(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022085330
(43)【公開日】2022-06-08
(54)【発明の名称】移動体用表示装置
(51)【国際特許分類】
B60R 11/02 20060101AFI20220601BHJP
G06F 3/14 20060101ALI20220601BHJP
B60K 35/00 20060101ALI20220601BHJP
【FI】
B60R11/02 C
G06F3/14 350A
B60K35/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020196952
(22)【出願日】2020-11-27
(71)【出願人】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】矢田 直人
【テーマコード(参考)】
3D020
3D344
5B069
【Fターム(参考)】
3D020BA04
3D020BB01
3D020BC03
3D020BE03
3D344AA16
3D344AB01
3D344AC07
3D344AD02
5B069AA12
5B069CA13
(57)【要約】
【課題】 ユーザが操作画像を確実にタッチ操作することが可能な移動体用表示装置を提供する。
【解決手段】 第1の操作画像83aと第2の操作画像83bとが画面である前面12aに表示された多機能表示部12と、多機能表示部12を間隔を空けて覆う透光性カバー20と、各操作画像83a、83bに対して行われたユーザによるタッチ操作を検出可能な操作検出部とを備え、前面12aの法線方向Lに沿った第1の操作画像83aから凸曲面部22(透光性カバー20)までの距離を第1の離間距離W1とし、法線方向Lに沿った第2の操作画像83bから凸曲面部22(透光性カバー20)までの距離を第2の離間距離W2とし、第1の離間距離W1が第2の離間距離W2よりも大きい場合に第1の操作画像83aの大きさを第2の操作画像83bの大きさよりも大きくしたものである。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の操作画像と第2の操作画像とを少なくとも含む複数の操作画像が画面に表示された表示部と、
前記表示部を間隔を空けて覆う光透過性で非平坦形状の保護部材と、
前記複数の操作画像に対して行われたユーザによるタッチ操作を検出可能な制御部とを備え、
前記画面の法線方向に沿った前記第1の操作画像から前記保護部材までの距離を第1の離間距離とし、
前記画面の法線方向に沿った前記第2の操作画像から前記保護部材までの距離を第2の離間距離とし、
前記第1の離間距離が前記第2の離間距離よりも大きい場合に前記第1の操作画像の大きさを前記第2の操作画像の大きさよりも大きくしたことを特徴とする移動体用表示装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1の操作画像に対して行われたユーザによるタッチ操作を検出すると、前記表示部に前記第1の操作画像に関連する前記第2の操作画像を表示させることを特徴とする請求項1記載の移動体用表示装置。
【請求項3】
前記表示部は、前記画面が平坦な平面ディスプレイであり、前記保護部材は、曲面形状の透視パネルであることを特徴とする請求項1または請求項2記載の移動体用表示装置。
【請求項4】
前記表示部は、ユーザが移動体の所定位置に着座した状態でユーザと対峙しない位置に配置される構成としたことを特徴とする請求項1から請求項3のうち何れか1つに記載の移動体用表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車をはじめとする移動体に搭載される移動体用表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種の移動体用表示装置にあっては、例えば下記特許文献1に記載されているものが知られている。この特許文献1に記載の表示装置は、例えば左ハンドルの自動車(移動体)の運転席前方に設置され、車幅方向に並設された複数個(例えば3つ)の平面ディスプレイと、この平面ディスプレイを間隔を空けて覆う光透過性で曲面形状の表パネル(保護部材)と、平面ディスプレイの有効領域に対して行われたユーザによるタッチ操作を検出可能なタッチパネル(操作検出部)とを備え、タッチパネルは個々の平面ディスプレイの裏面(奥側)に沿うようにそれぞれ設けられる。
