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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022085504
(43)【公開日】2022-06-08
(54)【発明の名称】グラブ装置
(51)【国際特許分類】
   B66C 3/18 20060101AFI20220601BHJP
   B66C 3/02 20060101ALI20220601BHJP
【FI】
B66C3/18
B66C3/02 A
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020197228
(22)【出願日】2020-11-27
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-08-11
(71)【出願人】
【識別番号】000154598
【氏名又は名称】株式会社福島製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 章一
【テーマコード(参考)】
3F004
【Fターム(参考)】
3F004PB09
3F004PC30
(57)【要約】
【課題】対象物を支障なく掴むことができるグラブ装置を提供する。
【解決手段】グラブ装置1は、ガーダ2に第1、第2主軸3、4を介して回動自在に設けられた第1、第2バケット5、6を有するバケット7と、第1、第2バケット5、6を回動させてバケット7を開閉する開閉駆動手段9とを備える。開閉駆動手段9は、第1、第2バケット5、6により、第1、第2主軸3、4よりも上方に位置する第1、第2回動軸10、11を介して回動自在にそれぞれ支持された第1、第2部材12、13を近接・離間方向に案内するすべり案内手段14と、第1、第2部材12、13の間に設けられたボールねじ15a、15bを駆動するねじ駆動手段16とを備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガーダと、
前記ガーダに第1、第2主軸を介してそれぞれ回動自在に取り付けられた第1、第2バケットを有するグラブと、
前記第1、第2バケットを回動させて前記グラブを開閉する開閉駆動手段とを備え、
前記開閉駆動手段は、
前記第1、第2バケットにより、前記第1、第2主軸よりも上方に位置する第1、第2回動軸を介して回動自在にそれぞれ支持された第1、第2部材と、
前記第1、第2部材をこれらが近接・離間する方向に案内するすべり案内手段と、
前記すべり案内手段が固定された駆動ベースと、
前記近接・離間方向に延在する第1、第2ねじ軸をそれぞれ有し、前記第1、第2部材を該近接・離間方向にそれぞれ駆動するための第1、第2ボールねじと、
前記第1、第2ボールねじを駆動して、前記第1、第2バケットを回動させるねじ駆動手段とを備えることを特徴とするグラブ装置。
【請求項2】
前記第1、第2ボールねじは、
前記第1、第2ねじ軸にそれぞれ設けられた左ねじ及び右ねじと、
前記第1、第2部材にそれぞれ設けられて前記左ねじ及び右ねじにそれぞれ螺合する第1、第2ナットとをそれぞれ備えることを特徴とする請求項1に記載のグラブ装置。
【請求項3】
前記第1、第2ねじ軸は1本のねじ軸を構成しており、
前記ねじ駆動手段は、
前記駆動ベースに固定され、回転軸を有するサーボモータと、
前記回転軸に固定された駆動プーリと、
前記1本のねじ軸に固定された従動プーリと、
前記駆動プーリと前記従動プーリとの間に掛けられたタイミングベルトとを備えることを特徴とする請求項2に記載のグラブ装置。
【請求項4】
前記第1、第2ねじ軸の間には、中間軸が設けられ、
前記駆動ベースには、
前記第1ねじ軸と前記中間軸との間の接続を断続する第1クラッチと、
前記第2ねじ軸と前記中間軸との間の接続を断続する第2クラッチとが設けられ、
前記ねじ駆動手段は、前記中間軸を回転させることにより、前記第1、第2クラッチを介して前記第1、第2ボールねじを別個に又は同時に駆動するものであることを特徴とする請求項2に記載のグラブ装置。
【請求項5】
前記ねじ駆動手段は、
前記駆動ベースに固定され、回転軸を有するサーボモータと、
前記回転軸に固定された駆動プーリと、
前記中間軸に固定された従動プーリと、
前記駆動プーリと前記従動プーリとの間に掛けられたタイミングベルトとを備えることを特徴とする請求項4に記載のグラブ装置。
【請求項6】
前記ねじ駆動手段は、
前記駆動ベースに固定され、それぞれ回転軸を有する第1、第2サーボモータと、
