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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022085276
(43)【公開日】2022-06-08
(54)【発明の名称】燃料分配管
(51)【国際特許分類】
   F02M 55/02 20060101AFI20220601BHJP
   F02M 37/00 20060101ALI20220601BHJP
【FI】
F02M55/02 360A
F02M55/02 350A
F02M55/02 350D
F02M37/00 D
F02M37/00 321A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020196883
(22)【出願日】2020-11-27
(71)【出願人】
【識別番号】390039929
【氏名又は名称】三桜工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100114270
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 朋也
(74)【代理人】
【識別番号】100130052
【弁理士】
【氏名又は名称】大阪 弘一
(72)【発明者】
【氏名】野村 政和
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 耕太郎
【テーマコード(参考)】
3G066
【Fターム(参考)】
3G066AB02
3G066AC09
3G066AD05
3G066BA30
3G066BA40
3G066BA47
3G066CB19
(57)【要約】
【課題】管部材の膨らみを許容しつつ管部材に発生する応力を低減する。
【解決手段】燃料分配管1は、貯留空間21を形成する管部材2と、管部材2の先端部22に挿入及び接合されて、貯留空間21に接続される貫通孔44が形成された配管接続部材4と、管部材2の先端部23に挿入及び接合されて、貯留空間21に接続される貫通孔53が形成されたセンサ接続部材5と、を備える。配管接続部材4は、貯留空間21に隣接された中間径部45と、小径部46と、を有する。中間径部45は、小径部46の内径よりも大きく管部材2の内径よりも小さい内径を有する。センサ接続部材5は、貯留空間21に隣接された中間径部54と、小径部55と、を有する。中間径部54は、小径部55の内径よりも大きく管部材2の内径よりも小さい内径を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料配管から供給された燃料を複数の燃料噴射装置に分配供給する燃料分配管であって、
内部に前記燃料を貯留する貯留空間を形成する管部材と、
前記管部材の先端部に挿入及び接合されて、前記貯留空間に接続される貫通孔が形成された接続部材と、を備え、
前記接続部材は、前記貯留空間に隣接された中間径部と、前記中間径部よりも前記貯留空間の反対側に配置された小径部と、を有し、
前記中間径部は、前記小径部の内径よりも大きく前記管部材の内径よりも小さい内径を有する、
燃料分配管。
【請求項2】
前記貯留空間の前記管部材の中心軸線と直交する断面は、前記管部材の延在方向における全域において略同じである、
請求項1に記載の燃料分配管。
【請求項3】
前記接続部材は、前記中間径部と前記小径部とに接続されて前記中間径部側から前記小径部側に向かうに従い小さくなる内径を有するテーパ径部を更に有する、
請求項1又は2に記載の燃料分配管。
【請求項4】
前記管部材の中心軸線を含む基準断面における前記テーパ径部の内周面のなす角度は、110°以上160°以下である、
請求項3に記載の燃料分配管。
【請求項5】
前記管部材の延在方向において、前記中間径部の長さは、前記管部材に対する前記接続部材の挿入長さよりも短く、前記中間径部の肉厚よりも長い、
請求項1~4の何れか一項に記載の燃料分配管。
【請求項6】
前記中間径部の肉厚は、前記管部材の肉厚の0.3倍以上1.5倍以下である、
請求項1~5の何れか一項に記載の燃料分配管。
【請求項7】
前記接続部材は、前記燃料配管と接続される配管接続部材である、
請求項1~6の何れか一項に記載の燃料分配管。
【請求項8】
前記小径部の前記内径は、1mm以上11mm以下である、
請求項7に記載の燃料分配管。
【請求項9】
前記接続部材は、前記貯留空間に貯留されている前記燃料の圧力を検出する燃料圧力センサに接続されるセンサ接続部材である、
請求項1~6の何れか一項に記載の燃料分配管。
【請求項10】
前記小径部の前記内径は、3mm以上9mm以下である、
請求項9に記載の燃料分配管。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料を複数の燃料噴射装置に分配供給する燃料分配管に関する。
【背景技術】
【0002】
直噴エンジン等では、燃料分配管を用いて、高圧ポンプにより圧縮された高圧の燃料を複数の燃料噴射装置に分配供給する。特許文献1には、燃料供給路(燃料配管)が接続されて複数のインジェクタに燃料を分配供給するフューエルデリバリパイプが記載されている。このフューエルデリバリパイプでは、フューエルデリバリパイプの内部に形成された主管孔(貯留空間)の先端部に、フューエルデリバリパイプの脈動を低減させるためのオリフィスが形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-097690号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
燃料分配管には、内部に燃料を貯留する貯留空間を形成する管部材と、管部材の先端部に挿入及び接合されて管部材の内径よりも小さい内径を有する接続部材と、を備えたものがある。このような燃料分配管においては、燃料が高圧化すると、燃料の圧力により管部材が膨らみやすくなる。しかしながら、接続部材が挿入及び接合された管部材の先端部は、接続部材により剛性が高められて膨らみが阻害されるため、管部材の貯留空間を形成する中央部のみが膨らみやすくなる。その結果、管部材の中央部と先端部との境界部に高い応力が発生し、金属疲労が促進され、寿命が短くなる可能性がある。
【0005】
ここで、管部材の肉厚を厚くして燃料の圧力により管部材が膨らまないようにすることが考えられる。しかしながら、管部材の肉厚を厚くすると、燃料分配管の重量が増加するとともにコストが高くなる。また、管部材の肉厚増加により管部材の外径が大きくなると、燃料分配管のレイアウト自由度が低下する。管部材の肉厚増加により管部材の内径が小さくなると、高圧ポンプの作動に起因する燃料の脈動により発生する放射音が増加する。
