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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022085515
(43)【公開日】2022-06-08
(54)【発明の名称】携帯端末用抗菌部材
(51)【国際特許分類】
   A45C 11/00 20060101AFI20220601BHJP
【FI】
A45C11/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020197249
(22)【出願日】2020-11-27
(71)【出願人】
【識別番号】514057075
【氏名又は名称】株式会社伸光製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100106220
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 正悟
(72)【発明者】
【氏名】添田 薫
(72)【発明者】
【氏名】角田 正典
【テーマコード(参考)】
3B045
【Fターム(参考)】
3B045BA26
3B045CE06
3B045DA22
(57)【要約】
【課題】携帯端末用抗菌部材を提供する。
【解決手段】スマートフォンSのディスプレイSDを保護するカバー部3を有する手帳型携帯端末カバー1に装着する携帯端末用抗菌部材10であり、携帯端末用抗菌部材10は、シート体として形成されており、手帳型携帯端末カバー1に装着する取付部12と、ディスプレイSDとカバー部3との間に配置する抗菌シート部13とを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末のディスプレイを保護するカバー部を有する手帳型携帯端末カバーに装着する携帯端末用抗菌部材であり、前記携帯端末用抗菌部材は、
シート体として形成されており、
前記手帳型携帯端末カバーに装着する取付部と、
前記ディスプレイと前記カバー部との間に配置する抗菌シート部とを有する
携帯端末用抗菌部材。
【請求項2】
前記取付部は、前記手帳型携帯端末カバーの横ポケットに差し込む横ポケット用差込部である
請求項1記載の携帯端末用抗菌部材。
【請求項3】
前記取付部は、前記手帳型携帯端末カバーの縦ポケットに差し込む縦ポケット用差込部である
請求項1記載の携帯端末用抗菌部材。
【請求項4】
前記取付部と前記抗菌シート部とを繋ぐ連結部を有しており、
前記連結部は、前記カバー部を前記ディスプレイに対して鈍角に開いた状態で、前記抗菌シート部が前記カバー部寄りに展開可能として構成されている
請求項1~3何れか1項記載の携帯端末用抗菌部材。
【請求項5】
前記抗菌シート部は、メッシュ基材の表面を銅-すず-亜鉛からなる三元合金皮膜で被覆してなる抗菌性金属メッシュシートである
請求項1~4何れか1項記載の携帯端末用抗菌部材。
【請求項6】
前記抗菌シート部は、前記ディスプレイよりも大きい形状で形成されている
請求項1~5何れか1項記載の携帯端末用抗菌部材。
【請求項7】
前記シート体は、その全部又は一部が植物由来の自然素材シートである
請求項1~6何れか1項記載の携帯端末用抗菌部材。
【請求項8】
請求項1~7何れか1項記載の携帯端末用抗菌部材を有する手帳型携帯端末カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末用抗菌部材に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォン及びiPad(登録商標)等のタブレットには、タッチ操作を行うディスプレイを備えている。そのため指に付着した雑菌等がタッチ操作によってディスプレイに付着しやすく、放置しておくとディスプレイに雑菌が増殖するおそれがある。
【0003】
