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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022085286
(43)【公開日】2022-06-08
(54)【発明の名称】圧電フィルタ装置
(51)【国際特許分類】
   H03H 9/58 20060101AFI20220601BHJP
   H03H 9/60 20060101ALI20220601BHJP
【FI】
H03H9/58 Z
H03H9/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020196895
(22)【出願日】2020-11-27
(71)【出願人】
【識別番号】000149734
【氏名又は名称】株式会社大真空
(72)【発明者】
【氏名】前田 浩
【テーマコード(参考)】
5J108
【Fターム(参考)】
5J108AA07
5J108BB02
5J108CC04
5J108DD02
5J108JJ01
(57)【要約】
【課題】 よりフィルタ特性の優れた圧電フィルタを提供する。
【解決手段】 圧電振動板の一主面に入力電極と出力電極とが形成され、他主面にアース電極が形成された圧電フィルタ素子を用いた2ポール型圧電フィルタを構成し、上記圧電フィルタを3つ以上用い、互いにカップリングコンデンサを介在させて縦続接続した圧電フィルタを有しており、上記縦続接続した圧電フィルタの入力側終端部及び出力側終端部にインピーダンス回路が備えられた圧電フィルタ装置であって、上記全ての圧電フィルタの中心周波数が互いに略一致しており、上記入力側終端部のインピーダンス回路に接続される圧電フィルタと上記出力側終端部のインピーダンス回路に接続される圧電フィルタとは互いに帯域幅が略一致しており、かつ上記終端部に接続されない段間の圧電フィルタより帯域幅が広いことを特徴としている。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電振動板の一主面に入力電極と出力電極とが形成され、他主面にアース電極が形成された圧電フィルタ素子を用いた2ポール型圧電フィルタを構成し、
上記圧電フィルタを3つ以上用い、互いにカップリングコンデンサを介在させて縦続接続した圧電フィルタを有しており、
上記縦続接続した圧電フィルタの入力側終端部及び出力側終端部にインピーダンス回路が備えられた圧電フィルタ装置であって、
上記全ての圧電フィルタの中心周波数が互いに略一致しており、
上記入力側終端部のインピーダンス回路に接続される圧電フィルタと上記出力側終端部のインピーダンス回路に接続される圧電フィルタは互いに帯域幅が略一致しており、かつ上記終端部に接続されない段間の圧電フィルタより帯域幅が広いことを特徴とする圧電フィルタ装置。
【請求項2】
特許請求項1記載の圧電フィルタ装置において、
上記各終端部に接続されない段間の圧電フィルタが複数存在するときは、全ての段間の圧電フィルタの帯域幅が略一致していることを特徴とする圧電フィルタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、業務用無線機器などに用いられる圧電フィルタ装置の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、圧電振動板を用いた多重モードの圧電フィルタの一種としてモノリシッククリスタルフィルタ(以下、MCFと称する)が用いられている。例えば、MCFとして一般的な2ポール型圧電フィルタ(2重モード圧電フィルタ)では、1枚のATカット水晶板の一主面に入力電極と出力電極が所定のギャップを開けて形成され、同水晶板の他主面に入力電極と出力電極の対向する位置にアース電極が形成された圧電フィルタ素子が用いられている。このように構成することで、1枚の水晶板上の2つの振動子の結合から生じる2つの振動モード(対称モードと斜対称モード)を利用した2ポール型圧電フィルタが得られる。
【0003】
