(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022085393
(43)【公開日】2022-06-08
(54)【発明の名称】パソコンバッグ
(51)【国際特許分類】
A45C 13/02 20060101AFI20220601BHJP
【FI】
A45C13/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020197051
(22)【出願日】2020-11-27
(71)【出願人】
【識別番号】000001351
【氏名又は名称】コクヨ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137486
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 雅直
(72)【発明者】
【氏名】浅野 健太
(72)【発明者】
【氏名】今高 広晃
【テーマコード(参考)】
3B045
【Fターム(参考)】
3B045AA42
3B045CE09
3B045DA23
(57)【要約】
【課題】パソコンバッグのデザイン性を向上する。
【解決手段】本発明のパソコンバッグ1は、第1ケース部材10と第2ケース部材20とが対向配置して収納空間を形成するパソコンバッグであって、第2ケース部材20は、第1ケース部材10の背面側壁部11dに対して回動可能に取り付けられており、収納空間60には、パソコンを収容するパソコン収容部61と、パソコン収容部61よりも第1ケース部材10の背面側壁部11dに近接して配置され、パソコン付属品を収容する付属品収容部62とが設けられる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ケース部材と第2ケース部材とが対向配置して収納空間を形成するパソコンバッグであって、
前記第2ケース部材は、前記第1ケース部材の背面側壁部に対して回動可能に取り付けられており、
前記収納空間には、
パソコンを収容するパソコン収容部と、
前記パソコン収容部よりも前記第1ケース部材の背面側壁部に近接して配置され、パソコン付属品を収容する付属品収容部とが設けられることを特徴とするパソコンバッグ。
【請求項2】
前記付属品収容部は、前記第1ケース部材の背面側壁部に沿うように延びる筒状の空間を有しており、
当該付属品収容部の少なくとも一方の端部は開口していることを特徴とする請求項1に記載のパソコンバッグ。
【請求項3】
前記付属品収容部の一端部は開口し且つ前記付属品収容部の他端部は封鎖されていることを特徴とする請求項2に記載のパソコンバッグ。
【請求項4】
前記付属品収容部は、開閉可能に構成された開閉部を有していることを特徴とする請求項1~3の何れかに記載のパソコンバッグ。
【請求項5】
前記第1ケース部材の背面側壁部の外周部に取り付けられる取っ手を備えることを特徴とする請求項1~4の何れかに記載のパソコンバッグ。
【請求項6】
当該パソコンバッグの厚さは、前記背面側壁部に近接する背面端縁に近づくにつれて厚くなることを特徴とする請求項1~5の何れかに記載のパソコンバッグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パソコンを収納可能なパソコンバッグに関する。
【0002】
パソコン携帯用バッグとして、他の物品を収納するバッグ本体部の側面にパソコン収納部を付帯的に設けたものがある(例えば特許文献1参照)。そのパソコン携帯用バッグでは、スライドファスナで開閉されるバッグ本体部の側面にパソコン収納部が設けられ、パソコン収納部は、その一辺で取り付けられた蓋が、残りの三辺に取り付けられたスライドファスナで開閉されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
パソコン携帯用バッグにパソコンを収納して運んだ後、パソコンを使用する際、パソコンを電源アダプタを介して電源コンセントに接続するとともに、操作用マウスをパソコンに接続して使用するのが一般的である。そのため、特許文献1のパソコン携帯用バッグでは、パソコンをパソコン収納部に収納するとともに、電源アダプタや操作用マウスなどのパソコン付属品をバッグ本体部内に収納して持ち運ぶことになる。
【0005】
特許文献1のパソコン携帯用バッグでは、パソコン収納部がバッグ本体部と積層するように設けられているため、パソコン携帯用バッグの厚さが著しく増大する。そのため、パソコン携帯用バッグが大型化して、パソコン携帯用バッグのデザイン性が悪化する問題がある。
