(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022085171
(43)【公開日】2022-06-08
(54)【発明の名称】洗浄装置の給水調節装置
(51)【国際特許分類】
B08B 3/02 20060101AFI20220601BHJP
A47L 17/00 20060101ALI20220601BHJP
【FI】
B08B3/02 E
A47L17/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020196711
(22)【出願日】2020-11-27
(71)【出願人】
【識別番号】300088348
【氏名又は名称】芝浦サービス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002608
【氏名又は名称】特許業務法人オーパス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】弦井 英次
【テーマコード(参考)】
3B201
【Fターム(参考)】
3B201AA01
3B201AB51
3B201BB21
3B201BB82
3B201BB93
(57)【要約】 (修正有)
【課題】熱湯源からノズルへ熱湯を高圧で供給する場合に、給水配管内において生じる負圧を緩和して、洗浄装置内の熱湯の流れを円滑に行わせる洗浄装置の給水調節装置を提供する。
【解決手段】給湯器1と、高圧ポンプ3と、高圧ホース配管4と、洗浄用ノズル15、16とを備えた洗浄装置に、給水調節弁7を備えたことを要旨とする。この給水調節弁7は、給湯器1と高圧ポンプ3を接続する配管の途中に設置され、内部に弁機構を備えるとともに、外部は外気に開放されている。そして、洗浄操作において、高圧ポンプ3が作動開始し、給湯器1と高圧ポンプ3を接続する配管内が一定の圧力以下の負圧になると、弁機構が開いて外気を配管内に取り込む。これにより、配管内の負圧が緩和されて高圧ポンプ3が正常に作動し、高圧ポンプ3の作動開始時点から洗浄装置内の熱湯の流れを円滑にして洗浄用ノズル15、16に熱湯を送給することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄液である熱湯を生成する水源部材と、
前記水源部材の出口に一端が接続され、熱湯の流路となる第1配管と、
前記第1配管の他端に接続され、熱湯を高圧水流にして送出する高圧ポンプと、
前記高圧ポンプの出口側に接続され、熱湯の高圧水流を被洗浄面に高圧噴射するノズルユニットと、
前記第1配管上に取り付けられた給水調節弁とから成り、
前記給水調節弁は、
筒体構造を有する弁本体と、
前記弁本体の内部に軸方向に貫通して形成され、前記第1配管の流路に連通する流体通路と、
前記流体通路の内部に設置され、前記第1配管内の圧力に応じて前記流体通路を遮断及び開放する弁ユニットと、
からなることを特徴とする洗浄装置の給水調節装置。
【請求項2】
前記弁本体は、当該弁本体の大気開放側をなし、筒体構造で大気流入用の開口を持つ第1ネジ体と、前記弁本体の配管接続側をなし、筒体構造の第2ネジ体とから成り、
前記弁ユニットは、前記第1ネジ体又は第2ネジ体の一方に進退可能に設置されて流体通路を遮断及び開放する栓部材と、前記第1ネジ体又は第2ネジ体の他方に収容されて前記栓部材を受け止める栓受け部材と、前記一方のネジ体と栓部材との間に介装された弾性部材とから成り、
前記弾性部材は、前記一方のネジ体と栓部材との間に介在して前記流体通路を緊密に封止する、
ことを特徴とする請求項1に記載の洗浄装置の給水調節装置。
【請求項3】
前記第1ネジ体は、弁本体の大気開放側をなし、筒体構造を持ち外壁にオネジが形成されたボルト体であり、
前記第2ネジ体は、弁本体の配管接続側をなし、内壁にメネジが形成され内部に弁ユニットを収容する筒体構造のナット体であり、
