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特開2022-85440電子機器、電子機器の制御方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022085440
(43)【公開日】2022-06-08
(54)【発明の名称】電子機器、電子機器の制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01S 13/34 20060101AFI20220601BHJP
   G01S 13/931 20200101ALI20220601BHJP
【FI】
G01S13/34
G01S13/931
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020197127
(22)【出願日】2020-11-27
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100132045
【弁理士】
【氏名又は名称】坪内 伸
(72)【発明者】
【氏名】村上 洋平
(72)【発明者】
【氏名】川路 聡
(72)【発明者】
【氏名】佐東 将行
(72)【発明者】
【氏名】錦戸 正光
【テーマコード(参考)】
5J070
【Fターム(参考)】
5J070AB17
5J070AB24
5J070AC02
5J070AC06
5J070AC13
5J070AD05
5J070AD09
5J070AD13
5J070AE01
5J070AE07
5J070AE09
5J070AF03
5J070AF04
5J070AF05
5J070AF06
5J070AH31
5J070AH35
5J070AK01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】物体を広範囲に良好な精度で検出し得る電子機器、電子機器の制御方法、及びプログラムを提供する。
【解決手段】電子機器1は、第1センサ5a及び第2センサ5bを備える。第1センサ5a及び第2センサ5bのそれぞれは、送信波を送信する送信アンテナと、送信波が反射された反射波を受信する受信アンテナと、送信波として送信される送信信号及び反射波として受信される受信信号に基づいて、送信波を反射する物体を検出する制御部と、を備える。第1センサ5a及び第2センサ5bは、互いに平行でない向きに配置される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1センサ及び第2センサを備える電子機器であって、
前記第1センサ及び前記第2センサのそれぞれは、
送信波を送信する送信アンテナと、
前記送信波が反射された反射波を受信する受信アンテナと、
前記送信波として送信される送信信号及び前記反射波として受信される受信信号に基づいて、前記送信波を反射する物体を検出する制御部と、
を備え、
前記第1センサ及び前記第2センサは、互いに平行でない向きに配置される、電子機器。
【請求項2】
前記第1センサ及び前記第2センサは、互いに所定の角度をなす向きに配置される、請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記第1センサは第1の斜面に配置され、前記第2センサは前記第1の斜面と異なる第2の斜面に配置される、請求項1又は2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記第1センサが配置される面及び前記第2センサが配置される面は、同じ稜線を有する2つの斜面をなす、請求項1から3のいずれかに記載の電子機器。
【請求項5】
前記第1センサ及び前記第2センサは、互いに近傍に配置される、請求項1から4のいずれかに記載の電子機器。
【請求項6】
前記第1センサ及び前記第2センサによって前記物体を検出可能な角度が180°よりも大きい、請求項1から5のいずれかに記載の電子機器。
【請求項7】
前記第1センサが配置される面及び前記第2センサが配置される面のそれぞれは、それぞれの面に平行なカバー部材によって覆われる、請求項1から6のいずれかに記載の電子機器。
【請求項8】
前記第1センサと前記第2センサとは電気的に接続される、請求項1から7のいずれかに記載の電子機器。
【請求項9】
前記第1センサは、前記第2センサによる送信波の送信を制御する、請求項1から8のいずれかに記載の電子機器。
【請求項10】
前記第1センサは、前記第2センサが送信する送信波の送信タイミングを制御する、請求項9に記載の電子機器。
【請求項11】
前記第1センサは、前記第1センサが送信する送信波の周波数と、前記第2センサが送信する送信波の周波数とが異なるように制御する、請求項9に記載の電子機器。
【請求項12】
互いに平行でない向きに配置される第1センサ及び第2センサを備える電子機器の制御方法であって、
前記第1センサ及び前記第2センサのそれぞれにおいて、
送信波を送信アンテナによって送信するステップと、
前記送信波が反射された反射波を受信アンテナによって受信するステップと、
前記送信波として送信される送信信号及び前記反射波として受信される受信信号に基づいて、前記送信波を反射する物体を検出するステップと、
を含む、電子機器の制御方法。
【請求項13】
互いに平行でない向きに配置される第1センサ及び第2センサを備える電子機器に、
前記第1センサ及び前記第2センサのそれぞれにおいて、
送信波を送信アンテナによって送信するステップと、
前記送信波が反射された反射波を受信アンテナによって受信するステップと、
前記送信波として送信される送信信号及び前記反射波として受信される受信信号に基づいて、前記送信波を反射する物体を検出するステップと、
を実行させる、プログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子機器、電子機器の制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば自動車に関連する産業などの分野において、自車両と所定の物体との間の距離などを測定する技術が重要視されている。特に、近年、ミリ波のような電波を送信し、障害物などの物体に反射した反射波を受信することで、物体との間の距離などを測定するレーダ(RADAR(Radio Detecting and Ranging))の技術が、種々研究されている。このような距離などを測定する技術の重要性は、運転者の運転をアシストする技術、及び、運転の一部又は全部を自動化する自動運転に関連する技術の発展に伴い、今後ますます高まると予想される。
【0003】
また、送信された電波が物体に反射した反射波を受信することで、当該物体の存在を検出する技術について、種々の提案がされている。例えば、送信波を送信して反射波を受信するセンサの正面方向のみならず、より広い角度の範囲から到来する反射波を受信することで、比較的広い範囲における物体を検出する技術が研究されている。例えば特許文献1は、広角範囲における方位を検出するレーダ装置を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-121959号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
送信された送信波が物体に反射した反射波を受信することにより当該物体を検出する技術において、物体を広範囲に良好な精度で検出可能にすることが望ましい。
【0006】
本開示の目的は、物体を広範囲に良好な精度で検出し得る電子機器、電子機器の制御方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態に係る電子機器は、第1センサ及び第2センサを備える。
前記第1センサ及び前記第2センサのそれぞれは、
送信波を送信する送信アンテナと、
前記送信波が反射された反射波を受信する受信アンテナと、
