(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022085718
(43)【公開日】2022-06-08
(54)【発明の名称】水無し洗浄用ウェットシート
(51)【国際特許分類】
C11D 17/04 20060101AFI20220601BHJP
C09K 3/18 20060101ALI20220601BHJP
C11D 3/37 20060101ALI20220601BHJP
C11D 1/62 20060101ALI20220601BHJP
C03C 23/00 20060101ALI20220601BHJP
【FI】
C11D17/04
C09K3/18 104
C11D3/37
C11D1/62
C03C23/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020197532
(22)【出願日】2020-11-27
(71)【出願人】
【識別番号】000227331
【氏名又は名称】株式会社ソフト99コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100082083
【弁理士】
【氏名又は名称】玉田 修三
(72)【発明者】
【氏名】野中 純一
【テーマコード(参考)】
4G059
4H003
4H020
【Fターム(参考)】
4G059AA01
4G059AC22
4H003AE04
4H003BA21
4H003BA22
4H003DA05
4H003DA11
4H003DC01
4H003EB37
4H003ED02
4H003FA21
4H020BA32
(57)【要約】
【課題】自動車の樹脂素材や塗装面のような親油性面と自動車のガラス部分のような親水性面の両方の使用に馴染み、親油性面及び親水性面のどちらに使用しても、汚れを除去することと、処理直後及び処理後の耐久性に優れた撥水性被膜を形成することが可能な水無し洗浄用ウェットシートを提供する。
【解決手段】繊維性シートに、撥水成分を含むシリコーン樹脂エマルジョンと、親水性面を親油性面に変性させることのできるカチオン性物質を含む含浸液を含浸させてなる。シリコーン樹脂エマルジョンが、ジメチルポリシロキサン又はその変性体にトリメチルシロキシケイ酸を溶かした撥水成分を界面活性剤でエマルジョン化してなる。カチオン性物質が、カチオン系界面活性剤である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
親油性面及び親水性面の両方を使用対象とする水無し洗浄用ウェットシートであって、
繊維性シートに、撥水成分を含むシリコーン樹脂エマルジョンと、親水性面に撥水成分を定着させることのできるカチオン性物質を含む含浸液を含浸させてなることを特徴とする水無し洗浄用ウェットシート。
【請求項2】
上記シリコーン樹脂エマルジョンが、ジメチルポリシロキサン又はその変性体にトリメチルシロキシケイ酸を溶かした撥水成分を界面活性剤でエマルジョン化してなる請求項1に記載した水無し洗浄用ウェットシート。
【請求項3】
親水性面に撥水成分を定着させることのできるカチオン性物質が、カチオン系界面活性剤である請求項1又は請求項2に記載した水無し洗浄用ウェットシート。
【請求項4】
親水性面に撥水成分を定着させることのできるカチオン性物質が、第4級アンモニウム塩である請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載した水無し洗浄用ウェットシート。
【請求項5】
含浸液が、上記シリコーン樹脂エマルジョンと共に、変性シリコーンオイルを添加したシリコーン樹脂エマルジョンを含む請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載した水無し洗浄用ウェットシート。
【請求項6】