ボルト体の筒体内部には通孔が貫通し、当該通孔には前記栓部材を進退可能に収容されており、
ナット体の内部には熱湯が充満しており、また、上記第1配管は弾性材ホースから成り、その弾性力によってナット体の内部の圧力は大気の圧力P1よりも大きい圧力P2に保たれており、
前記栓部材は上記圧力差によりボルト体に圧接されて支持される、
ことを特徴とする請求項2に記載の洗浄装置の給水調節装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、まな板や床面などを高圧の水流で洗浄する洗浄装置の給水調節装置、特に、洗浄装置の熱湯源からノズルへ熱湯を高圧で供給する場合に、給水配管内において生じる負圧を緩和する給水調節装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
食肉加工施設などにおいて、肉類を裁断するのに使用されるまな板を洗浄するに際して、高圧ポンプから送り出される高圧の熱湯(或いは水)をまな板などの被洗浄面に噴射し、しかも噴射された熱湯が、その被洗浄面から周辺にはね返って飛散するのを防止しながら、被洗浄面上の微小傷内などに付着した汚れをきれいに洗い落すことができる洗浄装置が提案されている。このような洗浄装置の従来例としては、例えば特許文献1に記載されたものがある。
【0003】
特許文献1に記載された洗浄装置は、給湯器等の熱湯源と、第1配管により熱湯源に接続され熱湯源からの熱湯を高圧水流として下流へ送り出す高圧ポンプと、第2配管により高圧ポンプの先方に接続されたノズルユニットとを備え、ノズルユニットは、上部室を形成する上部カバーと、該上部カバーに連設され、前記上部室に連通する下部室を形成する下部カバーと、前記下部室の底部に設けられた開口部と、前記下部室の側部に設けられた排水口と、前記上部カバーに設けられて、上部室と下部室との間に設けられた連通部を介して、前記開口部に臨む被洗浄面に対し洗浄液を噴射する洗浄ノズルと、を備えて成るものである。この洗浄装置において、ノズルユニットにおいて被洗浄面(まな板等)に熱湯を噴射させると、その水流の勢いにより被洗浄部の汚れが取り除かれるとともに上部室および下部室に空気流が発生し、この空気流を利用して、前記被洗浄面からはね返る飛散水を集めて、排水口から流出させるという動作を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来の洗浄装置にあっては、洗浄操作の開始時点において、高圧ポンプが作動開始して高圧水流を洗浄ノズルに発送しようとしたとき、熱湯源である給湯器側からは高圧ポンプの作動に釣り合った量の熱湯が供給されず、給湯器と高圧ポンプとの間の第1配管内の圧力が数秒程度の間低下する(負圧になる)のみで、当該第1配管内を熱湯が流れないという現象が起こる。そのため、高圧ポンプが作動開始した瞬間から数秒間、洗浄ノズルには熱湯が流れず、しかも高圧ポンプには熱湯が流れないことによる衝撃力が働き、高圧ポンプの性能を低下させたり損傷させたりする虞があった。
【0006】
本発明は前記従来の問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、ノズル噴射方式による洗浄装置において、その熱湯源からノズルへ熱湯を高圧で供給する場合に、給水配管内において生じる負圧を緩和して、洗浄装置内の熱湯の流れを円滑に行わせる洗浄装置の給水調節装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は前記目的を達成するため、水源部材である給湯器と、高圧ポンプと、高圧ホース配管と、洗浄用のノズルユニットとを備えた洗浄装置に、給水調節弁を備えたことを要旨とする。この給水調節弁は、給湯器と高圧ポンプを接続する配管の途中に設置され、内部に弁ユニットを備えるとともに、外部は外気に開放されている。そして、洗浄操作において、高圧ポンプが作動開始し、給湯器と高圧ポンプを接続する配管内が一定の圧力以上の負圧になると、弁ユニットが開いて外気を配管内に取り込む。これにより、配管内の負圧が緩和されて高圧ポンプが正常に作動し、高圧ポンプの作動開始時から洗浄装置内の熱湯の流れを円滑にしてノズルユニットに熱湯を送給することができる。