【0006】
そこで、本発明は、管部材の膨らみを許容しつつ管部材に発生する応力を低減することができる燃料分配管を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る燃料分配管は、燃料配管から供給された燃料を複数の燃料噴射装置に分配供給する燃料分配管であって、内部に燃料を貯留する貯留空間を形成する管部材と、管部材の先端部に挿入及び接合されて、貯留空間に接続される貫通孔が形成された接続部材と、を備え、接続部材は、貯留空間に隣接された中間径部と、中間径部よりも貯留空間の反対側に配置された小径部と、を有し、中間径部は、小径部の内径よりも大きく管部材の内径よりも小さい内径を有する。
【0008】
この燃料分配管では、管部材の先端部に挿入及び接合された接続部材が、貯留空間に隣接された中間径部と中間径部よりも貯留空間の反対側に配置された小径部とを有し、中間径部が、管部材の内径よりも小さく小径部の内径よりも大きい内径を有する。つまり、接続部材では、小径部の剛性に比べて貯留空間に隣接された中間径部の剛性が低くなっている。このため、燃料の圧力を受けると、接続部材の中間径部も、管部材の貯留空間を形成する中央部に追従して膨らみやすくなる。これにより、管部材の中央部と先端部との境界部に発生する応力が抑制される。
【0009】
貯留空間の管部材の中心軸線と直交する断面は、管部材の延在方向における全域において略同じであってもよい。この燃料分配管では、貯留空間の管部材の中心軸線と直交する断面が、管部材の延在方向における全域において略同じであることで、燃料の圧力により管部材が膨らんだ際に、局部的に応力集中が発生するのを抑制することができる。
【0010】
接続部材は、中間径部と小径部とに接続されて中間径部側から小径部側に向かうに従い小さくなる内径を有するテーパ径部を更に有してもよい。この燃料分配管では、接続部材に、中間径部と小径部とに接続されて中間径部側から小径部側に向かうに従い小さくなる内径を有するテーパ径部が形成されているため、中間径部を、管部材の貯留空間を形成する中央部に追従して更に膨らみやすくすることができる。
【0011】
管部材の中心軸線を含む基準断面におけるテーパ径部の内周面のなす角度は、110°以上160°以下であってもよい。この燃料分配管では、管部材の中心軸線を含む基準断面におけるテーパ径部の内周面のなす角度が110°以上160°以下であることで、接続部材が長くなり過ぎるのを抑制することができるとともに、接続部材の中間径部を適切に膨らませることができる。
【0012】
管部材の延在方向において、中間径部の長さは、管部材に対する接続部材の挿入長さよりも短く、中間径部の肉厚よりも長くてもよい。この燃料分配管では、管部材の延在方向において中間径部の長さが管部材に対する接続部材の挿入長さよりも短く中間径部の肉厚よりも長いいことで、接続部材が長くなり過ぎるのを抑制することができるとともに、接続部材の中間径部を適切に膨らませることができる。
【0013】
中間径部の肉厚は、管部材の肉厚の0.3倍以上1.5倍以下であってもよい。この燃料分配管では、中間径部の肉厚が管部材の肉厚の0.3倍以上1.5倍以下であることで、中間径部の剛性を十分に確保しつつ、中間径部を、管部材の貯留空間を形成する中央部に追従して更に膨らみやすくすることができる。
【0014】
接続部材は、燃料配管と接続される配管接続部材であってもよい。この燃料分配管では、接続部材が配管接続部材であることで、長期にわたって、燃料配管から供給される燃料を貯留空間に適切に供給することができる。また、接続部材がセンサ接続部材であることで、長期にわたって、貯留空間に貯留されている燃料の圧力を燃料圧力センサに適切に伝えることができる。
【0015】
小径部の内径は、1mm以上11mm以下であってもよい。この燃料分配管では、接続部材が配管接続部材である場合に、小径部の内径が1mm以上11mm以下であることで、燃料配管から供給される燃料を適切に貯留空間に供給しつつ、燃料分配管が大きくなり過ぎるのを抑制することができるとともに、燃料の通過が阻害されるのを抑制することができる。
【0016】
前記接続部材は、前記貯留空間に貯留されている前記燃料の圧力を検出する燃料圧力センサに接続されるセンサ接続部材であってもよい。この燃料分配管では、接続部材がセンサ接続部材であることで、長期にわたって、貯留空間に貯留されている燃料の圧力を燃料圧力センサに適切に伝えることができる。
【0017】
前記小径部の前記内径は、3mm以上9mm以下であってもよい。この燃料分配管では、接続部材がセンサ接続部材である場合小径部の内径が3mm以上9mm以下であることで、貯留空間に貯留されている燃料の圧力を適切に燃料圧力センサに伝えつつ、燃料分配管が大きくなり過ぎるのを抑制することができるとともに、燃料の通過が阻害されるのを抑制することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、管部材の膨らみを許容しつつ管部材に発生する応力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第一実施形態に係る燃料分配管の概略正面図である。
図2図1に示す燃料分配管の一部を示す概略断面図である。
図3図2における配管接続部材の周辺を拡大した概略断面図である。
図4図2におけるセンサ接続部材の周辺を拡大した概略断面図である。
図5】比較例1の燃料分配管の一部を示す概略断面図である。
図6】第二実施形態に係る燃料分配管の概略断面図である。
図7図6に示す燃料分配管の一部を示す概略断面図である。
図8図7における蓋部材の周辺を拡大した概略断面図である。
図9】比較例2の燃料分配管の一部を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、実施形態に係る燃料分配管を説明する。なお、各図において同一又は相当する要素については同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0021】
[第一実施形態]
【0022】
図1は第一実施形態に係る燃料分配管の概略斜視図である。図2は、図1に示す燃料分配管の一部を示す概略断面図である。図1及び図2に示すように、本実施形態に係る燃料分配管1は、高圧ポンプ(不図示)により圧縮されて燃料配管(不図示)から供給された高圧の燃料を、エンジン(不図示)の各気筒(不図示)に対応して設けられる燃料噴射装置(不図示)に分配供給するものである。燃料分配管1は、フューエルインジェクションレール、フューエルデリバリパイプ、コモンレール等とも呼ばれる。
