(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022085533
(43)【公開日】2022-06-08
(54)【発明の名称】尿受け装置
(51)【国際特許分類】
A61F 5/453 20060101AFI20220601BHJP
【FI】
A61F5/453
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020197270
(22)【出願日】2020-11-27
(71)【出願人】
【識別番号】519203091
【氏名又は名称】合同会社向伸
(74)【代理人】
【識別番号】100157428
【弁理士】
【氏名又は名称】大池 聞平
(74)【代理人】
【識別番号】100080746
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 武嗣
(72)【発明者】
【氏名】山下 善伸
【テーマコード(参考)】
4C098
【Fターム(参考)】
4C098AA09
4C098CC32
4C098CD01
4C098CE01
4C098CE15
4C098CE17
(57)【要約】
【課題】睡眠時に尿を洩らす心配をせずに済み、尿臭の拡散も少なく、周囲に不快感を与えず室内で使用できる尿受け装置を提供する。
【解決手段】男性の泌尿器に外嵌される弾性サック状の尿受け具6と、使い捨て自在なペットボトル3と、ペットボトル3の雄ネジに着脱自在に螺着可能な雌ネジを有し、かつ、エア抜き小孔及びチューブ連結孔を有するキャップ4と、を備え、上記尿受け具6は、その大径筒部に、凸条部を複数有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
男性の泌尿器に外嵌され、大径筒部(6A)と、しだいに下方へ縮径する中間テーパ部(6D)と、細径管部(6B)とから成る弾性サック状の尿受け具(6)と、
使い捨て自在なペットボトル(3)と、
上記ペットボトル(3)の雄ネジに着脱自在に螺着する雌ネジを有し、かつ、エア抜き小孔(8)と連結孔(11)を有するキャップ(4)と、を備え、
上記尿受け具(6)の上記大径筒部(6A)は、外面側に膨らんだリング状の凸条部(6C)が上下所定間隔をもって、複数本形成され、
さらに、上記尿受け具(6)の上記細径管部(6B)は、上記キャップ(4)の連結孔(11)に上下摺動可能に挿通されると共に、上記細径管部(6B)の下端には、上記キャップ(4)が下方へ抜出ることを阻止するストッパ用外鍔部(12)が、一体状に設けられていることを特徴とする尿受け装置。
【請求項2】
男性の泌尿器に外嵌され、大径筒部(6A)と、しだいに下方へ縮径する中間テーパ部(6D)と、細径管部(6B)とから成る弾性サック状の尿受け具(6)と、
雄ネジ付の大型ペットボトル(30)と、
上記大型ペットボトル(30)の上記雄ネジに着脱自在に螺着する雌ネジを有し、かつ、エア抜き小孔(8)と連結孔(11)を有するキャップ(4)と、
上記尿受け具(6)の上記細径管部(6B)に上端側が連結されると共に、下端側は上記キャップ(4)の連結孔(11)に上下スライド可能として挿入される可撓チューブ(5)と、
該可撓チューブ(5)に密嵌状に、かつ、人の手の力にてスライド可能として、上記キャップ(4)よりも下方位置において上記可撓チューブ(5)に密嵌された長さ調整リング体(13)と、
を具備することを特徴とする尿受け装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、尿受け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ペットボトル利用の尿瓶として、ペットボトルを逆さ、又は横向きで、上面に開口部を設けて尿受けとして用いたものが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1記載の尿瓶は、尿受け部が開いており、周囲に尿臭が拡散して使用者の周囲に不快感を与える欠点があった。特に、渋滞時等に乗用車内で尿瓶を使用する場合、車内空間の狭さから、同乗者に不快感を与えるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、尿臭の拡散を防止し、周囲に不快感を与えず(渋滞時等の)車内及び室内で使用できる尿受け装置を提供することを目的とする。