断面図である。
図2図2は、図1に示す発光デバイスを示す斜視図である。
図3図3は、図2に示す発光デバイスを示す断面図(光軸を含む断面図)である。
図4図4は、図2及び図3に示す光源デバイスの配光を示す断面図である。
図5図5は、図2及び図3に示す発光デバイスの寸法を説明するための断面図(光軸を含む断面図)である。
図6図6は、図2及び図3に示す発光デバイスの作用を説明するための断面図(光軸を含む断面図)である。
図7図7は、他の実施形態に係る発光デバイスを示す斜視図である。
図8図8は、図7に示す発光デバイスを示す断面図(光軸を含む断面図)である。
図9図9は、図7及び図8に示す発光デバイスの作用を説明するための断面図(光軸を含む断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を好適な実施形態に沿って説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、以下に示す実施形態においては、一部構成の図示や説明を省略している箇所があるが、省略された技術の詳細については、以下に説明する内容と矛盾が発生しない範囲内において、適宜公知又は周知の技術が適用される。
【0011】
図1は、一実施形態に係る発光デバイス100を備える車両用灯具10を示す側断面図である。この図に示す車両用灯具10は、車両の前照灯であり、車両の前方を照射する。この車両用灯具10は、光学系11と、ヒートシンク12と、フレーム16と、発光デバイス100とを備える。光学系11は、レンズ14と、リフレクタ18と、シェードユニット20とを備える。
【0012】
ヒートシンク12は、複数の放熱フィン(図示省略)を備える。このヒートシンク12の上面には、発光デバイス100が取り付けられている。ヒートシンク12の複数の放熱フィンは、発光デバイス100で発生した熱を外部に放出する。
【0013】
レンズ14は、車両用灯具10の前端に配され、発光デバイス100から出射された光を車両前方に投影する。このレンズ14は、フレーム16により保持されている。フレーム16は、車両用灯具10の前側に配され、レンズ14が取り付けられる円環状のレンズホルダ16Aを備える。
【0014】
リフレクタ18は、楕円を基本とする3次元自由曲面形状、又は、楕円と放物線とを組み合わせた3次元自由曲面形状に形成されており、発光デバイス100とヒートシンク12の上面とを覆うように設けられている。
【0015】
シェードユニット20は、レンズ14によって車両前方へ投影される配光パターンをロービーム配光パターンとハイビーム配光パターンとに切り替える。このシェードユニット20は、シェード22と、ソレノイド24と、リンク機構26とを備える。シェード22は、発光デバイス100とレンズ14との間に配された遮光板である。このシェード22は、一方の面が前方斜め上を向いた起立姿勢と、当該一方の面が真上を向いた傾倒姿勢とを取る。ソレノイド24は、リンク機構26を駆動する。リンク機構26は、ソレノイド24により駆動されてシェード22を起立姿勢と傾倒姿勢とに変化させる。
【0016】
シェード22が起立姿勢を取っている状態では、発光デバイス100から出射されてリフレクタ18により前方へ反射された光の一部が、シェード22により遮られることにより、カットオフラインを含むロービーム配光パターンが、車両前方に投影される。他方で、シェード22が傾倒姿勢を取っている状態では、発光デバイス100から出射されてリフレクタ18により前方へ反射された光が、シェード22により遮られないことにより、ハイビーム配光パターンが、車両前方に投影される。
【0017】
発光デバイス100は、光源デバイス110と、レンズ120とを備える。光源デバイス110は、LED素子、蛍光体、及び封止材料等がパッケージ111(図2参照)と一体化されたLEDである。レンズ120は、光源デバイス110に対して、直接接合されたり接着されたりホルダにより圧接されたりすることによって、一体化されている。即ち、発光デバイス100は、光源デバイス110とレンズ120とが一体化されたユニットである。
【0018】
