(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022085312
(43)【公開日】2022-06-08
(54)【発明の名称】リベット施工方法およびリベット施工システム
(51)【国際特許分類】
B21J 15/00 20060101AFI20220601BHJP
【FI】
B21J15/00 V
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020196928
(22)【出願日】2020-11-27
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】000200367
【氏名又は名称】川田工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】517133552
【氏名又は名称】MKエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長坂 康史
(72)【発明者】
【氏名】湯田 誠
(72)【発明者】
【氏名】竹渕 敏郎
(57)【要約】
【課題】安全性が高く熟練技能者の判断が伴う側面が少なく作業効率の高い新たなリベット施工方法、および施工現場において当該リベット施工方法を安全、容易かつ高効率に用いるための単一化されたリベット施工システムを提供する。
【解決手段】リベット施工方法は、リベットを加熱する加熱コイル5と、リベットを昇降可能な昇降装置7とを備える加熱装置100を用いる。当該リベット施工方法においては、昇降装置7を用いて加熱コイル5内にリベットが挿入される。加熱コイル5による誘導発熱を用いてリベットが加熱される。リベットが加熱された後、加熱コイル5内からリベットが抜かれる。リベットを加熱する工程により加熱されたリベットが打設される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リベットを加熱する加熱コイルと、前記リベットを昇降可能な昇降装置とを備える加熱装置を用いたリベット施工方法であり、
前記昇降装置を用いて前記加熱コイル内に前記リベットを挿入する工程と、
前記加熱コイルによる誘導発熱を用いて前記リベットを加熱する工程と、
前記加熱する工程の後、前記加熱コイル内から前記リベットを抜く工程と、
前記リベットを加熱する工程により加熱された前記リベットを打設する工程とを備える、リベット施工方法。
【請求項2】
前記昇降装置は機械的調整機構をさらに備え、
前記リベットを挿入する工程において、前記機械的調整機構により前記リベットが昇降され、前記リベットの位置が調整される、請求項1に記載のリベット施工方法。
【請求項3】
前記加熱装置は、耐熱ベースシートと、前記耐熱ベースシートの上に配置される耐熱シートとをさらに備え、
前記耐熱シートには貫通孔が形成されており、
前記リベットを加熱する工程においては、前記リベットの頭部を前記貫通孔内に挿入し、前記リベットが倒立可能な、請求項1または2に記載のリベット施工方法。
【請求項4】
前記加熱装置は、前記耐熱ベースシートおよび前記耐熱シートを搭載する搭載部をさらに備え、
前記搭載部を構成する材料の主成分は電磁誘導発熱を伴わない材料である、請求項3に記載のリベット施工方法。
【請求項5】
前記リベットを挿入する工程の後、前記リベットを加熱する工程の前に、前記加熱コイル内に治具を挿入する工程をさらに備え、
前記治具は筒形状を有する筒形状部を含み、
前記治具を挿入する工程においては、前記加熱コイルと前記リベットとの間に、前記筒形状部が挿入される、請求項1~4のいずれか1項に記載のリベット施工方法。
【請求項6】
前記加熱コイル内に治具を挿入する工程の後、前記治具を加熱コイル内から取り外す工程をさらに備え、
前記治具は、前記筒形状部が延在する方向の一方の端部に固定された収納部と、前記収納部内に収納可能な押圧部とをさらに含み、
前記治具を前記加熱コイル内から取り外す工程においては、前記延在する方向について前記収納部に対して前記押圧部が移動し前記収納部に対する前記押圧部の相対位置が変化することにより、前記押圧部の一部が前記筒形状部内に収納された状態で前記リベットを押圧する、請求項5に記載のリベット施工方法。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載のリベット施工方法を実施するためのリベット施工システムであり、
前記加熱装置と、
前記加熱装置を前記リベットを打設する工程がなされる打設場所まで運搬する運搬手段と、
前記打設場所にて前記リベットを加熱する工程から前記リベットを打設する工程までにおいて前記加熱コイルに冷媒を流すことが可能なホースとを備える、リベット施工システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、リベット施工方法およびリベット施工システムに関する。
【背景技術】
【0002】
歴史的鋼橋は、文化財的価値が認識された橋、経済条件および地形条件などから架け替えが困難な橋、および新橋が架設されたために旧道化した橋のいずれかである。近年、歴史的鋼橋と認識可能な橋梁が増加している。これにより、歴史的鋼橋の文化的価値に対する社会的認識が高まっている。
【0003】