【0006】
そこで、本発明の目的は、パソコン及びパソコン付属品を収納して持ち運ぶためのパソコンバッグのデザイン性を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るパソコンバッグは、第1ケース部材と第2ケース部材とが対向配置して収納空間を形成するパソコンバッグであって、前記第2ケース部材は、前記第1ケース部材の背面側壁部に対して回動可能に取り付けられており、前記収納空間には、パソコンを収容するパソコン収容部と、前記パソコン収容部よりも前記第1ケース部材の背面側壁部に近接して配置され、パソコン付属品を収容する付属品収容部とが設けられることを特徴とする。
【0008】
これにより、本発明に係るパソコンバッグでは、パソコンを収容するパソコン収容部とパソコン付属品を収容する付属品収容部とが積層されていないため、パソコンバッグの厚さが著しく増大することはない。そのため、パソコンバッグのデザイン性を向上することができる。
【0009】
本発明に係るパソコンバッグにおいて、前記付属品収容部は、前記第1ケース部材の背面側壁部に沿うように延びる筒状の空間を有しており、当該付属品収容部の少なくとも一方の端部は開口していることを特徴とする。
【0010】
これにより、本発明に係るパソコンバッグでは、例えば電源アダプタがパソコン付属品として付属品収容部に収納されている場合に、第2ケース部材を第1ケース部材に対して開いた後、電源アダプタが付属品収容部に収納された状態で、電源アダプタのケーブルを付属品収容部の開口から取り出して、電源アダプタをパソコンの電源コネクタや電源コンセントに接続することができる。そのため、パソコンの使用する際に電源アダプタを付属品収容部から取り出す必要がなくなり、パソコンの使用開始時の作業が簡略化される。
【0011】
本発明に係るパソコンバッグにおいて、前記付属品収容部の一端部は開口し且つ前記付属品収容部の他端部は封鎖されていることを特徴とする。
【0012】
これにより、本発明に係るパソコンバッグでは、パソコン付属品が付属品収容部内に収納されてない場合でも、付属品収容部が筒状の空間に維持されやすい。そのため、パソコンの使用が終了した際に、パソコン付属品を付属品収容部内に容易に収納することができる。
【0013】
本発明に係るパソコンバッグにおいて、前記付属品収容部は、開閉可能に構成された開閉部を有していることを特徴とする。
【0014】
これにより、本発明に係るパソコンバッグでは、パソコン付属品を付属品収容部内に収納した後で付属品収容部の開閉部を閉鎖することにより、パソコン及びパソコン付属品を収納して持ち運んでいる際にパソコン付属品が付属品収容部内から出てしまうのを防止することができる。
【0015】
本発明に係るパソコンバッグにおいて、前記第1ケース部材の背面側壁部の外周部に取り付けられる取っ手を備えることを特徴とする。
【0016】
これにより、本発明に係るパソコンバッグでは、パソコン及びパソコン付属品を収納したパソコンバッグを取っ手を持って持ち運ぶ際、パソコン付属品がパソコンより上方に配置された状態で収納空間に収納されているため、パソコンの重量がパソコン付属品に加わることにより、パソコン付属品が破損するのを防止することができる。
【0017】
本発明に係るパソコンバッグにおいて、当該パソコンバッグの厚さは、前記背面側壁部に近接する背面端縁に近づくにつれて厚くなることを特徴とする。
【0018】
これにより、本発明に係るパソコンバッグでは、収納空間内において背面側壁部に近接して配置された付属品収容部内の空間を大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1(a)及び
図1(b)は、本発明の実施形態に係るパソコンバッグの外観を示す斜視図である。
【
図2】
図2(a)は、
図1のパソコンバッグが閉じられた状態の平面図であり、
図2(b)は、
図1のパソコンバッグが開かれた状態の平面図である。
【
図3】
図3(a)は、
図1のパソコンバッグが開かれた状態の斜視図であり、
図3(b)は、
図3(a)の状態からサイドパネルが開かれた状態の斜視図である。
【
図4】
図1のパソコンバッグの左端縁に配置された紐部材を説明する図である。
【
図5】
図1のパソコンバッグの左端縁に配置されたサイドパネルを説明する図である。
【
図6】
図6(a)は、サイドパネルに設けられた支持台が折り畳まれた折り畳み状態を示す斜視図であり、