【0023】
燃料分配管1は、管部材2と、複数のハウジング3と、配管接続部材4と、センサ接続部材5と、を備える。なお、図面では、4個のハウジング3を備える燃料分配管1を示しているが、ハウジング3の数は、2以上の複数であれば特に限定されない。
【0024】
管部材2は、複数の燃料噴射装置に燃料を供給するために、高圧ポンプから圧送された燃料を高圧状態で貯留するための部材である。管部材2は、例えば、エンジンの気筒列方向(クランク軸方向)に沿って直線状に延びる円管状に形成されている。管部材2の管形状は、必ずしも直線状に延びる円管状である必要はなく、様々な形状とすることができる。管部材2の内部には、燃料を貯留する貯留空間21が形成されている。後述するように、管部材2の一方側(図1及び図2における左側)の先端部22に配管接続部材4が挿入及び接合され、管部材2の他方側(図1及び図2における右側)の先端部23にセンサ接続部材5が挿入及び接合される。このため、貯留空間21は、管部材2の、配管接続部材4及びセンサ接続部材5が挿入及び接合されていない中央部24により形成される。なお、管部材2は、ステー(不図示)等の部材によりエンジンに固定されている。
【0025】
貯留空間21の管部材2の中心軸線Aと直交する断面は、管部材2の延在方向Bにおける全域において略同じである。ここで、略同じとは、完全に同一である場合に限定されるものではなく、±10%程度の製造上の誤差又は公差等を許容する意味である。例えば、管部材2における最も厚い部分の板厚と最も薄い部分の板厚との中間の板厚を基準板厚とした場合、管部材2の任意の位置の板厚は、基準板厚の±10%以内である。管部材2の中心軸線Aは、管部材2の径方向中心を通る線であって、管部材2の延在方向Bに延びる線である。
【0026】
ハウジング3は、燃料噴射装置を気密に保持して、管部材2の貯留空間21から燃料噴射装置に燃料を供給するための部材である。ハウジング3は、管部材2の周面上に接合されている。管部材2に対するハウジング3の接合は、ろう付け、溶接等により行うことができる。ハウジング3は、燃料噴射装置に対応して設けられる。
【0027】
図3は、図2における配管接続部材の周辺を拡大した概略断面図である。図1図3に示すように、配管接続部材4は、燃料配管と接続される接続部材である。配管接続部材4は、管部材2の中心軸線Aを中心とした筒状に形成されている。延在方向Bにおける配管接続部材4の一方側の先端(図1図3における左側の先端)を外側先端4aといい、延在方向Bにおける配管接続部材4の他方側の先端(図1図3における右側の先端)を内側先端4bという。
【0028】
配管接続部材4は、管部材2の先端部22に挿入及び接合されている。管部材2の先端部22に対する配管接続部材4の接合は、ろう付け、溶接等により行うことができる。本実施形態では、配管接続部材4は、ろう付けにより管部材2に接合されている。
【0029】
配管接続部材4の外周面は、雄ネジ面41と、挿入面42と、当接面43と、を有する。雄ネジ面41は、燃料配管を螺合するための雄ネジを形成している。雄ネジ面41は、延在方向Bに沿って外側先端4aから内側先端4b側に向けて延びている。なお、雄ネジ面41と外側先端4aとの間に、燃料配管を螺合し易くするためのテーパ面等が形成されていてもよい。
【0030】
挿入面42は、延在方向Bに沿って内側先端4bから外側先端4a側に向けて円筒状に延びている。当接面43は、挿入面42の外側先端4a側において挿入面42から配管接続部材4の径方向外方に向けて立ち上がっている。そして、挿入面42が管部材2の先端部22に挿入されて当接面43が管部材2の先端部22の先端面25に当接された状態で、挿入面42が管部材2の先端部22にろう付けされている。なお、配管接続部材4の当接面43も管部材2の先端面25にろう付けされていてもよい。管部材2の先端面25は、延在方向Bにおける管部材2の先端部22側の端面である。また、挿入面42と内側先端4bとの間に、配管接続部材4を管部材2の先端部22に挿入し易くするためのテーパ面等が形成されていてもよい。
【0031】
管部材2の先端部22に挿入される前の挿入面42の外径は、管部材2の内径よりも大きくなっていてもよい。これにより、挿入面42を管部材2の先端部22に挿入してろう付けすることで、挿入面42が管部材2の先端部22に圧入された状態でろう付けされる。例えば、挿入面42に、ローレット加工等により凹凸を形成し、凸の最大外径を管部材2の内径よりも大きくし、凹の最小外径を管部材2の内径よりも小さくしてもよい。これにより、凸部が管部材2の先端部22に押圧され、凹部にろう材が入り込むため、管部材2の先端部22に対する挿入面42の接合強度を高めることができる。
【0032】
配管接続部材4の内周面は、燃料配管から供給された高圧の燃料を貯留空間21に供給するための貫通孔44を形成している。貫通孔44は、貯留空間21に隣接されており、管部材2の中心軸線Aを中心として延在方向Bに延びている。
【0033】
配管接続部材4は、中間径部45と、小径部46と、テーパ径部47と、を有する。中間径部45は、貯留空間21に隣接する、配管接続部材4の一部である。小径部46は、中間径部45よりも貯留空間21の反対側に位置する、配管接続部材4の一部である。テーパ径部47は、中間径部45と小径部46との間に位置して中間径部45と小径部46とに接続された、配管接続部材4の一部である。中間径部45と、テーパ径部47と、小径部46の少なくとも一部とは、挿入面42を形成する。つまり、挿入面42は、中間径部45の外周面と、テーパ径部47の外周面と、小径部46の少なくとも一部の外周面と、により形成される。
【0034】
小径部46の内径D2は、管部材2の内径D1よりも小さい。本実施形態では、小径部46の内径D2は、貫通孔44において最も小さい内径である。
【0035】
管部材2の内径D1は、特に限定されるものではない。例えば、高圧ポンプの作動に起因する燃料の脈動により発生する放射音を抑制できる観点から、管部材2の内径D1は、10mm以上、好ましくは11mm以上、更に好ましくは12mm以上であってもよい。また、燃料分配管1が大きくなり過ぎるのを抑制できる観点から、管部材2の内径D1は、16mm以下、好ましくは15mm以下、更に好ましくは14mm以下であってもよい。これらの最大値及び最小値は適宜組み合わせることができ、例えば、管部材2の内径D1は、10mm以上16mm以下、好ましくは11mm以上15mm以下、更に好ましくは12mm以上14mm以下であってもよい。
【0036】