含浸液に、ジメチルシリコーンオイルのエマルジョンが追加されている請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載した水無し洗浄用ウェットシート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水無し洗浄用ウェットシートに関する。詳しくは、外部から洗浄水を供給することなしに、繊維性シートの含浸液中の水分などの成分のみで自動車のガラス面やボディの樹脂素材や塗装面などを洗浄することが可能であり、その使用によってガラス面や樹脂素材や塗装面に付着した汚れを除去することができることは勿論、処理直後の撥水状態を改善し、併せて、処理後の撥水耐久性を改善することができるようにするための対策が講じられた水無し洗浄用ウェットシートに関する。
【背景技術】
【0002】
先行例として、自動車のボディを拭き上げる作業を行うだけで、自動車のボディの汚れを除去することができ、併せて、撥水性をも付与することのできるウェットクロスが知られている(特許文献1、特許文献2参照)。これらの特許文献1又は特許文献2によって提案されているウェットクロスは、トリメチルシロキシケイ酸を撥水性成分であるジメチルポリシロキサンのような不揮発性油剤成分に溶かした撥水成分を界面活性剤で乳化分散させて繊維性織物でなるクロスに含浸させてなる。そして、このウェットクロスによると、使用中において、水と共にクロスから出た撥水性成分が水と分離して塗膜に付着することによって撥水性被膜が形成され、この、撥水性被膜によりはじかれて残った水分が再びクロスに吸収される、とされている。他の先行例として、洗車用のコーティング被膜保護型ウェットクロスが知られている(特許文献3参照)。この特許文献3によって提案されているウェットクロスは、不織布に、撥水成分を含むある種のシリコーン樹脂エマルジョンを含浸させてなる。これによると、コーティング被膜の性質が撥水性又は親水性のいずれであっても、コーティング被膜に変性や傷付きなどを生じさせずにコーティング被膜を拭き上げて洗車を行うことができるとされている。
【0003】
一方、さらに他の先行例には、布帛に含浸させて用いられるガラス用撥水処理組成物についての記述がある(特許文献4参照)。このガラス用撥水処理組成物は、フッ素系アルコキシシランと酸触媒又は塩基性触媒とを含んでいる。そして、このガラス用撥水処理組成物によると、ガラス面の高い撥水性と透明性を確保できる、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3482517号公報
【特許文献2】特許第4583364号公報
【特許文献3】特許第4990113号公報
【特許文献4】特開2010-138210号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上掲の特許文献1~3によって提案されているウェットクロスは、親油性面である自動車の塗装面が使用対象になっていて、自動車のガラス部分のような親水性面であるガラス面に適用することには馴染まない。これに対して、特許文献4によって提案されているガラス用撥水処理組成物は、ガラス面に撥水性と透明性を付与するものであり、親油性に富む自動車の樹脂素材や塗装面に適用することには馴染まない。
【0006】
本発明は、以上の状況に鑑みてなされたものであり、洗浄水を使用する必要がなく、自動車の樹脂素材や塗装面のような親油性面と自動車のガラス部分のような親水性面の両方の使用に馴染み、親油性面及び親水性面のどちらに使用しても、汚れを除去することと、処理直後及び処理後の耐久性に優れた撥水性被膜を形成することが可能な水無し洗浄用ウェットシートを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る水無し洗浄用ウェットシートは、親油性面及び親水性面の両方を使用対象とする水無し洗浄用ウェットシートであって、繊維性シートに、撥水成分を含むシリコーン樹脂エマルジョンと、親水性面に撥水成分を定着させることのできるカチオン性物質を含む含浸液を含浸させてなる、というものである。
【0008】
