(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022085280
(43)【公開日】2022-06-08
(54)【発明の名称】タイヤ組立体
(51)【国際特許分類】
B60C 7/26 20060101AFI20220601BHJP
B60B 21/00 20060101ALI20220601BHJP
B60C 7/00 20060101ALI20220601BHJP
【FI】
B60C7/26
B60B21/00 R
B60C7/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020196887
(22)【出願日】2020-11-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】阿部 明彦
【テーマコード(参考)】
3D131
【Fターム(参考)】
3D131AA30
3D131BB19
3D131BC25
3D131CC03
3D131CC05
3D131LA40
(57)【要約】
【課題】非空気入りタイヤをリムに確実に固定する。
【解決手段】リム12と、リムの外周面を径方向の外側から囲う内筒21、内筒を径方向の外側から囲う外筒22、および内筒の外周面と外筒の内周面とを連結する弾性変形可能な複数の連結部材23を有する非空気入りタイヤ3と、を備え、内筒に、内筒を周方向に分断する分断部15が形成され、内筒の外周面において、分断部を周方向に挟む両側に、固定凹部が各別に形成され、一対の固定凹部に各別に嵌合された一対の係合突起18が設けられ、内筒の外周面に取付けられた固定具5と、内筒を径方向に貫いて、固定具およびリムに係合し、固定具に、径方向の内側に向けた力を付与する固定軸6と、を備えている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リムと、
前記リムの外周面を径方向の外側から囲う内筒、前記内筒を径方向の外側から囲う外筒、および前記内筒の外周面と前記外筒の内周面とを連結する弾性変形可能な複数の連結部材を有する非空気入りタイヤと、を備え、
前記内筒に、前記内筒を周方向に分断する分断部が形成され、
前記内筒の外周面において、前記分断部を周方向に挟む両側に、固定凹部が各別に形成され、
一対の前記固定凹部に各別に嵌合された一対の係合突起が設けられ、前記内筒の外周面に取付けられた固定具と、
前記内筒を径方向に貫いて、前記固定具および前記リムに係合し、前記固定具に、径方向の内側に向けた力を付与する固定軸と、を備えている、タイヤ組立体。
【請求項2】
前記固定凹部の内面のうち、周方向に沿う前記分断部側に位置して周方向を向く第1面と、前記係合突起の表面のうち、周方向に沿う前記分断部側に位置して周方向を向く第2面と、が互いに当接し、
前記第1面および前記第2面のうちの少なくとも一方は、径方向の外側に向かうに従い、周方向に沿う前記分断部側に向けて延びている、請求項1に記載のタイヤ組立体。
【請求項3】
前記リムの外周面に、周方向に延びる装着凹部が設けられ、
前記内筒の内周面に、前記装着凹部に嵌合された嵌合突起が形成されている、請求項1または2に記載のタイヤ組立体。
【請求項4】
前記内筒は、周方向で互いに対向して前記分断部を画成する一対の分断面を備え、
前記内筒には、前記分断部を径方向に貫き、一対の前記分断面を各別に周方向に窪ませる第1貫通孔が形成され、
前記第1貫通孔に前記固定軸が挿入されている、請求項1から3のいずれか1項に記載のタイヤ組立体。
【請求項5】
一対の前記係合突起は、幅方向に間隔をあけて複数組設けられ、
一対の前記固定凹部は、幅方向に間隔をあけて複数組設けられるとともに、前記第1貫通孔から幅方向に離れている、請求項4に記載のタイヤ組立体。
【請求項6】
前記リムに径方向に貫く第2貫通孔が形成され、
前記固定具に雌ねじ部が形成され、
前記固定軸は、頭部および軸部を有する頭部付きボルトとされ、
前記頭部が前記リムの内周面に載置され、前記軸部が前記固定具の前記雌ねじ部に螺着されている、請求項1から5のいずれか1項に記載のタイヤ組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤ組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、リムの外周面に、内筒、外筒、および連結部材を有する非空気入りタイヤが装着されたタイヤ組立体が知られている。
