(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022085673
(43)【公開日】2022-06-08
(54)【発明の名称】撮像装置、撮像方法、コンピュータープログラム及び情報処理装置
(51)【国際特許分類】
H04N 5/225 20060101AFI20220601BHJP
H04N 5/232 20060101ALI20220601BHJP
G01J 5/48 20220101ALI20220601BHJP
【FI】
H04N5/225 800
H04N5/232 030
G01J5/48 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020197470
(22)【出願日】2020-11-27
(71)【出願人】
【識別番号】399035766
【氏名又は名称】エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】特許業務法人 志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小柴 聡
【テーマコード(参考)】
2G066
5C122
【Fターム(参考)】
2G066BC15
2G066CA01
5C122DA16
5C122EA67
5C122FA11
5C122FA18
5C122FH11
5C122FH14
5C122HB01
(57)【要約】
【課題】より簡易に赤外線カメラの放射率に関するパラメータを得ること。
【解決手段】赤外線カメラとは異なる画像センサーを用いて構成される第1撮像部と、赤外線カメラを用いて構成される第2撮像部と、前記第1撮像部の撮像によって得られた画像の被写体の物体を判定する物体判定部と、前記被写体の物体に応じて前記赤外線カメラの放射率のパラメータを取得するパラメータ取得部と、を備え、前記第2撮像部は、前記パラメータ取得部によって取得された放射率のパラメータを用いて撮像する、撮像装置である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤外線カメラとは異なる画像センサーを用いて構成される第1撮像部と、
赤外線カメラを用いて構成される第2撮像部と、
前記第1撮像部の撮像によって得られた画像の被写体の物体を判定する物体判定部と、
前記被写体の物体に応じて前記赤外線カメラの放射率のパラメータを取得するパラメータ取得部と、を備え、
前記第2撮像部は、前記パラメータ取得部によって取得された放射率のパラメータを用いて撮像する、撮像装置。
【請求項2】
前記第2撮像部は、前記パラメータ取得部によって取得された放射率のパラメータを用いて、前記物体判定部の判定対象となった被写体を撮像する、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
赤外線カメラとは異なる画像センサーを用いて構成される第1撮像部で撮像する第1撮像ステップと、
前記第1撮像部の撮像によって得られた画像の被写体の物体を判定する物体判定ステップと、
前記被写体の物体に応じて赤外線カメラの放射率のパラメータを取得するパラメータ取得ステップと、
赤外線カメラを用いて構成される第2撮像部によって、前記放射率のパラメータを用いて撮像する、第2撮像ステップと、
を有する撮像方法。
【請求項4】
赤外線カメラとは異なる画像センサーを用いて構成される第1撮像部と、赤外線カメラを用いて構成される第2撮像部と、を備えるコンピューターを、請求項1又は2に記載の撮像装置として機能させるためのコンピュータープログラム。
【請求項5】
赤外線カメラとは異なる画像センサーを用いて撮像された画像の被写体の物体を判定する物体判定部と、
前記被写体の物体に応じて前記赤外線カメラの放射率のパラメータを取得するパラメータ取得部と、
を備える情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、赤外線カメラを用いて画像を撮像するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、カメラを用いて適切に画像を撮像するためには、カメラに対してパラメータを適切に設定する必要がある。カメラのパラメーラを適切に設定することには非常に労力を要する。そのため、例えば特許文献1に記載のように、カメラのパラメータをより少ない労力で設定しようとする技術が研究されてきた。
【0003】
カメラにも様々な種類のものが存在する。赤外線カメラは、物体の表面の温度を測定するために使用されることがある。赤外線カメラを用いて精度良く温度測定を行うためには、1又は複数のカメラパラメータを適切に設定する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されているようなカメラの位置や焦点距離に関するパラメータの最適値を取得する技術は提供されているものの、赤外線カメラに関するパラメータの最適値を取得する技術は提供されていない。特に、放射率に関するパラメータについては、専門知識を有する者が手動で設定していることが実情である。