この発明は、撥水成分であるシリコーン樹脂が親油性を示すこと、及び、親水性面に撥水成分を定着させることのできるカチオン性物質が親水性部分及び親油性部分の両方を備えていること、に着目している。すなわち、親油性の撥水成分でガラス面のような親水性面を直接に処理したとしても、ガラス面に対して撥水成分が定着しにくい。しかし、この発明に係る水無し洗浄用ウェットシートを使用してガラス面のような親水性面を処理すると、親水性部分及び親油性部分の両方を備えるカチオン性物質の親水性部分がガラス面のような親水性面に定着し、カチオン性物質の親油性部分が表面に露呈することになり、その結果として、親水性面が、見掛け上、親油性面に変性される。こうしてカチオン性物質の作用によって親水性面が親油性面に変性されると、カチオン性物質の親油性部分に親油性の撥水成分が定着しやすくなり、親水性面に親油性の撥水成分が定着し撥水性被膜を形成する。言い換えると、ガラス面のような親水性面が、カチオン性物質の作用によって親油性面に変性され、親油性の撥水成分の定着性が発現し撥水性被膜を形成する。
【0009】
これに対し、この発明に係る水無し洗浄用ウェットシートを使用して樹脂素材や塗装面のような親油性面を処理すると、親油性の撥水成分が樹脂素材や塗装面にそのまま定着して、撥水性被膜を形成する。
【0010】
親水性面や親油性面に付着している汚れは、処理面の拭き上げにより繊維性シートから染み出た含浸液に含まれるシリコーン樹脂エマルジョン中のシリコーン樹脂と分離した水分及び界面活性剤が洗浄液となって、処理面から汚れが浮き上がって洗浄液中に取り込まれ、そして、撥水性被膜上の剥離効果により汚れを取り込んだ洗浄液の水滴が処理面から分離しやすくなって、前記汚れを含む洗浄液の水滴が繊維性シートに回収されることとなる。
【0011】
本発明では、上記シリコーン樹脂エマルジョンが、ジメチルポリシロキサン又はその変性体にトリメチルシロキシケイ酸を溶かした撥水成分を界面活性剤でエマルジョン化してなる、ものであることが望ましい。
【0012】
親油性面であるボディの樹脂素材や塗装面や親水性面であるガラス面である処理面に残った汚れをきれいに拭き上げるためには、樹脂素材や塗装面やガラス面などの処理面が十分な撥水状態になっている必要がある。処理面が十分な撥水状態になっていないと、汚れを含む洗浄液の水滴が処理面に大きな水滴となって過剰に残る原因となる。処理面が十分な撥水状態になっていると、水滴は細かくなり、処理面から分離しやすくなって、前記汚れを含む洗浄液の水滴が繊維性シートに回収され易くなる。トリメチルシロキシケイ酸の溶液は繊維性シートに含浸させても硬化せずに繊維表面に留まると共に、処理面を拭き上げた際には含浸させた繊維性シートから処理面に適切に移行し、処理面に密着し均一な撥水性被膜を形成することができしかも持続性に優れた性能を有するものであることから、汚れた面を拭き上げて処理面に十分な撥水性を付与してきれいな面を形成させるためには必須の成分であると云える。トリメチルシロキシケイ酸そのものは固体(粉体)状であるため、そのままで親水性面や親油性面などの処理面に一様に展延することができない。このため、トリメチルシロキシケイ酸の希釈剤としてジメチルポリシロキサン又はその変性体を使用することによって溶液とすることができる
【0013】
撥水成分の添加量は、含浸液中に有効分として0.1~2.0wt%が適切であり、0.1wt%未満であると、処理面の十分な撥水状態が得られず、汚れが処理面に再付着したりしてきれいに拭き上げることができなくなる。撥水成分の添加量が2.0wt%を超えると、処理面に過剰に撥水成分が定着して撥水性被膜が不均一になったり、ムラを生じたり、ガラス面でハレーションを起こしたりしやすくなる。したがって、0.1wt%未満及び2.0wt%を超える添加量は好ましくない。撥水成分の添加量が0.1~2.0wt%であると、きれいに拭き上げることが容易になり、被膜が一様になりやすく、ムラになったりガラス面でハレーションを起こしたりするという状況が生じにくい。
【0014】