小径部46の内径D2は、特に限定されるものではない。例えば、燃料の通過が阻害されるのを抑制することができる観点から、小径部46の内径D2は、1mm以上、好ましくは2mm以上、更に好ましくは3mm以上であってもよい。また、燃料分配管1が大きくなり過ぎるのを抑制できる観点から、小径部46の内径D2は、11mm以下、好ましくは10mm以下、更に好ましくは9mm以下であってもよい。これらの最大値及び最小値は適宜組み合わせることができ、例えば、小径部46の内径D2は、1mm以上11mm以下、好ましくは2mm以上10mm以下、更に好ましくは3mm以上9mm以下であってもよい。
【0037】
中間径部45の内径D3は、小径部46の内径D2よりも大きく、管部材2の内径D1よりも小さい。このため、配管接続部材4では、小径部46の剛性に比べて貯留空間21に隣接された中間径部45の剛性が低くなっている。これにより、配管接続部材4では、燃料の圧力を受けて、管部材2の中央部24が膨らむと、配管接続部材4の中間径部45も管部材2の中央部24に追従して膨らみやすくなる。
【0038】
中間径部45の内径D3は、上記条件を満たせば特に限定されるものではない。例えば、中間径部45の剛性を十分に確保できる観点から、中間径部45の内径D3は、オリフィス径より大きく、小径部46との関係でオリフィスとして実質的に機能しない大きさ(オリフィス効果が実質的にない大きさ)、例えば、1mmより大きく、好ましくは2mmより大きく、更に好ましくは3mmより大きくてもよい。また、管部材2の中央部24に追従して膨らみやすくなる観点から、中間径部45の内径D3は、14mmより小さく、好ましくは13mmより小さく、更に好ましくは12mmより小さくてもよい。これらの最大値及び最小値は適宜組み合わせることができ、例えば、管部材2の内径D1は、1mmより大きく14mmより小さく、好ましくは2mmより大きく13mmより小さく、更に好ましくは3mmより大きく12mmより小さくてもよい。。
【0039】
延在方向Bにおいて、中間径部45の長さL1は、管部材2に対する配管接続部材4の挿入長さL2よりも短くてもよい。管部材2に対する配管接続部材4の挿入長さL2は、延在方向Bにおける挿入面42の長さである。また、延在方向Bにおける中間径部45の長さL1は、中間径部45の肉厚T1よりも長くてもよい。
【0040】
中間径部45の肉厚T1は、特に限定されるものではない。例えば、中間径部45の剛性を十分に確保できる観点から、中間径部45の肉厚T1は、管部材2の肉厚T2の0.3倍以上、好ましくは0.7倍以上、更に好ましくは0.9倍以上であってもよい。また、管部材2の中央部24に追従して膨らみやすくなる観点から、中間径部45の肉厚T1は、管部材2の肉厚T2の1.5倍以下、好ましくは1.3倍以下、更に好ましくは1.1倍以下であってもよい。これらの最大値及び最小値は適宜組み合わせることができ、例えば、中間径部45の肉厚T1は、管部材2の肉厚T1の0.3倍以上1.5倍以下、好ましくは0.7倍以上1.3倍以下、更に好ましくは0.9倍以上1.1倍以下であってもよい。
【0041】
テーパ径部47は、中間径部45と小径部46とに接続されている。テーパ径部47の内径は、中間径部45側(内側先端4b側)から小径部46側(外側先端4a側)に向かうに従い小さくなっている。
【0042】
中心軸線Aを含む基準断面(図2及び図3に示す断面)において、テーパ径部47の内周面は、中間径部45から小径部46まで直線状に延びていてもよく、中間径部45から小径部46まで曲線状に延びていてもよく、中間径部45から小径部46まで屈曲して延びていてもよい。
【0043】
中心軸線Aを含む基準断面におけるテーパ径部47の内周面のなす角度θ1は、特に限定されるものではない。例えば、配管接続部材4が長くなり過ぎるのを抑制することができる観点から、角度θ1は、110°以上、好ましくは113°以上、更に好ましくは115°以上であってもよい。また、管部材2の中央部24に追従してセンサ接続部材5の中間径部45が膨らみやすくなる観点から、角度θ1は、160°以下、好ましくは155°以下、更に好ましくは150°以下であってもよい。これらの最大値及び最小値は適宜組み合わせることができ、例えば、角度θ1は、110°以上160°以下、好ましくは113°以上155°以下、更に好ましくは115°以上150°以下であってもよい。なお、テーパ径部47の内周面が中間径部45から小径部46まで直線状に延びていない場合、中心軸線Aを含む基準断面におけるテーパ径部47の内周面のなす角度θ1は、テーパ径部47の内周面の中間径部45側の先端と小径部46側の先端とを結んだ仮想線のなす角度となる。
【0044】
図4は、図2におけるセンサ接続部材の周辺を拡大した概略断面図である。図1,2及び4に示すように、センサ接続部材5は、貯留空間21に貯留されている燃料の圧力を検出する燃料圧力センサ(不図示)に接続される接続部材である。センサ接続部材5は、管部材2の中心軸線Aを中心とした筒状に形成されている。延在方向Bにおけるセンサ接続部材5の一方側の先端(図1図2及び図4における左側の先端)を内側先端5aといい、延在方向Bにおけるセンサ接続部材5の他方側の先端(図1図2及び図4における右側の先端)を外側先端5bという。
【0045】
センサ接続部材5は、管部材2の先端部23に挿入及び接合されている。管部材2の先端部23に対するセンサ接続部材5の接合は、ろう付け、溶接等により行うことができる。本実施形態では、センサ接続部材5は、ろう付けにより管部材2に接合されている。
【0046】
センサ接続部材5の外周面は、挿入面51と、当接面52と、を有する。
【0047】
挿入面51は、延在方向Bに沿って内側先端5aから外側先端5b側に向けて円筒状に延びている。当接面52は、挿入面51の外側先端5b側において挿入面51からセンサ接続部材5の径方向外方に向けて立ち上がっている。そして、挿入面51が管部材2の先端部23に挿入されて当接面52が管部材2の先端部23の先端面26に当接された状態で、挿入面51が管部材2の先端部23にろう付けされている。なお、センサ接続部材5の当接面52も管部材2の先端面26にろう付けされていてもよい。管部材2の先端面26は、延在方向Bにおける管部材2の先端部23側の端面である。また、挿入面51と内側先端5aとの間に、センサ接続部材5を管部材2の先端部23に挿入し易くするためのテーパ面等が形成されていてもよい。
【0048】