【0006】
上記事情に鑑み、本発明は、より簡易に赤外線カメラの放射率に関するパラメータを得ることができる技術の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、赤外線カメラとは異なる画像センサーを用いて構成される第1撮像部と、赤外線カメラを用いて構成される第2撮像部と、前記第1撮像部の撮像によって得られた画像の被写体の物体を判定する物体判定部と、前記被写体の物体に応じて前記赤外線カメラの放射率のパラメータを取得するパラメータ取得部と、を備え、前記第2撮像部は、前記パラメータ取得部によって取得された放射率のパラメータを用いて撮像する、撮像装置である。
【0008】
本発明の一態様は、上述の撮像装置であって、前記第2撮像部は、前記パラメータ取得部によって取得された放射率のパラメータを用いて、前記物体判定部の判定対象となった被写体を撮像する。
【0009】
本発明の一態様は、赤外線カメラとは異なる画像センサーを用いて構成される第1撮像部で撮像する第1撮像ステップと、前記第1撮像部の撮像によって得られた画像の被写体の物体を判定する物体判定ステップと、前記被写体の物体に応じて赤外線カメラの放射率のパラメータを取得するパラメータ取得ステップと、赤外線カメラを用いて構成される第2撮像部によって、前記放射率のパラメータを用いて撮像する、第2撮像ステップと、を有する撮像方法である。
【0010】
本発明の一態様は、赤外線カメラとは異なる画像センサーを用いて構成される第1撮像部と、赤外線カメラを用いて構成される第2撮像部と、を備えるコンピューターを、上記の撮像装置として機能させるためのコンピュータープログラムである。
【0011】
本発明の一態様は、赤外線カメラとは異なる画像センサーを用いて撮像された画像の被写体の物体を判定する物体判定部と、前記被写体の物体に応じて前記赤外線カメラの放射率のパラメータを取得するパラメータ取得部と、を備える情報処理装置である。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、より簡易に赤外線カメラの放射率に関するパラメータを得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】端末装置10の機能構成の具体例を示す概略ブロック図である。
【
図2】パラメータテーブルの具体例を示す図である。
【
図3】端末装置10の動作の流れの具体例を示すフローチャートである。
【
図4】撮像システム100のシステム構成を示す概略ブロック図である。
【
図5】撮像システム100における処理の流れの具体例を示すシーケンスチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の具体的な構成例について、図面を参照しながら説明する。
【0015】
[第1実施形態]
図1は、端末装置10の機能構成の具体例を示す概略ブロック図である。第1実施形態における端末装置10は、本発明における撮像装置の一態様である。端末装置10は、ユーザーによって赤外線カメラの撮像に使用される端末装置である。端末装置10は、例えばスマートフォン、タブレット、パーソナルコンピューター(据え置き型、携帯型いずれも含む。)、携帯ゲーム機、据え置き型ゲーム機、センサー装置、専用機器などの情報機器を用いて構成される。端末装置10は、航空機、ドローン、自動車、ロボット等の移動体に搭載されてもよい。端末装置10は、デジタルサイネージ、自動販売機、インターホン、監視装置等の装置に搭載されてもよい。端末装置10は、第1撮像部11、第2撮像部、記憶部13及び制御部14を備える。
【0016】
第1撮像部11は、画像センサーを用いて構成される。第1撮像部11は、例えば赤外線カメラとは異なる種類の画像センサーを用いて構成されてもよい。第1撮像部11は、例えば可視光カメラ、ライダー(LiDAR)、レーダー等の装置を用いて構成されてもよい。第1撮像部11は、音波センサーを用いて構成されてもよい。第1撮像部11は、上述した画像センサーそのものとして構成されてもよいし、外部機器として画像センサーを端末装置10に接続するためのインターフェースとして構成されてもよい。画像センサーは、その位置に応じて所定の空間を撮像する。第1撮像部11は、画像センサーによって撮像された画像のデータを制御部14に出力する。なお、ライダー(LiDAR)や音波センサーを用いて得られる情報は、画像というよりは三次元データ(三次元形状を示すデータ)として表現されることもある。しかしながら、本明細書においては、これらの三次元データも含めて“画像”と表現する。そのため、上述したように、ライダー(LiDAR)や音波センサーも画像センサーの一態様として定義する。
【0017】