前記送信波として送信される送信信号及び前記反射波として受信される受信信号に基づいて、前記送信波を反射する物体を検出する制御部と、
を備える。
前記第1センサ及び前記第2センサは、互いに所定の角度をなす向きに配置される。
【0008】
一実施形態に係る電子機器の制御方法は、
互いに平行でない向きに配置される第1センサ及び第2センサを備える電子機器の制御方法である。
前記方法は、
前記第1センサ及び前記第2センサのそれぞれにおいて、
送信波を送信アンテナによって送信するステップと、
前記送信波が反射された反射波を受信アンテナによって受信するステップと、
前記送信波として送信される送信信号及び前記反射波として受信される受信信号に基づいて、前記送信波を反射する物体を検出するステップと、
を含む。
【0009】
一実施形態に係るプログラムは、
互いに平行でない向きに配置される第1センサ及び第2センサを備える電子機器に、
前記第1センサ及び前記第2センサのそれぞれにおいて、
送信波を送信アンテナによって送信するステップと、
前記送信波が反射された反射波を受信アンテナによって受信するステップと、
前記送信波として送信される送信信号及び前記反射波として受信される受信信号に基づいて、前記送信波を反射する物体を検出するステップと、
を実行させる。
【発明の効果】
【0010】
一実施形態によれば、物体を広範囲に良好な精度で検出し得る電子機器、電子機器の制御方法、及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施形態に係るセンサの使用態様を説明する図である。
図2】一実施形態に係るセンサの特性を説明する図である。
図3】一実施形態に係る電子機器の外観を概略的に例示する図である。
図4図3に示す電子機器のA-A’断面図である。
図5】一実施形態に係る電子機器の機能を説明する図である。
図6】一実施形態に係る電子機器の構成を概略的に示す機能ブロック図である。
図7図6に示す電子機器の一部の構成をより詳細に示す機能ブロック図である。
図8】一実施形態に係る電子機器の変形例を説明する図である
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
一実施形態に係る電子機器は、例えば自動車などのような乗り物(移動体)に搭載されることで、当該移動体の周囲に存在する所定の物体をターゲットとして検出することができる。このために、一実施形態に係る電子機器は、移動体に設置した送信アンテナから、移動体の周囲に送信波を送信することができる。また、一実施形態に係る電子機器は、移動体に設置した受信アンテナから、送信波が反射された反射波を受信することができる。送信アンテナ及び受信アンテナの少なくとも一方は、例えば移動体に設置されたレーダセンサ等に備えられてもよい。
【0014】
以下、典型的な例として、一実施形態に係る電子機器が、乗用車のような自動車に搭載される構成について説明する。しかしながら、一実施形態に係る電子機器が搭載されるのは、自動車に限定されない。一実施形態に係る電子機器は、自動運転自動車、バス、トラック、タクシー、オートバイ、自転車、船舶、航空機、ヘリコプター、トラクターなどの農作業装置、除雪車、清掃車、パトカー、救急車、及びドローンなど、種々の移動体に搭載されてよい。また、一実施形態に係る電子機器が搭載されるのは、必ずしも自らの動力で移動する移動体にも限定されない。例えば、一実施形態に係る電子機器が搭載される移動体は、トラクターにけん引されるトレーラー部分などとしてもよい。一実施形態に係る電子機器は、センサ及び所定の物体の少なくとも一方が移動し得るような状況において、センサと物体との間の距離などを測定することができる。また、一実施形態に係る電子機器は、センサ及び物体の双方が静止していても、センサと物体との間の距離などを測定することができる。また、本開示に含まれる自動車は、全長、全幅、全高、排気量、定員、又は積載量などによって限定されるない。例えば、本開示の自働車には、排気量が660ccより大きい自動車、及び排気量が660cc以下の自動車、いわゆる軽自動車なども含まれる。また、本開示に含まれる自動車は、エネルギーの一部若しくは全部に電気を利用し、モータを利用する自動車も含まれる。
【0015】
まず、一実施形態に係る電子機器に備えられるセンサによる物体の検出の例を説明する。
【0016】
図1は、一実施形態に係る電子機器に備えられるセンサの使用態様を説明する図である。図1は、一実施形態に係る送信アンテナ及び受信アンテナを備えるセンサを、移動体に設置した例を示している。
【0017】
図1に示す移動体100には、一実施形態に係る送信アンテナ及び受信アンテナを備えるセンサ5が設置されている。また、図1に示す移動体100は、一実施形態に係る電子機器1を搭載(例えば内蔵)しているものとする。電子機器1の具体的な構成については後述する。センサ5は、例えば送信アンテナ及び受信アンテナを少なくとも11本備えるものとしてよい。また、センサ5は、電子機器1に含まれる制御部10(図2)の少なくとも一部など、他の機能部の少なくともいずれかを、適宜含んでもよい。図1に示す移動体100は、乗用車のような自動車の車両としてよいが、任意のタイプの移動体としてよい。図1において、移動体100は、例えば図に示すY軸正方向(進行方向)に移動(走行又は徐行)していてもよいし、他の方向に移動していてもよいし、また移動せずに静止していてもよい。
【0018】
図1に示す移動体100には、送信アンテナを備えるセンサ5が設置されている。図1に示す例において、送信アンテナ及び受信アンテナを備えるセンサ5は、移動体100の前方に1つだけ設置されている。ここで、センサ5が移動体100に設置される位置は、図1に示す位置に限定されるものではなく、適宜、他の位置としてもよい。例えば、図1に示すようなセンサ5を、移動体100の左側、右側、及び/又は、後方などに設置してもよい。また、このようなセンサ5の個数は、移動体100における測定の範囲及び/又は精度など各種の条件(又は要求)に応じて、1つ以上の任意の数としてよい。センサ5は、移動体100の内部に設置されているとしてもよい。移動体100の内部とは、例えばバンパー内の空間、ボディ内の空間、ヘッドライト内の空間、車室内又は運転スペースの空間などでよい。
【0019】
センサ5は、送信アンテナから送信波として電磁波を送信する。例えば移動体100の周囲に所定の物体(例えば図1に示す物体200)が存在する場合、センサ5から送信された送信波の少なくとも一部は、当該物体によって反射されて反射波となる。そして、このような反射波を例えばセンサ5の受信アンテナによって受信することにより、移動体100に搭載された電子機器1は、当該物体をターゲットとして検出することができる。
【0020】
送信アンテナを備えるセンサ5は、典型的には、電波を送受信するレーダ(RADAR(Radio Detecting and Ranging))センサとしてよい。しかしながら、センサ5は、レーダセンサに限定されない。一実施形態に係るセンサ5は、例えば光波によるLIDAR(Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)の技術に基づくセンサとしてもよい。RADAR及びLIDARのような技術は既に知られているため、詳細な説明は、適宜、簡略化又は省略することがある。
【0021】
図1に示す移動体100に搭載された電子機器1は、センサ5の送信アンテナから送信された送信波の反射波を受信アンテナから受信する。このようにして、電子機器1は、移動体100から所定の距離内に存在する所定の物体200をターゲットとして検出することができる。例えば、図1に示すように、電子機器1は、自車両である移動体100と所定の物体200との間の距離Lを測定することができる。また、電子機器1は、自車両である移動体100と所定の物体200との相対速度も測定することができる。さらに、電子機器1は、所定の物体200からの反射波が、自車両である移動体100に到来する方向(到来角θ)も測定することができる。