前記第1、第2サーボモータの前記回転軸にそれぞれ固定された第1、第2駆動プーリと、
前記第1、第2ボールねじにそれぞれ固定された第1、第2従動プーリと、
前記第1、第2駆動プーリと前記第1、第2従動プーリとの間にそれぞれ掛けられた第1、第2タイミングベルトとを備えることを特徴とする請求項1に記載のグラブ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グラブ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、グラブ装置として、ベースプレートと、ベースプレートに取り付けられてその下方で開閉する一対のバケットからなるグラブと、該一対のバケットを回動させてグラブを開閉するバケット駆動機構とを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1のグラブ装置では、バケット駆動機構としてモータの出力により一対のバケットに開閉動作を行わせるものを採用している。すなわち、モータを動作させると、昇降用ナットが駆動されてベースプレートが支柱に対して上下動すると同時に、開閉用ナットが駆動されてベースプレートに対して開閉用送りねじが昇降し、これにより一対のバケットが開閉するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-19561号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のグラブ装置によれば、ベースプレートに対して開閉用送りねじが昇降し、これにより一対のバケットが開閉するようになっているので、バケットが開いたとき、下降した開閉用送りねじの先端部が対象物に接触して、対象物を掴むのに支障を来たすおそれがある。
【0006】
本発明の目的は、かかる従来技術の課題に鑑み、対象物を支障なく掴むことができるグラブ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のグラブ装置は、
ガーダと、
前記ガーダに第1、第2主軸を介してそれぞれ回動自在に取り付けられた第1、第2バケットを有するグラブと、
前記第1、第2バケットを回動させて前記グラブを開閉する開閉駆動手段とを備え、
前記開閉駆動手段は、
前記第1、第2バケットにより、前記第1、第2主軸よりも上方に位置する第1、第2回動軸を介して回動自在にそれぞれ支持された第1、第2部材と、
前記第1、第2部材をこれらが近接・離間する方向に案内するすべり案内手段と、
前記すべり案内手段が固定された駆動ベースと、
前記近接・離間方向に延在する第1、第2ねじ軸をそれぞれ有し、前記第1、第2部材を該近接・離間方向にそれぞれ駆動するための第1、第2ボールねじと、
前記第1、第2ボールねじを駆動して、前記第1、第2バケットを回動させるねじ駆動手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、ねじ駆動手段により第1、第2ボールねじの第1、第2ねじ軸を回転することにより、第1、第2部材を、すべり案内手段による案内に従って近接・離間方向に駆動することができる。このとき、第1、第2ねじ軸を別個に回転させることにより、第1、第2バケットを別個に回動させ、第1、第2バケットを別個に開閉させることができる。また、第1、第2ボールねじを同時に回転させることにより、第1、第2バケットを同時に回動させ、第1、第2バケットを同時に開閉させることができる。
【0009】
この間、第1、第2部材を駆動する第1、第2ねじ軸は、第1、第2部材が近接・離間する方向に延在するので、常に、第1、第2主軸よりも上方に位置する。また、第1、第2バケットは、第1、第2主軸よりも下側の部分が開閉して対象物を扱う。このため、グラブ装置は、第1、第2ねじ軸などが邪魔になることなく、対象物を扱うことができる。
【0010】
また、開閉駆動手段をガーダとは分離した一体物として構成し、この一体物を第1、第2バケット上に第1、第2回動軸を介して支持することができる。したがって、グラブの開閉に際しては、第1、第2回動軸がガーダに対して上下方向に変位するが、これとともに該一体物が上下方向に変位するので、支障なくグラブの開閉を行うことができる。
【0011】
本発明において、
前記第1、第2ボールねじは、
前記第1、第2ねじ軸にそれぞれ設けられた左ねじ及び右ねじと、
前記第1、第2部材にそれぞれ設けられて前記左ねじ及び右ねじにそれぞれ螺合する第1、第2ナットとをそれぞれ備えるのが好ましい。