第2撮像部12は、赤外線カメラを用いて構成される。第2撮像部12は、赤外線カメラそのものとして構成されてもよいし、外部機器として赤外線カメラを端末装置10に接続するためのインターフェースとして構成されてもよい。赤外線カメラは、その位置に応じて所定の空間を撮像する。赤外線カメラは、第1撮像部11における画像センサーと同じ空間を撮像することが望ましい。より好ましくは、赤外線カメラと第1撮像部11における画像センサーとは、より近い視点位置として設置され、略同じ視線方向の画像を撮像するように構成される。第2撮像部12は、画像センサーによって撮像された画像のデータを制御部14に出力する。
【0018】
記憶部13は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置等の記憶装置を用いて構成される。記憶部13は、制御部14の処理で使用されるデータを記憶する。記憶部13は、例えばパラメータテーブルを記憶する。
図2は、パラメータテーブルの具体例を示す図である。パラメータテーブルは、複数のパラメータレコードを有する。各パラメータレコードは、物体識別情報及び放射率パラメータの各値を有する。
【0019】
物体識別情報は、物体を示す識別情報である。物体識別情報は、例えば物体のカテゴリを示す情報であってもよいし、物体に割り当てられた固有の名称を示す情報であってもよい。物体のカテゴリは、完成品を示すものであってもよいし、ある完成品を構成する個々の部品を示すものであってもよい。物体のカテゴリの具体例として、自動車、人体、人の頭、人の脚、猫、象、橋桁、アークホーン、送電線、支柱接合部、碍子、ボルト、ナットなどがある。
【0020】
放射率パラメータは、同じレコードの物体識別情報が示す物体を赤外線カメラで撮像する際に使用されることが好ましい放射率のパラメータを示す情報である。放射率パラメータは、例えば物体の表面を構成する物質に応じて定められてもよい。例えば、予め定められている放射率表を用いることによって、各物体識別情報に応じた放射率のパラメータが予め登録されてもよい。
【0021】
記憶部13は、例えば物体判定処理に用いられるデータを記憶してもよい。このようなデータの具体例として、各物体識別情報が示す物体を画像から判定するために用いられる各物体の特徴量を示すデータがある。このようなデータの他の具体例として、学習済みモデルのデータがある。物体判定処理に用いられる学習済みモデルは、例えばパラメータテーブルに登録されている各物体識別情報が示す物体を画像から判定するために予め学習処理を実行することによって得られるデータである。このような学習処理は、例えば物体の画像とその物体の物体識別情報の正解データ(教師データ)を用いることで行われてもよい。このような学習処理は、端末装置10で行われてもよいが、他の情報処理装置によって行われてもよい。
【0022】
制御部14は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサーとメモリーとを用いて構成される。制御部14は、プロセッサーがプログラムを実行することによって、撮像制御部141、物体判定部142、パラメータ取得部143及び温度判定部144として機能する。なお、制御部14の各機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されても良い。上記のプログラムは、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録されても良い。コンピューター読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM、半導体記憶装置(例えばSSD:Solid State Drive)等の可搬媒体、コンピューターシステムに内蔵されるハードディスクや半導体記憶装置等の記憶装置である。上記のプログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
【0023】
撮像制御部141は、第1撮像部11及び第2撮像部12の動作を制御する。撮像制御部141は、第2撮像部12の撮像において使用される放射率のパラメータの設定を制御する。撮像制御部141は、パラメータ取得部143によって判定された放射率のパラメータを第2撮像部12のパラメータとして設定する。その後に、撮像制御部141は、第2撮像部12に対し撮像を実行させる。撮像制御部141は、第2撮像部12によって撮像された映像のデータを記憶部13に記録する。
【0024】
物体判定部142は、第1撮像部11において撮像された映像のデータにおいて、所定の領域に位置している被写体の物体を判定する。所定の領域とは、例えば画面の中央部分を含む領域であってもよいし、映像のデータにおいて複数の領域であってもよい。物体判定部142は、例えば、被写体の物体が複数の物体識別情報のうちどの物体識別情報が示す物体に近いかを判定する。
【0025】
パラメータ取得部143は、物体判定部142によって判定された物体識別情報と対応付けてパラメータテーブルに登録されている放射率のパラメータを取得する。
【0026】