この種のタイヤ組立体として、例えば下記特許文献1に示されるように、内筒が周方向に沿う複数個所で分断され、この内筒の外周面に、周方向の全長にわたって連続して延びる連結手段が一体に巻き付けられた構成が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来のタイヤ組立体では、例えば連結手段が変形する等して、非空気入りタイヤをリムに確実に固定することが困難であるという問題があった。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、非空気入りタイヤをリムに確実に固定することができるタイヤ組立体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係るタイヤ組立体は、リムと、前記リムの外周面を径方向の外側から囲う内筒、前記内筒を径方向の外側から囲う外筒、および前記内筒の外周面と前記外筒の内周面とを連結する弾性変形可能な複数の連結部材を有する非空気入りタイヤと、を備え、前記内筒に、前記内筒を周方向に分断する分断部が形成され、前記内筒の外周面において、前記分断部を周方向に挟む両側に、固定凹部が各別に形成され、一対の前記固定凹部に各別に嵌合された一対の係合突起が設けられ、前記内筒の外周面に取付けられた固定具と、前記内筒を径方向に貫いて、前記固定具および前記リムに係合し、前記固定具に、径方向の内側に向けた力を付与する固定軸と、を備えている。
【0007】
この発明によれば、内筒に分断部が形成されているので、非空気入りタイヤをリムに装着する際に、分断部を拡げて内筒を変形させることが可能になり、内筒の内側にリムを容易に設けることができる。
固定具に設けられた一対の係合突起が、内筒の固定凹部に各別に嵌合された状態で、固定軸が、固定具に径方向の内側に向けた力を付与するので、係合突起が固定凹部から外れて、分断部が拡げられるのを防ぐことが可能になり、非空気入りタイヤをリムに確実に固定することができる。
固定軸が、内筒を径方向に貫いて、固定具およびリムに係合することから、非空気入りタイヤおよびリムの相対的な周方向の位置ずれを防止することができる。
【0008】
前記固定凹部の内面のうち、周方向に沿う前記分断部側に位置して周方向を向く第1面と、前記係合突起の表面のうち、周方向に沿う前記分断部側に位置して周方向を向く第2面と、が互いに当接し、前記第1面および前記第2面のうちの少なくとも一方は、径方向の外側に向かうに従い、周方向に沿う前記分断部側に向けて延びてもよい。
【0009】
この場合、固定凹部の第1面、および係合突起の第2面のうちの少なくとも一方が、径方向の外側に向かうに従い、周方向に沿う分断部側に向けて延びているので、固定軸が固定具に径方向の内側に向けた力を付与し、第1面および第2面を互いに圧接させることで、内筒に、分断部の周方向の幅を狭める向きの力を生じさせることが可能になり、内筒をリムに強く固定することができる。
【0010】
前記リムの外周面に、周方向に延びる装着凹部が設けられ、前記内筒の内周面に、前記装着凹部に嵌合された嵌合突起が形成されてもよい。
【0011】
この場合、リムの外周面に、周方向に延びる装着凹部が設けられ、内筒の内周面に、装着凹部に嵌合された嵌合突起が形成されているので、非空気入りタイヤおよびリムの幅方向の相対移動を規制することが可能になり、非空気入りタイヤをリムに安定して固定することができる。
前述したように、内筒に分断部が形成されていることから、非空気入りタイヤをリムに装着する際に、分断部を拡げて内筒を変形させることで、装着凹部に嵌合突起を容易に嵌合することができる。
【0012】
前記内筒は、周方向で互いに対向して前記分断部を画成する一対の分断面を備え、前記内筒には、前記分断部を径方向に貫き、一対の前記分断面を各別に周方向に窪ませる第1貫通孔が形成され、前記第1貫通孔に前記固定軸が挿入されてもよい。
【0013】
この場合、内筒に、分断部を径方向に貫く第1貫通孔が形成されているので、内筒を径方向に貫く固定軸を、第1貫通孔に挿入することで容易に組み付けることができる。
【0014】
一対の前記係合突起は、幅方向に間隔をあけて複数組設けられ、一対の前記固定凹部は、幅方向に間隔をあけて複数組設けられるとともに、前記第1貫通孔から幅方向に離れてもよい。