【0003】
つまり、ここでの上記の平面ディスプレイは、運転席に着座する運転者(ユーザ)の正面に設けられる中央ディスプレイと、自動車のドア側(中央ディスプレイの左側)に設けられる左側ディスプレイと、自動車の中央側(中央ディスプレイの右側)に設けられる右側ディスプレイ(表示部)とで構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の移動体用表示装置に搭載された表示手段としての右側ディスプレイは、運転者に目的地までの経路を案内するための経路案内画像(ナビゲーション画像)や運転者に音楽情報を提供するためのオーディオ画像等を表示する表示媒体として用いられることが多く、経路案内画像やオーディオ画像を右側ディスプレイに表示させるための初期画面(メニュー画面)として、ナビゲーションに対応した四角形状のナビゲーション用アイコン画像やオーディオに対応した四角形状のオーディオ用アイコン画像を右側ディスプレイの中央部に上下に並ぶように表示することが考えられる。
【0006】
ここで、例えばオーディオ用アイコン画像に対応した表パネル箇所へのタッチ操作が運転者によって行われることで、右側ディスプレイの中央部に複数個の曲名アイコン画像である第1の操作画像が上下に並ぶように表示され、右側ディスプレイの左側に音量調整アイコン画像や再生アイコン画像、一時停止アイコン画像等の第2の操作画像が上下に並ぶように表示される場合を想定する。
【0007】
この際、第1の操作画像の大きさと第2の操作画像の大きさが同じであるとした場合、右側ディスプレイ(表示部)の表示面(画面)がフラット(平面)で、右側ディスプレイに対応する表パネル(保護部材)の裏面形状はフラットではなく曲面形状なので、車幅方向に沿った右側ディスプレイと表パネルとの間の間隔は、第1の操作画像の表示位置と第2の操作画像の表示位置とで異なる(変化する)ことになる。
【0008】
仮に、第1の操作画像側での前記間隔が第2の操作画像側での前記間隔よりも大きいと、運転者側(ユーザ側)からより離れた位置にある第1の操作画像を見た際の視差に起因して、運転者による第1の操作画像へのタッチ操作が意図したものと反する誤操作となる虞があり、このような状況下にあっては運転者が第1の操作画像をタッチ操作できないという不具合が生じやすくなるという問題がある。上記の誤操作(不具合)は、操作画像(第1の操作画像)の大きさがより小さい場合に顕著に生じることが考えられる。
そこで本発明は、前述の課題に対して対処するため、ユーザが操作画像を確実にタッチ操作することが可能な移動体用表示装置の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、第1の操作画像と第2の操作画像とを少なくとも含む複数の操作画像が画面に表示された表示部と、前記表示部を間隔を空けて覆う光透過性で非平坦形状の保護部材と、前記複数の操作画像に対して行われたユーザによるタッチ操作を検出可能な制御部とを備え、前記画面の法線方向に沿った前記第1の操作画像から前記保護部材までの距離を第1の離間距離とし、前記画面の法線方向に沿った前記第2の操作画像から前記保護部材までの距離を第2の離間距離とし、前記第1の離間距離が前記第2の離間距離よりも大きい場合に前記第1の操作画像の大きさを前記第2の操作画像の大きさよりも大きくしたことを特徴とする。」
【0010】
また本発明は、前記制御部は、前記第1の操作画像に対して行われたユーザによるタッチ操作を検出すると、前記表示部に前記第1の操作画像に関連する前記第2の操作画像を表示させることを特徴とする。
【0011】
また本発明は、前記表示部は、前記画面が平坦な平面ディスプレイであり、前記保護部材は、曲面形状の透視パネルであることを特徴とする。
【0012】
