IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ブラザー工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-液滴吐出装置 図1
  • 特開-液滴吐出装置 図2
  • 特開-液滴吐出装置 図3
  • 特開-液滴吐出装置 図4
  • 特開-液滴吐出装置 図5
  • 特開-液滴吐出装置 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022085180
(43)【公開日】2022-06-08
(54)【発明の名称】液滴吐出装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/015 20060101AFI20220601BHJP
   B41J 2/045 20060101ALI20220601BHJP
【FI】
B41J2/015 101
B41J2/045
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020196727
(22)【出願日】2020-11-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】特許業務法人梶・須原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉野 隆晃
(72)【発明者】
【氏名】水野 泰介
【テーマコード(参考)】
2C057
【Fターム(参考)】
2C057AF71
2C057AG14
2C057AG44
2C057AM21
2C057AM40
2C057AN01
2C057AR16
2C057BA04
2C057BA14
(57)【要約】
【課題】高周波数でアクチュエータを駆動させる場合に、ノズルからの液滴の吐出を安定させる。
【解決手段】駆動信号を60kHz以上の駆動周波数で送信することによって、インクジェットヘッドの圧電アクチュエータを駆動させて、圧力室内のインクに圧力を付与してノズルからインク滴を吐出させる。駆動信号は、時間幅がX1の先行パルスSと、先行パルスSから時間間隔X2をあけた、時間幅がX3の後続パルスKとを有する、パルスの数が2つだけの信号である。X1は、X1≦ALの大小関係を満たす。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズルと、前記ノズルと連通する圧力室と、前記圧力室内の液体に圧力を付与するアクチュエータと、を有する液滴吐出ヘッドと、
制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
複数の駆動信号を60kHz以上の駆動周波数で前記アクチュエータに送信することによって、前記アクチュエータを駆動させ、
各駆動信号は、
時間幅がX1の先行パルスと、前記先行パルスから時間間隔X2後の、時間幅がX3の後続パルスとを有する、パルスの数が2つだけの信号であり、
前記圧力室内で発生した圧力波が前記ノズルで反射して前記圧力室に戻ってくるまでの時間をALとして、X1≦ALの大小関係を満たすことを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項2】
ALは、4.0マイクロ秒以上且つ7.0マイクロ秒以下であることを特徴とする請求項1に記載の液滴吐出装置。
【請求項3】
前記先行パルス及び前記後続パルスが矩形のパルスであることを特徴とする請求項1又は2に記載の液滴吐出装置。
【請求項4】
X3<X1の大小関係を満たすことを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の液滴吐出装置。
【請求項5】
パルスの数が1つだけの駆動信号で前記アクチュエータを駆動させたときの前記ノズルからの液滴の吐出速度を所定速度以上とすることのできる当該パルスの時間幅の最小値をSPとして、SP≦X1≦ALの大小関係を満たすことを特徴とする請求項1~4のいずれかにに記載の液滴吐出装置。
【請求項6】
前記所定速度が5.0m/sであることを特徴とする請求項5に記載の液体吐出装置。
【請求項7】
(X1+X2)が7.0マイクロ秒以上であることを特徴とする請求項6に記載の液体吐出装置。
【請求項8】
SPが、3.5マイクロ秒以上且つAL未満であることを特徴とする請求項5~7のいずれかに記載の液滴吐出装置。
【請求項9】
X3≦0.85×SPの大小関係を満たすことを特徴とする請求項5~8のいずれかに記載の液滴吐出装置。
かに記載の液滴吐出装置。
【請求項10】
前記制御装置は、
X2>X3且つX1≦AL<X2の大小関係を満たす前記駆動信号を送信可能であることを特徴とする請求項1~9のいずれかに記載の液滴吐出措置。
【請求項11】
前記制御装置は、
X2≦X3<X1の大小関係を満たす前記制御信号を送信可能であることを特徴とする請求項1~10のいずれかに記載の液滴吐出装置。
【請求項12】
前記駆動信号は、