温度判定部144は、第2撮像部12によって撮像された映像のデータを用いて、所定の領域に位置している被写体の温度(例えば表面温度)を判定する。
【0027】
図3は、端末装置10の動作の流れの具体例を示すフローチャートである。まず、撮像制御部141は、第1撮像部11による撮像を行う(ステップS101)。物体判定部142は、第1撮像部11によって撮像された画像において被写体の物体を判定する(ステップS102)。物体判定部142は、例えば被写体の物体を示す物体識別情報を出力してもよい。パラメータ取得部143は、物体判定部142によって判定された物体に対応付けてパラメータテーブルに登録されている放射率のパラメータを取得する(ステップS103)。撮像制御部141は、パラメータ取得部143によって取得された放射率のパラメータを第2撮像部12の赤外線カメラに設定する。そして、撮像制御部141は第2撮像部12による撮像を行う(ステップS104)。撮像制御部141は、第2撮像部12によって撮像された映像のデータを記憶部13に記録する。温度判定部144は、第2撮像部12によって撮像された映像のデータに基づいて、被写体の温度(例えば表面温度)を判定する(ステップS105)。温度判定部144は、例えば物体判定部142によって物体が判定された対象の物体の温度を判定してもよい。
【0028】
このように構成された端末装置10では、第1撮像部11によって撮像された物体に応じた放射率のパラメータが赤外線カメラに設定されて赤外線カメラの撮像が行われる。物体に応じた放射率のパラメータは、予めその物体の表面に用いられる物質などに応じて適切に登録された値である。そのため、赤外線カメラで撮像を行うに当たって、ユーザーは赤外線カメラにおける放射率のパラメータを検討する必要がない。したがって、より簡易に赤外線カメラの放射率に関する適切なパラメータを得ることが可能となる。
【0029】
(変形例)
図3に示されるフローチャートは、温度判定が指示されたことに応じて実行されてもよい。
図3に示されるフローチャートのうちステップS101~S103の処理は、所定のタイミングで繰り返し実行されてもよいし、所定のタイミングで1回ずつ実行されてもよい。例えば、1分ごと、5分ごと、10分ごと等の周期でステップS101~S103の処理が実行されてもよい。例えば、第2撮像が開始される直前や、温度判定が行われる直前のタイミングでステップS101~S103の処理が実行されてもよい。
【0030】
図3に示されるフローチャートにおいて、ステップS105の処理は必ずしも実行される必要は無い。例えば、ステップS104において第2撮像が実行されて映像が記録されたことに応じて
図3のフローチャートの処理が終了してもよい。この場合、記録された映像に基づいて被写体の温度を判定する処理は、端末装置10とは異なる装置において実行されてもよい。この場合、端末装置10は温度判定部144を備えないように構成されてもよい。
【0031】
端末装置10の制御部14が備える物体判定部142やパラメータ取得部143は、他の情報処理装置(例えばクラウド)に実装されてもよい。この場合、端末装置10の制御部14は、他の情報処理装置との間で通信を行うことによって、物体の判定結果や放射率のパラメータを取得してもよい。
【0032】
物体判定部142は、第1撮像部11によって撮像された画像内の複数の被写体について物体を判定してもよい。例えば、物体判定部142は、第1撮像部11によって撮像された画像内の全ての被写体について物体を判定してもよい。この場合、パラメータ取得部143は、物体が判定された一部又は全ての被写体について放射率のパラメータを取得してもよい。この場合、撮像制御部141は、画像内の各被写体について、パラメータ取得部143によって取得された放射率のパラメータを切り替えて第2撮像部12を用いて撮像してもよい。
【0033】
[第2実施形態]
図4は、撮像システム100のシステム構成を示す概略ブロック図である。撮像システム100は、移動体30をユーザーが操作端末20を用いて操作し撮像を行うためのシステムである。撮像システム100は、操作端末20及び移動体30を含む。第2実施形態における移動体30は、本発明における撮像装置の一態様である。操作端末20及び移動体30は通信可能に接続される。操作端末20及び移動体30は、赤外線通信等の近距離通信やケーブルやバスを用いて直接通信可能に接続されてもよいし、WiFi(登録商標)や移動体通信網等のネットワークを介して通信可能に接続されてもよい。このようなネットワークは、複数のネットワークが組み合わされて構成されてもよい。
【0034】
操作端末20は、ユーザーによって移動体30の操作に使用される端末装置である。操作端末20は、例えばスマートフォン、タブレット、パーソナルコンピューター(据え置き型、携帯型いずれも含む。)、携帯ゲーム機、据え置き型ゲーム機置、専用機器などの情報機器を用いて構成される。操作端末20は、通信部21、入力部22、表示部23、記憶部24及び制御部25を備える。
【0035】