ディスプレイへの雑菌の付着を抑える方法として、特許文献1で示す手帳型スマートフォンケース(手帳型携帯端末カバー)を使用することが考えられる。これによればディスプレイを見たり操作したりする時にだけディスプレイが外部に露出し、それ以外はディスプレイが覆われているため、不意にディスプレイに触ることによる雑菌の付着を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-65897号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、手帳型スマートフォンケースを使用するとしても、一旦ディスプレイに付着してしまった雑菌の増殖を抑制することはできない。
【0006】
そこで本発明は、携帯端末用抗菌部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、携帯端末のディスプレイを保護するカバー部を有する手帳型携帯端末カバーに装着する携帯端末用抗菌部材であり、前記携帯端末用抗菌部材は、シート体として形成されており、前記手帳型携帯端末カバーに装着する取付部と、前記ディスプレイと前記カバー部との間に配置する抗菌シート部を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、携帯端末のディスプレイを抗菌できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は第1実施形態の携帯端末用抗菌部材を示す正面図である。
図2図2はスマートフォンに手帳型携帯端末カバーを取付けた状態を示す正面図である。
図3図3図2の手帳型携帯端末カバーに図1の携帯端末用抗菌部材を装着した状態を示す正面図である。
図4図4図3の底面図である。
図5図5図4の手帳型携帯端末カバーのカバー部を閉じた状態を示す底面図である。
図6図6は第2実施形態の携帯端末用抗菌部材を示す正面図である。
図7図7図2の手帳型携帯端末カバーに図6の携帯端末用抗菌部材を装着した状態を示す正面図である。
図8図8は第3実施形態の携帯端末用抗菌部材の分解斜視図である。
図9図9は第3実施形態の携帯端末用抗菌部材の正面図である。
図10図2の手帳型携帯端末カバーに抗菌シートを取付けた状態を示す背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一態様による実施形態の例を、図面を参照しつつ説明する。また、以下では、本発明の一態様として手帳型携帯端末カバー1、携帯端末用抗菌部材10、20を例示している。以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。以下の説明では「携帯端末」としてスマートフォンSを例示して説明する。
【0011】
第1実施形態〔図1~5〕
【0012】
携帯端末用抗菌部材10の構成
【0013】
携帯端末用抗菌部材10は、全体が薄いシート体11として形成されており、図1で示すように取付部12と抗菌シート部13とを有する。取付部12と抗菌シート部13との間には連結部14が形成されている。
【0014】
取付部12は、薄板部材で形成されており、例えば樹脂フィルム、樹脂薄板により構成することができる。取付部12は長方形状に形成されており、図2で示す手帳型携帯端末カバー1のカバー部3の内面の横ポケット部3aの中に差し込むことができる大きさ及び形状で形成されている。すなわち、取付部12は「横ポケット用差込部」として構成されている。
【0015】
抗菌シート部13は、抗菌性金属メッシュシート13aと外縁部13bとを有する。
【0016】
抗菌性金属メッシュシート13aは、抗菌性のあるメッシュシートにて形成されている。抗菌性を有する金属材料には、例えば銅や銀が知られており、鍍金、塗布等によりそれらを素材として含有する抗菌膜を形成した抗菌性金属メッシュシート13aを形成することができる。本実施形態の抗菌性金属メッシュシート13aは、金属メッシュ基材の表面を銅-すず-亜鉛からなる三元合金皮膜で被覆したものを使用している。そのような三元合金皮膜としては、株式会社特殊鍍金化工所の三元合金皮膜「CSZ」(登録商標。以下同じ。)を好適に用いることができ、これを金属メッシュ基材に被覆することで、手帳型携帯端末カバー1に後付けする携帯端末用抗菌部材10の用途として特に好ましい抗菌性金属メッシュシート13aとして構成することができる。
【0017】