これらの橋梁は老朽化すれば、補修または補強される。歴史的鋼橋は、歴史的価値および文化的価値を損なわずに、オリジナリティが尊重された補修技術および補強技術が求められる。そのためには歴史的鋼橋の修復による複数部材間の接合は、可能な限り、リベットによりなされることが望ましい。
【0004】
従来、橋梁の補修用のリベットは、コークス炉により加熱され、それがリベットを挿入するための穴などの所定位置に挿入された状態でリベットが加締められることにより複数部材間を接合する。
【0005】
一方、たとえば「高周波誘導加熱によるリベット打設に関する基礎的検討」(非特許文献1)において、打設用のリベットが高周波誘導加熱されることが提案されている。特開昭53-97158号公報(特許文献1)にも上記と同様の記載がされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】末廣,外3名,”高周波誘導加熱によるリベット打設に関する基礎的検討”,令和2年度土木学会全国大会第75回年次学術講演会概要集,令和2年9月8日~10日、I-103
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、コークス炉によるリベットの加熱を行なうためには現場に火床を設置する必要があるため、安全上問題がある。またコークス炉によるリベットの加熱作業は、リベットの打設可能温度に対する熟練した技能者による判断が欠かせない上に時間がかかり、作業効率が低い。
【0009】
また上記の各文献においては、リベットが高周波誘導加熱されることについてのみ開示されるが、具体的にどのような方法で高周波誘導加熱されるかについては開示されていない。このため新たなリベット接合技術の開発の余地がある。
【0010】
本開示は以上の課題に鑑みなされたものである。その目的は、安全性が高く熟練技能者の判断が伴う側面が少なく作業効率の高い新たなリベット施工方法、および施工現場において当該リベット施工方法を安全、容易かつ高効率に用いるための単一化されたリベット施工システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示に従ったリベット施工方法は、リベットを加熱する加熱コイルと、リベットを昇降可能な昇降装置とを備える加熱装置を用いたリベット施工方法である。当該リベット施工方法は、昇降装置を用いて加熱コイル内にリベットを挿入する工程と、加熱コイルの誘導発熱を用いてリベットを加熱する工程と、加熱する工程の後、加熱コイル内からリベットを抜く工程と、リベットを加熱する工程により加熱されたリベットを打設する工程とを備える。
【0012】
本開示に従ったリベット施工システムは、上記リベット施工方法を実施するためのものであり、加熱装置と、運搬手段と、ホースとを備える。運搬手段は、加熱装置をリベットを打設する工程がなされる打設場所まで運搬する。ホースは、打設場所にてリベットを加熱する工程からリベットを打設する工程までにおいて加熱コイルに冷媒を流すことが可能である。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、安全性が高く熟練技能者の判断が伴う側面が少なく作業効率の高い新たなリベット施工方法、および施工現場において当該リベット施工方法を安全に用いるための単一化されたリベット施工システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本実施の形態に係るリベット施工方法のフローチャートである。
【
図2】本実施の形態に係るリベット施工方法を実施するための加熱装置の構成を示す概略図である。
【
図6】搭載部に耐熱ベースシートが搭載された態様を示す概略図である。
【
図7】耐熱ベースシートに耐熱シートが搭載された態様を示す概略図である。
【
図8】耐熱シートの貫通孔にリベットが固定された態様を示す概略図である。
【
図9】
図8に示す部分およびその下側の領域を示す概略図である。
【
図10】
図9に示すように耐熱シートの貫通孔に固定されたリベットが加熱コイル内に挿入された態様を示す概略図である。
【
図11】リベットが挿入された加熱コイル内に挿入される治具の構成を示す概略図である。
【
図13】加熱コイル内に治具が挿入される工程を示す概略図である。
【
図14】加熱コイル内に治具が挿入される工程のうち、
図13の工程に続く工程を示す概略図である。
【
図15】加熱コイル内に治具が挿入される工程のうち、
図14の工程に続く工程を示す概略図である。
【
図16】本実施の形態のリベット施工システムを用いた、リベットを打設する工程を示す概略図である。
【
図17】加熱コイル内に治具が挿入される工程のうち、
図16の工程に続く工程を示す概略図である。
【
図18】比較例のリベット施工システムの第1例を用いた、リベットを打設する工程を示す概略図である。
【
図19】比較例のリベット施工システムの第2例を用いた、リベットを打設する工程を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、本実施の形態について説明する。
図1は、本実施の形態に係るリベット施工方法のフローチャートである。
図1を参照して、本実施の形態に係るリベット施工方法においては、まず昇降装置で加熱コイル内にリベットが挿入される(S10)。
【0016】