このようなMCFの中には、特許文献1に示すように、2つの2ポール型圧電フィルタ素子を縦続接続することで、急峻でフィルタ特性の優れた4ポール型圧電フィルタが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-86983号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、近年の業務用無線などに利用される圧電フィルタ装置では、減衰帯域幅やリップル特性などが非常に厳しい仕様が多くなり、このような4ポール型圧電フィルタでは、特性が満足できない場合があった。
【0006】
そこで、上記課題を解決するために、本発明は、よりフィルタ特性の優れた圧電フィルタ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明では、上記目的を達成するために、次のように構成している。
【0008】
すなわち、本発明の特許請求項1に示すように、圧電振動板の一主面に入力電極と出力電極とが形成され、他主面にアース電極が形成された圧電フィルタ素子を用いた2ポール型圧電フィルタを構成し、
上記圧電フィルタを3つ以上用い、互いにカップリングコンデンサを介在させて縦続接続した圧電フィルタを有しており、
上記縦続接続した圧電フィルタの入力側終端部及び出力側終端部にインピーダンス回路が備えられた圧電フィルタ装置であって、
上記全ての圧電フィルタの中心周波数が互いに略一致しており、
上記入力側終端部のインピーダンス回路に接続される圧電フィルタと上記出力側終端部のインピーダンス回路に接続される圧電フィルタは互いに帯域幅が略一致しており、かつ上記終端部に接続されない段間の圧電フィルタより帯域幅が広いことを特徴としている。
【0009】
上記構成により、3つ以上の2ポール型圧電フィルタを用い、互いにカップリングコンデンサを介在させて縦続接続した圧電フィルタを構成し、入力側終端部及び出力側終端部にインピーダンス回路が備えられた圧電フィルタ装置とすることで、フィルタ特性をより急峻で減衰帯域幅を狭くすることできる。
【0010】
特に、全ての圧電フィルタの中心周波数が互いに略一致させながら、各終端部に接続される2つの圧電フィルタを互いに帯域幅が略一致させ、かつ段間の圧電フィルタより帯域幅を広く構成することで、より急峻で減衰帯域幅の狭いフィルタ特性を得るだけでなくリップルの生じにくいフィルタ特性とすることができる。つまり急峻性とリップル特性の優れた圧電フィルタ装置を提供することができる。
【0011】
また、本発明の特許請求項2に示すように、各終端部に接続されない段間の圧電フィルタが複数存在するときは、全ての段間の圧電フィルタの帯域幅が略一致させていることで、さらに急峻性に優れた減衰帯域幅の狭いフィルタ特性を得ることができるだけでなく、リップルを生じさせにくいより安定したフィルタ特性の圧電フィルタ装置を得ることができる。
【0012】
この様な圧電フィルタ装置は、2ポール型圧電フィルタを3つ用い、互いにコンデンサを介在させて縦続接続した6ポール型圧電フィルタ、あるいは、2ポール型圧電フィルタ素子を4つ用い、段間の2つの圧電フィルタの帯域幅が略一致させた状態で、互いにコンデンサを介在させて縦続接続した8ポール型圧電フィルタを用いることで、2ポール型圧電フィルタを2つだけ用いた4ポール型圧電フィルタに比較してフィルタ特性の向上が実現できる。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明は、よりフィルタ特性の優れた圧電フィルタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係る圧電フィルタ装置の概略構成図である。
図2】4ポール型圧電フィルタと8ポール型圧電フィルタとを示すフィルタ波形図である。
図3】従来と本発明のフィルタ波形図である。
図4】本発明の他の実施形態に係る圧電フィルタ装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0016】
