(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022085576
(43)【公開日】2022-06-08
(54)【発明の名称】インターホン装置
(51)【国際特許分類】
H04M 9/00 20060101AFI20220601BHJP
G08B 25/04 20060101ALI20220601BHJP
【FI】
H04M9/00 D
G08B25/04 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020197333
(22)【出願日】2020-11-27
(71)【出願人】
【識別番号】000100908
【氏名又は名称】アイホン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】橋本 益典
【テーマコード(参考)】
5C087
5K038
【Fターム(参考)】
5C087AA09
5C087AA11
5C087AA19
5C087AA37
5C087AA44
5C087DD03
5C087DD24
5C087DD36
5C087EE14
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF24
5C087GG02
5K038AA06
5K038CC02
5K038DD18
5K038FF01
5K038FF04
(57)【要約】
【課題】 訪問者が玄関子機を操作しなくても、訪問者が玄関子機に近づいたらそれを認識して居室親機が呼出動作し、応答操作すれば通話が可能となるインターホン装置を提供する。
【解決手段】 居住者を呼び出すための玄関子機1は、訪問者を検知して訪問者が所定の第1の距離まで玄関子機1に近づいたら第1の信号を出力するToFセンサモジュール17と、第1の信号を受けて、居室親機2に呼出信号を送信すると共に、呼び出していることを訪問者に通知するメッセージを玄関子機1から報音させる子機CPU18とを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
訪問者を撮像するカメラを備えると共に、居住者を呼び出して通話する機能を備えた玄関子機と、前記カメラの撮像映像を表示するモニタを備えると共に、前記玄関子機からの呼び出しに応答する機能を備えた居室親機とを有するインターホン装置において、
前記玄関子機は、訪問者を検知して、当該訪問者が所定の第1の距離まで前記玄関子機に近づいたら第1の信号を出力するToFセンサモジュールと、
前記第1の信号を受けて、前記居室親機に呼出信号を送信すると共に、呼び出していることを訪問者に通知するメッセージを前記玄関子機から報音させる子機制御部と、を有することを特徴とするインターホン装置。
【請求項2】
前記ToFセンサモジュールは、訪問者が前記第1の距離に近づく前に、前記第1の距離より遠い所定の第2の距離まで近づいたら第2の信号を出力し、
前記子機制御部は、前記第2の信号を受けて、前記カメラを起動させて撮像を開始すると共に、前記カメラの前に誘導するメッセージを前記玄関子機から報音させ、更に前記カメラの撮像映像を前記居室親機に送信して前記モニタに表示させることを特徴とする請求項1記載のインターホン装置。
【請求項3】
前記玄関子機は深紫外LEDを具備し、
前記子機制御部は、前記第1の信号を受けたら、前記深紫外LEDを発光させて、
手を前記深紫外LEDに翳して頂くメッセージを前記玄関子機から報音させることを特徴とする請求項1又は2記載のインターホン装置。
【請求項4】
前記ToFセンサモジュールが距離計測のために具備する光源が深紫外LEDであり、
前記子機制御部は、前記第1の信号を受けたら、手を前記深紫外LEDに翳して頂くメッセージを前記玄関子機から報音させることを特徴とする請求項1又は2記載のインターホン装置。
【請求項5】
前記ToFセンサモジュールは、前記第1の信号の出力に合わせて、前記深紫外LEDの出力を上げることを特徴とする請求項4記載のインターホン装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、訪問者が居住者を呼び出すインターホン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
訪問者が居住者を呼び出すインターホン装置は、玄関に設置された玄関子機の呼出ボタンが押下されることで居室親機で呼出音が鳴動し、居住者は訪問者があることを認識するが、呼出操作しなくても訪問者の存在を把握できるインターホン装置がある。
例えば、特許文献1のインターホンシステムでは、玄関或いはその近くにセンサカメラを設置して、センサカメラが人物を検知したら、カメラの撮像映像を居室親機に表示させ、居室親機で警報音を発報させた。この動作により、玄関子機が操作されなくても居住者は玄関先にいる訪問者或いは人物の存在を把握できた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方で、玄関子機の呼出ボタンは、だれが操作したかわからないため、触りたくない訪問者が増えている。
しかしながら上記従来の技術は、人物の存在を把握できる程度であり、玄関子機と居室親機との間で通話路が形成されないため、居住者が訪問者に対して話しかけることができなかった。