さらに、高齢者等の身体弱者も、ベッドの上で眠っている間も(お洩らしせずに)安心して熟睡できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る尿受け装置は、男性の泌尿器に外嵌され、大径筒部と、しだいに下方へ縮径する中間テーパ部と、細径管部とから成る弾性サック状の尿受け具と、使い捨て自在なペットボトルと、上記ペットボトルの雄ネジに着脱自在に螺着する雌ネジを有し、かつ、エア抜き小孔と連結孔を有するキャップと、を備え、上記尿受け具の上記大径筒部は、外面側に膨らんだリング状の凸条部が上下所定間隔をもって、複数本形成され、さらに、上記尿受け具の上記細径管部は、上記キャップの連結孔に上下摺動可能に挿通されると共に、上記細径管部の下端には、上記キャップが下方へ抜出ることを阻止するストッパ用外鍔部が、一体状に設けられているものである。
【0007】
また、男性の泌尿器に外嵌され、大径筒部と、しだいに下方へ縮径する中間テーパ部と、細径管部とから成る弾性サック状の尿受け具と、雄ネジ付の大型ペットボトルと、上記大型ペットボトルの上記雄ネジに着脱自在に螺着する雌ネジを有し、かつ、エア抜き小孔と連結孔を有するキャップと、上記尿受け具の上記細径管部に上端側が連結されると共に、下端側は上記キャップの連結孔に上下スライド可能として挿入される可撓チューブと、該可撓チューブに密嵌状に、かつ、人の手の力にてスライド可能として、上記キャップよりも下方位置において上記可撓チューブに密嵌された長さ調整リング体と、を具備するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の尿受け装置によれば、高齢者や体の弱った人(身体弱者ということもある)が、睡眠時にも尿を洩らす心配をせずに済み、安眠可能となる。また、尿臭の拡散を防止し、周囲に不快感を与えずに室内、又は渋滞時等の車内で使用できる。ペットボトルは使い捨て自在であるので、数回で捨てて、新しいものに容易に交換して、尿臭の発生を低減できる。さらに、不意に尿受け具が、ペットボトル(の蓋)から抜け出ることがなく、安心して使用できる。また、尿受け具とペットボトルの距離を自由に設定できて、使用し易い。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】本発明の尿受け装置の詳細を示す断面図であり、(A)は尿受け具が下端に外鍔部を有する場合を示し、(B)は外鍔部の詳細を示し、(C)は他の実施形態を示し、尿受け具が可撓性チューブに接続される場合を示す。
【
図3】本発明の尿受け装置の他の実施形態を示す図であり、(A)は要部斜視図、(B)はキャップと可撓性チューブの詳細を示す部分断面図である。
【
図4】本発明の尿受け装置の他の実施形態の使用状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図示の実施の形態に基づき本発明を詳説する。
図1に示した実施の形態に於て、3は市販の使い捨て自在なペットボトルであり、4は、(市販の)ペットボトル3の雄ネジに着脱自在に螺着可能な雌ネジを有するキャップである。また、6はペットボトル3のキャップ4に取着され、男性の泌尿器に外嵌される弾性サック状の尿受け具である。
【0011】
図1のものは、車両等の内部で、渋滞時等に使用するために携帯するのに好適である。使用者は尿受け具6を泌尿器に装着し、尿を速やかにペットボトル3に流し込み、(後述のように)別の小孔8のあいていないキャップと交換することで、ペットボトル3内の尿を密封させ、室内に転がしておいても漏れることがない状態で一時貯蔵する。
その後、尿を廃棄できる場所に到着したときにペットボトル3内の尿を廃棄する。
あるいは、
図1に図示のものを、(図示省略の)吊り下げ具等で携帯して、屋内で移動する際や、テレビ等を鑑賞する際に使用するにも好適である。
【0012】
図2(A)に尿受け具6の詳細を示す。
