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特開2022-85621ランプ、照明装置、及びランプの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022085621
(43)【公開日】2022-06-08
(54)【発明の名称】ランプ、照明装置、及びランプの製造方法
(51)【国際特許分類】
   F21K 9/272 20160101AFI20220601BHJP
   F21K 9/275 20160101ALI20220601BHJP
   F21K 9/90 20160101ALI20220601BHJP
   F21K 9/278 20160101ALI20220601BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20220601BHJP
【FI】
F21K9/272
F21K9/275
F21K9/90
F21K9/278
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020197395
(22)【出願日】2020-11-27
(71)【出願人】
【識別番号】000168078
【氏名又は名称】江東電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148149
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 幸男
(72)【発明者】
【氏名】藤田 宗久
(72)【発明者】
【氏名】内田 大祐
(72)【発明者】
【氏名】岡 弘幸
(72)【発明者】
【氏名】小倉 智雄
(57)【要約】
【課題】破損時の飛散を予防でき、製造が容易で高品質の不燃性のランプとそれを用いた照明装置を提供する。
【解決手段】ランプ1は、ガラス管20と、ガラス管20の両端部に填め込まれた口金部3-1,3-2と、ガラス管20と口金部3-1,3-2とを覆うチューブ4と、ガラス管20とチューブ4との間に介在するオイルと、ガラス管20内に配置され、半導体発光素子が配置され、口金部3-1,3-2を支持するLED基板と、を備える。チューブ4は、不燃性のフッ素樹脂から形成され、オイルはフッ素オイルである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス管と、
前記ガラス管の両端部それぞれに装着され、電極が配置され、前記ガラス管の両端部それぞれを塞ぐ口金部と、
前記ガラス管および前記口金部を覆う不燃性のチューブと、
前記ガラス管と前記チューブとの間に介在する不燃性のオイルと、
前記ガラス管に収容され、半導体発光素子が配置され、前記口金部に配置された電極に接続された制御回路を備える基板と、
を備えるランプ。
【請求項2】
前記オイルは、最高使用温度が180℃以上のフッ素オイルである、
請求項1に記載のランプ。
【請求項3】
前記チューブは、最高使用温度が180℃以上のフッ素樹脂から形成される、
請求項1または2に記載のランプ。
【請求項4】
前記チューブは、ポリテトラフルオロエチレン(4フッ化)(PTFE)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(4.6フッ化)(FEP)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリクロロトリフルオロエチレン(3フッ化)(PCTFE)から構成される群から選択された1つ又は複数である、
請求項3に記載のランプ。
【請求項5】
前記ガラス管の厚さ/前記チューブの厚さは、4~8の範囲にあり、前記ガラス管の厚さは0.9mm~1.5mmであり、前記チューブの厚さは0.15mm~0.30mmである、
請求項1から4のいずれか1項に記載のランプ。
【請求項6】
前記基板は、金属から形成され、前記ガラス管を貫通し、両端部が前記口金部に固定され、前記口金部を支持する、
請求項1から5のいずれか1項に記載のランプ。
【請求項7】
前記基板は、前記ガラス管が破損したときであっても、前記ガラス管の破片を前記チューブとともに保持する強度を有する、
請求項1から6のいずれか1項に記載のランプ。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載のランプと、
前記ランプを保持して電力を供給する装置と、
を備える照明装置。
【請求項9】
半導体光源を内蔵し、口金部が配置されたガラス管を有するランプを、不燃性のチューブに挿入する工程と、
前記ガラス管と前記チューブとの間に、不燃性のオイルを供給する工程と、