図2は、本実施の形態に係るリベット施工方法を実施するための加熱装置の構成を示す概略図である。
図2を参照して、本実施の形態のリベット施工方法は、加熱装置100により実施される。加熱装置100は、電源装置1と、冷却装置3と、加熱コイル5と、昇降装置7とを主に備えている。電源装置1は、加熱装置100に含まれる冷却装置3、加熱コイル5および昇降装置7などを作動させる。冷却装置3は、たとえば加熱コイル5を冷却する。加熱装置100においては、これらの各装置が互いに電気的に接続されている。加熱コイル5は上下方向に沿って延び、リベットを加熱する。昇降装置7は、リベットを昇降可能である。昇降装置7がリベットを
図2よりも上方に上昇させリベットが加熱コイル5内に挿入された状態で、加熱コイル5による誘導発熱を用いてリベットが加熱される(S20)。リベットが加熱された後、昇降装置7がリベットを
図1のように下方に配置される状態に戻すように下降させることで加熱コイル5内からリベットが抜かれ(S30)、加熱されたリベットが打設される(S40)。以下、加熱装置100の各部材について説明しながら、各工程について詳細に説明する。
【0017】
加熱装置100を使用していない状態においては、
図2のように、電源装置1および冷却装置3は、加熱コイル5および昇降装置7から離れた位置に設置されていることが好ましい。これに対し、加熱コイル5は昇降装置7の真上に、高さ方向について昇降装置7と間隔をあけて配置されることが好ましい。昇降装置7により、昇降装置7と一体に設けられたリベットが、高さ方向に移動する。これにより、昇降装置7の真上の加熱コイル5内にリベットが挿入されたり、リベットが加熱コイル5から取り外されたりする。なお加熱コイル5内とは、加熱コイル5が巻回された部分の内側の、当該巻回された部分に囲まれる領域を意味する。
【0018】
図3は、昇降装置の構成を示す概略図である。
図3を参照して、昇降装置7は、たとえば図の上下方向すなわち高さ方向についての寸法がこれに交差する水平方向(縦方向および横方向)の寸法に比べて大きい、直方体状のエアジャッキ8を有している。直方体状のエアジャッキ8の内部には、たとえば後述する軸としてのエアシリンダ8aが収納されている。エアジャッキ8への気体の供給量が、エアジャッキ8に接続されたエアー弁11の開閉により調整される。
【0019】
昇降装置7のエアジャッキ8の上側には、搭載部13が設置されている。搭載部13は後述するように、リベットを設置する部材である。エアー弁11により調整されたエアジャッキ8への気体の供給量に応じて、エアジャッキ8に含まれるエアシリンダ8aが上下方向に動く。つまりエアー弁11の開閉状態の調整により、エアシリンダ8aが上下方向に動くストローク量が制御できる。これによりエアシリンダ8aの真上に存在する搭載部13の高さ方向の位置が制御できる。このことを言い換えれば、エアジャッキ8への気体の供給量に応じたエアシリンダ8aのストローク量だけ、搭載部13が昇降する。エアジャッキ8により、搭載部13に固定されたリベットなどの部材が速やかに昇降可能である。
【0020】
昇降装置7は、エアジャッキ8の他に、機械的調整機構9が備えられてもよい。機械的調整機構9は、昇降装置7のエアジャッキ8およびエアー弁11と同様に、搭載部13を高さ方向に昇降する。ただし機械的調整機構9は、エアジャッキ8よりも微小なスケールで、搭載部13の高さ方向の位置を調整する。
【0021】
図4は、機械的調整機構の構成を示す概略図である。
図4を参照して、機械的調整機構9は、たとえばエアジャッキ8の横に並ぶように配置されている。機械的調整機構9は、昇降装置7のエアジャッキ8の全体の高さ方向の位置を微調整しながら変更できる。つまりエアジャッキ8は、その内部に配置されるエアシリンダ8aのストローク量のみにより、搭載部13およびその上に搭載される部材の上下方向の位置を調整できる。これに対して機械的調整機構9は、エアシリンダ8aのストローク量とは無関係に、エアシリンダ8aを含む直方体状のエアジャッキ8の全体の位置を上下方向に微調整できる。
【0022】
機械的調整機構9は、ダイヤル9aと、微調整部9bと、エアジャッキ昇降部9cとを有している。機械的調整機構9は、たとえばいわゆるスクリュージャッキである。具体的には、上下方向に延びる直方体状の微調整部9b内には、上下方向に延びるねじが収納されている。このねじはダイヤル9aと繋がっており、ダイヤル9aを回す方向に応じてねじは上下方向に移動する。この移動により、当該ねじと連動可能なエアジャッキ昇降部9cが上下方向に移動する。エアジャッキ昇降部9cは微調整部9bおよびエアジャッキ8の全体を下方から支持および収納している。このためエアジャッキ昇降部9cが上下方向に動けば、そこに支持および収納されたエアジャッキ8の全体が、エアジャッキ昇降部9cと同様に上下方向に微小な量だけ動く。つまりエアジャッキ昇降部9cはエアジャッキ8の全体を微小な量だけ昇降させる。
【0023】
次に昇降装置7と連動可能にリベットを設置する部材について説明する。
図5は、搭載部を示す概略図である。
図5を参照して、搭載部13は、たとえば上方からの平面視において矩形または正方形を有するトレーである。つまり搭載部13は、矩形または正方形の底面の各辺(縁)から、上方に向けて延びる浅い壁面が形成されている。搭載部13は、この壁面と底面とにより枠を形成しており、枠の内側にリベットなどが固定可能である。つまり搭載部13は、受け皿のような形状を有している。