【0012】
これによれば、第1、第2ねじ軸を一体的に一方向又は他方向に回転させるだけで、第1、第2バケットを同時に開閉させることができる。
【0013】
この場合、
前記第1、第2ねじ軸は1本のねじ軸を構成しており、
前記ねじ駆動手段は、
前記駆動ベースに固定され、回転軸を有するサーボモータと、
前記回転軸に固定された駆動プーリと、
前記1本のねじ軸に固定された従動プーリと、
前記駆動プーリと前記従動プーリとの間に掛けられたタイミングベルトとを備えてもよい。
【0014】
これによれば、サーボモータを使用することによる通常の利点に加え、グラブが全閉状態になったことを、サーボモータを制御する際の第1、第2バケットの位置を示す信号により、確実に認識することができる。
【0015】
本発明において、
前記第1、第2ねじ軸の間には、中間軸が設けられ、
前記駆動ベースには、
前記第1ねじ軸と前記中間軸との間の接続を断続する第1クラッチと、
前記第2ねじ軸と前記中間軸との間の接続を断続する第2クラッチとが設けられ、
前記ねじ駆動手段は、前記中間軸を回転させることにより、前記第1、第2クラッチを介して前記第1、第2ボールねじを別個に又は同時に駆動するものであるのが好ましい。
【0016】
これによれば、第1、第2クラッチにより第1ねじ軸と中間軸とを接続し、第2ねじ軸と中間軸との接続を切断状態とすることにより、第1バケットのみを回動させることができる。また、第1ねじ軸と中間軸との接続を切断状態とし、第2ねじ軸と中間軸とを接続状態とすることにより、第2バケットのみを回動させることができる。また、第1、第2ねじ軸と中間軸との間をいずれも接続状態とすることにより、第1、第2バケットを同時に回動させ、開閉することができる。
【0017】
この場合、
前記ねじ駆動手段は、
前記駆動ベースに固定され、回転軸を有するサーボモータと、
前記回転軸に固定された駆動プーリと、
前記中間軸に固定された従動プーリと、
前記駆動プーリと前記従動プーリとの間に掛けられたタイミングベルトとを備えるのが好ましい。
【0018】
これによれば、サーボモータを使用することによる通常の利点に加え、グラブが全閉状態になったことを、サーボモータを制御する際の第1、第2バケットの位置を示す信号により、確実に認識することができる。
【0019】
本発明において、
前記ねじ駆動手段は、
前記駆動ベースに固定され、それぞれ回転軸を有する第1、第2サーボモータと、
前記第1、第2サーボモータの前記回転軸にそれぞれ固定された第1、第2駆動プーリと、
前記第1、第2ボールねじにそれぞれ固定された第1、第2従動プーリと、
前記第1、第2駆動プーリと前記第1、第2従動プーリとの間にそれぞれ掛けられた第1、第2タイミングベルトとを備えてもよい。
【0020】
これによれば、第1、第2サーボモータを個別に制御することにより、第1、第2バケットを別個に又は同時に開閉させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態に係るグラブ装置の正面図である。
図2図1の左側面図である。
図3図2のIII-III線断面図である。
図4】本発明の別の実施形態に係るグラブ装置の断面図である。
図5】本発明のさらに別の実施形態に係るグラブ装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を用いて本発明の実施形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るグラブ装置を示す。図1に示すように、このグラブ装置1は、ガーダ2と、ガーダ2に第1、第2主軸3、4を介してそれぞれ取り付けられた第1、第2バケット5、6を有するバケット7とを備える。ガーダ2には、グラブ装置1をクレーン等で吊り下げるための吊り下げチェーン8の先端部が固定される。バケット7としては、本実施形態ではバケット式のものが用いられる。
【0023】
図2は、図1のグラブ装置1を左側から見た様子を示す。図2に示すように、グラブ装置1は、第1、第2バケット5、6を回動させてバケット7を開閉する開閉駆動手段9を備える。
【0024】
図3は、図2のIII-III線断面図である。ただし、ガーダ2及びバケット7については、外形のみを部分的に二点鎖線で示している。したがって、図3では、主として開閉駆動手段9が実線で示されている。
【0025】
