(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022085283
(43)【公開日】2022-06-08
(54)【発明の名称】建物用シャッター装置におけるシャッターカーテン
(51)【国際特許分類】
E06B 9/15 20060101AFI20220601BHJP
E06B 9/17 20060101ALI20220601BHJP
【FI】
E06B9/15 C
E06B9/17 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020196892
(22)【出願日】2020-11-27
(71)【出願人】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085394
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
(74)【代理人】
【識別番号】100165456
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 佑子
(72)【発明者】
【氏名】高橋 巧
(57)【要約】
【課題】上下隣接するスラット同士を、上側スラットの下側連結部と下側スラットの上側連結部とをインターロック結合により連結することで構成されるシャッターカーテンにおいて、インターロック結合の凹溝状部に、該凹溝状部に水が溜まるのを低減、若しくは防止するためのスペーサ材を設けるにあたり、該スペーサ材の摩耗を防止して耐久性向上を図る。
【解決手段】スペーサ材10を、下側連結部9に対して間隙を有する遊嵌状態で上側連結部8に組み付けた。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物開口部の左右両側に設けたガイドレールに案内されて該開口部の開閉をするシャッターカーテンを、上下隣接するスラットの下側連結部と上側連結部とを左右方向に相対移動せしめるインターロック結合により隣接スラット同士を前後方向相対揺動自在に連結することで構成してなる建物用シャッター装置において、
前記インターロック結合は、上側連結部と下側連結部とのあいだに屋外側が開口部となった凹溝状部が設けられた遊嵌状のものであり、
前記凹溝状部に、該凹溝状部に水が溜まるのを低減、若しくは防止するためのスペーサ材を隙間がある状態で設けたことを特徴とする建物用シャッター装置におけるシャッターカーテン。
【請求項2】
インターロック結合は、上側連結部の先端縁部が下側連結部の先端側に形成の支持部に当接して該当接部位を揺動支点として前後方向に相対揺動する連結であり、
スペーサ材は、前記当接部位には至らない状態で凹溝状部に設けられることを特徴とする請求項1記載の建物用シャッター装置におけるシャッターカーテン。
【請求項3】
インターロック結合は、上側連結部が下側連結部に内嵌する連結であり、
スペーサ材は、下側連結部に隙間を有する遊嵌状態で上側連結部に組み付けられるか、上側連結部に隙間を有する遊嵌状態で下側連結部に組み付けられることを特徴とする請求項1または2記載の建物用シャッター装置におけるシャッターカーテン。
【請求項4】
スペーサ材は、上側連結部に組み付けられるものでは該上側連結部に形成される湾曲部に上側から外嵌することで組み付けられ、下側連結部に組み付けられるものでは該下側連結部に形成される湾曲部に下側から内嵌することで組み付けられることを特徴とする請求項3記載の建物用シャッター装置におけるシャッターカーテン。
【請求項5】
スペーサ材が上側連結部に組み付けられるものである場合に、該スペーサ材は、上側連結部を上下に挟持する状態で支持されることを特徴とする請求項3または4記載の建物用シャッター装置におけるシャッターカーテン。
【請求項6】
スペーサ材が上側連結部に組み付けられるものである場合に、該スペーサ材は、隣接するスラット同士が前後方向に相対揺動して凹溝状部の開口部部位が拡開した拡開姿勢の状態で、該拡開した開口部部位から上側連結部に組み付けられることを特徴とする請求項3乃至5の何れか1記載の建物用シャッター装置におけるシャッターカーテン。
【請求項7】
スペーサ材が上側連結部に組み付けられるものである場合に、該スペーサ材は、隣接スラットがインターロック結合されていない状態の上側連結部に対して外嵌する状態で上側連結部の湾曲部外面に沿って移動することで上側連結部に組み付けられることを特徴とする請求項3乃至5の何れか1記載の建物用シャッター装置におけるシャッターカーテン。
【請求項8】
スペーサ材が上側連結部に組み付けられるものである場合に、スペーサ材と上側連結部とは、スペーサ材が上側連結部に組み付けられる組み付け過程でスペーサ材が無理越えするように設定されていることを特徴とする請求項3乃至7の何れか1記載の建物用シャッター装置におけるシャッターカーテン。
【請求項9】
スペーサ材が上側連結部に組み付けられるものである場合に、スペーサ材の凹溝状部開口部部位に位置する屋外側先端縁部は、下側連結部に間隙を存した対向状態で上側連結部に当接または近接対向していることを特徴とする請求項3乃至8の何れか1記載の建物用シャッター装置におけるシャッターカーテン。
【請求項10】
スペーサ材は、組み付けられる上側連結部または下側連結部に接着されていることを特徴とする請求項3乃至9の何れか1記載の建物用シャッター装置におけるシャッターカーテン。
【請求項11】
上側連結部または下側連結部にスペーサ材が接着されるスラットは、シャッター装置が建て付けられる現場でスラット同士がインターロック結合されるスラットであることを特徴とする請求項10記載の建物用シャッター装置におけるシャッターカーテン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅、マンション等の各種建物に設けられる出入り口等の開口部を開閉するため建て付けられる建物用シャッター装置におけるシャッターカーテンの技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
今日、住宅、マンション等の各種建物の出入り口等の開口部に、該開口部の左右に設けたガイドレールに昇降案内されることで開口部の開閉をするシャッターカーテンを備えた建物用のシャッター装置を建て付けることがある。