【0024】
搭載部13は、電磁誘導発熱を伴わない材料を主成分とすることが好ましい。具体的には、搭載部13はアルミニウムおよびステンレスのいずれかを主成分とする。ただし搭載部13は上記以外の材質を微量含んでもよい。
【0025】
図6は、搭載部に耐熱ベースシートが搭載された態様を示す概略図である。
図6を参照して、搭載部13の壁面に囲まれた枠の部分に、耐熱ベースシート21が搭載される。耐熱ベースシートは搭載部13の枠内に収まることが可能な、搭載部13の底面と同様の平面形状を有している。耐熱ベースシート21は高さ方向に厚みを有することが好ましい。
図6に示すように、耐熱ベースシート21の厚みは、搭載部13の枠を形成する壁面の高さ方向の寸法よりも大きくてもよいが、これに限られない。なお耐熱ベースシート21の材質は、たとえばミオレックスと呼ばれるアスベストを含まない耐熱性および断熱性の構造材料であることが好ましい。
【0026】
図7は、耐熱ベースシートに耐熱シートが搭載された態様を示す概略図である。
図7を参照して、搭載部13の枠内に収められた耐熱ベースシート21上に、耐熱シート23が搭載される。耐熱シート23は、平面視において耐熱ベースシート21よりも小さく、耐熱ベースシート21の中央部に収まる大きさであることが好ましい。耐熱シート23は高さ方向に厚みを有することが好ましい。耐熱シート23の厚みは、耐熱ベースシート21の厚みと同等であってもよいが、耐熱ベースシート21よりも厚くてもよい。耐熱シート23は、たとえば平面視にて円形状であってもよいがこれに限られない。なお耐熱シート23の材質は、たとえばミオレックスと呼ばれるアスベストを含まない耐熱性および断熱性の構造材料であることが好ましい。
【0027】
耐熱シート23は、リベット50の施工工程において耐熱シート23に加わることが想定される力が、耐熱ベースシート21上を耐熱シート23が滑り移動するのに要する力に比べて十分に小さくなる程度の重量および摩擦力を有することが好ましい。このため初期設定により加熱コイル5とリベット50との間の相対位置が定まれば、以降は同一サイズの複数のリベット50のそれぞれに対して同一の加熱コイル5とリベット50との間の相対位置において加熱処理が可能である。
【0028】
耐熱シート23は、その平面視での中央部に、貫通孔25が形成されている。貫通孔25は、耐熱シート23の厚み方向についてこれを貫通するように形成されている。貫通孔25は、平面視にて円形状を有している。貫通孔25の大きさは、リベットを倒立させるために、半円形状の頭部よりもやや小さめとし、貫通孔25でリベットの頭部を支えることができる程度であることが好ましい。
【0029】
図8は、耐熱シートの貫通孔にリベットが固定された態様を示す概略図である。
図9は、
図8に示す部分およびその下側の領域を示す概略図である。
図8および
図9を参照して、
図7の耐熱ベースシート21上の耐熱シート23に、リベット50の頭部が挿入される。なおリベット50は筒状に延びる本体部と、本体部の延びる方向の一方の端部に形成され本体部よりも延びる方向に交差する方向の寸法が大きい頭部とを有している。したがってリベット50は、本体部よりも径の大きい頭部が下側に、本体部が上側に配置されるよう倒立した状態で、貫通孔25内に頭部が嵌めこまれる。貫通孔25内に頭部が嵌めこまれたリベット50は、本体部が高さ方向に沿って延びるように直立する。なお
図9においては、リベット50は加熱コイル5内には入り込まず、加熱コイル5の真下に配置されている。このように、リベット50の頭部を貫通孔25内に挿入し、リベット50が倒立可能となる。これは次に述べる、リベット50の加熱コイル5内への挿入を可能とする観点からなされる。
【0030】
図10は、
図9に示すように耐熱シートの貫通孔に固定されたリベットが加熱コイル内に挿入された態様を示す概略図である。
図10を参照して、
図9のように頭部が貫通孔25内に挿入され、倒立可能に耐熱シート23に固定されたリベット50は、昇降装置7(エアシリンダ8a)により上昇し、昇降装置7(エアジャッキ8)の真上の加熱コイル5内に挿入される。これにより、リベット50は加熱コイル5内の適正な上下方向位置に配置される。
【0031】
このときリベット50の上下方向位置の調整は、エアジャッキ8内のエアシリンダ8aのみによりなされてもよい。すなわちエアジャッキ8に含まれるエアシリンダ8aが上側に移動すると、エアジャッキ8上の搭載部13、その上の耐熱ベースシート21、耐熱シート23およびリベット50が上昇する。あるいは当該調整は、エアジャッキ8に加えて機械的調整機構9が用いられることによりなされてもよい。つまりリベットを挿入する工程(S10)においては、機械的調整機構9により、加熱しようとするリベットが昇降されてもよい。具体的には、リベットはエアジャッキ8により加熱コイル5内に挿入された後、さらに適正な位置に配置されるよう、機械的調整機構9によりその上下方向の位置が微調整される。
【0032】
