(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022085488
(43)【公開日】2022-06-08
(54)【発明の名称】仮面兼用マスクホルダー
(51)【国際特許分類】
A45C 11/00 20060101AFI20220601BHJP
A62B 27/00 20060101ALI20220601BHJP
A41D 13/11 20060101ALI20220601BHJP
【FI】
A45C11/00 Z
A62B27/00
A41D13/11 Z
A45C11/00 W
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020197205
(22)【出願日】2020-11-27
(71)【出願人】
【識別番号】510228905
【氏名又は名称】株式会社オサダ
(74)【代理人】
【識別番号】100104396
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 信昭
(72)【発明者】
【氏名】宇多川ひろみ
(72)【発明者】
【氏名】平林 太英
(72)【発明者】
【氏名】千葉 美緒
【テーマコード(参考)】
2E185
3B045
【Fターム(参考)】
2E185CC77
3B045BA00
3B045CE06
3B045CE10
3B045DA00
3B045EA03
3B045GA00
3B045GB03
3B045GC02
3B045LA10
3B045LB01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】使用者の顔の少なくとも目、鼻および口を一体的に覆う仮面として使用できるとともに、使用前後の衛生マスクのマスクホルダーとしても使用できる仮面兼用マスクホルダーを提供する。
【解決手段】仮面としての使用態様と、マスクホルダーとしての使用態様とに使い分け可能なものであって、前記仮面としての使用態様では使用者の顔の少なくとも目、鼻および口を一体的に覆う仮面部3として機能する一方、当該マスクホルダーとしての使用態様では当該仮面部に衛生マスク21を保持するマスク保持構造5を有する仮面本体7を含む、ことを特徴とする仮面兼用マスクホルダー1。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮面としての使用態様と、マスクホルダーとしての使用態様とに使い分け可能なもので
あって、
前記仮面としての使用態様では使用者の顔の少なくとも目、鼻および口を一体的に覆う仮面部として機能する一方、当該マスクホルダーとしての使用態様では当該仮面部に衛生マスクを保持するマスク保持構造を有する仮面本体を含む、
ことを特徴とする仮面兼用マスクホルダー。
【請求項2】
少なくとも当該仮面としての使用態様のとき前記仮面本体を使用者の顔に着脱自在に装着する頭部装着部を、さらに含み、
前記仮面部は、前記仮面部の外側から使用者の口を覆う位置に配置された衛生マスク(以下、「配置マスク」という)の両耳ヒモを使用者の顔側に抜き取り可能に貫通させられる所定形状に形成された一対の貫通スリットを含み、
前記マスク保持構造は、前記仮面としての使用態様において、当該貫通スリットのそれぞれを貫通させた両耳ヒモを使用者の耳に掛けることを阻害しない所定形状に形成されることで、当該配置マスクの両耳ヒモが当該頭部装着部として機能するように構成されている、
ことを特徴とする請求項1記載の仮面兼用マスクホルダー。
【請求項3】
前記マスク保持構造は、前記仮面部における所定の周縁部位の折り曲げ辺を介して使用者側に折り返されて前記仮面部に重ねられた重ね保持片を含み、
当該重ね保持片は、正面視した前記仮面部の周縁から露出しない、かつ、衛生マスクを挟み込み保持可能な形状に構成されている、
ことを特徴とする請求項1または2いずれか記載の仮面兼用マスクホルダー。
【請求項4】
前記仮面部および重ね保持片は、一枚の紙製もしくは合成樹脂製のシート材から構成されている、