この場合にシャッターカーテンは、左右方向に長い複数のスラットをインターロック結合することで上下方向に一連状に連結(連綴)して形成されるものであるが、斯かるインターロック結合は、上側スラットに設けられる下側連結部と下側スラットに設けられる上側連結部とを左右相対方向にスライド移動することで連結される構成になっている。そしてこのように構成されたシャッターカーテンは、開口部上方に配した巻取り体(巻取りドラム、巻取りホイール)に渦巻き状に巻装されることになるため、前記インターロック結合された結合部において隣接する上下のスラット同士を前後方向に相対揺動自在となるよう連結されている。
このようなシャッターカーテンを備えたシャッター装置が、屋内外を仕切る開口部に建て付けられたものである場合、閉鎖姿勢になったシャッターカーテンの屋外側面に、雨水や洗浄水等の水が掛かる(被水する)ことがあり、このように屋外側面に掛かった水のうちの殆どは該屋外側面に沿って流れ落ちることになるが、一部の水は前記インターロック結合部に形成される隙間(凹溝状部)に入り込むものがあり、この様に隙間に入り込んだ水は表面張力を受けることになってそのまま隙間内に留まるものがある。
そしてこのように隙間内に水が留まった状態でシャッターカーテンを巻取り体に巻き取って開口部を開放したときに、隙間が拡開することになって表面張力が無くなり、これによって前記隙間内に留まっていた水は、シャッターケースに流れ落ちたものがさらにシャッターケースから屋内に落水する、という問題がある。
これを回避するため、インターロック結合部の隙間に水が溜まるのを防止するためのスペーサ材を設けたものが提唱されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが前記従来技術のスペーサ材は、何れのものも上側連結部に設けたスペーサ材を、上下連結部に設けられる凹溝状の隙間の開口部部位を少なくとも密嵌合状に封止すると共に、上側連結部が下側連結部に前後方向揺動自在に当接する当接部位にまで至る長さにして水が隙間内に浸入するのを防止する構成になっている。
ところでシャッターカーテンは、前述したように巻取り体に渦巻き状に巻装する必要があるため、スラット同士をインターロック結合部において前後方向に相対揺動する構成になる結果、前記従来のスペーサ材の上下連結部間の隙間を塞ぐべく密嵌合状の部位や上側連結部が下側連結部に前後方向揺動自在に当接する当接部位は、隣接するスラット同士が前後方向に相対揺動するたびに摺動作用を受けることになって擦過が促進され、耐久性に劣るという問題がある。
そのうえシャッターカーテンは、隣接スラット同士をインターロック結合することで組み立てられるが、この場合、一方のスラットの上側連結部の左右方向一端に、他方のスラットの下側連結部の左右方向他端を嵌入した状態で、スラット同士を左右方向に相対移動せしめることでインターロック結合することになる。このときスペーサ材を密嵌合状態で設けたものでは、前記インターロック結合する際に、一方のスラット側に設けたスペーサ材を他方のスラットに摺接する状態で左右方向にスライド移動させる必要があり、このような摺接状態でスラット同士を左右スライド移動させると摺動抵抗が働くことになって円滑なスライド移動によるインターロック結合が妨げられるだけでなく、スペーサ材が摺動抵抗を受けて位置ずれしやすいものとなるという問題もある。
さらに前記従来のものは、スペーサ材を上側連結部が下側連結部に前後方向揺動自在に支持するべく当接する当接部位にまで至らしめているため、該スペーサ材を既存のシャッターカーテンに組み込んだ場合、隣接するスラット同士の位置関係がスペーサ材が存在する分、上下に位置ずれすることになる。この結果、シャッターカーテンの閉鎖姿勢や巻装姿勢等の姿勢が、既存のものに対して変化することになって設定された納まり状態にならず新たに設定し直す必要があって、既設のシャッター装置にそのまま設けることができない等の問題もあり、これらの問題を解決することを本発明の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、建物開口部の左右両側に設けたガイドレールに案内されて該開口部の開閉をするシャッターカーテンを、上下隣接するスラットの下側連結部と上側連結部とを左右方向に相対移動せしめるインターロック結合により隣接スラット同士を前後方向相対揺動自在に連結することで構成してなる建物用シャッター装置において、前記インターロック結合は、上側連結部と下側連結部とのあいだに屋外側が開口部となった凹溝状部が設けられた遊嵌状のものであり、前記凹溝状部に、該凹溝状部に水が溜まるのを低減、若しくは防止するためのスペーサ材を隙間がある状態で設けたことを特徴とする建物用シャッター装置におけるシャッターカーテンである。
請求項2の発明は、インターロック結合は、上側連結部の先端縁部が下側連結部の先端側に形成の支持部に当接して該当接部位を揺動支点として前後方向に相対揺動する連結であり、スペーサ材は、前記当接部位には至らない状態で凹溝状部に設けられることを特徴とする請求項1記載の建物用シャッター装置におけるシャッターカーテンである。
請求項3の発明は、インターロック結合は、上側連結部が下側連結部に内嵌する連結であり、スペーサ材は、下側連結部に隙間を有する遊嵌状態で上側連結部に組み付けられるか、上側連結部に隙間を有する遊嵌状態で下側連結部に組み付けられることを特徴とする請求項1または2記載の建物用シャッター装置におけるシャッターカーテンである。
請求項4の発明は、スペーサ材は、上側連結部に組み付けられるものでは該上側連結部に形成される湾曲部に上側から外嵌することで組み付けられ、下側連結部に組み付けられるものでは該下側連結部に形成される湾曲部に下側から内嵌することで組み付けられることを特徴とする請求項3記載の建物用シャッター装置におけるシャッターカーテンである。
請求項5の発明は、スペーサ材が上側連結部に組み付けられるものである場合に、該スペーサ材は、上側連結部を上下に挟持する状態で支持されることを特徴とする請求項3または4記載の建物用シャッター装置におけるシャッターカーテンである。
請求項6の発明は、スペーサ材が上側連結部に組み付けられるものである場合に、該スペーサ材は、隣接するスラット同士が前後方向に相対揺動して凹溝状部の開口部部位が拡開した拡開姿勢の状態で、該拡開した開口部部位から上側連結部に組み付けられることを特徴とする請求項3乃至5の何れか1記載の建物用シャッター装置におけるシャッターカーテンである。