図6(b)は、サイドパネルに設けられた支持台を示す斜視図である。
【
図8】サイドパネルの下端部において折り畳まれた状態から支持台に変化する動作を説明する図である。
【
図9】パソコンバッグ内に設けられた付属品収納部を説明する図である。
【
図10】第1ケース部材の本体部に設けられた板状部材を説明する図である。
【
図11】第1ケース部材の本体部に設けられた板状部材を説明する図である。
【
図12】パソコンを使用してWEB会議を行うときのパソコンバッグの状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態のパソコンバッグについて、図に基づいて詳細に説明する。
【0021】
本実施形態のパソコンバッグ1は、
図1に示すように、平面視で矩形状を有しており、パソコンを内部に収納可能に構成される。パソコンバッグ1は、第1ケース部材10と、第2ケース部材20とを有しており、それらを対向配置させることにより、第1ケース部材10と第2ケース部材20との間に収納空間60を形成する。第1ケース部材10及び第2ケース部材20は何れも、平面視において矩形状であり、略同一の大きさである。
【0022】
第1ケース部材10と第2ケース部材20とは、1つのファスナ30により開閉可能に接続される。パソコンバッグ1の外周面には、持ち運ぶ際に使用される取っ手31が取り付けられる。なお、本実施形態では、
図2(a)に示すように、第1ケース部材10が第2ケース部材20より下方に配置される状態のパソコンバッグ1を平面視したときに、取っ手31が取り付けられた縁を背面側縁、背面側縁と反対側の縁を正面側縁、正面側縁に対して左側の縁を左端縁、正面側縁に対して右側の縁を右端縁とし、正面側縁に沿った方向を幅方向、その幅方向に垂直な方向を奥行き方向として説明する。すなわち、第1ケース部材10と第2ケース部材20とは、正面側縁、左端縁及び右端縁のそれぞれの全領域と背面側縁の両端部分とが、1つのファスナ30により開閉可能に接続される。
【0023】
図2(b)は、パソコンバッグ1を設置面上に置いて第2ケース部材20を第1ケース部材10に対して開いた状態の平面図を示している。第1ケース部材10は、設置面と略平行に配置される本体部11と、本体部11の外周部から上方に向かって突出する正面側壁部11a、左側壁部11b、右側壁部11c及び背面側壁部11dとを有している。同様に、第2ケース部材20は、第1ケース部材10に対して閉鎖した状態で第1ケース部材10の本体部11と対向する本体部21と、本体部21の外周部から下方に向かって突出する正面側壁部21a、左側壁部21b、右側壁部21c及び背面側壁部21dとを有している。
【0024】
すなわち、パソコンバッグ1において、第1ケース部材10の背面側壁部11dの左端部、左側壁部11b、正面側壁部11a、右側壁部11c、背面側壁部11dの右端部と、第2ケース部材20の背面側壁部21dの左端部、左側壁部21b、正面側壁部21a、右側壁部21c、背面側壁部21dの右端部とが、それぞれ、ファスナ30により開閉可能に接続される。パソコンバッグ1の外観上、ファスナ30が見え難くするように、ファスナ30の裏面が外側に配置されるように取り付けられる。
【0025】
パソコンバッグ1内に収納されたパソコンを使用する場合に、ファスナ30を開放して第2ケース部材20が第1ケース部材10に対して開かれる。パソコンバッグ1の背面側縁の厚さは、
図1(a)に示すように、正面側縁の厚さより厚く、パソコンバッグ1の厚さは、背面側縁に近づくにつれて厚くなる。
【0026】
第1ケース部材10の背面側壁部11dの幅方向中央部分と第2ケース部材20の背面側壁部21dの幅方向中央部分とは、
図1(b)に示すように、幅方向に延びる長方形状の接続部材32により接続される。その接続部材32の外周面の両端部には、取っ手31の両端部がそれぞれ取り付けられる。パソコンバッグ1の背面側縁の右端部において、取っ手31の端部には、
図1(c)に示すように、環状部材33が固定されている。そのため、取っ手31の端部にある環状部材33とファスナ30の把持部30aに取り付けられた環状部材34とを使用すると、図示しない南京錠などにより施錠することができる。
【0027】
図2(b)に示すように、ファスナ30によりパソコンバッグ1の外周部が開放された状態において、第2ケース部材20は、第1ケース部材10の背面側壁部11dに対して回動可能に取り付けられる。具体的には、ファスナ30が開放された後、第2ケース部材20の正面側縁が第1ケース部材10の正面側縁から上方に離れるように、第1ケース部材10の背面側壁部11dを支点として回動可能である。