Nを自然数として、前記アクチュエータを連続して駆動させるときの、N回目の前記アクチュエータの駆動時の前記ノズルにおける最大の液体の流量をUNとしたときに、3以上の任意のNについて、0.85≦(UN/U1)≦1.15、且つ、0.85≦(UN/U2)≦1.15の大小関係を満たすように、前記アクチュエータを駆動させる信号であることを特徴とする請求項1~11のいずれかに記載の液滴吐出装置。
【請求項13】
前記駆動信号は、
前記先行パルスによって前記アクチュエータを駆動させたときの前記圧力室内の液体の圧力の変化量P1と、前記後続パルスによって前記アクチュエータを駆動させたときの前記圧力室内の液体の圧力の変化量P2とが、(P2/P1)≦0.5の大小関係を満たすように、前記アクチュエータを駆動させる信号であることを特徴とする請求項4に記載の液滴吐出装置。
【請求項14】
(X2+X3)が4.48マイクロ秒以下であることを特徴とする請求項12又は13に記載の液滴吐出装置。
【請求項15】
前記アクチュエータの駆動周波数をFとして、
[(1/F)-(X1+X2+X3)]が、1.0マイクロ秒以上であることを特徴とする請求項1~14のいずれかに記載の液滴吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズルから液滴を吐出する液滴吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ノズルから液滴を吐出する液滴吐出装置の一例として、特許文献1には、ノズルからインク滴を吐出するインク噴射装置が記載されている。特許文献1に記載のインク噴射装置は、インクジェットヘッドを備え、2つの噴射パルス信号と1つの非噴射パルス信号の合計3つのパルス信号を有する信号によってインクジェットヘッドを20kHz程度で駆動させて、インク流路内のインクに圧力を付与してノズルからインク滴を吐出させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-280463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されているような液滴吐出装置においては、近年、動作の高速化の観点からより高い駆動周波数でヘッドを駆動させることが要求されることがある。駆動周波数が20kHz程度であれば、特許文献1に記載されているような、3つのパルスを有する駆動信号によってヘッドを駆動させてノズルからの液滴の吐出を安定させることができる。しかしながら、ヘッドの駆動周波数がさらに高くなった場合には、ヘッドの駆動周期がより短くなるため、駆動周期内に3つのパルスが収まる駆動信号によって、ヘッドを駆動させて、ノズルからの液滴の吐出を安定させるのが難しくなる虞がある。
【0005】
本発明の目的は、高周波数でアクチュエータを駆動させる場合に、ノズルからの液滴の吐出を安定させることが可能な液滴吐出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の液滴吐出装置は、ノズルと、前記ノズルと連通する圧力室と、前記圧力室内の液体に圧力を付与するアクチュエータと、を有する液滴吐出ヘッドと、制御装置と、を備え、前記制御装置は、複数の駆動信号を60kHz以上の駆動周波数で前記アクチュエータに送信することによって、前記アクチュエータを駆動させ、各駆動信号は、時間幅がX1の先行パルスと、前記先行パルスから時間間隔X2後の、時間幅がX3の後続パルスとを有する、パルスの数が2つだけの信号であり、前記圧力室内で発生した圧力波が前記ノズルで反射して前記圧力室に戻ってくるまでの時間をALとして、X1≦ALの大小関係を満たす。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態に係るプリンタ1の概略構成図である。
図2図1のインクジェットヘッド3の平面図である。
図3】(a)が図2のIII部拡大図であり、(b)が(a)のIIIB-IIIB線断面図である。
図4】プリンタ1の電気的構成を示すブロック図である。
図5】(a)が大玉を吐出させるための駆動信号Waの波形を示す図であり、(b)が小玉を吐出させるための駆動信号Wbの波形を示す図である。
図6】第2実施形態に係る駆動信号Wcの波形を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[第1実施形態]
以下、本発明の好適な第1実施形態について説明する。
【0009】
<プリンタ1の全体構成>
図1に示すように、第1実施形態に係るプリンタ1は、キャリッジ2、インクジェットヘッド3(本発明の「液滴吐出ヘッド」)、搬送ローラ対4,5、プラテン6を備えている。
【0010】
キャリッジ2は、水平な走査方向に延びた2本のガイドレール7,8に支持されている。キャリッジ2は、図示しないベルトなどを介して、キャリッジモータ86(図4参照)に接続されている。キャリッジモータ86を駆動させると、キャリッジ2がガイドレール7,8に沿って走査方向に移動する。なお、以下では、図1に示すように走査方向の右側及び左側を定義して説明を行う。
【0011】
