(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022008564
(43)【公開日】2022-01-13
(54)【発明の名称】タンポンを製造するための方法
(51)【国際特許分類】
A61F 13/20 20060101AFI20220105BHJP
【FI】
A61F13/20 260D
A61F13/20 231
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021156667
(22)【出願日】2021-09-27
(62)【分割の表示】P 2017566679の分割
【原出願日】2016-06-22
(31)【優先権主張番号】A50554/2015
(32)【優先日】2015-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(71)【出願人】
【識別番号】511205677
【氏名又は名称】ルークグリ プロジェクツ アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ハラルト レンヘル
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200AA03
3B200BA01
3B200BA05
3B200BA14
3B200BB04
3B200BB05
3B200BB09
3B200BB13
3B200CA17
3B200EA01
3B200EA23
3B200EA24
3B200EA27
(57)【要約】
【課題】タンポン(1)を製造するための新規な方法等を提供する。
【解決手段】本発明は、タンポン(1)を製造するための方法、および吸収性材料(6)から成る少なくとも1つの吸収体を備えたタンポン(1)に関する。タンポン(1)は、近位端部(2)と、遠位端部(3)と、遠位端部と近位端部との間に延在する中間部と、遠位端部(3)に配置されて吸収体に結合された引出手段(5)とを有しており、タンポンは、引出手段(5)用の貫通開口(13)を除いて少なくとも遠位端部(3)を完全に覆う、不織布(4)から成る少なくとも1つのカバーを有しており、カバーによって遠位端部(3)における繊維離脱が防止されており、カバーによって、付加的に液体流出防護手段が形成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンポン(1)を製造するための方法であって、以下の各ステップ、すなわち、
i)不織布から成るストリップ(4)を、吸収性材料から成るストリップ(6)上で位置決めし、前記不織布から成るストリップ(4)の一部(8)が、前記吸収性材料から成るストリップ(6)の短辺(7)を越えて張り出すようにするステップと、
ii)前記不織布から成るストリップ(4)を、前記吸収性材料から成るストリップ(6)に結合するステップと、
iii)前記吸収性材料から成るストリップ(6)に引出手段(5)を配置するステップと、
iv)前記吸収性材料から成るストリップ(6)と、前記不織布から成るストリップ(4)とを巻いて巻成体(9)を形成し、前記不織布が、前記巻成体(9)の外周面の少なくとも一部を覆うようにするステップと、
v)前記不織布から成るストリップ(4)の前記張り出した部分(8)を、前記不織布から成るストリップ(4)の、前記吸収性材料から成るストリップ(6)と結合された部分(15)に結合するステップと、を含む方法において、
ステップi)において、前記不織布から成るストリップ(4)を、前記吸収性材料から成るストリップ(6)の長辺(10)をも越えて張り出すように位置決めし、その際に、前記不織布から成るストリップ(4)の、前記吸収性材料から成るストリップ(6)の前記長辺(10)を越えて張り出した部分(11)の大きさを、この張り出した部分(11)によって前記巻成体(9)の端面(12)を完全に覆うことができるように選択し、ステップiv)の次のステップにおいて、前記引出手段(5)が突出している前記巻成体(9)の遠位端部を、前記引出手段(5)用の貫通開口(13)を除き、前記不織布から成るストリップ(4)の前記張り出した部分(11)によって完全に覆い、かつ前記不織布から成るストリップ(4)の前記張り出した部分(11)を結合して、前記貫通開口(13)を除き前記遠位端部を完全に覆っている閉じられたスリーブを形成し、前記不織布は、少なくとも6g/m2、特に12~30g/m2の単位面積当たりの重量を有している、または、前記不織布に代えて、プラスチックから成る液体透過性シートを用いることを特徴とする、タンポン(1)を製造するための方法。
【請求項2】