請求項7の発明は、スペーサ材が上側連結部に組み付けられるものである場合に、該スペーサ材は、隣接スラットがインターロック結合されていない状態の上側連結部に対して外嵌する状態で上側連結部の湾曲部外面に沿って移動することで上側連結部に組み付けられることを特徴とする請求項3乃至5の何れか1記載の建物用シャッター装置におけるシャッターカーテンである。
請求項8の発明は、スペーサ材が上側連結部に組み付けられるものである場合に、スペーサ材と上側連結部とは、スペーサ材が上側連結部に組み付けられる組み付け過程でスペーサ材が無理越えするように設定されていることを特徴とする請求項3乃至7の何れか1記載の建物用シャッター装置におけるシャッターカーテンである。
請求項9の発明は、スペーサ材が上側連結部に組み付けられるものである場合に、スペーサ材の凹溝状部開口部部位に位置する屋外側先端縁部は、下側連結部に間隙を存した対向状態で上側連結部に当接または近接対向していることを特徴とする請求項3乃至8の何れか1記載の建物用シャッター装置におけるシャッターカーテンである。
請求項10の発明は、スペーサ材は、組み付けられる上側連結部または下側連結部に接着されていることを特徴とする請求項3乃至9の何れか1記載の建物用シャッター装置におけるシャッターカーテンである。
請求項11の発明は、上側連結部または下側連結部にスペーサ材が接着されるスラットは、シャッター装置が建て付けられる現場でスラット同士がインターロック結合されるスラットであることを特徴とする請求項10記載の建物用シャッター装置におけるシャッターカーテンである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明とすることにより、インターロック結合部の凹溝状部に設けられたスペーサ材の摩耗を防止できて、スペーサ材の耐久性向上に大きく貢献できる。
請求項2の発明とすることにより、スペーサ材が上下隣接するスラット同士の位置関係に影響を与えることなく、スペーサ材を既存のシャッター装置に取り付ける場合であっても、納まり状態を設定し直したりする必要がなく作業性の向上に貢献できる。
請求項3の発明とすることにより、スペーサ材を、下側連結部または上側連結部に対して隙間がある状態で凹溝状部に設けることができる。
請求項4の発明とすることにより、スペーサ材を、上側連結部または下側連結部に容易に組み付けできる。
請求項5の発明とすることにより、スペーサ材を、不用意に位置ずれしない確実な状態で上側連結部に組み付けできる。
請求項6の発明とすることにより、既存のシャッター装置であっても、スラット同士がインターロック結合されたままの状態でスペーサ材を上側連結部に容易に組み付けることができ、作業効率が大幅に向上する。
請求項7の発明とすることにより、インターロック結合されていない状態でのスペーサ材の上側連結部への組付けを容易に行える。
請求項8の発明とすることにより、スペーサ材を上側連結部に抜止めされた状態で確実に組み付けできる。
請求項9の発明とすることにより、凹溝状部の開口部部位に水が溜まるのを効果的に低減、防止できる。
請求項10の発明とすることにより、スペーサ材を上側連結部または下側連結部に対して確実に位置ずれしない状態で取り付けできる。
請求項11の発明とすることにより、シャッター装置の建て付け現場でインターロック結合を行う場合に、該インターロック結合される上側連結部または下側連結部に組み付けられるスペース材の位置ずれを確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図4】(A)、(B)はスペーサ材の側面図、背面図である。
【
図6】(A)、(B)、(C)はインターロック結合されていない場合のスペーサ材の取り付け手法の一例を示す図である。
【
図7】(A)、(B)、(C)はインターロック結合されている場合のスペーサ材の取り付け手法の一例を示す図である。
【
図8】(A)、(B)はカーテン部品の正面図、右側面図である。
【
図9】第二の実施の形態を示すシャッターカーテンの一部断面図である。
【
図10】(A)、(B)は第二の実施を示すスペーサ材の側面図、背面図である。
【
図11】第三の実施の形態を示すシャッターカーテンの一部断面図である。
【
図12】(A)、(B)は第三の実施を示すスペーサ材の側面図、背面図である。
【
図13】第四の実施の形態を示すシャッターカーテンの一部断面図である。
【
図14】(A)、(B)は第四の実施を示すスペーサ材の側面図、背面図である。
【
図15】(A)、(B)、(C)は第四の実施の形態におけるスペーサ材の取り付け手法の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図面において、1は建物用のシャッター装置であって、該シャッター装置1は、出入り口等の開口部の左右両端縁部に設けられるガイドレール2、該ガイドレール2に昇降案内されて開口部の開閉をするシャッターカーテン3、開口部の上方に設けられ、シャッターカーテン3を渦巻き状に巻装する巻き取り体4、該巻き取り体4の正逆回転駆動をするための電動式の開閉機5、巻き取り体4および開閉機5を内装するシャッターケース6等の各種の部材装置を用いて構成されていること等は何れも従来通りであり、このように構成されるシャッター装置1のシャッターカーテン3に本発明が実施されており、以下、具体的に詳述する。
因みにシャッター装置1としては電動式でなく手動式であってもよいことは勿論である。
【0009】
前記シャッターカーテン3は、左右方向に長いスラット7の複数枚(適数枚)を上下方向にインターロック結合することで一連状に連綴したものとして構成されるが、本実施の形態のスラット7は、平板状になったスラット面部7aと、該スラット面部7aの上側に形成される上側連結部8と、下側に形成される下側連結部9とを備えて構成される。
そして上下に隣接する一対のスラット7同士は、上側スラット7の下側連結部9と下側スラット7の上側連結部8とを、上側連結部8の左右方向一端縁部に、下側連結部9の左右方向他端縁部を嵌合組み込みした状態で、スラット7同士を左右方向に相対移動させることで前後方向相対揺動自在となるインターロック結合がなされた状態で一連状に連結(連綴)されることになり、該インターロック結合された結合部Rに、屋外側が開口部Eとなった凹溝状部Sが形成され、該凹溝状部Sに水が浸入するのを低減若しくは防止するためのスペーサ材10が隙間を存する状態で設けられたものとなっている。