前記チューブを収縮して、前記ガラス管と前記口金部に前記チューブを密着させる工程と、
を備えるランプの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ランプ、照明装置、及びランプの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道車両、バス等の公共交通機関のランプには、不燃性、飛散防止性等、一般のランプ以上の厳しい要件が課されている。
【0003】
これらの要件を満たすランプとして、特許文献1は、LED光源を収容したガラス管を熱収縮チューブで覆い、ガラス管と熱収縮チューブとの間にシリコーン粘着層を備えるランプを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-201103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1は、熱収縮チューブの材質として、PETとフッ素樹脂を例示する。しかし、PETは可燃性である。また、フッ素樹脂にも種類があり、不燃性が得られるとは限らない。
【0006】
また、特許文献1に開示された構成では、熱収縮チューブの両端部がシリコーン粘着層により口金に接着されている。この構成の場合、ガラス管が破損した際に、粘着力が不足し、熱収縮チューブの端部が口金から外れてしまい、熱収縮チューブに収容されていた破片がチューブからこぼれ出てしまうおそれがある。また、端部が口金から外れない場合でも、破片を収容した熱収縮チューブが口金から垂れ下がってしまい、口金の支持構造によっては、破損したランプが口金と共に照明装置から脱落してしまうおそれがある。
【0007】
また、特許文献1は、口金が熱収縮チューブに被覆されているため、口金が樹脂製であっても不燃性を得ることができるとしている。しかし、口金の端面が熱収縮チューブから露出しており、口金の不燃性は確保されていない。
【0008】
また、特許文献1に開示されたランプの製造方法では、ガラス管を熱収縮チューブに挿入する際、シリコーン粘着層が熱収縮チューブに触れてしまい、熱収縮チューブに凹凸、しわ、よれ等の変形が生ずるおそれがある。これらの変形が生ずると、ランプの光照射特性が低下し、熱収縮チューブが劣化しやすくなり、外観上も好ましくない。この問題を避けるため、大径の熱収縮チューブを使用すると、収縮量が不足し、ガラス管に被着できず、たるみによる凹凸やよれが生じてしまう場合がある。また、熱収縮チューブが、収縮過程でシリコーン粘着層に接触し、均一に熱収縮できず、変形が生じるおそれがある。このため、高品質のランプの提供が困難である。
【0009】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、破損時の飛散を予防でき、製造が容易で高品質の不燃性のランプと、それを用いた照明装置、ランプの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明にかかるランプは、ガラス管と、ガラス管の両端部それぞれに装着され、電極が配置され、ガラス管の両端部それぞれを塞ぐ口金部と、ガラス管および口金部を覆う不燃性のチューブと、ガラス管とチューブとの間に介在する不燃性のオイルと、ガラス管に収容され、半導体発光素子が配置され、口金部に配置された電極に接続された制御回路を備える基板と、を備える。
【0011】
また、本発明にかかるランプの製造方法は、半導体光源を内蔵し、口金部が配置されたガラス管を有するランプを、不燃性のチューブに挿入する工程と、ガラス管とチューブとの間に、不燃性のオイルを供給する工程と、チューブを収縮して、ガラス管と口金部にチューブを密着させる工程と、を備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ガラス管が破壊されたときにガラス片を飛散させないうえに、不燃性を有するランプを提供できる。また、不燃性オイルを使用することにより、製造が容易になり、また、高品質のランプが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施の形態に係る直管ランプの平面図である。
図2図1に示す直管ランプのII-II線矢視断面図である。
図3図1に示す直管ランプを口金部の側から見た側面図である。
図4図1に示す直管ランプのIV-IV線矢視断面図である。
図5図1に示す直管ランプに収容されている発光部の平面図である。
図6図2に示す断面図のガラス管とチューブを含む一部の拡大図である。
図7図1に示すランプが用いられる照明装置と、該照明装置にランプを取り付ける動作を説明する図である。