本発明では、親水性面に撥水成分を定着させることのできるカチオン性物質が、カチオン系界面活性剤であることが望ましい。特に、親水性面に撥水成分を定着させることのできるカチオン性物質が、第4級アンモニウム塩であることが望ましい。
【0015】
親水性面に撥水成分を定着させることのできるカチオン性物質には、カチオン系界面活性剤である第4級アンモニウム塩の界面活性剤を使用することが可能である。カチオン系界面活性剤は疎水基(親油基)と親水基を有する化合物であって親水基が水溶液中でプラスの電荷を持つことにより、マイナス電荷のガラス表面上で、カチオン系界面活性剤はプラス電荷の親水基がガラス表面に引き寄せられることにより、ガラス表面上では外側に向かって疎水基(親油基)が並び、その疎水基(親油基)に撥水成分が馴染むことにより撥水性被膜を形成すると考えられる。撥水成分中のトリメチルシロキシケイ酸は、ガラス面のような親水性面と反応する反応基を有していないので、そのままガラス面に塗っただけではガラス面に一様に定着させることができない。樹脂素材や塗装面などは表面に親油基(疎水基)が存在しているので、親油性を示すシリコーン樹脂が馴染みやすく一様に付着しやすいけれども、表面が親水基で覆われているガラス面そのままではシリコーン樹脂が一様には定着しない。実際上、ガラス面にシリコーン樹脂のみを処理してもガラス面に一様な撥水性被膜を形成できないので、汚れを含んだ洗浄液の水滴が細かくならないことから、繊維性シートに回収できないのできれいに仕上げられず、また、その表面に水をかけてもきれいな水玉にはならない。
【0016】
カチオン性物質の添加量は、含浸液中に有効分として0.01~1.5wt%であることが望ましく、ガラス表面全面に作用させるため比較的多量に必要であるところ0.01wt%未満だと十分に撥水成分を定着させる効果を得られず、1.5wt%を超えると処理面に過剰に成分が定着して撥水性被膜が不均一なムラになったり撥水性が低下したりするため好ましくない。添加量が0.01~1.5wt%であると、ガラス表面全面に作用させることができるので十分に撥水成分を定着させる効果が得られ、撥水性被膜が均一になり、処理後にも撥水性が低下しにくくなる。
【0017】
親水性面に撥水成分を定着させることのできるカチオン性物質として、アルキルアミン塩型の物質を使用することもできるけれども、第4級アンモニウム塩を使用することが望ましい。
【0018】
なお、第4級アンモニウム塩の代わりに、一般的にガラス撥水剤として使われるアミノシリコーンを使用しても本発明に似た作用効果を得ることができるが、繊維性シートに含浸している状態で50℃で1か月ほどの条件で放置すると、ガラス面を撥水状態にすることができなくなり、シリコーン樹脂だけを配合したものと同じ状況になることを確認している。これは、アミノシリコーンがそのままでは水に溶けないので、酸を組み合わせて中和することによって水に可溶化させる必要やエマルジョンにする必要があるが、そのようにすると、もともとが水に溶けないので繊維性シートに含ませた状態ではその状態が不安定になったりすることが考えられる。そのため水の中より親油性の強い繊維性シートの方に吸着してしまうために、シリコーン樹脂だけを配合したものと同じ状況になることが考えられるため、こういったシートタイプの製品においてはアミノシリコーンの使用は不向きである。
【0019】
また、ここでシリコーン樹脂エマルジョンの界面活性剤としては、非イオン系界面活性剤、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤を持ちいることができるが、特に非イオン界面活性剤であることが望ましい。非イオン系界面活性剤は乳化分散力が高く、洗浄性能も有り、また、カチオン系界面活性剤と電荷が中和されることがないので互いの効能を打ち消し合わない。
【0020】