管部材2の先端部23に挿入される前の挿入面51の外径は、管部材2の内径よりも大きくなっていてもよい。これにより、挿入面51を管部材2の先端部23に挿入してろう付けすることで、挿入面51が管部材2の先端部23に圧入された状態でろう付けされる。例えば、挿入面51に、ローレット加工等により凹凸を形成し、凸の最大外径を管部材2の内径よりも大きくし、凹の最小外径を管部材2の内径よりも小さくしてもよい。これにより、凸部が管部材2の先端部23に押圧され、凹部にろう材が入り込むため、管部材2の先端部23に対する挿入面51の接合強度を高めることができる。
【0049】
センサ接続部材5の内周面は、燃料配管から供給された高圧の燃料を貯留空間21に供給するための貫通孔53を形成している。貫通孔53は、貯留空間21に隣接されており、管部材2の中心軸線Aを中心として延在方向Bに延びている。
【0050】
センサ接続部材5は、中間径部54と、小径部55と、テーパ径部56と、センサ接続部57と、を有する。中間径部54は、貯留空間21に隣接する、センサ接続部材5の一部である。小径部55は、中間径部54よりも貯留空間21の反対側に位置する、センサ接続部材5の一部である。テーパ径部56は、中間径部54と小径部55との間に位置して中間径部54と小径部55とに接続された、センサ接続部材5の一部である。センサ接続部57は、小径部55の貯留空間21の反対側に位置する、センサ接続部材5の一部である。中間径部54と、テーパ径部56と、小径部55の少なくとも一部とは、挿入面51を形成する。つまり、挿入面51は、中間径部54の外周面と、テーパ径部56の外周面と、小径部55の少なくとも一部の外周面と、により形成される。
【0051】
小径部55の内径D4は、管部材2の内径D1よりも小さい。本実施形態では、小径部55の内径D4は、貫通孔53において最も小さい内径である。
【0052】
小径部55の内径D4は、特に限定されるものではない。例えば、貯留空間21に貯留されている燃料の圧力を適切に燃料圧力センサに伝えることができる観点から、小径部55の内径D4は、3mm以上、好ましくは3.5mm以上、更に好ましくは4mm以上であってもよい。また、燃料分配管1が大きくなり過ぎるのを抑制できる観点から、小径部55の内径D4は、9mm以下、好ましくは7mm以下、更に好ましくは5mm以下であってもよい。これらの最大値及び最小値は適宜組み合わせることができ、例えば、小径部55の内径D4は、3mm以上9mm以下、好ましくは3.5mm以上7mm以下、更に好ましくは4mm以上5mm以下であってもよい。
【0053】
中間径部54の内径D5は、小径部55の内径D4よりも大きく、管部材2の内径D1よりも小さい。このため、センサ接続部材5では、小径部55の剛性に比べて貯留空間21に隣接された中間径部54の剛性が低くなっている。これにより、センサ接続部材5では、燃料の圧力を受けて管部材2の中央部24が膨らむと、センサ接続部材5の中間径部54も管部材2の中央部24に追従して膨らみやすくなる。
【0054】
中間径部54の内径D5は、上記条件を満たせば特に限定されるものではない。例えば、中間径部45の剛性を十分に確保できる観点から、中間径部54の内径D5は、オリフィス径より大きく、小径部46との関係でオリフィスとして実質的に機能しない大きさ(オリフィス効果が実質的にない大きさ)、例えば、3mmより大きく、好ましくは3.5mmより大きく、更に好ましくは4mmより大きくてもよい。また、管部材2の中央部24に追従して膨らみやすくなる観点から、中間径部54の内径D5は、14mmより小さく、好ましくは13mmより小さく、更に好ましくは12mmより小さくてもよい。これらの最大値及び最小値は適宜組み合わせることができ、例えば、中間径部54の内径D5は、3mmより大きく14mmより小さく、好ましくは3.5mmより大きく13mmより小さく、更に好ましくは4mmより大きく12mmより小さくてもよい。
【0055】
延在方向Bにおいて、中間径部54の長さL3は、管部材2に対するセンサ接続部材5の挿入長さL4よりも短くてもよい。管部材2に対するセンサ接続部材5の挿入長さL4は、延在方向Bにおける挿入面51の長さである。また、延在方向Bにおける中間径部54の長さL3は、中間径部54の肉厚T3よりも長くてもよい。
【0056】
中間径部54の肉厚T3は、特に限定されるものではない。例えば、中間径部54の肉厚T3の範囲は、配管接続部材4の中間径部45の肉厚T1の範囲と同様としてもよい。なお、中間径部54の肉厚T3は、配管接続部材4の中間径部45の肉厚T1と同じであっても違っていてもよい。
【0057】
テーパ径部56は、中間径部54と小径部55とに接続されている。テーパ径部56の内径は、中間径部54側(内側先端5a側)から小径部55側(外側先端5b側)に向かうに従い小さくなっている。
【0058】
中心軸線Aを含む基準断面(図2及び図4に示す断面)において、テーパ径部56の内周面は、中間径部54から小径部55まで直線状に延びていてもよく、中間径部54から小径部55まで曲線状に延びていてもよく、中間径部54から小径部55まで屈曲して延びていてもよい。
【0059】
中心軸線Aを含む基準断面におけるテーパ径部56の内周面のなす角度θ2は、特に限定されるものではない。例えば、テーパ径部56の内周面のなす角度θ2の範囲は、配管接続部材4のテーパ径部47の内周面のなす角度θ1の範囲と同様としてもよい。なお、テーパ径部56の内周面のなす角度θ2は、配管接続部材4のテーパ径部47の内周面のなす角度θ1と同じであっても違っていてもよい。なお、テーパ径部56の内周面が中間径部54から小径部55まで直線状に延びていない場合、中心軸線Aを含む基準断面におけるテーパ径部56の内周面のなす角度θ2は、テーパ径部56の内周面の中間径部54側の先端と小径部55側の先端とを結んだ仮想線のなす角度となる。
【0060】
センサ接続部57には、燃料圧力センサが接続される。燃料圧力センサは、センサ接続部57に接続されることで、小径部55を介して、貯留空間21に貯留されている燃料の圧力を検出する。センサ接続部57の内周面は、燃料圧力センサが螺合される雌ネジ面57aと、雌ネジ面57aに螺合された燃料圧力センサが当接されるセンサ当接面57bと、を有する。雌ネジ面57aは、燃料圧力センサを螺合するための雌ネジを形成している。雌ネジ面57aは、延在方向Bに沿って外側先端5bから内側先端5a側に向けて延びている。なお、雌ネジ面57aと外側先端5bとの間に、燃料圧力センサを螺合し易くするためのテーパ面等が形成されていてもよい。センサ当接面57bは、小径部55に隣接されている。センサ当接面57bは、燃料圧力センサの形状に合わせて、外側先端5b側から内側先端5a側に向けて内径が小さくなるテーパ状に形成されている。
【0061】
