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  • 特開-グラブ装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022085503
(43)【公開日】2022-06-08
(54)【発明の名称】グラブ装置
(51)【国際特許分類】
   B66C 3/18 20060101AFI20220601BHJP
   B66C 3/02 20060101ALI20220601BHJP
【FI】
B66C3/18
B66C3/02 F
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020197227
(22)【出願日】2020-11-27
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-04-07
(71)【出願人】
【識別番号】000154598
【氏名又は名称】株式会社福島製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 章一
【テーマコード(参考)】
3F004
【Fターム(参考)】
3F004PA08
3F004PB09
3F004PC30
(57)【要約】
【課題】爪に生じる衝撃や振動に起因する不具合を回避できるグラブ装置を提供する。
【解決手段】グラブ装置1は、ガーダ2に回動自在に支持されたねじ軸3でナット4を上下動するボールねじ5と、ガーダ2に対して上端が回動軸を介して連結され、各下端側が開閉し得るように構成された複数の爪7と、上端がナット4に連結され、下端が爪に連結された連結部材8と、ガーダ2に設けられたサーボモータ9と、サーボモータ9の回転軸に設けられた駆動プーリ10とねじ軸3に設けられた従動プーリ11との間に掛けられたタイミングベルト12と、タイミングベルト12に作用するロスタテンショナ13とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガーダと、
上下方向に延在し、前記ガーダに回動自在に支持されたねじ軸と、該ねじ軸により上下動されるナットとを有するボールねじと、
前記ガーダに対して各上端が回動軸を介して回動自在に連結され、該回動軸を中心とする回動により各下端側が相互に開閉し得るように構成された複数の爪と、
上端が前記ナットに回動自在に連結され、下端が前記爪における前記回動軸と前記下端側との間に回動自在に連結され、該ナットの上下動に応じて前記複数の爪を開閉させる爪毎の連結部材と、
前記ガーダに設けられたサーボモータと、
前記サーボモータの回転軸に設けられた駆動プーリと、
前記ねじ軸に設けられた従動プーリと、
前記駆動プーリと前記従動プーリとの間に掛けられたタイミングベルトと、
前記タイミングベルトに作用するロスタテンショナとを備えることを特徴とするグラブ装置。
【請求項2】
前記ガーダは、
底板及び天板と、
前記底板と前記天板とを接続し、上下方向に延びた複数の柱状部材と、
各連結部材との干渉を回避しつつ前記複数の柱状部材の外側を囲うようにして前記底板から前記天板に至るカバーとを備え、
前記サーボモータ、駆動プーリ、前記タイミングベルト、前記従動プーリ、及び前記ボールねじは前記カバー内に位置し、
前記連結部材の上端及び下端はそれぞれ前記カバーの内側及び外側に位置し、
前記爪及び前記回動軸は前記カバーの外側に位置することを特徴とする請求項1に記載のグラブ装置。
【請求項3】
前記サーボモータは、回転軸が上下方向に延在するようにして、前記柱状部材のうちの1つの内側に沿って配置されることを特徴とする請求項2に記載のグラブ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グラブ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、グラブ装置として、装置本体により支持されたねじ軸によって上下動されるナットを有するボールねじと、装置本体に対して各上端が回動軸を介して回動自在に連結された複数の把持部材と、上端が前記ナットに回動自在に連結され、下端が前記把持部材における前記上端の回動軸と下端側との間に回動自在に連結された把持部材毎の連結部材とを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1のグラブ装置では、ねじ軸をモータで減速歯車機構を介して回転させることにより前記ナットを上下動させ、複数の把持部材を開閉させるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭61-59276号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のグラブ装置によれば、把持部材が対象物を把持するときに把持部材に加えられる衝撃や振動がねじ軸を介して減速歯車機構やモータに伝達され、不具合の原因になる恐れがある。
【0006】
本発明の目的は、かかる従来技術の課題に鑑み、把持部材に生じる衝撃や振動に起因する不具合を回避できるグラブ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のグラブ装置は、
ガーダと、
上下方向に延在し、前記ガーダに回動自在に支持されたねじ軸と、該ねじ軸により上下動されるナットとを有するボールねじと、
前記ガーダに対して各上端が回動軸を介して回動自在に連結され、該回動軸を中心とする回動により各下端側が相互に開閉し得るように構成された複数の爪と、