前記引出手段が突出している前記巻成体(9)の前記遠位端部は、前記引出手段(5)が伸ばされた状態で、前記不織布から成るストリップ(4)の前記張り出した部分(11)によって覆われる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記不織布から成るストリップ(4)の前記張り出した部分(11)の周方向に延在する縁部領域(14)が、前記閉じられたスリーブを形成するために前記引出手段(5)に向かって曲げられて、前記張り出した部分(11)の互いに接触し合う各部分が互いに結合される、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記不織布から成るストリップの前記張り出した部分(11)は、前記閉じられたスリーブを形成するために、前記不織布の、前記外周面を覆っている部分(15)と結合される、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記不織布から成るストリップ(4)の前記張り出した部分(11)は、溶着により前記スリーブに結合される、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記吸収性材料から成るストリップ(6)は、下限が150mmでありかつ上限が400mmの数値範囲に基づく値の長さ(l)を有しており、前記不織布から成るストリップ(4)は、下限が50mmでありかつ上限が250mmの数値範囲に基づく値の長さ(c)を有しており、前記不織布から成るストリップ(4)は、ステップi)において、前記吸収性材料から成るストリップ(6)の前記長辺(10)を、ステップiv)で形成される前記巻成体(9)の半径に実質的に相当する幅(b)だけ越えて張り出すように位置決めされる、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記不織布から成るストリップ(4)の幅は、前記吸収性材料から成るストリップ(6)の幅よりも大きく、前記不織布から成るストリップ(4)は、ステップi)において、該不織布から成るストリップ(4)が、前記吸収性材料から成るストリップ(6)の幅の少なくとも3/4を覆うように、前記吸収性材料から成るストリップ(6)上で位置決めされる、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記タンポン(1)の前記遠位端部に、防水性または撥水性のコーティング(16,19)が施される、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記タンポン(1)の前記遠位端部に、防水性または撥水性の材料から成るカバー(18,19)が備えられる、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
吸収性材料から成る少なくとも1つの吸収体(6)を備えたタンポン(1)であって、当該タンポン(1)は、近位端部(2)と、遠位端部(3)と、該遠位端部と前記近位端部との間に延在する中間部と、前記遠位端部(3)に配置されて前記吸収体に結合された引出手段(5)と、を有しているものにおいて、
当該タンポンは、前記引出手段(5)用の貫通開口(13)を除いて少なくとも前記遠位端部(3)を完全に覆い、前記遠位端部(3)における繊維離脱を防ぐ、少なくとも6g/m2、特に12~30g/m2の単位面積当たりの重量を有する不織布のストリップ(4)または液体透過性シートから成るカバーを有しており、該カバーによって、付加的に液体流出防護手段が形成されていることを特徴とする、タンポン。
【請求項11】
当該タンポン(1)の前記遠位端部は、防水性または撥水性のコーティングを有している、請求項10記載のタンポン。
【請求項12】
当該タンポン(1)の前記遠位端部は、防水性または撥水性の材料から成るカバーを有している、請求項10または11記載のタンポン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンポンを製造するための方法であって、以下の各ステップ、すなわち、
i)不織布から成るストリップを、吸収性材料から成るストリップ上で位置決めし、不織布から成るストリップの一部が、吸収性材料から成るストリップの短辺を越えて張り出すようにするステップと、
ii)不織布から成るストリップを、吸収性材料から成るストリップに結合するステップと、
iii)吸収性材料から成るストリップに引出手段を配置するステップと、
iv)吸収性材料から成るストリップと、不織布から成るストリップとを巻いて巻成体を形成し、巻成体において不織布から成るストリップが、巻成体の外周面の一部を覆うようにするステップと、
v)不織布から成るストリップの張り出した部分を、不織布から成るストリップの、吸収性材料から成るストリップと結合された部分に結合するステップと、
を含む方法に関する。
【0002】
さらに本発明は、吸収性材料から成る少なくとも1つの吸収体を備えたタンポンであって、近位端部と、遠位端部と、遠位端部と近位端部との間に延在する中間部と、遠位端部に配置されて吸収体に結合された引出手段と、を有しているタンポンに関する。
【背景技術】
【0003】
