(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022085391
(43)【公開日】2022-06-08
(54)【発明の名称】開閉装置
(51)【国際特許分類】
E06B 9/15 20060101AFI20220601BHJP
E06B 9/17 20060101ALI20220601BHJP
【FI】
E06B9/15 Z
E06B9/17 Q
E06B9/15 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020197049
(22)【出願日】2020-11-27
(71)【出願人】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】津田 真伸
(57)【要約】
【課題】 開閉体が巻き重ねられる際の騒音や振動等を効果的に低減する。
【解決手段】 空間を仕切るようにして閉鎖動作するとともに逆方向へ開放動作して巻き重ねられる開閉体10と、巻き重ねられた際の開閉体10の間に挟まれる緩衝材30とを備え、緩衝材30は、開閉体10に固定された被固定部31と、巻き重ねられた際の内側の開閉体10と外側の開閉体10の間に挟まれて弾性変形する変形部32とを一体的に有し、変形部32は、前記内側の開閉体10に対し当接する突端側部分に、略平坦状の当接片部32aを有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間を仕切るようにして閉鎖動作するとともに逆方向へ開放動作して巻き重ねられる開閉体と、巻き重ねられた際の前記開閉体の間に挟まれる緩衝材とを備え、
前記緩衝材は、前記開閉体に固定された被固定部と、巻き重ねられた際の内側の開閉体と外側の開閉体の間に挟まれて弾性変形する変形部とを一体的に有し、
前記変形部は、前記内側の開閉体に対し当接する突端側部分に、略平坦状の当接片部を有することを特徴とする開閉装置。
【請求項2】
前記当接片部は、前記内側の開閉体に対し、開閉方向の一端側を当接した後に首振り運動して他端側を当接するように形成されていることを特徴とする請求項1記載の開閉装置。
【請求項3】
前記変形部は、前記当接片部よりも前記被固定部側に、括れ部を有することを特徴とする請求項1又は2記載の開閉装置。
【請求項4】
前記変形部は、前記当接片部よりも前記被固定部側に、開閉体開閉方向へ撓み可能な撓み片部を有することを特徴とする請求項1~3何れか1項記載の開閉装置。
【請求項5】
前記変形部は、前記当接片部よりも前記被固定部側に、内部が中空の中空変形部を有することを特徴とする請求項1~4何れか1項記載の開閉装置。
【請求項6】
前記開閉体は、幅方向へ長尺なスラットを開閉方向に複数接続してなり、
前記各スラットには、本体片部と、前記本体片部の開放方向側で開閉体厚さ方向の一方へ突出した接続部と、前記本体片部の閉鎖方向側で前記一方へ突出して他のスラットの接続部に接続された被接続部と、対向する内面間に前記被固定部を嵌め合わせた嵌合凹部とが設けられていることを特徴とする請求項1~5何れか1項記載の開閉装置。
【請求項7】
前記嵌合凹部は、一方側の前記内面を前記本体片部により形成し、他方側の前記内面を前記接続部又は前記被接続部により形成していることを特徴とする請求項6記載の開閉装置。
【請求項8】
前記嵌合凹部は、入口部分よりも底側の方が開閉体厚さ方向に大きく、
前記被固定部は、前記嵌合凹部における前記入口部分よりも底側の部分に対応する開閉体厚さ方向の幅が、前記入口部分に対応する開閉体厚さ方向の幅よりも大きいことを特徴とする請求項6又は7記載の開閉装置。
【請求項9】
前記被固定部は、前記嵌合凹部に嵌り合う部分を開閉体厚さ方向へ拡げる弾性復元力を有することを特徴とする請求項6~8何れか1項記載の開閉装置。
【請求項10】