図3に示すように、開閉駆動手段9は、第1、第2バケット5、6により第1、第2回動軸10、11を介して回動自在にそれぞれ支持された第1、第2部材12、13と、第1、第2部材12、13をこれらが相互に近接・離間する方向に案内するすべり案内手段14とを備える。第1、第2回動軸10、11は、第1、第2主軸3、4よりも上方に位置する。
【0026】
開閉駆動手段9は、さらに、第1、第2部材12、13を該近接・離間方向にそれぞれ駆動するための第1、第2ボールねじ15a、15bと、第1、第2ボールねじ15a、15bを駆動するねじ駆動手段16とを備える。第1、第2ボールねじ15a、15bは、前記近接・離間方向に延在する第1、第2ねじ軸24a、24bをそれぞれ有する。
【0027】
すべり案内手段14は、第1、第2部材12、13にそれぞれ設けられた第1、第2被案内部17、18と、第1、第2被案内部17、18を前記近接・離間する方向にそれぞれ案内する第1、第2案内部19、20と、第1、第2案内部19、20が固定された駆動ベース21とを備える。
【0028】
第1、第2被案内部17、18としては、例えば、LM(Linear Motion)ブロックを用いるのが好ましい。これに対応し、第1、第2案内部19、20として、LMレールを用いるのが好ましい。
【0029】
第1、第2ボールねじ15a、15bの第1、第2ねじ軸24a、24bは、カップリング27で連結されて1本のねじ軸を構成する。この1本のねじ軸の一方側及び他方側には、それぞれ左ねじ22及び右ねじ23が設けられる。第1、第2ボールねじ15a、15bは、左ねじ22及び右ねじ23と、第1、第2部材12、13にそれぞれ設けられて左ねじ22及び右ねじ23に螺合する第1、第2ナット25、26とをそれぞれ備える。
【0030】
カップリング27で連結された第1、第2ねじ軸24a、24bは、駆動ベース21に設けられた軸受け28により支持される。開閉駆動手段9は、カップリング27で連結された第1、第2ねじ軸24a、24bを一方及び他方に回転させてバケット7を開閉するものである。
【0031】
ねじ駆動手段16は、回転軸としてのモータ軸29を有するサーボモータ30と、モータ軸29に固定された駆動プーリ31と、第2ねじ軸24bに固定された従動プーリ32と、駆動プーリ31と従動プーリ32との間に掛けられたタイミングベルト33とを備える。サーボモータ30は、駆動ベース21に固定される。タイミングベルト33の途中の両側には、図2に示すように(図3では不図示)、タイミングベルト33の伸びを吸収して適正な張力を維持するために、ロスタテンショナ34が設けられる。
【0032】
開閉駆動手段9は、ガーダ2とは分離して別個に一体的に移動可能な一体物として構成される。この一体物は、第1、第2バケット5、6上に第1、第2回動軸10、11を介して支持される。したがって、第1、第2バケット5、6が回動してバケット7が開閉する際に、第1、第2回動軸10、11が上下方向に変位するが、これに伴って開閉駆動手段9も、上下方向に変位する。
【0033】
この構成において、図1のようにバケット7が閉じた状態において、サーボモータ30を所定量回転させることにより、バケット7を、図1中の二点鎖線で示されるような所定の開状態に移行させることができる。
【0034】
すなわち、サーボモータ30により第1、第2ねじ軸24a、24bを一方向に回転させると、左ねじ22及び右ねじ23にそれぞれ噛み合っている第1、第2ナット25、26が、すべり案内手段14による案内に従って、相互に近接する方向に移動する。これに伴って、第1、第2回動軸10、11も相互に近接する方向に同じ距離だけ移動する。
【0035】
これにより、第1、第2バケット5、6がそれぞれ第1、第2主軸3、4を中心として回動するので、第1、第2バケット5、6の先端側が相互に離間する方向に回動し、バケット7が開いた状態となる。
【0036】
このようにしてバケット7が所定の開状態に移行するまでの間に、第1、第2回動軸10、11は、第1、第2バケット5、6とともに、それぞれ第1、第2主軸3、4を中心として軌跡T1、T2に沿って回動するので、下方に距離dだけ変位する。したがって、第1、第2回動軸10、11を介して第1、第2バケット5、6により支持されている開閉駆動手段9も下方に距離dだけ変位する。
【0037】
ただし、開閉駆動手段9は、第1、第2主軸3、4よりも下方に変位することはない。したがって、開状態のバケット7を、それにより掴もうとする対象物に対して支障なく近接させることができる。
【0038】
