(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022085666
(43)【公開日】2022-06-08
(54)【発明の名称】マスクカバー、呼気誘導マスク及び呼気誘導マスクの製造方法
(51)【国際特許分類】
A41D 13/11 20060101AFI20220601BHJP
A62B 18/08 20060101ALI20220601BHJP
【FI】
A41D13/11 Z
A62B18/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020197462
(22)【出願日】2020-11-27
(71)【出願人】
【識別番号】501346940
【氏名又は名称】株式会社GLOBE
(74)【代理人】
【識別番号】110002826
【氏名又は名称】弁理士法人雄渾
(72)【発明者】
【氏名】堀内 健吾
(72)【発明者】
【氏名】堀内 幸之助
(72)【発明者】
【氏名】和野 遼平
【テーマコード(参考)】
2E185
【Fターム(参考)】
2E185AA07
2E185BA20
2E185CA03
2E185CC32
2E185CC44
2E185CC77
(57)【要約】
【課題】本発明の課題は、マスク中央体を通過したマスク着用者の呼気がメガネのレンズに触れることを抑制するマスクカバーを提供する。
【解決手段】上記課題を解決するために、マスク中央体の外側に重ね合わされるマスクカバーであって、マスクカバーの上部側とマスク中央体の上部側とが連結される上部連結部と、マスクカバーの下部側とマスク中央体の下部側とが連結される下部連結部と、を有し、マスクカバーの横側部が、前記マスク中央体の横側部に連結されない開放部を有することを特徴とするマスクカバーを提供する。また、マスクカバーとマスク中央体とが、上部連結部及び下部連結部で連結され、マスクカバーの横側部が、前記マスク中央体の横側部に連結されていないことを特徴とする呼気誘導マスクを提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスク中央体の外側に重ね合わされるマスクカバーであって、
前記マスクカバーの上部側と前記マスク中央体の上部側とが連結される上部連結部と、
前記マスクカバーの下部側と前記マスク中央体の下部側とが連結される下部連結部と、を有し、
前記マスクカバーの横側部が、前記マスク中央体の横側部に連結されない開放部を有することを特徴とするマスクカバー。
【請求項2】
請求項1に記載の前記マスクカバーと前記マスク中央体とが、前記上部連結部及び下部連結部で連結され、前記マスクカバーの横側部が、前記マスク中央体の横側部に連結されていないことを特徴とする呼気誘導マスク。
【請求項3】
マスクの製造方法であって、
マスク中央体の外側に、マスクカバーを重ね合わせる重ね合わせ工程と、
マスク中央体の上部側とマスクカバーの上部側とが固定方法により固定されて、上部連結部が構成される上部連結工程と、
マスク中央体の下部側とマスクカバーの下部側とが固定方法により固定されて、下部連結部が構成される下部連結工程と、
マスク中央体の横側部とマスクカバーの横側部とを固定しない状態とする横側部未固定工程と、
を有することを特徴とする呼気誘導マスクの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスクカバー、呼気誘導マスク及び呼気誘導マスクの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のマスクは、通気性のあるマスク中央体の場合、マスク中央体を通過したマスク着用者の呼気が上昇し、メガネに触れることによりメガネが曇るという問題があった。
【0003】