【0022】
ここで、物体200とは、例えば移動体100に隣接する車線を走行する対向車、移動体100に並走する自動車、及び移動体100と同じ車線を走行する前後の自動車などの少なくともいずれかとしてよい。また、物体200とは、オートバイ、自転車、ベビーカー、歩行者などの人間、動物、昆虫その他の生命体、ガードレール、中央分離帯、道路標識、歩道の段差、壁、マンホール、又は障害物など、移動体100の周囲に存在する任意の物体としてよい。さらに、物体200は、移動していてもよいし、停止していてもよい。例えば、物体200は、移動体100の周囲に駐車又は停車している自動車などとしてもよい。本開示において、センサ5が検出する物体は、無生物の他に、人又は動物などの生物も含む。本開示のセンサ5が検出する物体は、レーダ技術により検知される、人、物、及び動物などを含む物標を含む。
【0023】
図1において、センサ5の大きさと、移動体100の大きさとの比率は、必ずしも実際の比率を示すものではない。また、図1において、センサ5は、移動体100の外部に設置した状態を示してある。しかしながら、一実施形態において、センサ5は、移動体100の各種の位置に設置してよい。例えば、一実施形態において、センサ5は、移動体100のバンパーの内部に設置して、移動体100の外観に現れないようにしてもよい。
【0024】
以下、典型的な例として、センサ5の送信アンテナは、ミリ波(30GHz以上)又は準ミリ波(例えば20GHz~30GHz付近)などのような周波数帯の電波を送信するものとして説明する。例えば、センサ5の送信アンテナは、77GHz~81GHzのように、4GHzの周波数帯域幅を有する電波を送信してもよい。また、センサ5の送信アンテナは、57GHz~64GHz、76GHz~77GHz、134GHz~141GHzなどの周波数帯域幅を有する電波を送信してもよい。
【0025】
後述のように、センサ5は、送信波を送信する送信アンテナ及び反射波を受信する受信アンテナを備える。また、後述のように、センサ5は、複数の送信アンテナ及び複数の受信アンテナ(例えばパッチアンテナ)を備えるものとしてよい。以下、図1に示すように、例えばセンサ5を基準として角度θが0°になる方向を、「センサの正面方向」とも記す。ここで、センサの正面方向とは、例えばセンサにおいて複数のアンテナが配置される面に垂直な方向としてよい。
【0026】
図2は、図1に示したセンサ5のような装置によって種々の角度に送信波を送信して反射波を受信した際の電波強度の一例を示すグラフである。図2に示す横軸は、図1に示す角度θ(単位は[°])に対応するものとしてよい。図2に示す縦軸は、利得(絶対利得)を示している(単位は[dBi])。図2は、横軸に示す角度θの方向に送信された送信波の反射波を受信した際の電波強度を示している。
【0027】
図2に示すように、センサの正面方向(角度0°)からの角度が広がる領域において、反射波の受信強度が小さくなる。特に、角度が60°以上の領域及び-60°以下の領域において、反射波の受信強度は顕著に小さくなる。これは、通常、センサの正面方向に対する広がりが大きくなる広角の範囲からの到来波ほど、アンテナ素子間における位相差が小さくなるためである。このように、一般的なレーダ技術に基づく物体の方位検出においては、広角の範囲における到来波の受信強度が小さくなる。このため、広角の範囲における物体の検出精度は低下する。上述の特許文献1において、このような課題に対処しようとする提案をしている。しかしながら、平面上にアンテナが配置される構成においては、水平方向に180°以上の角度(すなわち図1及び図2において角度が90°以上又は-90°以下)になると、反射波の受信強度は顕著に小さくなることは避けられない。特に、アンテナが平面上に設置される場合、アンテナの利得が低下するという事情もある。このため、広角の範囲における物体の検出精度は低下し得る。上述のような課題に対処すべく、一実施形態に係る電子機器は、複数のアンテナを、同一平面を構成しない複数の平面上に配置する。
【0028】
図3は、一実施形態に係る電子機器の外観を示す図である。
【0029】
図3に示すように、一実施形態に係る電子機器1は、外観上、カバー部材60によって少なくとも一部が覆われるようにしてよい。図3に示す電子機器1は、例えば、X-Z平面に平行な底面部を除く外観の全てがカバー部材60によって覆われるように構成してよい。一実施形態において、電子機器1は、X-Z平面に平行な底面部を含む外観の全てがカバー部材60によって覆われるように構成してもよい。図3に示すX軸、Y軸、及びZ軸は、それぞれ、図1に示すX軸、Y軸、及びZ軸と同じ方向を示すものとしてよい。
【0030】
カバー部材60は、例えば樹脂などで構成してよい。カバー部材60は、電子機器1が送信する送信波及び電子機器1が受信する反射波を透過する素材で構成してよい。また、カバー部材60は、所定の誘電率を有する素材で構成してもよい。カバー部材60は、電子機器1の筐体を構成するものとしてもよいし、電子機器1のレドームを構成するものとしてもよい。
【0031】
図3に示す電子機器1は、カバー部材60の内部において、第1センサ5a及び第2センサ5bを備えている。このため、図3において、第1センサ5a及び第2センサ5bは破線で示してある。カバー部材60は、所定の剛性を有する素材で構成することにより、内部の第1センサ5a及び第2センサ5bを例えば外部からの衝撃などから保護する機能を備えてもよい。第1センサ5aは、図1及び/又は図2に示したセンサ5と同様のものとしてよい。第2センサ5bも、図1及び/又は図2に示したセンサ5と同様のものとしてよい。第1センサ5a及び第2センサ5bは、少なくとも一部の仕様が同じものとしてもよいし、少なくとも一部の仕様が異なるものとしてもよい。以下、第1センサ5aと第2センサ5bとを特に区別しない場合、単に「センサ5」と記すことがある。
【0032】
センサ5は、図3に示すように、四辺形状の板状の部材としてもよいし、他の形状としてもよい。センサ5は、送信アンテナ及び受信アンテナを含む。センサ5は、送信アンテナから送信される送信波及び受信アンテナから受信する受信波に基づいて、電子機器1の周囲の物体を検出することができる。センサ5のより詳細な構成については、さらに後述する。
【0033】
図4は、図3に示した電子機器1のA-A’断面を示す図である。図4に示すX軸、Y軸、及びZ軸は、それぞれ、図3に示すX軸、Y軸、及びZ軸と同じ方向を示すものとしてよい。
【0034】
図4に示すように、電子機器1は、カバー部材60の内部において、第1センサ5a及び第2センサ5bを備えている。図4に示すように、電子機器1は、例えば、カバー部材60とは別の部材として、カバー底面部62を備えてもよい。この場合、カバー底面部62は、電子機器1のX-Z平面に平行な底面部を構成するものとしてよい。また、一実施形態において、電子機器1は、カバー底面部62をも含む(又はカバー底面部62と一体化した)カバー部材60を備えてもよい。カバー底面部62は、例えば樹脂などで構成してよいし、金属板又は所定の基板などで構成してもよい。
【0035】
図4に示すように、電子機器1は、カバー部材60の内部と、第1センサ5a及び第2センサ5bとの間に、スペーサ64を介在させてもよい。図4に示すように、複数のスペーサ64の厚さがほぼ同じになるように構成することにより、第1センサ5a及び第2センサ5bと、カバー部材60との間を所定の間隔に維持することができる。
【0036】