図2は、図1に示す発光デバイス100を示す斜視図である。図3は、図2に示す発光デバイス100を示す断面図(光軸OAを含む断面図)である。これらの図に示すように、光源デバイス110は、直方体形状のパッケージ111を備える。このパッケージ111の高さ方向(厚み方向、図中上下方向)に対向する一対の平面の一方に矩形状の発光面112が形成されている。この発光面112は、封止材料、蛍光体、蛍光体を含む封止材料等のLED素子からの光を透過する部材の表面に形成されている。
【0019】
図4は、図2及び図3に示す光源デバイス110の光の配光を示す断面図である。この図に示すように、一般的なLEDの配光は、ランバーシアン(Lambertian)配光となる。このため、光源デバイス110のLEDから放射される光と発光面112との角度θは、0°から180°までである。そこで、図2及び図3に示すように、本実施形態の発光デバイス100では、レンズ120を発光面112に面して配置し、光源デバイス110の発光面112から放射される光を集束させて出射させることで輝度を高めている。
【0020】
レンズ120は、レンズ120の光軸OAが発光面112の中心に対して直交するように配されている。このレンズ120は、円形状の平面である入射面121と、逆円錐形状の凹面である出射面122と、側面123とを備える。
【0021】
入射面121は、発光面112に対して対向するように配されている。レンズ120の光軸OAは、入射面121の中心と発光面112の中心とを通過する。入射面121と発光面112とは、隙間無く相互に当接し、又は、接着層(図示省略)を介して相互に接合されている。入射面121と発光面112とが隙間無く相互に当接する場合には、レンズ120と光源デバイス110とが、ホルダ(図示省略)により相互に圧接されるか、あるいは、レンズ120と光源デバイス110の発光面112とが接合されている。
【0022】
ここで、LED素子からの光が発光面112で全反射することを抑制して光源デバイス110からの光の取り出し効率を高めるという観点から、入射面121と発光面112との間に空気層を形成しないことが好ましい。また、同じ観点から、レンズ120を構成する材料の屈折率は、発光面112が形成された材料の屈折率と近いことが好ましい。さらに、同じ観点から、入射面121と発光面112との間に接着層が介在する場合には、接着層を構成する材料の屈折率は、発光面112が形成された材料の屈折率と近いことが好ましく、レンズ120を構成する材料の屈折率とも近いことが好ましい。ここで、接着層を構成する材料の屈折率は、レンズ120を構成する材料の屈折率の±0.5の範囲内であることが好ましい。
【0023】
レンズ120を構成する材料の屈折率は、接着層を構成する材料の屈折率以下である。ただし、これらの関係は必須ではなく、レンズ120と接着層との屈折率は、下記(1)式を満足していればよい。
【0024】
空気の屈折率(1.0)<レンズ120及び接着層の屈折率<4.5 …(1)
ここで、レンズ120及び接着層の屈折率の上限値である4.5は、赤色LEDの材料であるゲルマニウム(Ge)の屈折率(=4.05)以上の値に相当する。即ち、レンズ120及び接着層の屈折率は、空気の屈折率より大きく、且つ、光源デバイス110のLED素子の材料の屈折率以上の値より小さければよい。
【0025】
なお、レンズ120の材料としては、ガラス(屈折率=1.4~1.55)、ポリカーボネート(PC、屈折率=1.5~1.7)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA、屈折率=1.45~1.55)、低屈折率のメチル系シリコーン(屈折率=~1.4)、高屈折率のフェニル系シリコーン(屈折率=~1.55)等を例示できる。また、接着層の材料としては、低屈折率のメチル系シリコーン(屈折率=~1.4)、高屈折率のフェニル系シリコーン(屈折率=~1.55)等を例示できる。
【0026】
また、光源デバイス110の蛍光体の屈折率は、製品によって異なるが、例えば、1.4~1.8である。また、光源デバイス110の発光面112が形成された材料の一例としてのサファイヤ(Al)の屈折率は、1.76~1.78である。さらに、光源デバイス110のLED素子を構成する材料の一例としての炭化シリコン(SiC)の屈折率は、~2.65である。
【0027】