図2(A)に示す尿受け具6は、ペットボトル3のキャップ4に直接取着される。尿受け具6は、男性の泌尿器に外嵌される大径筒部6Aと、大径筒部6Aと一体状に連続して、尿をペットボトル3内に導入する細径管部6Bとを有する。大径筒部6Aと細径管部6Bは、しだいに下方へ縮径する中間テーパ部6Dにより、一体状に連結されている。細径管部6Bの下端部には、キャップ4の連結孔11の内周縁部に係止して、尿受け具6がキャップ4から外れないようにするための外鍔部12を一体状に形成している。尿受け具6全体が、金型を使用した一体成型で製造することも望ましい。
【0013】
大径筒部6Aには、外面側に膨らんだリング状の凸条部6Cが上下所定間隔をもって、複数本形成され、さらに、上記尿受け具6の、上記細径管部6Bは、上記キャップ4の連結孔11に上下摺動可能に挿通される。凸条部6Cは、断面に於て、大径筒部6Aの内面側をストレートに形成し、外面側は、強度と使い易さのため、リング状の膨らみをつけたものである。凸条部6Cは、大径筒部6Aの構造を補強して、大径筒部6Aが変形して使用しにくくなることを防いでいる。すなわち、弾性サック状の尿受け具6が、横断面形状が円形から偏平状態となって、上端が垂れ下がる方向に変形することを防止し、尿受け具6でより容易かつ確実に尿を受けることを可能にするものである。
【0014】
図2(B)に、細径管部6Bの下端の外鍔部12の詳細を示す。外鍔部12は、その下端外周角部がアール状に面取りされており、連結孔11に尿受け具6の細径管部6Bを挿入しやすくしている。また、外鍔部12の上端部、すなわち、連結孔11に係止する部分は、細径管部6Bの下端部と略直角を成す段付部10として、尿受け具6がキャップ4から外れないようにしている。
【0015】
図2(C)及び
図3に他の実施形態を示し、大型(大容量)のペットボトル30のキャップ4に可撓チューブ5を介して取着される。可撓チューブ5は透明な軟質プラスチック製である。尿受け具6は、男性の泌尿器に外嵌される大径筒部6Aと、大径筒部6Aと一体状に連結され、尿を可撓チューブ5を介してペットボトル30内に導入する細径管部6Bとを有する。大径筒部6Aと細径管部6Bは、しだいに下方へ縮径する中間テーパ部6Dにより、一体状に連結されている。大径筒部6Aが、環状の凸条部6Cを複数有する点は、
図2(A)の場合と同様である。
【0016】
図2(C)に示す尿受け具6は、
図2(A)に示す尿受け具6とは、細径管部6Bの下端部に外鍔部12を有さない点で相違する。
図2(C)では、尿受け具6の細径管部6Bの中間位置で、細径管部6Bが切断され、可撓チューブ5に接続されている。つまり、
図2(A)及び
図2(C)の尿受け具6は、いずれも同一の金型(外鍔部12を一体状に形成する)を使用して製作され、可撓チューブ5に接続するための尿受け具6の場合、細径管部6Bを中間位置で切断する。
【0017】
図3(A)に示すように、可撓チューブ5を介して取着される場合には、リング体13を、可撓チューブ5にスライド可能に密嵌している。リング体13は、キャップ4の連結孔11に係止して、尿受け具6がキャップ4から外れないようにするとともに、可撓チューブ5のキャップ4(リング体13)から尿受け具6までの長さL
0 を調節可能とするものである。リング体13は、通常の使用状態では、
図3(B)に示すようにキャップ4の連結孔11に係止するが、人の手で力を加えると可撓チューブ5上の位置を変更できる(スライド可能である)。この構成により、使用条件によって、例えば、椅子に座って使用する場合、また、
図4に示すようにベッドに寝た状態で使用する場合等に、キャップ4から出た可撓性チューブ5の長さを調節でき、多様な使用場面において快適な使用が可能になる。
【0018】
ところで、
図3(A)において、キャップ4は、連結孔11とエア抜き小孔8を有しているが、別途、このような連結孔11と小孔8のあいていない(市販の)通常のキャップを準備しておくのが望ましい。即ち、尿の入ったペットボトル3内の尿をトイレへ捨てに行く際に、元の上記キャップ4を離脱して、代りに、この(市販の)通常のキャップを施蓋すれば、尿をこぼすことなくトイレへ持って行くことができて、望ましい。なお、トイレで中味(尿)を捨てて再利用(リサイクル)も可能である。
【0019】
次に、
図4に示した使用状態に於て、1は、全体を支えるための底板であり、2は、ペットボトル30を受けて保持するためのボトル受け部であり、ボトル受け部2は平面視正方形(枡形)として底板1の上面に接着剤又は釘、ネジ等で固着される。なお、ボトル受け部2は、接着剤等による固着前は底壁のない前後左右の側壁のみとして、底板1に接着することで枡形とするか、あるいは、予め底壁部を有する枡形としておいて、これを底板1に接着してもよい。