機械的調整機構9を用いたリベット50の上下方向位置の微調整は、加熱しようとするリベット50が多数存在する場合に、それら多数のリベット50のサイズがいずれも同じであれば、最初の(1本目の)リベット50の加熱前のセッティングの時のみなされればよい。そのようにすれば、2本目以降のリベット50のセッティング時には、エアジャッキ8により加熱コイル5内の適正な位置で止まるようにリベット50を加熱コイル5内に挿入できる。このため2本目以降のリベット50のセッティング時には機械的調整機構9を用いた微調整は不要となる場合がある。ただし、リベット50を1本加熱する毎に(毎回)機械的調整機構9による微調整がなされてもよい。以上の各部材を用いて、加熱しようとするリベット50が加熱コイル5内に挿入される。
【0033】
リベット50が加熱コイル5内に挿入される工程(S10)の後、リベットを加熱する工程(S20)の前に、加熱コイル5内に治具30が挿入されてもよい。
図11は、リベットが挿入された加熱コイル内に挿入される治具の構成を示す概略図である。
図12は、
図11と同一の治具を、
図11とは異なる角度から見た構成を示す概略図である。
図11および
図12を参照して、治具30は、筒形状部31と、収納部33と、押圧部35とを有している。なお治具30は、押圧部35の先端に把持部37を有してもよい。
【0034】
筒形状部31は、たとえばウレタンなどの加工しやすい材料により形成された、筒形状、特に円筒形状の部材である。筒形状部31の内部は、その延びる方向に沿う貫通孔により形成された空洞となっている。この空洞の部分に押圧部35が挿入可能となっている。
【0035】
収納部33および押圧部35は、たとえば一般公知の鋼材により形成されている。収納部33は筒形状部31の延在する方向の一方側の端部に固定されており、たとえば円筒形状を有している。押圧部35はたとえば円柱形状を有し、
図11および
図12においては収納部33の内部に収納されている。押圧部35には、治具30の延びる方向について、収納部33からみて筒形状部31と反対側の端部に把持部37が固定されている。把持部37はたとえば一般公知の樹脂材料により形成されている。把持部37は収納部33に対して押圧部35を、治具30の延在する方向に沿って移動させる際に把持する部分として設けられている。これにより押圧部35は治具30の延在する方向に沿って移動し、収納部33および筒形状部31内に収納すること、および収納部33から把持部37側へ引き出され露出することの双方が可能である。
【0036】
図13は、加熱コイル内に治具が挿入される工程を示す概略図である。
図13を参照して、加熱コイル5とその内部のリベット50との間に筒形状部31が挿入される。筒形状部31が挿入されることにより、治具30の延在する方向に交差する、たとえば円形の断面の径方向について、外側の加熱コイル5と内側のリベット50との間に筒形状部31が配置される態様となる。これにより、径方向について加熱コイル5とリベット50とが接触しないようにリベット50が配置される。なお
図13においては、押圧部35はその一部が収納部33から見て筒形状部31と反対側に露出しており、押圧部35の一部は収納部33内および筒形状部31内のいずれにも収納されていない。
【0037】
図14は、加熱コイル内に治具が挿入される工程のうち、
図13の工程に続く工程を示す概略図である。
図14を参照して、
図13の工程により加熱コイル5とリベット50との径方向の間隔が確保された後、治具30が加熱コイル5内から取り外される。具体的には、治具30の延在する方向について押圧部35が、収納部33内に押し込まれるように移動する。つまりこのとき押圧部35は
図14の下方へ移動し、その一部である下端部が筒形状部31内に収納される。
【0038】
図15は、加熱コイル内に治具が挿入される工程のうち、
図14の工程に続く工程を示す概略図である。
図15を参照して、
図14にて押圧部35の下端部が筒形状部31内に収納される際に、筒形状部31内にはリベット50が配置されている。このためリベット50の上端部が、筒形状部31内に移動し収納された押圧部35の下端部により下方へ押圧される。この押圧力により、押圧部35を含む治具30の全体が、加熱コイル5内からその上方へ容易に引き上げられる。
【0039】
図13~
図15の治具30を用いた加熱コイル5とリベット50との間隔を確保する調整は、加熱しようとするリベット50が多数存在する場合に、それら多数のリベット50のサイズがいずれも同じであれば、最初の(1本目の)リベット50の加熱前のセッティングの時のみなされればよい。そのようにすれば、2本目以降のリベット50のセッティング時には、加熱コイル5に接触しないようにリベット50を加熱コイル5内に配置できる。このため2本目以降のリベット50のセッティング時には治具30を用いた微調整は不要となる場合がある。ただし、リベット50を1本加熱する毎に(毎回)治具30による微調整がなされてもよい。
【0040】
以上の
図2~
図15に示す加熱装置100の各部材および各工程を用いて、
図1のようにリベット50が加熱コイル5内に挿入される(S10)。その後、加熱コイル5に電源装置1から誘導電流を流すための電力が供給される。加熱コイル5による誘導発熱、つまり加熱コイル5が他の部材を発熱させる現象を用いて、加熱コイル5内のリベット50が加熱される(S20)。
【0041】
リベット50が加熱された後、加熱コイル5内からリベット50が除去される(S30)。このときは(S10)と逆の手順がなされる。つまり加熱後のリベット50は、直立するように耐熱シート23に固定された状態を保ったまま、昇降装置7(エアシリンダ8a)により下降し、加熱コイル5の外に出る。すなわちエアジャッキ8に含まれるエアシリンダ8aが下側に移動すると、エアジャッキ8上の搭載部13、その上の耐熱ベースシート21、耐熱シート23およびリベット50が下降する。