図5は、図2及び図3に示す発光デバイス100の寸法を説明するための断面図(光軸を含む断面図)である。レンズ120と光源デバイス110との寸法は、下記(2)~(7)式の関係を満たすように設定されている。
0.5×W_LES≦W_in_Lens≦2.0×W_LES …(2)
0.5×L_LES≦L_in_Lens≦2.0×L_LES …(3)
0.1mm≦H_Lens≦10mm …(4)
0.5×W_LES≦W_out_Lens≦W_in_Lens+7×H_Lens …(5)
0.5×L_LES≦L_out_Lens≦L_in_Lens+7×H_Lens …(6)
0°<β_Lens≦45° …(7)
【0028】
W_in_Lensは、入射面121の幅である。入射面121が正方形の場合には、W_in_Lensは、入射面121の一辺の長さであり、入射面121が長方形の場合には、W_in_Lensは、入射面121の短辺の長さであり、入射面121が円形の場合には、W_in_Lensは、入射面121の直径である。本実施形態の入射面121は円形であるため、本実施形態では、入射面121の直径がW_in_Lensである。
【0029】
L_in_Lensは、入射面121の長さ(長さ方向の長さ)である。入射面121が正方形の場合には、L_in_Lensは、入射面121の一辺の長さであり、入射面121が長方形の場合には、L_in_Lensは、入射面121の長辺の長さであり、入射面121が円形の場合には、L_in_Lensは、入射面121の直径である。本実施形態の入射面121は円形であるため、本実施形態では、入射面121の直径がL_in_Lensである。
【0030】
また、W_LESは、発光面112の幅である。発光面112が正方向の場合には、W_LESは、発光面112の一辺の長さであり、発光面112が長方形の場合には、W_LESは、発光面112の短辺の長さであり、発光面112が円形の場合には、W_LESは、発光面112の直径である。本実施形態の発光面112は正方形であるため、本実施形態では、発光面112の一辺の長さがW_LESである。
【0031】
また、L_LESは、発光面112の長さ(長手方向の長さ)である。発光面112が正方向の場合には、L_LESは、発光面112の一辺の長さであり、発光面112が長方形の場合には、L_LESは、発光面112の長辺の長さであり、発光面112が円形の場合には、L_LESは、発光面112の直径である。本実施形態の発光面112は正方形であるため、本実施形態では、発光面112の一辺の長さがL_LESである。
【0032】
上記(2)式より、入射面121の幅W_in_Lensは、発光面112の幅W_LESの0.5倍以上2.0倍以下であり、上記(3)式より、入射面121の長さL_in_Lensは、発光面112の長さL_LESの0.5倍以上2.0倍以下である。即ち、本実施形態では、発光面112の全体が入射面121と接触する場合と、入射面121の全体が発光面112と接触する場合と、発光面112の一部を除く大部分と入射面121の一部を除く大部分とが相互に接触する場合とが想定されている。
【0033】
H_Lensは、レンズ120の入射面121から出射面122までの高さである。なお、出射面122は、逆円錐形状の凹面であるところ、H_Lensは、入射面121から出射面122の外周縁部までの高さであり、入射面121から出射面122の中心までの高さは、H_Lensよりも小さい。上記(4)式より、レンズ120の高さH_Lensは、10mm以下である。即ち、本実施形態では、高さ(光軸方向の長さ)が10mm以下の薄型のレンズ120が想定されている。
【0034】
W_out_Lensは、出射面122の幅である。出射面122の外周の形状が正方形の場合には、W_out_Lensは、出射面122の一辺の長さであり、出射面122の外周の形状が長方形の場合には、W_out_Lensは、出射面122の短辺の長さであり、出射面122の外周の形状が円形の場合には、W_out_Lensは、出射面122の直径である。本実施形態の出射面122の外周の形状は円形であるため、本実施形態では、出射面122の直径がW_out_Lensである。
【0035】