前記被固定部は、前記嵌合凹部の底部に対向する部分に、開閉体幅方向へわたるスリット部を有することを特徴とする請求項6~9何れか1項記載の開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空間を仕切るようにして閉鎖動作する開閉体をその開放側で巻き重ねて収納する開閉装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の開閉装置には、例えば特許文献1に記載されるように、左右幅方向へ長尺なスラットを上下方向へ複数接続した開閉体と、この開閉体を幅方向の両側で開閉方向へ案内するガイドレールと、前記開閉体をその開放方向側で巻き取りながら重ねる巻取軸とを具備したものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来の開閉装置によれば、開閉体を巻き取る際に、該開閉体の内面と外面とが当接して、騒音や振動等を発生するおそれがある。
そこで、前記内面と前記外面の間に緩衝材を挟むことが考えられるが、緩衝材が内外の開閉体に当接する際にも騒音や振動が発生するため、このような騒音や振動を効果的に低減するためには工夫を要する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような課題に鑑みて、本発明は、以下の構成を具備するものである。
空間を仕切るようにして閉鎖動作するとともに逆方向へ開放動作して巻き重ねられる開閉体と、巻き重ねられた際の前記開閉体の間に挟まれる緩衝材とを備え、前記緩衝材は、前記開閉体に固定された被固定部と、巻き重ねられた際の内側の開閉体と外側の開閉体の間に挟まれて弾性変形する変形部とを一体的に有し、前記変形部は、前記内側の開閉体に対し当接する突端側部分に、略平坦状の当接片部を有することを特徴とする開閉装置。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、以上説明したように構成されているので、開閉体が巻き重ねられる際の騒音や振動等を効果的に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明に係る開閉装置の一例を示す正面図である。
【
図2】緩衝材の一例をスラットに装着した状態を示す要部斜視図である。
【
図3】同緩衝材をスラットに装着した状態を示す縦断面図である。
【
図4】開閉体が巻き重ねられて、外側の緩衝材が内側の開閉体表面に当接した直後の状態を示す要部縦断面図である。
【
図5】開閉体が巻き重ねられて、外側の緩衝材が内側の開閉体表面に当接して弾性変形した状態を示す要部縦断面図である。
【
図6】緩衝材の他例をスラットに装着した状態を示す要部斜視図である。
【
図7】同他例について、緩衝材をスラットに装着した状態を示す要部斜視図である。
【
図8】同他例について、開閉体が巻き重ねられて、外側の緩衝材が内側の開閉体表面に当接した直後の状態を示す要部縦断面図である。
【
図9】同他例について、開閉体が巻き重ねられて、外側の緩衝材が内側の開閉体表面に当接して弾性変形した状態を示す要部縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本実施の形態では、以下の特徴を開示している。
第一の特徴は、空間を仕切るようにして閉鎖動作するとともに逆方向へ開放動作して巻き重ねられる開閉体と、巻き重ねられた際の前記開閉体の間に挟まれる緩衝材とを備え、前記緩衝材は、前記開閉体に固定された被固定部と、巻き重ねられた際の内側の開閉体と外側の開閉体の間に挟まれて弾性変形する変形部とを一体的に有し、前記変形部は、前記内側の開閉体に対し当接する突端側部分に、略平坦状の当接片部を有する(
図1~
図9参照)。
【0009】