第1センサ5aは、例えば、支持部66a及び66cによって支持されてもよい。同様に、第2センサ5bは、例えば、支持部66b及び66cによって支持されてもよい。支持部66a、66b、及び66cは、それぞれ、例えば樹脂又は金属のような、第1センサ5a及び第2センサ5bを支持することが可能な程度の剛性を有する素材で構成してよい。ここで、支持部66aの高さ(Y軸方向の長さ)と支持部66cの高さ(Y軸方向の長さ)とを異ならせることにより、第1センサ5aは、カバー底面部62に対して所定の角度傾斜した状態で支持される。同様に、支持部66bの高さ(Y軸方向の長さ)と支持部66cの高さ(Y軸方向の長さ)とを異ならせることにより、第2センサ5bは、カバー底面部62に対して所定の角度傾斜した状態で支持される。また、支持部66aの高さ(Y軸方向の長さ)と支持部66bの高さ(Y軸方向の長さ)とを同じにすることにより、第1センサ5a及び第2センサ5bは、それぞれ対称的に同じ角度傾斜した状態で支持される。
【0037】
上述の構成においては、第1センサ5a及び第2センサ5bが、支持部66a、66b、及び66cによって支持される構成を説明した。しかしながら、一実施形態に係る電子機器1は、このような構成に限定されない。例えば、カバー部材60の内部において、第1センサ5aは、支持板68aによって支持されるようにしてもよい。この場合、支持板68aは、支持部66a及び66cによって支持されてもよい。同様に、カバー部材60の内部において、第2センサ5bは、支持板68bによって支持されるようにしてもよい。この場合、支持板68bは、支持部66b及び66cによって支持されてもよい。
【0038】
図4に示すように、第1センサ5a及び第2センサ5bは、例えば隣接する異なる斜面に配置されてよい。すなわち、第1センサ5aは第1の斜面(支持板68a)に配置され、第2センサ5bは第1の斜面(支持板68a)と異なる第2の斜面(支持板68b)に配置されてもよい。この場合、図4に示すように、支持板68a及び支持板68bは、例えば支持部66cによって支持される部分を同じ稜線とする2つの斜面をなすものとしてもよい。このように、第1センサ5aが配置される面(支持板68a)及び第2センサ5bが配置される面(支持板68b)は、同じ稜線を有する2つの斜面をなすものとしてもよい。また、図4に示すように、第1センサ5a及び第2センサ5bは、互いに近傍に配置されてもよい。さらに、第1センサ5aが配置される面(支持板68a)及び前記第2センサ5bが配置される面(支持板68b)のそれぞれは、それぞれの面(68a,68b)に平行なカバー部材60によって覆われるようにしてもよい。
【0039】
図5は、一実施形態に係る電子機器1において、第1センサ5a及び第2センサ5bの配置の例を示す図である。図5は、図4に示した部材のうち、第1センサ5a及び第2センサ5bの配置のみを示した図である。すなわち、図5に示す第1センサ5a及び第2センサ5bは、図4に示す第1センサ5a及び第2センサ5bの配置を示している。以下、図4に示すY軸の正方向を、「電子機器1の正面方向」とも記す。すなわち、電子機器1の正面方向とは、図5に示す角度0°の方向を示す。
【0040】
図5において、第1センサ5aの正面方向を方向Danにより示し、第2センサ5bの正面方向を方向Dbnにより示してある。上述のように、センサ5の正面方向とは、センサ5において複数のアンテナが配置される面に直交する方向としてよい。
【0041】
図5に示すように、第1センサ5aの正面方向Danは、電子機器1の正面方向(角度0°の方向)から反時計回りに角度φa回転させた方向にある。すなわち、第1センサ5aの正面方向Danと電子機器1の正面方向(角度0°の方向)とのなす角の大きさは、φaになる。また、図5に示すように、第2センサ5bの正面方向Dbnは、電子機器1の正面方向(角度0°の方向)から時計回りに角度φb回転させた方向にある。すなわち、第2センサ5bの正面方向Dbnと電子機器1の正面方向(角度0°の方向)とのなす角の大きさは、φbになる。一実施形態に係る電子機器1において、角度φaの大きさと角度φbの大きさとは、同じとしてもよいし、異なるものとしてもよい。また、角度φa又は角度φbの少なくとも一方の大きさは、例えば30°とするなど、任意の角度を設定してよい。
【0042】
図5に示すように、第1センサ5a及び第2センサ5bは、同一平面ではない2つの面に配置されることにより、互いに異なる方向を向く。このように、第1センサ5a及び第2センサ5bは、互いに平行でない向きに配置されてよい。すなわち、第1センサ5a及び第2センサ5bは、互いに所定の角度(例えば図5に示すφa+φb)をなす向きに配置されてもよい。
【0043】
次に、一実施形態に係る電子機器1によって物体を検出可能な範囲について説明する。
【0044】
図5に示すように、第1センサ5aによって物体を検出可能な角度範囲を、例えば範囲Taとする。また、第2センサ5bによって物体を検出可能な角度範囲を、例えば範囲Tbとする。図5において、第1センサ5a及び第2センサ5bの大きさと、範囲Ta及び範囲Tbの大きさとは、必ずしも現実の比率を示すものではない。また、第1センサ5a及び第2センサ5bの形状、並びに範囲Ta及び範囲Tbの形状は、図5に示すものに限定されない。
【0045】
図5に示すように、第1センサ5aによって物体を検出可能な角度範囲Taは、180°に満たない。同様に、第2センサ5bによって物体を検出可能な角度範囲Tbも、180°に満たない。上述のように、センサの正面方向(方向Dan又は方向Dbn)からの角度が広がる領域において、反射波の受信強度は小さくなり、広角の範囲における物体の検出精度は低下する。すなわち、第1センサ5aは、方向Danから±90°の角度付近において、物体の検出精度が低下する。同様に、第2センサ5bは、方向Dbnから±90°の角度付近において、物体の検出精度が低下する。しかしながら、一実施形態に係る電子機器1は、第1センサ5a及び第2センサ5bを備えることにより、物体を検出可能な角度範囲を範囲Ta及び範囲Tbの合成とすることができる。したがって、一実施形態に係る電子機器1は、物体を検出可能な角度範囲を、180°を超える範囲とすることもできる。
【0046】
このように、一実施形態に係る電子機器1において、第1センサ5a及び第2センサ5bによって、送信波Tを反射する物体を検出可能な角度が180°よりも大きくなるようにしてもよい。一実施形態に係る電子機器1によれば、角度が180°を超えるような広角の範囲においても、物体の検出精度を低下させないようにし得る。したがって、一実施形態に係る電子機器1によれば、物体を広範囲に良好な精度で検出することができる。また、一実施形態に係る電子機器1によれば、例えば移動体に設置される際に設置位置などに制約がある場合であっても、物体検出の死角を軽減することが期待できる。
【0047】
図5に示す第1センサ5a及び第2センサ5bを備える電子機器1は、同じ時刻に同じ周波数で電波を送信及び/又は受信しすると、範囲Ta及び範囲Tbの重複部分において干渉が生じ得る。したがって、電子機器1は、第1センサ5a及び第2センサ5bの一方又は両方を制御して、範囲Ta及び範囲Tbの重複部分において同じ時刻に同じ周波数で電波が送信及び/又は受信されないように制御してもよい。
【0048】
例えば、第1センサ5a及び第2センサ5bが同じ周波数の電波を送信する場合、第1センサ5a及び第2センサ5bの少なくとも一方の送信波のビームの方向を制御することにより、範囲Ta及び範囲Tbの重複部分が狭くなる又はなくなるようにしてもよい。また、第1センサ5a及び第2センサ5bが範囲Ta及び範囲Tbの重複部分に電波を送信する場合、送信波の周波数がそれぞれ異なるようにしてもよい。このようにすれば、範囲Ta及び範囲Tbの重複部分において、第1センサ5a及び第2センサ5bによる検出結果を重畳させることもできる。さらに、第1センサ5a及び第2センサ5bが範囲Ta及び範囲Tbの重複部分に電波を送信する場合、空間的に(図4に示すZ軸方向に)重複しないように電波を送信してもよい。以上の少なくともいずれかの措置によって、範囲Ta及び範囲Tbの重複部分における電波干渉を回避又は低減することができる。
【0049】
次に、一実施形態に係る電子機器1を、機能及び/又は動作の観点から、さらに説明する。
【0050】