L_out_Lensは、出射面122の長さ(長手方向の長さ)である。出射面122の外周の形状が正方形の場合には、L_out_Lensは、出射面122の一辺の長さであり、出射面122の外周の形状が長方形の場合には、L_out_Lensは、出射面122の長辺の長さであり、出射面122の外周の形状が円形の場合には、L_out_Lensは、出射面122の直径である。本実施形態の出射面122の外周の形状は円形であるため、本実施形態では、出射面122の直径がL_out_Lensである。
【0036】
上記(5)式より、出射面122の幅W_out_Lensの最小値は、発光面112の幅W_LESの0.5倍であり、出射面122の幅W_out_Lensの最大値は、入射面121の幅W_in_Lensにレンズ120の高さH_Lensの7倍の値を加算した値である。上記(6)式より、出射面122の長さL_out_Lensの最小値は、発光面112の長さL_LESの0.5倍であり、出射面122の長さL_out_Lensの最大値は、入射面121の長さL_in_Lensにレンズ120の高さH_Lensの7倍の値を加算した値である。本実施形態では、レンズ120の出射面122の直径は約1.5mmであり、小径のレンズ120が想定されている。
【0037】
β_Lensは、逆円錐形状である出射面122の母線(出射面122の中心と外周縁部とを結ぶ直線)と、光軸OAに対して直交する仮想の直線との角度である。なお、角度β_Lensは、出射面122が逆円錐形状ではなく球面形状又は非球面形状である場合には、出射面122の中心と外周縁部とを結ぶ直線と、光軸OAに対して直交する仮想の直線との角度である。
【0038】
上記(7)式より、角度β_Lensは、0°より大きく45°以下である。このため、後述するように、発光面112から放射されて出射面122に直接進行した光が出射面122において光軸OA側に屈折する。
【0039】
ここで、図2及び図3に示すように、レンズ120の側面123は、第1の全反射面123Aと、凹状部123Bと、第2の全反射面123Cとを備える。第1の全反射面123A、凹状部123B、及び第2の全反射面123Cは、入射面121側から出射面122側へ、第1の全反射面123A、凹状部123B、第2の全反射面123Cの順序で連続的に形成されている。
【0040】
第1の全反射面123Aは、入射面121の外周縁部からレンズ120の外周側(光軸OAを中心とする径方向の外側)に膨らむように湾曲している。この第1の全反射面123Aの図中の下端(入射面121側の端部)は、入射面121の外周縁部に接続されている。
【0041】
凹状部123Bは、第1の全反射面123Aの図中の上端(出射面122側の端部)からレンズ120の内周側(光軸OAを中心とする径方向の内側)に凹むように湾曲している。この凹状部123Bの図中の下端は、第1の全反射面123Aの図中の上端に接続されている。
【0042】
第2の全反射面123Cは、凹状部123Bの図中の上端(出射面122側の端部)から出射面122の外周縁部まで湾曲しながら延びている。第2の全反射面123Cの図中の下端は、凹状部123Bの図中の上端に接続され、第2の全反射面123Cの図中の上端は、出射面122の外周縁部に接続されている。
【0043】
第1の全反射面123Aの直径の最大値は、凹状部123Bの直径の最小値よりも大きい。また、第2の全反射面123Cの直径の最大値は、出射面122の幅W_out_Lens及び長さL_out_Lensと等しい。さらに、光軸OAに対して直交する方向に見た場合における第1の全反射面123Aの曲率は、同方向に見た場合における第2の全反射面123Cの曲率よりも大きい。
【0044】
図6は、図2及び図3に示す発光デバイス100の作用を説明するための断面図(光軸を含む断面図)である。この図に示すように、第1の全反射面123Aは、発光面112から0°の角度で(光軸OAに対して直交する方向に)放射された光の入射角が、臨界角以上となるように、上記の曲率が設定されている。これにより、第1の全反射面123Aは、発光面112から0°の角度で放射されて第1の全反射面123Aに入射する光をも全反射する。
【0045】
凹状部123Bは、一部の光は透過するが、全反射も生じる曲面である。光軸OAよりも図中左側の位置から図中左側の凹状部123Bに向けて放射された光の一部は、図中左側の凹状部123Bを透過するものの、光軸OAよりも図中右側の位置から図中左側の凹状部123Bに向けて放射された光は、図中左側の凹状部123Bにより全反射される。ここで、レンズ120の内周側に凹んだ凹状部123Bが存在することにより、第2の全反射面123Cの光軸OAを中心とする径方向の位置を、光軸OA側に寄せることが可能になっており、それにより、出射面122の小径化が実現されている。