第二の特徴として、前記当接片部は、前記内側の開閉体に対し、開閉方向の一端側を当接した後に首振り運動して他端側を当接するように形成されている(
図4~
図5、
図8~
図9参照)。
【0010】
第三の特徴として、前記変形部は、前記当接片部よりも前記被固定部側に、括れ部を有する(
図3及び
図7参照)。
【0011】
第四の特徴として、前記変形部は、前記当接片部よりも前記被固定部側に、開閉体開閉方向へ撓み可能な撓み片部を有する(
図3参照)。
【0012】
第五の特徴として、前記変形部は、前記当接片部よりも前記被固定部側に、内部が中空の中空変形部を有する(
図7参照)。
【0013】
第六の特徴として、前記開閉体は、幅方向へ長尺なスラットを開閉方向に複数接続してなり、前記各スラットには、本体片部と、前記本体片部の開放方向側で開閉体厚さ方向の一方へ突出した接続部と、前記本体片部の閉鎖方向側で前記一方へ突出して他のスラットの接続部に接続された被接続部と、対向する内面間に前記被固定部を嵌め合わせた嵌合凹部とが設けられている(
図3及び
図7参照)。
【0014】
第七の特徴として、前記嵌合凹部は、一方側の前記内面を前記本体片部により形成し、他方側の前記内面を前記接続部又は前記被接続部により形成している(
図3及び
図7参照)。
【0015】
第八の特徴として、前記嵌合凹部は、入口部分よりも底側の方が開閉体厚さ方向に大きく、前記被固定部は、前記嵌合凹部における前記入口部分よりも底側の部分に対応する開閉体厚さ方向の幅が、前記入口部分に対応する開閉体厚さ方向の幅よりも大きい(
図3及び
図7参照)。
【0016】
第九の特徴として、前記被固定部は、前記嵌合凹部に嵌り合う部分を開閉体厚さ方向へ拡げる弾性復元力を有する。
【0017】
第十の特徴として、前記被固定部は、前記嵌合凹部の底部に対向する部分に、開閉体幅方向へわたるスリット部を有する(
図3及び
図7参照)。
【0018】
<第一の実施態様>
次に、上記特徴を有する具体的な実施態様について、図面に基づいて詳細に説明する。
以下の説明において、「開閉体厚さ方向」とは、閉鎖状態の開閉体の厚さ方向を意味する。また、「開閉体幅方向」とは、開閉体の開閉方向と略直交する方向であって、開閉体の厚さ方向ではない方向を意味する。
また、「開閉体開閉方向」とは、開閉体が空間を仕切るようにして閉鎖したり開放したりするスライド方向を意味する。
【0019】
また、「開閉体幅方向外側」とは、開閉体幅方向に沿って開閉体の外側へ向かう方向側を意味する。例えば、向かって右側のガイドレールを基準にすると、開閉体幅方向外側は、右側のガイドレールの右方向側になる。また、開閉体における幅方向の右端部を基準にすると、開閉体幅方向外側は、開閉体の右端部よりも右方向側になる。
また、「開閉体幅方向内側」とは、開閉体幅方向に沿って開閉体の内側へ向かう方向側を意味する。例えば、向かって右側のガイドレールを基準にすると、開閉体幅方向内側は、右側のガイドレールの左方向側になる。また、開閉体における幅方向の右端部を基準にすると、開閉体幅方向内側は、開閉体の右端部よりも左方向側になる。
【0020】
また、「開閉体厚さ方向外側」とは、開閉体の厚みの中央部から開閉体厚さ方向に沿って離れる方向側を意味する。
また、「開閉体厚さ方向内側」とは、開閉体厚さ方向に沿って開閉体の厚みの中央部へ向かう方向側を意味する。
【0021】
開閉装置1は、
図1に示すように、空間を仕切るようにして閉鎖動作するとともに逆方向へ開放動作して巻き重ねられる開閉体10と、開閉体10を横幅方向の両側でそれぞれ開閉方向へ案内するガイドレール20と、巻き重ねられた際の開閉体10の間に挟まれる緩衝材30と、開閉体10をその開放方向側で巻き重ねて収納する収納部40とを備え、例えば、ガレージや工場、窓サッシ等の開口部分に装着されるシャッター装置を構成している。
【0022】