こうした問題に対して、特許文献1には、呼気を通さない素材のマスクカバーをマスクカバー上部及びマスクカバーの横側の部分をそれぞれマスク中央体の外気側(外側)に接着したマスクカバーが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のマスクカバーは、マスクカバー下部とマスク中央体とが接着していないため、マスクカバー下部から漏れたマスク着用者の呼気がマスクカバーの外側(外気側前方)に沿って上昇し、メガネに到達しメガネが曇るという問題がある。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、マスク中央体を通過したマスク着用者の呼気がメガネのレンズに触れることを抑制するマスクカバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明者は、上記課題について鋭意検討した結果、マスクカバーをマスク中央体の外側に重ね合わせ、マスクカバーの上部側及び下部側をマスク中央体に連結し、マスクカバーの横側部をマスク中央体に連結せず開放された状態とすることにより、マスク中央体を通過したマスク着用者の呼気が、マスク中央体とマスクカバーとが重ね合わされたことによって形成された空間の開放されている空間側面部から外側に誘導される。よって、呼気が人の正面から外側に位置をずらされることにより、位置のずらされた呼気が上昇してもメガネに到達せず、マスク中央体を通過したマスク着用者の呼気がメガネを曇らすことを抑制できるということを見出して、本発明を完成した。
【0008】
上記課題を解決するための本発明のマスクカバーは、マスク中央体の外側に重ね合わされるマスクカバーであって、マスクカバーの上部側とマスク中央体の上部側とが連結される上部連結部と、マスクカバーの下部側とマスク中央体の下部側とが連結される下部連結部と、を有し、マスクカバーの横側部が、マスク中央体の横側部に連結されない開放部を有することを特徴とするものである。
本発明のマスクカバーによれば、マスク中央体を通過したマスク着用者の呼気が、マスク中央体とマスクカバーとが重ね合わされたことによって形成された空間の開放されている空間側面部から外側に誘導されることにより、呼気が外側に出て上昇してもメガネに到達しないので、マスク着用者の呼気によるメガネの曇りを抑制することができる効果がある。
【0009】
上記課題を解決するための本発明の呼気誘導マスクは、マスクカバーとマスク中央体とが、上部連結部及び下部連結部で連結され、マスクカバーの横側部が、マスク中央体の横側部に連結されていないことを特徴とするものである。
本発明の呼気誘導マスクによれば、マスクカバーの上部側及び下部側をマスク中央体に連結し、マスクカバーの横側部はマスク中央体に連結しないマスクカバーを備えることにより、マスク中央体を通過したマスク着用者の呼気がマスク中央体及びマスクカバーの横側部から外側に誘導されるので、呼気が外側に出て上昇してもメガネに到達せずメガネを曇らすことを抑制することができる効果がある。
【0010】
上記課題を解決するための本発明の呼気誘導マスクの製造方法は、マスク中央体の外側に、マスクカバーを重ね合わせる重ね合わせ工程と、マスク中央体の上部側とマスクカバーの上部側を固定する上部連結工程と、マスク中央体の下部側とマスクカバーの下部側を固定する下部連結工程と、マスク中央体の横側部とマスクカバーの横側部を固定しない状態とする横側部未固定工程と、を有することを特徴とする。
本発明の呼気誘導マスクの製造方法によれば、マスク中央体と、マスクカバーの上部側及び下部側が固定され、マスクカバーの横側部が固定されていない状態の呼気誘導マスクとすることができることから、マスク中央体を通過した呼気が、マスクカバーの横側に誘導されるマスクを製造することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、マスクカバーをマスク中央体の外側に重ね合わせ、マスクカバーの上部側及び下部側をマスク中央体の上部側及び下部側に連結し、マスクカバーの横側部をマスク中央体に連結せず開放することにより、マスク中央体を通過したマスク着用者の呼気によるメガネの曇りを抑制するマスクカバーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係る呼気誘導マスクの概略図。(a)は、呼気誘導マスク5の概略構成を示す概略図。(b)は、(a)に示すA-A断面図。
【
図2】本発明の一実施形態に係る呼気誘導マスクの概略図。(a)は、本発明の一実施形態に係るマスクカバーの概略図。(b)は、本発明の一実施形態に係るマスク本体の概略図。