ここで三元合金皮膜(「CSZ」)の特徴を説明すると、三元合金皮膜を形成する三元合金は、銅:50~55質量%、すず:30~35質量%、亜鉛:15~20質量%の合金組成を有する。三元合金皮膜は、金属メッシュ基材を形成する金属線材に対して均一な厚みで金属メッシュ基材の全面を被覆するめっき膜として形成されている。三元合金皮膜は、前述のように銅や銀と同様の抗菌効果を有しており、抗菌性金属メッシュシート13aの表裏両面の全面にわたって抗菌作用を奏することができる。また、三元合金皮膜は、非磁性であるため、相互変調歪みを起こしにくく、スマートフォンSの通信に対して悪影響を及ぼすことはない。三元合金皮膜は、ニッケルを含まず生体に対して金属アレルギー反応を起こしにくい特徴を有する。
【0018】
抗菌シート部13において露出する抗菌性金属メッシュシート13aの大きさは、好ましくはスマートフォンSのディスプレイSDを被覆できるようにするのが好ましい。特に指や耳等の人体が触れる頻度が高いディスプレイSDについて抗菌の必要性が高いからである。より好ましくは、ディスプレイSDよりも大きく形成するのがよい。ディスプレイSDだけでなく、その外周を包囲するベゼルSBを含むスマートフォンSの正面の全面を被覆して抗菌できれば、より衛生的だからである。なお、ベゼルSBが無いベゼルレスのスマートフォンの場合は、ディスプレイ全面を被覆できる大きさに形成するのが好ましい。
【0019】
外縁部13bは、抗菌性金属メッシュシート13aの外周のホツレを防止したり、手触りを改善するために設けられている。外縁部13bは、抗菌性金属メッシュシート13aの外周縁を表裏から挟み込むように固着している。このような外縁部13bは、不織布、樹脂フィルム、熱可塑性エラストマー等のゴム状弾性体シート、皮革等の素材のものを用いることができ、接着、熱圧着、一体成形等により抗菌性金属メッシュシート13aに固着することができる。
【0020】
連結部14は、取付部12と抗菌シート部13とを繋ぐ部分である。連結部14と、取付部12及び抗菌シート部13とは、接着等により相互に固定されている。連結部14は、図4で示すように、カバー部3をディスプレイSDに対して平行に開いた状態(机等の平面上でカバー部3を最大限開いた状態)で、抗菌シート部13がカバー部3寄りに展開するように屈曲している。すなわち連結部14は、「可動屈曲部」として形成されている。なお、図1では説明の便宜上、取付部12と抗菌シート部13とが水平に開いた状態を示しているが、自由状態では図4で示すように連結部14が屈曲状態を維持しており、取付部12と抗菌シート部13とが斜めに対向するような配置となっている。
【0021】
こうした連結部14としては、例えば樹脂フィルム等により構成することができる。連結部14を折畳み変形可能な「可動屈曲部」とするには、使用する素材に応じて構成することができる。一例として、連結部14として熱可塑性樹脂でなる樹脂フィルムを用いる場合には、例えば加熱加圧により屈曲状態が固定されるように癖を付けた可動屈曲部とすることができる。このような連結部14は、自由状態において図4で示すように取付部12に対して内角鋭角となるL字形状の屈曲状態を維持しており、この屈曲状態から力を加えればさらにカバー部3側又はディスプレイSD側へ開閉変形可能となっている。なお、屈曲状態(屈曲形状)を固定した連結部14を得るには、金型や治具を用いて加熱し加圧することで屈曲形状を形成することができるほか、屈曲形状を形成するための加工面を有する治具を樹脂フィルムに押し付けることで、加熱せずに屈曲形状を形成することも可能である。
【0022】
連結部14として、例えば布地や柔軟性のある樹脂シート等を用いる場合には、折畳み変形可能な「可動屈曲部」としての形状保持性が無いため、それを形状保持性と屈曲可動性をサポートする補完部品を併用してもよい。このような補完部品としては、「可動屈曲部」を形成可能することのできる金属ばねや樹脂ばね等を用いることができる。
【0023】
携帯端末用抗菌部材10の使用方法と効果
【0024】