ことを特徴とする請求項3記載の仮面兼用マスクホルダー。
【請求項5】
前記シート材は、一枚の矩形シート材を中央のシート折り曲げ辺を介して二つ折りにすることで一方のシート片と他方のシート片との二枚重ねにするとともに、当該シート折り曲げ辺の両隣接辺のうち少なくとも一方をシールしてなるクリアファイルから構成され、
当該一方のシート片に、前記シート折り曲げ辺以外の周縁を囲む一方の切り取り線により切り取り可能に前記仮面部が形成され、
当該他方のシート片に、前記シート折り曲げ辺以外の周縁を囲む当該一方の切り取り線と連続する他方の切り取り線により切り取り可能に前記重ね保持片が形成され、
当該シート折り曲げ辺によって前記折り曲げ辺が構成されている、
ことを特徴とする請求項4記載の仮面兼用マスクホルダー。
【請求項6】
前記仮面部の前記配置マスクに覆われた部位には、使用者が放出する飛沫の少なくとも一部を前記配置マスクにより捕獲可能とするための開口が設けられている、
ことを特徴とする請求項2ないし5いずれか記載の仮面兼用マスクホルダー。
【請求項7】
一枚の矩形シート材を中央のシート折り曲げ辺を介して二つ折りにすることで一方のシート片と他方のシート片との二枚重ねにするとともに、当該シート折り曲げ辺の両隣接辺のうち少なくとも一方をシールしてなるクリアファイルであって、
請求項5記載の仮面兼用マスクホルダーを備える、
ことを特徴とするクリアファイル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の顔の少なくとも目、鼻および口を一体的に覆う仮面として使用できるとともに、使用前後の衛生マスクのマスクホルダーとしても使用できる仮面兼用マスクホルダーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、種々の玩具や仮装具として顔に付ける仮面(お面、フェイスマスク)が知られている。特許文献1は、透明な合成樹脂材を、眼・鼻・口を覆う範囲でお面形に一体成型したものであって、顔面の凹凸部分に生じる隙間を覆い、鼻と口元部分に呼吸用の孔を設けその部分にフィルターを貼り付けることにより構成された、仮面自体に衛生マスクの機能を持たせたものである。
【0003】
特許文献2は、仮面兼選挙ビラを提案する。これは、片面に選挙候補者の訴えたい文言を他の面に前記候補者の顔写真とその目に孔を設け、更に選挙ビラの左角を証紙貼り部兼用取っ手とし、この取っ手は、お面を顔につける際の取っ手としたことを特徴としている。
【0004】
特許文献3は、仮面兼団扇を開示する。これは、仮面本体を支持体によって頭部に装着可能に構成され、この支持体は団扇の把手として機能するようにも構成されている。
【0005】
特許文献4は、装着者がマスクを顔に直接装着した状態で、当該マスクのヒモをフェイスシールドの裏側から貫通穴を介して表側に抜けさせる一方、貫通孔に繋がる切込みに引っ掛けることでフェイスシールドを当該マスクに保持する構成を説明する。
【0006】
一方、特許文献5~7は、種々のマスクホルダーを示すが、マスクホルダー以外の用途を示すものはない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実用新案登録第3124550号公報
【特許文献2】特許第5586052号公報
【特許文献3】特許第5150210号公報
【特許文献4】実用新案登録第3228110号公報
【特許文献5】実用新案登録第3227255号公報
【特許文献6】特開2015-119806号公報
【特許文献7】実用新案登録第3191947号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した先行技術は、いずれも仮面の機能とマスクホルダーの機能を併用するものではない。本発明が解決しようとする課題は、従来の仮面やマスクホルダーの単体、もしくは、他の用途をもった仮面やマスクホルダーとは全く異なる用途の仮面兼用マスクホルダーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための手段として発明者らは、次の構成を採用した。なお、いずれかの請求項記載の発明を説明するにあたり行う用語の定義等は、記載の前後などを問わず他の請求項記載の発明にも適用されるものとする。