また本発明は、前記表示部は、ユーザが移動体の所定位置に着座した状態でユーザと対峙しない位置に配置される構成としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、所期の目的を達成でき、ユーザが操作画像を確実にタッチ操作することが可能な移動体用表示装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態による車両用表示装置の正面図。
【
図4】同実施形態による車両の始動スイッチがオン操作されたときの表示部の初期画面を示す図。
【
図5】同実施形態によるユーザがオーディオ用アイコン画像(第1の操作画像)をタッチ操作したときの表示部の正面図。
【
図6】同実施形態による車両用表示装置の要部拡大断面図。
【
図7】同実施形態によるユーザがナビゲーション用アイコン画像(第1の操作画像)をタッチ操作したときの表示部の正面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態について添付図面を用いて説明する。
【0016】
本実施形態の一実施形態による移動体用表示装置Dは、例えば移動体(ここでは左ハンドルの自動車とする)の運転席前方にあるインストルメントパネル(以下、インパネと言う)に設けられ、車両に関する情報(以下、車両情報と言う。)だけでなく、当該車両情報以外の情報(例えば娯楽情報)もユーザ(運転者を含む車両の搭乗者)に表示する。
【0017】
以下では、移動体用表示装置D(後述する複数の表示媒体)を視認するユーザ側(視認者側)を前方とし、移動体用表示装置D(前記複数の表示媒体)を視認するユーザ側とは反対側である反視認者側を後方とし、適宜の説明を行う。
【0018】
移動体用表示装置Dは、
図1、
図2に示すように、表示手段10と、保護部材としての透光性カバー20と、板状部材30と、インナーケース40と、回路基板51~53と、基板保持体60と、アウターケース70とを備える。移動体用表示装置Dは、
図1に示すように、例えば左右方向(つまり車両の車幅方向)である矢印X方向に沿い長尺の矩形状をなしている。
【0019】
表示手段10は、間隔を空けて隣り合う複数の表示媒体を有し、計器表示部11と、表示部としての多機能表示部12と、ミラー表示部13とから構成される。以下、これら表示部11~13を纏めて「複数の表示媒体」とも言う。
【0020】
計器表示部11は、表示装置Dの中央部に位置し、車速、エンジン回転数等の車両に関する計測量を表示する表示媒体である。計器表示部11は、例えば正面視で矩形状をなすTFT(Thin Film Transistor)型の液晶ディスプレイとして構成される。液晶ディスプレイは、ここでの詳細図示は省略するが、液晶パネルや当該液晶パネルを背後から照明するバックライト等を有して構成される。バックライトは、例えばLED(Light Emitting Diode)やLEDが発した光を液晶ディスプレイ側に導く導光部材等から構成される。計器表示部11は、平面状の前面(画面)11aに画像を表示する平面ディスプレイであり、ユーザが運転席(自動車の所定位置)に着座した状態でユーザと概ね対峙する位置に配置される。
【0021】
多機能表示部12は、計器表示部11よりも車両の中心寄りに位置し、種々の情報を表示可能なCID(Center Information Display)として構成される。なお、本実施形態の場合、表示装置Dは、左ハンドル車用のものであるため、表示装置Dの右側が車両の中心側となる。
【0022】
多機能表示部12は、例えば正面視で矩形状をなすTFT型の液晶ディスプレイから構成される。例えば、多機能表示部12の前面側には、静電容量式のセンサシートSが設けられている。このセンサシートSは、透光性カバー20のうち前後方向において多機能表示部12と対向する部分(後述する凸曲面部22)の前面に対してユーザの手(指)が触れることでなされるタッチ操作を検出可能に構成される。
【0023】
多機能表示部12は、このセンサシートSで検出されたタッチ操作に応じて、カーナビゲーション情報、オーディオ(音楽)情報、バックモニタ情報等の各種情報を表示可能となっている。多機能表示部12は、平面状の前面(画面)12aに画像を表示する平面ディスプレイである。なお、ここでのセンサシートSは、透光性カバー20(前記凸曲面部22)の背面に設けられる(貼り付けられる)が、場合によっては多機能表示部12の前面12aに設けてもよい。なお、上記の前面12a(前記画面)が平坦な多機能表示部12は、後述する特許請求の範囲に記載された表示部に相当するものであり、ユーザが運転席(自動車の所定位置)に着座した状態でユーザと対峙しない位置に配置される。