インクジェットヘッド3は、キャリッジ2に搭載されており、その下面に形成された複数のノズル10からインクを吐出する。より詳細に説明すると、複数のノズル10は、水平で且つ走査方向と直交する搬送方向に配列されることによってノズル列9を形成している。また、インクジェットヘッド3は、走査方向に並んだ4列のノズル列9を有している。そして、複数のノズル10からは、右側のノズル列9を構成するものから順に、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタのインクが吐出される。
【0012】
搬送ローラ対4は、キャリッジ2よりも搬送方向の上流側に配置されている。搬送ローラ対5は、キャリッジ2よりも搬送方向の下流側に配置されている。搬送ローラ対4,5は、それぞれ、走査方向に延び、鉛直方向に並んだ一対のローラによって構成されている。搬送ローラ対4,5を構成する上記一対のローラのうち一方のローラは、それぞれ、駆動ローラであり、図示しないギヤなどを介して搬送モータ87に接続されている。搬送ローラ対4,5を構成する上記一対のローラのうち他方のローラは、従動ローラである。搬送ローラ87を駆動させると、搬送ローラ対4,5が、記録用紙Pを、上記一対のローラで挟んだ状態で搬送方向に搬送する。
【0013】
プラテン6は、搬送方向における搬送ローラ対4と搬送ローラ対5との間に配置され、インクジェットヘッド3の下方に位置している。プラテン6は、搬送ローラ対4,5によって搬送される記録用紙Pの、走査方向における全長にわたって延び、記録用紙Pを下方から支持する。
【0014】
<インクジェットヘッド3>
次に、インクジェットヘッド3の構成について詳細に説明する。図2図3(a),(b)に示すように、インクジェットヘッド3は、流路ユニット21と圧電アクチュエータ22とを備えている。
【0015】
<流路ユニット21>
流路ユニット21は、5枚のプレート31~35が下方からこの順に積層されることによって形成されている。プレート31は、例えば、ポリイミドなどの合成樹脂材料からなる。プレート32~35は、例えば、ステンレスなどの金属材料からなる。流路ユニット21は、複数のノズル10と、複数の圧力室11と、複数のディセンダ12と、複数の絞り13と、4つのマニホールド14とを有する。
【0016】
複数のノズル10は、プレート31に形成されている。複数のノズル10は、上述したように4列のノズル列9を形成している。複数の圧力室11は、プレート35に形成されている。複数の圧力室11は、平面形状が走査方向を長手方向とする長方形である。また、複数の圧力室11は、複数のノズル10に対して個別に設けられており、各圧力室11の左端部が、対応するノズル10と鉛直方向に重なっている。
【0017】
複数のディセンダ12は、プレート32~34にわたって形成されている。ディセンダ12は、対応するノズル10と圧力室11との組毎に設けられている。ディセンダ12は、プレート32~34を鉛直方向に貫通して延び、対応するノズル10と圧力室11の左端部とを接続する。
【0018】
絞り13は、プレート33,34にわたって形成されている。絞り13は、複数の圧力室11に対して個別に設けられている。絞り13の左端部は、プレート34の鉛直方向の全長とプレート33の上側の部分とにわたって鉛直方向に延び、その上端において対応する圧力室11の右端部と接続されている。また、絞り13の右端部は、プレート33を鉛直方向に貫通して延びている。また、絞り13の左端部と右端部との間に位置する部分は、プレート33の上側の部分によって形成されており、走査方向に延びている。
【0019】
そして、対応するノズル10と圧力室11とディセンダ12と絞り13とによって個別流路20が形成されている。また、複数のノズル10が4列のノズル列9を形成しているのに対応して、流路ユニット21には、複数の個別流路20が搬送方向に配列されることによって形成された個別流路列19が、走査方向に4列に並んでいる。
【0020】
4つのマニホールド14は、プレート32に形成されている。4つのマニホールド14は、4列の個別流路列19に対応している。各マニホールド14は、対応する個別流路列19を構成する複数の個別流路20にわたって搬送方向に延びている。そして、各マニホールド14は、対応する複数の個別流路20を構成する絞り13の右端部の下端と接続されている。これにより、各マニホールド14から、対応する個別流路列19を構成する複数の個別流路20にインクが供給される。また、各マニホールド14には、搬送方向の上流側の端部に供給口14aが設けられており、供給口14aからマニホールド14にインクが供給される。
【0021】
<圧電アクチュエータ22>
圧電アクチュエータ22は、振動板41と、圧電層42と、共通電極43と、複数の個別電極44とを備えている。
【0022】
振動板41は、チタン酸鉛とジルコン酸鉛との混晶であるチタン酸ジルコン酸鉛を主成分とする圧電材料からなり、流路ユニット21(プレート35)の上面に接着剤によって接着され、複数の圧力室11を覆っている。
【0023】
なお、振動板41は、次に説明する圧電層42とは異なり、圧電材料からなるものであることには限られない。例えば、振動板41は、圧電材料以外の絶縁性の材料によって構成されていてもよい。
【0024】