【0042】
次に、加熱されたリベット50が、打設されるべき場所に打設される(S40)。
図16は、本実施の形態のリベット施工システムを用いた、リベットを打設する工程を示す概略図である。
図16を参照して、たとえば橋梁の路面Aの真下にある桁下Bにおいて、橋梁を補修するためのリベット50の打設作業がなされる。打設作業には、上記の加熱装置100と、運搬手段110と、ホース4とを備えるリベット施工システム200が用いられる。運搬手段110はたとえばトラックであり、加熱装置100をリベット50の打設場所まで運搬する。
【0043】
図17は、加熱コイル内に治具が挿入される工程のうち、
図16の工程に続く工程を示す概略図である。
図17を参照して、運搬手段110は打設場所の桁下Bの真上の路面Aに停車される。加熱コイル5および昇降装置7は桁下Bまで下ろされる。しかし電源装置1および冷却装置3は大型であり桁下Bまで下ろすことが困難である。そこで電源装置1および冷却装置3は運搬手段110に積まれた状態とされる。ホース4は路面A上の冷却装置3から桁下Bまで引き延ばされ、桁下Bに配置され加熱工程がなされる際、およびその後のたとえば打設する工程までに至る間において、運搬手段110からたとえば桁下Bの加熱コイル5に冷媒を流す。これによりホース4からの冷媒は、加熱コイル5を冷却できる。
【0044】
リベット施工方法を用いた実際の作業においては、
図1の工程(S10)~(S40)が、すべて
図16および
図17の打設場所にて行われる。このように施工が行われる場所まで加熱装置100を搬入可能なパッケージとしてのリベット施工システム200が構築される。
【0045】
次に、比較例について説明しながら、本実施の形態の作用効果について説明する。
本実施の形態によらない比較例のリベット施工方法においては、コークス炉によりリベットが加熱される。しかしコークス炉によるリベットの加熱は、上記のように、安全性および作業効率の課題、およびリベットの打設可能温度に対して熟練技能者の判断を要するなどの課題がある。
【0046】
本開示に従ったリベット施工方法は、リベット50を加熱する加熱コイル5と、リベット50を昇降可能な昇降装置7とを備える加熱装置100を用いる。当該リベット施工方法においては、昇降装置7を用いて加熱コイル5内にリベット50が挿入される。加熱コイル5による誘導発熱を用いてリベット50が加熱される。リベット50が加熱された後、加熱コイル5内からリベット50が抜かれる。リベット50を加熱する工程により加熱されたリベット50が打設される。
【0047】
加熱コイル5内に発生する強い磁界により、加熱コイル5内に挿入されたリベット50中に強い電流が流れることでリベット50が発熱する。この現象が誘導発熱である。加熱コイル5の誘導発熱(加熱コイル5によるリベット50の発熱)を用いることにより、コークス炉を用いることなく、安全にリベット50を加熱できる。また加熱コイル5の誘導発熱を用いれば、コークス炉で焼鋲する場合に比べて、リベット50の打設可能温度までの到達時間を短くできる。具体的にはたとえば、加熱開始から約15秒以上25秒以下程度の時間で打設可能温度に到達させることができる。このため、リベット50の加熱作業の効率を高められる。
【0048】
さらに加熱コイル5の誘導発熱を用いることにより、コークス炉で加熱する場合に比べて、リベット50をその全体において均一に加熱できる。このためリベット50による複数部材間の接合の仕上がり状態をより良好にすることができる。
【0049】
さらに加熱コイル5の誘導発熱によるリベット50の加熱は、コークス炉を用いた加熱に比べて、熟練技能者による判断が伴うなどの側面が少ない。
【0050】
なおリベット50は、昇降装置7に含まれるたとえばエアジャッキ8(エアシリンダ8a)の駆動により、速やかに加熱コイル5内への挿入および加熱コイル5外への移動ができる。
【0051】
上記リベット施工方法においては、昇降装置7は機械的調整機構9をさらに備え、リベット50を挿入する工程において、機械的調整機構9によりリベット50が昇降され、リベット50の位置が調整されてもよい。
【0052】
昇降装置7を構成するエアジャッキ8のエアシリンダ8a等によりリベット50を加熱コイル5内と加熱コイル5外との間で移動させることができる。この動作に対する追加の工程として、機械的調整機構9を用いれば、加熱コイル5内のより精確な位置にリベット50を配置させるようリベット50の位置を上下方向に微調整できる。
【0053】
加熱コイル5内で加熱された後のリベット50を加熱コイル5内から降下させ取りだす工程(S30:
図1参照)においては、リベット50の延在する方向の長さを考慮しつつ、エアシリンダの下方向へのストローク量を決定することが必要である。つまりリベット50の長さよりも大きなストローク量であることにより、リベット50の全体を加熱コイル5外に開放できる。たとえばリベット50の長さが75mm以下である場合、エアシリンダによるリベット50のストローク量は100mmと設定される。ところがリベット50を挿入する耐熱シート23およびこれを載置する耐熱ベースシート21などは消耗品であり、交換される場合がある。ここで交換前後で上下方向の厚みが異なる耐熱シート23などが用いられた場合、リベット50のストローク量が変更できなければ、加熱コイル5が所望の位置に対してずれた位置に配置されることになる。このような状況を回避する観点から、上下方向のリベット50の位置が微調整できる機構として、機械的調整機構9が追加で備えられることが好ましい。