図8】本発明の実施の形態に係る丸形ランプを例示する図である。
図9】チューブの被覆構造の変形例を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施の形態にかかるランプ1を、図面を参照しつつ説明する。
以下の説明において、同一の構成には同一の符号を付す。また、理解を容易にするため、XYZ直交座標系を設定し、適宜参照する。ランプの長軸方向をX軸方向、X軸に直交し、後述するLED基板の短手方向をZ軸方向、X軸とZ軸に直交する方向をY軸方向とする。
【0015】
まず、ランプ1の構成を図1図5を参照して説明する。なお、図1は平面図、図2図1のII-II線矢視断面図、図3は側面図、図4図1のIV-IV線矢視断面図、図5は発光部の平面図である。
【0016】
ランプ1は、図1図4に示すように、直管状の本体部2と、本体部2の両端部に配置された口金部3-1,3-2と、本体部2および口金部3-1,3-2を被覆するチューブ4とを備える。
【0017】
本体部2は、両端部が開放したガラス管20と、ガラス管20内に配置された発光部22とを備える。
【0018】
ガラス管20は、断面が円形で直管形状を有し、その長手方向の長さLが、例えば、580~1198mm、直径φが、例えば、26mm~32mmであり、一般的な照明装置において用いられうるサイズとされている。ガラス管20の厚さは、例えば、0.9mm~1.5mmである。
【0019】
図4に示すように、ガラス管20の内面には、発光部22から出射された白色光を拡散し、高輝度の光が直接目に入らないようにするための光拡散性の層(以下、拡散層)28が形成されている。
【0020】
発光部22は、ガラス管20内に配置され、図3図5に示すように、LED基板220と、LED基板220の上に配列された複数のLED素子224と、ドライブ基板26-1,26-2とを備える。
【0021】
LED基板220は、図1及び図2に示すように、ガラス管20をほぼ全長にわたって貫通する。LED基板220は、図4に示すように、ガラス管20の内面に、シリコーン接着剤等の最高使用温度が180℃より高い不燃性の接着剤228により接着され、固定されている。また、LED基板220の両端部は、それぞれ、口金部3-1,3-2に同等の不燃性のシリコーン接着剤により接着され、固定されている。
【0022】
LED基板220は、アルミニウム等の金属の板から構成され、ガラス管20が破損したときに、口金部3-1,3-2を保持し、かつ、ガラス管20の破片をチューブ4とともに保持するに足る強度を有する。LED基板220が口金部3-1,3-2を保持することにより、ガラス管20が破損したときに、ランプ1が、照明装置から外れて落下することが防止される。
【0023】
LED素子224は、LED基板220上に配列され、LED基板220に半田付けされている。各LED素子224は、青色光を発光するLEDチップと、LEDチップを囲って配置され、LEDチップから出射された青色光を黄色光に変換し、これらの光を混合して白色光として出射する蛍光体とを備える。
【0024】
LED基板220の表面は絶縁コーティングされており、絶縁コーティング上に、複数のLED素子224とドライブ基板26-1又は26-2を接続する配線パターンが形成されている。
【0025】
図1図3図5に示すドライブ基板26-1,26-2は、LED基板220の両端部に、配線パターンを形成しない領域を形成し、この領域に配置されている。ドライブ基板26-1,26-2には、それぞれ、制御回路が形成されている。各制御回路は、口金部3-1,3-2に配置されている電極34-1,34-2を介して交流又は直流の外部電力を受けて、一体としてLED駆動回路として動作しLED素子224を駆動する。LED素子224は、駆動回路により駆動され、図4に模式的に示すように、白色光を出射する。出射光は、ガラス管20の内面に形成された拡散層28に衝突して、拡散され、外部に放射される。
【0026】
口金部3-1は、G13型のものであり、ランプ1を外部電源に接続すると共にランプ1を照明装置に取り付ける機能を果たす。口金部3-1は、図3に示すように、ガラス管20の一端部に填め込まれて封止する口金30-1と、絶縁体32-1と、絶縁体32-1を貫通して配置された一対の電極34-1とを備える。なお、G13型は一例であり、限定されるものではない。口金30-1,30-2は不燃性の観点から、金属性が望ましい。口金部3-1は、ドライブ基板26-1の影を全体で隠すように、X軸方向にドライブ基板26-1の端を越える位置まで配置されている。ただし、これに限定されるものではなく、口金部3-1をドライブ基板26-1より短く形成し、シールを貼るなど等の手法で影を隠すようにしてもよい。