圧電層42は、圧電材料からなり、振動板41の上面に配置されている。共通電極43は、振動板41と圧電層42との間の面に配置され、複数の圧力室11にわたって連続的に延びている。複数の個別電極44は、圧電層42の上面に配置されている。複数の個別電極44は、複数の圧力室11に対して個別に設けられており、対応する圧力室11の中央部と鉛直方向に重なっている。また、個別電極44は、圧力室11と鉛直方向に重ならない位置まで右側に延び、その先端部が接続端子44aとなっている。接続端子44aにはバンプ45が形成されている。
【0025】
また、圧電アクチュエータ22においては、圧電層42の各個別電極44と共通電極43とに挟まれた部分が、鉛直方向に分極された活性部42aとなっている。
【0026】
圧電アクチュエータ22の上方には、COF(Chip On Film)50が配置されている。COF50は、複数の個別電極44の接続端子44aに対して設けられた複数のバンプ45と接続されている。また、COF50は、複数のバンプ45との接続部分から上方に折れ曲がって延び、その上端部において、図示しない制御基板と接続されている。
【0027】
また、COF50には、ドライバIC51が実装されており、複数の個別電極44は、COF50に形成された配線を介してドライバIC51と接続されている。ドライバIC51は、複数の個別電極44に個別に、後述する駆動信号を送信することによって、各個別電極44に、グランド電位及び所定の駆動電位V(例えば20V程度)のいずれかを選択的に付与する。また、共通電極43は、COF50の図示しない配線などを介して図示しない電源に接続されている。そして、共通電極43は、この電源によってグランド電位に保持されている。
【0028】
ここで、圧電アクチュエータ22を駆動してノズル10からインクを吐出させる方法について説明する。圧電アクチュエータ22では、個別電極44の電位を、グランド電位から駆動電位に切り換えると、個別電極44と共通電極43との電位差により、対応する活性部42aに分極方向と平行な電界が生じ、活性部42aが、上記電界によって面方向(走査方向及び搬送方向)に収縮する。これにより、振動板41及び圧電層42の対応する圧力室11と鉛直方向に重なる部分が圧力室11側に凸となるように変形する。個別電極44の電位を駆動電位Vからグランド電位に切り換えると、振動板41及び圧電層42が上記変形の前の状態に戻る。
【0029】
そして、振動板41及び圧電層42が上記のように変形すると、圧力室11内のインクの容積が変化して圧力室11内のインクの圧力が変動し、この圧力変動によって、圧力室11に連通するノズル10からインクが吐出される。
【0030】
<プリンタ1の電気的構成>
次に、プリンタ1の電気的構成について説明する。図4に示すように、プリンタ1は、制御装置80を備えている。制御装置80は、CPU(Central Processing Unit)81、ROM(Read Only Memory)82、RAM(Random Access Memory)83、フラッシュメモリ84、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)85を有し、キャリッジモータ86及び搬送モータ87の動作を制御する。また、制御装置80は、ドライバIC51を制御することによって、インクジェットヘッド3の動作を制御する。
【0031】
なお、制御装置80は、CPU81のみが各種処理を行うものであってもよいし、ASIC85のみが各種処理を行うものであってもよいし、CPU81とASIC85とが協働して各種処理を行うものであってもよい。また、制御装置80は、1つのCPU81が単独で処理を行うものであってもよいし、複数のCPU81が処理を分担して行うものであってもよい。また、制御装置80は、1つのASIC85が単独で処理を行うものであってもよいし、複数のASIC85が処理を分担して行うものであってもよい。
【0032】
<記録時の制御>
次に、プリンタ1において記録を行うときの、制御装置80による制御について説明する。プリンタ1では、制御装置80が、キャリッジモータ86を制御してキャリッジ2を走査方向に移動させつつ、ドライバIC51を制御して、インクジェットヘッド3に複数のノズル10からインク滴を吐出させる記録パスと、搬送モータ86を制御して搬送ローラ対4,5に記録用紙Pを搬送方向に所定距離搬送させる搬送動作とを繰り返し行わせることによって、記録用紙Pへの画像の記録を行わせる。
【0033】
また、制御装置80は、上記記録パスを行わせるときに、60kHz以上の駆動周波数F(駆動周期T(=1/F))で、ドライバIC51から複数の個別電極44に対して個別に、図5(a)、(b)に示す2種類の駆動信号Wa、Wbのいずれかを選択的に送信させることによって個別電極44の電位を変更させて、インクジェットヘッド3に複数のノズル10からインク滴を吐出させる。
【0034】
駆動信号Wa,Wbは、いずれも、時間幅がX1で、パルス高さが駆動電位Vの矩形のパルスである先行パルスSと、前記先行パルスSから時間間隔X2a後の、時間幅がX3でパルス高さが駆動電位Vの矩形のパルスである後続パルスKとを有する、パルスの数が2つだけの信号である。また、以下の説明では、駆動信号Wa,WbについてのX1~X3を、それぞれX1a~X3a,X1b~X3bとすることがある。