図1は、本発明の実施形態に係る圧電フィルタ装置1の概略構成図である。この実施形態の圧電フィルタ装置1は、互いに従属接続される第1圧電フィルタ素子2、第2圧電フィルタ素子3、第3圧電フィルタ素子4、第4圧電フィルタ素子5と、縦続接続される各圧電フィルタ素子の段間に介在する第1カップリングコンデンサCC1、第2カップリングコンデンサCC2、第3カップリングコンデンサCC3と、圧電フィルタ装置1の入力側終端部の第1インピーダンス回路6と、圧電フィルタ装置1の出力側終端部の第2インピーダンス回路7とを備えている。
【0017】
上記第1圧電フィルタ素子2乃至第4圧電フィルタ素子5は、それぞれ1枚のATカット水晶板の一主面に入力電極と出力電極が所定のギャップを開けて形成され、同水晶板の他主面に入力電極と出力電極の対向する位置にアース電極が形成された圧電フィルタ素子により構成されており、1枚の水晶板上の2つの振動子の結合から生じる2つの振動モード(対称モードと斜対称モード)を利用した2ポール型圧電フィルタが得られる。
【0018】
この実施形態では、カップリングコンデンサを段間に介在させて2ポール型圧電フィルタ素子を2つ縦続接続した4ポール型圧電フィルタを準備するとともに、この4ポール型圧電フィルタを2つ準備してさらにカップリングコンデンサを段間に介在させて互いを縦続接続した8ポール型圧電フィルタを構成したものである。このため、2ポール型圧電フィルタを4つ用いるものに比べて小型化に有利な構成とすることができる。
【0019】
より具体的に説明すると、第1の4ポール型圧電フィルタF1として、セラミックベースや金属蓋体などからなるパッケージP1の内部に、第1圧電フィルタ素子2と第2圧電フィルタ素子3とが互いに電気的に独立した状態で収納されている。パッケージP1に形成され、第1圧電フィルタ素子2の入力電極と接続される入力端子P1N1は、パッケージ外部で入力側終端部のインピーダンス回路6と接続される。パッケージP1に形成され、第1圧電フィルタ素子2の出力電極と接続される出力端子P1S1と、第2圧電フィルタ素子3の入力電極と接続される入力端子P1N2とは、パッケージ外部で第1カップリングコンデンサCC1を介在させて縦続接続される。パッケージP1に形成され、第2圧電フィルタ素子3の出力電極と接続される出力端子P1S2は、後述するパッケージP2に形成され、第3圧電フィルタ素子4の入力電極と接続される入力端子P2N1とパッケージ外部で第2カップリングコンデンサCC2を介在させて縦続接続される。なお、第1の4ポール型圧電フィルタF1における第1圧電フィルタ素子2のアース電極と第2圧電フィルタ素子3のアース電極はグランドに接続されている。
【0020】
さらに、第2の4ポール型圧電フィルタF2として、セラミックベースや金属蓋体などからなるパッケージP2の内部に、第3圧電フィルタ素子4と第4圧電フィルタ素子5とが互いに電気的に独立した状態で収納されている。パッケージP2に形成され、第3圧電フィルタ素子4の入力電極と接続される入力端子P2N1は、前述のとおりパッケージP1に形成され、第2圧電フィルタ素子3の出力電極と接続される入力端子P1S2とパッケージ外部で第2カップリングコンデンサCC2を介在させて縦続接続される。パッケージP2に形成され、第3圧電フィルタ素子4の出力電極と接続される出力端子P2S1と、第4圧電フィルタ素子5の入力電極と接続される入力端子P2N2とは、パッケージ外部で第3カップリングコンデンサCC3を介在させて縦続接続される。パッケージP2に形成され、第4圧電フィルタ素子5の出力電極と接続される出力端子P2S2は、パッケージ外部で出力側終端部のインピーダンス回路7と接続される。なお、第2の4ポール型圧電フィルタF2における第3圧電フィルタ素子4のアース電極と第4圧電フィルタ素子5のアース電極はグランドに接続されている。
【0021】