【0010】
そして前記スラット7に形成される上側連結部8は、スラット面部7aの上端縁部から屋内側に位置するよう形成されたものであって、前記スラット面部7aの上端縁部から屋内側に向けて折曲形成された第一折曲部8aと、該第一折曲部8aの屋内側端縁部から上方屋外側に向けて折り返し状に湾曲形成される第一湾曲部8bと、第一湾曲部8bの上側端縁部(第一折曲部8aの屋内外方向中間部位に位置している)から上方に折曲形成されたものがさらに下方屋内側に向けて折り返し状に湾曲形成される第二湾曲部8cとを備えたものとして構成されているが、この場合に第一湾曲部8bと第二湾曲部8cとは円弧状の第一コーナー部8dによって連続したものとなっている。
ここで、前記第二湾曲部8cの先端縁部8eは、先端縁が屋内側に閉じる状態で円弧状に湾曲された形状に構成されている。また、前記上側連結部8の第二湾曲部8cは、後述するようにスペーサ材10が外嵌される湾曲部であって、本発明の上側連結部に形成される湾曲部に相当する。
【0011】
これに対し下側連結部9は、スラット面部7aの下端縁部から上方屋内側に向けて折り返し状に湾曲形成される第三湾曲部9aと、該第三湾曲部9aの屋内側端縁部から上方に延出形成されたものがさらに下方屋内側に向けて折り返し状に湾曲形成される第四湾曲部9bと、該第四湾曲部9bの屋内側下端縁部から屋外側上方に向けて折曲形成される第二折曲部9cとを備えたものとして構成されているが、この場合に、第四湾曲部9bと第二折曲部9cとは円弧状の第二コーナー部9dによって連続したものとなっている。
因みに第四湾曲部9bは、第一、第二、第三湾曲部8b、8c、9aのように円弧状に湾曲して折り返えされたものではなく、屋外内両側部に円弧状の第三、第四コーナー部9e、9fが形成された冂形状のものとなっている。また、前記下側連結部9の第四湾曲部9bは、後述する第四の実施の形態のスペーサ材13が内嵌する湾曲部であって、本発明の下側連結部に形成される湾曲部に相当する。
【0012】
そしてこのように構成される上側連結部8、下側連結部9同士をインターロック結合した場合に、該結合部Rは、上側連結部8が下側連結部9に凹溝状部Sの有る遊嵌状態で内嵌し、そして上側連結部8の第二湾曲部8cの先端縁部8eが下側連結部9の第二コーナー部9dに上側から当接支持される構成になっている。そして上下隣接するスラット7同士は、第二湾曲部先端縁部8eの第二コーナー部9dへの当接部位を揺動支点として前後方向に相対揺動して、隣接するスラット面部7a同士が面一状(平面状)になる姿勢と巻取り体4に渦巻き状に巻装される屈曲した姿勢とに揺動変姿できる構成になっている。
尚、本実施の形態において、前記下側連結部9の第二コーナー部9dは、本発明の下側連結部の先端縁部に形成の支持部に相当する。
【0013】
そしてこの場合に前記凹溝状部Sとしては、屋外側部位を開口部Eとし、屋内側部位を溝底とする屋内外方向直線溝状の第一凹溝状部S1と、該第一凹溝状部S1の屋内外方向中間部位から上方屋内側に湾曲状に分岐した第二凹溝状部S2とが形成されたものとなっている。
前記第一凹溝状部S1は、第一湾曲部8bの湾曲部位が溝底片部8fとなり、第一折曲部8aと該第一折曲部8aから一連状に続く第一湾曲部8bの下側片部とが下側溝片部8gとなり、第三湾曲部9aの湾曲部位と第一湾曲部8bの上側片部とが屋内外方向中間部位において屋内外方向に分離(分割、離間)した状態で開口部側、溝底側の上側溝片部9h、8hとなることで構成されている。
【0014】
これに対し第二凹溝状部S2は、第一凹溝状部S1の屋内外方向に分離した上側溝片部8h、9h部位から上方屋内側に湾曲する状態で分岐形成されたものであって、該第二凹溝状部S2は、上側連結部8の第二湾曲部8cが屋外側溝内片部8i、上側溝内片部8j、屋内側溝内片部8kとなり、下側連結部9の第四湾曲部9bが屋外側溝外片部9i、上側溝外片部9j、屋内側溝外片部9kとなることで構成されている。
【0015】
そしてこのようにインターロック結合された結合部Rに形成される凹溝状部Sに、該凹溝状部Sに水がたまるのを低減または防止するためのスペーサ材10が設けられるが、該スペーサ材10は、例えばポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)等の弾性を有する硬質の樹脂材を用いて形成されている。
【0016】
前記スペーサ材10は、本実施の形態では、下側連結部9に対して間隙を存して離間する状態で上側連結部8に組み付けられるものであって、該上側連結部8の第二湾曲部8cに上側から外嵌係止するよう湾曲した第一係止片部10aと、該第一係止片部10aの屋外側下端縁部から第一凹溝状部S1を上下方向に横切る状態で延出し、屋外側の先端縁部10dが第一凹溝状部S1の開口部Eにまで至って開口部E部位の下側溝片部8gに当接する(または近接対向する)延出片部10bと、該延出片部10bの先端縁部10dから第一凹溝状部S1の溝底部位にまで至って先端縁部10eが該溝底部位に係止する第二係止片部10cとを備えて構成されている。この場合に、第二湾曲部8cに外嵌係止する第一係止片部10aの先端縁部10fは、第二湾曲部8cの先端縁部8eには至らないように設定されている。
そしてこのようにスペーサ材10が構成されることにより、該スペーサ材10は、第一係止片部10aと第二係止片部10cとが上側連結部8に対して上下方向から挟持状に係止することになって該上側連結部8に係止状に組み付けられるようになっているともに、スペーサ材10が凹溝状部Sに配されることで凹溝状部Sの空間部が狭くなって、該凹溝状部Sに水が溜まるのを低減、若しくは防止できるようになっている。この場合に、凹溝状部Sの開口部Eにまで至る延出片部10bの先端縁部10dは、下側連結部9の上側溝片部9hに間隙を存した対向状態で上側連結部8の下側溝片部8gに当接または近接対向しており、これによって、凹溝状部Sの開口部E部位に水が溜まるのを効果的に低減、防止できるようになっている。
さらに、前述したように、上下に隣接するスラット7同士は、上側連結部8の第二湾曲部先端縁部8eが下側連結部9の第二コーナー部9dに当接し、該当接部位を揺動支点として前後方向に相対揺動することになるが、スペーサ材10は、上記上側連結部8と下側連結部9との当接部位、つまり第二湾曲部先端縁部8eには至らない状態で上側連結部8に組み付けられている。これにより、スペーサ材10が設けられていても、隣接するスラット7同士の位置関係を、スペーサ材10が設けられていない場合と同等とすることができるように構成されている。