ここで、図5を参照して、比較例1の燃料分配管101について説明する。図5に示す比較例1の燃料分配管101は、管部材2と同様の管部材102と、配管接続部材4に対応する配管接続部材104と、センサ接続部材5に対応するセンサ接続部材105と、を備えている。配管接続部材104は、配管接続部材4の中間径部45、小径部46及びテーパ径部47の代わりに、小径部46と同じ内径の小径部146を有する。センサ接続部材105は、センサ接続部材5の中間径部54、小径部55及びテーパ径部56の代わりに、小径部55と同じ内径の小径部155を有する。
【0062】
このように構成される比較例1の燃料分配管101では、貯留空間121に供給された燃料の圧力を受けると、配管接続部材104が挿入及び接合された管部材102の先端部122は、配管接続部材104の小径部146により剛性が高められて膨らみが阻害される。同様に、センサ接続部材105が接合された管部材102の先端部123は、センサ接続部材105により剛性が高められて膨らみが阻害される。その結果、管部材102の中央部124のみが膨らみやすくなって、管部材102の中央部124と先端部122との境界部128と、管部材102の中央部と先端部123との境界部129とに、高い応力が発生する。これにより金属疲労が促進されて寿命が短くなる可能性がある。
【0063】
これに対して、本実施形態に係る燃料分配管1では、管部材2の先端部22に挿入及び接合された配管接続部材4が、貯留空間21に隣接された中間径部45と中間径部45よりも貯留空間21の反対側に配置された小径部46とを有し、中間径部45が、管部材2の内径D1よりも小さく小径部46の内径D2よりも大きい内径D3を有する。つまり、配管接続部材4では、小径部46の剛性に比べて貯留空間21に隣接された中間径部45の剛性が低くなっている。このため、燃料の圧力を受けると、配管接続部材4の中間径部45も、管部材2の貯留空間21を形成する中央部24に追従して膨らみやすくなる。これにより、管部材2の中央部24と先端部22との境界部27に発生する応力が抑制される。同様に、管部材2の先端部23に挿入及び接合されたセンサ接続部材5が、貯留空間21に隣接された中間径部54と中間径部54よりも貯留空間21の反対側に配置された小径部55とを有し、中間径部54が、管部材2の内径D1よりも小さく小径部55の内径D4よりも大きい内径D5を有する。つまり、センサ接続部材5では、小径部55の剛性に比べて貯留空間21に隣接された中間径部54の剛性が低くなっている。このため、燃料の圧力を受けると、センサ接続部材5の中間径部54も、管部材2の貯留空間21を形成する中央部24に追従して膨らみやすくなる。これにより、管部材2の中央部24と先端部23との境界部28に発生する応力が抑制される。
【0064】
また、この燃料分配管1では、貯留空間21の管部材2の中心軸線Aと直交する断面が、管部材2の延在方向Bにおける全域において略同じであることで、燃料の圧力により管部材2が膨らんだ際に、局部的に応力集中が発生するのを抑制することができる。
【0065】
また、この燃料分配管1では、配管接続部材4に、中間径部45と小径部46とに接続されて中間径部45側から小径部46側に向かうに従い小さくなる内径を有するテーパ径部47が形成されているため、中間径部45を、管部材2の貯留空間21を形成する中央部24に追従して更に膨らみやすくすることができる。これにより、管部材2の中央部24と先端部22との境界部27に発生する応力が更に抑制される。同様に、センサ接続部材5に、中間径部54と小径部55とに接続されて中間径部54側から小径部556側に向かうに従い小さくなる内径を有するテーパ径部56が形成されているため、中間径部54を、管部材2の貯留空間21を形成する中央部24に追従して更に膨らみやすくすることができる。これにより、管部材2の中央部24と先端部23との境界部28に発生する応力が更に抑制される。
【0066】
また、この燃料分配管1では、管部材2の中心軸線Aを含む基準断面におけるテーパ径部47及びテーパ径部56の内周面のなす角度θ1及び角度θ2が110°以上160°以下であることで、配管接続部材4及びセンサ接続部材5が長くなり過ぎるのを抑制することができるとともに、配管接続部材4の中間径部45及びセンサ接続部材5の中間径部54を適切に膨らませることができる。
【0067】
また、この燃料分配管1では、配管接続部材4及びセンサ接続部材5が管部材2の先端部22及び先端部23に挿入された状態で接合されていることで、管部材2に対して配管接続部材4及びセンサ接続部材5を強固に接合することができる。
【0068】
また、この燃料分配管1では、管部材2の延在方向Bにおいて中間径部45の長さL1が管部材2に対する配管接続部材4の挿入長さL2よりも短く、中間径部45の肉厚T1よりも長いいことで、配管接続部材4が長くなり過ぎるのを抑制することができるとともに、配管接続部材4の中間径部45を適切に膨らませることができる。同様に、管部材2の延在方向Bにおいて中間径部54の長さL3が管部材2に対するセンサ接続部材5の挿入長さL4よりも短く、中間径部54の肉厚T3よりも長いいことで、配管接続部材4が長くなり過ぎるのを抑制することができるとともに、配管接続部材4の中間径部45を適切に膨らませることができる。
【0069】
また、この燃料分配管1では、中間径部45の肉厚T1が管部材2の肉厚T2の0.3倍以上1.5倍以下、好ましくは0.7倍以上1.3倍以下、更に好ましくは0.9倍以上1.1倍以下であることで、中間径部45の剛性を十分に確保しつつ、中間径部45を、管部材2の貯留空間21を形成する中央部24に追従して更に膨らみやすくすることができる。同様に、中間径部54の肉厚T3が管部材2の肉厚T2の0.3倍以上1.5倍以下、好ましくは0.7倍以上1.3倍以下、更に好ましくは0.9倍以上1.1倍以下であることで、中間径部54の剛性を十分に確保しつつ、中間径部54を、管部材2の貯留空間21を形成する中央部24に追従して更に膨らみやすくすることができる。
【0070】
また、この燃料分配管1では、配管接続部材4が中間径部45を有することで、長期にわたって、燃料配管から供給される燃料を貯留空間に適切に供給することができる。同様に、センサ接続部材5が中間径部54を有することで、長期にわたって、貯留空間21に貯留されている燃料の圧力を燃料圧力センサに適切に伝えることができる。
【0071】
また、この燃料分配管では、小径部46の内径D2が1mm以上11mm以下、好ましくは2mm以上10mm以下、更に好ましくは3mm以上9mm以下であることで、燃料配管から供給される燃料を適切に貯留空間21に供給しつつ、燃料分配管1が大きくなり過ぎるのを抑制することができるとともに、燃料の通過が阻害されるのを抑制することができる。同様に、小径部55の内径D4が3mm以上9mm以下、好ましくは3.5mm以上7mm以下、更に好ましくは4mm以上5mm以下であることで、貯留空間21に貯留されている燃料の圧力を適切に燃料圧力センサに伝えつつ、燃料分配管1が大きくなり過ぎるのを抑制することができるとともに、燃料の通過が阻害されるのを抑制することができる。