【0035】
駆動信号Wa,Wbでは、X1a,X1bは、それぞれ、SP≦X1a≦AL、SP≦X1b≦ALの大小関係を満たす。
【0036】
ALとは、圧力室11内で発生した圧力波がノズル10で反射して圧力室11に戻ってくるまでの時間であり、例えば、5.0~5.5マイクロ秒程度である。SPとは、パルスを1つだけ有する駆動信号で圧電アクチュエータ22を駆動させるとした場合に、ノズル10から所定速度以上の吐出速度でインクを吐出させることのできるパルスの時間幅の最小値である。ここで、所定速度とは、例えば、5.0m/sである。また、所定速度が5.0m/sの場合、SPは、例えば、3.5~3.7マイクロ秒(3.5マイクロ秒以上且つAL未満)である。
【0037】
また、駆動信号Wa,Wbでは、(X1a+X2a)、(X1b+X2b)が、7.0マイクロ秒以上である。
【0038】
また、駆動信号Wa,Wbでは、X3a≦0.85×SP、X3b≦0.85×SPの大小関係を満たす。
【0039】
また、駆動信号Wa,Wbでは、X1a>X3a、X1b>X3bの大小関係を満たす。
【0040】
また、駆動信号Wa,Wbでは、[(1/F)-(X1a+X2a+X3a)]、[(1/F)-(X1b+X2b+X3b)]が、1マイクロ秒以上である。
【0041】
また、駆動信号Waでは、X2a>X3a且つX1a≦AL<X2aの大小関係を満たす。
【0042】
また、駆動信号Wbでは、X2b≦X3b<X1bの大小関係を満たす。
【0043】
<駆動信号と吐出速度及びサテライトの有無との関係>
表1は、X1を4.00マイクロ秒としたときの、X2,X3と、ノズル10からのインク滴の吐出速度及びサテライトの有無との関係を示す実験結果である。サテライトとは、圧電アクチュエータ22を駆動させてノズル10からインク滴を吐出させたときに、本来吐出させるべきインク滴に続いてノズル10から吐出されてしまう微小なインク滴のことである。
【表1】
【0044】
表2は、X1を4.64マイクロ秒としたときの、X2,X3と、ノズル10からのインクの吐出速度及びサテライトの有無との関係を示す実験結果である。
【表2】
【0045】
表1、表2に示す吐出速度の単位は「m/s」である。また、表1の「err」は、例えば、記録用紙Pとノズル10とのギャップを1mmとした場合に、インク滴が記録用紙Pたどり着けない場合、又は、インク滴が飛翔する軌道が安定せず、速度が著しく遅い場合をしめす。また、表1、表2では、吐出速度が5.0m/sよりも速い場合に、数値に下線を付している。また、表1、表2では、サテライトが吐出された場合に、数値の後に「※」を付している。また、表1、2は、駆動電位Vを20Vとし、駆動周波数Fを88kHzとした場合の結果である。また、表1、表2は、ALが5.12マイクロ秒のインクジェットヘッド3を用いた場合の結果を示している。
【0046】
表1、表2の結果から、(X1+X2)が7.0マイクロ秒以上となることを満たすようにする、すなわち、X1が4.00マイクロ秒の場合にX2が3.20マイクロ秒以上となるようにし、X1が4.64マイクロ秒の場合にX2が2.56マイクロ秒以上となるようにすれば、吐出速度を5.0m/s以上とすることができることがわかる。
【0047】
また、X3≦0.85×SPとなる、すなわち、所定速度が5.0m/sでSP=3.68の場合に、X3が2.88マイクロ秒以下となるようにすれば、概ねサテライトが吐出されないことがわかる。
【0048】
<駆動信号と吐出体積の関係>
表3は、X1を4.00マイクロ秒としたときの、X2,X3と、ノズル10からのインクの吐出体積との関係を示す実験結果である。
【表3】
【0049】
表4は、X1を4.64マイクロ秒としたときの、X2,X3と、ノズル10からのインク滴の吐出体積との関係を示す実験結果である。
【表4】
【0050】
表3、表4は、駆動電位Vを20Vとし、駆動周波数Fを88kHzとした場合の結果を示している。また、表3、表4の結果は、ALが5.12マイクロ秒のインクジェットヘッド3を用いた場合のものである。また、表3、表4に示すインク滴の吐出体積の単位はピコリットルである。
【0051】
表3、表4の結果から、X2>X3且つX1≦AL<X2の関係を満たす範囲では、ノズル10からのインクの吐出体積が3.25~3.42ピコリットル程度と比較的大きくなっている。なお、表3、表4では、X2>X3且つX1≦AL<X2の関係を満たすものについて、数値の後に「_L」を付している。
【0052】
また、表3、表4の結果から、X2≦X3<X1の関係を満たす範囲では、ノズル10からのインクの吐出体積が1.89~2.77ピコリットル程度と比較的小さくなっている。なお、表3、表4では、X2≦X3<X1の関係を満たすものについて、数値の後に「_S」を付している。
【0053】
これらの結果から、大玉を吐出させるための駆動信号Waを、X2a>X3a且つX1a≦AL<X2aの関係を満たすものとし、小玉を吐出させるための駆動信号WbをX2b≦X3b<X1bの関係を満たすものとすることが適切であることがわかる。
【0054】