開閉体10は、横長略矩形状の金属板を曲げ加工してなるスラット11aを、上下に隣接するスラット11a,11a間で回動するように複数連接することで開閉体本体11を構成し、この開閉体本体11の閉鎖方向端部側に、全閉時の当接対象部位Gに当接させるための座板部材12を横幅方向へわたって接続している(
図1参照)。
【0023】
各スラット11aは、開閉体幅方向へ連続するように延設された縦断面略凹状の部材であり、略板状(図示例によれば平板状)の本体片部11a1と、本体片部11a1の開放方向側で開閉体厚さ方向の一方(
図3によれば左方向)へ突出した接続部11a2と、本体片部11a1の閉鎖方向側で前記一方へ突出して他のスラット11aの接続部11a2に接続される被接続部11a3と、対向する内面11a41,11a42間に緩衝材30を嵌め合わせた嵌合凹部11a4とを一体に有する。
【0024】
開閉方向に隣り合う二つのスラット11a,11aは、接続部11a2と被接続部11a3の係合によって、その一方が他方に対し回動可能であるとともに、その一方に対し他方を開閉体幅方向へスライドさせることが可能である。
【0025】
接続部11a2は、例えば縦断面略フック状等、被接続部11a3に掛止可能な適宜形状に曲げ形成される。
被接続部11a3は、下方側から接続部11a2を挿入して掛止可能なように、下方を開口した縦断面略カール状(異なる表現をすれば、下方の開口した縦断面略C字状)に形成される(
図3参照)。
【0026】
また、被接続部11a3は、本体片部11a1の下端側から開閉体厚さ方向の一方へ突出しており、その突端部を、当接部11a31として機能させる。この当接部11a31は、開閉体10が巻き重ねられて、緩衝材30が開閉体10の内面と外面に挟まれて弾性変形した後に、径方向内側の開閉体10の外面に対し直接当接する(
図4及び
図5参照)。
【0027】
嵌合凹部11a4は、開閉体厚さ方向の一方側の内面11a41と該内面に対向して間隔を置いた他方側の内面11a42とを有し、これら内面間の下方を底部とした縦断面有底筒状に形成される。
【0028】
一方側の内面11a41は、本体片部11a1の一部分である。また、他方側の内面11a42は、被接続部11a3の一部分である。
すなわち、嵌合凹部11a4の内面11a41,11a42は、本体片部11a1と被接続部11a3により形成される。
【0029】
嵌合凹部11a4の内部は、その入口部分11a4Xよりも底側の方が開閉体厚さ方向に拡大しており、図示例によれば、嵌合凹部11a4の底側へ行くにしたがって開閉体厚さ方向の幅が徐々に広くなっている(
図3参照)。
この嵌合凹部11a4には、緩衝材30が嵌め合わせられ固定される。
【0030】
緩衝材30は、開閉体10における所定の複数のスラット11aについて、各スラット11aおける横幅方向の中央寄りに部分的に配設される(
図1及び
図2参照)。そして、この緩衝材30は、ガイドレール20に対し開閉体幅方向の内側に位置する。
緩衝材30の材質は、弾性的に変形可能な材料であればよく、例えば、ポリ塩化ビニル、その他のエラストマー樹脂、ゴム等を用いればよい。
【0031】
緩衝材30は、開閉体10の嵌合凹部11a4に嵌り合って固定される被固定部31と、この被固定部31から接続部11a2側であって斜め反本体片部11a1側(
図3によれば上斜め左側)へ突出して巻き重ねられた際の内外の開閉体10,10の間に挟まれて弾性変形する変形部32とを一体に有し、開閉体幅方向へ連続している(
図2参照)。
【0032】
被固定部31は、嵌合凹部11a4に嵌り合うように形成される。
この被固定部31は、嵌合凹部11a4における入口部分11a4Xよりも底側の部分に対応する開閉体厚さ方向の幅が、入口部分11a4Xに対応する開閉体厚さ方向の幅よりも大きい(
図3参照)。
そして、この被固定部31は、嵌合凹部11a4に嵌り合う部分を開閉体厚さ方向へ拡げる弾性復元力を保持している。