【
図3】本発明の一実施形態に係る呼気誘導マスクの概略図である。(a)呼気誘導マスクの断面図であり、下方に弛んだ状態を示す概略図。(b)呼気誘導マスクの断面図であり、通過呼気でマスクカバーが押された状態を示す概略図。
【
図4】本発明の一実施形態に係る呼気誘導マスクの保管具の使用状態を示す図。
【
図5】本発明の一実施形態に係る呼気誘導マスクの保管具(マスク掛け具)を示す図。(a)保管具の構造を示す図。(b)組み立てられた保管具を示す図。(c)保管具が衣類に取り付けられた状態を示す図。
【
図6】本発明の一実施形態に係る呼気誘導マスクの保管具のマスク掛け具を示す図。(a)マスク掛け具の左側面図。(b)マスク掛け具の正面図。(c)マスク掛け具の右側面図。(d)マスク掛け具の平面図。(e)マスク掛け具の底面図。(f)マスク掛け具の背面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ、本発明に係るマスクカバーおよびそのマスクカバーを備えた呼気誘導マスクの実施態様を詳細に説明する。なお、実施態様に記載するマスクカバー及びそのマスクカバーを備えた呼気誘導マスクについては、本発明に係るマスクカバー及びそのマスクカバーを備えた呼気誘導マスクを説明するために例示したに過ぎず、これに限定されるものではない。
【0014】
[第1の実施態様]
図1は、本発明の第1の実施態様における呼気誘導マスク5を示す概略図である。
【0015】
<呼気誘導マスク>
呼気誘導マスク5は、マスク本体4とマスクカバー1とを備える。
呼気誘導マスク5は、マスク本体4のマスク中央体6を通過したマスク着用者の呼気をマスク中央体6及びマスクカバー1によって形成された空間10の開放されている左右の空間側面部12から外側に誘導する機能を有する。
【0016】
<マスク本体>
図2(b)を参照し、マスク本体4は、着用者の口元を覆うマスク中央体6と耳掛け部7とを有している。マスク中央体6は概略矩形状である。マスク着用者が呼気誘導マスク5を装着した際に、マスク中央体6の上部側31は着用者の鼻側に位置し、マスク中央体6の下部側32は着用者のあご側に位置し、マスク中央体6の横側部33は着用者の左側又は右側に位置する。耳掛け部7はマスク中央体6の左右両側である横側部33に環状に接続されている。
マスク中央体6は、人の吐いた呼気や人が息を吸った際の空気を通過させることが可能な通気性を有する素材である。例えば、織布や不織布が用いられる。
【0017】
なお、マスク中央体6には、空間10の側(外気側)に撥水処理がされた素材のものを使用することが好ましい。撥水処理とは、織布や不織布のような素材の表面をシリコンやフッ素等でコーティングする処理をいう。マスク中央体6の空間10の側に撥水処理がされていることにより、通過呼気9が外気により空間10の内部で冷やされて水滴となった際に、マスク中央体6が水滴を吸収することを抑制し、呼気誘導マスク5が重くなることを抑制できる。
耳掛け部7は、人の両耳に掛けられてマスク中央体6を人の口元に位置するように固定する。耳掛け部7は、ゴムのような弾性体や紐が用いられる。
【0018】
<マスクカバー>
図1(b)、
図2(a)を参照し、本実施態様のマスクカバー1について説明する。マスクカバー1は、概略矩形状である。マスクカバー1は、マスク中央体6の外側に重ね合わされている。マスクカバー1の上部側21とマスク中央体6の上部側31とが連結する上部連結部2と、マスクカバー1の下部側22とマスク中央体6の下部側32とが連結する下部連結部3と、マスクカバー1の横側部23とマスク中央体6の横側部33とが連結されていない開放部11を備える。以下、各構成について説明する。
【0019】
本実施態様のマスクカバー1は、マスク中央体6の外側に重ね合わされている。外側とは外気(空気)の側をいう。マスクカバー1の素材は、特に限定されないが、気体を通すことのない通気性のない素材又はマスク中央体6の素材に比べて気体を通しにくい通気性の低い素材が好ましく適用できる。通気性のない素材としては、例えば、ポリプロピレンやポリエチレン等の合成樹脂製のフィルムやシートである。また、通気性を有する素材としては、織布や不織布が使用できる。なお、マスクカバー1は、マスク中央体6の素材に比べて気体を通しやすい通気性の高い素材を使用することを妨げるものではない。