【0010】
(請求項1記載の発明)
請求項1記載の発明に係る仮面兼用マスクホルダー(以下、「請求項1の仮面兼用マスクホルダー」という)は、仮面としての使用態様と、マスクホルダーとしての使用態様とに使い分け可能なものである。ここで、前記仮面としての使用態様では使用者の顔の少なくとも目、鼻および口を一体的に覆う仮面部として機能する一方、当該マスクホルダーとしての使用態様では当該仮面部に衛生マスクを保持するマスク保持構造を有する仮面本体を含む、ことを特徴とする。目、鼻および口以外の部分、たとえば、額や顎下の首の一部までを覆う仮面であってもよい。使用者の目に相当する位置は、使用者が仮面部を通して外が見えるように透明・半透明の若しくは切り抜いた目出し部となっていることが好ましい。
【0011】
請求項1の仮面兼用マスクホルダーによれば、ある場面では仮面として、また、仮面として使用しないときはマスクホルダーとして選択使用することができる。仮面として使用するときは仮面装着部によって使用者の顔に装着する。装着は使用者が自身の手などで行ってもよいし、適切な頭部装着手段を用いて行ってもよい。マスクホルダーとして使用するときは、使用済みもしくは使用前の衛生マスクを収納する。仮面とマスクホルダーとの間に主従関係はなく、どちらを主とするかは使用者の選択に委ねられる。仮面としての機能とマスクホルダーとしての機能を併用させることで、マスクホルダー機能に仮面の機能が合わさることで、使用者に遊び心を持たせることができる。換言すると、病気と密接に関係するためとかく暗いイメージを抱かれる衛生マスクのそのイメージを改善することができる。
【0012】
(請求項2記載の発明)
請求項2記載の発明に係る仮面兼用マスクホルダー(以下、「請求項2の仮面兼用マスクホルダー」という)は、請求項1の仮面兼用マスクホルダーの好ましい態様として、少なくとも前記仮面としての使用態様のとき前記仮面本体を使用者の顔に着脱自在に装着する頭部装着部を、さらに含み、前記仮面部は、前記仮面部の外側から使用者の口を覆う位置に配置された衛生マスク(以下、「配置マスク」という)の両耳ヒモを使用者の顔側に抜き取り可能に貫通させられる所定形状に形成された一対の貫通スリットを含み、前記マスク保持構造は、前記仮面としての使用態様において、当該貫通スリットのそれぞれを貫通させた両耳ヒモを使用者の耳に掛けることを阻害しない所定形状に形成されることで、当該配置マスクの両耳ヒモが前記頭部装着部として機能するように構成されている、ことを特徴とする。
【0013】
請求項2の仮面兼用マスクホルダーによれば、仮面部を使用者の顔に保持するための仮面装着部を衛生マスク(配置マスク)の両耳ヒモが頭部装着部として機能する。すなわち、格別な仮面装着手段を用意する必要がなくなる。両耳ヒモの耳掛けは、マスク保持構造によって阻害されない。以上のことは、仮面兼用マスクホルダー自体の構造を単純化するとともに、コンパクト化を実現する。配置マスクは、仮面部の外側に配置されるので、あたかも仮面がマスクをしているようで、仮面の表情がユーモラスなものとなる。
【0014】
(請求項3記載の発明)
請求項3記載の発明に係る仮面兼用マスクホルダー(以下、「請求項3の仮面兼用マスクホルダー」という)は、請求項1または2の仮面兼用マスクホルダーの好ましい態様として、前記マスク保持構造は、前記仮面部における所定の周縁部位の折り曲げ辺を介して使用者側に折り返されて前記仮面部に重ねられた重ね保持片を含み、当該重ね保持片は、正面視した前記仮面部の周縁から露出しない、かつ、衛生マスクを挟み込み保持可能な形状に構成されている、ことを特徴とする。
【0015】