【0017】
このように構成されるスペーサ材10は、前記上側連結部8への取り付け手法として、左右方向にスライド移動することで組み付けることもできるが、本実施の形態のスペーサ材10は、上下隣接スラット7同士がインターロック結合により連結されている場合、連結されていない場合の何れについても、スラット7に対して前後方向から組み付けることができるように設定されている。
【0018】
まず、上下隣接スラット7同士がインターロック結合により連結されていない場合の取り付け手法の一例について説明する。
前記スペーサ材10は、第一係止片部10aの先端縁部10fと第二係止片部10cの先端縁部10eとのあいだを入り口とする凹溝状の内嵌部Fが設けられたものとなっており、そして
図6(A)に示すように、スペーサ材10を、上側連結部8に対する組み付け姿勢とは天地(上下)逆にした状態で、前記内嵌部Fに、上側連結部第二湾曲部8cの先端縁部8eを遊嵌状に内嵌し、この内嵌状態で、第一係止片部10aを上側連結部8の第二湾曲部8cに外嵌し該第二湾曲部8cの外面に沿わせるようにしてスペーサ材10の上側連結部8よりも上側の部位(例えば延出片部先端縁部10d)を屋外側下方に向けて回り込むように変位させていくと、該スペーサ材10の第二係止片部先端縁部10eが、第一湾曲部8bと第二湾曲部8cとの第一コーナー部8dの第二湾曲部8c側部位に当接する(引っ掛る、突き当たる)状態となる。この状態でさらに前記部位(延出片部先端縁部10d)下方に無理押しすると、スペーサ材10は、前記当接している第二係止片部先端縁部10eが第一コーナー部8dを無理越えするよう弾性変形をし、これにより、第一係止片部10aが第二湾曲部8cに上側から外嵌係止し、第二係止片部10cの先端縁部10eが第一湾曲部8bに対して下側から係止する組み付け姿勢となり、このようにしてスペーサ材10の上側連結部8に対する前後方向からの抜け止めがなされた状態での組み付けができるようになっている。
そしてこのようにスペーサ材10が組み付けられたスラット7の上側連結部8と隣接するスラット7の下側連結部9とを左右方向に相対的なスライド移動をすることでスラット7同士のインターロック結合ができるように構成されている。
【0019】
次に、上下隣接スラット7同士がインターロック結合により連結されている場合の取り付け手法の一例について説明する。
この場合には、
図7に示すように、上下隣接するスラット7同士を前後方向に相対揺動して凹溝状部Sの開口部E部位が拡開した拡開姿勢にし、この拡開姿勢の状態で、スペーサ材10の第二係止片部10cを上側連結部8の第一折曲部8aのスラット面部7a側部位に上側から当てがうとともに、第一係止片部10aの先端縁部10fを前記凹溝状部Sの拡開した開口部E部位に挿入する。この状態で、スペーサ材10の延出片部10bを屋外側から屋内側に押圧すると、第一係止片部10aが下側連結部9の第三湾曲部9aに当接することで弾性変形しながら凹溝状部S内に入り込んで、第一係止片部先端縁部10fが上側連結部8の第二湾曲部8cの外面に当接する一方、第二係止片部10cの先端縁部10eが第一湾曲部8bと第二湾曲部8cとの第一コーナー部8dの第二湾曲部8c側部位に当接する(引っ掛る、突き当たる)状態となる。この状態でさらに延出片部10bを屋内側に無理押しすると、スペーサ材10は、第一係止片部10aが第二湾曲部8cの頂点を無理越えして上側から外嵌係止する一方、第二係止片部先端縁部10eが第一コーナー部8dを無理越えするよう弾性変形をして、第二係止片部先端縁部10eが第一湾曲部8bに対して下側から係止する組み付け姿勢となり、このようにしてスペーサ材10の上側連結部8に対する前後方向からの抜け止めがなされた状態での組み付けができるようになっている。
尚、前記上下隣接スラット7同士がインターロック結合により連結されている場合の取り付け手法においてスペーサ材10を組み付ける場合に、既設のシャッターカーテン3においては、例えばガイドレール2の上端部よりも上側部位(マグサ部上方)において隣接するスラット7同士を、スペーサ材10を組み込むことができる角度となるよう折曲することで、ガイドレール2を外す等の配慮をすることなくスペーサ材10を組み込みことができるが、ガイドレール2を外した状態でスペーサ材10を組み込むような場合には、マグサ上方の狭い空間部位でのスペーサ材10の組み込み作業ではなく、マグサ下方部位(シャッターカーテン3によって開閉される出入り口部位)において隣接するスラット7同士を大きく折曲させた状態(例えば90度以上も折曲させた状態)でスペーサ材10の組み込み作業ができることになる。
【0020】
このように、スペーサ材10は、上下隣接スラット7同士がインターロック結合により連結されていない場合、連結されている場合の何れでも上側連結部8に組み付けできるが、この場合に、スペーサ材10は、シャッターカーテン3を全閉姿勢したときにシャッターケース6内に収まるスラット7については設けられていない設定になっているが、必要においてシャッターケース6内に収まるスラット7について設けることもできる。
また、インターロック結合により連結された上下隣接スラット7同士の左右方向の相対移動を規制するべく、本実施の形態では、インターロック結合後に下側連結部9の左右両端部をカシメるように構成されているが、この場合に、
図8に示す如く、スペーサ材10の左右長さは、上記カシメ部9mまでは至らないようにスラット7の左右長さよりも短く設定されている。
さらに本実施の形態のシャッターカーテン3は、複数枚(例えば4枚)のスラット7を工場においてインターロック結合してカーテン部品Pとしたものを現場に搬送し、該カーテン部品Pの上下端縁部同士を現場にてインターロック結合して完成品にする設定にしたものであり、このように現場でインターロック結合をすることを考慮して次のような配慮がなされている。
つまり工場にて管理された状態でインターロック結合する場合には、隣接するスラット7同士を平行状に精度よくスライド移動させることができ、これによって、上側連結部8に組み付けたスペーサ材10に対して下側連結部9が摺動しない(当接しない)か、摺動してもその摺動抵抗が僅かな状態でインターロック結合することができるため、上側連結部8に組み付けたスペーサ材10が摺動抵抗を受けて不用意に移動してしまうことを回避した状態でのインターロック結合ができる。