【0008】
本発明の別の態様によれば、給水調整弁の弁本体は、当該弁本体の大気開放側とする筒体構造で大気流入用の開口を持つ第1ネジ体と、前記弁本体の配管接続側とする筒体構造の第2ネジ体とから成り、前記弁ユニットは、前記第1ネジ体又は第2ネジ体の一方に進退可能に設置されて流体通路を遮断及び開放する栓部材と、他方のネジ体に収容されて前記栓部材を受け止める栓受け部材と、前記一方のネジ体と栓部材との間に介装された弾性部材とから成り、前記弾性部材は、前記一方のネジ体と栓部材との間に介在して前記流体通路を緊密に封止するようにすることができる。
【0009】
また、本発明の他の態様によれば、前記第1ネジ体は、弁本体の大気開放側をなし、筒体構造を持ち外壁にオネジが形成されたボルト体であり、前記第2ネジ体は、弁本体の配管接続側をなし、内壁にメネジが形成され内部に弁ユニットを収容する筒体構造のナット体であり、ボルト体の筒体内部には通孔が貫通し、当該通孔には前記栓部材を進退可能に収容されており、ナット体の内部には熱湯が充満しており、また、上記第1配管は弾性材ホースから成り、その弾性力によってナット体の内部の圧力は大気の圧力P1よりも大きい圧力P2に保たれており、前記栓部材は上記圧力差によりボルト体に圧接されて支持されるようにすることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、給水調節弁は、給湯器と高圧ポンプを接続する配管の途中に設置され、内部に弁ユニットを備えるとともに、外部は外気に開放されているから、洗浄操作において、高圧ポンプが作動開始し、給湯器と高圧ポンプを接続する配管内が一定の圧力以上に負圧になると、弁機構が開いて外気を配管内に取り込むことにより、配管内の負圧が緩和されて高圧ポンプが正常に作動し、高圧ポンプの作動開始時から熱湯の流れを途切れさせることなく、洗浄装置内の熱湯の流れを円滑にして洗浄用ノズルに熱湯を送給することができるといった顕著な効果を奏する。
【0011】
本発明によれば、高圧ポンプが作動開始時に熱湯の流れを途切れさせることなく、洗浄装置内の熱湯の流れを円滑にして洗浄用ノズルに熱湯を送給するから、高圧ポンプの性能が劣化したり、損傷したりすることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る給水調節装置が備えられた洗浄装置の全体を示す正面図である。
【
図2】前記実施の形態に備えられた給水調節弁の斜視図である。
【
図3】前記実施の形態に備えられた給水調節弁の各要素を分解して示す分解斜視図である。
【
図4】前記実施の形態に備えられた給水調節弁の内部構造を表す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明が適用される洗浄装置の全体を概略的に示す正面図である。この洗浄装置は、洗浄液である熱湯を生成する水源部材としての給湯器1と、給湯器1の出口に一端が接続され給湯器1から送出される熱湯の流路となる第1配管2と、第1配管2の他端に接続され、第1配管2を流れてきた熱湯を高圧水流にして送出する高圧ポンプ3と、高圧ポンプ3の出口に一端が接続され高圧ポンプ3から送出される熱湯の高圧水流の流路となる第2配管4と、第2配管4の他端(先端)に接続され、第2配管4を流れてきた熱湯の高圧水流をまな板や床面等の被洗浄面14に高圧噴射するノズルユニット5と、給湯器1から第1配管2への熱湯の流れをオン、オフする給水栓6と、給湯器1と高圧ポンプ3との間、すなわち、第1配管2上に取り付けられた給水調節弁7とから成る。第2配管4には、高圧ホースが用いられる。第1配管2には高圧ホース以外のホースが用いられ、本実施の形態ではゴムホースのような弾性に富んだ材料から成るホースが用いられる。