【0024】
ミラー表示部13は、計器表示部11よりも左側に位置し、サイドミラーの反射像を模した画像を表示する。具体的に、ミラー表示部13は、図示しないサイドカメラにより撮影され、車両の左側後方の風景を示すサイドミラー画像を表示する。ミラー表示部13は、例えば正面視で矩形状をなすTFT型の液晶ディスプレイから構成される。ミラー表示部13は、平面状の前面(画面)13aに画像を表示する平面ディスプレイであり、ユーザが運転席(自動車の所定位置)に着座した状態でユーザと対峙しない位置に配置される。
【0025】
図2に示すように、計器表示部11の前面11aは、多機能表示部12の前面12a及びミラー表示部13の前面13aよりも後方に位置する。また、多機能表示部12の前面12aは、計器表示部11の前面11aに対して
図2における反時計回りに傾いている。また、ミラー表示部13の前面13aは、計器表示部11の前面11aに対して
図2における時計回りに傾いている。また、これら複数の表示部は、左右方向において隣り合うもの同士が隙間を空けて配列されている。
【0026】
透光性カバー20は、
図2に示すように、複数の表示媒体を間隔を空けて覆う光透過性で曲面状(非平坦形状)の板材で構成される。透光性カバー20は、例えば表示装置Dが搭載される車両のインパネのデザインに合わせた曲面形状の透視パネルであり、複数の表示媒体の前方側を覆うように構成される。
【0027】
透光性カバー20は、曲面形状に形成された部分として、凹曲面部21と、凸曲面部22、23とを有する。凹曲面部21は、計器表示部11と前後方向において対向し、後方に向かって凹む曲面形状を有している。凸曲面部22は、多機能表示部12と前後方向において対向し、前方に向かって凸となる曲面形状を有している。凸曲面部23は、ミラー表示部13と前後方向において対向し、前方に向かって凸となる曲面形状を有している。
【0028】
板状部材30は、複数の表示部を前面側から覆うとともに、複数の表示部と透光性カバー20との間に設けられる板状の部材である。板状部材30と透光性カバー20との間には、若干の隙間が設けられている。板状部材30は、複数の表示部を視認するユーザ側から複数の表示部の各々に表示される各種情報を透視可能とする透視部31、32、33を有する。
【0029】
また、板状部材30は、その母材となる光透過性の基材30aと、不透過部としての遮光層30bとを有する(
図3参照)。基材30aは、例えば、透光性を有する樹脂から形成された板状の部材である。
【0030】
ここで、前述の透光性カバー20は、例えば暗色(半透過性)の樹脂材で形成されており、光の透過率が50%程度に設定されている。また、基材30aは、例えば暗色(半透過性)の樹脂材で形成されており、光の透過率が50%程度に設定されている。なお、透光性カバー20及び基材30aのそれぞれの光の透過率は任意であり、80%や30%等であってもよい。
【0031】
また、透光性カバー20の前面及び背面の少なくとも何れかと、基材30aの前面及び背面の少なくとも何れかに低反射処理を施してもよい。低反射処理としては、一例として透光性カバー20の前面と基材30aの背面にAR(Anti-Reflection)処理を施すとともに、透光性カバー20の背面と基材30aの前面にモスアイ処理を施す構成を挙げることができる。低反射処理の方法としては、フィルム貼合、フィルムインサート成形(IML:Insert Molding Laminate)、スパッタリング等を用いることができる。
【0032】
遮光層30bは、例えばスクリーン印刷により基材30aの背面に形成された黒色の印刷層である。ここので遮光層30bは、例えば各透視部31、32、33の四方を囲むように形成される。板状部材30における透視部31、32、33の各々は、基材30aの遮光層30bが設けられていない部分により形成される。つまり、このことは透視部31、32、33は、基材30aが露出している基材露出部分であることを意味する。
【0033】
なお、