【0005】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、訪問者が玄関子機を操作しなくても、訪問者が玄関子機に近づいたらそれを認識して居室親機が呼出動作し、応答操作すれば通話が可能となるインターホン装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する為に、請求項1の発明は、訪問者を撮像するカメラを備えると共に、居住者を呼び出して通話する機能を備えた玄関子機と、カメラの撮像映像を表示するモニタを備えると共に、玄関子機からの呼び出しに応答する機能を備えた居室親機とを有するインターホン装置において、玄関子機は、訪問者を検知して、当該訪問者が所定の第1の距離まで玄関子機に近づいたら第1の信号を出力するToFセンサモジュールと、第1の信号を受けて、居室親機に呼出信号を送信すると共に、呼び出していることを訪問者に通知するメッセージを玄関子機から報音させる子機制御部と、を有することを特徴とする。
この構成によれば、訪問者が玄関子機に近づくと呼出動作するので、訪問者は呼出操作する必要がない。よって、呼出ボタンを押下する必要が無く、ボタンを触って不安な思いをすることがない。また、呼び出していることが訪問者に通知されるため、安心できる。
尚、ToFセンサはTime of flightセンサの略で、発した信号が対象物に反射して帰ってくるまでの時間を基に距離を計測するセンサであり、ToFセンサモジュールは設定された距離まで対象物が近づいたら、それを通知する機能を備えたモジュールである。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の構成において、ToFセンサモジュールは、訪問者が第1の距離に近づく前に、第1の距離より遠い所定の第2の距離まで近づいたら第2の信号を出力し、子機制御部は、第2の信号を受けて、カメラを起動させて撮像を開始すると共に、カメラの前に誘導するメッセージを玄関子機から報音させ、更にカメラの撮像映像を居室親機に送信してモニタに表示させることを特徴とする。
この構成によれば、訪問者が例えば玄関子機まで10メートルの距離まで来たら、カメラが撮像を行い、その映像が居室親機に表示されるため、呼び出しを受けなくても居住者は玄関先に誰か居るのを認識でき、セキュリティの向上に役立つ。
また、カメラの前に移動することを促すため、モニタの表示映像から訪問者を判別し易い。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の構成において、玄関子機は深紫外LEDを具備し、子機制御部は、第1の信号を受けたら、深紫外LEDを発光させて、手を深紫外LEDに翳して頂くメッセージを玄関子機から報音させることを特徴とする。
この構成によれば、深紫外LEDの発光により訪問者の手を殺菌できるため、居住者は安心して訪問者を迎え入れることができる。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1又は2に記載の構成において、ToFセンサモジュールが距離計測のために具備する光源が深紫外LEDであり、子機制御部は、第1の信号を受けたら、手を深紫外LEDに翳して頂くメッセージを玄関子機から報音させることを特徴とする。
この構成によれば、深紫外LEDを訪問者の手の殺菌に使用するため、居住者は安心して訪問者を迎え入れることができるし、ToFセンサモジュールの深紫外LEDを殺菌に使用するため、殺菌専用の光源を設ける必要がない。
【0010】
請求項5の発明は、請求項4に記載の構成において、ToFセンサモジュールは、第1の信号の出力に合わせて、深紫外LEDの出力を上げることを特徴とする。
この構成によれば、深紫外LEDの殺菌作用を最大限に活用することが可能となる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、訪問者がカメラに近づくと呼出動作するので、訪問者は呼出操作する必要がない。よって、呼出ボタンを押下する必要が無く、ボタンを触って不安な思いをすることがない。また、呼び出していることが訪問者に通知されるため、安心できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明に係るインターホン装置の一例を示す構成図であり、構成機器をブロック図で示している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明に係るインターホン装置の一例を示す構成図であり、1は居住者を呼び出すための玄関子機1、2は玄関子機1からの呼び出しに応答するための居室親機である。玄関子機1は玄関等の屋外に設置され、居室親機2は室内に設置されて使用され、両者は伝送線L1により接続されている。
【0014】
玄関子機1は、訪問者を撮像するカメラ11、カメラ11の撮像映像を処理する子機映像処理部12、夜間撮影のためのLED13、通話するためのマイク(子機マイク)14、及びスピーカ(子機スピーカ)15、音声信号を処理する通話回路16、ToFセンサモジュール17、玄関子機1を制御する子機CPU18、居室親機2と通信する子機通信IF19等を備えている。
子機CPU18は、玄関子機1の全体の制御に加えて、ToFセンサモジュール17が出力する信号を受けて予め設定された制御を実施する。