本発明では、含浸液が、上記シリコーン樹脂エマルジョンと共に、変性シリコーンオイルを添加したシリコーン樹脂エマルジョンを含むことが望ましい。変性シリコーンオイルとしては一方又は両方の末端(両末端タイプが望ましい)に水酸基を有しているものを好ましく使用することができる。一方又は両方の末端に水酸基を有する変性シリコーンオイルを添加しておくと、ガラス面での初期の撥水性や撥水の耐久性が向上する。この種の変性シリコーンオイルは、ガラス面との反応性がそれほど強くはないけれども、水酸基を有しているためにガラス面の水酸基と部分的に反応して定着性が改善されるものと考えられる。変性シリコーンオイルの添加量は、有効分として、含浸液中に0.01~1.5wt%が望ましく、0.01wt%未満だと十分な撥水性向上効果を得られず、1.5wt%を超えると処理面に過剰に成分が定着して撥水性被膜がムラになったり、オイル過剰による撥水性被膜の耐久性低下につながる。添加量が0.01~1.5wt%であると、十分な撥水性向上効果が得られ、一様な撥水性被膜が形成されて撥水性被膜の耐久性が向上する。
【0021】
本発明において使用される繊維性シートは、中心層としての親水性繊維を外層としての親油性(疎水性)のマイクロファイバーで挟んだ3層構造の不織布であることが望ましい。この点に関し、中心層の親水性繊維に繊維長の短い(20mm以下)ものを使用すると、高圧の水を当てて水流交絡させる際に、中心層の親水性繊維が飛び散り、表面に繊維が出てくる傾向が高くなる。また、表面に親水性繊維があると拭き上げ時に作業が重くなるばかりか、撥水性被膜も不均一になりやすいので好ましくない。このことから、25mm以上、好ましくは30mm以上の繊維長のある親水性繊維を中心層に使用することが望ましい。
【0022】
また、外層のマイクロファイバーは、基本的には、太さが0.2~0.5d(デニール)のものであり、太さが1.0~6d(デニール)の通常の太さの繊維とは区別される。
【0023】
ところで、通常では、汚れを取るには掻き取り性に優れたマイクロファイバーを中心に構成した不織布を使用するけれども、外層にマイクロファイバーを使用した繊維性シートは、汚れを取る性能に優れる反面で、次のような欠点を有している。
【0024】
1つ目は、掻き取り性がよいと、滑り性が悪くなり、作業性を低下させるだけでなく、摩擦抵抗が高くなって塗装面を傷める原因になることが判っている。2つ目は、マイクロファイバーだけで構成された不織布は繊維密度が高くなり、繊維間の空間が小さくなり、汚れを保有する量が少なくなることが判っている。そして、繊維間の空間がある程度大きくなると繊維の内部に汚れを取り込みやすくなるので、汚れが直接コーティング被膜に当たることもなくなる。
【0025】
このため、マイクロファイバーの繊維を100%使用するのではなく、通常の太さの繊維を何割か混ぜて使用することは可能である。従来のプレーン100%の表面形状においては、マイクロファイバー:通常の繊維=9:1~5:5程度であることが望ましい。また、不織布の一部分をメッシュ状にすることで拭き上げ時の滑り性を向上させたり、固着した汚れの除去性を向上させたりることも可能である。メッシュ部分を有する不織布は、マイクロファイバー:通常の繊維=10:0~8:2程度が好ましい。メッシュ部分の開孔によって、液が出やすいのであまり不織布の空間を大きくすると液残りが多くなり、好ましくない。繊維性シートに含ませる含浸液の量としては、繊維性シート重量の1.8~3.5倍程度が適量であり、更に好ましくは、2.0~2.5倍が適量である。1.8倍より少ないと汚れ取りに必要な水分量が足りなくなって洗浄性が低下するばかりか、塗装やガラス面に撥水性被膜が形成されにくくなる。3.5倍を超えると、拭き上げ作業をした際に過剰な液が塗装面上に残りやすくなり、ムラが生じたり、塗装面やガラス面が白くなることがある。また、布の吸収性が飽和に近づくので汚れの除去性も悪くなる。
【0026】