請求項3の仮面兼用マスクホルダーによれば、使用者側に折り返された保持片と仮面部とが重なり、両者間に衛生マスクが保持される。このときの保持片は、使用者が装着した仮面部からはみ出ない構造になっている。はみ出ると、仮面部の形が変わってしまい、外観的に好ましくないからである。
【0016】
(請求項4記載の発明)
請求項4記載の発明に係る仮面兼用マスクホルダー(以下、「請求項4の仮面兼用マスクホルダー」という)は、請求項3の仮面兼用マスクホルダーの好ましい態様として、前記仮面部および重ね保持片は、一枚の紙製もしくは合成樹脂製のシート材から構成されている、ことを特徴とする。
【0017】
請求項4の仮面兼用マスクホルダーによれば、一枚の紙もしくは合成樹脂製シート材で構成するので、複数枚の紙製シート材若しくは合成樹脂製のシート材で構成するより簡素であって製造しやすい。製造しやすければ、コスト的にも有利である。
【0018】
(請求項5記載の発明)
請求項5記載の発明に係る仮面兼用マスクホルダー(以下、「請求項5の仮面兼用マスクホルダー」という)は、請求項3の仮面兼用マスクホルダーの好ましい態様として、前記シート材は、一枚の矩形シート材を中央のシート折り曲げ辺を介して二つ折りにすることで一方のシート片と他方のシート片との二枚重ねにするとともに、当該シート折り曲げ辺の両隣接辺のうち少なくとも一方をシールしてなるクリアファイルから構成され、当該一方のシート片に、前記シート折り曲げ辺以外の周縁を囲む一方の切り取り線により切り取り可能に前記仮面部が形成され、当該他方のシート片に、前記シート折り曲げ辺以外の周縁を囲む当該一方の切り取り線と連続する他方の切り取り線により切り取り可能に前記重ね保持片が形成され、当該シート折り曲げ辺によって前記折り曲げ辺が構成されている、ことを特徴とする。なお、ここでいうクリアファイルは、透明や半透明である必要は必ずしもなく、全体として不透明であってもよい。仮面部や重ね保持片の図柄が描かれていることが前提となる。
【0019】
請求項5の仮面兼用マスクホルダーによれば、それを切り取る前はクリアファイルとして使用可能である。すなわち、一方のシート片と他方のシート片との間に書類などを間に挟み、分類、整理に用いることができる。その上、一方の切り取り線により仮面部を切り取り、他方の切り取り線により重ね保持片を切り出して一つの仮面兼用マスクホルダーを手にすることができる。クリアホルダーはイベントやスポーツなどの会場でプレミアム品として、また、土産物品として使用されることが多いが、その用途で配布・販売し、鑑賞・観戦時や帰宅後などに仮面兼用マスクホルダーとして使用してもらうのに好適である。
【0020】
(請求項6記載の発明)
請求項6記載の発明に係る仮面兼用マスクホルダー(以下、「請求項6の仮面兼用マスクホルダー」という)は、請求項2ないし5の仮面兼用マスクホルダーの好ましい態様として、前記仮面部の前記配置マスクに覆われた部位には、使用者が放出する飛沫の少なくとも一部を前記配置マスクにより捕獲可能とするための開口が設けられている、ことを特徴とする。
【0021】
請求項6の仮面兼用マスクホルダーによれば、配置マスクが開口を通して仮面部の外側に飛散する飛沫を捕獲する。これにより、開口がなければ仮面部の顔側の面に付着するだろう飛沫が配置マスクによって捕獲される。すなわち、その分だけ仮面部の顔側の面が汚れづらくなる。さらに、仮面装着を楽しみながら、配置マスクの機能を活用することができる。
【0022】
(請求項7記載の発明)
請求項7記載の発明に係るクリアファイル(以下、「請求項7のファイル」という)は、一枚の矩形シート材を中央のシート折り曲げ辺を介して二つ折りにすることで一方のシート片と他方のシート片との二枚重ねにするとともに、当該シート折り曲げ辺の両隣接辺の一方をシールしてなるクリアファイルであって、請求項5記載の仮面兼用マスクホルダーを備える、ことを特徴とする。
【0023】