【0014】
給湯器1は、例えば単相交流100Vを電源として駆動される湯沸し装置であり、サーモスタット等のセンサーを備えていて水を常温近辺の20℃程度から100℃の間で加熱し、また、保温する機能を有している。給湯器1は、洗浄操作の開始時点(3~5秒)以外の作動時間においては、洗浄に必要十分な量の熱湯を第1配管2へ送出できる能力を持つ。高圧ポンプ3は、例えば単相交流200Vを電源として駆動され、給湯器1から給水栓6および第1配管2を介して供給される熱湯を、ノズルユニット5に高圧状態にて供給するように機能する。
【0015】
そして、本発明においては、上述したように、第1配管2の途中に当該第1配管2の流路を開閉する給水栓6と、第1配管2内の水流を調節する給水調節弁7が取り付けられている。
図2は給水調節弁7の外観構造を示す斜視図である。
図3は給水調節弁7の内部構造を表すために各要素を分解して示す分解斜視図である。
図4は給水調節弁7の内部構造を表す断面図である。
図2乃至
図4に示されるように、給水調節弁7は、筒体構造を有する弁本体8と、弁本体8の内部に筒体の上端から基端まで軸方向に貫通して形成された流体通路9と、流体通路9の内部に設置され当該流体通路9を開閉する弁ユニット10とからなる。この給水調節弁7は、基端が第1配管2の管壁に植設され、その流体通路9が第1配管2の内部に連通している一方、流体通路9の上端は大気に開放している。
【0016】
弁本体8は、弁本体8の上側部分(大気開放側)をなし、筒体構造を持ち外壁にオネジ26が形成された第1ネジ体としてのボルト体27と、弁本体8の下側部分(配管接続側)をなし、内壁にメネジ28が形成された筒体構造の第2ネジ体としてのナット体29とから成る。ボルト体27は筒体構造を有し、その先端に大気が流入する筒開口27aを有し、筒体内部は通孔9aが貫通して延びている。通孔9aは上記流体通路9としての機能を有するが、特にこの通孔9aは、弁ユニット10の構成要素である栓部材21(後出)を進退可能に収容する収容部としての機能をも有している。ナット体29にはその下端に筒体構造の接続突起31が設けられ、当該接続突起31の外壁には給水調節弁7を第1配管2に取り付けるためのオネジ32が形成され、筒体内部は弁ユニット10の収容部である一方で、流体通路9としての機能をも有する。ボルト体27とナット体29とをネジ(オネジ26とメネジ28)結合することにより弁本体8が構成され、その内部には弁ユニット10が収容される。
【0017】
弁ユニット10は、
図3に示されるように、ナット体29内部に収容される栓受け部材20と、栓受け部材20の上方に配置される栓部材21と、栓部材21の首部に装着された弾性リング22と、ナット体29の内部において栓受け部材20の上に載置された状態で収容されるスリーブ23とから成る。スリーブ23は筒体構造を持ち、上記栓部材21及び弾性リング22を包囲している。栓受け部材20は、中心軸に沿った中心孔24を有する円筒部品から成り、中心孔24の周囲には当該中心孔24と同じ方向に延びる複数の通気孔25が設けられている。これらの中心孔24及び通気孔25は流体通路9の一部を成す。
【0018】
栓部材21は大径部21aと小径部21bとを有するコマ形の部品から成り、当該栓部材21の小径部21bを上に向けてボルト体27の通孔9aに下から緩く嵌合して挿入した状態でボルト体27に設置され、保持される。栓部材21の小径部21bをボルト体27の通孔9aに挿入した状態では、栓部材21の大径部21aから小径部21bに至る首部に弾性リング22が装着されているから、この弾性リング22はボルト体27の下端面と栓部材21の大径部21aとの間に挟まれることになる。