【0054】
上記リベット施工方法においては、加熱装置100は、耐熱ベースシート21と、耐熱ベースシート21の上に配置される耐熱シート23とをさらに備えてもよい。耐熱シート23には貫通孔25が形成されており、リベット50を加熱する工程においては、リベット50の頭部を貫通孔25内に挿入し、リベット50が倒立可能であってもよい。これにより、リベット50が倒立した状態で、加熱コイル5による均一な加熱ができる。またリベット50に加えられた熱の昇降装置7の側への伝搬が、耐熱シート23および耐熱ベースシート21により抑制できる。
【0055】
上記リベット施工方法においては、加熱装置100は、耐熱ベースシート21および耐熱シート23を搭載する搭載部13をさらに備え、搭載部13を構成する材料の主成分はアルミニウムであってもよい。これにより、リベット50の加熱中にリベット50の周辺部分が誘導発熱を受けることを抑制できる。
【0056】
上記リベット施工方法においては、リベット50を挿入する工程の後、リベット50を加熱する工程の前に、加熱コイル5内に治具30を挿入する工程をさらに備える。治具30は筒形状を有する筒形状部31を含む。治具30を挿入する工程においては、加熱コイル5とリベット50との間に、筒形状部31が挿入される。このように施工がなされてもよい。これにより、加熱コイル5とリベット50との径方向の間隔が、当該径方向を有する円周の周方向についての異なる位置間でほぼ等しくなるように、リベット50を保持することができる。言い換えれば、治具30を挿入する工程においては、リベット50と加熱コイル5との隙間を均等にセットする目的で、加熱コイル5とリベット50との間に筒形状部31が挿入される。これにより、リベット50の表面の異なる位置間で、加熱コイル5との距離の差が少なくなる。このためリベット50を均一に加熱できる。
【0057】
上記リベット施工方法においては、加熱コイル5内に治具30を挿入する工程の後、治具30を加熱コイル5内から取り外す工程をさらに備えてもよい。治具30は、筒形状部31が延在する方向の一方の端部に固定された収納部33と、収納部33内に収納可能な押圧部35とをさらに含む。治具30を加熱コイル5内から取り外す工程においては、延在する方向について収納部33に対して押圧部35が移動し収納部33に対する押圧部35の相対位置が変化することにより、押圧部35の一部が筒形状部31内に収納された状態でリベット50を押圧する。治具30はこのような構成を有してもよい。これにより、加熱コイル5内から治具30を上方へ抜き取る際に、リベット50を抜かないように治具30のみをスムーズに抜き取ることができる。
【0058】
以上のリベット施工方法を実施するためのリベット施工システム200は、上記加熱装置100と、運搬手段110と、ホース4とを備える。運搬手段110は、加熱装置100をリベット50を打設する工程がなされる打設場所まで運搬する。ホース4は、打設場所にてリベット50を加熱する工程からリベット50を打設する工程までにおいて加熱コイル5に冷媒を流すことが可能である。
【0059】
図18は、比較例のリベット施工システムの第1例を用いた、リベットを打設する工程を示す概略図である。
図18を参照して、第1の比較例のリベット施工システムでは、路面Aにコークス炉99を設置し、コークス炉99によりリベットが加熱される。しかし特に打設場所としての橋梁が森林の近くに存在する場合などは、コークスを燃焼することによる火災の発生が危惧される。また路面Aでリベットを加熱する場合には、図中矢印のように桁下Bへ向けて加熱されたリベットを投げる必要がある。このリベットを投げる作業は困難である。
【0060】
図19は、比較例のリベット施工システムの第2例を用いた、リベットを打設する工程を示す概略図である。
図19を参照して、第2の比較例のリベット施工システムでは、桁下Bにコークス炉99が設置されている。この場合にも桁下Bの足場が悪いために作業が困難になる場合がある。
【0061】
図18および
図19のいずれの例においても、コークス炉99の設置可能な場所が限られる上に、コークスを使用する作業は困難であるという問題がある。
【0062】
そこで本実施の形態のリベット施工システム200においては、加熱コイル5を用いて容易にリベット50を加熱可能な加熱装置100が、打設場所まで運搬手段110で運搬される。さらに、運搬手段110の停車場所である路面Aからみて実際の打設場所である桁下Bが離れている場合には、
図17のように(比較的サイズが小さい)加熱コイル5および昇降装置7のみを桁下Bへ移動させ、運搬手段110に積まれた冷却装置3から加熱コイル5までホース4を繋ぐ。ホース4は最大で約20mである。これにより桁下Bでの加熱コイル5による作業時およびその後のホース4による加熱コイル5の冷却が容易に行なえる。このようにすれば、打設場所により近い場所にて加熱コイル5により容易にリベット50が加熱されるとともに、加熱後即時に打設ができる。このため作業をより容易に、安全に、かつより高効率に行なえる。また複数本のリベット50を加熱したい場合に、たとえば1本目のリベット50の加熱終了後、直ちに2本目のリベット50の加熱作業に着手できる。