吸収性材料から成る巻成ストリップから製造された周知のタンポンの場合には、材料の圧縮にもかかわらず、使用中、引出端部において吸収性材料の繊維の望ましくない解離が生じることがあり、これはとりわけ、指を用いて遠位端部から引出手段をはがす場合に当てはまる。このタンポンは製造中に巻成されるため、従来のタンポンにおいては、タンポンがその使用後に、または身体からの除去(糸を引っ張る)に際して、
図1に具体的に示したように「テレスコープ式に」引き伸ばされる危険もあり、これにより場合によっては吸収性材料、例えば綿から成るストリップの部分が体内に残留する恐れがある。
【0004】
欧州特許第1677722号明細書から公知のタンポンでは、タンポンの大部分に、撥水性または防水性の材料から成るスリーブが設けられている。しかしながら、これは、液体吸収量の減少という欠点を有している。別のタンポンの場合は、液体流過時間、すなわちタンポンに液体を浸透させたときに遠位端部において液滴が流出するまでの時間が短いという欠点がさらに生じている。この流過時間は、例えばEDANA規格試験WSP350.1.R3(12)に従った測定によって求めることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
よって、本発明の課題は、従来技術の上記欠点を克服すると共に、タンポンを通る液体の流過時間を増やすことにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、冒頭で述べた形式の方法を用いて、本発明に基づき、ステップi)において不織布から成るストリップを、吸収性材料から成るストリップの長辺をも越えて張り出すように位置決めし、その際に、不織布から成るストリップの、吸収性材料から成るストリップの長辺を越えて張り出した部分の大きさを、この張り出した部分によって巻成体の端面を完全に覆うことができるように選択し、ステップiv)の次のステップにおいて、引出手段が突出している巻成体の遠位端部を、引出手段用の貫通開口を除き、不織布の張り出した部分によって完全に覆い、かつ不織布の張り出した部分を結合して、貫通開口を除き遠位端部を完全に覆っている閉じられたスリーブを形成し、不織布は、少なくとも6g/m2、特に12~30g/m2の単位面積当たりの重量を有しているか、または不織布に代えてプラスチックから成る液体透過性シートを用いることによって解決される。
【0007】
ここで述べておくと、巻成体およびスリーブの形成後には、例えばプレス機を用いた圧縮およびプレス等の別の自体公知のステップが、完成したタンポンを製造するために続いていてよい。
【0008】
本発明による構成手段は、引出手段が配置された端部の、不織布による完全な被覆を可能にする。これにより、巻成されたタンポンのテレスコープ式の伸長または引伸ばしおよびタンポンの繊維損失が、極めて有効に阻止されることになる。さらに、遠位端部において、液体に対する流出防護手段が実現されることになる。流出防護手段により、液体は流出防護手段無しの場合に比べ、タンポン内により長く留められる。つまり、例えば、タンポンに液体が浸透した場合、液体が遠位端部において流出するまでの時間を、カバー無しの同様のタンポンに比べ、少なくとも3%だけ増やすことができるようになっている。この場合、測定法としては、好適にはEDANA規格試験WSP350.1.R3(12)が用いられる。
【0009】
不織布(ノンウーヴンとも云う)とは、本発明に関連して、繊維混合物、または合成繊維および/または天然繊維から成る不織布繊維に少なくとも接着剤を被着してから乾燥させて製造される、面状の繊維構造体を意味する。不織布の特徴は、不織布内の接着剤により、繊維が結合されている点にある。不織布は、タンポンの吸収体を形成する材料の繊維に関しては不透過性であり、その上さらに湿分透過性または防水性に形成されていてもよい。不織布は、例えばネットまたは孔あきシートの形態を有していてもよい。またここで述べておくと、不織布という用語は、ノンウーヴンという用語の同義語として用いられる。
【0010】
吸収性(繊維状)材料が、レーヨン、木綿、セルロース、セルロース綿、ティシュー積層材、ピートダスト、竹、または化学的に強化、変更または架橋されたセルロース繊維等の、1つまたは複数の材料から形成されていると、有利である。これらの繊維状材料は高い吸湿性を有しており、繊維の外面に対する多量の液体の付着を可能にすると共に、生物学的に中性である。しかしまた、以下の、ポリエステル繊維、ポリオレフィン繊維、吸収性発泡材、吸収性スポンジ、吸収性ポリマ、毛管通路繊維、合成繊維、主に連続気泡型のポリウレタン柔軟発泡体、またはレーヨンまたはセルロースIIの結晶変化の1つの構造型から成る繊維または糸等の合成材料のうちの1つまたは複数によって形成されている吸収性(繊維状)材料を使用することも可能である。
【0011】