いずれにせよ、ボトル受け部2は、大型(大容量)のペットボトル30の下部が、上方から挿入され、鉛直に保持する上方開口状であり、しかも、このボトル受け部2の内寸法は、ペットボトル30の下部が密嵌状に挿入されて、ペットボトル30が、がたつかずに鉛直姿勢を保つ。
【0020】
図4においては、ベッドに寝た状態の使用者(高齢者等、夜間の尿漏れの不安がある者)が尿受け具6を泌尿器に装着し、夜間の尿漏れに対応している状態を示している。ペットボトル30は、ボトル受け部2に嵌着され、ボトル受け部2は、底板1に支えられて、夜間にペットボトル30が倒れる心配がない。また、ペットボトル30を保持するボトル受け部2が存在することで、いつでも使用でき、かつ、数回使用して、トイレへ流しにペットボトル30のみをもってゆけば、ペットボトル30の簡易な洗浄にて再利用できる(リサイクルトイレということができる)。
【0021】
本発明は、上述の実施形態に限定されず、例えば、ボトル受け部2の形状は、枡形に限らず、ペットボトル30が安定して嵌着される平面視円形や六角形等の形状であっても自由である。また、使い捨て自在なペットボトル3を使用する場合、飲料を消費した後の市販のペットボトルを使用でき、その形状も特に制限されない。
【0022】
本発明は、以上詳述したように、男性の泌尿器に外嵌され、大径筒部6Aと、しだいに下方へ縮径する中間テーパ部6Dと、細径管部6Bとから成る弾性サック状の尿受け具6と、使い捨て自在なペットボトル3と、上記ペットボトル3の雄ネジに着脱自在に螺着する雌ネジを有し、かつ、エア抜き小孔8と連結孔11を有するキャップ4と、を備え、上記尿受け具6の上記大径筒部6Aは、外面側に膨らんだリング状の凸条部6Cが上下所定間隔をもって、複数本形成され、さらに、上記尿受け具6の上記細径管部6Bは、上記キャップ4の連結孔11に上下摺動可能に挿通されると共に、上記細径管部6Bの下端には、上記キャップ4が下方へ抜出ることを阻止するストッパ用外鍔部12が、一体状に設けられているので、尿受け具6の大径筒部6Aの剛性がアップし、偏平状態となったり、垂れ下がることを防止でき、使用が容易である。また、室内にて使いやすく、しかも、車両等の内部で、渋滞時等に使用できる。ペットボトル3が取り替え自在(使い捨て自在)であるため、常に衛生的な状態で使用できる。また、尿受け具6がキャップ4から外れる事故を防止でき、特に車両等の内部での使用に好適である。
【0023】
また、男性の泌尿器に外嵌され、大径筒部6Aと、しだいに下方へ縮径する中間テーパ部6Dと、細径管部6Bとから成る弾性サック状の尿受け具6と、雄ネジ付の大型ペットボトル30と、上記大型ペットボトル30の上記雄ネジに着脱自在に螺着する雌ネジを有し、かつ、エア抜き小孔8と連結孔11を有するキャップ4と、上記尿受け具6の上記細径管部6Bに上端側が連結されると共に、下端側は上記キャップ4の連結孔11に上下スライド可能として挿入される可撓チューブ5と、該可撓チューブ5に密嵌状に、かつ、人の手の力にてスライド可能として、上記キャップ4よりも下方位置において上記可撓チューブ5に密嵌された長さ調整リング体13と、を具備するので、尿受け具6の大径筒部6Aの剛性がアップし、偏平状態となって上端部が垂れ下がることを防止でき、使用が容易である。また、高齢者等が夜間の睡眠中の尿漏れに対応でき、尿を洩らす心配をせずに済み、安眠できる。また、尿受け具6がキャップ4から外れる事故を防止できる。しかも、長さ調整リング体13を人の手の力で(上方又は下方へ)スライドさせることで、
図3(A)に示した長さ寸法L
0 を調整可能であるので、使用場所や男性の使用状態の体の姿勢等に対応して、尿受け具6自体の床面等からの高さを調整できる。かつ、リング体13によって、不意にチューブ5の下端が抜け出ることも防止できる。
【符号の説明】
【0024】
3 ペットボトル
4 キャップ
5 可撓チューブ
6 尿受け具
6A 大径筒部
6B 細径管部
6C 凸条部
6D 中間テーパ部
8 エア抜き小孔
11 連結孔
12 外鍔部
13 リング体
30 大型ペットボトル