請求項7のファイルは、仮面兼用マスクホルダーの機能を備えたファイルである。ここで、一方のシート片と他方のシート片との間に書類などを間に挟み、分類、整理に用いることができる。その上、一方の切り取り線により仮面部を切り取り、他方の切り取り線により重ね保持片を切り出して一つの仮面兼用マスクホルダーを手にすることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、従来の仮面やマスクホルダーの単体、もしくは、他の用途をもった仮面やマスクホルダーとは全く異なる用途である仮面兼用マスクホルダーを提供することができる。遊び心ある組み合わせにより、なにかと暗いイメージのある衛生マスクを愉快な方向に仕向けることができる。この結果、衛生マスクの装着率が感染予防などの効果を高めることが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図2】仮面としての使用態様の仮面兼用マスクホルダーの正面図である。
【
図3】使用者が手で保持した仮面兼用マスクホルダーの正面図である。
【
図4】マスクホルダーとしての使用態様の仮面兼用マスクホルダーの正面図である。
【
図5】
図4に示す仮面兼用マスクホルダーの背面図である。
【
図6】仮面兼用マスクホルダーを含むクリアホルダーの正面図である。
【
図7】
図6に示すクリアホルダーの展開正面図である。
【
図8】
図6に示すクリアホルダーから仮面兼用マスクホルダーを切り取った状態を示す正面図である。
【
図9】仮面としての使用態様における使用者の手で仮面兼用マスクホルダーを保持する様子を示す正面図である。
【
図10】マスクホルダーとしての使用態様における仮面兼用マスクホルダーの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(仮面兼用マスクホルダーの全体構成)
図1ないし4を参照しながら説明する。
図1に示す符号1は、仮面兼用マスクホルダー(仮面兼用マスクホルダー)を示す。仮面兼用マスクホルダー1は、仮面としての使用態様(以下、「仮面態様」という)と、マスクホルダーとしての使用態様(以下、「ホルダー態様」という)とに使い分け可能に構成されている。
【0027】
(仮面本体の構成)
仮面兼用マスクホルダー1は、仮面本体7と仮面装着部9とから構成されている。仮面装着部9は不要と考えるなら省略可能である。省略した場合であって装着したいときは、使用者が自分の手で仮面本体7を持ち顔に被せるなどすることができる。仮面本体7は、仮面部3とマスク保持構造5とから構成されている。素材的にみた仮面本体7は、一枚もしくは張り合わせてなる、仮面兼用マスクホルダーとして使用に耐える所定の剛性をもった素材、たとえば紙製シート材や合成樹脂製シート材が好ましい。さらに好ましくは、顔の曲面に沿って湾曲可能な柔軟性をもった素材を用いて構成する。強度本実施形態では、必須ではないものの表面に抗菌材を塗布した合成樹脂製のシート材を採用している。仮面として使用者の顔に密着させ、使用前だけでなく使用後の衛生マスクと接触させるものだからである。
【0028】
(衛生マスクの構成)
説明の都合上、仮面兼用マスクホルダー1(仮面本体7)とともに使用する衛生マスク21について解説する。
図2に示すように衛生マスク21は、横長長方形のマスク本体23と、マスク本体23の両側短辺に設けられた一対の耳ヒモ25とから構成されている。マスク本体23は、使用者の口と鼻とを覆うことができ、耳ヒモ25はリング状になっていて伸縮自在になっていて使用者の耳に掛けられる形式の市販品でよい。もっとも、衛生マスク21の構造は上記に限定されない。樹脂シートを打ち抜いてマスク本体と耳ヒモを一体化したタイプ(図示を省略)や、四角形の布の対角線上の端同士を使用者後頭部に結び留めるスカーフタイプの衛生マスクなどをも使用することができる。以下の説明は、冒頭に述べたタイプの衛生マスク21を前提とする。
【0029】
(仮面部の構成)
仮面部3は、仮面態様のとき、使用者の顔の少なくとも目、鼻および口を一体的に覆う大きさと形状になっていて、主として