タンポンの長さは、例えば40mm~70mmであってよく、直径は、11mmを上回っていてよい。しかしまた、タンポンは、特に月経期間中の昼間用に、0.5g~4g、好適には3.5gの液体量を吸収するための吸収性材料の体積を備えて形成されていてよく、吸収体は40mm未満の長さ、好適には40~10mmまたは38~30mmの長さを有していてもよい。
【0012】
少なくとも、吸収体の中間部または吸収体を包囲する包囲体が円筒形に形成されている場合も有利であり、これにより、膣の粘膜に対する均一な接触を得ることができるようになっている。
【0013】
しかしまた、少なくとも、吸収体の中間部または吸収体を包囲する包囲体が円錐形または載頭円錐形に形成されている場合も有利であると証明することができる。それというのも、これにより、普通の日用タンポンまたはタンポンの挿入を簡単にすることができるからである。
【0014】
別の改良では、円錐または載頭円錐は、近位端部から遠位端部まで連続して延びていることが想定されており、これにより、普通の日用タンポンまたはタンポンの取出しを簡単にすることができる。
【0015】
しかしまたさらに、少なくとも吸収体の中間部の内部に、同一体積において吸収体の材料よりも少量の液体を吸収するように形成された、繊維状材料から成るコア領域を配置することも可能である。これにより、それぞれ異なる解剖学的な構成において望ましいタンポンの所要直径が比較的大きいにもかかわらず、とりわけ吸収体内での吸収作用または液体吸収の程度を、所要の程度に、より簡単に適合させることができる。
【0016】
しかしまたさらに、少なくとも吸収体の中間部の内部に、同一体積において、吸収体の材料よりも少量の液体を吸収するように形成されているか、または防液性の材料から成るコア領域が配置されていてもよい。これにより、吸収されるべき液体量を、専ら吸収体の形状および体積のみによって確定することができる。
【0017】
タンポンは、その表面に、様々な色で製造することができるマーキングを有していてよい。同じくタンポンは、例えば貧血、糖尿病、A型、B型またはC型肝炎およびHIV等の特定の疾患の場合に変色する化学的なインジケータを備えて製造することもできる。
【0018】
付加的な改良は、タンポンおよび/または吸収体が40mm未満の長さ、好適には40~10mmまたは38~30mmの長さを有していることにより達成される。これにより、子宮に対するタンポンの膨張および圧力が低減され、ひいては相当な不快感を生じさせることがある子宮の出口開口の封止およびせき止めが防止されることになる。
【0019】
さらに、吸収体がその全体積にわたり、吸収性材料から形成されている構成も可能であり、これにより、1つのタンポンにおいて、直径の寸法と吸収可能な液体の量とを最適化することができる。
【0020】
1つの別の有利な改良では、吸収性材料が繊維状材料から形成されていることが想定されている。これにより、液滴が個々の繊維に付着することができるようになっており、ひいては普通の日用タンポンまたはタンポンの吸収体の高い吸収性が達成されることになる。
【0021】
しかしまた、吸収性材料が、圧縮された繊維状材料から形成されている場合も有利である。それというのも、これによりタンポンの取扱い、特にタンポンの挿入および取出しが容易になるからである。
【0022】
1つの別の有利な改良では、吸収体は、その長手方向に延在する凹部または溝を備えており、かつ/または、凹部または溝は、吸収体の長手方向中心軸線の方向において波形に、好適には一定の振幅高さを備えて延在していることが想定されている。これにより、タンポンの表面積が拡大される。例えば、これにより、体液の吸収量の増加が可能である。それというのも、連続する複数の月経段階の間に身体はそれぞれ異なる量の体液を排出することがあるからである。同様に、上記の溝は、普通の日用タンポンまたはタンポン用の挿入補助手段を使用する場合にも有利である。
【0023】
湿分吸収用の、より大きな表面積は、溝または凹部が、らせん状または渦巻き線状に延在していることによって達成することができる。
【0024】
1つの別の利点は、複数の溝または凹部が、周方向において吸収体にわたり分散されて配置されることによって達成される。これにより、やはりタンポンの表面積の拡大が行われ、このことは、体液吸収量の増加につながる。それというのも、身体は各月経段階中に異なる量の体液を排出することがあるからである。流出量の多い女性にとっては、スリップ片インサートの場合よりも大幅に衛生的である。同様に、上記の溝は、普通の日用タンポンまたはタンポンの挿入補助手段を使用する場合にも有利である。溝は、タンポン用プレス機において巻成体をプレスすることにより形成することができる。
【0025】
本発明の1つの有利な実施形態では、引出手段が突出している巻成体の遠位端部は、引出手段が伸ばされた状態で、不織布の張り出した部分によって覆われることが想定されていてよい。この実施形態により、引出手段は不織布から成るスリーブの外側に位置することになり、張り出した部分で遠位端部を覆う間にスリーブの形成を妨げることはないことが保証される。