本発明では、必須ではない任意的添加可能な成分として、含浸液に、ジメチルシリコーンオイルのエマルジョンを追加することが可能である。含浸液に、特に粘度500cst以下のジメチルシリコーンオイルのエマルジョンを追加して添加しておくと、エマルジョン中に含まれる水分が揮発して撥水成分の濃度が上がった場合においても、このエマルジョンに含まれるジメチルシリコーンオイルが撥水成分の希釈剤として働き、撥水性被膜の均一性を向上させたり、作業性を向上させたり、汚れを再付着させずにきれいに仕上げるための補助剤になることが判っている。粘度500cstより高い粘度のジメチルシリコーンオイルを添加すると、作業時の滑り性などは向上するが、撥水性被膜の均一性が低下することで濃淡ムラになるので好ましくない。添加量としては含浸液中に有効分として0.1~2.0wt%が望ましく、0.1wt%未満であると十分な希釈効果が得られず、2.0wt%を超えると処理面に過剰に成分が定着するなどして、撥水性被膜が不均一になったり、オイル過剰による撥水被膜の耐久性低下につながる。添加量が0.1~2.0wt%であると、十分な希釈効果が得られ、撥水性被膜が一様になりやすく、オイル過剰による撥水被膜の耐久性低下も生じにくい。
【0027】
本発明では、含浸液に、必須ではない任意的添加可能な成分として、ワックスのエマルジョンやディスパージョンを添加することも可能である。ワックスのエマルジョンやディスパージョンは、被膜の耐久性や作業時の滑り性や汚れによる傷つき防止性を向上させることに役立つ。ワックス成分としては天然又は合成の各種ワックス又はワックス状物を挙げることができる。具体的には脂肪酸及びその誘導体、カルナバワックス、キャンデリラワックス、シュガーワックス、ライスワックス、木ロウ、硬化ヒマシ油、などの植物系天然ワックス、ミツロウ、鯨ロウ、ラノリン及びその誘導体などの植物系天然ワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックスなどの石油系天然ワックス、モンタンワックス、オゾケライトワックス、セレシンなどの鉱物系天然ワックス、フィッシャートロプシュワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、及びそれらの誘導体などの合成系ワックスなどを挙げることができる。ここで挙げたワックス成分のエマルジョンを、トリメチルシロキシケイ酸のジメチルポリシロキサン又はその変性体に溶かした撥水性分を界面活性剤でエマルジョン化したものと組み合わせることで、撥水性被膜が厚くなり、洗車傷の上から被さることで傷が目立ちにくくなる。また、初期の艶と艶の持続性が向上する。特に洗浄時における艶及び撥水耐久性が相当程度向上することが判っている。なお、ガラス面においては多く添加しすぎると、ハレーションの原因になるので添加量としては少なく設定することが望ましい。添加量としては、含浸液中に、有効分として、0.01~0.5wt%が望ましく、0.01wt%未満だと十分な艶及び撥水の持続性が発現せず、0.5wt%を超えると十分な艶と撥水性は発現するけれども、樹脂素材や塗装面やガラス面に過剰に成分がつくので濃淡ムラやギラつきの原因になり、また固形分が過剰すぎてきれいに成分を展延することができにくくなる。ワックス成分のディスパージョンを添加することで拭き上げ作業における滑り性を向上させたり処理面に付着している汚れによる傷つきを低減させることが可能である。添加量としては、含浸液中に、有効分として、0.1~2.0wt%が望ましく、0.1wt%未満だと作業時の滑り性や汚れによる傷つき防止効果を十分に発揮できず、2.0wt%を超えると作業時の滑り性や汚れによる傷つき防止効果は十分であるが、処理面に残りやすくなるので好ましくない。なお、本発明において、含浸液に、ワックスのエマルジョンやディスパージョンを添加することは必須ではない。
【0028】
本発明では、その他の必須ではない任意的添加可能な成分として、色素や紫外線吸収剤や防腐剤、抗菌剤などがある。
【発明の効果】
【0029】