【0072】
[第二実施形態]
【0073】
次に、第二実施形態について説明する。第二実施形態は、基本的に第一実施形態と同様であり、センサ接続部材が管部材の周面上に接合され、センサ接続部材の代わりに蓋部材が管部材の先端部に接合されている点のみ第一実施形態と相違する。このため、以下の説明では、第一実施形態と相違する事項のみを説明し、第一実施形態と同様の説明を省略する。
【0074】
図6は第二実施形態に係る燃料分配管の概略斜視図である。図7は、図6に示す燃料分配管の一部を示す概略断面図である。図6及び図7に示すように、本実施形態に係る燃料分配管1Aは、管部材2と、複数のハウジング3と、配管接続部材4と、センサ接続部材5Aと、蓋部材6と、を備える。
【0075】
センサ接続部材5Aは、第一実施形態のセンサ接続部材5と同様に、貯留空間21に貯留されている燃料の圧力を検出する燃料圧力センサ(不図示)に接続される接続部材である。センサ接続部材5Aは、管部材2の周面上に接合されている。管部材2の周面に対するセンサ接続部材5Aの接合は、ろう付け、溶接等により行うことができる。
【0076】
蓋部材6は、第一実施形態のセンサ接続部材5の代わりに、管部材2の他方側(図6及び図7における右側)の先端部23に挿入及び接合されている。このため、貯留空間21は、管部材2の、配管接続部材4及び蓋部材6が挿入及び接合されていない中央部24により形成される。
【0077】
図8は、図7における蓋部材の周辺を拡大した概略断面図である。図6図8に示すように、蓋部材6は、管部材2の他方側を閉塞する接続部材である。蓋部材6は、管部材2の中心軸線Aを中心としたキャップ状に形成されている。延在方向Bにおける蓋部材6の一方側の先端(図6図8における左側の先端)を内側先端6aといい、延在方向Bにおける蓋部材6の他方側の先端(図6図8における右側の先端)を外側先端6bという。
【0078】
蓋部材6は、管部材2の先端部23に挿入及び接合されている。管部材2の先端部23に対する蓋部材6の接合は、ろう付け、溶接等により行うことができる。本実施形態では、蓋部材6は、ろう付けにより管部材2に接合されている。
【0079】
蓋部材6の外周面は、挿入面61と、当接面62と、を有する。
【0080】
挿入面61は、延在方向Bに沿って内側先端6aから外側先端6b側に向けて円柱状に延びている。当接面62は、挿入面61の外側先端6b側において挿入面61から蓋部材6の径方向外方に向けて立ち上がっている。そして、挿入面61が管部材2の先端部23に挿入されて当接面62が管部材2の先端部23の先端面26に当接された状態で、挿入面61が管部材2の先端部23にろう付けされている。なお、センサ接続部材5の当接面52も管部材2の先端面26にろう付けされていてもよい。また、挿入面61と内側先端4bとの間に、蓋部材6を管部材2の先端部23に挿入し易くするためのテーパ面等が形成されていてもよい。
【0081】
管部材2の先端部23に挿入される前の挿入面61の外径は、管部材2の内径よりも大きくなっていてもよい。これにより、挿入面61を管部材2の先端部23に挿入してろう付けすることで、挿入面61が管部材2の先端部23に圧入された状態でろう付けされる。例えば、挿入面61に、ローレット加工等により凹凸を形成し、凸の最大外径を管部材2の内径よりも大きくし、凹の最小外径を管部材2の内径よりも小さくしてもよい。これにより、凸部が管部材2の先端部23に押圧され、凹部にろう材が入り込むため、管部材2の先端部23に対する挿入面61の接合強度を高めることができる。
【0082】
蓋部材6には、貯留空間21に隣接されて内側先端6aから外側先端6b側に向けて窪んだ凹部63が形成されている。蓋部材6は、有孔部64と、テーパ径部65と、閉塞部66と、を有する。
【0083】
有孔部64は、貯留空間21に隣接して凹部63が形成された、有孔部64の一部である。有孔部64は、貯留空間21に隣接して凹部63が形成された、有孔部64の一部である。テーパ径部65は、有孔部64の貯留空間21の反対側に隣接して凹部63が形成された、有孔部64の一部である。閉塞部66は、テーパ径部65の貯留空間21の反対側に隣接して凹部63が形成されていない、有孔部64の一部である。有孔部64と、テーパ径部65の少なくとも一部とは、挿入面61を形成する。つまり、挿入面61は、有孔部64の外周面と、テーパ径部65の少なくとも一部の外周面と、により形成される。なお、閉塞部66の少なくとも一部が挿入面61を形成してもよい。この場合、挿入面61は、有孔部64の外周面と、テーパ径部65の外周面と、閉塞部66の少なくとも一部の外周面と、により形成される。
【0084】
蓋部材6では、凹部63により、閉塞部66の剛性に比べて貯留空間21に隣接された有孔部64及び有孔部64に隣接されたテーパ径部65の剛性が低くなっている。このため、燃料の圧力を受けると、管部材2の中央部24が膨らみ、蓋部材6の有孔部64も、管部材2の中央部24に追従して膨らみやすくなる。
【0085】
有孔部64の内径D6は、管部材2の内径D1よりも小さい。有孔部64の内径D6は、上記条件を満たせば特に限定されるものではない。例えば、有孔部64の剛性を十分に確保できる観点から、有孔部64の内径D6は、3mmより大きく、好ましくは3.5mmより大きく、更に好ましくは4mmより大きくてもよい。また、管部材2の中央部24に追従して膨らみやすくなる観点から、有孔部64の内径D6は、14mmより小さく、好ましくは13mmより小さく、更に好ましくは12mmより小さくてもよい。これらの最大値及び最小値は適宜組み合わせることができ、例えば、有孔部64の内径D6は、3mmより大きく14mmより小さく、好ましくは3.5mmより大きく13mmより小さく、更に好ましくは4mmより大きく12mmより小さくてもよい。。
【0086】
延在方向Bにおいて、有孔部64の長さL5は、管部材2に対する蓋部材6の挿入長さL6よりも短くてもよい。管部材2に対する蓋部材6の挿入長さL6は、延在方向Bにおける挿入面61の長さである。また、延在方向Bにおける有孔部64の長さL5は、有孔部64の肉厚T4よりも長くてもよい。
【0087】
有孔部64の肉厚T4は、特に限定されるものではない。例えば、有孔部64の肉厚T4の範囲は、配管接続部材4の中間径部45の肉厚T1の範囲と同様としてもよい。なお、有孔部64の肉厚T4は、配管接続部材4の中間径部45の肉厚T1と同じであっても違っていてもよい。