【0033】
また、被固定部31には、嵌合凹部11a4の底部に対向する部分に、開閉体幅方向へわたるスリット部31aが設けられる。
このスリット部31aは、被固定部31の下端面に、縦断面逆凹状に形成され、開閉体幅方向へ長尺状に連続している。
このスリット部31aによれば、被固定部31の開閉体厚さ方向の幅を弾性的に容易に狭めることができ、ひいては、被固定部31を嵌合凹部11a4に挿入し嵌め合わせる際の作業性が良好である。
【0034】
変形部32は、巻き重ねられた際に内側となる開閉体10の表面に対し当接する突端側部分を略平坦状に形成した当接片部32aと、この当接片部32aよりも被固定部31側で開閉体開閉方向へ弾性的に撓み可能な撓み片部32bと、当接片部32aと撓み片部32bの間に位置する括れ部32cとを一体に有する。
【0035】
当接片部32aは、巻き重ねられた際に内側となる部材(開閉体10又は巻取軸42)に対し当接するように、被接続部11a3よりも反本体片部11a1側(
図3によれば左側)へ突出しており、その突端側部分を略平坦状に形成している。
この当接片部32aは、
図4及び
図5に例示するように、内側となる開閉体10に対し、開閉方向の一端側(図示例によれば下端側)を当接した後に首振り運動して他端側(図示例によれば上端側)を当接する。
【0036】
撓み片部32bは、被固定部31から接続部11a2側であって斜め反本体片部11a1側(
図3によれば上斜め左側)へ延設された板状の部位であり、その厚みt1が、当接片部32aの平坦部分の幅wよりも狭い。
【0037】
撓み片部32bの付け根側には、被接続部11a3における本体片部11a1寄りの部分に接する接触部32b1を有する(
図3参照)。
【0038】
括れ部32cは、当接片部32aと撓み片部32bとの間に位置し、当接片部32cの上下方向の首振り運動を容易にする。
この括れ部32cは、当接片部32aと撓み片部32bの間の下側の内角部分を凹欠状に形成してなる。この括れ部32cの厚みt2は、撓み片部32bの厚みt1よりも薄い。
【0039】
また、ガイドレール20は、開閉体10の左右両側にそれぞれ設けられる。
各ガイドレール20は、開閉体10の幅方向の端部側を、開口部に挿入し横断面凹状に囲むようにして、当接対象部位Gと収納部40の間にわたって上下方向へ連続している。
【0040】
また、収納部40は、
図1に示すように、開閉体10を出没させるための開口部を下部に形成した収納ケース41内に、開閉体10を巻き取ったり繰出したりする巻取軸42と、該巻取軸42をチェーン及びスプロケット等の動力伝達機構を介して駆動回転したり制動したりする開閉機43と、図示しない制御回路とを備える。
【0041】
巻取軸42は、その軸方向を開閉体幅方向へ向けた円筒状に形成され、外周面に、開閉体10の上端部を接続している。そして、この巻取軸42は、一方向へ回転することで、外周面に開閉体10を巻き重ねてゆき(
図4及び
図5参照)、逆方向へ回転することで、同開閉体10を下方へ繰出してゆく。
【0042】
次に、上記構成の開閉装置1について、その特徴的な作用効果を詳細に説明する(
図4及び
図5参照)。
開閉体10が巻取軸42に巻き取られると、巻取軸42の外周面に対し、先ず、緩衝材30の突端側が当接し、緩衝材30が徐々に変形した後に、被接続部11a3の当接部11a31が当接する。
次に、巻き重ねられた際に内側となる開閉体10の外面に対し、先ず、緩衝材30の突端側が当接し、緩衝材30が徐々に変形した後に、被接続部11a3の当接部11a31が当接する。
【0043】
前述した緩衝材30の変形について、詳細に説明すれば、緩衝材30は、先ず、当接片部32aの下端側部分32a1を、内側の巻取軸42又は開閉体10の外面に当接する。