以上のように、本発明に係る水無しウェットシートによると、洗浄水を使用する必要がなく、自動車の樹脂素材や塗装面のような親油性面と自動車のガラス部分のような親水性面の両方の使用に馴染み、親油性面及び親水性面のどちらに使用しても、汚れを除去することと、処理直後及び処理後の耐久性に優れた撥水性被膜を形成することと、が可能になる。なお、本発明に係るウェットシートの使用対象は、自動車の樹脂素材や塗装面やガラス部分(フロントガラスやサイドガラスなど)に限らず、他の親油性面や親水性面、例えば自動車以外の車両の塗装面や樹脂素材やガラス部分、家庭内にある塗装した素材や、樹脂素材、窓ガラスや鏡、陶器といったガラス質部分においても使用することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態を示す実施例を比較例と共に説明する。
【0031】
[実施例及び比較例]
【0032】
使用した原料は以下の通りである。
(1)シリコーン樹脂エマルジョンA
トリメチルシロキシケイ酸をジメチルポリシロキサンに溶かしてエマルジョン化したもの(シリコーン成分の有効濃度40wt%、使用したジメチルポリシロキサン粘度350cs、トリメチルシロキシケイ酸とジメチルポリシロキサンの混合比率30:70、乳化剤として、ノニオン系活性剤+アニオン系活性剤:6.0%を使用した)。
(2)シリコーン樹脂エマルジョンB
トリメチルシロキシケイ酸をシクロペンタシロキサンに溶かしてエマルジョン化したもの(有効濃度30wt%、使用したシクロペンタシロキサン粘度4cs、トリメチルシロキシケイ酸とシクロペンタシロキサンの混合比率50:50、乳化剤としてノニオン系活性剤:6.0%を使用した)。
(3)シリコーン樹脂エマルジョンC
トリメチルシロキシケイ酸をジメチルシリコーンの粘度6csに溶かしてエマルジョン化したもの(有効濃度30wt%、使用したジメチルシロキサン粘度6cs、トリメチルシロキシケイ酸とジメチルポリシロキサンの混合比率50:50、乳化剤としてノニオン系活性剤:3%を使用した)。
(4)ジメチルシリコーンエマルジョンA
粘度10csのジメチルポリシロキサンをエマルジョン化したもの(シリコーン成分の有効濃度30wt%、ノニオン系界面活性剤:5.0%)。
(5)ジメチルシリコーンエマルジョンB
粘度500csのジメチルポリシロキサンをエマルジョン化したもの(シリコーン成分の有効濃度30wt%、ノニオン系界面活性剤:3.0%)
(6)両末端OH変性ジメチルシリコーンエマルジョンA
粘度30csの両末端OH変性ジメチルポリシロキサンをエマルジョン化したもの(シリコーン成分の有効濃度30wt%、ノニオン系界面活性剤:3.0%)
(7)両末端OH変性ジメチルシリコーンエマルジョンB
粘度700csの両末端OH変性ジメチルポリシロキサンをエマルジョン化したもの(シリコーン成分の有効濃度30wt% ノニオン系界面活性剤:3.0%)
(8)カチオン系界面活性剤A
有効成分30%、化学組成としてセチルトリメチルアンモニウムクロライドであらわされるカチオン系界面活性剤。
(9)カチオン系界面活性剤B
有効成分50%、化学組成としてアルキルベンジルジメチルアンモニウムクロライドであらわされるカチオン系界面活性剤。
(10)ワックスエマルジョンA
変性ポリプロピレンワックスをエマルジョン化したもの(有効濃度35wt% ノニオン系界面活性剤:4%)。
(11)ワックスエマルジョンB
ポリエチレンワックス(分子量約500)をエマルジョン化したもの。(ワックス分の有効濃度30wt% ノニオン系界面活性剤:5wt%)。
【0033】
実施例1
シリコーン樹脂エマルジョンA 3.00wt%
カチオン系界面活性剤A 1.00wt%
イオン交換水 96.00wt%
100.00wt%
イオン交換水にシリコーン樹脂エマルジョンAとカチオン系界面活性剤Aを溶解又は分散させて含浸液を調整した。
30×30cmにカットしたナイロン/ポリプロピレンのマイクロファイバー(0.5デニール)で構成された不織布(全体の目付け量:70g/m2)に不織布の重量に対して2.0重量倍に相当する含浸液を均一に含浸させてサンプルを得た。
【0034】
実施例2
シリコーン樹脂エマルジョンB 2.00wt%
ジメチルシリコーンエマルジョンB 1.00wt%
カチオン系界面活性剤B 1.00wt%
イオン交換水 96.00wt%
100.00wt%