【0026】
本発明の1つの有利な改良は、不織布から成るストリップの張り出した部分の周方向に延在する縁部領域が、閉じられたスリーブを形成するために引出手段に向かって曲げられて、張り出した部分の互いに接触し合う各部分が互いに結合されるという点にある。
【0027】
本発明の1つの別の変化態様では、不織布から成るストリップの張り出した部分が、閉じられたスリーブを形成するために、不織布から成るストリップの、外周面を覆っている部分と結合されることが想定されていてもよい。
【0028】
1つの好適な実施形態では、不織布から成るストリップの張り出した部分が、溶着によりスリーブに結合される。溶着に対して代替的に、例えば接着、縫合等といった別の結合方法も使用可能である。
【0029】
有利には、吸収性材料から成るストリップは、下限が150mmでありかつ上限が400mmの数値範囲に基づく値の長さを有していてよい。この場合、不織布から成るストリップは、下限が50mmでありかつ上限が250mmの数値範囲に基づく値の長さを有しており、不織布から成るストリップは、ステップi)において、吸収性材料から成るストリップの長辺を、ステップiv)で形成される巻成体の半径または直径に実質的に相当する長さだけ越えて張り出すように、位置決めされる。
【0030】
その上さらに、不織布から成るストリップの幅は、吸収性材料から成るストリップの幅よりも大きいことが想定されていてよい。この場合、不織布から成るストリップは、ステップi)において、不織布から成るストリップが、吸収性材料から成るストリップの幅の少なくとも3/4を覆うように、吸収性材料から成るストリップ上で位置決めされる。本発明のこの実施形態では、不織布は、巻成体の外周面の大部分を覆って延在している。このようにして、膣の粘膜とタンポンの外側表面との間の摩擦が減少し、かつ少なくともタンポンの中間部での繊維損失も有効に防止することができることが保証される。もちろん、不織布から成るストリップは、吸収性材料から成るストリップの全幅にわたって延在していてもよく、これにより、タンポン全体が不織布によって包囲されていることになる。
【0031】
本発明の1つの有利な変化態様では、タンポンの遠位端部に、防水性または撥水性のコーティングが施されることが想定されていてよい。
【0032】
本発明の1つの別の有利な実施形態では、タンポンの遠位端部に、防水性または撥水性の材料から成るカバーが備えられる。
【0033】
上述した課題は、冒頭で述べた形式のタンポンを用いて、本発明に基づき、タンポンが、引出手段用の貫通開口を除いて少なくとも遠位端部を完全に覆い、遠位端部における繊維離脱を防ぐ、少なくとも6g/m2、特に12~30g/m2の単位面積当たりの重量を有する不織布、または液体透過性シートから成るカバーを有しており、このカバーにより、液体流出防護手段がさらに形成されることによっても解決することができる。
【0034】
タンポンの遠位端部は、このタンポンの遠位端部が防水性または撥水性のコーティングを有していることにより、液体の望ましくない侵入に対して防護することができる。
【0035】
その上さらに、タンポンの遠位端部は、防水性または撥水性の材料から成るカバーを有していてよい。
【0036】
本発明をより良く理解するために、本発明を以下の図面に基づきより詳しく説明する。
【0037】
図面は、それぞれ大幅に簡略化された概略図で示されている。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】引出手段に引っ張り力を加えたことによる、従来の巻成タンポンのテレスコープ式の伸長を示す図である。
【
図3】
図2に示したタンポンを製造するための1つの製造ステップにおける、吸収性材料と不織布のユニットを示す斜視図である。
【
図4】
図3に示したユニットを上から見た図である。
【
図5】
図3に示したユニットを巻成状態で示す図である。
【
図6】不織布によって閉じられた遠位端部を備える、
図5に示したユニットを示す図である。
【
図7】防水性または撥水性の材料から成る遠位端部のコーティングまたはカバーを備えた本発明によるタンポンの実施形態を示す図である。
【
図8】防水性または撥水性の材料から成る遠位端部のコーティングまたはカバーを備えた本発明によるタンポンの実施形態を示す図である。
【
図9】防水性または撥水性の材料から成る遠位端部のコーティングまたはカバーを備えた本発明によるタンポンの実施形態を示す図である。
【
図10】防水性または撥水性の材料から成る遠位端部のコーティングまたはカバーを備えた本発明によるタンポンの実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
初めに確認しておくと、それぞれ異なる説明の各実施形態において、同じ部分には同じ符号または同じ構成部材名称を付してあり、明細書全体に含まれる各開示は、同じ符号または同じ構成部材名称を有する同じ部分に有意に転用されてよい。また、明細書中で選択された、例えば上、下、側方等といった各位置記載も、直接説明して示す図面に関連しており、これらの位置記載は、位置変化においても新たな位置に有意に転用することができる。