次に、緩衝材30は、当接片部32aを首振り運動するように弾性変形させるとともに、撓み片部32bを巻取軸径方向外側へ弾性的に撓ませる。前記首振り運動は、異なる表現をすれば、当接片部32aが括れ部32cの近傍を支点にして回転する運動である。
そして、当接片部32aの上端側部分32a2が、巻取軸42又は開閉体10の外面に当接し、さらに、被接続部11a3が、巻取軸42又は開閉体10の外面に当接する。
この状態では、平坦状の当接片部32aの略全面が、巻取軸42又は開閉体10の外面に面接触する(
図5参照)。
【0044】
また、開閉体10が巻取軸42から繰り出されて閉鎖動作する際は、各緩衝材30が元の状態に弾性的に復元する。
【0045】
このように、各スラット11aの内面が、その内側の巻取軸42外周面又はスラット11a表面に接触する際、先ず、緩衝材30が、下端側部分32a1と上端側部分32a2とを順次に当接させるようにして徐々に弾性変形し、この後で、被接続部11a3の当接部11a31がスラット11a表面にゆっくりと当接する。したがって、これら段階的な当接により、騒音や振動等の衝撃を軽減することができる。
【0046】
しかも、スラット11a毎に各緩衝材30が上側の接続部11a2と下側の被接続部11a3の間の横向き凹状部分に入り込むように撓み変形するため、開閉体10の巻径の増大を抑制することができる。
【0047】
また、緩衝材30がその内側の部材(巻取軸42又はスラット11a)を押圧する際の押圧力は、被接続部11a3がその内側の部材に当接した後、略一定の低い押圧力に保たれる。このため、各スラット11aの外側の面に、緩衝材30による圧痕等が付くのを軽減することができる。
したがって、緩衝材30を、ガイドレール20内に隠すように配置する必要がなく、幅方向において撓みの大きい開閉体10の幅方向中央寄りに露出して、開閉体10の巻重ね音等を効果的に低減することができる。
【0048】
その上、上記構成の緩衝材30は、既存のスラット11aに対し容易に装着することができる。このため、既設されている開閉装置1であっても、緩衝材30を装着して低騒音化及び低振動化をはかることができる。
【0049】
<第二の実施態様>
【0050】
次に、上記構成の変形例について説明する。
以下の変形例は、上記開閉装置1の構成の一部を変更したものであるため、主にその変更部分について詳述し、上記開閉装置1と同一となる構成には同一の符号を付けて重複する詳細説明を省略する、
【0051】
図6~
図9に示す態様は、上記緩衝材30を、後述する緩衝材50に置換したものである。
【0052】
緩衝材50は、開閉体10の嵌合凹部11a4に嵌り合って固定される被固定部51と、この被固定部51から接続部11a2側であって斜め反本体片部11a1側(
図7によれば上斜め左側)へ突出して巻き重ねられた際の内外の開閉体10,10の間に挟まれて弾性変形する変形部52とを一体に有し、開閉体幅方向へ連続している(
図6参照)。この緩衝材50は、緩衝材30と同様の弾性材料から形成される。
【0053】
被固定部51は、嵌合凹部11a4に嵌り合った状態で、開閉体厚さ方向へ拡げる弾性復元力を保持している。
この被固定部51は、嵌合凹部11a4における入口部分11a4Xよりも底側の部分に対応する開閉体厚さ方向の幅が、入口部分11a4Xに対応する開閉体厚さ方向の幅よりも大きい(
図7参照)。
【0054】
この被固定部51の下端部には、嵌合凹部11a4の底部に対向する部分に、開閉体幅方向へわたるスリット部51aが設けられる。
このスリット部51aは、被固定部51の下端面に、縦断面逆凹状に形成され、開閉体幅方向へ長尺状に連続しており、上記緩衝材30のスリット部31aと略同様の作用効果を奏する。
【0055】
また、変形部52は、巻き重ねられた際に内側となる開閉体10の表面に対し当接する突端側部分を略平坦状に形成した当接片部52aと、この当接片部52aよりも被固定部51側で開閉体開閉方向へ弾性変形可能な中空変形部52bと、当接片部52aと中空変形部52bの間に位置する括れ部52cとを一体に有する。