さらに、駆動信号Wa,WbにおけるX1a~X3a,X1b~X3bを設定するときには、吐出速度を5.0m/s以上とする、すなわち、表1、表2の結果から得られるように(X1+X2)が7.0マイクロ秒以上とすることが好ましい。さらに、サテライトが発生しないようにする、すなわち、表1、表2の結果から得られるように、X3≦0.85×SPの関係を満たすようにすることが好ましい。そこで、例えば、表1~表4の結果に基づいて、大玉を吐出させるための駆動信号WaにおけるX1a、X2a、X3aを、表3の太線で囲んだ範囲に設定し、小玉を吐出させるための駆動信号WbにおけるX1b、X2b、X3bを、表4の太線で囲んだ範囲に設定することが好ましい。
【0055】
<効果>
第1実施形態では、駆動信号Wa,Wbがパルスの数が2つだけの信号であり、X1a,X2aがAL以下である。これにより、駆動信号Wa,Wbを用いて60kHz以上の高い駆動周波数で圧電アクチュエータ22を駆動させるときに、パルス同士の間隔が小さくなりすぎることなく、ノズル10からのインク滴の吐出を安定させることができる。
【0056】
また、第1実施形態では、ALが4.0マイクロ秒以上7.0マイクロ秒以下であるので、X1a,X1bをAL以下に設定すれば、駆動信号Wa,Wbを用いて60kHz以上の高い駆動周波数で圧電アクチュエータ22を駆動させるときに、パルス同士の間隔が小さくなりすぎることなく、ノズル10からのインク滴の吐出を安定させることができる。
【0057】
また、第1実施形態では、駆動信号Wa,Wbにおける先行パルスS及び後続パルスKが矩形のパルスであるため、信号のオンオフによって、駆動信号Wa,Wbを簡単に生成することができる。
【0058】
また、第1実施形態では、駆動信号Wa,Wbにおいて、それぞれ、X1a>X3a、X1b>X3bの大小関係を満たす。これにより、先行パルスSをノズル10からインク滴を吐出させるための吐出用パルスとし、後続パルスKを先行パルスSでの圧電アクチュエータ22の駆動による圧力室11内のインクの圧力変動を抑えるキャンセルパルスとすることができる。
【0059】
また、第1実施形態では、X1a,X1bをSP以上とすることにより、ノズル10から所定速度以上の吐出速度でインク滴を吐出させることができる。
【0060】
また、第1実施形態では、X1a,X1bを、所定速度を5.0m/sとしたときのSP以上とすることにより、ノズル10からインク滴の吐出速度を5.0m/s以上とある程度速くして、吐出速度を安定させることができる。
【0061】
また、第1実施形態では、(X1a+X2a)、(X1b+X2b)を7.0マイクロ秒以上となるようにすることにより、ノズル10から5.0m/s以上の吐出速度でインク滴を吐出させることができる。
【0062】
また、第1実施形態では、SPが3.5マイクロ秒以上AL未満であるので、X1a,X1bを、SP≦X1a≦AL、SP≦X1b≦ALの関係を満たすように設定することにより、X1a,X1bをそれほど長くすることなく、ノズル10から所定速度以上の吐出速度でインク滴を吐出させることができる。
【0063】
また、第1実施形態では、X3a≦SP×0.85、X3b≦SP×0.85の関係を満たすようにすることにより、表1、表2の結果からわかるように、ノズル10からインク滴を吐出させたときにサテライトが吐出されないようにすることができる。
【0064】
また、第1実施形態では、表3、表4の結果からわかるように、X2>X3且つX1≦AL<X2の関係を満たすようにすることにより、ノズル10から比較的体積の大きいインク滴(大玉)を吐出させることができる。
【0065】
また、第1実施形態では、表3、表4の結果からわかるように、X2≦X3<X1の大小関係を満たすようにすることにより、ノズル10から比較的体積の小さいインク滴(小玉)を吐出させることができる。
【0066】
また、第1実施形態では、[(1/F)-(X1a+X2a+X3a)]、[(1/F)-(X1b+X2b+X3b)]が、1.0マイクロ秒以上である。これにより、ある駆動信号における後続パルスKによる圧電アクチュエータ22の駆動から、次の駆動信号における先行パルスSによる圧電アクチュエータ22の駆動までの期間を十分に確保して、この期間に、圧力室11内のインクの圧力変動を十分に減衰させることができる。その結果、ある駆動信号での圧電アクチュエータ22の駆動による圧力室11内のインクの圧力変動が、次の駆動信号での圧電アクチュエータ22の駆動によるノズル10からのインク滴の吐出特性に影響を与えてしまうのを防止することができる。
【0067】
[第2実施形態]
次に、本発明の好適な第2実施形態について説明する。第2実施形態は、第1実施形態と同様のプリンタ1に係るものであるが、駆動信号が第1実施形態と異なる。
【0068】
より詳細に説明すると、第2実施形態では、ドライバIC51から複数の個別電極44に対して個別に、60kHz以上の駆動周波数Fで、駆動信号Wcを送信することによって、圧電アクチュエータ22を駆動させる。図6に示すように、駆動信号Wcも、第1実施形態の駆動信号Wa,Wbと同様、先行パルスSと後続パルスKとを有する、パルスの数が2つだけの信号である。
【0069】