【0028】
図3及び
図4に示すように、パソコンバッグ1の左端縁及び右端縁には、第2ケース部材20が第1ケース部材10に対して所定角度以上回動しないようにする紐部材35がそれぞれ取り付けられる。すなわち、パソコンバッグ1の左端縁において、紐部材35の一端部は、第1ケース部材10の左側壁部11bに取り付けられ、紐部材35の他端部は、第2ケース部材20の左側壁部21bに取り付けられる。紐部材35の長さは、
図4に示すように、第2ケース部材20が第1ケース部材10に対して所定角度(本実施形態では105度)回動した位置で保持されるように設定される。パソコンバッグ1の右左端縁に取り付けられた紐部材35も同様である。
【0029】
図3に示すように、第2ケース部材20の左側壁部21b及び右側壁部21cには、サイドパネル50がそれぞれ設けられる。第2ケース部材20の左側壁部21bに設けられたサイドパネル50は、
図3(b)に示すように、第2ケース部材20の左側壁部21bより外側に向かって延びる状態となり得るものであり、第2ケース部材20の右側壁部21cに設けられたサイドパネル50は、第2ケース部材20の右側壁部21cより外側に向かって延びる状態となり得るものであり、それらの構成は略同一である。以下、第2ケース部材20の左側壁部21bに設けられたサイドパネル50について詳細に説明する。
【0030】
第2ケース部材20の左側壁部21bに設けられたサイドパネル50は、第2ケース部材20の左側壁部21bに対して回動可能に設けられる。具体的には、サイドパネル50は、
図3(a)に示した第2ケース部材20の本体部21の裏面に沿って配置される第1位置と、
図3(b)に示した第2ケース部材20の左側壁部21bより外側に向かって延びる第2位置との間を、第2ケース部材20の左側壁部21bを支点として回動可能に構成される。
【0031】
すなわち、サイドパネル50が第1位置から第2位置に向かって回動して、サイドパネル50の裏面が第2ケース部材20の左側壁部21bの先端に接触するまで回動すると、サイドパネル50は、それ以上回動しないようになる。本実施形態では、サイドパネル50の裏面と第2ケース部材20の左側壁部21bの先端との接触する部分に図示しない面ファスナがそれぞれ取り付けられており、サイドパネル50の裏面と第2ケース部材20の左側壁部21bの先端とが面ファスナにより接合されるため、サイドパネル50は第2位置に保持される。
図5に示すように、サイドパネル50が第2ケース部材20の左側壁部21bより外側に向かって延びる状態であるとき、サイドパネル50は、第2ケース部材20の本体部21に対して所定角度(本実施形態では150度)傾斜している。
【0032】
サイドパネル50は、例えばカメラ付き携帯端末や資料などを支持するための支持台51を有している。支持台51は、
図6(a)に示すサイドパネル50の表面に沿うように折り畳まれた折り畳み状態と、
図6(b)に示すサイドパネル50の表面から突出する突出状態とを切り替え可能に構成される。すなわち、サイドパネル50が、第2ケース部材20の左側壁部21bより外側に向かって延びる状態であるときに、支持台51を折り畳み状態から突出状態に切り替えると、カメラ付き携帯端末などを支持する支持面52が形成される。
【0033】
支持面52は、サイドパネル50の表面に対して略垂直に形成される。支持台51の支持面52には、支持面52上に配置されたカメラ付き携帯端末の下端に接続されるケーブルを通過させるための切り欠き部52aが形成される。切り欠き部52aは、支持面52の左右方向中央部において、支持面52の先端部からサイドパネル50に向かって凹状に形成される。
【0034】
支持面52の先端部には、支持面52の表面より上方に突出した滑り止め部材53が取り付けられる。そのため、支持面52上に置かれたカメラ付き携帯端末の下端部が正面側に向かって滑って移動しようとしても、携帯端末の下端部が滑り止め部材53に引っ掛かるため、携帯端末が支持面52上から滑って落下するのを防止できる。
【0035】
支持台51の構成について、
図7及び
図8に基づいて詳細に説明する。
【0036】
支持台51が折り畳み状態であるとき、