これに対して現場にてインターロック結合する場合、工場にて行う場合のように精度の良いインターロック結合をすることは事実上難しく、このため上側連結部8に組み付けたスペーサ材10が下側連結部9から大きな摺動抵抗を受けてのインターロック結合となってスペーサ材10の不用意なスライド移動を伴う状態になることが想定される。これを回避するため、現場においてインターロック結合される上側連結部8に組み付けられるスペーサ材10については、第二係止片部10cの左右両端部を上側連結部8の第一折曲部8aに接着材(図示せず)で接着しており、これによりインターロック結合時におけるスペーサ材10の移動規制が図られている。このようなスペーサ材10のスラット7への接着は、工場で行うのが効率的であって作業性度良く行われるが、現場において必要において行うようにしても勿論よい。
因みに接着剤を用いてスペーサ材10を接着する場合において、点在的(点的)に接着する場合には、接着位置は左右両端部に限定されず必要において一箇所以上の適宜の位置(箇所)を選択して接着することができ、さらにはスペーサ材10を、点在的ではなく幅広状態、さらには全長に亘って接着してもよい。またスペーサ材10は、前記現場においてインターロック結合するスラット7に接着するものに限定されず、工場でインターロック結合されるスラット7に接着したものであってもよい。
【0021】
叙述の如く構成された本実施の形態において、建築用シャッター装置1は、建物開口部の左右両側に設けたガイドレール2に案内されて開口部の開閉をするシャッターカーテン3を備えており、該シャッターカーテン3は、上下隣接するスラット7の下側連結部9と上側連結部8とを左右方向に相対移動せしめるインターロック結合により隣接スラット7同士を前後方向相対揺動自在に連結して構成されているが、このものにおいて、前記インターロック結合は、上側連結部8と下側連結部9とのあいだに屋外側が開口部Eとなった凹溝状部Sが設けられた遊嵌状のものであるとともに、該凹溝状部Sには、凹溝状部Sに水が溜まるのを低減、若しくは防止するためのスペーサ材10が、下側連結部9に隙間を有する遊嵌状態で上側連結部8に組み付けられることになる。
【0022】
この結果、インターロック結合の凹溝状部Sに水が溜まることを低減、防止するべく凹溝状部S内にスペーサ材10を設けたものであっても、該スペーサ材10は下側連結部9に対して隙間を有する遊嵌状態で上側連結部8に組み付けられているから、シャッターカーテン3の巻き取り、繰り出し時等において上下に隣接するスラット7同士が前後方向に相対揺動してもスペーサ材10が摺動作用を受けることなく、よって、摺動作用によるスペーサ材10の摩耗を防止できて、スペーサ材10の耐久性向上に大きく貢献できる。また、工場等においてインターロック結合する際に、予めスペーサ材10を上側連結部8に組み付けておいても該スペーサ材10による摺動抵抗が生じることなく、円滑なインターロック結合を行えるとともにスペーサ材10が摺動抵抗を受けて位置ずれしたりしてしまうことを回避できることになる。
【0023】
さらに、このものにおいて、前記インターロック結合は、上側連結部8の先端縁部(第二湾曲部8cの先端縁部8e)が下側連結部9の先端側に形成の支持部(第二コーナー部9d)に当接して該当接部位を揺動支点として前後方向に相対揺動する連結であるが、スペーサ材10は、前記当接部位には至らない状態で凹溝状部Sに設けられている。この結果、スペーサ材10が上下隣接するスラット7同士の位置関係に影響を与えることなく、よって、スペーサ材10を既存のシャッター装置に取り付ける場合であっても、納まり状態を設定し直したりする必要がなく、作業性の向上に貢献できる。
【0024】
さらに、本実施の形態では、スペーサ材10は上側連結部8に組み付けられる構成になっているが、この場合に、スペーサ材10に形成される第一係止片部10aが上側連結部8に形成される第二湾曲部8cに上側から外嵌することで組み付けられる構成になっており、これによりスペーサ材10の上側連結部8への組み付けを簡単に行える。
【0025】
さらに、前記スペーサ材10は、上側連結部8を上下に挟持する状態で上側連結部8に支持される構成になっているから、スペーサ材10を、不用意に位置ずれしない確実な状態で上側連結部8に組み付けできることになる。
【0026】
また、スペーサ材10は、スラット7同士がインターロック結合された状態であっても、隣接するスラット7同士が前後方向に相対揺動して凹溝状部Sの開口部E部位が拡開した拡開姿勢の状態で、該拡開した開口部E部位から上側連結部8に組み付けられる構成となっているから、既存のシャッター装置1であっても、インターロック結合されたままの状態でスペーサ材10の上側連結部8への組み付けを容易に行うことができ、作業効率が大幅に向上する。
【0027】
また、スペーサ材10は、スラット7同士がインターロック結合されていない状態では、上側連結部8に対して外嵌する状態で上側連結部8の第二湾曲部8cの外面に沿ってスペーサ材10を移動させることで上側連結部8に組み付けられる構成となっているから、インターロック結合されていない状態での上側連結部8への組付けも容易に行える。
【0028】
さらに、スペーサ材10が上側連結部8に組み付けられる場合、スペーサ材10と上側連結部8とは、スペーサ材10が上側連結部8に組み付けられる組み付け過程でスペーサ材10が無理越えするように構成されている(本実施の形態では、インターロック結合されていない状態でスペーサ材10が上側連結部8に組み付けられる場合には、スペーサ材10の第二係止片部先端縁部10eが上側連結部8の第一コーナー部8dを無理越えし、また、インターロック結合されている状態でスペーサ材10が上側連結部8に組み付けられる場合には、スペーサ材10の第一係止片部先端縁部10fが上側連結部8の第二湾曲部8cの頂点を無理越えするとともに、スペーサ材10の第二係止片部先端縁部10eが上側連結部8の第一コーナー部8dを無理越えする)から、スペーサ材10を上側連結部8に抜止めされた状態で確実に組み付けできることになる。
【0029】
さらに、上側連結部8に組み付けられたスペーサ材10は、凹溝状部Sの開口部E部位に位置する延出片部先端縁部10dが、下側連結部9に間隙を存した対向状態で上側連結部8の下側溝片部8gに当接または近接対向しており、これにより、凹溝状部Sの開口部E部位に水が溜まるのを効果的に低減、防止できる。