【0056】
当接片部52aは、巻き重ねられた際に内側となる開閉体10に対し当接するように、被接続部11a3よりも反本体片部11a1側(
図7によれば左側)へ突出しており、その突端側部分を略平坦状に形成している。
この当接片部52aは、
図8及び
図9に示すように、内側となる開閉体10に対し、開閉方向の一端側(図示例によれば下端側)を当接した後に首振り運動して他端側(図示例によれば上端側)を当接する。
【0057】
中空変形部52bは、内部が中空の縦断面略環状に形成される(
図7参照)。
この中空変形部52bには、嵌合凹部11a4の外側で被接続部11a3に対し面接触する接触部52b1と、嵌合凹部11a4の外側で本体片部11a1に対し面接触する接触部52b2とが設けられる。
【0058】
括れ部52cは、当接片部52aと中空変形部52bとの間に位置し、当接片部52a及び中空変形部52bよりも、開閉体開閉方向の寸法が小さく設定される。この括れ部52cは、当接片部52aの上下方向の首振り運動を容易にする。
【0059】
次に、緩衝材50を装着した開閉装置1について、その特徴的な作用効果を説明する(
図8及び
図9参照)。
開閉体10が巻取軸42に巻き取られると、巻取軸42の外周面に対し、先ず、緩衝材50の突端側が当接し、緩衝材50が徐々に変形した後に、被接続部11a3の当接部11a31が当接する。
次に、巻き重ねられた際に内側となる開閉体10の外面に対し、先ず、緩衝材50の突端側が当接し、緩衝材50が徐々に変形した後に、被接続部11a3の当接部11a31が当接する。
【0060】
詳細に説明すれば、緩衝材50は、先ず、当接片部52aの下端側部分52a1を、内側の巻取軸42又は開閉体10の外面に当接する。
次に、緩衝材50は、当接片部52aを首振り運動するように弾性変形させるとともに、中空変形部52bを巻取軸径方向外側へ弾性的に圧縮させる。そして、緩衝材50の上端側部分52a2が、巻取軸42又は開閉体10の外面に当接し、さらに、被接続部11a3が、巻取軸42又は開閉体10の外面に当接する。
この状態では、平坦状の当接片部52aの略全面が、巻取軸42又は開閉体10の外面に面接触する(
図9参照)。
【0061】
また、開閉体10が巻取軸42から繰り出されて閉鎖動作する際は、各緩衝材50が元の状態に弾性的に復元する。
【0062】
このように、緩衝材50を用いた開閉装置1によれば、緩衝材30を用いた場合と略同様の作用効果を奏し、騒音及び振動を効果的に低減することができ、緩衝材50の組付け性も良好である。
【0063】
なお、上記実施態様によれば、上記スリット部を単数設けたが、他例としては、上記スリット部を、開閉体厚さ方向へ並ぶように複数設けるようにしてもよい。
【0064】
また、上記実施態様によれば、上記当接片部は、巻き重ねられる際に内側となる開閉体又は巻取軸の表面に対し、下端側を当接した後に首振り運動して上端側を当接するようにしたが(
図4及び
図5参照)、この当接片部の他例としては、巻き重ねられる際に内側となる開閉体又は巻取軸の表面に対し、上端側を当接した後に首振り運動して下端側を当接する態様とすることも可能である。
さらに、他例としては、巻き重ねられる際に内側となる開閉体又は巻取軸の表面に対し、平坦状の上記当接片部を、略面接触となるように当接させる態様とすることも可能である。
【0065】
また、上記実施態様によれば、スラット11aにおける本体片部11a1と被接続部11a3の間に嵌合凹部11a4を形成したが、他例としては、本体片部11a1と接続部11a2の間に略同様の嵌合凹部(図示せず)を形成し、この嵌合凹部に緩衝材を嵌合固定することも可能である。
【0066】