図7に示すように、サイドパネル50の下端部において、サイドパネル50の表面に沿った板状になる。折り畳まれたサイドパネル50は、サイドパネル50の幅方向に延びる平面部55と、平面部55の下端中央部から下方に延びる平面部56、平面部56の両側において平面部55の下端両端部から下方に延びる2つの平面部57と、平面部56の下端部から下方に延びる平面部58とを有しており、それらは略同一平面状に配置される。2つの平面部57の下端部と平面部58の裏面とが、サイドパネル50に固定されている。
【0037】
平面部55の上端と平面部57の下端との間の長さは、平面部55の上端と平面部58の下端との間の長さと同一である。平面部55の下端と平面部57の上端の境界部分a1(点線で図示)、及び、平面部55の下端と平面部56の上端の境界部分a2(点線で図示)は、それぞれ、折り畳み状態から突出状態に切り替えられる際に山折り線となり、平面部56の下端と平面部58上端の境界部分a3(一点鎖線で図示)は、折り畳み状態から突出状態に切り替えられる際に谷折り線となる。
【0038】
折り畳み状態の支持台51において、
図8(a)に示すように、平面部55及び平面部57は、サイドパネル50の表面にほぼ接触した状態で配置される。その状態から、平面部55の上端をサイドパネル50の表面に沿って押し下げると、
図8(b)に示すように、平面部55の下端がサイドパネル50の表面から離れて、境界部分a1及び境界部分a2が山状に折り曲げられるとともに、境界部分a3が谷状に折り曲げられる。
【0039】
その後、さらに平面部55の上端をサイドパネル50の表面に沿って押し下げると、
図8(c)に示すように、平面部55の裏面と平面部56の裏面とが面接触するようになり、支持台51が突出状態に切り替わる。そのとき、平面部55の表面がサイドパネル50の表面に対して略垂直となる状態で平面部57により支持される。なお、平面部55の裏面と平面部56の裏面とには、図示しない面ファスナが取り付けられており、平面部55の裏面と平面部56の裏面とが面接触した状態で面ファスナにより接合されるため、支持台51は突出状態に保持される。
【0040】
パソコンバッグ1では、第2ケース部材20を第1ケース部材10に対して閉じた状態において、第1ケース部材10と第2ケース部材20との間には、収納空間60として、パソコンを収容するパソコン収容部61と、パソコン付属品を収容する付属品収容部62とが設けられる。パソコン収容部61は、パソコンバッグ1の略中央正面側に設けられ、付属品収容部62は、パソコンバッグ1の背面側縁に沿って設けられる。すなわち、付属品収容部62は、パソコン収容部61よりも第1ケース部材10の背面側壁部11dに近接して配置される。
【0041】
なお、パソコン収容部61は、第2ケース部材20を第1ケース部材10に対して閉じた状態においてパソコンを収容する空間となるが、第2ケース部材20を第1ケース部材10に対して開いた状態においてパソコンを使用する場合、パソコン収容部61は、
図9(a)に示すように、パソコンを載置するパソコン載置部となる。パソコン付属品とは、例えば、パソコンの電源コネクタと電源コンセントとを接続するための電源アダプタ(ケーブルを含む)、パソコンのUSBコネクタに接続されるマウスなどである。
【0042】
付属品収容部62は、第1ケース部材10の背面側壁部11dに沿うように筒状に設けられる。付属品収容部62の長手方向長さ(パソコンバッグ1の幅方向に沿った長さ)は、第1ケース部材10の幅方向長さよりも短い。付属品収容部62の外形は、略直方体形状であり、その長手方向の全長にわたって略矩形断面を有している。付属品収容部62の左端部は、第1ケース部材10の側面側壁部11bに向かって開口しており、付属品収容部の右端部は封鎖されている。
【0043】
付属品収容部62の上面部は、
図9(b)に示すように、その長手方向に沿って設けられたファスナ62aにより開閉可能に構成される。ファスナ62aは、付属品収容部62において開閉可能に構成された開閉部である。付属品収容部62は、伸縮自在なメッシュ状の材料で形成されており、その内部に収納されたパソコン付属品が外部から分かるとともに、付属品収容部62内に収納された電源アダプタやマウスの外形に沿って変形可能である。
【0044】
ファスナ62aの把持部62bを右方向に移動させるとファスナ62aが開放され、把持部62bを左方向に移動させるとファスナ62aが閉じられる。すなわち、付属品収容部62内からパソコン付属品を取り出す際、及び、パソコン付属品を付属品収容部62内へ収納する際に、ファスナ62aが開放されるとともに、パソコン付属品を付属品収容部62内へ収納した後でパソコンバッグを持ち運ぶ際に、ファスナ62aが閉じられる。
【0045】
第1ケース部材10の本体部11の上面には、