【0030】
また、スペーサ材10を、組み付けられる上側連結部8に接着することもでき、例えば、シャッター装置1が建て付けられる現場でスラット7同士がインターロック結合されるスラット7については、予めスペーサ材10を上側連結部8に接着しておくことで、現場でインターロック結合する場合であってもスペーサ材10の位置ずれを確実に回避できることになる。
【0031】
次に、本発明の第二~第四の実施の形態について、
図9~
図15に基づいて説明する。尚、これら第二~第四の実施の形態のものは、スペーサ材以外のものは第一の実施の形態のものと同一であり、これら同一のものについては、同一の符号を付すとともに説明を省略する。
まず、
図9、
図10に基づいて第二の実施の形態のスペーサ材11について説明すると、該スペーサ材11は、第一の実施の形態のスペーサ材10と同様に、下側連結部9に対して間隙を存して離間する状態で上側連結部8に組み付けられるものであって、上側連結部8の第二湾曲部8cに上側から外嵌係止するよう湾曲した第一係止片部11aと、該第一係止片部11aの屋外側下端縁部から第一凹溝状部S1を上下方向に横切る状態で延出し、下端縁部が下側溝片部8gの屋内外方向中間部位に当接する(または近接対向する)第一延出片部11bと、第一凹溝状部S1と第二凹溝状部S2との分岐部に位置する第一延出片部11bの上下方向中間部位(本実施の形態では中央部位よりも下側部位)から屋外側下方に向けて分岐形成され、屋外側の先端縁部11eが第一凹溝状部S1の開口部Eにまで至ってから下方に向けて折曲されて開口部E部位の下側溝片部8gに当接する(または近接対向する)第二延出片部11cと、第一延出片部11bの下端縁部から第一凹溝状部S1の溝底部位にまで至り、湾曲状の先端縁部11fが該溝底部位に係止する第二係止片部11dと備えて構成されている。この場合に、第二湾曲部8cに外嵌係止する第一係止片部11aの先端縁部11gは、第二湾曲部8cの先端縁部8eには至らないように設定されている。
そしてこのようにスペーサ材11が構成されることにより、該スペーサ材11は、第一係止片部11aと先端縁部11f(第二係止片部11d)とが上側連結部8に対して上下方向から挟持状に係止することになって該上側連結部8に係止状に組み付けられるようになっているとともに、第一の実施の形態の場合と同様に、スペーサ材11が凹溝状部Sに配されることで凹溝状部Sの空間部が狭くなって、該凹溝状部Sに水が溜まるのを低減、若しくは防止できるようになっている。この場合に、凹溝状部Sの開口部Eにまで至る第二延出片部11cの先端縁部11eは、下側連結部9の上側溝片部9hに間隙を存した対向状態で上側連結部8の下側溝片部8gに当接または近接対向しており、これによって、凹溝状部Sの開口部E部位に水が溜まるのを効果的に低減、防止できるようになっている。さらに、第二の実施の形態のスペーサ材11も、第一の実施の形態のスペーサ材10と同様に、インターロック結合により相対揺動自在に連結されている上側連結部8と下側連結部9との当接部位、つまり第二湾曲部先端縁部8eには至らない状態で上側連結部8に組み付けられており、これにより、スペーサ材11が設けられていても、隣接するスラット7同士の位置関係がスペーサ材11が設けられていない場合と同等となるように構成されている。
【0032】
そして、このように構成された第二の実施の形態においても、前述した第一の実施の形態と同様の作用効果を奏することになって、スペーサ材11の摩耗を防止できて、スペーサ材11の耐久性向上に大きく貢献できるとともに、スペーサ材11を既存のシャッター装置に取り付ける場合であっても、納まり状態を設定し直したりする必要がなく、作業性の向上に貢献できる。
【0033】
次いで、
図11、
図12に基づいて第三の実施の形態のスペーサ材12について説明すると、該スペーサ材12は、第一、第二の実施の形態のスペーサ材10、11と同様に、下側連結部9に対して間隙を存して離間する状態で上側連結部8に組み付けられるものであって、上側連結部8の第二湾曲部8cに上側から外嵌係止するよう湾曲した第一係止片部12aと、該第一係止片部12aの屋外側下端縁部から第一凹溝状部S1を上下方向に横切る状態で延出し、屋外側の先端縁部12eが第一凹溝状部S1の開口部Eにまで至ってから下方に向けて折曲されて開口部E部位の下側溝片部8gに当接する(または近接対向する)延出片部12bと、第一凹溝状部S1と第二凹溝状部S2との分岐部に位置する延出片部12bの上下方向中間部位(本実施の形態では中央部位よりも下側部位)から屋内側に向けて分岐形成されて第一凹溝状部S1の溝底部位にまで至り、先端縁部が該溝底部位に係止する第二係止片部12cと、該第二係止片部12cの屋内外方向中間部位から下方に向けて分岐形成され、下端縁部が下側溝片部8gの溝底側部位に当接する脚片部12dと備えて構成されている。この場合に、第二湾曲部8cに外嵌係止する第一係止片部12aの先端縁部12fは、第二湾曲部8cの先端縁部8eには至らないように設定されている。
そしてこのようにスペーサ材12が構成されることにより、該スペーサ材12は、第一係止片部12aと第二係止片部12cとが上側連結部8に対して上下方向から挟持状に係止することになって該上側連結部8に係止状に組み付けられるようになっているとともに、第一、第二の実施の形態の場合と同様に、スペーサ材12が凹溝状部Sに配されることで凹溝状部Sの空間部が狭くなって、該凹溝状部Sに水が溜まるのを低減、若しくは防止できるようになっている。この場合に、凹溝状部Sの開口部Eにまで至る延出片部12bの先端縁部12eは、下側連結部9の上側溝片部9hに間隙を存した対向状態で上側連結部8の下側溝片部8gに当接または近接対向しており、これによって、凹溝状部Sの開口部E部位に水が溜まるのを効果的に低減、防止できるようになっている。さらに、第三の実施の形態のスペーサ材12も、第一、第二の実施の形態のスペーサ材10、11と同様に、インターロック結合により相対揺動自在に連結されている上側連結部8と下側連結部9との当接部位、つまり第二湾曲部先端縁部8eには至らない状態で上側連結部8に組み付けられており、これにより、スペーサ材12が設けられていても、隣接するスラット7同士の位置関係がスペーサ材12が設けられていない場合と同等となるように構成されている。
【0034】