【0020】
マスクカバー1の左右方向の大きさは、人が息を吐いた際にマスク中央体6を通過した呼気である通過呼気9が、空間10の解放された空間側面部12から人の顔面の外側に誘導して放出される大きさであれば、特に限定されないが、人の両眼の間隔よりも大きくすることが好ましい。人の眼の間隔よりも大きくすることにより、眼鏡のレンズよりも左右方向の外側(人の耳の側)に通過呼気9が誘導され、誘導された通過呼気9が上昇しても、眼鏡のレンズがないことから、眼鏡のレンズの曇りを抑制できる効果がある。
【0021】
また、マスクカバー1の上下方向の大きさは、マスク中央体6よりも上下方向に長い寸法を有する。マスクカバー1の上下方向に長い寸法を有することにより、マスクカバー1がマスク中央体6に取り付けられた場合に人の前方に突出するか又は人の下前方に弛む状態で固定される。
【0022】
マスクカバー1は、
図1(b)に示すように、曲げられた際に形を維持できる樹脂製のシートや厚みのある織布又は不織布であって、呼気誘導マスク5を人が装着した際に、マスクカバー1が人の前方に突出するように撓んだ状態となり、マスクカバー1とマスク中央体6との空間10が作成され、その空間10を維持することが可能な素材の場合、維持された空間10を確保できることにより、マスクカバー1の横側部23の方向にマスク中央体6を通過した通過呼気9を効率よく外側へ誘導できる。また、人が息を吸った際にマスクカバー1がマスク中央体6に密着することなく、マスク中央体6の通気性の確保がしやすい効果がある。
なお、マスクカバー1は、マスク本体4に取り付けられる前の状態において、曲げられた状態を維持したものであってもよい。
【0023】
また、マスクカバー1は、
図3(a)に示すように、曲げられた際に湾曲した形を維持できない樹脂製のフィルムや厚さのない薄い織布又は不織布であって、呼気誘導マスク5を人が装着し、人が息を吸わない状態において、マスクカバー1が人の下前方(人の顎側)に弛んだ状態となり、人が息を吐いた際の通過呼気9によって、
図3(b)に示すように、マスクカバー1が人の前方に押し出されて突出する状態となる素材であってもよい。かかる場合、呼気誘導マスク5を折りたたむことができ、収納の点で利便性が良い効果がある。
【0024】
さらに、マスクカバー1が曲げられた際に湾曲した形を維持できない素材であってかつ通気性を有しており、人が息を吸った際にマスクカバー1とマスク中央体6とが人の呼吸を阻害しないように接触する場合、空気がマスクカバー1とマスク中央体6とを通過することで、外気に漂う花粉や埃などの空気中の微粒子の除去する効果を大きくできる効果がある。
【0025】
マスクカバー1として、空間10の側(人の側)には、撥水処理された素材を適用することが好ましい。マスクカバー1の空間10の側に撥水処理がされていることにより、通過呼気9が外気により空間10の内部で冷やされて水滴となった際に、マスクカバー1が水滴となった水を吸収することを抑制でき、水滴の除去を行うことにより、呼気誘導マスク5が重くなることを抑制できる。なお、通気性のない素材かつ水分を吸収しない素材の場合も同様の効果がある。
【0026】
(上部連結部)
図1に示すように、本実施態様のマスクカバー1は、上部連結部2を備える。上部連結部2は、マスクカバー1の上部側21とマスク中央体6の上部側31とを連結するための部分である。マスクカバー1の上部側21とマスク中央体6の上部側31とを連結する場合、これらが、接着剤、両面テープ、溶着、縫製、ステープラのような固定具8による固定方法で固定され、上部連結部2が構成される。
【0027】
上部連結部2がマスク中央体6の上部側31の横方向に途切れなく固定させるようにしてもよく、一定間隔ごとに固定するようにしてもよい。マスク中央体6を通過した空間10の通過呼気9が、上部連結部2から上方に漏れないか、又は後述する空間側面部12よりも漏れにくい状態となっていればよい。
また、マスクカバー1の上部側21とマスク中央体6の上部側31とを連結させる場合、マスクカバー1の上部側21を折り曲げて、マスク中央体6の上部側31を上から挟み込むように重ね合わせて(折り曲げ部分をマスク中央体6の上部側に引っ掛けるようにして)上部連結部2を構成し、固定具8を使用しないで固定する方法等も、本発明の固定方法に含まれる。