そして、第1の4ポール型圧電フィルタF1と第2の4ポール型圧電フィルタF2とを各カップリングコンデンサを段間に介在させ従属接続することで、8ポール型圧電フィルタを構成している。また、上述のように、第1の4ポール型圧電フィルタF1の入力側終端部には、所定値で設定された第1抵抗体R1と第1コンデンサC1により構成された第1インピーダンス回路6が接続され、第2の4ポール型圧電フィルタF2の出力側終端部には、所定値で設定された第2抵抗体R2と第2コンデンサC2により構成された第2インピーダンス回路7が接続されており、以上の構成を具備することで本形態の圧電フィルタ装置が構成されている。なお、本実施形態の圧電フィルタ装置の公称周波数としては、例えば、46.35MHzのものを用いている。第1~第3のカップリングコンデンサの値は、例えば、12pFである。入力側終端部である第1インピーダンス回路6のインピーダンスは、例えば、第1抵抗体R1が430Ωであり、第1コンデンサC1が2pFである。出力側終端部である第2インピーダンス回路7のインピーダンスは、例えば、第2抵抗体R2が430Ωであり、第2コンデンサC2が2pFである。
【0022】
この実施形態の特徴的な構成として、第1圧電フィルタ素子2(第1圧電フィルタ)と、第2圧電フィルタ素子3(第2圧電フィルタ)と、第3圧電フィルタ素子4(第3圧電フィルタ)と、第4圧電フィルタ素子5(第4圧電フィルタ)との全ての圧電フィルタ素子の中心周波数を略一致させた構成としている。なお、この中心周波数は完全に一致している必要はなく、中心周波数(F0)に対して5%程度のばらつきであれば、実験的に本発明の効果を妨げることはないことが確認できている。
【0023】
また、入力側終端部の第1インピーダンス回路6に接続される第1圧電フィルタ素子2(第1圧電フィルタ)と、出力側終端部の第2インピーダンス回路7に接続される第4圧電フィルタ素子5(第4圧電フィルタ)とは互いに帯域幅が略一致させている。なお、この帯域幅は完全に一致している必要はなく、一方の帯域幅数に対して5%程度のばらつきであれば、実験的に本発明の効果を妨げることはないことが確認できている。
【0024】
さらに、上記各終端部に接続されない段間の第2圧電フィルタ素子3(第2圧電フィルタ)と、第3圧電フィルタ素子4(第3圧電フィルタ)とは、帯域幅が略一致している。なお、この帯域幅は完全に一致している必要はなく、一方の帯域幅数に対して5%程度のばらつきであれば、実験的に本発明の効果を妨げることはないことが確認できている。
【0025】
加えて、終端部に接続される第1圧電フィルタ素子2(第1圧電フィルタ)と第4圧電フィルタ素子5(第4圧電フィルタ)は、終端部に接続されない段間の第2圧電フィルタ素子3(第2圧電フィルタ)と第3圧電フィルタ素子4(第3圧電フィルタ)より帯域幅が広く設定している。
【0026】
以上の特徴的構成を具備することで、より急峻で減衰帯域幅の狭いフィルタ特性を得るだけでなくリップルの生じにくいより安定したフィルタ特性とすることができる。つまり急峻性とリップル特性の優れた圧電フィルタ装置を提供することができる。
【0027】
以下、従来の圧電フィルタ装置と本発明の圧電フィルタ装置の特性を比較したものを示す。縦軸は減衰量を示し、横軸は周波数を示している。図2(a)は、中心周波数が46.35MHzの2つの2ポール型圧電フィルタを組み合わせた4ポール型圧電フィルタ装置を示すフィルタ波形図(従来)を示しており、図2(b)は、中心周波数が46.35MHzの4つの2ポール型圧電フィルタを組み合わせた8ポール型圧電フィルタ装置を示すフィルタ波形図(本発明)を示している。これらの波形図からポール数が増えた8ポール型圧電フィルタ装置の方がより急峻で減衰帯域幅を狭くなっている。
【0028】
図3(a)~(d)は、中心周波数が46.35MHzで、相対的に「広帯域特性」(本検証データでは例えば帯域幅を13.8KHzとして設定)となる第1帯域幅の2ポール型圧電フィルタと、相対的に「狭帯域特性」(本検証データでは例えば帯域幅を9.8KHzとして設定)となる第2帯域幅の2ポール型圧電フィルタとをお互いに縦続接続して構成された4ポール型圧電フィルタ装置を2つ用い、この4ポール型圧電フィルタ装置を互いに縦続接続して構成された8ポール型圧電フィルタ装置において、頂点付近のフィルタ波形図を示している。縦軸は減衰量を示し、横軸は周波数を示している。特に、外部回路から見た最初の入力側終端部(図1における第1インピーダンス回路6側)と最後の出力側終端部(図1における第2インピーダンス回路6側)とで帯域特性ごとの4つのパターンで組み合わせ、各パターンによるフィルタ波形図の特性を比較したものである。