通信部21は、通信機器である。通信部21は、例えば近距離通信装置として構成されてもよいし、ネットワークインターフェースとして構成されてもよい。通信部21は、制御部25の制御に応じて、移動体30と通信する。通信部21は、無線通信を行う装置であってもよいし、有線通信を行う装置であってもよい。
【0036】
入力部22は、キーボード、ポインティングデバイス(マウス、タブレット等)、ボタン、タッチパネル等の既存の入力装置を用いて構成される。入力部22は、ユーザーの指示を操作端末20に入力する際にユーザーによって操作される。入力部22は、入力装置を操作端末20に接続するためのインターフェースであっても良い。この場合、入力部22は、入力装置においてユーザーの入力に応じ生成された入力信号を操作端末20に入力する。入力部22は、ユーザーの指示を操作端末20に入力可能な構成であればどのように構成されてもよい。
【0037】
表示部23は、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等の画像表示装置である。表示部23は、画像表示装置を操作端末20に接続するためのインターフェースであっても良い。この場合、表示部23は、画像を表示するための映像信号を生成し、自身に接続されている画像表示装置に映像信号を出力する。画像表示装置は、操作端末20を使用しているユーザーが表示画像を見ることができるように設けられる。
【0038】
記憶部24は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置等の記憶装置を用いて構成される。記憶部24は、制御部25の処理で使用されるデータを記憶する。
【0039】
制御部25は、CPU等のプロセッサーとメモリーとを用いて構成される。制御部25は、プロセッサーがプログラムを実行することによって、通信制御部251及び表示制御部252として機能する。なお、制御部25の各機能の全て又は一部は、ASICやPLDやFPGA等のハードウェアを用いて実現されても良い。上記のプログラムは、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録されても良い。コンピューター読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM、半導体記憶装置(例えばSSD)等の可搬媒体、コンピューターシステムに内蔵されるハードディスクや半導体記憶装置等の記憶装置である。上記のプログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
【0040】
通信制御部251は、入力部22において入力された操作の内容を示す情報(以下「操作情報」という。)を、通信部21を介して移動体30へ送信する。通信制御部251は、移動体30から撮像された映像のデータを受信する。
【0041】
表示制御部252は、通信制御部251によって受信されたデータの内容を表示部23に表示させる。例えば、表示制御部252は、移動体30によって撮像された映像のデータが受信された場合には、受信された映像を表示部23に表示させる。例えば、表示制御部252は、移動体30から物体の候補を示す情報が受信された場合には、受信された各物体の候補を示す情報を表示部23に表示させる。
【0042】
移動体30は、操作端末20に対する操作に応じて移動する機器である。移動体30は、例えば航空機、ドローン、自動車、四輪車、二輪車、ロボット等の移動体に搭載されてもよい。移動体30は、第1撮像部31、第2撮像部32、通信部33、移動駆動部34、記憶部35及び制御部36を備える。
【0043】
第1撮像部31及び第2撮像部32は、それぞれ第1実施形態の端末装置10の第1撮像部11及び第2撮像部12と同様の構成である。そのため、第1撮像部31及び第2撮像部32についての説明は省略する。
【0044】
通信部33は、通信機器である。通信部33は、例えば近距離通信装置として構成されてもよいし、ネットワークインターフェースとして構成されてもよい。通信部33は、操作端末20の通信部21と通信可能なプロトコルで通信を行う装置を用いて構成されることが望ましい。通信部33は、制御部36の制御に応じて、操作端末20と通信する。通信部33は、無線通信を行う装置であってもよいし、有線通信を行う装置であってもよい。
【0045】
移動駆動部34は、移動体30の本体の位置を操作端末20の操作に応じて移動させる装置である。例えば移動体30が自動車である場合には、移動駆動部34はエンジンやモーター等の駆動装置と、駆動装置によって駆動される車輪やシャフトを用いて構成される。例えば移動体30がドローンである場合には、移動駆動部34はモーター等の駆動装置と、駆動装置によって駆動されるプロペラを用いて構成されてもよい。例えば移動体30が水中を移動する装置(例えば水中ドローンやAUV(Autonomous Underwater Vehicle))である場合には、移動駆動部34はモーター等の駆動装置と、駆動装置によって駆動されるスクリューを用いて構成されてもよい。