また、駆動信号Wcでも、駆動信号Wa、Wbと同様、SP≦X1≦AL、X1>X3、[(1/F)-(X1+X2+X3)]≧1.0の関係を満たし、(X1+X2)が7.0マイクロ秒以上である。また、駆動信号Wcでは、(X2+X3)が4.48マイクロ秒以下である。
【0070】
<駆動信号と連続駆動時のインクの流量との関係>
ここで、Nを自然数とし、圧電アクチュエータ22を連続して駆動させるときの、N回目の圧電アクチュエータ22の駆動時のノズル10における最大のインクの流量をUNとする。表5は、X1を4.00マイクロ秒としたときの、X2,X3と、Nが3以上(定常状態)の場合のUNの、N=2(非定常状態)の場合のU2に対する比(UN/U2)との関係を示す実験結果である。なお、X1を4.00マイクロ秒としたときの、X2,X3と、Nが3以上(定常状態)の場合のUNの、N=1(非定常状態)の場合のU1に対する比(UN/U1)も表5に示す(UN/U2)とほぼ同じ値である。
【表5】
【0071】
表5は、駆動電位Vを20Vとし、駆動周波数Fを88kHzとした場合の結果を示している。また、表5は、ALが5.12マイクロ秒のインクジェットヘッド3を用いた場合の結果を示している。また、表5では、0.85≦(UN/U1)≦1.15、0.85≦(UN/U2)≦1.15の関係を満たすものについて数値に下線を付している。
【0072】
表5の結果から、(X2+X3)が4.48マイクロ秒以下となるようにすれば、0.85≦(UN/U1)≦1.15、0.85≦(UN/U2)≦1.15の関係を満たす、すなわち、Nが3以上のUNのU1,U2に対する比を±15%以内に抑えることができることがわかる。なお、表5では、(X2+X3)が4.48マイクロ秒以下となる範囲を太線で囲んでいる。
【0073】
<駆動信号と、各パルスでの駆動時の圧力変化量との関係>
表6は、X1を4.00マイクロ秒としたときの、X2,X3と、後続パルスKで圧電アクチュエータ22を駆動させたときの圧力室11内のインクの圧力変化量P2の、先行パルスSで圧電アクチュエータ22を駆動させたときの圧力室11内のインクの圧力変化量P1に対する比(P2/P1)を示す実験結果である。
【表6】
【0074】
表6は、駆動電位Vを20Vとし、駆動周波数Fを88kHzとした場合の結果を示している。また、表6の結果は、ALが5.12マイクロ秒のインクジェットヘッド3を用いた場合のものである。また、表6では、(P2/P1)≦0.5の関係を満たすものについて数値に下線を付している。
【0075】
表6の結果から、(X2+X3)が4.48マイクロ秒以下となるようにすれば、(P2/P1)≦0.5の関係を満たすようにすることができることがわかる。すなわち、キャンセルパルスとしての後続パルスKでの圧電アクチュエータ22の駆動による圧力室11内のインクの圧力変動を、吐出用パルスとしての先行パルスSでの圧電アクチュエータ22の駆動による圧力室11内のインクの圧力変動の半分以下に抑えることができることがわかる。なお、表6では、(X2+X3)が4.48マイクロ秒以下となる範囲を太線で囲んでいる。
【0076】
<効果>
第2実施形態では、駆動信号Wcにおいて、(X2+X3)が4.48マイクロ秒以下となるようにすることにより、例えば表5の結果からもわかるように、0.85≦(UN/U1)≦1.15、且つ、0.85≦(UN/U2)≦1.15の大小関係を満たすようにすることができる。これにより、連続して圧電アクチュエータ22を駆動したときの、先の駆動による圧力室11内のインクの圧力変動が、後の駆動による圧力室11内のインクの圧力変動に与える影響を極力抑えることができる。
【0077】
また、第2実施形態では、駆動信号Wcにおいて、(X2+X3)が4.48マイクロ秒以下となるようにすることにより、例えば表6の結果からもわかるように、(P2/P1)≦0.5の大小関係を満たすようにすることができる。これにより、後続パルスKでの圧電アクチュエータ22の駆動による圧力室11内のインクの圧力変動を極力抑えて、後の駆動時のノズル10からのインク滴の吐出特性に影響を与えないようにすることができる。
【0078】
[変形例]
以上、本発明の好適な第1、第2実施形態について説明したが、本発明は上述の第1、第2実施形態には限られず、特許請求の範囲に記載の限りにおいて様々な変更が可能である。
【0079】
第1、第2実施形態では、[(1/F)-(X1+X2+X3)]が1.0マイクロ秒以上であったが、これには限られない。[(1/F)-(X1+X2+X3)]が1.0マイクロ秒未満であってもよい。
【0080】
また、第1、第2実施形態では、(X1+X2)を7.0マイクロ秒以上とすることによって、吐出速度が5.0m/s以上となるようにしたが、これには限られない。(X1+X2)を7.0マイクロ秒未満としつつ、吐出速度が5.0m/s以上となるようにしてもよい。
【0081】
また、第1、第2実施形態では、所定速度を5.0m/sに設定することで、SPを3.68マイクロ秒(3.5マイクロ秒以上AL未満)として、SP≦X1≦ALの関係を満たすようにしたが、これには限られない。
【0082】
例えば、所定速度を5.0m/s以外の吐出速度に設定することで、SPを3.5マイクロ秒以上且つAL未満の条件を満たす3.68マイクロ秒以外の時間に設定してもよい。あるいは、所定速度を5.0m/s以外の吐出速度に設定することで、SPを、3.5マイクロ秒未満の時間に設定してもよい。