【0046】
第2の全反射面123Cは、発光面112から放射された光の入射角が臨界角以上となるように、上記の曲率が設定されている。これにより、第2の全反射面123Cは、発光面112から放射されて第2の全反射面123Cに入射する光を全反射する。
【0047】
第1の全反射面123A、凹状部123B、及び第2の全反射面123Cで反射された光は出射面122から出射される。ここで、発光面112から放射されて側面123で反射されることなく直接、出射面122に入射する光が存在する。この光は、凹面である出射面122で屈折する。発光面112から出射面122に直接進行する光のうちの大部分は、光軸OAから離れる方向に進行するところ、この光は、出射面122において光軸OA側に屈折する。これにより、出射面122から出射する光が集束する。
【0048】
以上説明したように、本実施形態の発光デバイス100では、レンズ120が、高さ(光軸方向の長さ)と径とを光源デバイス110の高さ(厚さ)や縦横の寸法と同等程度にまで小さく抑えた小サイズのものである。このため、光源デバイス110の発光面112から放射された光の大部分が、側面123の全反射面で反射されることなく出射面122に直接進行する。ここで、出射面122が光軸OAに対して直交する平面である場合には、発光面112から出射面122に直接進行して出射面122から出射する光は、拡散する。それに対して、本実施形態の発光デバイス100では、出射面122が入射面121側に凹んだ凹面であることから、発光面112から出射面122に直接進行して出射面122から出射する光は、出射面122において光軸OA側に屈折されることにより、集束される。これにより、本実施形態の発光デバイス100によれば、発光面112から放射された光の一部が側面123の全反射面で全反射されることと相俟って、レンズ120の集光効率を高めることができる。従って、輝度を抑えた光源デバイス110を使用することにより低コスト化、消費電力の低減を実現したうえで、小型のレンズ120を使用することにより発光デバイス100を小型化し、さらに、要求される輝度を確保することが可能になる。
【0049】
また、本実施形態の発光デバイス100では、レンズ120の側面123を、入射面121の外周縁部からレンズ120の外周側へ膨出した第1の全反射面123Aと、この第1の全反射面123Aからレンズ120の内周側へ凹んだ凹状部123Bと、この凹状部123Bから出射面122の外周縁部へ延びる第2の全反射面123Cとにより構成している。第1の全反射面123Aにより、発光面112に対する角度θ(図4参照)が0°の方向に放射された光をも全反射することが可能である。また、凹状部123Bの存在により、出射面122のレンズ120の外周側への広がりを抑えること、即ち、レンズ120の小径化が可能である。従って、レンズ120の集光効率を高めると共に、レンズ120を小径化することが可能になる。
【0050】
特に、本実施形態の発光デバイス100では、光軸OAに対して直交する方向に見た場合における第1の全反射面123Aの曲率を、同方向に見た場合における第2の全反射面123Cの曲率よりも大きく設定している。これにより、第1の全反射面123Aを、発光面112に対する角度が小さい放射光を全反射する形状にすることが可能になると共に、第2の全反射面123Cを、レンズ120の外周側への広がりを抑えた形状にすることが可能になる。従って、レンズ120の集光効率を高めると共に、レンズ120を小径化することをより一層効果的に実現できる。
【0051】
また、本実施形態の発光デバイス100では、レンズ120の入射面121と光源デバイス110の発光面112とが相互に接触し、又は接着層を介して接合されている。また、レンズ120の屈折率n_Lensは、空気の屈折率の1.0より大きく、LED素子の材料の一種であるゲルマニウム(Ge)の屈折率以上の4.5より小さい範囲から選択される。即ち、本実施形態の発光デバイス100では、発光面112からレンズ120の入射面121にかけて空気層のような低屈折率の媒質が存在しないことにより、発光面112と入射面121との界面で生じる反射を抑制でき、光源デバイス110からの光の取り出し効率を高めることができる。