【0046】
記憶部35は、第1実施形態の端末装置10の記憶部13と同様の構成である。そのため、記憶部35についての説明は省略する。
【0047】
制御部36は、CPU等のプロセッサーとメモリーとを用いて構成される。制御部36は、プロセッサーがプログラムを実行することによって、撮像制御部361、物体判定部362、パラメータ取得部363、温度判定部364、通信制御部365及び移動制御部366として機能する。なお、制御部36の各機能の全て又は一部は、ASICやPLDやFPGA等のハードウェアを用いて実現されても良い。上記のプログラムは、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録されても良い。コンピューター読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM、半導体記憶装置(例えばSSD)等の可搬媒体、コンピューターシステムに内蔵されるハードディスクや半導体記憶装置等の記憶装置である。上記のプログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
【0048】
撮像制御部361、物体判定部362、パラメータ取得部363及び温度判定部364の動作については、基本的には第1実施形態の端末装置10の撮像制御部141、物体判定部142、パラメータ取得部143及び温度判定部144と同様の構成である。以下、撮像制御部361、物体判定部362、パラメータ取得部363及び温度判定部364に関しては、第1実施形態の撮像制御部141、物体判定部362、パラメータ取得部363及び温度判定部364と異なる構成や処理について説明する。
【0049】
撮像制御部361は、操作端末20から放射率のパラメータ設定の指示や、撮像の指示を受けたことに応じて、第1撮像部31による撮像を行ってもよい。撮像制御部361は、操作端末20からの指示がなくても、所定のタイミングで第1撮像部31又は第2撮像部32による撮像を行ってもよい。
【0050】
物体判定部362は、処理対象の被写体について、複数の物体識別情報のうちどの物体識別情報が示す物体に近いか判定し、所定の基準を越えて近いと判定された1又は複数の候補を取得する。物体判定部362は、取得された候補を示す情報を、通信部33を介して操作端末20に送信する。物体判定部362は、操作端末20から、それらの候補の中からユーザーによって選択された候補を示す選択結果の情報を受信する。物体判定部362は、選択された物体の物体識別情報を判定結果として出力する。
【0051】
パラメータ取得部363は、物体判定部362から出力される判定結果の物体識別情報に対応付けられた放射率のパラメータを取得する。
【0052】
温度判定部364は、パラメータ取得部363によって取得された放射率のパラメータを用いて第2撮像部12によって撮像された映像に基づいて、被写体の温度(例えば表面温度)を判定する。
【0053】
通信制御部365は、通信部33の動作を制御する。例えば、通信制御部365は、自装置(移動体30)と操作端末20との間の通信を制御する。例えば、通信制御部365は、操作端末20から移動体30の操作に関する情報を受信すると、受信された情報を移動制御部366に出力する。例えば、通信制御部365は、物体判定部362によって選択された候補を示す情報を操作端末20に送信する。例えば、通信制御部365は、操作端末20から選択結果を受信すると、受信された選択結果を示す情報を物体判定部362に出力する。
【0054】
移動制御部366は、操作端末20から受信される操作内容にしたがって移動駆動部34の動作を制御する。移動制御部366は、例えば移動駆動部34の動作を制御することによって、移動体30の加速、減速、定速移動、移動方向の維持又は変更などを実現する。
【0055】
図5は、撮像システム100における処理の流れの具体例を示すシーケンスチャートである。まず、操作装置20においてユーザーが入力部22を操作して第1撮像指示を入力すると、通信制御部251は第1撮像指示の入力を受け付ける(ステップS201)。第1撮像指示は、例えば直接的に第1撮像部31を用いた撮像を行うことを示す指示であってもよいし、放射率のパラメータの設定を行うことを示す指示であってもよいし、他の態様の指示であってもよい。実質的に、第1撮像部31を用いた撮像を直接的又は間接的に示す指示であれば、どのような態様で第1撮像指示が入力されてもよい。通信制御部251は、入力された第1撮像指示を移動体30へ送信する(ステップS202)。
【0056】
移動体30の通信制御部365は、受信された第1撮像指示を撮像制御部361に出力する。撮像制御部361は、第1撮像指示にしたがって、第1撮像部31を制御して撮像する(ステップS203)。物体判定部362は、第1撮像部31によって撮像された映像の所定の領域に位置する物体について、その物体がどのような物体であるかを示す情報(物体識別情報)の候補を判定する(ステップS204)。物体判定部362は、判定された候補を示す情報(以下「物体候補情報」という。)を、操作端末20に送信する(ステップS205)。このとき、物体判定部362は、第1撮像部31によって撮像された映像のデータを物体候補情報に含めてもよい。