【0040】
各実施例は、本発明によるタンポンの可能な変化態様を示すものであり、ここで述べておくと、本発明は、特に図示した本発明の各変化態様に限定されるものではなく、むしろ個々の変化態様相互の様々な組合せが可能であり、このような本発明による技術的行為に関する教示に基づいた変化の可能性は、本技術分野に従事している当業者の技術能力の範囲内である。
【0041】
さらに、図示して説明する異なる実施例の個別の特徴または特徴の組合せ自体も、独自の進歩性を有する構成、または本発明による構成を成すことができる。
【0042】
独自の進歩性を有する構成の根底を成す課題は、本明細書から得ることができる。
【0043】
本明細書中の数値範囲に関する全ての記載には、これらの数値範囲の任意の全ての部分範囲が一緒に含まれていると理解される。つまり、例えば1~10という記載には、下限の1~上限の10までの全ての部分領域が一緒に含まれていると理解され、すなわち、全ての部分領域は、例えば1~1.7、または3.2~8.1、または5.5~10のように、下限の1以上から始まり、上限の10以下で終わる。
【0044】
図2では、本発明によるタンポン1は、吸収性材料、例えば綿から成る吸収体6を有している。タンポン1は、近位端部2と、遠位端部3と、近位端部2と遠位端部3との間に延在する中間部とを有している。タンポン1が、近位端部2において丸く、または丸み付けられて形成されていると、有利である。
【0045】
遠位端部3には、吸収体と結合された引出手段5が配置されている。遠位端部3には、
図6において符号13を付した、引出手段5用の貫通開口を除いて遠位端部3を完全に覆っている、不織布のストリップ4から成るカバーが配置されている。好適には、貫通開口13は、実質的に引出手段5の直径に相当する直径を有している。カバーにより、タンポンのテレスコープ式の伸長と、遠位端部3における繊維の離脱とが防止されている。例えば
図1には、従来のタンポンが、引出手段5により引っ張り力を加えられることで(テレスコープ式に)引き伸ばされる恐れのある様子が例示されている。この場合、引出手段5と結合されている、吸収性材料から成る巻成ストリップ6の巻成体が長手方向に引き伸ばされ、これにより、従来のタンポンの場合には、タンポンが解けてしまう恐れがある。
【0046】
タンポン1の中間部は、円筒形に形成されていてよい。しかしまた、少なくとも中間部が、載頭円錐形に形成されていることも可能である。しかしまた、円筒、円錐または載頭円錐は、近位端部から遠位端部に到るまで連続して延在していてもよい。タンポン1の全ての立体形状において、例えば波形の延在部または少なくとも周面の一部にわたり周方向および/または長手方向に延在する複数の凹部等の、タンポン1の所定の長さにわたる任意の横断面変化が可能である。
【0047】
別の有利な構成は、タンポン1の少なくとも中間部に、タンポン1の長手方向に延在する複数の凹部または溝が設けられており、かつ/または、これらの凹部または溝は、タンポン1の長手方向中心軸線の方向において波状に、好適には一定の振幅の高さを備えて延在していることを想定しており、これにより、タンポン1の表面積が拡大されることから、体液受容量の増加が可能である。湿分を吸収するためのより一層大きな表面積は、溝または凹部が、らせん状または渦巻き線状に延在していることによって達成することができる。
【0048】
図2に示したタンポン1を製造するための本発明による方法において、
図3および
図4では、不織布から成るストリップ4が、吸収性材料から成るストリップ6上で位置決めされ、ストリップ4の一部8が、吸収性材料から成るストリップ6の短辺7を越えて張り出している。さらに、ストリップ4は、ストリップ6上で、ストリップ6の長辺10をも越えて張り出すように位置決めされる。この場合、ストリップ4の、ストリップ6の長辺10を越えて張り出す部分11の大きさは、
図5および
図6に示すように、各ストリップ4および6を巻いて巻成体9を形成した後で、この巻成体9の端面12を張り出した部分11によって完全に覆うことができるように選択される。この場合に使用される不織布は、少なくとも6g/m
2、特に12~30g/m
2の単位面積当たりの重量を有している。しかしまた、不織布の代わりにプラスチックから成る液体透過性シートを使用してもよい。シートは、例えば穿孔によって液体透過性にすることができる。
【0049】
ストリップ6の吸収性構造体は、多数の大きさと形状から、かつ多数の液体吸収性材料から製造することができる。
【0050】
当然、最小含有量の異物溶解材料を含む吸収性材料を用いることが望ましい。それというのも、当該製品は、所定の期間、体内に残留するからである。留められた可溶性の異物材料は、これらが毒性、刺激性、または過敏性である場合には、安全上のリスクを成す恐れがある。