そして、このように構成された第三の実施の形態においても、前述した第一、第二の実施の形態と同様の作用効果を奏することになって、スペーサ材12の摩耗を防止できて、スペーサ材12の耐久性向上に大きく貢献できるとともに、スペーサ材12を既存のシャッター装置に取り付ける場合であっても、納まり状態を設定し直したりする必要がなく、作業性の向上に貢献できる。
尚、前述した第二、第三の実施の形態においても、第一の実施の形態の場合と同様に、スペーサ材11、12の上側連結部8への取り付け手法として、左右方向にスライド移動することで組み付けるできることは勿論のこと、上下隣接スラット7同士がインターロック結合により連結されている場合、連結されていない場合の何れについても、スラット7に対して前後方向から組み付けできるように構成されている。
【0035】
次いで、
図13~
図15に基づいて第四の実施の形態のスペーサ材13について説明すると、該スペーサ材13は、上側連結部8に対して間隙を存して離間する状態で下側連結部9に組み付けられるものであって、下側連結部9の第四湾曲部9bの内面に沿うようにして第四湾曲部9bに下側から内嵌係止する係止片部13aと、該係止片部13aの屋外側下端縁部から第三湾曲部9aの内面に沿うようにして延出し、屋外側の肉厚の先端縁部13cが第一凹溝状部S1の開口部Eにまで至る延出片部13bとを備えて構成されている。この場合に、前記係止片部13aは、下側連結部9の第四湾曲部9bの内面に沿う形状をしており、第四湾曲部9bの屋外内両側の第三コーナー部9e、第四コーナー部9fにそれぞれ内嵌する第五コーナー部13d、第六コーナー部13eが形成されたものとなっている。また、係止片部13aの先端縁部13fは、下側連結部9の第二コーナー部9dには至らないように設定されている。
そしてこのようにスペーサ材13が構成されることにより、該スペーサ材13は、係止片部13aが下側連結部9の第四湾曲部9bに内嵌係止することになって該下側連結部9に係止状に組み付けられるようになっているとともに、第一~第三の実施の形態の場合と同様に、スペーサ材13が凹溝状部Sに配されることで凹溝状部Sの空間部が狭くなって、該凹溝状部Sに水が溜まるのを低減、若しくは防止できるようになっている。この場合に、凹溝状部Sの開口部Eにまで至る延出片部13bの先端縁部13cは、上側連結部8の下側溝片部8gに間隔を存した対向状態で下側連結部9の上側溝片部9hに当接しており、これによって、凹溝状部Sの開口部E部位に水が溜まるのを効果的に低減、防止できるようになっている。さらに、第四の実施の形態のスペーサ材13も、インターロック結合により相対揺動自在に連結されている上側連結部8と下側連結部9との当接部位、つまり第二コーナー部9dには至らない状態で下側連結部9に組み付けられており、これにより、スペーサ材13が設けられていても、隣接するスラット7同士の位置関係がスペーサ材13が設けられていない場合と同等となるように構成されている。
【0036】
このように構成される第四の実施の形態のスペーサ材13は、下側連結部9への取り付け手法として、左右方向にスライド移動することで組み付けることもできるが、上下隣接スラット7同士がインターロック結合により連結されていない場合に、スラット7に対して前後方向から組み付けることができるように設定されており、この場合の取り付け手法の一例について説明する。
この場合、
図15に示すように、スペーサ材13の係止片部13aを、下側連結部9の第二折曲部9cと屋外側溝外片部9iとの間から挿入して、係止片部13aの屋外内両側の第五コーナー部13d、第六コーナー部13eを、下側連結部9の屋外側溝外片部9i、上側溝外片部9jの内面にそれぞれ当接させる。この状態からスペーサ材13の延出片部13bを屋外側上方に変位させていくと、スペーサ材13の係止片部13aの先端縁部13fが下側連結部9の第四コーナー部9fの屋内側溝外片部9k側部位に、スペーサ材13の第五コーナー部13dが下側連結部9の第三コーナー部9eの屋外側溝外片部9i側部位に突き当たる状態となる。この状態でさらにスペーサ材13の延出片部13bを屋外側上方に無理押しすると、スペーサ材13は、弾性変形してスペーサ材13の第五コーナー部13d、第六コーナー部13eが下側連結部9の第三コーナー部9e、第四コーナー部9fに無理嵌めされ、これにより、スペーサ材13の係止片部13aが下側連結部9の第四湾曲部9bに内嵌係止する組み付け姿勢となり、このようにしてスペーサ材13の下側連結部9に対する前後方向からの抜け止めがなされた状態での組み付けができるようになっている。
【0037】
そして、このように構成された第四の実施の形態において、スペーサ材13は、上側連結部8に隙間を有する遊嵌状態で下側連結部9に組み付けられているが、このようにスペーサ材13が下側連結部9に組み付けられるものであっても、上側連結部8に組み付けられる第一~第三の実施の形態のものと同様の作用効果を奏することになって、スペーサ材13の摩耗を防止できて、スペーサ材13の耐久性向上に大きく貢献できるとともに、スペーサ材13を既存のシャッター装置に取り付ける場合であっても、納まり状態を設定し直したりする必要がなく、作業性の向上に貢献できる。また、第四の実施の形態のものでは、スペーサ材13に形成される係止片部13aが下側連結部9に形成される第四湾曲部9bに下側から内嵌することで組み付けられる構成になっており、これによりスペーサ材13の下側連結部9への組み付けを簡単に行うことができる。
尚、第二~第四の実施の形態のものにおいても、第一の実施の形態と同様にスペーサ材13を接着することができるが、この場合、第二、第三の実施の形態のものでは、スペーサ材11、12は上側連結部8に接着され、第四の実施の形態のものでは、スペーサ材13は下側連結部9に接着されることになる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、開口部を開閉するために建て付けられる建物用シャッター装置のシャッターカーテンに利用することができる。
【符号の説明】
【0039】
1 シャッター装置
2 ガイドレール
3 シャッターカーテン
7スラット
8 上側連結部
8c 第二湾曲部
8e 第二湾曲部先端縁部
9 下側連結部
9b 第四湾曲部
9d 第二コーナー部
10 スペーサ材
10d 延出片部先端縁部
11 スペーサ材
12 スペーサ材
13 スペーサ材
S 凹溝状部
E 凹溝状部の開口部