【0019】
図4で見ると、栓部材21は大径部21aを下、小径部21bを上にした姿勢で、小径部21bを上に向けてボルト体27の通孔9aに下から挿入した状態であり、スリーブ23の内部で落下もせず、中空に浮かんでいるように見え、不自然であるように思われる。しかしながら、給湯器1からは、十分な量の熱湯が第1配管2へ供給されるから、ナット体29の内部には熱湯が充満しており、また、上記第1配管2がゴムホース等の弾性材ホースから成ることにより、その弾性力によってナット体29の内部の圧力は大気の圧力P1よりも大きい圧力P2、すなわち、
P1 < P2
に保たれている。したがって、栓部材21は上記圧力差によりボルト体27に圧接されて支持される。しかも、ボルト体27の下端面と栓部材21の大径部21aとの間に弾性リング22が挟まれて両部材に密に対接するから、流体通路9はこの接合部分において遮断される。この実施の形態において、弾性リング22は、単なる部材接合部分等の緩み止め部材ではなく、弾性部材或いは密封部材としての機能を持つ重要な部品で、通常の状態ではボルト体27と栓部材21との間で弾性押圧作用を及ぼし、クッションとなる。スリーブ23は、栓部材21及び弾性リング22を包囲してナット体29の内部に収容される。その後、ボルト体27とナット体29とをネジ(オネジ26とメネジ28)結合することにより給水調節弁7が出来上がる。
【0020】
この実施の形態において、ノズルユニット5は、第2配管4の先端に接続されたカプラーソケット30と、このカプラーソケット30に接続されたチーズ12およびエルボー13と、チーズ12およびエルボー13にそれぞれ取り付けられて被洗浄面14に熱湯を噴射する第1洗浄ノズル15および第2洗浄ノズル16とを備えた2噴射型のノズルユニットになっている。また、ノズルユニット5は、第1洗浄ノズル15および第2洗浄ノズル16(以下においては、第1洗浄ノズル15を代表とする)から被洗浄面14へ熱湯を噴射したときに生じる飛沫を包囲するために上部カバー17と、この上部カバー17の下部に一体に設けられた下部カバー18とから構成されたカバー体19を有している。カバー体19は
図1に示されるように、逆お椀形に成形されており、下部は開口となっている。
【0021】
以下、本実施の形態に係る洗浄装置の給水調節装置について動作を説明する。上述のような構成の洗浄装置では、これに洗浄動作を行わせるに当って、まず、上部カバー17と下部カバー18とからなるカバー体19を、下部開口を洗浄すべきまな板などの被洗浄面14に向けて載置する。
【0022】
続いて、給水栓6を開放操作して、給湯器1から洗浄液としての熱湯を第1配管2を通して高圧ポンプ3側へ送り込む。さらに、この高圧ポンプ3を始動スイッチ(図示しない)の投入により駆動させ、高圧にした熱湯をノズルユニット5へ向けて送り込む。このとき高圧ポンプ3による熱湯の送出力が超高圧力であるのに対して、給湯器1は立ち上がり動作に一定時間を要するため、給湯器1から高圧ポンプ3側への送り圧力が順応できず、第1配管2の内部では大きな負圧作用が生じる。この負圧作用がかかることにより、給水調節弁7においては、内部圧力P2が負圧になり、大気圧力P1との関係が、
P2 < P1
となる。そのため、栓部材21は、その小径部21bをボルト体27の通孔9aに挿入した状態から第1配管2の側へ吸引され、
図4中下方へ引き下げられる力を受けてボルト体27の通孔9aから抜ける直前の位置まで移動して流体通路9を開ける。栓部材21は、ボルト体27の通孔9aから抜ける直前の位置まで移動したところで下端面が栓受け部材20の上端面に当接し、栓受け部材20によって受け止められる。
【0023】