図2に示すように本実施形態では、ほぼ円形に構成されている。本実施形態では、図示を単純化するためにほぼ円形に描かれているが、より複雑な形状とすることや髪の毛やメガネのような装飾を外付けすることを妨げない。同じ理由で両方の目部3a,3aや口部3bなども単純化した円形や楕円形に描かれている。ここでは、鼻部は省略されているが、付け加えてもよい。人間の顔の形状に限定する必要はなく、たとえば、サルや像のような動物や子供に人気のあるキャラクターの形状とすることもできる。なお、口部3bを開口(図示を省略)にしてもよい。仮面としての使用態様の際、配置マスク21によって使用者が放出する飛沫の少なくとも一部を捕獲することができるので、その分だけ反射飛沫が使用者の顔にかからないようにすることができる。
【0030】
(マスク保持構造の構成)
図3に示すようにマスク保持構造5は、仮面部3における所定の周縁部位の折り曲げ辺11を介して使用者側(
図1の紙面裏面)に折り返されて仮面部3に重ねられる(裏重ねされる)重ね保持片により構成されている(以下、「重ね保持片5」という)。
図3および4が示すように、裏重ねによって形成される重ね保持片5と仮面部3と間の空間(保持空間13、
図3)に衛生マスク21が挟み込み保持(挟持)されるようになっている。
図4に示す衛生マスク21が破線で描かれているのは、重ね保持片5の裏側に位置し仮面部3(重ね保持片5に隠れて見えない)との間に挟持された状態だからである。
【0031】
重ね保持片5の形状は、正面視した仮面部3の周縁から露出しない、かつ、衛生マスク21を挟み込み保持可能な形状に構成されている。露出させないのは、重ね保持片5が露出すると仮面部3の見栄えが悪くなって仮面本体7の仮面態様の機能(仮面部3の機能)を損ねるからである。挟み込み保持可能とするのは、衛生マスク21を保持できないと仮面本体7のマスク態様の機能(重ね保持片5の機能)を果たせないからである。本実施形態の重ね保持片5は、仮面部3と同じ形状であるが、これは適宜変更可能である。衛生マスク21を保持できる範囲なら仮面部3より小さめにしたり、同範囲なら仮面部3と異なる形状にしたりしてもよい。
【0032】
折り曲げ辺11は、仮面部3のいずれの部位でもよいのであるが、好ましくは本実施形態で採用したように仮面部3の顎部分になる下端部位に設けるのがよい。下端部位に設けられた理由は、折り曲げ辺11は仮面部3と重ね保持片5とを繋ぐ部位であるところ、仮面部の頭部を上にして仮面兼用マスクホルダー1を持ったとき、保持された衛生マスクが折り曲げ辺11が下支えして落下が防がれるからである。もっとも、挟持された衛生マスク21は、仮面部3と重ね保持片5から受ける摩擦によって簡単には動けないので、折り曲げ辺11を設ける部位は厳格に考えなくてもよい。
【0033】
本実施形態では採用しなかったが、重ね保持片5の代わりに、仮面部3の裏面側(使用者の顔に面する側)に別のシート部材もしくは袋体(図示を省略)を貼り付けることで仮面部3との間に保持空間を形成する方法もある。同じく不採用なため図示をしないが、仮面部3に衛生マスクのヒモ部を引っ掛け保持できる動物の耳を設け、この動物の耳をマスク保持構造としてもよい。さらに同じく不図示であるが、仮面部3の裏側に、被覆シール付きの粘着テープを付けてもよい。被服シールを剥がして衛生マスクを貼り付け保持するための粘着テープである。
【0034】
(頭部装着部の構成)
図2を参照しながら説明する。頭部装着部9は、仮面としての使用態様の仮面本体7を使用者の顔に着脱自在に装着するための部位である。本実施形態の仮面装着部9は、仮面部3に設けられた一対の貫通スリット31,31、重ね保持片5に設けられた一対の裏貫通スリット33,33、および仮面部3の外側から使用者の口を覆う位置に配置される衛生マスク21の両耳ヒモ25,25により構成される。以下、仮面部3の外側の上記位置に配置された衛生マスクのことを配置マスク21と呼ぶことにして、説明を続ける。
【0035】
図2に示すように各貫通スリット31は、配置マスク21の各耳ヒモ25を使用者の顔Fの側に抜き取り可能に貫通させられる位置(本実施形態では、口部3bの両側)と所定形状(本実施形態では縦長スリット)に形成されている。