電極34-1は、リードを介してドライブ基板26-1上に形成された制御回路に接続され、外部電力を供給する。
【0027】
口金部3-2は、口金部3-1と実質的に同一の構成を有し、図1に示すように、ガラス管20の他端部に填め込まれて封止する口金30-2と、図示せぬ絶縁体を介して口金30-2に配置された一対の電極34-2とを備える。口金部3-2は、X軸方向にドライブ基板26-2の端を越える位置まで配置されている。ただし、これに限定されるものではない。
一対の電極34-2は、リードを介してドライブ基板26-2に接続され、外部電力を供給する。
【0028】
図1図3に示すように、チューブ4は、ガラス管20の表面と口金30-1,30-2それぞれの側面部を密着して覆う。
【0029】
チューブ4は、収縮済みの熱収縮チューブから形成されている。チューブ4の直径方向の収縮率は10%~30%であり、長さ方向の収縮率はほぼ0%である。
【0030】
チューブ4は、不燃性の樹脂材料であるフッ素樹脂から構成される。より詳細には、燃焼に必要な酸素濃度を示すOI (Oxygen Index)が、95以上を示す、ポリテトラフルオロエチレン(4フッ化)(PTFE)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(4.6フッ化)(FEP)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリクロロトリフルオロエチレン(3フッ化)(PCTFE)からなる群の中から選択されたものが望ましい。一方、OIが30程度のテトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(FTFE)、43程度のポリビニリデンフルオライド(2フッ化)(PVDF)は望ましく無い。
【0031】
図1図4では、図面を見やすくするため、ガラス管20とチューブ4とを離間して表示しているが、実際には、図6に拡大して示すように、ガラス管20とチューブ4の間の微小な空隙にはオイルの層(以下、オイル層)40が介在する。オイル層40は、毛細管現象により、ガラス管20とチューブ4との間隙に広がり、ガラス管20とチューブ4とを密着させる。即ち、チューブ4がよれることなく、オイル層40を介して、均一にガラス管20に密着している状態を維持する。また、空隙が発生してもそこに入りこみ、目立たなくさせる。
【0032】
オイル層40を形成するオイルとしては、不燃性のもの、例えば、最高使用温度が180℃以上のフッ素オイルが用いられる。具体的には、パーフルオロポリエーテル(PFPE)油、クロロトリフルオロエチレンの低重合体(CTFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等である。
【0033】
なお、図6において、オイル層40の厚さTと拡散層28の厚さTとは強調されており、これらの厚さT,Tは、ガラス管20の厚さTおよびチューブ4の厚さTに比べると非常に薄い。
【0034】
ガラス管20の厚さTに対して、チューブ4の厚さTが薄すぎると、チューブ4の強度が不十分なために、ランプ1の破損時にガラス片が飛散してしまうおそれがある。一方、ガラス管20の厚さTに対して、チューブ4の厚さTが厚すぎると、火災時に、炎による熱がガラス管に伝わりにくくなりチューブの表面が燃えるおそれがある。従って、ガラス管20の厚さTとチューブ4の材料および厚さTとを、ガラス管の厚さT/チューブ4の厚さT=4~8程度、好ましくは、5~7程度とすることが望ましい。従って、ガラス管20の厚さTが0.9mm~1.5mmのときには、チューブ4の厚さTは0.10mm~0.35mm、望ましくは、0.15mm~0.30mm程度、とされる。
【0035】
以上の構成を有するランプ1は、図7に示すように、電車車両の天井部などに配置された電車車両用照明装置50に装着され、使用される。電車車両用照明装置50は、ランプ1の口金部3-1,3-2の電極34-1,34-2を受け入れてランプ1を着脱可能に固定する一対のソケット51を備える。各ソケット51は、電極34-1,34-2に接触してランプ1に電力を供給する電極を備える。
【0036】
電車車両用照明装置50にランプ1が装着され、電源が投入されると、電極34-1,34-2を介してドライブ基板26-1,26-2に電力が供給される。すると、図4に示すように、ドライブ基板26-1,26-2に形成されたドライブ回路がLED素子224を駆動し、LED素子224は白色光を照射する。LEDは発光面積が小さく輝度が高いため、直接光が目に入ると目を傷める可能性があり、また発光部周辺が見えにくくなる。このため拡散層28により光を拡散させている。