【0063】
以上により、本実施の形態のリベット施工システム200を用いれば、加熱後のリベット50を投げるような困難な作業を有さず、より容易にかつ高効率に、リベット50の加熱および打設ができる。
【0064】
以上に述べた実施の形態(に含まれる各例)に記載した特徴を、技術的に矛盾のない範囲で適宜組み合わせるように適用してもよい。
【0065】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0066】
1 電源装置、3 冷却装置、4 ホース、5 加熱コイル、7 昇降装置、8 エアジャッキ、8a エアシリンダ、9 機械的調整機構、9a ダイヤル、9b 微調整部、9c エアジャッキ昇降部、11 エアー弁、13 搭載部、21 耐熱ベースシート、23 耐熱シート、25 貫通孔、30 治具、31 筒形状部、33 収納部、35 押圧部、37 把持部、50 リベット、99 コークス炉、100 加熱装置、110 運搬手段、200 リベット施工システム。
【手続補正書】
【提出日】2021-04-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リベットを加熱する加熱コイルと、前記リベットを昇降可能な昇降装置とを備える加熱装置を用いたリベット施工方法であり、
前記昇降装置を用いて前記加熱コイル内に前記リベットを挿入する工程と、
前記加熱コイルによる誘導発熱を用いて前記リベットを加熱する工程と、
前記加熱する工程の後、前記加熱コイル内から前記リベットを抜く工程と、
前記リベットを加熱する工程により加熱された前記リベットを打設する工程とを備え、
前記昇降装置は機械的調整機構をさらに備え、
前記リベットを挿入する工程において、前記機械的調整機構により前記リベットが昇降され、前記リベットの位置が調整される、リベット施工方法。
【請求項2】
リベットを加熱する加熱コイルと、前記リベットを昇降可能な昇降装置とを備える加熱装置を用いたリベット施工方法であり、
前記昇降装置を用いて前記加熱コイル内に前記リベットを挿入する工程と、
前記加熱コイルによる誘導発熱を用いて前記リベットを加熱する工程と、
前記加熱する工程の後、前記加熱コイル内から前記リベットを抜く工程と、
前記リベットを加熱する工程により加熱された前記リベットを打設する工程とを備え、
前記加熱装置は、耐熱ベースシートと、前記耐熱ベースシートの上に配置される耐熱シートとをさらに備え、
前記耐熱シートには貫通孔が形成されており、
前記リベットを加熱する工程においては、前記リベットの頭部を前記貫通孔内に挿入し、前記リベットが倒立可能な、リベット施工方法。
【請求項3】
前記加熱装置は、前記耐熱ベースシートおよび前記耐熱シートを搭載する搭載部をさらに備え、
前記搭載部を構成する材料の主成分は電磁誘導発熱を伴わない材料である、請求項2に記載のリベット施工方法。
【請求項4】
前記リベットを挿入する工程の後、前記リベットを加熱する工程の前に、前記加熱コイル内に治具を挿入する工程をさらに備え、
前記治具は筒形状を有する筒形状部を含み、
前記治具を挿入する工程においては、前記加熱コイルと前記リベットとの間に、前記筒形状部が挿入される、請求項1~3のいずれか1項に記載のリベット施工方法。
【請求項5】
リベットを加熱する加熱コイルと、前記リベットを昇降可能な昇降装置とを備える加熱装置を用いたリベット施工方法であり、
前記昇降装置を用いて前記加熱コイル内に前記リベットを挿入する工程と、
前記加熱コイルによる誘導発熱を用いて前記リベットを加熱する工程と、
前記加熱する工程の後、前記加熱コイル内から前記リベットを抜く工程と、
前記リベットを加熱する工程により加熱された前記リベットを打設する工程とを備え、
前記リベットを挿入する工程の後、前記リベットを加熱する工程の前に、前記加熱コイル内に治具を挿入する工程をさらに備え、
前記治具は筒形状を有する筒形状部を含み、
前記治具を挿入する工程においては、前記加熱コイルと前記リベットとの間に、前記筒形状部が挿入される、リベット施工方法。
【請求項6】
前記加熱コイル内に治具を挿入する工程の後、前記治具を加熱コイル内から取り外す工程をさらに備え、
前記治具は、前記筒形状部が延在する方向の一方の端部に固定された収納部と、前記収納部内に収納可能な押圧部とをさらに含み、
前記治具を前記加熱コイル内から取り外す工程においては、前記延在する方向について前記収納部に対して前記押圧部が移動し前記収納部に対する前記押圧部の相対位置が変化することにより、前記押圧部の一部が前記筒形状部内に収納された状態で前記リベットを押圧する、請求項4または5に記載のリベット施工方法。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載のリベット施工方法を実施するためのリベット施工システムであり、
前記加熱装置と、
前記加熱装置を前記リベットを打設する工程がなされる打設場所まで運搬する運搬手段と、
前記打設場所にて前記リベットを加熱する工程から前記リベットを打設する工程までにおいて前記加熱コイルに冷媒を流すことが可能なホースとを備える、リベット施工システム。