この近接の後、サーボモータ30により第1、第2ねじ軸24a、24bを、上述とは逆の他方向に回転させることにより、第1、第2バケット5、6を逆方向に回動させることができる。すなわち、サーボモータ30を、第1、第2バケット5、6が閉位置に達したことが検出されるまで回転させることにより、バケット7を、図1中の実線で示した閉状態に遷移させ、対象物を掴むことができる。
【0039】
このようにしてバケット7の開閉を繰り返して対象物の把持及び解放を繰り返す際に、サーボモータ30が発生するトルクを制限しておくことにより、対象物が第1、第2バケット5、6の間に挟まった場合には、自動的にサーボモータ30を停止させることができる。
【0040】
この場合、クレーンを上昇させることにより、挟まっている対象物が落下した場合には、再度サーボモータ30による閉動作が、第1、第2バケット5、6の位置に対応する位置信号を検出しながら行われる。そして、位置信号が、第1、第2バケット5、6が全閉位置に達したこと、すなわちバケット7が全閉状態になったことを示したとき、サーボモータ30は停止される。
【0041】
この場合、バケット7が確実に全閉位置に達しているので、いわゆる追い掴みは行う必要がない。追い掴みとは、油圧でグラブを駆動する場合に行われる動作であり、クレーンを上昇させた後にさらに行われる閉動作である。
【0042】
以上のように、本実施形態のグラブ装置1によれば、開閉駆動手段9の第1、第2ボールねじ15a、15bなどが、第1、第2主軸3、4よりも上方に位置するので、第1、第2ボールねじ15a、15bなどが邪魔になることなく、バケット7を対象物に近接させて、対象物を掴むことができる。
【0043】
また、第1、第2バケット5、6による開閉動作がサーボモータ30により制御されるので、バケット7が閉状態になったことを確実に認識することができる。
【0044】
また、開閉駆動手段9をガーダ2とは分離した一体物として構成したので、バケット7の開閉駆動時に、第1、第2回動軸10、11の上下方向への変位に伴って開閉駆動手段9も上下方向に変位する。これにより、バケット7の開閉駆動に応じて開閉駆動手段9を別途上下方向に移動可能に案内する必要なく、簡便な構成で、バケット7の開閉駆動を行うことができる。
【0045】
図4は、本発明の別の実施形態に係るグラブ装置の断面図である。図4に示すように、このグラブ装置1bのねじ駆動手段16bは、駆動ベース21に固定され、それぞれ回転軸を有する第1、第2サーボモータ30b、30cと、第1、第2サーボモータ30b、30cの回転軸にそれぞれ固定された第1、第2駆動プーリ31b、31cとを備える。
【0046】
第1、第2ボールねじ15c、15dの第1、第2ねじ軸24c、24dには、それぞれ第1、第2従動プーリ32b、32cが固定される。第1、第2駆動プーリ31b、31cと第1、第2従動プーリ32b、32cのそれぞれの間には、第1、第2タイミングベルト33b、33cがそれぞれ掛けられる。第1、第2ねじ軸24c、24dは、それぞれ第1、第2従動プーリ32b、32cの両側において軸受け28により別個に支持され、別個に駆動される。
【0047】
本実施形態においては、第1、第2サーボモータ30b、30cが個別に制御される。これにより、第1、第2バケット5、6を別個に又は同時に開閉させることができる。他の点については、上述の図1図3の実施形態の場合と同様である。
【0048】
図5は、本発明のさらに別の実施形態に係るグラブ装置の断面図である。図5に示すように、このグラブ装置1cにおいては、第1、第2ボールねじ15e、15fの第1、第2ねじ軸24e、24fの間に、中間軸35が、軸受け28で支持されて設けられる。
【0049】
駆動ベース21には、第1ねじ軸24eと中間軸35との間の接続を断続する第1クラッチ36と、第2ねじ軸24fと中間軸35との間の接続を断続する第2クラッチ37とが設けられる。第1、第2クラッチ36、37としては、例えば電磁クラッチを用いることができる。
【0050】
ねじ駆動手段16cは、サーボモータ30により、駆動プーリ31、タイミングベルト33、及び中間軸35に固定された従動プーリ32cを介して中間軸35を回転させる。中間軸35の回転は、第1、第2クラッチ36、37を介して、第1、第2ボールねじ15e、15fに選択的に、又は同時に伝達される。
【0051】
すなわち、第1、第2クラッチ36、37により、第1ねじ軸24eと中間軸35とを接続し、かつ第2ねじ軸24fと中間軸35との接続を切断状態とすることにより、第1バケット5のみを回動させることができる。また、第1ねじ24eと中間軸35との接続を切断状態とし、第2ねじ軸24fと中間軸35とを接続状態とすることにより、第2バケット6のみを回動させることができる。