これにより、ボルト体27の筒開口27aから空気が吸い込まれ、その空気は栓受け部材20に形成された複数の通気孔25を通って第1配管2へ流入する。そして、第1配管2内部の負圧力は緩和ないしは解消されて通常な流体流れが実現し、高圧ポンプ3による熱湯の超高圧力動作が行われ、熱湯は上記流入した空気と混合して高圧ポンプ3からノズルユニット5へ向けて勢いよく送給される。この熱湯と空気の混合流体の高圧送給を短時間(3~5秒)続けているうちに、給湯器1の立ち上がり動作が完了し、給湯器1から十分な量の熱湯が第1配管2へ供給されるようになり、第1配管2がゴムホース等の弾性材ホースが幾分か膨らむことによりの管内圧力P2が再び上昇し、大気圧力P1との関係が、
P1 < P2
となる。こうなると、給水調節弁7においては、弁ユニット10の栓部材21が、栓受け部材20によって受け止められていた状態から管内圧力P2と大気圧力P1との圧力差による上向きの作用力を受け、ナット体29内部で下から上、すなわち、第1配管2の側から大気側へ向けて移動する。そして栓部材21は、小径部21bを上に向けてボルト体27の通孔9aに下から緩く嵌合して挿入され、保持される。栓部材21は上記圧力差によりボルト体27に圧接され、しかも、ボルト体27の下端面と栓部材21の大径部21aとの間に弾性リング22が挟まれて両部材に密に対接するから、流体通路9はこの接合部分において閉鎖、遮断される。すなわち、弾性リング22は、ボルト体27と栓部材21との間に介在して流体通路9を緊密に封止する。
【0024】
ノズルユニット5へ送り込まれた熱湯は、第1洗浄ノズル15および第2洗浄ノズル16からカバー体19の内部へ向かって、一定の拡がりを以て垂直下方に高圧噴射される。さらに、カバー体19内に高圧噴射された噴射水は、カバー体19の底部の開口部に臨むまな板の表面である被洗浄面14に、前記の拡がりを以て線状に投射される。このため、このまな板の表面にできた刃物傷などの細かい溝、深い溝などの内部に残留した汚れを、高圧の噴射水が直接洗い落すこととなる。
【0025】
なお、洗浄作業が終了した後、洗浄機のスイッチが切られても、第1配管2を構成するゴムホース等の弾性材ホースは幾分か膨らんだ状態を維持するから、ナット体29の内部の熱湯(冷えて水になる)により管内圧力は大気の圧力P1よりも大きい圧力P2、すなわち、
P1 < P2
に保たれている。したがって、栓部材21は圧力差によりボルト体27の通孔9aに嵌合挿入されたままの状態で支持される。
【0026】
以上のように、本発明によれば、洗浄装置に洗浄動作を行わせるに当たって、高圧ポンプを始動させる初期段階で、高圧ポンプによる熱湯の超高圧送出力に給湯器から高圧ポンプ側への送り圧力が順応できなくても、給水調節弁の動作により外気を第1配管の内部へ流入させるようにしたため、第1配管内部の負圧力は緩和ないしは解消されて通常な流体流れが実現し、タイムラグを生じることなく熱湯を高圧ポンプからノズルユニットへ向けて勢いよく送給することができる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明の洗浄装置の給水調節装置は、給湯器と高圧ポンプを接続する第1配管に給水調節弁を設けたことで、給湯器から高圧ポンプ側への送り圧力が順応できなくても、給水調節弁の動作により外気を第1配管の内部へ流入させることで、第1配管内部の負圧力は緩和ないしは解消されて通常な流体流れが実現し、タイムラグを生じることなく熱湯を高圧ポンプからノズルユニットへ向けて送給することができ、有用である。
【符号の説明】
【0028】
1 給湯器
2 第1配管(弾性材ホース)
3 高圧ポンプ
4 第2配管(高圧ホース)
5 ノズルユニット
6 給水栓
7 給水調節弁
8 弁本体
9 流体通路
10 弁ユニット
12 チーズ
13 エルボー
14 被洗浄面
15 第1洗浄ノズル
16 第2洗浄ノズル
17 上部カバー
18 下部カバー
19 カバー体
20 栓受け部材
21 栓部材
22 弾性リング(弾性部材)
23 スリーブ
30 カプラーソケット