【0051】
使用可能な材料のリストには、例えばレーヨン、木綿、セルロース、セルロース綿、ティシュー積層材、ピートダスト、竹、および化学的に強化、変更または架橋されたセルロース繊維等の、セルロース含有材料;例えばポリエステル繊維、ポリオレフィン繊維、吸収性発泡材、例えばばね弾性的なポリウレタン発泡材、吸収性スポンジ、とりわけ吸収性ポリマ、ゲルを形成する吸収性材料、例えば毛管通路繊維および複数の節を有する繊維等の加工繊維等の、合成材料;合成繊維または同等の材料、または複数の材料の組合せまたはこれらの混合物が含まれる。
【0052】
このようなプラスチック発泡体を使用すると、例えば吸収体の製造時の温度調整により、外皮を部分的に閉じること、すなわち、部分的な温度制御に基づき、外側領域に閉じられた外皮を得ることも可能である。これにより、発泡構造体内に吸収された液体の流出を付加的に困難にし、または防止することもできる。このような構成は、とりわけタンポン1の近位端部領域2において有利になり得る。
【0053】
タンポン1の製造は、本発明の枠内で、膣または子宮領域内の条件下で、すなわち体温において、約4のpH値を比較的長時間にわたりその状態で維持し、毒素または粘膜に有害な溶液等は一切放出しない、複数の異なる材料から行われてよい。ストリップ6の材料としては、例えば極めて低い単位体積当たりの重量と、主に連続気泡型構造とを有するポリウレタン柔軟発泡体を有利に使用することができる。吸収性材料の使用により、液体の流出の危険も大幅に低減されることになる。このような発泡状構造体の利点は、配送状態において、または膣への挿入前に、連続気泡を薬剤または潤滑剤で満たすことができ、薬剤または潤滑剤は、使用状態において膣または子宮の粘膜に供給されるという点にもある。
【0054】
さらに有利なのは、不織布に使用される材料が生分解可能であり、例えばPLAまたはその他の生分解可能なプラスチックもしくはプラスチック混合物または糸もしくは繊維から成っているか、またはR-PP、R-PET等といった再生プラスチックから場合により様々に混合されて、またはこれらの材料から成る多層部分として形成されている場合である。
【0055】
好適には、ストリップ6は、下限が150mmでありかつ上限が400mmの数値範囲に基づく値の長さlを有している。ストリップ4は、下限が50mmでありかつ上限が250mmの数値範囲に基づく値の長さcを有していてよい。ストリップ4は、好適にはストリップ6の長辺10を越えて少なくとも、実質的に巻成体9の半径に相当する幅bだけ張り出すように位置決めされる。
【0056】
1つの好適な実施例では、ストリップ6は255mmの長さlを有しており、部分8は30mmの長さaを有しており、ストリップ4は127mmの全長cを有している。この場合、部分11は30mmの幅bを有している。
【0057】
さらに、ストリップ4の全幅は、ストリップ6の全幅よりも大きくなっていてよい。ストリップ4は、特に好適には、
図3および
図4に示したように、ストリップ4がストリップ6の幅の少なくとも3/4にわたって延在しているように、ストリップ6上で位置決めされる。
【0058】
ストリップ4をストリップ6上で位置決めしてから、ストリップ4はストリップ6と結合される。ストリップ4および6の結合は、例えば溶着、接着、縫合、または他の適当なあらゆる結合形式で行われてよい。
【0059】
別のステップにおいて、引出手段5、例えば糸または紐が、吸収性材料から成るストリップ6に取り付けられる。好適には、
図2および
図3に示したように、ストリップ6には引出手段5が巻き掛けられる。次いで、ストリップ4および6を巻いて、巻成体9を形成する。この場合、巻成方向は、例えば
図5に示すように、ストリップ4が巻成体9の外周面の一部を覆うように選択される。
【0060】
ストリップ4の張り出した部分8は、ストリップ4の、ストリップ6と結合された部分15に、例えば溶着および/または接着および/または縫合により結合されて、閉じられたリングを形成する。
【0061】
引出手段5が突出している巻成体9の遠位端部は、ストリップ4の張り出した部分11により、引出手段5用の貫通開口13を除いて完全に覆われる。次いで、ストリップ4の張り出した部分11が結合されて、貫通開口13を除いて遠位端部を完全に覆う、閉じられたスリーブを形成する。
【0062】
ストリップ4の張り出した部分11による巻成体9の遠位端部の被覆は、特に好適には引出手段5が伸ばされた状態で行われる。巻成体9の遠位端部の被覆は、張り出した部分11の周方向に延在する縁部領域14を、(伸ばされた)引出手段5に向かって曲げるまたは折り畳むことによって行うことができ、このときに貫通開口13が空けておかれ、または巻成体の端面に向かって折り畳む前に、張り出した部分11を貫通して引出手段が案内される。これは例えば、引出手段が取り付けられた針を用いて行うことができる。次いで、張り出した部分11の互いに接触し合っている部分を、例えば溶着、縫合または接着により互いに結合することができ、これにより、閉じられたカバーが形成される。この実施形態では、上記部分11が少なくとも、巻成体9の半径にほぼ相当していると、有利である。