図9(a)に示すように、第1ケース部材10の本体部11上に載置されたパソコンの傾斜を調整するための板状部材65が設けられる。板状部材65は、矩形状を有しており、その背面側端部65nが本体部11の上面に固定される。板状部材65の背面側端部65nより正面側部分は、本体部11の上面から離れるように移動可能である。板状部材65の正面側部分の奥行方向中央部に形成された折り曲げ部65aに沿って折り曲げ可能である。
【0046】
また、第1ケース部材10の本体部11の上面には、
図10(a)及び
図11(a)に示すように、板状部材65の背面側端部65nに沿って2つの直線状の係止部66a、66bが設けられる。係止部66a、66bは、本体部11の上面より上方に突出するように形成され、板状部材65の正面側端部を係止するためのものである。係止部66aは、係止部66bよりも正面側に設けられ、係止部66bと比べて板状部材65の背面側端部から離れた位置に設けられる。なお、係止部66a、66bは、滑り止め印刷により形成されてもよい。
【0047】
板状部材65は、
図9(a)に示す第1ケース部材10の本体部11に沿って折り畳まれた折り畳み状態と、
図10及び
図11に示した第1ケース部材10の本体部11から上方に突出した状態とをとり得るように、折り畳み可能に構成される。なお、
図10(b)及び
図11(b)では、第1ケース部材10の本体部11上に載置されたパソコンを一点鎖線で図示している。
【0048】
すなわち、
図9(a)の折り畳み状態から板状部材65の正面側部分が第1ケース部材10の本体部11の上面から離されて、
図10(a)に示すように、折り曲げ部65aにおいて折り曲げながら、板状部材65の正面側端部が係止部66aに係止されると、折り曲げ部65aが第1所定高さに保持される。そのため、板状部材65の正面側端部が係止部66aに係止された状態で、その上方にパソコンが載置されると、
図10(b)に示すように、パソコンの底面の背面側部分が正面側部分より高くなり、パソコンの底面が設置面(水平面)に対して8度傾斜する。
【0049】
同様に、
図9(a)の折り畳み状態から板状部材65の正面側部分が第1ケース部材10の本体部11の上面から離されて、
図11(a)に示すように、折り曲げ部65aにおいて折り曲げながら、板状部材65の正面側端部が係止部66bに係止されると、折り曲げ部65aが第2所定高さに保持される。そのため、板状部材65の正面側端部が係止部66bに係止された状態で、その上方にパソコンが載置されると、
図11(b)に示すように、パソコンの背面側部分が正面側部分より高くなり、パソコンの底面が設置面(水平面)に対して12度傾斜する。
【0050】
係止部66aは、係止部66bと比べて、板状部材65の背面側端部から離れた位置に設けられているため、第1所定高さは、第2所定高さより低くなる。すなわち、板状部材65の正面側端部を、係止部66aまたは係止部66bに係止させることにより、第1ケース部材10の本体部11上に載置されるパソコンの傾斜を2段階で調整可能である。なお、パソコンの傾斜を3以上の段階で調整可能にしてもよい。
【0051】
パソコンバッグ1にパソコンを収納して持ち運んだ後でパソコンを使用する際の動作手順について説明する。
図12(a)は、パソコンを使用してWEB会議を行うときのパソコンバッグ1の状態を示している。
【0052】
まず、パソコンバッグ1の外周に設けられたファスナ30が解放されて、第2ケース部材20が第1ケース部材10に対して開かれる。その後、付属品収容部62に収納された電源アダプタTのケーブルT1及びケーブルT2が、電源アダプタTが付属品収容部62内にある状態で付属品収容部62の左端部の開口から取り出される。電源アダプタTのケーブルT1は電源コンセントに接続されるとともに、ケーブルT2はパソコン80の電源コネクタ80aに接続される。また、付属品収容部62に収納されたマウスが取り出されて、マウスのケーブルがパソコン80のUSBコネクタ80bに接続される。
【0053】
なお、パソコンバッグ1において、第1ケース部材10の正面側壁部11a、左側壁部11b、右側壁部11c及び背面側壁部11dの高さが比較的低く形成されている。そのため、
図12に示すように、パソコン80の底面が第1ケース部材10の本体部11の表面に接触するように載置された場合でも、パソコン80の電源コネクタ80a及びUSBコネクタ80bは、左側壁部11b及び右側壁部11cの上方に配置され、電源アダプタTのケーブルT1、T2やマウスのケーブルを容易に接続することができる。