【0029】
具体的に、図3(a)では最初の入力側終端部に第2帯域幅(狭帯域特性)の2ポール型圧電フィルタを接続し、最後の出力側終端部に第1帯域幅(広帯域特性)の2ポール型圧電フィルタを接続することで、入力側終端部を「狭帯域特性」とし、これに接続される段間を「広帯域特性」から「狭帯域特性」とし、最後の出力側終端部を「広帯域特性」のパターンに設定したものを示している。
【0030】
図3(b)では最初の入力側終端部に第2帯域幅(狭帯域特性)の2ポール型圧電フィルタを接続し、最後の出力側終端部に第2帯域幅(狭帯域特性)の2ポール型圧電フィルタを接続することで、入力側終端部を「狭帯域特性」とし、これに接続される段間を「広帯域特性」から「広帯域特性」とし、最後の出力側終端部を「狭帯域特性」のパターンに設定したものを示している。
【0031】
図3(c)では最初の入力側終端部に第1帯域幅(広帯域特性)の2ポール型圧電フィルタを接続し、最後の出力側終端部に第2帯域幅(狭帯域特性)の2ポール型圧電フィルタを接続することで、入力側終端部を「広帯域特性」とし、これに接続される段間を「狭帯域特性」から「広帯域特性」とし、最後の出力側終端部を「狭帯域特性」のパターンに設定したものを示している。
【0032】
図3(d)では最初の入力側終端部に第1帯域幅(広帯域特性)の2ポール型圧電フィルタを接続し、最後の出力側終端部に第1帯域幅(広帯域特性)の2ポール型圧電フィルタを接続することで、入力側終端部を「広帯域特性」とし、これに接続される段間を「狭帯域特性」から「狭帯域特性」とし、最後の出力側終端部を「広帯域特性」のパターンに設定したものを示している。
【0033】
上記図3(a)~(d)の波形図から、図3(d)のもの(本発明)がリップルを抑制したより望ましいフィルタ特性が得られているのがわかる。
【0034】
次に、本発明の他の実施形態について、図4とともに説明する。上記実施形態と同様の部分については、同番号を付すとともに説明の一部を割愛する。図4は、本発明の他の実施形態に係る圧電フィルタ装置1Aの概略構成図である。この実施形態では、カップリングコンデンサを段間に介在させて2ポール型圧電フィルタを3つ縦続接続した6ポール型圧電フィルタを構成したものである。圧電フィルタ装置1Aは、互いに従属接続される第1圧電フィルタ素子2A、第2圧電フィルタ素子3A、第3圧電フィルタ素子4Aと、縦続接続される各圧電フィルタ素子の段間に介在する第1カップリングコンデンサCC1、第2カップリングコンデンサCC2と、圧電フィルタ装置1Aの入力側終端部の第1インピーダンス回路6と、圧電フィルタ装置1の出力側終端部の第2インピーダンス回路7とを備えている。なお、本実施形態では、4ポール型圧電フィルタと2ポール型圧電フィルタを組み合わせて6ポール型圧電フィルタを構成したものでもよい。
【0035】
より具体的に説明すると、第1の2ポール型圧電フィルタF3として、セラミックベースや金属蓋体などからなるパッケージP3の内部に、第1圧電フィルタ素子2Aが収納されている。パッケージP3に形成され、第1圧電フィルタ素子2Aの入力電極と接続される入力端子P3N1は、パッケージ外部で入力側終端部のインピーダンス回路6と接続される。パッケージP3に形成され、第1圧電フィルタ素子2Aの出力電極と接続される出力端子P3S1は、後述するパッケージP4に形成され、第2圧電フィルタ素子3Aの入力電極と接続される入力端子P4N1とパッケージ外部で第1カップリングコンデンサCC1を介在させて縦続接続される。なお、第1の2ポール型圧電フィルタF3における第1圧電フィルタ素子2Aのアース電極はグランドに接続されている。
【0036】