図6は、一実施形態に係る電子機器1の構成を概略的に示す機能ブロック図である。
【0051】
図6に示すように、一実施形態に係る電子機器1は、第1センサ5a及び第2センサ5bを備えている。図6に示すように、第1センサ5aと第2センサ5bとは電気的に接続されてよい。このような接続により、一実施形態に係る電子機器1において、第1センサ5a及び第2センサ5bのうち一方のセンサが他方のセンサを制御してもよい。例えば、第1センサ5a及び第2センサ5bの一方を主センサとして、他方を副センサとしてもよい。この場合、例えば、主センサが副センサの動作を制御してもよい。
【0052】
例えば、図6に示すように、第1センサ5aは、送信制御部28を備えてもよい。そして、第1センサ5aの送信制御部28は、第2センサ5bに電気的に接続されてよい。この場合、送信制御部28は、第1センサ5aによる送信波の送信を制御するのみならず、第2センサ5bによる送信波の送信も制御してよい。すなわち、第2センサ5bによる送信波の送信を第1センサ5aによって制御する場合、第1センサ5aが備える送信制御部28が、第2センサ5bによる送信波の送信を制御してよい。この場合、第1センサ5aの送信制御部28は、例えば、第2センサ5bが送信する送信波の送信タイミングを制御してもよい。また、この場合、第1センサ5aの送信制御部28は、例えば、第1センサ5aが送信する送信波の周波数と、第2センサ5bが送信する送信波の周波数とが異なるように制御してもよい。
【0053】
このように、一実施形態に係る電子機器1において、第1センサ5aは、第2センサ5bによる送信波の送信を制御してもよい。また、一実施形態に係る電子機器1において、第1センサ5aは、第2センサ5bが送信する送信波の送信タイミングを制御してもよい。また、一実施形態に係る電子機器1において、第1センサ5aは、第1センサ5aが送信する送信波の周波数と、第2センサ5bが送信する送信波の周波数とが異なるように制御してもよい。また、一実施形態に係る電子機器1において、第1センサ5a及び第2センサ5bは、それぞれ独立して制御されるようにしてもよい。
【0054】
また、図6に示すように、第1センサ5aによる検出結果の出力は、第2センサ5bによる検出結果の出力と合成されてから、電子機器1の外部に出力されてよい。例えば、電子機器1による物体の検出結果がCAN(Controller Area Network)通信により出力される場合、第1センサ5aからの出力と第2センサ5bからの出力とは、例えばIDによって区別し得る。したがって、第1センサ5aによる検出結果の出力及び第2センサ5bによる検出結果の出力をまとめて電子機器1の外部に出力したとしても、後からそれぞれの出力として識別することができる。この場合、第1センサ5aによる検出結果の出力及び第2センサ5bによる検出結果の出力は、あたかも電子機器1が備える1つのセンサの出力のように処理し得る。また、第1センサ5aによる検出結果の出力及び第2センサ5bによる検出結果の出力は、それぞれ適宜所定の補正を施した上で、電子機器1から出力してもよい。一方、第1センサ5aによる検出結果の出力と、第2センサ5bによる検出結果の出力とは、それぞれ独立に、電子機器1の外部に出力されてもよい。
【0055】
次に、第1センサ5a及び第2センサ5bのそれぞれの構成について、より詳細に説明する。
【0056】
図7は、センサ5の構成を示す機能ブロック図である。図7は、例えば第1センサ5a又は第2センサ5bの構成を説明するものとしてよい。
【0057】
上述のように、第1センサ5aは、図7に示す送信制御部28を含むものとしてよい。一方、第2センサ5bは、図7に示す送信制御部28を含まないものとしてもよい。以下、一実施形態に係る電子機器1のセンサ5の構成の一例について説明する。
【0058】
ミリ波方式のレーダによって距離などを測定する際、周波数変調連続波レーダ(以下、FMCWレーダ(Frequency Modulated Continuous Wave radar)と記す)が用いられることが多い。FMCWレーダは、送信する電波の周波数を掃引して送信信号が生成される。したがって、例えば79GHzの周波数帯の電波を用いるミリ波方式のFMCWレーダにおいて、使用する電波の周波数は、例えば77GHz~81GHzのように、4GHzの周波数帯域幅を持つものとなる。79GHzの周波数帯のレーダは、例えば24GHz、60GHz、76GHzの周波数帯などの他のミリ波/準ミリ波レーダよりも、使用可能な周波数帯域幅が広いという特徴がある。以下、例として、このような実施形態について説明する。
【0059】
図7に示すように、一実施形態に係るセンサ5は、制御部10を備えている。また、一実施形態に係るセンサ5は、送信部20、受信部30A~30D、及び記憶部40などの少なくともいずれかのような、他の機能部を適宜含んでもよい。図7に示すように、センサ5は、受信部30A~30Dのように、複数の受信部を備えてよい。以下、受信部30Aと、受信部30Bと、受信部30Cと、受信部30Dとを区別しない場合、単に「受信部30」と記す。
【0060】
制御部10は、距離FFT処理部11、速度FFT処理部12、距離速度検出判定部13、到来角推定部14、及び物体検出部15を備えてよい。制御部10に含まれるこれらの機能部については、さらに後述する。
【0061】
送信部20は、図7に示すように、信号生成部21、シンセサイザ22、位相制御部23A及び23B、増幅器24A及び24B、並びに、送信アンテナ25A及び25Bを備えてよい。以下、位相制御部23Aと、位相制御部23Bとを区別しない場合、単に「位相制御部23」と記す。また、以下、増幅器24Aと、増幅器24Bとを区別しない場合、単に「増幅器24」と記す。また、以下、送信アンテナ25Aと、送信アンテナ25Bとを区別しない場合、単に「送信アンテナ25」と記す。
【0062】
受信部30は、図7に示すように、それぞれ対応する受信アンテナ31A~31Dを備えてよい。以下、受信アンテナ31Aと、受信アンテナ31Bと、受信アンテナ31Cと、受信アンテナ31Dとを区別しない場合、単に「受信アンテナ31」と記す。また、複数の受信部30は、それぞれ、図7に示すように、LNA32、ミキサ33、IF部34、及びAD変換部35を備えてよい。受信部30A~30Dは、それぞれ同様の構成としてよい。図7においては、代表例として、受信部30Aのみの構成を概略的に示してある。
【0063】
一実施形態に係るセンサ5が備える制御部10は、センサ5を構成する各機能部の制御をはじめとして、センサ5全体の動作の制御を行うことができる。制御部10は、種々の機能を実行するための制御及び処理能力を提供するために、例えばCPU(Central Processing Unit)又はDSP(Digital Signal Processor)のような、少なくとも1つのプロセッサを含んでよい。制御部10は、まとめて1つのプロセッサで実現してもよいし、いくつかのプロセッサで実現してもよいし、それぞれ個別のプロセッサで実現してもよい。プロセッサは、単一の集積回路として実現されてよい。集積回路は、IC(Integrated Circuit)ともいう。プロセッサは、複数の通信可能に接続された集積回路及びディスクリート回路として実現されてよい。プロセッサは、他の種々の既知の技術に基づいて実現されてよい。一実施形態において、制御部10は、例えばCPU及び当該CPUで実行されるプログラムとして構成してよい。制御部10は、制御部10の動作に必要なメモリを適宜含んでもよい。
【0064】
記憶部40は、制御部10において実行されるプログラム、及び、制御部10において実行された処理の結果などを記憶してよい。また、記憶部40は、制御部10のワークメモリとして機能してよい。記憶部40は、例えば半導体メモリ又は磁気ディスク等により構成することができるが、これらに限定されず、任意の記憶装置とすることができる。また、例えば、記憶部40は、本実施形態に係る電子機器1に挿入されたメモリカードのような記憶媒体としてもよい。また、記憶部40は、上述のように、制御部10として用いられるCPUの内部メモリであってもよい。