【0054】
また、第2ケース部材20の左側壁部21b及び右側壁部21cに取り付けられたサイドパネル50が、それぞれ左側壁部21bまたは右側壁部21cを支点として回動されるとともに、サイドパネル50の支持台51が突出状態に切り替えられる。すると、2つのサイドパネル50は、第2ケース部材20の左側壁部21bまたは右側壁部21cより外側に向かって延びる状態となる。
【0055】
引き続き、第1ケース部材10の本体部11上に載置されたパソコン80が開かれるとともに、カメラ付き携帯端末82がパソコン80より左側に配置されたサイドパネル50の支持台51上に置かれる。また、必要に応じて、資料などがパソコン80より右側に配置されたサイドパネル50の支持台51上に置かれる。そのとき、カメラ付き携帯端末82が置かれたサイドパネル50は、パソコン80の正面側を向いているため、カメラ付き携帯端末82のカメラは、パソコン80の正面側を撮影するようになる。
【0056】
このように、サイドパネル50の支持台51上に置かれたカメラ付き携帯端末82のカメラを使用してWEB会議に参加することにより、参加者が自身のパソコン内に保存された資料を見ながらWEB会議に参加することが可能となる。
【0057】
なお、WEB会議が終了してパソコンを使用しなくなる場合、第1ケース部材10の本体部11上に載置されたパソコン80が閉じられるとともに、カメラ付き携帯端末82がサイドパネル50の支持台51から取り除かれる。また、サイドパネル50の支持台51が折り畳まれた後、第2ケース部材20の左側壁部21b及び右側壁部21cに取り付けられたサイドパネル50が、それぞれ左側壁部21bまたは右側壁部21cを支点として回動されて、第2ケース部材20裏面に沿った状態に切り替えられる。
【0058】
その後、電源アダプタTのケーブルT1が電源コンセントから取り外されるとともに、ケーブルT2がパソコン80の電源コネクタ80aから取り外されて、電源アダプタTのケーブルT1及びケーブルT2がまとめられて付属品収容部62に収納される。また、マウス及びそのケーブルが付属品収容部62に収納される。引き続き、第2ケース部材20が第1ケース部材10に対して閉じられて、パソコンバッグ1の外周に設けられたファスナ30が閉じられると、パソコンバッグ1は、持ち運び可能な状態となる。
【0059】
以上説明したように、本実施形態のパソコンバッグ1は、第1ケース部材10と第2ケース部材20とが対向配置して収納空間を形成するパソコンバッグであって、第2ケース部材20は、第1ケース部材10の背面側壁部11dに対して回動可能に取り付けられており、収納空間60には、パソコンを収容するパソコン収容部61と、パソコン収容部61よりも第1ケース部材10の背面側壁部11dに近接して配置され、パソコン付属品を収容する付属品収容部62とが設けられる。
【0060】
このような構成であると、パソコンを収容するパソコン収容部61とパソコン付属品を収容する付属品収容部62とが積層されていないため、パソコンバッグ1の厚さが著しく増大することはない。そのため、パソコンバッグ1のデザイン性を向上することができる。
【0061】
また、第2ケース部材20を第1ケース部材10に対して開いた状態でパソコンを使用するように構成されたパソコンバッグにおいて、例えばパソコン付属品を収容する付属品収容部62が第2ケース部材20の外周面に設けられている場合、付属品収容部62内に収容されたパソコン付属品の重量により、第2ケース部材20を第1ケース部材10に対して開いた状態で第2ケース部材20側に倒れることが考えられる。これに対して、本実施形態のパソコンバッグ1では、パソコン付属品を収容する付属品収容部62が、第1ケース部材10の背面側壁部11dに近接して配置されており、付属品収容部62内に収容されたパソコン付属品の重量により、第2ケース部材20を第1ケース部材10に対して開いた状態で第2ケース部材20側に倒れるのを防止することができる。
【0062】
本実施形態のパソコンバッグ1において、付属品収容部62は、第1ケース部材10の背面側壁部11dに沿うように延びる筒状の空間を有しており、付属品収容部62の左側端部は開口している。
【0063】