携帯端末用抗菌部材10の使用方法を説明する。携帯端末用抗菌部材10は、手帳型携帯端末カバー1のカバー部3の横ポケット部3aに取付部12を差し込むことで、図3図4で示すように手帳型携帯端末カバー1に装着することができる。したがって、手帳型携帯端末カバー1に対して後付けで装着することができるので、携帯端末用抗菌部材10は様々な手帳型携帯端末カバー1に対して汎用的に使用することができて便利である。また、手帳型携帯端末カバー1を加工せずそのまま装着できるので、装着の手間がかからず、手帳型携帯端末カバー1を損傷することもない。
【0025】
そして、図5で示すようにカバー部3を本体部2の側に回動させて閉じると、連結部14が折畳まれるように変形し、抗菌シート部13の抗菌性金属メッシュシート13aの表面(カバー部3を閉じたときのディスプレイSD側の面)がスマートフォンSのディスプレイSDに直接接触することで、ディスプレイSDに付着している細菌の増殖を抑制することができる。
【0026】
抗菌性金属メッシュシート13aの裏面(カバー部3を閉じたときのカバー部3側の面)は、カバー部3の内面に対して接触可能となる。したがって、カバー部3の内面に付着している細菌の増殖を抑制することができる。
【0027】
このように抗菌シート部13は、カバー部3を閉じた状態で、ディスプレイSDとカバー部3の双方に対して抗菌可能として構成されている。なお、抗菌性金属メッシュシート13aがカバー部3の内面と接触するか否かは、ベルト2bの閉まり具合の影響を受けるので、カバー部3をディスプレイSD側に引き寄せてベルト2bでしっかりと固定する必要がある。
【0028】
連結部14は、図5で示すようにカバー部3を閉じた状態で、その屈曲の程度が強まるように外力を受けて変形する。これにより連結部14は、抗菌シート部13をディスプレイSDに向けて付勢する「ばね」として機能する。したがって抗菌シート部13は、よりディスプレイSDと接触可能となるように手帳型携帯端末カバー1の中で保持されることとなる。
【0029】
スマートフォンSを使用する場合には、ベルト2bを外してカバー部3を開く。このとき抗菌シート部13は連結部14によってカバー部3の側に傾倒するので、抗菌シート部13がディスプレイSDの上を遮ることはない。よってスマートフォンSの使用時に抗菌シート部13が邪魔になることはない。
【0030】
さらに、本体部2の外面と接するようにカバー部3を360度開いた場合でも、抗菌シート部13はカバー部3とともに開くので、スマートフォンSの使用上、邪魔になることはない。また、スマートフォンSを持つ手のひらが抗菌性金属メッシュシート13aに接することで、その接触時間に応じて抗菌作用を奏することも可能である。
【0031】
使用済みの携帯端末用抗菌部材10は、家庭用の中性洗剤によって洗浄して付着している異物を除去することが可能である。そして洗浄した抗菌性金属メッシュシート13aはアイロンがけすることが可能であり、これによって抗菌性金属メッシュシート13a自体を殺菌することができる。つまり携帯端末用抗菌部材10は、繰り返し使用することができる。
【0032】
第2実施形態〔図6~7〕
【0033】
携帯端末用抗菌部材20の構成
【0034】
第1実施形態の携帯端末用抗菌部材10は、取付部12をカバー部3の横ポケット部3aに差し込むタイプを示したが、第2実施形態の携帯端末用抗菌部材20は取付部22をカバー部3の縦ポケット部3bに差し込むタイプである点で、第1実施形態と異なる。
【0035】
携帯端末用抗菌部材20は、全体が薄いシート体21として形成されており、図6で示すように取付部22と抗菌シート部23と連結部24とを有する。
【0036】
取付部22は、薄板部材で形成されており、例えば樹脂フィルム、樹脂薄板により構成することができる。取付部22は長方形状に形成されており、図6で示す手帳型携帯端末カバー1のカバー部3の内面の縦ポケット部3bに差し込むことができる大きさ及び形状で形成されている。すなわち、取付部22は「縦ポケット用差込部」として構成されている。
【0037】
抗菌シート部23は、抗菌性金属メッシュシート23aと外周縁部23bとを有する。抗菌性金属メッシュシート23aと外周縁部23bは、第1実施形態と形状が異なるだけであり、材質等の他の構成は同じである。
【0038】