【0065】
一実施形態において、記憶部40は、送信アンテナ25から送信する送信波T及び受信アンテナ31から受信する反射波Rによって物体を検出する範囲を設定するための各種パラメータを記憶してよい。
【0066】
一実施形態に係るセンサ5において、制御部10は、送信部20及び受信部30の少なくとも一方を制御することができる。この場合、制御部10は、記憶部40に記憶された各種情報に基づいて、送信部20及び受信部30の少なくとも一方を制御してよい。また、一実施形態に係るセンサ5において、制御部10は、信号生成部21に信号の生成を指示したり、信号生成部21が信号を生成するように制御したりしてもよい。
【0067】
信号生成部21は、送信制御部28の制御により、送信アンテナ25から送信波Tとして送信される信号(送信信号)を生成する。信号生成部21は、送信信号を生成する際に、例えば送信制御部28による制御に基づいて、送信信号の周波数を割り当ててよい。具体的には、信号生成部21は、例えば送信制御部28によって設定されたパラメータにしたがって、送信信号の周波数を割り当ててよい。例えば、信号生成部21は、送信制御部28又は記憶部40から周波数情報を受け取ることにより、例えば77~81GHzのような周波数帯域の所定の周波数の信号を生成する。信号生成部21は、例えば電圧制御発振器(VCO)のような機能部を含んで構成してよい。
【0068】
信号生成部21及び/又は送信制御部28は、当該機能を有するハードウェアとして構成してもよいし、例えばマイコンなどで構成してもよいし、例えばCPUのようなプロセッサ及び当該プロセッサで実行されるプログラムなどとして構成してもよい。以下説明する各機能部も、当該機能を有するハードウェアとして構成してもよいし、可能な場合には、例えばマイコンなどで構成してもよいし、例えばCPUのようなプロセッサ及び当該プロセッサで実行されるプログラムなどとして構成してもよい。
【0069】
一実施形態に係るセンサ5において、信号生成部21は、例えばチャープ信号のような送信信号(送信チャープ信号)を生成してよい。特に、信号生成部21は、周波数が周期的に線形に変化する信号(線形チャープ信号)を生成してもよい。例えば、信号生成部21は、周波数が時間の経過に伴って77GHzから81GHzまで周期的に線形に増大するチャープ信号としてもよい。また、例えば、信号生成部21は、周波数が時間の経過に伴って77GHzから81GHzまで線形の増大(アップチャープ)及び減少(ダウンチャープ)を周期的に繰り返す信号を生成してもよい。信号生成部21が生成する信号は、例えば制御部10において予め設定されていてもよい。また、信号生成部21が生成する信号は、例えば記憶部40などに予め記憶されていてもよい。レーダのような技術分野で用いられるチャープ信号は既知であるため、より詳細な説明は、適宜、簡略化又は省略する。信号生成部21によって生成された信号は、シンセサイザ22に供給される。
【0070】
シンセサイザ22は、信号生成部21が生成した信号の周波数を、所定の周波数帯の周波数まで上昇させる。シンセサイザ22は、送信アンテナ25から送信する送信波Tの周波数として選択された周波数まで、信号生成部21が生成した信号の周波数を上昇させてよい。送信アンテナ25から送信する送信波Tの周波数として選択される周波数は、例えば制御部10によって設定されてもよい。また、送信アンテナ25から送信する送信波Tの周波数として選択される周波数は、例えば記憶部40に記憶されていてもよい。シンセサイザ22によって周波数が上昇された信号は、位相制御部23及びミキサ33に供給される。位相制御部23が複数の場合、シンセサイザ22によって周波数が上昇された信号は、複数の位相制御部23のそれぞれに供給されてよい。また、受信部30が複数の場合、シンセサイザ22によって周波数が上昇された信号は、複数の受信部30におけるそれぞれのミキサ33に供給されてよい。
【0071】
位相制御部23は、シンセサイザ22から供給された送信信号の位相を制御する。具体的には、位相制御部23は、例えば制御部10による制御に基づいて、シンセサイザ22から供給された信号の位相を適宜早めたり遅らせたりすることにより、送信信号の位相を調整してよい。この場合、位相制御部23は、複数の送信アンテナ25から送信されるそれぞれの送信波Tの経路差に基づいて、それぞれの送信信号の位相を調整してもよい。位相制御部23がそれぞれの送信信号の位相を適宜調整することにより、複数の送信アンテナ25から送信される送信波Tは、所定の方向において強め合ってビームを形成する(ビームフォーミング)。この場合、ビームフォーミングの方向と、複数の送信アンテナ25がそれぞれ送信する送信信号の制御すべき位相量との相関関係は、例えば記憶部40に記憶しておいてよい。位相制御部23によって位相制御された送信信号は、増幅器24に供給される。
【0072】
増幅器24は、位相制御部23から供給された送信信号のパワー(電力)を、例えば制御部10による制御に基づいて増幅させる。センサ5が複数の送信アンテナ25を備える場合、複数の増幅器24は、複数の位相制御部23のうちそれぞれ対応するものから供給された送信信号のパワー(電力)を、例えば制御部10による制御に基づいてそれぞれ増幅させてよい。送信信号のパワーを増幅させる技術自体は既に知られているため、より詳細な説明は省略する。増幅器24は、送信アンテナ25に接続される。
【0073】
送信アンテナ25は、増幅器24によって増幅された送信信号を、送信波Tとして出力(送信)する。センサ5が複数の送信アンテナ25を備える場合、複数の送信アンテナ25は、複数の増幅器24のうちそれぞれ対応するものによって増幅された送信信号を、それぞれ送信波Tとして出力(送信)してよい。送信アンテナ25は、既知のレーダ技術に用いられる送信アンテナと同様に構成することができるため、より詳細な説明は省略する。
【0074】
このようにして、一実施形態に係るセンサ5は、送信アンテナ25を備え、送信アンテナ25から送信波Tとして送信信号(例えば送信チャープ信号)を送信することができる。ここで、電子機器1を構成する各機能部のうちの少なくとも1つは、1つの筐体に収められてもよい。また、この場合、当該1つの筐体は、容易に開けることができない構造としてもよい。例えば送信アンテナ25、受信アンテナ31、増幅器24が1つの筐体に収められ、かつ、この筐体が容易に開けられない構造となっているとよい。さらに、ここで、センサ5が自動車のような移動体100に設置される場合、送信アンテナ25は、例えばレーダカバーのようなカバー部材を介して、移動体100の外部に送信波Tを送信してもよい。この場合、レーダカバーは、例えば合成樹脂又はゴムのような、電磁波を通過させる物質で構成してよい。このレーダカバーは、例えばセンサ5のハウジングとしてもよい。レーダカバーのような部材で送信アンテナ25を覆うことにより、送信アンテナ25が外部との接触により破損したり不具合が発生したりするリスクを低減することができる。また、上記レーダカバー及びハウジングは、レドームとも呼ばれることがある。
【0075】
図7に示すセンサ5は、送信アンテナ25を2つ備える例を示している。しかしながら、一実施形態において、センサ5は、任意の数の送信アンテナ25を備えてもよい。一方、一実施形態において、センサ5は、送信アンテナ25から送信される送信波Tが所定方向にビームを形成するようにする場合、複数の送信アンテナ25を備えてよい。一実施形態において、センサ5は、任意の複数の送信アンテナ25を備えてもよい。この場合、センサ5は、複数の送信アンテナ25に対応させて、位相制御部23及び増幅器24もそれぞれ複数備えてよい。そして、複数の位相制御部23は、シンセサイザ22から供給されて複数の送信アンテナ25から送信される複数の送信波の位相を、それぞれ制御してよい。また、複数の増幅器24は、複数の送信アンテナ25から送信される複数の送信信号のパワーを、それぞれ増幅してよい。このように、図7に示すセンサ5は、複数の送信アンテナ25を備える場合、当該複数の送信アンテナ25から送信波Tを送信するのに必要な機能部も、それぞれ複数含んで構成してよい。