上端が前記ナットに回動自在に連結され、下端が前記爪における前記回動軸と前記下端側との間に回動自在に連結され、該ナットの上下動に応じて前記複数の爪を開閉させる爪毎の連結部材と、
前記ガーダに設けられたサーボモータと、
前記サーボモータの回転軸に設けられた駆動プーリと、
前記ねじ軸に設けられた従動プーリと、
前記駆動プーリと前記従動プーリとの間に掛けられたタイミングベルトと、
前記タイミングベルトに作用するロスタテンショナとを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、サーボモータにより、駆動プーリ、タイミングベルト、及び従動プーリを介してねじ軸が回転され、ボールねじのナットが上下動する。これにより、各連結部材を介して各爪が開閉動作を行う。
【0009】
この開閉動作に際して、対象物を把持・解放するときに各爪に生じる振動や衝撃が、サーボモータからボールねじに至る動力伝達系に伝達する。しかし、この動力伝達系は、駆動プーリ、タイミングベルト、及び従動プーリを用いて構成され、かつタイミングベルトにはロスタテンショナが作用するので、生じた振動は、動力伝達系において適切に減衰され、吸収される。これにより、爪に生じる衝撃や振動に起因する装置の不具合を回避することができる。
【0010】
本発明において、
前記ガーダは、
底板及び天板と、
前記底板と前記天板とを接続し、上下方向に延びた複数の柱状部材と、
各連結部材との干渉を回避しつつ前記複数の柱状部材の外側を囲うようにして前記底板から前記天板に至るカバーとを備え、
前記サーボモータ、駆動プーリ、前記タイミングベルト、前記従動プーリ、及び前記ボールねじは前記カバー内に位置し、
前記連結部材の上端及び下端はそれぞれ前記カバーの内側及び外側に位置し、
前記爪及び前記回動軸は前記カバーの外側に位置するのが好ましい。
【0011】
これによれば、サーボモータからボールねじに至る動力伝達系がカバー内に位置するので、塵埃などが動力伝達系に悪影響を及ぼすのを防止することができる。
【0012】
本発明において、前記サーボモータは、回転軸が上下方向に延在するようにして前記柱状部材のうちの1つの内側に沿って配置されるのが好ましい。これによれば、カバー内に動力伝達系をコンパクトに配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係るグラブ装置の要部を示す正面図である。
図2図1のグラブ装置の平面図である。
図3図1のA-A線断面図である。
図4図1のB-B線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を用いて本発明の実施形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るグラブ装置を示す。図1に示すように、このグラブ装置1は、ガーダ2と、上下方向に延在し、ガーダ2に回動自在に支持されたねじ軸3と、ねじ軸3により上下動されるナット4とを有するボールねじ5とを備える。
【0015】
ガーダ2に対しては、各上端が回動軸6を介して回動自在に連結された4本の爪7が設けられる。4本の爪7は、回動軸6を中心とする回動により下端側が相互に開閉し得るように構成される。なお、図1では、4本の爪7のうち、左右の2本を表示し、前後の2本の表示は省略している。
【0016】
ナット4と各爪7との間には、上端がナット4に回動自在に連結され、下端が爪7の上端の回動軸6と下端側との間に回動自在に連結された連結部材8が設けられる。連結部材8は、ナット4の上下動により4本の爪7が開閉するように、爪7毎に設けられる。連結部材8の上端のナット4への連結は、連結軸8aを介して行われる。連結部材8の下端の爪7への連結は、連結軸8bを介して行われる。
【0017】
また、グラブ装置1は、ガーダ2に設けられたサーボモータ9と、サーボモータ9の回転軸に設けられた駆動プーリ10と、ねじ軸3に設けられた従動プーリ11と、駆動プーリ10と従動プーリ11との間に掛けられたタイミングベルト12と、タイミングベルト12に作用するロスタテンショナ13とを備える。
【0018】
ロスタテンショナ13は、タイミングベルト12のテンションを調整するとともに、衝撃発生時にタイミングベルト12に生じる撓みや振動に追従する機能を有する。サーボモータ9の回転軸と、駆動プーリ10との間には、該回転軸の回転を減速して駆動プーリ10に伝達する減速機14が介在する。
【0019】
ガーダ2は、正方形状の底板15及び円板状の天板16と、底板15と天板16とを接続し、上下方向に平行に延びた4本の柱状部材17とを備える。天板16には、クレーンでグラブ装置1を吊り下げるための吊下げ材19が設けられる。
【0020】
図2は、グラブ装置1を上方から見た様子を示す。図4は、図1のB-B線断面図である。図2図4に示すように、ガーダ2には、各連結部材8との干渉を回避しつつ複数の柱状部材17の外側を囲うようにして底板15から天板16に至るカバー18(図1では図示していない)が設けられる。また、ナット4を上下方向に案内するガイドロッド4a(図1では図示していない)が設けられる。
【0021】
図3は、図1のA-A線断面図である。図3に示すように、天板16近傍の4本の柱状部材17に囲まれた領域には、これらの柱状部材17に四隅が固定され、天板16に平行な板面を有する取付ブラケット20が設けられる。
【0022】
図1に示すように、ねじ軸3は、底板15及び天板16の中心を結ぶ線上に位置する。ねじ軸3の上端側は、取付ブラケット20により軸受け21を介して支持される。ねじ軸3の下端側は、底板15により、荷重を受ける軸受け22を介して支持される。