図2では、各スリット31より耳E(2点鎖線で表示)側の部分が点線で示されているが、これは、各スリット31を貫通した各耳ヒモ25が仮面部3の裏側に位置することを示す。各耳ヒモ25は、耳Eに引っ掛けられ、これにより配置マスク21が仮面本体7(仮面部3と重ね保持片5)を使用者の頭部に装着する頭部装着部9としての機能が発揮される。
【0036】
図1に示すように各裏貫通スリット33は、重ね保持片5の形状を仮面部3のそれと同じにしたことから、仮面としての使用態様となる裏重ね時において一気通貫するように各貫通スリット31と対応する位置と形状に形成されている(
図1)。つまり、裏重ね時の正面視において各貫通スリット31と各裏貫通スリット33を通して仮面部3の裏側(使用者の顔)が重ね保持片5の部位によって阻害されずに見えるようになっている。この意味において各裏スリット33は、本実施形態における頭部装着部9の一部を構成している。
【0037】
一方、各裏貫通スリット33は、両耳ヒモ25を使用者の耳Eに掛けることを阻害しないためのものであるから、この不阻害機能を害しない限り、かつ、重ね保持片5としての機能を棄損しない限り、どのような変形も可能であることは言うまでもない。たとえば、両耳ヒモ25と通過させる部分を切欠く方法も考えられる。そもそも重ね保持片5の形状が両耳ヒモ25の通過に支障のない形状であれば、スリットや切欠などを設ける必要さえない。なお、これまで説明してきた頭部装着部9は、仮面としての使用態様だけでなく、マスクホルダーとしての使用態様においても機能することを付言しておく。
【0038】
頭部装着部9は、これを省略してもよい。言い方を変えると、使用者は自分の手を頭部庄着部として活用できる。すなわち、
図3に示すように、使用者は手Hで仮面本体7を自分の顔にあてがうことで仮面本体7を装着すればよい。もっぱら顔Fへの装着を使用者の手Hのみで行うのであれば、貫通スリット31,31も省略可能である。
【0039】
(クリアファイルの応用)
図6~8を参照しながら説明する。
図5の符号101は、クリアファイル全体を示す。クリアファイル1は、一枚の矩形シート材を中央のシート折り曲げ辺103を介して二つ折りにすることで一方のシート片105と他方のシート片107との二枚重ねにするとともに、シート折り曲げ辺103の両隣接辺の一方(両方の場合もある)をシールしてなる、書類などをファイルするための部材である。クリアホルダーなどと呼ばれることもある。柔軟性のあるポリプロピレンなどの合成樹脂材により構成されるのが一般的であるが、適度な剛性をもった厚紙などで構成されることもある。透明・半透明であることが一般的であるが、不透明であっても構わない。クリアファイル101には、先に述べた仮面本体7の図柄が印刷されている。詳細は次項以下で説明する。
【0040】
(仮面本体の切り取り)
図7および8に示すように一方のシート片105に、シート折り曲げ辺103以外の周縁を囲む一方の切り取り線109(破線で示す)により一方のシート片105から切り取り可能に、これまで解説してきた仮面部3が形成(仮面部図柄が印刷)されている。シート折り曲げ辺103は、切り取らずに繋がったままにしておく。すなわち、シート折り曲げ辺103の繋がったままの部分は、仮面部3と後述のとおり別途に切り取りする重ね保持片5を繋げる部分、すなわち、折り曲げ辺11と一致する。一方、他方のシート片107に、シート折り曲げ辺103以外の周縁を囲み一方の切り取り線109と連続する他方の切り取り線111(破線で示す)により切り取り可能に、これまで解説してきた重ね保持片5が形成(重ね保持片図柄が印刷)されている。
図7は切り取り前の仮面本体7(仮面部3および重ね保持片5)を示し、
図8は切り取り後の仮面本体7を示す。
【0041】
図6から8に示すようにクリアファイル101には、上述した仮面本体7の図柄が印刷されているが、その周辺つまり