【0076】
受信アンテナ31は、反射波Rを受信する。反射波Rは、送信波Tが所定の物体200に反射したものとしてよい。受信アンテナ31は、例えば受信アンテナ31A~受信アンテナ31Dのように、複数のアンテナを含んで構成してよい。受信アンテナ31は、既知のレーダ技術に用いられる受信アンテナと同様に構成することができるため、より詳細な説明は省略する。受信アンテナ31は、LNA32に接続される。受信アンテナ31によって受信された反射波Rに基づく受信信号は、LNA32に供給される。
【0077】
一実施形態に係るセンサ5は、複数の受信アンテナ31から、例えばチャープ信号のような送信信号(送信チャープ信号)として送信された送信波Tが所定の物体200によって反射された反射波Rを受信することができる。このように、送信波Tとして送信チャープ信号を送信する場合、受信した反射波Rに基づく受信信号は、受信チャープ信号と記す。すなわち、センサ5は、受信アンテナ31から反射波Rとして受信信号(例えば受信チャープ信号)を受信する。ここで、センサ5が自動車のような移動体100に設置される場合、受信アンテナ31は、例えばレーダカバーのようなカバー部材を介して、移動体100の外部から反射波Rを受信してもよい。この場合、レーダカバーは、例えば合成樹脂又はゴムのような、電磁波を通過させる物質で構成してよい。このレーダカバーは、例えばセンサ5のハウジングとしてもよい。レーダカバーのような部材で受信アンテナ31を覆うことにより、受信アンテナ31が外部との接触により破損又は不具合が発生するリスクを低減することができる。また、上記レーダカバー及びハウジングは、レドームとも呼ばれることがある。
【0078】
また、受信アンテナ31が送信アンテナ25の近くに設置される場合、これらをまとめて1つのセンサ5に含めて構成してもよい。すなわち、1つのセンサ5には、例えば少なくとも1つの送信アンテナ25及び少なくとも1つの受信アンテナ31を含めてもよい。例えば、1つのセンサ5は、複数の送信アンテナ25及び複数の受信アンテナ31を含んでもよい。このような場合、例えば1つのレーダカバーのようなカバー部材で、1つのレーダセンサを覆うようにしてもよい。
【0079】
LNA32は、受信アンテナ31によって受信された反射波Rに基づく受信信号を低ノイズで増幅する。LNA32は、低雑音増幅器(Low Noise Amplifier)としてよく、受信アンテナ31から供給された受信信号を低雑音で増幅する。LNA32によって増幅された受信信号は、ミキサ33に供給される。
【0080】
ミキサ33は、LNA32から供給されるRF周波数の受信信号を、シンセサイザ22から供給される送信信号に混合する(掛け合わせる)ことにより、ビート信号を生成する。ミキサ33によって混合されたビート信号は、IF部34に供給される。
【0081】
IF部34は、ミキサ33から供給されるビート信号に周波数変換を行うことにより、ビート信号の周波数を中間周波数(IF(Intermediate Frequency)周波数)まで低下させる。IF部34によって周波数を低下させたビート信号は、AD変換部35に供給される。
【0082】
AD変換部35は、IF部34から供給されたアナログのビート信号をデジタル化する。AD変換部35は、任意のアナログ-デジタル変換回路(Analog to Digital Converter(ADC))で構成してよい。AD変換部35によってデジタル化されたビート信号は、制御部10の距離FFT処理部11に供給される。受信部30が複数の場合、複数のAD変換部35によってデジタル化されたそれぞれのビート信号は、距離FFT処理部11に供給されてよい。
【0083】
距離FFT処理部11は、AD変換部35から供給されたビート信号に基づいて、センサ5を搭載した移動体100と、物体200との間の距離を推定する。距離FFT処理部11は、例えば高速フーリエ変換を行う処理部を含んでよい。この場合、距離FFT処理部11は、高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform(FFT))処理を行う任意の回路又はチップなどで構成してよい。
【0084】
距離FFT処理部11は、AD変換部35によってデジタル化されたビート信号に対してFFT処理を行う(以下、適宜「距離FFT処理」と記す)。例えば、距離FFT処理部11は、AD変換部35から供給された複素信号にFFT処理を行ってよい。AD変換部35によってデジタル化されたビート信号は、信号強度(電力)の時間変化として表すことができる。距離FFT処理部11は、このようなビート信号にFFT処理を行うことにより、各周波数に対応する信号強度(電力)として表すことができる。距離FFT処理部11は、距離FFT処理によって得られた結果においてピークが所定の閾値以上である場合、そのピークに対応する距離に、所定の物体200があると判断してもよい。例えば、一定誤警報確率(CFAR(Constant False Alarm Rate))による検出処理のように、外乱信号の平均電力又は振幅から閾値以上のピーク値が検出された場合、送信波を反射する物体(反射物体)が存在するものと判断する方法が知られている。
【0085】
このように、一実施形態に係るセンサ5は、送信波Tとして送信される送信信号、及び、反射波Rとして受信される受信信号に基づいて、送信波Tを反射する物体200をターゲットとして検出することができる。
【0086】
距離FFT処理部11は、1つのチャープ信号に基づいて、所定の物体との間の距離を推定することができる。すなわち、電子機器1は、距離FFT処理を行うことにより、図1に示した距離Lを測定(推定)することができる。ビート信号にFFT処理を行うことにより、所定の物体との間の距離を測定(推定)する技術自体は公知のため、より詳細な説明は、適宜、簡略化又は省略する。距離FFT処理部11によって距離FFT処理が行われた結果(例えば距離の情報)は、速度FFT処理部12に供給されてよい。また、距離FFT処理部11によって距離FFT処理が行われた結果は、距離速度検出判定部13及び/又は物体検出部15などにも供給されてよい。
【0087】
速度FFT処理部12は、距離FFT処理部11によって距離FFT処理が行われたビート信号に基づいて、センサ5を搭載した移動体100と、物体200との相対速度を推定する。速度FFT処理部12は、例えば高速フーリエ変換を行う処理部を含んでよい。この場合、速度FFT処理部12は、高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform(FFT))処理を行う任意の回路又はチップなどで構成してよい。
【0088】
速度FFT処理部12は、距離FFT処理部11によって距離FFT処理が行われたビート信号に対してさらにFFT処理を行う(以下、適宜「速度FFT処理」と記す)。例えば、速度FFT処理部12は、距離FFT処理部11から供給された複素信号にFFT処理を行ってよい。速度FFT処理部12は、チャープ信号のサブフレームに基づいて、所定の物体との相対速度を推定することができる。上述のようにビート信号に距離FFT処理を行うと、複数のベクトルを生成することができる。これら複数のベクトルに対して速度FFT処理を行った結果におけるピークの位相を求めることにより、所定の物体との相対速度を推定することができる。すなわち、センサ5は、速度FFT処理を行うことにより、図1に示した移動体100と所定の物体200との相対速度を測定(推定)することができる。距離FFT処理を行った結果に対して速度FFT処理を行うことにより、所定の物体との相対速度を測定(推定)する技術自体は公知のため、より詳細な説明は、適宜、簡略化又は省略する。速度FFT処理部12によって速度FFT処理が行われた結果(例えば速度の情報)は、到来角推定部14に供給されてよい。また、速度FFT処理部12によって速度FFT処理が行われた結果は、距離速度検出判定部13及び/又は物体検出部15などにも供給されてよい。