図4の断面図では、計器表示部11に対応する透視部31及び多機能表示部12に対応する透視部32について示したが、透視部33についても同様である。なお、遮光層30bは、基材30aの前面と背面の少なくとも何れかに設けることができる。また、遮光層30bは、黒色以外の色を有する印刷層であってもよいし、塗布により形成されるものであってもよいし、あるいは基材30aに固定される遮光性シートであってもよい。
【0034】
板状部材30は、主に
図2に示すように、本実施形態に特有の形状を有する部分として、平面部P1~P3、並びに曲面部C1、C2を有する。平面部P1~P3の各々に上述の透視部31~33が設けられている。
【0035】
平面部P1は、計器表示部11と前後方向において隙間を空けて対向する部分である。平面部P1の背面と計器表示部11の前面11aとは、概ね平行(丁度平行も含む。以下同様。)に設定されている。平面部P2は、多機能表示部12と前後方向において隙間を空けて対向する部分である。平面部P2の背面と多機能表示部12の前面12aとは、概ね平行に設定されている。平面部P3は、ミラー表示部13と前後方向において隙間を空けて対向する部分である。平面部P3の背面とミラー表示部13の前面13aとは、概ね平行に設定されている。
【0036】
これら平面部P1~P3と複数の表示媒体の各々との隙間は、例えば1ミリメートル程度に概ね一定(丁度一定も含む。)に設定される。なお、必要に応じて、OCA(Optical Clear Adhesive)やOCR(Optical Clear Resin)等の光硬化型接着剤(図示せず)を各隙間に充填し、複数の表示媒体と板状部材30とを接合してもよい。
【0037】
曲面部C1は、計器表示部11と多機能表示部12との間の隙間を覆うとともに、計器表示部11と多機能表示部12とを繋ぐように形成された曲面形状を有する。具体的に、曲面部C1は、平面部P1と平面部P2とを繋ぐ部分であり、計器表示部11の右端部前方と多機能表示部12の左端部前方との間に位置する。
【0038】
曲面部C2は、計器表示部11とミラー表示部13との間の隙間を覆うとともに、計器表示部11とミラー表示部13とを繋ぐように形成された曲面形状を有する。具体的に、曲面部C2は、平面部P1と平面部P3とを繋ぐ部分であり、計器表示部11の左端部前方とミラー表示部13の右端部前方との間に位置する。
【0039】
インナーケース40は、板状部材30の背面側に位置するとともに複数の表示媒体を収容する樹脂ケースである。インナーケース40において、複数の表示媒体を収納する部分以外の前面は、板状部材30の形状に対応した形状で形成されている。
【0040】
回路基板51~53は、インナーケース40の後方に位置し、複数の表示媒体の各々を駆動する駆動回路が実装された硬質の配線基板である。回路基板51は計器表示部11の後方に位置し、回路基板52は多機能表示部12の後方に位置し、回路基板53はミラー表示部13の後方に位置する。
【0041】
回路基板51~53のうち少なくとも何れか(ここでは回路基板52とする)には、表示装置Dの全体動作を制御する制御部(図示せず)が実装されている。制御部は、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を含む記憶部と、ROMに記憶された動作プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)とを備えるマイクロコンピュータから構成される。
【0042】
また、ここでの制御部は、主に複数の表示媒体の動作を制御し、前記画面に画像を表示させる表示制御部やセンサシートSからの情報(信号)に基づきタッチ操作を検出可能な操作検出部としての機能を有する。制御部は、車両の各部を制御するECU(Electronic Control Unit)、各種センサ、カーナビゲーション装置、オーディオ装置、テレビチューナー、サイドカメラ等の車両に構成された各種システムと通信を行い、各種システムから取得した情報を複数の表示媒体に表示させる制御を行う。具体的には、制御部は、計器表示部11に車速、エンジン回転数などの車両に関する計測量を示す画像を表示させ、多機能表示部12にカーナビゲーション情報、オーディオ(音楽)情報等を示す画像を表示させ、ミラー表示部13にサイドミラー画像を表示させる。