【0015】
この場合、一対の係合突起、および一対の固定凹部がそれぞれ、幅方向に間隔をあけて複数組設けられているので、内筒が、分断部を拡げるように変形するのを確実に抑制することができる。
固定凹部が、第1貫通孔から幅方向に離れているので、固定凹部および第1貫通孔が互いに近接するのを防ぐことが可能になり、内筒の強度を確保することができる。
【0016】
前記リムに径方向に貫く第2貫通孔が形成され、前記固定具に雌ねじ部が形成され、前記固定軸は、頭部および軸部を有する頭部付きボルトとされ、前記頭部が前記リムの内周面に載置され、前記軸部が前記固定具の前記雌ねじ部に螺着されてもよい。
【0017】
この場合、固定軸の軸部が、リムの内周面側から第2貫通孔に挿入されて、固定具の雌ねじ部に螺着されているので、スペースが、内筒と外筒との間より広いリムの径方向の内側において、頭部をスパナ等で挟んで固定軸をその軸線回りに回転させることが可能になり、優れた操作性を具備させることができる。
なお、ホイールとして、空気入りタイヤが装着される汎用のホイールを採用し、第2貫通孔は、空気注入用のバルブが挿入されていた貫通孔を流用してもよい。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、非空気入りタイヤをリムに確実に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】一実施形態に係るタイヤ組立体の側面図である。
【
図2】
図1のII-II線矢視断面を含む斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本実施形態に係るタイヤ組立体1を、
図1から
図4を参照しながら説明する。
図1および
図2に示されるように、タイヤ組立体1は、リム12を有するホイール2、非空気入りタイヤ3、トレッド部材4、固定具5、および固定軸6を備えている。タイヤ組立体1は、例えば自転車、車いす、二輪車、および自動車等に装着されて用いられる。
【0021】
リム12、非空気入りタイヤ3、およびトレッド部材4はそれぞれ、円環状に形成され、各中心軸は共通軸上に位置している。この共通軸を中心軸Oといい、中心軸Oに沿う方向を幅方向という。また、幅方向から見て、中心軸O回りに周回する方向を周方向といい、この中心軸Oに交差する方向を径方向という。
ホイール2、非空気入りタイヤ3、およびトレッド部材4それぞれにおける幅方向の中央部は、互いに一致している。
【0022】
ホイール2は、車軸に取り付けられるハブ11と、ハブ11を径方向の外側から囲うリム12と、ハブ11の外周面とリム12の内周面とを連結した複数のスポーク13と、を備えている。
【0023】
ハブ11は、筒状に形成され、中心軸Oと同軸に配設されている。スポーク13は、ハブ11の外周面とリム12の内周面とを連結している。複数のスポーク13は、ハブ11の外周面とリム12の内周面との間における周方向の全域にわたって設けられている。
リム12は、周方向の全長にわたって連続して延びるとともに、
図2に示されるように、径方向の外側に向けて開口した管状に形成されている。これにより、リム12の外周面に、周方向の全長にわたって連続して延びる装着凹部16が設けられている。リム12に、径方向に貫く第2貫通孔33が形成されている。第2貫通孔33は、リム12に1つ設けられている。
ホイール2は、空気入りタイヤが装着される汎用のホイールと同じになっており、第2貫通孔33は、空気注入用のバルブが挿入されていた貫通孔となっている。なお、リム12に、装着凹部16および第2貫通孔33を設けなくてもよい。
【0024】
非空気入りタイヤ3は、リム12の外周面を径方向の外側から囲う内筒21、内筒21を径方向の外側から囲う外筒22、および内筒21の外周面と外筒22の内周面とを連結する弾性変形可能な複数の連結部材23を有している。非空気入りタイヤ3を形成する材質のヤング率は、例えば30MPa以上1500MPa以下となっている。
【0025】
内筒21および外筒22は、中心軸Oと同軸に配設されている。内筒21、外筒22、および連結部材23は、それぞれの幅方向の中央部が互いに一致した状態で配置されている。
【0026】