図8に示す仮面本体7が切り取られた後の残余部分にも適宜印刷を施すことができる。仮面本体7とは無関係の図柄(たとえば、配布者の広告宣伝の記載)でもよいし、仮面本体7と連続的もしくは統一的な図柄(たとえば、仮面部3のキャラクターに合わせた背景)でもよい。文字や数字なども図柄として活用可能である。
【0042】
図6に示すようにクリアファイル101は、そのまま書類などを収納する一般的なクリアファイルと同様に使用することができる。これを、たとえば野球場の観客に販売もしくは配布したと仮定する。購入もしくは配布された者は、このクリアファイル101に入場券やポスターなどのシート類を収納する一般的な使い方のほか、仮面本体7を切り取ることで仮面としての使用態様で使用したりマスクホルダーとしての使用態様で使用したりすることができる。
【0043】
(マスク保持構造の変形例)
図9および10を参照しながら説明する。本変形例のマスク保持構造が先の本実施形態のマスク保持構造と異なるのは、本実施形態で採用された重ね保持片5による挟み保持が本変形例では引っ掛け保持になっている点である。以下、具体的に説明する。
【0044】
仮面兼用マスクホルダー51は、仮面部53と引っ掛け部55を含めて構成されている。仮面部53は、その仮面態様のとき、使用者の顔Fの少なくとも目、鼻および口を一体的に覆う大きさと形状になっていることは、先に説明した仮面部5と共通する。仮面部53の表面、すなわち、使用者に面する面と反対側の面には、
図9に示すように、左右二つの目部53a,53aと、中央の鼻部53bと、幅部53bの下の口部53cが描かれている。さらに、仮面部53は、その周縁から左右に突き出る耳部55,55を備えている。
【0045】
両耳部55,55は、衛生マスク21の両ヒモ部25,25を引っ掛けることで、この衛生マスク21を仮面部53に保持するためのマスク保持構造として機能する(
図10)。両耳部55,55をマスク保持構造の代用部位として機能させているのは、仮面デザインとの調和がその理由の一つであるが、衛生マスク21を引っ掛け保持するために丁度良い位置にあること、仮面が衛生マスクをしているというユーモラスな意味合いを醸し出す効果もあることも理由である。一方、マスク保持構造は両耳部55,55でなければならない訳ではなく、様々な代用部位や専用部位がマスク保持構造として活用しうることを付言しておく。
【0046】
仮面兼用マスクホルダー51の仮面としての使用態様は、
図9に示すように、使用者の手Hで顔Fに装着する構成である。マスクホルダーとしての使用態様は、
図10に示すように、衛生マスク21の両耳ヒモ25,25を両耳部55,55に引っ掛けて、これを仮面本体51に保持する。そして衛生マスク21を上にするか、たとえばテーブルの上に敷いたティッシュペーパー(図示を省略)の上に衛生マスク21を下にしておけば衛生上の問題が生じにくい。図示は省略するが、適当なスタンドなどをつけて自立させたり、もしくは、壁などに立てかけたりしてもよい。
【0047】
以上説明した仮面兼用マスクホルダー1,51は、仮面としての使用態様と、マスクホルダーとしての使用態様とに使い分け可能であり、多分に遊び心を持ったものである。これにより、病気と密接に関係するためとかく暗いイメージを抱かれる衛生マスクのそのイメージを改善することができる。子供に対しては特に効果的である。
【符号の説明】
【0048】
1 仮面兼用マスクホルダー(仮面兼用マスクホルダー)
3 仮面部
3a 目部
3b 口部
5 マスク保持構造(重ね保持片)
7 仮面本体
9 頭部装着部
11 折り曲げ辺
13 保持空間
21 衛生マスク
23 マスク本体
25 耳ヒモ
31 貫通スリット
33 裏貫通スリット
51 仮面兼用マスクホルダー(仮面兼用マスクホルダー)
53 仮面部
53a 目部
53b 鼻部
53c 口部
55 耳部(引っ掛け部、マスク保持構造)
101 クリアファイル
103 折り曲げ辺
105 一方のシート片
107 他方のシート片
109 切り取り線
111 切り取り線
E (使用者の)耳
F (使用者の)顔
H (使用者の)手