連結部24は、取付部22と抗菌シート部23とを繋ぐ部分である。連結部24と、取付部22及び抗菌シート部23とは、接着等により相互に固定されている。第1実施形態の連結部14は屈曲状態を維持するものを例示したが、第2実施形態の連結部24は屈曲状態を維持するものではなく、取付部22に対して抗菌シート部23を実質的に抵抗なく容易に開閉できるように構成されている。このような連結部24は、柔軟性のある樹脂フィルムや布地等の素材を用いることができる。
【0039】
携帯端末用抗菌部材20の使用方法と効果
【0040】
携帯端末用抗菌部材20の使用方法を説明する。携帯端末用抗菌部材20は、図6で示すように手帳型携帯端末カバー1のカバー部3の縦ポケット部3bに取付部22を差し込むことで、手帳型携帯端末カバー1に装着することができる。したがって、手帳型携帯端末カバー1に対して後付けで装着することができるので、携帯端末用抗菌部材20は様々な手帳型携帯端末カバー1に対して汎用的に使用することができて便利である。また、手帳型携帯端末カバー1を加工せずそのまま装着できるので、装着の手間がかからず、手帳型携帯端末カバー1を損傷することもない。
【0041】
そして、抗菌シート部23をカバー部3の側に回動させると、連結部24が折り畳まれるように変形し、抗菌性金属メッシュシート23aの裏面(カバー部3を閉じたときのカバー部3側の面)は、カバー部3の内面に対して接触可能となる。したがって、カバー部3の内面に付着している細菌の増殖を抑制することができる。
【0042】
さらに、カバー部3を本体部2の側に回動させて閉じると、抗菌シート部23の抗菌性金属メッシュシート23aの表面(カバー部3を閉じたときのディスプレイSD側の面)がスマートフォンSのディスプレイSDに直接接触することで、ディスプレイSDに付着している細菌の増殖を抑制することができる。
【0043】
このように抗菌シート部23は、カバー部3を閉じた状態で、ディスプレイSDとカバー部3の双方に対して抗菌可能として構成されている。なお、抗菌性金属メッシュシート23aがカバー部3の内面と接触するか否かは、ベルト2bの閉まり具合の影響を受けるので、カバー部3をディスプレイSD側に引き寄せてベルト2bでしっかりと固定する必要がある。
【0044】
第2実施形態の連結部24は、第1実施形態の連結部14のように、抗菌シート部23をディスプレイSDに向けて付勢する「ばね」としての機能はない。したがって、カバー部3を本体部2に対して引き寄せてしっかりとベルト2bで固定することにより、抗菌シート部23は、ディスプレイSDとカバー部3の双方に対して接触可能となるように手帳型携帯端末カバー1の中で保持されることとなる。
【0045】
スマートフォンSを使用する場合には、ベルト2bを外してカバー部3を開く。このとき抗菌シート部23は、カバー部3に共連れされるので、カバー部3がディスプレイSDの上を遮ることはない。よってスマートフォンSの使用時に抗菌シート部23が邪魔になることはない。
【0046】
さらに、本体部2の外面と接するようにカバー部3を360度開いた場合でも、抗菌シート部23はカバー部3とともに開くので、スマートフォンSの使用上、邪魔になることはない。また、スマートフォンSを持つ手のひらが抗菌性金属メッシュシート23aに接することで、その接触時間に応じて抗菌作用を奏することも可能である。
【0047】
使用済みの携帯端末用抗菌部材20は、第1実施形態と同様に、家庭用の中性洗剤で洗浄したりアイロンがけをすることで殺菌することができ、繰り返し使用することができる。
【0048】
第3実施形態〔図8
【0049】
携帯端末用抗菌部材30の構成
【0050】
第3実施形態の携帯端末用抗菌部材30は、全体がシート体31として構成されており、取付部32と、抗菌シート部33とを有する。取付部32と抗菌シート部33は、シート体31の一部として構成されている。
【0051】
具体的には、シート体31は、2枚の樹脂フィルム31aの外周縁を全周にわたって相互に接合して形成されている。接合方法は、例えば熱融着、熱溶着、超音波溶着、熱圧着、両面粘着テープや接着材等による接着等を利用することができる。
【0052】