【0052】
また、第1、第2ねじ軸24e、24fと中間軸35との各間をいずれも接続状態とすることにより、第1、第2バケット5、6を同時に回動させ、開閉することができる。
【0053】
したがって、本実施形態によれば、1つのサーボモータ30により、図4の実施形態の場合と同様に、第1、第2バケット5、6を、個別に又は同時に回動させ、開閉することができる。
【0054】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、グラブは、バケットグラブに限らず、クシ歯グラブであってもよい。
【符号の説明】
【0055】
1、1b、1c…グラブ装置、2…ガーダ、3…第1主軸、4…第2主軸、5…第1バケット、6…第2バケット、7…バケット、8…吊り下げチェーン、9、9b、9c…開閉駆動手段、10…第1回動軸、11…第2回動軸、12…第1部材、13…第2部材、14…すべり案内手段、15a~15f…ボールねじ、16、16b、16c…ねじ駆動手段、17…第1被案内部、18…第2被案内部、19…第1案内部、20…第2案内部、21…駆動ベース、22…左ねじ、23…右ねじ、24a、24c、24e…第1ねじ軸、24b、24d、24f…第2ねじ軸、25…第1ナット、26…第2ナット、27…カップリング、28…軸受け、30、30b、30c…サーボモータ、31、31b、31c…駆動プーリ、32、32b、32c…従動プーリ、33、33b、33c…タイミングベルト、34…ロスタテンショナ、T1、T2…軌跡。
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2021-02-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項1】
ガーダと、
前記ガーダに第1、第2主軸を介してそれぞれ回動自在に取り付けられた第1、第2バケットを有するグラブと、
前記第1、第2バケットを回動させて前記グラブを開閉する開閉駆動手段とを備え、
前記開閉駆動手段は、
前記第1、第2バケットにより、前記第1、第2主軸よりも前記グラブの開閉する側と反対側に位置する第1、第2回動軸を介して回動自在にそれぞれ直接支持された第1、第2部材と、
前記第1、第2部材をこれらが近接・離間する方向に案内するすべり案内手段と、
前記すべり案内手段が固定された駆動ベースと、
前記近接・離間方向に延在する第1、第2ねじ軸をそれぞれ有し、前記第1、第2部材を該近接・離間方向にそれぞれ駆動するための第1、第2ボールねじと、
前記第1、第2ボールねじを駆動して、前記第1、第2バケットを回動させるねじ駆動手段とを備えることを特徴とするグラブ装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本発明のグラブ装置は、
ガーダと、
前記ガーダに第1、第2主軸を介してそれぞれ回動自在に取り付けられた第1、第2バケットを有するグラブと、
前記第1、第2バケットを回動させて前記グラブを開閉する開閉駆動手段とを備え、
前記開閉駆動手段は、
前記第1、第2バケットにより、前記第1、第2主軸よりも前記グラブの開閉する側と反対側に位置する第1、第2回動軸を介して回動自在にそれぞれ直接支持された第1、第2部材と、
前記第1、第2部材をこれらが近接・離間する方向に案内するすべり案内手段と、
前記すべり案内手段が固定された駆動ベースと、
前記近接・離間方向に延在する第1、第2ねじ軸をそれぞれ有し、前記第1、第2部材を該近接・離間方向にそれぞれ駆動するための第1、第2ボールねじと、
前記第1、第2ボールねじを駆動して、前記第1、第2バケットを回動させるねじ駆動手段とを備えることを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項4
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項4】
前記第1、第2ねじ軸の間には、中間軸が設けられ、
前記駆動ベースには、
前記第1ねじ軸と前記中間軸との間の接続を断続する第1クラッチと、
前記第2ねじ軸と前記中間軸との間の接続を断続する第2クラッチとが設けられ、
前記ねじ駆動手段は、前記中間軸を回転させることにより、前記第1、第2クラッチを介して前記第1、第2ボールねじを別個に又は同時に駆動するものであることを特徴とする請求項1に記載のグラブ装置。
【手続補正書】