このような構成であると、例えば電源アダプタがパソコン付属品として付属品収容部62に収納されている場合に、第2ケース部材20を第1ケース部材10に対して開いた後、電源アダプタが付属品収容部62に収納された状態で、電源アダプタTのケーブルT1、T2を付属品収容部62の開口から取り出して、電源アダプタTをパソコンの電源コネクタ80aや電源コンセントに接続することができる。そのため、パソコンの使用する際に電源アダプタTを付属品収容部62から取り出す必要がなくなり、パソコンの使用開始時の作業が簡略化される。また、一般的に、パソコン80(ノートパソコンなど)における電源アダプタT(ACアダプタ)のケーブルT2が接続される電源コネクタ80aは、パソコン80の左右側面のどちらか一方の後方に設けられているため、電源アダプタTの収納を予定している付属品収納部62を第1ケース部材10の背面側壁部11dに近接して配置することにより、比較的短い長さの電源アダプタTのケーブルT2を付属品収納部62から取り出すだけで電源コネクタ80aに接続することができる。
【0064】
本実施形態のパソコンバッグ1において、付属品収容部62の左側端部は開口し且つ付属品収容部62の右側端部は封鎖されている。
【0065】
このような構成であると、パソコン付属品が付属品収容部62内に収納されてない場合でも、付属品収容部62が筒状の空間に維持されやすい。そのため、パソコンの使用が終了した際に、パソコン付属品を付属品収容部62内に容易に収納することができる。
【0066】
本実施形態のパソコンバッグ1において、付属品収容部62は、開閉可能に構成されたファスナ62aを有している。
【0067】
このような構成であると、パソコン付属品を付属品収容部62内に収納した後で付属品収容部62のファスナ62aを閉鎖することにより、パソコン及びパソコン付属品を収納して持ち運んでいる際にパソコン付属品が付属品収容部62内から出てしまうのを防止することができる。
【0068】
本実施形態のパソコンバッグ1において、第1ケース部材10の背面側壁部11dの外周部に取り付けられる取っ手31を備える。
【0069】
このような構成であると、パソコン及びパソコン付属品を収納したパソコンバッグ1を取っ手31を持って持ち運ぶ際、パソコン付属品がパソコンより上方に配置された状態で収納空間60に収納されているため、パソコンの重量がパソコン付属品に加わることにより、パソコン付属品が破損するのを防止することができる。
【0070】
本実施形態のパソコンバッグ1において、その厚さは、背面側壁部11dに近接する背面端縁に近づくにつれて厚くなる。
【0071】
このような構成であると、収納空間60内において背面側壁部11dに近接して配置された付属品収容部62内の空間を大きくすることができる。
【0072】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本実施形態の構成は上述したものに限定されず、種々の変形が可能である。
【0073】
例えば、上記実施形態では、付属品収容部62の左側端部が開口し且つ付属品収容部62の右側端部は封鎖されているが、それに限れない。例えば、付属品収容部62の左側端部及び右側端部の両方が開口していてもよいし、付属品収容部62の右側端部が開口し且つ付属品収容部62の左側端部は封鎖されてもよい。また、付属品収容部62の上面部が開閉可能に構成されている場合、付属品収容部62の左側端部及び右側端部の両方が封鎖されていてもよい。
【0074】
上記実施形態では、付属品収容部62の上面部が開閉可能に構成されているが、それに限れない。例えば、付属品収容部62の上面部以外の部分が開閉可能に構成されてもよい。また、付属品収容部62は、常に開放されており、開閉可能に構成された開閉部を有しないものでもよい。また、付属品収容部62が開閉可能に構成された開閉部を有する場合において、その開閉部は、ファスナ62a以外の方法で開閉可能に構成されてもよい。
【0075】
上記実施形態では、パソコンバッグ1が、第1ケース部材10の背面側壁部11dの外周部に取り付けられる取っ手31を有しているが、それに限れない。例えば、パソコンバッグ1において、取っ手31は、第1ケース部材10の背面側壁部11d以外の外周部に取り付けられてもよい。
【0076】
上記実施形態では、パソコンバッグ1の厚さが背面端縁に近づくにつれて厚くなるが、それに限れない。例えば、パソコンバッグ1の厚さが、正面端縁から背面端縁にわたって同一の厚さでもよい。
【0077】
その他の構成も、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0078】
1 パソコンバッグ
10 第1ケース部材
11d 背面側壁部
20 第2ケース部材
31 取っ手
60 収納空間
61 パソコン収容部
62 付属品収容部