本実施形態の2枚の樹脂フィルム31aは、同一素材で且つ同一形状であり、量産の容易性やコスト等を考慮して熱溶着による接合方法を利用することができる。樹脂フィルム31aの素材としては、例えば熱可塑性樹脂でなる樹脂フィルムを用いることができ、具体的にはポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)等でなる樹脂フィルムが用いられる。その他にも熱可塑性エラストマー等のゴム状弾性体シートを用いてもよい。樹脂フィルム31aの抗菌シート部33に対応する部分には、抗菌性金属メッシュシート31bを露出するための開口31a1が設けられている。
【0053】
携帯端末用抗菌部材30を製造するには、図8で示すように2枚の樹脂フィルム31aの間に抗菌性金属メッシュシート31bを挟んで、樹脂フィルム31aの外周縁に接合部31cを形成する。接合部31cは、連続する線状でも断続する破線状でもよく、また線状ではなく帯状でもよく、選択した接合方法に応じて形成される。図9ではそのうち断続する破線状の四角形状の接合部31cを例示している。このため本実施形態の抗菌性金属メッシュシート31bは、開口31a1を形成する3辺で接合部31cにより接合され、開口31a1を形成する1辺(左辺)は接合されていないため、2枚の樹脂フィルム31aの間はポケットとして使用することも可能となる。しかしながら、確実に抗菌性金属メッシュシート31bを固定する場合には、開口31a1の4辺に対応する接合部31cとしてもよい。
【0054】
最後に、第1実施形態の連結部14の屈曲形状と同様に屈曲部31dを形成する。屈曲部31dの形成は、加熱し加圧することで屈曲形状を形成してもよいし、屈曲形状に対応する当接面を有する治具を利用して屈曲形状を保持する癖をつけるようにしてもよい。なお、樹脂フィルム31aが変形容易な軟質樹脂フィルムである場合等のように、屈曲形状を保持する癖をつける必要がない場合には、屈曲部31dを設けなくてもよい。
【0055】
このように製造された携帯端末用抗菌部材30は、シート体31に取付部32と抗菌シート部33とを有する構成であり、カバー部3の横ポケット部3aに差し込んで手帳型携帯端末用カバー1に装着することができる。また、携帯端末用抗菌部材30は、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができることに加えて、同一形状の2枚の樹脂フィルム31aの間に開口31a1から露出可能な状態で抗菌性金属メッシュシート31bを挟み、2枚の樹脂フィルム31aどうしを、例えば熱プレスで接合することで形成できる。このため携帯端末用抗菌部材30は大量生産に適した構成とすることができる。
【0056】
変形例〔図10
【0057】
前記実施形態では、手帳型携帯端末カバー1に装着する携帯端末用抗菌部材10,20を例示したが、携帯端末用抗菌部材10,20はさらに、シート体11のみならず、図8で示すように本体部2の外面に貼り付ける後付け用の抗菌シート30を含む構成としてもよい。抗菌シート30は、例えば、前記実施形態の抗菌性金属メッシュシート13a、23aを使用することができる。
【0058】
このような抗菌シート30を本体部2に貼り付けることで、本体部2を補強することができ、落下時やポケットやバッグに収納時の本体部2の破損を予防することができる。また、抗菌シート30として抗菌性金属メッシュシートを用いることで、使用時のすべり止めや手汗の付着による本体部2の汚損防止にも有効であり、さらに本体部2への細菌の増殖の抑制にも効果的である。
【0059】
前記実施形態の携帯端末用抗菌部材10の連結部14は、力を加えない自由状態で円弧状の屈曲形状が固定されるものを例示したが、折れ線(谷折り線)で屈曲形状を固定される連結部14としてもよい。
【0060】
前記実施形態では、携帯端末用抗菌部材10、20に連結部14、24を設ける例を示したが、連結部14、24を省略する構成としてもよい。携帯端末用抗菌部材10について例示すると、取付部12の右端と抗菌シート部13の左端とを重ねて、両部材を両面粘着テープ等により接合してもよい。そのような接合部を設けることで、連結部14、24を省略して部品点数を減らすことができる。携帯端末用抗菌部材20も同様である。
【0061】