【0037】
このとき、ガラス管20の表面とチューブ4とがオイル層40により密着している。また、ガラス管20、オイル層40、チューブ4の屈折率は比較的近い。このため、拡散層28からの光は、ガラス管20とオイル層40とチューブ4の界面でほとんど反射することなく透過し、チューブ4から放射される。また、ガラス管20とオイル層40とチューブ4は光透過性である。このため、オイル層40が配置されていない場合と比較して、ランプ1から出射される光の強度を強くすることができる。また、ガラス管20,オイル層40及びチューブ4が透明であるため、光の減衰も小さい。
【0038】
なお、ガラス管20の厚さTとチューブ4の厚さTが、ガラス管20の厚さT/チューブ4の厚さT=4~8程度に設定されている。このため、ランプ1の外部で発生した熱は、ガラス管20内に伝達され、チューブ4が過度に過熱され、燃えることがない。
【0039】
ここで、電車車両用照明装置50に装着されたランプ1のガラス管20が破損したと仮定する。この場合でも、LED基板220が口金部3-1,3-2を保持する強度を有する。このため、口金部3-1,3-2は、電車車両用照明装置50のソケット51から外れず、ランプ1が落下する事態が防止される。なお、口金部3-1,3-2がドライブ基板26-1,26-2の影を隠せる程度にX軸方向に長く形成されているので、LED基板220と口金部3-1,3-2との固定も容易且つ確実に行うことができる。
【0040】
また、破損したガラス管20のガラス片が落下しても、チューブ4が一定の厚さを有しているので、破れることなく、ガラス片を保持できる。さらに、LED基板220の両端部が口金部3-1と3-2に固定されており、チューブ4が口金部3-1,3-2から抜けることはない。このため、ガラスの破片がチューブ4内に収容されて、チューブ4の両端部が口金部3-1,3-2によって蓋がされた状態になり、破片がこぼれ出すこともない。従って、安全にガラス片を処理できる。
【0041】
また、ガラス管20が不燃物であるガラス、口金部3-1,3-2が不燃物である金属、LED基板220も金属、さらに、チューブ4が不燃性のフッ素樹脂、オイル層40が不燃性のフッ化オイルから形成されている。即ち、ランプ1が全体として不燃性である。従って、火災が発生した場合でも、ランプ1自体は、“燃えにくく”仮に燃えたとしても、継続して燃焼せず、安全性が高い。これにより、例えば、「鉄道に関する技術上の基準を定める省令」の第八十三条の3、「鉄道に関する技術上の基準を定める省令の解釈基準」の第八十三条の客室の天井に使用するために必要な不燃性に適合する、直管LEDランプを提供できる。
【0042】
次に、上述の構成を有するランプ1の製造方法を説明する。
最初に、ガラス管20を洗浄し、乾燥させる。
ガラス管20の内壁全面に拡散材をコーティングし、焼成することにより拡散層28を形成する。
【0043】
別途、発光部22を用意する。続いて、LED基板220の下面の全体に接着剤228を塗布し、ガラス管20の内側に挿入する。続いて、LED基板220を位置合わせして、接着剤228を固化して、発光部22をガラス管20の内壁に固定する。
ドライブ基板26-1とドライブ基板26-2をLED基板220上のコネクタに接続し固定する。
【0044】
次に、ガラス管20の両端部を塞ぐように、口金部3-1,3-2をガラス管20及びLED基板220にシリコーン接着剤により接着するとともに、発光部22のドライブ基板26-1のリード線を口金部3-1の電極34-1に接続する。同様に、発光部22のドライブ基板26-2のリード線を口金部3-2の電極34-2に接続する。次に、電極34-1と電極34-2をかしめリード線を固定し、余分なリード線を切断する。
【0045】
次に、ガラス管20の表面に、オイルを、ごく薄く塗布する。
次に、ガラス管20と口金部3-1,3-2と口金部3-1,3-2の端面の周縁部を被覆できる長さの未収縮のチューブ4を用意する。続いて、口金部3-1,3-2が取り付けられたガラス管20をチューブ4に差し込む。
【0046】
次に、ガラス管20を炉にいれ、チューブ4の全体を均一に、内部部品がその使用温度の上限を超えない温度、例えば、180℃~200℃の温度で、1分~5分間、加熱する。これにより、チューブ4は収縮し、ガラス管20および口金部3-1,3-2の側面、および、口金部3-1及び3-2の端面の周縁部を密着して被覆する。オイルは、硬化することなく、毛細管現象により、ガラス管20とチューブ4との間にむらなく介在するようになる。
【0047】
以上の工程により、ランプ1が完成する。