【0057】
操作端末20の通信制御部251は物体候補情報を受信すると、受信された物体候補情報を表示制御部252に出力する。表示制御部252は、受信された物体候補情報に含まれる映像を表示部23に表示させる(ステップS206)。表示制御部252は、受信された物体候補情報が示す内容を表示部23に表示させる(ステップS207)。物体候補情報は、映像の表示の上に重畳させる形で表示されてもよいし、映像とは他の画面領域に表示されてもよい。例えば、物体候補情報が複数の物体識別情報を含む場合には、それぞれの物体識別情報が示す物体の属性や名称や物体識別情報そのものが表示部23に表示されてもよい。表示を見たユーザーは、入力部22を操作することによって、いずれか一つの候補を選択する(ステップS208)。選択が行われると、通信制御部251は、選択された物体を示す情報(以下「選択情報」という。)を移動体30へ送信する(ステップS209)。
【0058】
移動体30の通信制御部365は選択情報を受信すると、受信された選択情報を物体判定部362に出力する。パラメータ取得部363は、受信された選択情報が示す物体の物体識別情報に応じて放射率のパラメータを取得する(ステップS210)。撮像制御部361は、取得された放射率のパラメータを第2撮像部32のパラメータとして設定し、第2撮像部32を用いた撮像を行う(ステップS211)。撮像制御部361は、撮像された映像のデータを記憶部35に記録する。温度判定部364は、撮像された映像に基づいて、被写体の温度を判定する(ステップS212)。
【0059】
図6は、被写体の具体例を示す図である。
図6において、主な被写体は送電鉄塔である。ただし、物体判定部362は、送電鉄塔全体で一つの被写体として捉えるのではなく、送電鉄塔を構成している個々の部品を一つの被写体として捉える。例えば、送電線91、アークホーン92、碍子93又は支柱接合部94がそれぞれ個々の被写体として物体判定部362によって判定される。
【0060】
図6の例では、画面の所定領域に位置する被写体が送電線である場合、物体判定部362によって物体が送電線であると判定され、パラメータ取得部363によって送電線に適した放射率のパラメータが取得される。例えば、送電線の表面の材質に応じて予め放射率のパラメータがパラメータテーブルに登録されている。具体的には、放射率のパラメータとして“0.05”の値が取得されてもよい。
【0061】
図6の例では、画面の所定領域に位置する被写体がアークホーンである場合、物体判定部362によって物体がアークホーンであると判定され、パラメータ取得部363によってアークホーンに適した放射率のパラメータが取得される。例えば、アークホーンの表面の材質に応じて予め放射率のパラメータがパラメータテーブルに登録されている。具体的には、放射率のパラメータとして“0.94”の値が取得されてもよい。
【0062】
図6の例では、画面の所定領域に位置する被写体が碍子である場合、物体判定部362によって物体が碍子であると判定され、パラメータ取得部363によって碍子に適した放射率のパラメータが取得される。例えば、碍子の表面の材質に応じて予め放射率のパラメータがパラメータテーブルに登録されている。具体的には、放射率のパラメータとして“0.5”の値が取得されてもよい。
【0063】
図6の例では、画面の所定領域に位置する被写体が支柱接合部である場合、物体判定部362によって物体が支柱接合部であると判定され、パラメータ取得部363によって支柱接合部に適した放射率のパラメータが取得される。例えば、支柱接合部の表面の材質に応じて予め放射率のパラメータがパラメータテーブルに登録されている。具体的には、放射率のパラメータとして“0.35”の値が取得されてもよい。
【0064】
このように構成された撮像システム100では、第1撮像部31によって撮像された物体に応じた放射率のパラメータが赤外線カメラ(第2撮像部32)に設定されて赤外線カメラの撮像が行われる。物体に応じた放射率のパラメータは、予めその物体の表面に用いられる物質などに応じて適切に登録された値である。そのため、赤外線カメラで撮像を行うに当たって、ユーザーは赤外線カメラにおける放射率のパラメータを検討する必要がない。したがって、より簡易に赤外線カメラの放射率に関するパラメータを得ることが可能となる。
【0065】
また、撮像システム100では、赤外線カメラ(第2撮像部32)が搭載される物は移動体30である。そのため、移動体30が移動先で近づいた物体について、適切な放射率のパラメータで赤外線カメラを用いた撮像を行うことが可能となる。その結果、移動体30が移動先で近づいた物体について、精度よく温度(例えば表面温度)を判定することが可能となる。
【0066】
(変形例)