前記実施形態では、抗菌性金属メッシュシート13a、23aとして凹凸の無い平面形状のものを例示したが、抗菌性金属メッシュシート13a、23aにカバー部3を閉じた際にディスプレイSDに向けて突出する突出面部を設けるようにしてもよい。これによれば端末保持部2aがディスプレイSDの表面より突出していても、突出面部によって確実に抗菌性金属メッシュシート13a、23aをディスプレイSDに接触させることができる。
【0062】
前記実施形態では、抗菌性金属メッシュシート13aの露出部分がディスプレイSDよりも大きい例を示したが、必ずしも大きいものに限定するものではない。抗菌性金属メッシュシート13aの露出部分は、例えばディスプレイSDの外縁を除く大部分を覆うことができるものでもよい。
【0063】
前記実施形態では、携帯型端末用抗菌部材10,20,30のシート体11、21、31の全部又は一部に樹脂フィルムを用いる例を示したが、例えば植物由来の自然素材シートを用いることもできる。近年、SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)への取り組みが注目されているが、携帯端末用抗菌部材10,20,30としても、それを意識した自然素材を利用することができる。その一例としては、バナナ由来のバナナ繊維シート、パイナップル由来のパイナップル繊維シート等を利用することができる。
【0064】
前記実施形態では「携帯端末」としてスマートフォンSを例示したが、「iPad」(登録商標)のようなタブレットとし、これに用いる手帳型携帯端末カバー、携帯端末用抗菌部材として構成してもよい。
【0065】
前記実施形態では、手帳型携帯端末カバー1として、ベルト2b付きのものを例示したが、ベルト2bの固定方式はマグネット式でも尾錠で止めるベルト式でもよい。また、手帳型携帯端末カバー1としてはベルト2bが無いものでもよく、環状のゴムベルトのようにベルトが本体部2及びカバー部3と別体となっているものでもよい。さらに、前記実施形態では、手帳型携帯端末カバー1としてカバー部3が左右に開閉する横開閉式のものを例示したが、カバー部が本体部の上辺を回転軸として上下に開閉する縦開閉式のものとしてもよい。このような縦開閉式の手帳型携帯端末カバーにもカバー部に縦ポケット部があるため、例えば第2実施形態の携帯端末用抗菌部材20を適用することができる。
【0066】
なお、本発明の一態様による実施形態について詳細に説明したが、本発明の構成及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは、当業者には、容易に理解できるであろう。したがって、このような変形例は、全て本発明の範囲に含まれるものとする。
【0067】
例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義又は同義な異なる用語とともに記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また、携帯端末用抗菌部材10、20、手帳型携帯端末カバー1の構成、動作も本発明の一態様による実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0068】
1 手帳型携帯端末カバー(第1実施形態、第2実施形態)
2 本体部
2a 端末保持部
2b ベルト
3 カバー部
3a 横ポケット部
3b 縦ポケット
10 携帯端末用抗菌部材(第1実施形態)
11 シート体
12 取付部(横ポケット用差込部)
13 抗菌シート部
13a 抗菌性金属メッシュシート
13b 外縁部
14 連結部
20 携帯端末用抗菌部材(第2実施形態)
21 シート体
22 取付部
23 抗菌シート部
23a 抗菌性金属メッシュシート
23b 外縁部
24 連結部
30 抗菌シート
31 シート体
31a 樹脂フィルム
31a1 開口
31b 抗菌性金属メッシュシート
31c 接合部
31d 屈曲部
32 取付部
33 抗菌シート部
S スマートフォン(携帯端末)
SD ディスプレイ
SB ベゼル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10