【0043】
また、制御部は、タッチパネルとして構成された多機能表示部12に対して行われたユーザによるタッチ操作に応じて、複数の表示媒体の少なくとも何れかの表示内容を切り替える制御等を行う。なお、タッチ操作とは、透光性カバー20における多機能表示部12と対向する部分の前面をタッチすることでなされる入力操作であり、制御部(前記操作検出部)は、後述するオーディオ用アイコン画像、ナビゲーション用アイコン画像、並びに第1、第2の操作画像を少なくとも含む複数の操作画像に対して行われたユーザによるタッチ操作を検出可能となっている。制御部は、前記入力操作の内容をセンサシートSからの信号に基づき特定することができる。
【0044】
基板保持体60は、インナーケース40の後方に位置し、回路基板51~53を保持するフレームである。なお、
図2においては、基板保持体60の背面側で回路基板51~53を保持する例を示しているが、回路基板51~53の保持態様は任意であり、前面側で保持してもよい。
【0045】
アウターケース70は、複数の表示媒体、板状部材30、インナーケース40、回路基板51~53並びに基板保持体60の各部を収容する樹脂ケースであり、前方に向かって開口した箱状に形成される。アウターケース70の開口端部には、透光性カバー20が接着、嵌合、螺着等の適宜固定手段により固定される。透光性カバー20が取り付けられたアウターケース70は、表示装置Dの外装ケースを構成する。
【0046】
次に、
図4~
図6を用いて、前記タッチ操作に伴う多機能表示部12の表示例について説明する。
図4は、例えば車両の始動スイッチがオン操作さえた際の多機能表示部12の初期画面(メニュー画面)80を示している。
【0047】
例えば、多機能表示部12の中央部には、初期画面80としてオーディオ用アイコン画像81と、ナビゲーション用アイコン画像82とが上下に並んだ状態で表示される。なお、
図4では、オーディオ用アイコン画像81とナビゲーション用アイコン画像82とでなる2つのアイコン画像が多機能表示部12の中央部に上下に表示された例を示しているが、当該アイコン画像の数は3つ以上、上下に並ぶように設けてもよい。
【0048】
そして、前記制御部は、凸曲面部22におけるオーディオ用アイコン画像81と対向する部分の前面がユーザによりタッチ操作されたことを検出すると、多機能表示部12に表示される情報を初期画面80から
図5に示すような後述する第1の操作画像83aと第2の操作画像83bとを含むオーディオ画面83へと切り替えるべく、多機能表示部12の表示切替処理を実行する。
【0049】
オーディオ画面83は、例えば
図5に示すように多機能表示部12の中央部にて上下に並ぶように設けられる第1の操作画像83aと、多機能表示部12の左方側にて上下に並ぶように設けられる第2の操作画像83bとを備える。第1の操作画像83aは、音楽の曲名を示す複数個(例えば3個)の曲名アイコン画像X1~X3により構成されるものであり、上下に並ぶように設けられるこれら曲名アイコン画像X1~X3の外形形状はそれぞれ四角形状となっている。例えば現在、曲名アイコン画像X1に対応する音楽情報がオーディオ装置から出力されている状況下で、ユーザが曲名アイコン画像X3に対応する凸曲面部22箇所をタッチ操作すると、曲名アイコン画像X3に対応する音楽情報がオーディオ装置から出力される。
【0050】
一方、第2の操作画像83bは、音楽の音量を増加または現状させるための音量調整アイコン画像Y1、音楽の再生を行うための再生アイコン画像Y2、音楽を一時的に停止させるための一時停止アイコン画像Y3とから主に構成され、上下に並ぶように設けられるこれらアイコン画像Y1~Y3の外形形状はそれぞれ四角形状となっている。例えばユーザが一時停止アイコン画像Y3をタッチ操作すると、それまでオーディオ装置から出力されていた音楽情報が一時的に停止する。つまり、本例の場合、オーディオ画面83(多機能表示部12)は、第1の操作画像83aと第2の操作画像83bとを少なくとも含む複数の操作画像が前記画面に表示された表示媒体として構成されるものである。
【0051】