上部連結部2は、呼気誘導マスク5が人に装着された際に、人の鼻の穴よりも上方に位置する。
【0028】
(下部連結部)
本実施態様のマスクカバー1は、下部連結部3を備える。下部連結部3は、マスクカバー1の下部側22とマスク中央体6の下部側32に連結するための部分である。マスクカバー1の下部側22とマスク中央体6の下部側32とを連結させる場合、これらが、接着剤、両面テープ、溶着、縫製、ステープラのような固定具8による固定方法で固定され、下部連結部3が構成される。
【0029】
下部連結部3がマスク中央体6の下部側32横方向に途切れなく固定させるようにしてもよく、一定間隔ごとに固定するようにしてもよい。マスク中央体6を通過した空間10の通過呼気9が、下部連結部3から下方に漏れないか、又は空間側面部12よりも漏れにくい状態となっていればよい。
また、マスクカバー1の下部側22とマスク中央体6の下部側32とを連結させる場合、マスクカバー1の下部側22を折り曲げてマスク中央体6の下部側32を下から挟み込むように重ね合わせて(折り曲げ部分をマスク中央体6の下部側に引っ掛けるようにして)下部連結部3を構成し、固定具8を使用しないで固定する方法等も、本発明の固定方法に含まれる。
下部連結部3は、呼気誘導マスク5が人に装着された際に、人の口よりも下方に位置する。
【0030】
(開放部)
本実施態様のマスクカバー1は、マスクカバー1の横側部23がマスク中央体6の横側部33に連結されない開放部11を有する。マスクカバー1とマスク中央体6とが重ね合わされ、マスクカバー1の上部側21及び下部側22がマスク中央体6の上部側31及び下部側32に固定されることにより、マスクカバー1及びマスク中央体6との間に空間10が形成される。
つまり、マスクカバー1の横側部23とマスク中央体6の横側部33とは固定されていない。よって、空間10は、空間側面部12の両側、つまり左右に貫通する開放された空間である。
【0031】
なお、マスクカバー1の左側又は右側のどちらか一方の横側部23が、マスク中央体6の横側部33と固定され、マスクカバー1の左側又は右側のどちらかの他方の側23がマスク中央体6の横側部33と固定されていない場合であってもよい。また、マスクカバー1の横側部23の一部が固定された場合であっても、空間10の通過呼気9が上部連結部2及び下部連結部3よりも空間側面部12から側面方向に放出されるのであれば、本発明の効果を奏する。
【0032】
マスクカバー1とマスク中央体6とが形成する空間10の空間側面部12(左右側)が開放されていることにより、マスク中央体6を通過したマスク着用者の通過呼気9は、空間10の開放されている空間側面部12の側へと誘導され、開放されている空間側面部12側より外側(外気側)へと放出される。すなわち、通過呼気9は、人の顔の正面から側面の側に位置がずらされるため、通過呼気9がマスクカバー1の外表面に沿って上昇することはなく、メガネに到達してメガネを曇らすということがない。
【0033】
<マスクカバーの使用状態の説明>
本実施態様のマスクカバー1は、市販されているマスク本体4のマスク中央体6に取り付けて使用することができる。
まず、マスクカバー1をマスク中央体6の外側に重ね合わせる。この工程を重ね合わせ工程とする。
次に、マスクカバー1の上部側21とマスク中央体6の上部側31とが連結され、上部連結部2が構成される。この工程を、上部連結工程とする。
また、マスクカバー1の下部側22とマスク中央体6の下部側32とが連結され、下部連結部3が構成される。この工程を、下部連結工程とする。
上部連結工程及び下部連結工程では、連結するための固定方法として、マスクカバー1の上部側21及び下部側22のそれぞれを例えばステープラや粘着テープでそれぞれマスク中央体6の上部側31及び下部側32に連結する。これにより、上部連結部2及び下部連結部3が形成される。
さらに、マスクカバー1の横側部23が、マスク中央体6の横側部33に連結されていない状態とする。この工程を、横側部未固定工程とする。