また、上記実施態様によれば、前記緩衝材を各スラット11aの幅方向中央側に単数設けたが、他例としては、前記緩衝材を各スラット11aの幅方向に間隔を置いて複数設けた態様や、前記緩衝材を各スラット11aの略全長にわたる長尺状に設けた態様等とすることも可能である。
【0067】
また、上記実施態様によれば、上記変形部は、開閉体10が巻き重ねられていない状態で、その一部が、被接続部11a3及び接続部11a2よりも開閉体厚さ方向の一方へ突出するようにしたが、他例としては、上記変形部を、被接続部11a3又は接続部11a2よりも開閉体厚さ方向の一方へ突出する構成とすることも可能である。
すなわち、上記緩衝材を被接続部11a3寄りに設けた場合には、開閉体10が巻き重ねられていない状態で、上記変形部の一部を被接続部11a3よりも開閉体厚さ方向の一方へ突出させ、同変形部の一部を接続部11a2よりも突出しないようにすることが可能である。
また、上記緩衝材を接続部11a2寄りに設けた場合には、開閉体10が巻き重ねられていない状態で、上記変形部の一部を、接続部11a2よりも開閉体厚さ方向の一方へ突出させ、同変形部の一部を被接続部11a3よりも突出しないようにすることが可能である。
【0068】
また、上記実施態様における緩衝材では、単数の上記変形部と単数の上記被固定部を一体状に接続して構成したが、図示例以外の他例としては、上記被固定部と上記変形部のいずれか一方又は双方を、開閉体幅方向に複数設けた態様とすることが可能である。
すなわち、図示例以外の他例としては、単数の上記被固定部に対し、開閉体幅方向に並ぶ複数の上記変形部を接続した態様や、開閉体幅方向に並ぶ複数の上記被固定部に対し、単数の上記変形部を接続した態様、開閉体幅方向に並ぶ複数の上記被固定部に対し、開閉体幅方向に並ぶ複数の上記変形部を接続した態様等とすることが可能である。
また、上記緩衝材は、単数又は複数の上記被固定部よりも、単数又は複数の上記変形部を開閉体幅方向へ長く形成した態様や、単数又は複数の上記被固定部よりも、単数又は複数の上記変形部を開閉体幅方向へ短く形成した態様等とすることが可能である。
【0069】
また、上記実施態様によれば、上記被固定部と上記変形部を同材質とし一体に形成したが、他例としては、上記被固定部と上記変形部を異なる材質にすることも可能である。この場合、上記嵌合凹部に対する上記緩衝材の接続強度を向上する観点から、好ましくは、上記被固定部を上記変形部よりも硬質な材料(例えば、上記変形部よりも硬質な合成樹脂材料や、ゴム、金属材料等)とする。これら被固定部と変形部を一体化する手段は、二色成形や、接着、溶着、嵌合等とすればよい。
【0070】
また、上記実施態様によれば、上記緩衝材を所定の複数のスラット11aにそれぞれ設けたが、他例としては、上記緩衝材を所定数置きのスラット11aに設けた態様や、全数のスラット11aに設けた態様、図示例以外の任意のスラット11aに設けた態様等とすることが可能である。
【0071】
また、上記実施態様は、単数の巻取軸42を備える一軸式の開閉装置1に対し、本発明を適用したが、本発明は、開閉体10を第一の軸体により開閉方向に対する交差方向へ導いた後に第二の軸体(巻取軸)に巻き取るようにした二軸式の開閉装置等、複数軸式の開閉装置に適用することも可能である。
【0072】
また、本発明は上述した実施態様に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0073】
1:開閉装置
10:開閉体
11a:スラット
11a1:本体片部
11a2:接続部
11a3:被接続部
11a4:嵌合凹部
11a41,11a42:内面
20:ガイドレール
30,50:緩衝材
31,51:被固定部
32,52:変形部
31a,51a:スリット部
32a、52a:当接片部
32b:撓み片部
32c,52c:括れ部
52b:中空変形部