ここで、多機能表示部12における前面12aの法線方向Lに沿った第1の操作画像83aから凸曲面部22(透光性カバー20)までの距離を第1の離間距離W1とし、当該法線方向Lに沿った第2の操作画像83bから凸曲面部22(透光性カバー20)までの距離を第2の離間距離W2とする(
図6参照)。
【0052】
本例の場合、多機能表示部12の前面12aはフラット(平坦)で、凸曲面部22は、その中央部が凸部の頂上部分となっていることに起因して、第1の離間距離W1と第2の離間距離W2との大小関係は、第1の離間距離W1>第2の離間距離W2の関係となる。
【0053】
そして、このような関係が成立する状況下にあっては(すなわち第1の離間距離W1が第2の離間距離W2よりも大きい場合に)、前記制御部による制御のもと、第1の操作画像83aと第2の操作画像83bとをオーディオ設定画面83として多機能表示部12に表示させるにあたり、第1の操作画像83a(個々のアイコン画像X1~X3)の大きさを第2の操作画像83b(個々のアイコン画像Y1~Y3)の大きさよりも大きくする構成としている。
【0054】
第1の操作画像83a(個々のアイコン画像X1~X3)の大きさとは、
図5中、第1の操作画像83a(個々のアイコン画像X1~X3)の外形線で囲まれた領域R1を意味し、第2の操作画像83b(個々のアイコン画像Y1~Y3)の大きさとは、
図5中、第2の操作画像83b(個々のアイコン画像Y1~Y3)の外形線で囲まれた領域R2を意味する。
【0055】
次に、
図4中、ナビゲーション用アイコン画像82がタッチ操作された際の多機能表示部12の表示遷移について説明する。前記制御部は、凸曲面部22におけるナビゲーション用アイコン画像82と対向する部分の前面がユーザによりタッチ操作されたことを検出すると、多機能表示部12に表示される情報を初期画面80から
図7に示すような後述する経路案内画像N1と日時画像N2と第1の操作画像84aと第2の操作画像84bとを含むナビゲーション画面84へと切り替えるべく、多機能表示部12の表示切替処理を実行する。
【0056】
ナビゲーション画面84は、例えば
図7に示すように多機能表示部12を左右に等分したときの多機能表示部12の概ね左半分のエリアに設けられる経路案内画像N1と、多機能表示部12を左右に等分したときの多機能表示部12の概ね右半分のエリアに設けられる日時画像N2と、多機能表示部12の中央下方(経路案内画像N1の下側)に設けられる第1の操作画像84aと、多機能表示部12の左方側にて上下に並ぶように設けられる第2の操作画像84bとを備える。
【0057】
経路案内画像N1は、自車が目的地に向かう際の経路(ルート)を案内するためのものである。日時画像N2は、主に現在の年月日、時刻を表示したものである。第1の操作画像84aは、経路案内画像N1に対する設定変更(例えばルート編集)を行うための設定アイコン画像であり、その外形形状は四角形状となっている。
【0058】
一方、第2の操作画像84bは、経路案内画像N1の表示形態を変更するためのコンパスアイコン画像Z1と、経路案内画像N1の縮尺を変更するための縮尺アイコン画像Z2とから主に構成され、上下に並ぶように設けられるこれらアイコン画像Z1、Z2の外形形状はそれぞれ四角形状となっている。つまり、本例の場合、ナビゲーション画面84(多機能表示部12)は、第1の操作画像84aと第2の操作画像84bとを少なくとも含む複数の操作画像が前記画面に表示された表示媒体として構成されるものである。
【0059】
ここで、本例の場合、
図6に示すように多機能表示部12の前面12aはフラット(平坦)で、凸曲面部22は、その中央部が凸部の頂上部分となっていることに起因して、第1の離間距離W1と第2の離間距離W2との大小関係は、第1の離間距離W1>第2の離間距離W2の関係となる。
【0060】
そして、このような関係が成立する状況下にあっては(すなわち第1の離間距離W1が第2の離間距離W2よりも大きい場合に)、前記制御部による制御のもと、第1の操作画像84aと第2の操作画像84bとをナビゲーション画面84として多機能表示部12に表示させるにあたり、第1の操作画像84aの大きさを第2の操作画像84b(個々のアイコン画像Z1、Z2)の大きさよりも大きくする構成とした。
【0061】
第1の操作画像84aの大きさとは、