内筒21の内周面に、リム12の装着凹部16に嵌合された嵌合突起27が形成されている。嵌合突起27は、内筒21における後述する分断部15を除く周方向の全長にわたって連続して延びている。嵌合突起27は、内筒21の内周面における幅方向の中央部に設けられている。内筒21の幅は、リム12の幅より広くなっている。内筒21の内周面のうち、嵌合突起27より幅方向の外側に位置する部分が、リム12の外周面に当接している。嵌合突起27は、径方向の内側に向かうに従い幅方向の大きさが小さくなっている。嵌合突起27は、
図2に示されるように、幅方向および径方向の双方向に沿う縦断面視において、内筒21における幅方向の中央部を通り径方向に延びる直線に対して対称形状を呈する。
【0027】
複数の連結部材23は、内筒21の外周面と外筒22の内周面との間に、周方向に間隔をあけて設けられている。複数の連結部材23は、周方向に等間隔をあけて設けられている。
図1に示されるように、複数の連結部材23は、幅方向から見て、径方向に対して同じ向きに傾斜して延びている。連結部材23は、板状に形成され、表裏面が周方向、若しくは径方向を向き、かつ側面が幅方向を向く姿勢で設けられている。
【0028】
内筒21、外筒22、および連結部材23は、熱可塑性樹脂により一体に形成されている。熱可塑性樹脂としては、例えば1種だけの樹脂、2種以上の樹脂を含む混合物、または1種以上の樹脂と1種以上のエラストマーとを含む混合物であってもよく、さらに、例えば老化防止剤、可塑剤、充填剤、若しくは顔料等の添加物を含んでいてもよい。
なお、内筒21、外筒22、および連結部材23はそれぞれ、別体に形成されていてもよい。内筒21、外筒22、および連結部材23は、熱可塑性樹脂以外の材質により形成されていてもよい。
【0029】
トレッド部材4は、弾性変形可能に形成され、外筒22に外嵌されている。トレッド部材4を形成する材質のヤング率は、非空気入りタイヤ3を形成する材質のヤング率よりも小さい。
図2に示されるように、トレッド部材4の外周面は、幅方向および径方向の双方向に沿う縦断面視において、径方向の外側に向けて突となる曲線状を呈する。
【0030】
トレッド部材4は、例えば、天然ゴム又は/及びゴム組成物が加硫された加硫ゴム、或いは熱可塑性材料等で形成されている。耐摩耗性の観点ではトレッド部材4を加硫ゴムで形成するのが好ましい。熱可塑性材料として、例えば熱可塑性エラストマー若しくは熱可塑性樹脂等が挙げられる。
熱可塑性エラストマーとしては、例えばJIS K6418に規定されるアミド系熱可塑性エラストマー(TPA)、エステル系熱可塑性エラストマー(TPC)、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、スチレン系熱可塑性エラストマー(TPS)、ウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU)、熱可塑性ゴム架橋体(TPV)、若しくはその他の熱可塑性エラストマー(TPZ)等が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、例えばウレタン樹脂、オレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂、若しくはポリアミド樹脂等が挙げられる。
【0031】
ここで、本実施形態では、内筒21に、内筒21を周方向に分断する分断部15が形成されている。分断部15は、内筒21がリム12の外周面に固定された状態で、周方向の幅を有している。内筒21は、周方向で互いに対向して分断部15を画成する一対の分断面15aを備えている。分断部15は1つ設けられている。なお、分断部15は、周方向に間隔をあけて複数設けられてもよい。
【0032】
内筒21には、分断部15を径方向に貫き、一対の分断面15aを各別に周方向に窪ませる第1貫通孔14が形成されている。つまり、第1貫通孔14の内径は、分断部15の幅より大きくなっている。
図4に示されるように、第1貫通孔14は、内筒21における幅方向の中央部に形成されている。径方向から見て、第1貫通孔14および分断部15の各中心は互いに一致している。
【0033】
内筒21の外周面において、分断部15を周方向に挟む両側に、固定凹部17が各別に形成されている。