【提出日】2021-05-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガーダと、
前記ガーダに第1、第2主軸を介してそれぞれ回動自在に取り付けられた第1、第2バケットを有するグラブと、
前記第1、第2バケットを回動させて前記グラブを開閉する開閉駆動手段とを備え、
前記開閉駆動手段は、
前記第1、第2バケットにより、前記第1、第2主軸よりも前記グラブの開閉する側と反対側に位置する第1、第2回動軸を介して回動自在にそれぞれ直接支持された第1、第2部材と、
前記第1、第2部材をこれらが近接・離間する方向に案内するすべり案内手段と、
前記すべり案内手段が固定された駆動ベースと、
前記近接・離間方向に延在する第1、第2ねじ軸をそれぞれ有し、前記第1、第2部材を該近接・離間方向にそれぞれ駆動するための第1、第2ボールねじと、
前記第1、第2ボールねじを駆動して、前記第1、第2バケットを回動させるねじ駆動手段とを備え、
前記第1、第2ねじ軸の間には、中間軸が設けられ、
前記駆動ベースには、
前記第1ねじ軸と前記中間軸との間の接続を断続する第1クラッチと、
前記第2ねじ軸と前記中間軸との間の接続を断続する第2クラッチとが設けられ、
前記ねじ駆動手段は、前記中間軸を回転させることにより、前記第1、第2クラッチを介して前記第1、第2ボールねじを別個に又は同時に駆動するものであることを特徴とするグラブ装置。
【請求項2】
前記第1、第2ボールねじは、
前記第1、第2ねじ軸にそれぞれ設けられた左ねじ及び右ねじと、
前記第1、第2部材にそれぞれ設けられて前記左ねじ及び右ねじにそれぞれ螺合する第1、第2ナットとをそれぞれ備えることを特徴とする請求項1に記載のグラブ装置。
【請求項3】
前記ねじ駆動手段は、
前記駆動ベースに固定され、回転軸を有するサーボモータと、
前記回転軸に固定された駆動プーリと、
前記中間軸に固定された従動プーリと、
前記駆動プーリと前記従動プーリとの間に掛けられたタイミングベルトとを備えることを特徴とする請求項1に記載のグラブ装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本発明のグラブ装置は、
ガーダと、
前記ガーダに第1、第2主軸を介してそれぞれ回動自在に取り付けられた第1、第2バケットを有するグラブと、
前記第1、第2バケットを回動させて前記グラブを開閉する開閉駆動手段とを備え、
前記開閉駆動手段は、
前記第1、第2バケットにより、前記第1、第2主軸よりも前記グラブの開閉する側と反対側に位置する第1、第2回動軸を介して回動自在にそれぞれ直接支持された第1、第2部材と、
前記第1、第2部材をこれらが近接・離間する方向に案内するすべり案内手段と、
前記すべり案内手段が固定された駆動ベースと、
前記近接・離間方向に延在する第1、第2ねじ軸をそれぞれ有し、前記第1、第2部材を該近接・離間方向にそれぞれ駆動するための第1、第2ボールねじと、
前記第1、第2ボールねじを駆動して、前記第1、第2バケットを回動させるねじ駆動手段とを備え、
前記第1、第2ねじ軸の間には、中間軸が設けられ、
前記駆動ベースには、
前記第1ねじ軸と前記中間軸との間の接続を断続する第1クラッチと、
前記第2ねじ軸と前記中間軸との間の接続を断続する第2クラッチとが設けられ、
前記ねじ駆動手段は、前記中間軸を回転させることにより、前記第1、第2クラッチを介して前記第1、第2ボールねじを別個に又は同時に駆動するものであることを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
また、開閉駆動手段をガーダとは分離した一体物として構成し、この一体物を第1、第2バケット上に第1、第2回動軸を介して支持することができる。したがって、グラブの開閉に際しては、第1、第2回動軸がガーダに対して上下方向に変位するが、これとともに該一体物が上下方向に変位するので、支障なくグラブの開閉を行うことができる。
また、第1、第2クラッチにより第1ねじ軸と中間軸とを接続し、第2ねじ軸と中間軸との接続を切断状態とすることにより、第1バケットのみを回動させることができる。また、第1ねじ軸と中間軸との接続を切断状態とし、第2ねじ軸と中間軸とを接続状態とすることにより、第2バケットのみを回動させることができる。また、第1、第2ねじ軸と中間軸との間をいずれも接続状態とすることにより、第1、第2バケットを同時に回動させ、開閉することができる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】削除
【補正の内容】