【0023】
柱状部材17としては、H型鋼を用いることができる。4本の柱状部材17の下端は、正方形状の底板15のほぼ四隅に位置する。4本の柱状部材17のうちの1本の柱状部材17aは、それを構成するH型鋼の一方の面がねじ軸3の方を向くように配置される。
【0024】
各爪7の回動軸6は、各隣り合う柱状部材17の中間部分において底板15に固定された片持ブラケット23により、それぞれ正方形状の底板15の該正方形の各辺に平行となるように、かつ底板15の外側に位置するように支持される。したがって、4つの爪7及び4つの連結部材8は、ねじ軸3及びナット4とともに、ねじ軸3の中心線を通り、相互に直交する2つの面に沿って駆動する4つのリンク機構を構成する。
【0025】
駆動プーリ10及び従動プーリ11は、取付ブラケット20と天板16との間に配置される。サーボモータ9、駆動プーリ10、タイミングベルト12、従動プーリ11、及びボールねじ5は、カバー18の内側に位置する。各連結部材8の上端及び下端の連結軸8a、8bは、それぞれカバー18の内側及び外側に位置する。爪7及び回動軸6は、カバー18の外側に位置する。
【0026】
サーボモータ9は、その回転軸が上下方向に延在するようにして、一方の面がねじ軸3の方を向いた柱状部材17aの該一方の面に沿って配置される。
【0027】
この構成において、図1のように4本の爪7が閉じた状態において、サーボモータ9を所定量回転させることにより、4本の爪7を、図1中の二点鎖線で示されるような開状態に移行させることができる。
【0028】
すなわち、サーボモータ9を一方向に回転させると、駆動プーリ10、タイミングベルト12及び従動プーリ11を介してねじ軸3が回転される。これにより、ナット4が上昇し、各連結部材8の上端を上方に引き上げる。これに伴い、各連結部材8の下端が各回動軸6を中心として、各爪7とともに上方に回動し、4つの爪7の下端側が相互に離れてゆく。
【0029】
サーボモータ9の回転量が所定量に達すると、図1において2点鎖線で示されるように、4つの爪7が、例えば閉状態から75°程度回動した開状態となる。
【0030】
この後、サーボモータ9を逆方向に所定量回転させることにより、4つの爪7を逆方向に回動させ、図1の実線で示した閉状態に遷移させ、対象物を掴むことができる。
【0031】
このようにして爪7の開閉を繰り返して対象物の把持及び解放を繰り返す際に、サーボモータ9が発生するトルクを制限しておくことにより、対象物が4つの爪7の間に挟まった場合には、自動的にサーボモータ9を停止させることができる。
【0032】
この場合、クレーンを上昇させることにより、挟まっている対象物が落下した場合には、再度サーボモータ9による閉動作が、4つの爪7の回動位置に対応する位置信号を検出しながら行われる。そして、位置信号が、4つの爪7が図1のような閉状態に達したことを示したとき、サーボモータ9は停止される。
【0033】
この場合、サーボモータ9の制御部は、4つの爪7が確実に閉状態となっていることを位置信号に基づいて認識できるので、いわゆる追い掴みを実行する必要はない。追い掴みとは、油圧でグラブ装置を駆動する場合に行われる動作であり、クレーンを上昇させた後にさらに行われる閉動作である。
【0034】
なお、上記閉状態としては、4つの爪7の先端のうちの対向するもの同士が、相互に若干、例えば200mm程度離れた状態を採用してもよい。
【0035】
このような開閉動作に際して、対象物を把持・解放するときに各爪7に生じる振動や衝撃が、底板15や連結部材8を介して、サーボモータ9からボールねじ5に至る動力伝達系に伝達し、グラブ装置1の不具合の原因になる恐れがある。
【0036】
しかし、この動力伝達系は、駆動プーリ10、タイミングベルト12、及び従動プーリ11を用いて構成され、さらにタイミングベルト12にはロスタテンショナ13が作用している。このため、生じた振動や衝撃は、動力伝達系において適切に減衰され、吸収される。したがって、爪7に生じる衝撃や振動によりグラブ装置1に不具合が生じることは回避される。
【0037】
以上のように、本発明によれば、サーボモータ9からボールねじ5に至る動力伝達系に、タイミングベルト12やこれに作用するロスタテンショナ13を用いているので、爪7に生じる衝撃や振動によりグラブ装置1に不具合が生じるのを回避することができる。
【0038】
また、サーボモータ9からボールねじ5に至る動力伝達系がカバー18内に位置するので、塵埃などが動力伝達系に悪影響を及ぼすのを防止することができる。
【0039】
また、サーボモータ9は、その回転軸が上下方向に延在するようにして柱状部材17aの内側の面に沿って配置されるので、カバー18内に駆動系をコンパクトに配置することができる。
【0040】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、グラブ装置は、クシ歯グラブに限らず、バケットグラブであってもよい。
【符号の説明】
【0041】
1…グラブ装置、2…ガーダ、3…ねじ軸、4…ナット、4a…ガイドロッド、5…ボールねじ、6…回動軸、7…爪、8…連結部材、8a、8b…連結軸、9…サーボモータ、10…駆動プーリ、11…従動プーリ、12…タイミングベルト、13…ロスタテンショナ、14…減速機、15…底板、16…天板、17、17a…柱状部材、18…カバー、19…吊下げ材、20…取付ブラケット、21…軸受け、22…軸受け、23…片持ブラケット。
図1
図2
図3
図4