この製造方法によれば、オイルを塗布してからチューブ4を熱収縮するため、熱収縮の際に、チューブ4に外部から力が加わらず、チューブ4に凹凸やよじれが発生しにくい。従って、凹凸やよじれなく、表面がスムーズな高品質のチューブ4でガラス管20及び口金部3-1,3-2を被覆することができる。これにより、ガラス管20が破損した時の飛散を予防でき、不燃性の高品質なランプを提供できる。
【0048】
なお、上述の製造工程は、一例であり、限定されるものではない。例えば、ランプを熱収縮チューブ4に挿入した後、熱収縮チューブ4の収縮前にランプとチューブ4の間にオイルを供給したり、熱収縮チューブ4を熱収縮した後に、ランプとチューブ4の間にオイルを供給してもよい。
【0049】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されない。
【0050】
例えば、白色光を発光するLED素子224を半導体発光素子として使用する例を示したが、LED素子224として青色光を発光する青色LED素子を半導体発光素子として使用し、拡散層28に代えて青色光を白色光に変換すると共に拡散蛍光層を配置する等してもよい。また、半導体光源として、LED素子224を例示したが、有機EL素子、無機EL素子等の他の半導体光源であってもよい。
【0051】
LED基板220の両端部を口金部3-1,3-2に直接固定する例を示したが、LED基板220が口金部3-1,3-2を支持できるならば、その固定手法は任意である。例えば、口金部3-1,3-2とLED基板220とをガラス管20を介して間接的に固定してもよい。この場合、ガラス管20が破損した際、口金部3-1,3-2は割れたガラスを介してLED基板220に支持される。ただし、ガラスは力の加わった方向に割れるため、通常の使用では、ガラス管20は、X軸方向には割れにくく、LED基板220は、口金部3-1,3-2を十分に支持可能である。特に、実施の形態のように口金部3-1,3-2をX軸方向に長く形成することにより、LED基板220と口金部3-1,3-2とをガラス管20を介した強固に結合することが可能となる。
【0052】
上記実施の形態では、チューブ4により、口金部3-1,3-2の周面及び端面の周縁部を覆ったが、覆う形態は任意である。例えば、口金部3-1,3-2の周面のみを覆ってもよい。また、図9に例示するように、電極34-1、34-2を除いてほぼ口金部3-1,3-2の全体をチューブ4で覆っても良い。なお、チューブ4の端部を口金部3-1,3-2の端面に沿わせることが望ましいが、必要条件ではない。
【0053】
また、チューブ4の端部を口金部3-1,3-2に不燃性の接着剤により接着してもよい。
【0054】
不燃性の接着剤として、最高使用温度が180℃以上のシリコーン接着剤を例示したが、不燃性であれば、他の接着剤を使用してもよい。
【0055】
また、上記実施の形態においては、直管型ランプを例示したが、この発明はこれに限定されず、他の形態のランプにも適用可能である。一例として、円形ランプに適用した例を、図8を参照して説明する。図8に示すランプ6は、円環状の本体部60と、本体部60と電源とに接続されるソケット62とを備える。この構成において、例えば、本体部60とソケット62の両端部とが不燃性のチューブ4により被覆される。この場合も、チューブ4とチューブ4の端部をソケット62の端部に接着剤により接着してもよい。
【0056】
ガラス管の断面が円形のランプ1,6について説明したが、本発明に係るランプのガラス管の断面は円形でなくてよく、例えば、楕円形等であってもよい。また、ランプ1は、電車以外の公共交通機関用の照明装置、施設用の照明装置、家庭用照明装置など、電車車両用の照明装置以外にも用いられる。
【0057】
本発明の実施の形態を説明したが、この実施の形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図しない。この新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施の形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0058】
1,6 ランプ、2、62 本体部、20 ガラス管、22 発光部、26-1,26-2 ドライブ基板、28 拡散層、3-1,3-2 口金部、30-1,30-2 口金、32-1 絶縁体、34-1,34-2 電極、4 チューブ、40 オイルの層、50 電車車両用照明装置、51 ソケット、60 本体部、62 ソケット、220 LED基板、224 LED素子、226 封止材、228 接着剤。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9