【0088】
テーパ径部65は、有孔部64と閉塞部66とに接続されている。テーパ径部56の内径は、有孔部64側(内側先端6a側)から閉塞部66側(外側先端6b側)に向かうに従い小さくなっている。
【0089】
中心軸線Aを含む基準断面(図7及び図8に示す断面)において、テーパ径部65の内周面は、有孔部64から閉塞部66まで直線状に延びていてもよく、有孔部64から閉塞部66まで曲線状に延びていてもよく、有孔部64から閉塞部66まで屈曲して延びていてもよい。
【0090】
中心軸線Aを含む基準断面におけるテーパ径部65の内周面のなす角度θ3は、特に限定されるものではない。例えば、テーパ径部65の内周面のなす角度θ3の範囲は、配管接続部材4のテーパ径部47の内周面のなす角度θ1の範囲と同様としてもよい。なお、テーパ径部65の内周面のなす角度θ3は、配管接続部材4のテーパ径部47の内周面のなす角度θ1と同じであっても違っていてもよい。なお、テーパ径部65の内周面が有孔部64から閉塞部66まで直線状に延びていない場合、中心軸線Aを含む基準断面におけるテーパ径部65の内周面のなす角度θ3は、テーパ径部32の内周面の有孔部64側の先端と閉塞部66側の先端とを結んだ仮想線のなす角度となる。
【0091】
ここで、図9を参照して、比較例2の燃料分配管101Aについて説明する。図9に示す比較例2の燃料分配管101Aは、管部材2と同様の管部材102と、配管接続部材4に対応する配管接続部材104と、蓋部材6に対応する蓋部材106と、を備えている。比較例2の燃料分配管101Aでは、配管接続部材104は、配管接続部材4の中間径部45、小径部46及びテーパ径部47の代わりに、小径部46と同じ内径の小径部146を有する。蓋部材106は、蓋部材6の有孔部64、テーパ径部65及び閉塞部66の代わりに、蓋部材6の凹部63が形成されない閉塞部166を有する。
【0092】
このように構成される比較例2の燃料分配管101Aでは、貯留空間121に供給された燃料の圧力を受けると、配管接続部材104が挿入及び接合された管部材102の先端部127は、配管接続部材104の小径部146により剛性が高められて膨らみが阻害される。同様に、蓋部材106が接続された管部材102の先端部123は、蓋部材106の閉塞部166により剛性が高められて膨らみが阻害される。その結果、管部材102の中央部124のみが膨らみやすくなって、管部材102の中央部124と先端部122との境界部128と、管部材102の中央部と先端部123との境界部129とに、高い応力が発生する。これにより金属疲労が促進されて寿命が短くなる可能性がある。
【0093】
これに対して、本実施形態に係る燃料分配管1Aでは、管部材2の先端部22に挿入及び接合された配管接続部材4が、貯留空間21に隣接された中間径部45と中間径部45よりも貯留空間21の反対側に配置された小径部46とを有し、中間径部45が、管部材2の内径D1よりも小さく小径部46の内径D2よりも大きい内径D3を有する。つまり、配管接続部材4では、小径部46の剛性に比べて貯留空間21に隣接された中間径部45の剛性が低くなっている。このため、燃料の圧力を受けると、配管接続部材4の中間径部45も、管部材2の貯留空間21を形成する中央部24に追従して膨らみやすくなる。これにより、管部材2の中央部24と先端部22との境界部27に発生する応力が抑制される。同様に、管部材2の先端部23に挿入及び接合された蓋部材6が、貯留空間21に隣接されて凹部63が形成された有孔部64を有する。つまり、蓋部材6では、閉塞部66の剛性に比べて貯留空間21に隣接された有孔部64の剛性が低くなっている。このため、燃料の圧力を受けると、蓋部材6の有孔部64も、管部材2の貯留空間21を形成する中央部24に追従して膨らみやすくなる。これにより、管部材2の中央部24と先端部23との境界部29に発生する応力が抑制される。
【0094】
また、この燃料分配管1Aでは、蓋部材6に、有孔部64の貯留空間21の反対側に接続されて内側先端6a側から外側先端6b側に向かうに従い小さくなる内径を有するテーパ径部65が形成されているため、有孔部64を、管部材2の貯留空間21を形成する中央部24に追従して更に膨らみやすくすることができる。これにより、管部材2の中央部24と先端部23との境界部29に発生する応力が更に抑制される。
【0095】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0096】
例えば、上記実施形態では、接続部材として配管接続部材及びセンサ接続部材を用いた例について説明したが、接続部材は、配管接続部材及びセンサ接続部材のものであってもよい。また、第二実施形態では、管部材の周面上にセンサ接続部材が接合され、管部材の一方側の先端部に配管接続部材が接合し、管部材の他方側の先端部に蓋部材が接合された例について説明したが、管部材の周面上に配管接続部材が接合され、管部材の一方側の先端部にセンサ接続部材が接合され、管部材の他方側の先端部に蓋部材が接合されていてもよい。なお、参考例として、管部材の周面上に配管接続部材及びセンサ接続部材等の接続部材が接合され、管部材の一方側の先端部及び他方側の先端部に蓋部材が接合されていてもよい。
【符号の説明】
【0097】
1…燃料分配管、1A…燃料分配管、2…管部材、21…貯留空間、22…先端部、23…先端部、24…中央部、25…先端面、26…先端面、27…境界部、28…境界部、29…境界部、3…ハウジング、4…配管接続部材、4a…外側先端、4b…内側先端、41…雄ネジ面、42…挿入面、43…当接面、44…貫通孔、45…中間径部、46…小径部、47…テーパ径部、5…センサ接続部材、5A…センサ接続部材、5a…内側先端、5b…外側先端、51…挿入面、52…当接面、53…貫通孔、54…中間径部、55…小径部、56…テーパ径部、57…センサ接続部、57a…雌ネジ面、57b…センサ当接面、6…蓋部材、6a…内側先端、6b…外側先端、61…挿入面、62…当接面、63…凹部、64…有孔部、65…テーパ径部、66…閉塞部、101…燃料分配管、101A…燃料分配管、102…管部材、104…配管接続部材、105…センサ接続部材、106…蓋部材、121…貯留空間、122…先端部、123…先端部、124…中央部、128…境界部、129…境界部、146…小径部、155…小径部、166…閉塞部、A…中心軸線、B…延在方向、D1~D6…内径、T1~T4…肉厚、θ1~θ3…角度。
図1
図2
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図9