上記の工程を行うことにより、マスク中央体6にマスクカバー1が固定された呼気誘導マスク5を製造することができる。
【0034】
そして、呼気誘導マスク5の耳掛け部7を着用者の耳にかけて、呼気誘導マスクを装着する。着用者が息を吐くと、マスク中央体6を通過したマスク着用者の通過呼気9は、重ね合わされたマスク中央体6及びマスクカバー1によって形成された空間10の開放されている空間側面部12から外側に誘導される。この際、上部連結部2及び下部連結部3が存在することにより、空間10から上部及び下部に通過呼気9が通過せず、効率よく空間側面部12から通過呼気9を放出できる。よって、誘導された通過呼気9は、人の正面から位置がずらされた状態となり、呼気が外側に出て上昇してもメガネに到達せず、メガネの曇りを抑制することができる。
【0035】
次に、人が息を吸うと、空間10に残った通過呼気9と外気とがマスク中央体6を通過して人に吸い込まれる。通過呼気9は、人の呼吸の水分を有することから、人の喉の乾燥を抑制できる効果がある。
さらに、マスクカバー1が水分を吸収する素材の場合、通過呼気9が外気により空間10の内部で冷やされて水滴(水分)となった際に、マスクカバー1が水分を吸収することにより、人の口及び鼻の周辺部の湿度を高く維持できることから、人の喉の乾燥を抑制できる。よって、乾燥しかつ外気の気温の低い冬の時期や乾燥した場所で使用する呼気誘導マスク5として好ましい。
なお、マスクカバー1の素材として、通気性のない素材かつ水分を吸収しない素材又は通気性を有する素材かつ空間10の側に撥水処理がされた素材を使用し、マスクカバー1の空間10の側に水滴(水分)がついた状態を維持できる場合も同様の効果がある。
【0036】
なお、
図4は、本発明の呼気誘導マスク5の保管具50である。この保管具50は、呼気誘導マスク5の耳掛け部7を引っかけたり、折りたたんだりした状態で呼気誘導マスク5を挟み込んで保管する道具であり、例えば、保管具50は、衣類51であるシャツの胸のポケット52等に挟んで固定された状態で使用される。なお、市販のマスクに対して使用することも可能である。この保管具50は、
図5の(a)に示すように、衣類51の一部を挟んで固定するクリップ部材53とマスク掛け具54とが両面テープのような固定部材55固定されている。マスク掛け具54は
図6に示すように、意匠及び部分意匠が成立する。なお、マスク掛け具54は、金属または樹脂製である。
【0037】
本発明のマスクカバー1は、マスクカバー1とマスク中央体6とを固定する固定方法として、マスクカバー1の上部側及び下部側に両面テープの固定方法を備えた状態で販売されてもよい。また、マスクカバー1の上部側及び下部側に切り込みを設け、マスク中央体6の上部側及び下部側に挟み込むように固定できるような状態で販売されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明のマスクカバーは、市販されているマスクに消費者が後付けすることにより、呼気誘導マスクとすることができる。よって、本発明の呼気誘導マスクの製造方法を使用できる。また、マスクカバーをマスクに固定した状態で、呼気誘導マスクカバーとして使用及び販売することができる。
さらに、本発明の呼気誘導マスクを人が装着した状態で、シールド付きヘルメットを着用した場合、人の顔面前方を覆うシールドの眼の周辺を含む正面部分の曇りを抑制できる。
また、人の顔面全体の前方に光透過性を有するシート体が配置されるフェイスガード又はフェイスシールドと呼ばれる顔面保護具の着用時に、本発明の呼気誘導マスクを使用すれば、フェイスガード又はフェイスシールドの眼の周辺を含む正面部分の曇りを抑制できる。
【符号の説明】
【0039】
1 マスクカバー、2 上部連結部、3 下部連結部、4 マスク本体、5 呼気誘導マスク、6 マスク中央体、7 耳掛け部、8 固定具、9 通過呼気、10 空間、11 開放部、12 空間側面部、13~20 欠番、21 マスクカバー1の上部側、22 マスクカバー1の下部側、23 マスクカバー1の横側部、24~30 欠番、31 マスク中央体6の上部側、32 マスク中央体6の下部側、33 マスク中央体6の横側部、34~49 欠番、50 保管具、51 衣類、52 ポケット、54 マスク掛け具、55 固定部材。