一対の固定凹部17は、同じ幅方向の位置に周方向に間隔をあけて設けられている。一対の固定凹部17は、幅方向に間隔をあけて複数組設けられるとともに、第1貫通孔14から幅方向に離れている。一対の固定凹部17は、第1貫通孔14に対して周方向にも離れている。一対の固定凹部17は、内筒21の外周面において、第1貫通孔14を幅方向に挟む両側に一組ずつ形成されている。
【0034】
なお、固定凹部17の一部は、第1貫通孔14に対して、同じ幅方向の位置に位置してもよく、同じ周方向の位置に位置してもよい。固定凹部17は、内筒21の外周面のうち、幅方向の両端部を除く全長にわたって形成されてもよい。固定凹部17は、内筒21を径方向に貫通してもよい。
【0035】
固定具5は、例えば金属材料等で形成されている。
図2および
図3に示されるように、固定具5は、内筒21の外周面に取付けられ、分断部15を周方向に跨っている。固定具5は、表裏面が径方向を向く板状に形成されている。固定具5に、径方向に貫く雌ねじ部5aが形成されている。雌ねじ部5aは、径方向から見て固定具5の中央部に形成されている。固定具5は、内筒21の外周面から径方向の外側に離れている。
【0036】
固定具5に、一対の固定凹部17に各別に嵌合された一対の係合突起18が設けられている。一対の係合突起18は、同じ幅方向の位置に周方向に間隔をあけて設けられている。一対の係合突起18は、幅方向に間隔をあけて複数組設けられるとともに、雌ねじ部5aから幅方向に離れている。一対の係合突起18は、雌ねじ部5aに対して周方向にも離れている。一対の係合突起18は、固定具5における径方向の内側を向く内面において、雌ねじ部5aを幅方向に挟む両側に一組ずつ設けられている。係合突起18の幅方向の大きさは、径方向の全長にわたって同じになっている。
【0037】
なお、係合突起18の一部は、雌ねじ部5aに対して、同じ幅方向の位置に位置してもよく、同じ周方向の位置に位置してもよい。係合突起18は、固定具5における幅方向の全長にわたって設けられてもよい。
【0038】
図3および
図4に示されるように、固定凹部17の内面のうち、周方向に沿う分断部15側に位置して周方向を向く第1面17aと、係合突起18の表面のうち、周方向に沿う分断部15側に位置して周方向を向く第2面18aと、が互いに当接している。固定具5は、係合突起18を介して内筒21の外周面に取付けられている。固定具5における径方向の内側を向く内面は、内筒21の外周面から径方向の外側に離れている。
【0039】
第1面17aおよび第2面18aのうちの少なくとも一方は、径方向の外側に向かうに従い、周方向に沿う分断部15側に向けて延びている。
図3に示されるように、周方向および径方向の双方向に沿う縦断面視において、第1面17aおよび第2面18aのうちの少なくとも一方は、径方向の外側に向かうに従い、分断部15に対して周方向に近付く向きに延びている。
【0040】
図示の例では、第1面17aおよび第2面18aの双方が、径方向の外側に向かうに従い、周方向に沿う分断部15側に向けて延びている。
固定凹部17の内面のうちの幅方向の両端面、および係合突起18の表面のうちの幅方向の両端面はそれぞれ、互いに当接している。なお、固定凹部17の内面のうちの幅方向の両端面、および係合突起18の表面のうちの幅方向の両端面はそれぞれ、互いに幅方向に離れていてもよい。
係合突起18の下端面は、固定凹部17の底面より上方に位置している。
【0041】
固定軸6は、内筒21を径方向に貫いて、固定具5およびリム12に係合している。固定軸6は、内筒21の第1貫通孔14に挿入されている。固定軸6の外径は、分断部15の幅より大きく、第1貫通孔14の内径より小さくなっている。
【0042】
固定軸6は、頭部6aおよび軸部6bを有する頭部付きボルトとなっている。軸部6bは、リム12の内周面側から第2貫通孔33(
図2)に挿入されて、固定具5の雌ねじ部5aに螺着されている。頭部6aは、リム12の内周面に載置されている。これにより、固定軸6が、固定具5およびリム12に係合し、固定具5に径方向の内側に向けた力を加え、
図3に示されるように、係合突起18の第2面18aが、内筒21の固定凹部17の第1面17aに圧接することで、内筒21に、分断部15の周方向の幅を狭める向きの力が生じ、内筒21の内周面が、リム12の外周面を締め付ける。
【0043】
なお、固定具5に、雌ねじ部5aに代えて貫通孔を形成し、固定軸6の軸部6bのうち、固定具5から径方向の外側に突出した部分にナットを螺着してもよい。