図7中、第1の操作画像84aの外形線で囲まれた領域R1を意味し、第2の操作画像84b(個々のアイコン画像Z1、Z2)の大きさとは、
図7中、第2の操作画像84b(個々のアイコン画像Z1、Z2)の外形線で囲まれた領域R2を意味する。
【0062】
以上のように本実施形態では、前面12aの法線方向Lに沿った第1の操作画像83a(84a)から凸曲面部22(透光性カバー20)までの距離を第1の離間距離W1とし、法線方向Lに沿った第2の操作画像83b(84b)から凸曲面部22(透光性カバー20)までの距離を第2の離間距離W2とし、第1の離間距離W1が第2の離間距離W2よりも大きい場合に、第1の操作画像83a(84a)の大きさを第2の操作画像83b(84b)の大きさよりも大きくしたものである。
【0063】
従って、第1の操作画像83a(84a)側での前面12aと凸曲面部22との間の間隔(つまり第1の離間距離W1)が第2の操作画像83b(84b)側での前記間隔(つまり第2の離間距離W2)よりも広く、第1の操作画像83a(84a)側での前記視差の影響が大きくなったとしても、第1の操作画像83a(84a)へのタッチ操作が意図したものと反する誤操作となる虞がなくなり、ユーザが操作画像83a、83b(84a、84b)を確実にタッチ操作することができる。つまり、ユーザ側からの距離が第2の操作画像83b(84b)よりも遠い第1の操作画像83a(84a)の大きさが大きいので、上述した領域R1の中心からやや離れた位置(例えば領域R1の周縁部分)に対応する凸曲面部22の前面部分をタッチ操作したとしても、当該タッチ操作が有効な操作として実行されることになる。このため、従来のように前記視差の影響によるタッチ操作の誤操作が確実に防止され、前記利便性を高めることができる。
【0064】
なお、本発明は以上の実施形態及び図面によって限定されるものではない。本発明の要旨を変更しない範囲で、適宜、変更(構成要素の削除も含む)を加えることが可能である。
【0065】
上述した実施形態では、複数の表示媒体の各々が液晶ディスプレイから構成されている例を示したが、これに限られない。複数の表示媒体の少なくとも1つは、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイから構成されていてもよい。また、上述した実施形態では、複数の表示媒体が3つの表示部から構成される例を示したが、複数の表示媒体は、2つの表示部から構成されてもよいし、4つ以上の表示部から構成されてもよい。
【0066】
また、上述した実施形態では、凸曲面部22(透光性カバー20)における多機能表示部12(各操作画像83a、83b等)と対向する部分の前面にユーザの指が触れることでなされる動作をタッチ操作としたものであったが、当該凸曲面部22の前面に近接することでなされる動作(所謂、ホバー操作)をタッチ操作としてもよい。
【0067】
さらに、上述した実施形態では、曲名アイコン画像X1~X3を第1の操作画像83aとしたが、オーディオ用アイコン画像81やナビゲーション用アイコン画像82を第1の操作画像83aとしてもよい。この場合、例えば前記制御部は、第1の操作画像であるオーディオ用アイコン画像81に対して行われたユーザによるタッチ操作を検出すると、多機能表示部12にオーディオ用アイコン画像81に関連する上述した第2の操作画像83bを表示させる処理を実行することになる。
【0068】
なお、移動体用表示装置Dが搭載される乗り物は、自動四輪車でなく、自動二輪車等の車両であってもよいし、車両以外の建設機械、船舶、航空機、スノーモービルなどの乗り物であってもよい。移動体用表示装置Dは、乗り物の運転席の近傍に設けることが好ましい。
【符号の説明】
【0069】
11 計器表示部
12 多機能表示部(表示部)
12a 前面(画面)
13 ミラー表示部
20 透光性カバー(保護部材)
21 凹曲面部
22、23 凸曲面部
30 板状部材
31~33 透視部
80 初期画面
81 オーディオ用アイコン画像
82 ナビゲーション用アイコン画像
83 オーディオ画面
84 ナビゲーション画面
83a、84a 第1の操作画像
83b、84b 第2の操作画像
L 法線方向
S センサシート
W1 第1の離間距離
W2 第2の離間距離