【0052】
さらに、本実施形態の発光デバイス100では、出射面122の中心と出射面122の外周縁部とを結ぶ直線(母線)と、光軸OAに対して直交する直線との角度β_Lensは、0°より大きく45°以下の範囲から選択される。これにより、出射面122で屈折した光を光軸OA側に集束させることが可能になる。
【0053】
図7は、他の実施形態に係る発光デバイス200を示す斜視図である。また、図8は、図7に示す発光デバイス200を示す断面図(光軸を含む断面図)である。なお、上記実施形態と同様の構成には同一の符号を付し、上記実施形態についての説明を援用する。
【0054】
図7及び図8に示すように、本実施形態の発光デバイス200は、光源デバイス110とレンズ220とを備える。この発光デバイス200は、上記実施形態と同様、光源デバイス110とレンズ220とが一体化されたユニットである。
【0055】
レンズ220は、発光面112に面して配置され、光源デバイス110の発光面112から放射される光を集束させる。このレンズ220は、レンズ220の光軸OAが発光面112の中心に対して直交するように配されている。このレンズ220は、円形状の平面である入射面221と、逆円錐形状の凹面である出射面222と、側面223とを備える。レンズ220の屈折率は、上記(1)式の関係を満足する。レンズ220の材料は、上記実施形態と同様のものを例示できる。
【0056】
入射面221は、上記実施形態の入射面121と同様の構成である。出射面222は、上記実施形態の出射面122に比して大径ではあるもののその他の構成については上記実施形態の出射面122と同様である。この出射面222は、入射面221に比して大径である。側面223は、上記実施形態の側面123とは構成が異なる。
【0057】
側面223は、入射面221の外周縁部から出射面222の外周縁部へ延びている。この側面223は、その全体が発光面112から放射された光に対して全反射面として機能するように構成されている。
【0058】
図9は、図7及び図8に示す発光デバイス200の作用を説明するための断面図(光軸を含む断面図)である。この図に示すように、側面223は、発光面112から放射された光の入射角が臨界角以上となるように、光軸OAに対して直交する方向から見た場合における曲率が設定されている。これにより、側面223の全体は、発光面112から放射されて側面223に入射する光を全反射する。
【0059】
発光面112から放射されて側面223で反射されることなく直接出射面222に入射する光は、凹面である出射面222で屈折する。発光面112から出射面222に直接、進行する光のうちの大部分は、光軸OAから離れる方向で進行するところ、この光は、出射面222において光軸OA側に屈折する。これにより、出射面222から出射する光が集束される。
【0060】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよいし、実施形態同士の技術や公知・周知技術を組み合わせてもよい。
【0061】
例えば、上述の実施形態では、車両用灯具10に搭載される発光デバイス100,200を例に挙げて本発明を説明したが、本発明の発光装置の用途は、車両用灯具には限定されない。また、発光素子をLED素子とする光源デバイス110を例に挙げて本発明を説明したが、発光素子は有機EL等の他の発光素子に代えてもよい。
【符号の説明】
【0062】
10 :車両用灯具
11 :光学系
100 :発光デバイス(発光装置)
110 :光源デバイス(光源部)
112 :発光面
120 :レンズ
121 :入射面
122 :出射面
123 :側面
123A :第1の全反射面(全反射面)
123B :凹状部
123C :第2の全反射面(全反射面)
200 :発光デバイス(発光装置)
220 :レンズ
221 :入射面
222 :出射面
223 :側面(全反射面)
n_Lens :屈折率
OA :光軸
β_Lens :角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9