図5に示されるシーケンスチャートは、第2撮像部32による撮像や温度判定が指示されたことに応じて実行されてもよい。
図5に示されるシーケンスチャートにおいて、ステップS201及びステップS202の処理は、必ずしも実行されなくてもよい。この場合、例えば移動体30が所定の条件を満たしたことに応じてステップS203移行の処理が開始されてもよい。所定の条件とは、例えば移動体30が移動を開始してから所定の時間が経過したことであってもよいし、移動体30が備えている位置判定装置(例えばGPS)に基づいて所定の領域に到着したことが判定されたことであってもよいし、所定の距離を飛行したことであってもよい。また、ステップS203以降の処理はステップS201及びステップS202の処理に関わらず、移動中は常に継続して繰り返し実行されてもよい。
【0067】
ステップS204の処理において、所定の基準を越えて物体判定部362が高い確率で物体が正解であると判定できた場合(例えばその物体であることを示すスコアが所定のスコア以上であった場合)には、ステップS205~ステップS209の処理が省略されてもよい。この場合、ユーザーに対して選択候補が提示されることなく、物体判定部362による判定結果(高い確率で正解と判定された判定結果)に基づいて放射率のパラメータが取得される。
【0068】
より具体的な例について説明する。所定のスコア以上の候補の物体が1つであった場合には、ステップS205~ステップS209の処理が省略される。所定のスコア以上の候補の物体が1つもなかった場合には、ステップS205において物体候補情報として、スコアが高いものから順に所定の数の物体候補が端末装置10へ送信される。そしてステップS206~S209の処理が実行され、ユーザーによって選択された物体を示す選択情報が移動体30へ送信される。所定のスコア以上の候補の物体が複数あった場合には、ステップS205において物体候補情報として、所定のスコア以上の全ての物体候補か、所定のスコア以上の物体候補のうちスコアが高いものから順に所定の数の物体候補が端末装置10へ送信される。そしてステップS206~S209の処理が実行され、ユーザーによって選択された物体を示す選択情報が移動体30へ送信される。なお、所定のスコア以上の候補の物体が1つであった場合にも、ステップS205~ステップS209の処理が実行されてもよい。この場合、ステップS205において物体候補情報として、所定のスコア以上の1つの物体候補が端末装置10へ送信される。そしてステップS206~S209の処理が実行され、ユーザーによって選択された物体を示す選択情報が移動体30へ送信される。この場合、所定のスコア以上の1つの物体候補がユーザーによって拒否された場合、スコアが高いものから順に所定の数の物体候補が新たに端末装置10へ送信されてもよい。その後に、ステップS206~S209の処理が実行され、ユーザーによって選択された物体を示す選択情報が移動体30へ送信される。
【0069】
図5に示されるシーケンスチャートにおいて、ステップS212の処理は必ずしも実行される必要は無い。例えば、ステップS211において第2撮像が実行されて映像が記録されたことに応じて
図5のシーケンスチャートの処理が終了してもよい。この場合、記録された映像に基づいて被写体の温度を判定する処理は、移動体30とは異なる装置において実行されてもよい。この場合、移動体30は温度判定部364を備えないように構成されてもよい。
【0070】
移動体30の制御部36が備える物体判定部362やパラメータ取得部363は、他の情報処理装置(例えばクラウド)に実装されてもよい。この場合、情報処理装置は、通信部と、物体判定部362と、パラメータ取得部363と、パラメータテーブルを記憶した記憶部と、を備える。情報処理装置は、移動体30等の装置からネットワークを介して画像(第1撮像部によって撮像された画像(いわゆる画像や三次元データ等))を受信すると、その画像の被写体の物品に応じた放射率のパラメータを取得し、移動体30等の装置に対して放射率のパラメータを送信する。この場合、移動体30の制御部36は、情報処理装置との間で通信を行うことによって、物体の判定結果や放射率のパラメータを取得してもよい。
【0071】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0072】
100…撮像システム, 10…端末装置, 11…第1撮像部, 12…第2撮像部, 13…記憶部, 14…制御部, 141…撮像制御部, 142…物体判定部, 143…パラメータ取得部, 144…温度判定部, 20…操作端末, 21…通信部, 22…入力部, 23…表示部, 24…記憶部, 25…制御部, 251…通信制御部, 252…表示制御部, 30…移動体, 31…第1撮像部, 32…第2撮像部, 33…通信部, 34…移動駆動部, 35…記憶部, 36…制御部, 361…撮像制御部, 362…物体判定部, 363…パラメータ取得部, 364…温度判定部, 365…通信制御部, 366…移動制御部