【0015】
ToFセンサモジュール17は、距離を計測するために発光する深紫外LED17a、深紫外LED17aの反射光を受ける受光部17b、深紫外LED17aを制御するLED制御部17c、反射光から距離を計測する距離計測部17d、距離を記憶する閾値記憶部17e、ToF制御部17fを備えている。そして、近づいて来る人物を監視し、閾値記憶部17eで設定された距離まで近づいたら、ToF制御部17fより子機CPUに対して所定の信号を出力する。
【0016】
具体的に、ここでは2つの距離、例えば第1の距離として3メートル、例えば第2の距離として10メートルが設定され、この情報が閾値記憶部17eに登録される。ToF制御部17fはこの登録された距離情報を基に、距離に対応した所定の信号を出力する。
【0017】
居室親機2は、カメラ11の撮像映像を表示するモニタ21、玄関子機1から伝送された映像信号を処理する親機映像処理部22、通話するためのマイク(親機マイク)23、及びスピーカ(親機スピーカ)24、音声信号を処理する通話回路25、各種操作を行う操作部26、メッセージ等を記憶する記憶部27、居室親機2を制御する親機CPU28、玄関子機1と通信する親機通信IF29等を備えている。
【0018】
このように構成されたインターホン装置の動作は以下のようである。ToFセンサモジュール17は常時オン状態にあり、近づいてくる人物を検知して距離計測部17dが距離を計測する。こうして近づいてくる物体を人物として計測し、人物から玄関子機1までの距離が10メートルとなったら、子機CPU18に人物検知信号(第2の信号)を出力する。
この人物検知信号を受けた子機CPU18は、カメラ11を起動して撮像映像を居室親機2に送信する。同時に、居室親機2の記憶部27から人物検知信号に関連付けられているメッセージを取り出し、子機スピーカ15から報音させる。
例えば、「カメラの前へお進みください」のメッセージが子機スピーカ15から報音される。尚、映像信号が送信された居室親機2では、モニタ21に撮像映像が表示される。
【0019】
その後、このメッセージを受けた人物が、玄関子機1まで3メートルの距離に来ると、距離計測部17dからの信号をToF制御部17fが認識して、訪問者確認信号(第1の信号)を子機CPU18に出力する。また、この訪問者確認信号の出力に合わせて、LED制御部17cが深紫外LED17aの出力が最大値になるよう制御し、紫外線量を増加させる。
そして、訪問者確認信号を受けた子機CPU18は、呼出信号を生成して居室親機2に送信する。合わせて記憶部27から訪問者確認信号に関連付けられているメッセージを取り出し、子機スピーカ15から報音させる。
例えば、「ただいま呼び出しています。そのままお待ちください」のメッセージが子機スピーカ15から報音され、引き続き「手を消毒します、手を青い光に当ててください」のメッセージが報音される。
【0020】
このメッセージを受けた人物(訪問者)は、玄関子機1を呼出操作すること無く居住者の応答を待てば良いことを把握できるし、待ち時間を利用して翳した手が消毒できることを認識でき、待ち時間を有効に利用できる。
【0021】
一方、呼出信号を受信した居室親機2は、親機CPU28の制御により呼出音を報音する。この呼出音を受けた居住者が居室親機2を応答操作すると、玄関子機1と居室親機2との間で通話路が形成され、訪問者と居住者との間で通話が可能となる。結果、居住者はモニタ21に表示されている来訪者映像を見ながら通話することができる。
【0022】
このように、訪問者が玄関子機1に近づくと呼出動作するので、訪問者は呼出操作する必要がない。よって、呼出ボタンを押下する必要が無く、ボタンを触って不安な思いをすることがない。また、呼び出していることが訪問者に通知されるため、安心できる。
そして、訪問者が玄関子機1まで10メートル等第2の距離まで近づいたら、カメラ11が撮像を行い、その映像が居室親機2に表示されるため、呼び出しを受けなくても居住者は玄関先に誰か居るのを認識でき、セキュリティの向上に役立つ。
また、アナウンスの報音によりカメラ11の前への移動を促すことで、訪問者をモニタ表示映像から判別し易い。
加えて、深紫外LED17aを訪問者の手の殺菌に使用するため、居住者は安心して訪問者を迎え入れることができるし、ToFセンサモジュール17の深紫外LED17aを殺菌に使用するため、殺菌専用の光源を設ける必要がない。
更に、殺菌に使用する際は、深紫外LED17aの出力を最大にするため、その殺菌作用を活用できる。
【0023】
尚、上記実施形態では、ToFセンサモジュール17が人物までの距離を計測する光源として深紫外LED17aを備えているが、近赤外LEDを使用して距離を計測しても良い。その場合、消毒専用の深紫外LEDを設置し、呼出信号の送信に合わせて発光させれば良い。
また、人物を第2の距離(10メートル)と、第1の距離(3メートル)の2段階で検出しているが、第1の距離の検出だけでも良い。この場合、カメラ11の撮像映像の送信は呼出信号の送信に合わせて開始すれば良い。
【符号の説明】
【0024】
1・・玄関子機、2・・居室親機、11・・カメラ、17・・ToFセンサモジュール、17a・・深紫外LED、18・・子機CPU(子機制御部)、21・・モニタ、27・・記憶部、28・・親機CPU。