【0083】
また、第1、第2実施形態では、X3<X1の関係を満たしており、先行パルスSが吐出用のパルスであり、後続パルスKがキャンセルパルスであったが、これには限られない。例えば、X3≧X1の関係を満たすようになっていてもよい。この場合、例えば、先行パルスS及び後続パルスKの両方が、吐出用パルスとなる。
【0084】
また、第1、第2実施形態では、駆動信号における先行パルスS及び後続パルスKが矩形のパルスであったが、これには限られない。例えば、駆動信号における先行パルスS及び後続パルスKの少なくとも片方のパルスは、例えば台形のパルス等、矩形以外のパルスであってもよい。
【0085】
また、第1実施形態では、ドライバIC51から個別電極44に、X2>X3且つX1≦AL<X2の大小関係を満たす駆動信号を送信することによって、ノズル10から大玉を吐出させたが、これに限られない。例えば、第1実施形態において、ドライバIC51から個別電極44に、X2>X3及びX1≦AL<X2のうち少なくとも片方の大小関係を満たさない駆動信号を送信することによって、ノズル10から大玉を吐出させてもよい。
【0086】
また、第1実施形態では、ドライバIC51から個別電極44に、X2≦X3<X1の大小関係を満たす駆動信号を送信することによって、ノズル10から小玉を吐出させたが、これに限られない。例えば、第1実施形態において、ドライバIC51から個別電極44に、X2≦X3<X1の大小関係を満たさない駆動信号を送信することで、ノズル10から小玉を吐出させてもよい。
【0087】
また、第1実施形態では、X3≦0.85×SPの関係を満たすようにしたが、これには限られない。例えば、X1≦ALの大小関係を満たし、且つ、X3>0.85×SPの関係を満たすようにするとともに、サテライトが発生しないようにX1~X3を設定してもよい。
【0088】
また、第2実施形態では、(X2+X3)が4.48マイクロ秒以下となるようにすることによって、0.85≦(UN/U1)≦1.15、0.85≦(UN/U2)≦1.15の関係と、(P2/P1)≦0.5の関係とを満たすようにしたが、これには限られない。
【0089】
例えば、X1≦ALの大小関係を満たし、且つ、(X2+X3)が4.48マイクロ秒を超えるようにしつつも、0.85≦(UN/U1)≦1.15、0.85≦(UN/U2)≦1.15の関係、及び、(P2/P1)≦0.5の関係を満たすようにX1~X3を設定してもよい。
【0090】
また、このとき、0.85≦(UN/U1)≦1.15、0.85≦(UN/U2)≦1.15、及び、(P2/P1)≦0.5の関係のうち、一部の関係のみを満たすようにX1~X3を設定してもよい。
【0091】
また、第2実施形態において、0.85≦(UN/U1)≦1.15、0.85≦(UN/U2)≦1.15、(P2/P1)≦0.5の関係を全て満たさないように、X1~X3を設定してもよい。
【0092】
また、第1実施形態では、ドライバIC51から個別電極44に2種類の駆動信号Wa,Wbのいずれかを選択的に送信することで、ノズル10から大玉及び小玉のいずれかを選択的に吐出可能となっていたが、これには限られない。例えば、第1実施形態において、ドライバIC51から個別電極44に、X1≦ALの大小関係を満たす3種類以上の駆動信号のいずれかを選択的に送信することで、ノズル10から体積の異なる3種類以上のインク滴のいずれかを選択的に吐出可能としてもよい。
【0093】
また、第2実施形態では、ドライバIC51から個別電極44に送信する1種類の駆動信号についてのみ説明したが、ドライバIC51から個別電極44に送信可能な駆動信号は、1種類であることには限られない。例えば、ドライバIC51から個別電極44にX1≦ALの大小関係を満たす2種類以上の駆動信号のいずれかを選択的に送信することによって、ノズル10から体積の異なる2種類以上のインク滴のいずれかを選択的に吐出可能としてもよい。
【0094】
また、以上では、ALが4.0マイクロ秒以上7.0マイクロ秒以下のインクジェットヘッドに本発明を適用した例について説明したが、これには限られない。ALが4.0マイクロ秒未満のインクジェットヘッド、又はALが7.0マイクロ秒よりも長いインクジェットヘッドに本発明を適用することも可能である。
【0095】
また、以上では、圧電アクチュエータを駆動させることによって圧力室内のインクに圧力を付与するインクジェットヘッドを備えたプリンタに本発明を適用した例について説明したが、これには限られない。例えば、圧電アクチュエータ以外のアクチュエータによって圧力室内のインクに圧力を付与するインクジェットヘッドに本発明を適用することも可能である。さらには、インク滴以外の液滴を吐出する液体吐出ヘッドを備えたプリンタ以外の液滴吐出装置に本発明を適用することも可能である。
【符号の説明】
【0096】
1 プリンタ
3 インクジェットヘッド
10 ノズル
11 圧力室
22 圧電アクチュエータ
80 制御装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6