【0089】
距離速度検出判定部13は、距離FFT処理部11によって距離FFT処理が行われた結果、及び/又は、速度FFT処理部12によって速度FFT処理が行われた結果に基づいて、距離及び/又は相対速度についての判定処理を行う。距離速度検出判定部13は、所定の距離及び/又は所定の相対速度において、ターゲットを検出したか否かを判定する。
【0090】
到来角推定部14は、速度FFT処理部12によって速度FFT処理が行われた結果に基づいて、所定の物体200から反射波Rが到来する方向を推定する。センサ5は、複数の受信アンテナ31から反射波Rを受信することで、反射波Rが到来する方向を推定することができる。例えば、複数の受信アンテナ31は、所定の間隔で配置されているものとする。この場合、送信アンテナ25から送信された送信波Tが所定の物体200に反射されて反射波Rとなり、所定の間隔で配置された複数の受信アンテナ31はそれぞれ反射波Rを受信する。そして、到来角推定部14は、複数の受信アンテナ31がそれぞれ受信した反射波Rの位相、及びそれぞれの反射波Rの経路差に基づいて、反射波Rが受信アンテナ31に到来する方向を推定することができる。すなわち、電子機器1は、速度FFT処理が行われた結果に基づいて、図1に示した到来角θを測定(推定)することができる。
【0091】
速度FFT処理が行われた結果に基づいて、反射波Rが到来する方向を推定する技術は各種提案されている。例えば、既知の到来方向推定のアルゴリズムとしては、MUSIC(MUltiple SIgnal Classification)、及びESPRIT(Estimation of Signal Parameters via Rotational Invariance Technique)などが知られている。したがって、公知の技術についてのより詳細な説明は、適宜、簡略化又は省略する。到来角推定部14によって推定された到来角θの情報(角度情報)は、物体検出部15に供給されてよい。
【0092】
物体検出部15は、距離FFT処理部11、速度FFT処理部12、及び到来角推定部14の少なくともいずれかから供給される情報に基づいて、送信波Tが送信された範囲に存在する物体を検出する。物体検出部15は、供給された距離の情報、速度の情報、及び角度情報に基づいて例えばクラスタリング処理を行うことにより、物体検出を行ってもよい。データをクラスタリングする際に用いるアルゴリズムとして、例えばDBSCAN(Density-based spatial clustering of applications with noise)などが知られている。クラスタリング処理においては、例えば検出される物体を構成するポイントの平均電力を算出してもよい。物体検出部15において検出された物体の距離の情報、速度の情報、角度情報、及び電力の情報は、例えばECU(Electronic Control Unit)などに供給されてもよい。この場合、移動体100が自動車である場合、例えばCAN(Controller Area Network)のような通信インタフェースを用いて通信を行ってもよい。
【0093】
図7に示すセンサ5は、2つの送信アンテナ25及び4つの受信アンテナ31を備えている。しかしながら、一実施形態に係るセンサ5は、任意の数の送信アンテナ25及び任意の数の受信アンテナ31を備えてもよい。例えば、2つの送信アンテナ25及び4つの受信アンテナ31を備えることにより、センサ5は、仮想的に8本のアンテナにより構成される仮想アンテナアレイを備えるものと考えることができる。このように、センサ5は、例えば仮想8本のアンテナを用いることにより、例えば16のサブフレームの反射波Rを受信してもよい。
【0094】
このように、一実施形態に係る第1センサ5a及び第2センサ5bのそれぞれは、送信アンテナ25と、受信アンテナ31と、制御部10と、を備えてよい。送信アンテナ25は、送信波Tを送信する。受信アンテナ31は、送信波Tが反射された反射波Rを受信する。また、制御部10は、送信波Tとして送信される送信信号及び反射波Rとして受信される受信信号に基づいて、送信波Tを反射する物体を検出する。
【0095】
本開示を諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形又は修正を行うことが容易であることに注意されたい。したがって、これらの変形又は修正は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各機能部に含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能である。複数の機能部等は、1つに組み合わせられたり、分割されたりしてよい。上述した本開示に係る各実施形態は、それぞれ説明した各実施形態に忠実に実施することに限定されるものではなく、適宜、各特徴を組み合わせたり、一部を省略したりして実施され得る。つまり、本開示の内容は、当業者であれば本開示に基づき種々の変形および修正を行うことができる。したがって、これらの変形および修正は本開示の範囲に含まれる。例えば、各実施形態において、各機能部、各手段、各ステップなどは論理的に矛盾しないように他の実施形態に追加し、若しくは、他の実施形態の各機能部、各手段、各ステップなどと置き換えることが可能である。また、各実施形態において、複数の各機能部、各手段、各ステップなどを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。また、上述した本開示の各実施形態は、それぞれ説明した各実施形態に忠実に実施することに限定されるものではなく、適宜、各特徴を組み合わせたり、一部を省略したりして実施することもできる。
【0096】
例えば、上述した実施形態に係る電子機器1は、2つのセンサ5(第1センサ5a及び第2センサ5b)を備える態様について説明した。しかしながら、一実施形態に係る電子機器1は、3つ以上のセンサ5を備えてもよい。例えば、一実施形態に係る電子機器1は、図8に示すように、第1センサ5a、第2センサ5b、及び第3センサ5cを備えてもよい。このような実施形態に係る電子機器によっても、角度が180°を超えるような広角の範囲において、物体の検出精度を低下させないようにし得る。したがって、このような実施形態に係る電子機器によれば、物体を広範囲に良好な精度で検出することができる。また、このような実施形態に係る電子機器によれば、例えば移動体に設置される際に設置位置などに制約がある場合であっても、物体検出の死角を軽減することが期待できる。
【0097】
上述した実施形態は、電子機器1としての実施のみに限定されるものではない。例えば、上述した実施形態は、電子機器1のような機器の制御方法として実施してもよい。さらに、例えば、上述した実施形態は、電子機器1のような機器が実行するプログラムとして実施してもよい。
【符号の説明】
【0098】
1 電子機器
5 センサ
10 制御部
11 距離FFT処理部
12 速度FFT処理部
13 距離速度検出判定部
14 到来角推定部
15 物体検出部
20 送信部
21 信号生成部
22 シンセサイザ
23 位相制御部
24 増幅器
25 送信アンテナ
28 送信制御部
30 受信部
31 受信アンテナ
32 LNA
33 ミキサ
34 IF部
35 AD変換部
40 記憶部
60 カバー部材
62 カバー底面部
64 スペーサ
66 支持部
68 支持板
100 移動体
200 物体

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8