第2の2ポール型圧電フィルタF4として、セラミックベースや金属蓋体などからなるパッケージP4の内部に、第2圧電フィルタ素子3Aが収納されている。パッケージP4に形成され、第2圧電フィルタ素子3Aの入力電極と接続される入力端子P4N1は、前述のとおりパッケージP3に形成され、第1圧電フィルタ素子2Aの出力電極と接続される出力端子P3S1とパッケージ外部で第1カップリングコンデンサCC1を介在させて縦続接続される。パッケージP4に形成され、第2圧電フィルタ素子3Aの出力電極と接続される出力端子P4S1は、後述するパッケージP5に形成され、第3圧電フィルタ素子4Aの入力電極と接続される入力端子P5N1とパッケージ外部で第2カップリングコンデンサCC2を介在させて縦続接続される。なお、第2の2ポール型圧電フィルタF4における第2圧電フィルタ素子3Aのアース電極はグランドに接続されている。
【0037】
第3の2ポール型圧電フィルタF5として、セラミックベースや金属蓋体などからなるパッケージP5の内部に、第3圧電フィルタ素子4Aが収納されている。パッケージP5に形成され、第3圧電フィルタ素子4Aの入力電極と接続される入力端子P5N1は、前述のとおりパッケージP4に形成され、第2圧電フィルタ素子3Aの出力電極と接続される出力端子P4S1とパッケージ外部で第2カップリングコンデンサCC2を介在させて縦続接続される。パッケージP5に形成され、第3圧電フィルタ素子4Aの出力電極と接続される出力端子P5S1は、パッケージ外部で出力側終端部のインピーダンス回路7と接続される。なお、第3の2ポール型圧電フィルタF4における第3圧電フィルタ素子4Aのアース電極はグランドに接続されている。
【0038】
この様に各カップリングコンデンサを段間に介在させ従属接続することで、6ポール型圧電フィルタを構成している。また、上述のように、第1の2ポール型圧電フィルタの入力側終端部には、所定値で設定された第1抵抗体R1と第1コンデンサC1により構成された第1インピーダンス回路6が接続され、第3の2ポール型圧電フィルタの出力側終端部には、所定値で設定された第2抵抗体R2と第2コンデンサC2により構成された第2インピーダンス回路7が接続されており、以上の構成を具備することで本形態の圧電フィルタ装置が構成されている。
【0039】
この実施形態の特徴的な構成として、第1圧電フィルタ素子2Aと、第2圧電フィルタ素子3Aと、第3圧電フィルタ素子4Aとの全ての圧電フィルタ素子の中心周波数を略一致させた構成としている。なお、この中心周波数は完全に一致している必要はなく、中心周波数(F0)に対して5%程度のばらつきであれば、実験的に本発明の効果を妨げることはないことが確認できている。
【0040】
また、入力側終端部の第1インピーダンス回路6に接続される第1圧電フィルタ素子2Aと、出力側終端部の第2インピーダンス回路7に接続される第3圧電フィルタ素子4Aとは互いに帯域幅が略一致させている。なお、この帯域幅は完全に一致している必要はなく、一方の帯域幅数に対して5%程度のばらつきであれば、実験的に本発明の効果を妨げることはないことが確認できている。
【0041】
さらに、終端部に接続される第1圧電フィルタ素子2Aと第3圧電フィルタ素子4Aは、終端部に接続されない段間の第2圧電フィルタ素子3Aより帯域幅が広く設定している。
【0042】
なお、上記した本実施例では、圧電フィルタ装置として、8ポール型圧電フィルタ装置と6ポール型圧電フィルタ装置を例にしているが、これらの圧電フィルタ装置に限らず、10ポール型以上の圧電フィルタ装置としてもよい。また、圧電フィルタ素子として水晶板を例にしている材料としているが、これに限定されるものではなく、圧電セラミックスやLiNbO3等の圧電単結晶材料を用いてもよい。すなわち、任意の圧電フィルタ素子が適用可能である。また、圧電フィルタ素子は、2ポールや4ポールごとに水晶板を構成してもよいし、6ポールや8ポールなどを1枚の水晶板で構成してもよい。
【0043】
本発明は、その思想または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施例はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、圧電フィルタ素子を持ち田圧電フィルタ装置に適用できる。
【符号の説明】
【0045】
1 圧電フィルタ装置
2 第1圧電フィルタ素子
3 第2圧電フィルタ素子
4 第3圧電フィルタ素子
5 第4圧電フィルタ素子
6 第1インピーダンス回路
7 第2インピーダンス回路
図1
図2
図3
図4