【0063】
前段落で述べた変化対応に対して代替的または付加的に、ストリップ4の部分11は、閉鎖されたスリーブを形成するために、巻成体の外周面に配置された、不織布から成る部分15にも結合することができる。部分11の幅bが、巻成体9の直径よりもやや大きい場合には、部分11の領域を、巻成体9の遠位端面12全体を覆うように折り曲げて、部分15に結合することができる。この場合、巻成体9の端面を覆うように折り曲げられた部分11の一部が、引出手段5を貫通案内するための、例えばスリットの形態の開口を有していると有利であることが分かった。
【0064】
図6に示す、ノンウーヴンまたは不織布4から成る閉じられたスリーブの形態の、遠位端部のカバーを備えた巻成体9は、予備成形体を成すものであり、予備成形体は、続いて例えばプレスおよびプレスにおける圧縮等の公知の製造ステップにおいて引き続き処理されて、
図2に示したタンポン1を形成することになる。不織布による遠位端部のカバーに対して代替的または付加的に、遠位端部は、プラスチックから成る液体透過性シートによりカバーされてもよい。遠位端部のカバーにより、流出防護手段が実現される。
【0065】
つまり、本発明によるタンポンは、従来のタンポンよりも大幅に長い液体流過時間を有している。表1では、EDANA規格試験WSP350.1.R3(12)に従って求められた、遠位端部のカバーを有するタンポンと、有さないタンポンとに関する結果が、相互に対比されている。比較可能な情報を得るために、試験条件は全てのタンポンに対して等しく選択された。これらの試験では、試験液(いわゆるシンギナ液)の最初の液滴が床に滴下するまでの時間が測定された。
【0066】
【0067】
図7では、タンポン1は、その遠位端部に防水性または撥水性のコーティング16を備えることができる。コーティング16は、例えば塗料、ワックス、樹脂等の浸透液でタンポン1の遠位端部を濡らすかまたはこれに浸透させることによって行うことができる。
【0068】
コーティング16は、
図7に示すように遠位端部を完全に覆っていてもよいし、または
図8に示すように遠位端部を部分的に覆っていてもよい。
図8では、コーティングに符号17が付されている。防水性または撥水性のコーティング16,17によるタンポン1のコーティングは、タンポン1の他の製造ステップから独立して行われてもよく、それだけが取り上げられて1つの発明の対象となり得る。
【0069】
図9では、遠位端部は、水不透過性または撥水性の材料から成るカバー18を備えて製造されていてもよい。
図9に示すように、カバー18は、タンポン1の側面をも包囲するが、タンポンの側面の大部分は覆わないスリーブとして製造されていてよい。
【0070】
図10では、水不透過性または撥水性の材料から成るカバー19が、タンポン1の側面を包囲することなく、遠位端部のみを覆っていてもよい。この場合、カバー19は円盤として形成されている。
【0071】
カバー18,19に用いられる材料が生分解可能であり、例えばPLAまたはその他の生分解可能なプラスチックもしくはプラスチック混合物または糸もしくは繊維から成っているか、またはR-PP、R-PET等といった再生プラスチックから場合により様々に混合されて、またはこれらの材料から成る多層部分として形成されていると有利である。
【0072】
タンポン1に防水性または撥水性のカバー18および19を設けることもやはり、タンポン1の他の製造ステップから独立して行われてよく、それだけが取り上げられて1つの発明の対象となり得る。
【0073】
カバー18,19は、(例えば溶着、接着または縫合により)ストリップ4に直接被着されていてよい。ストリップ4は、ステップi)の前または後に被着することができる。
【0074】
最後に形式的に述べておくと、当該タンポンの構成をより良く理解するために、タンポンまたはその構成部材は、部分的に縮尺通りには図示せず、かつ/または拡大してかつ/または縮小して図示した。
【符号の説明】
【0075】
1 タンポン
2 近位端部
3 遠位端部
4 不織布から成るストリップ
5 引出手段
6 吸収性材料から成るストリップ
7 短辺
8 不織布から成るストリップの部分
9 巻成体
10 長辺
11 張り出した部分
12 巻成体の端面
13 貫通開口
14 縁部領域
15 不織布から成るストリップの部分
16 コーティング
17 コーティング
18 カバー
19 カバー
a 長さ
b 幅
c 全長
l 長さ
【手続補正書】
【提出日】2021-10-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的に明細書本文に記載し図面に示した通りのタンポン及びタンポンを製造するための方法。
【外国語明細書】