固定具5に、雌ねじ部5aに代えて貫通孔を形成し、固定軸6の頭部6aを、固定具5における径方向の外側を向く外面に載置し、固定軸6の軸部6bのうち、リム12の内周面から径方向の内側に突出した部分にナットを螺着してもよい。
固定具5に、雌ねじ部5aに代えて貫通孔を形成し、リム12に、第2貫通孔33に代えて雌ねじ部を形成し、固定軸6の頭部6aを、固定具5における径方向の外側を向く外面に載置し、固定軸6の軸部6bを、リム12の雌ねじ部に螺着してもよい。
【0044】
以上説明したように、本実施形態に係るタイヤ組立体1によれば、内筒21に分断部15が形成されているので、非空気入りタイヤ3をリム12に装着する際に、分断部15を拡げて内筒21を変形させることが可能になり、内筒21の内側にリム12を容易に設けることができる。
【0045】
固定具5に設けられた一対の係合突起18が、内筒21の固定凹部17に各別に嵌合された状態で、固定軸6が、固定具5に径方向の内側に向けた力を付与するので、係合突起18が固定凹部17から外れて、分断部15が拡げられるのを防ぐことが可能になり、非空気入りタイヤ3をリム12に確実に固定することができる。
固定軸6が、内筒21を径方向に貫いて、固定具5およびリム12に係合することから、非空気入りタイヤ3およびリム12の相対的な周方向の位置ずれを防止することができる。
【0046】
固定凹部17の第1面17a、および係合突起18の第2面18aのうちの少なくとも一方が、径方向の外側に向かうに従い、周方向に沿う分断部15側に向けて延びているので、固定軸6が固定具5に径方向の内側に向けた力を付与し、第1面17aおよび第2面18aを互いに圧接させることで、内筒21に、分断部15の周方向の幅を狭める向きの力を生じさせることが可能になり、内筒21をリム12に強く固定することができる。
【0047】
リム12の外周面に、周方向に延びる装着凹部16が設けられ、内筒21の内周面に、装着凹部16に嵌合された嵌合突起27が形成されているので、非空気入りタイヤ3およびリム12の幅方向の相対移動を規制することが可能になり、非空気入りタイヤ3をリム12に安定して固定することができる。
前述したように、内筒21に分断部15が形成されていることから、非空気入りタイヤ3をリム12に装着する際に、分断部15を拡げて内筒21を変形させることで、装着凹部16に嵌合突起27を容易に嵌合することができる。
【0048】
内筒21に、分断部15を径方向に貫く第1貫通孔14が形成されているので、内筒21を径方向に貫く固定軸6を、第1貫通孔14に挿入することで容易に組み付けることができる。
一対の係合突起18、および一対の固定凹部17がそれぞれ、幅方向に間隔をあけて複数組設けられているので、内筒21が、分断部15を拡げるように変形するのを確実に抑制することができる。
固定凹部17が、第1貫通孔14から幅方向に離れているので、固定凹部17および第1貫通孔14が互いに近接するのを防ぐことが可能になり、内筒21の強度を確保することができる。
【0049】
固定軸6の軸部6bが、リム12の内周面側から第2貫通孔33に挿入されて、固定具5の雌ねじ部5aに螺着されているので、スペースが、内筒21と外筒22との間より広いリム12の径方向の内側において、頭部6aをスパナ等で挟んで固定軸6をその軸線回りに回転させることが可能になり、優れた操作性を具備させることができる。
【0050】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0051】
タイヤ組立体1は、トレッド部材4を有さなくてもよい。
【0052】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、前記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した各実施形態および変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0053】
1 タイヤ組立体
2 ホイール
3 非空気入りタイヤ
4 トレッド部材
5 固定具
5a 雌ねじ部
6 固定軸
6a 頭部
6b 軸部
12 リム
14 第1貫通孔
15 分断部
15a 分断面
16 装着凹部
17 固定凹部
17a 第1面
18 係合突起
18a 第2面
21 内筒
22 外筒
23 連結部材
27 嵌合突起
33 第2貫通孔