イオン交換水にシリコーン樹脂エマルジョンBとジメチルシリコーンエマルジョンBとカチオン系界面活性剤Bを溶解又は分散させて含浸液を調整した。
30×30cmにカットしたポリエチレン/ポリエステルのマイクロファイバー(0.5デニール)8割とポリエステル(1.7デニール)2割で構成された不織布(全体の目付け量:70g/m2 )に、不織布の重量に対して2.4重量倍に相当する含浸液を均一に含浸させてサンプルを得た。
【0035】
実施例3
シリコーン樹脂エマルジョンC 2.50wt%
ジメチルシリコーンエマルジョンA 0.50wt%
両末端OH変性ジメチルシリコーンエマルジョンA 1.00wt%
カチオン系界面活性剤A 0.50wt%
イオン交換水 95.50wt%
100.00wt%
イオン交換水にシリコーン樹脂エマルジョンC、ジメチルシリコーンエマルジョンA、両末端OH変性ジメチルシリコーンエマルジョンA、カチオン系界面活性剤Aを溶解又は分散させて含浸液を調整した。
30×30cmにカットした中層がレーヨン(2.0デニール)、外層がポリエチレン/ポリプロピレン(0.3デニール)のマイクロファイバーで構成された不織布(全体の目付け量:70g/m2)に不織布の重量に対して2.5重量倍に相当する含浸液を均一に含浸させてサンプルを得た。
【0036】
実施例4
シリコーン樹脂エマルジョンC 2.00wt%
シリコーン樹脂エマルジョンB 0.50wt%
両末端OH変性ジメチルシリコーンエマルジョンA 0.30wt%
ジメチルシリコーンエマルジョンA 1.00wt%
カチオン系界面活性剤A 0.70wt%
イオン交換水 95.50wt%
100.00wt%
イオン交換水にシリコーン樹脂エマルジョンC、シリコーン樹脂エマルジョンB、両末端OH変性ジメチルシリコーンエマルジョンA、ジメチルシリコーンエマルジョンA
を溶解又は分散させて含浸液を調整した。
30×30cmにカットした中層がレーヨン(2.0デニール)、外層がポリエチレン/ポリプロピレン(0.3デニール)のマイクロファイバーで構成された不織布(全体の目付け量:70g/m2、中心層10g、外層の片側30g、メッシュ開口部は15%、メッシュ部分の面積は全体の10%、水玉状に配置)に不織布の重量に対して2.5重量倍に相当する含浸液を均一に含浸させてサンプルを得た。
【0037】
実施例5
シリコーン樹脂エマルジョンC 3.00wt%
ジメチルシリコーンエマルジョンB 1.00wt%
両末端OH変性ジメチルシリコーンエマルジョンB 0.50wt%
カチオン系界面活性剤A 0.50wt%
ワックスエマルジョンA 0.50wt%
イオン交換水 94.50wt%
100.00wt%
イオン交換水にシリコーン樹脂エマルジョンC、ジメチルシリコーンエマルジョンB、両末端OH変性ジメチルシリコーンエマルジョンB、カチオン系界面活性剤A、ワックスエマルジョンAを溶解又は分散させて、含浸液を調整した。
30×30cmにカットした中層がレーヨン(1.4デニール)、外層がポリエチレン/ポリエステル(0.6デニール)のマイクロファイバーで構成された不織布(全体の目付け量:70g/m2、中心層10g、外層の片側30g、メッシュ開口部は15%、メッシュ部分の面積は全体の10%、波状に配置)に不織布の重量に対して2.5重量倍に相当する含浸液を均一に含浸させてサンプルを得た。
【0038】
実施例6
シリコーン樹脂エマルジョンA 2.50wt%
シリコーン樹脂エマルジョンB 1.00wt%
ジメチルシリコーンエマルジョンA 0.20wt%
ジメチルシリコーンエマルジョンB 0.20wt%
カチオン系界面活性剤B 0.40wt%
両末端OH変性ジメチルシリコーンエマルジョンA 0.60wt%
イオン交換水 95.10wt%
100.00wt%
イオン交換水にシリコーン樹脂エマルジョンA、シリコーン樹脂エマルジョンB、ジメチルシリコーンエマルジョンA、ジメチルシリコーンエマルジョンB、カチオン系界面活性剤B、両末端OH変性ジメチルシリコーンエマルジョンA を溶解又は分散させて含浸液を調整した。
上記の成分を94.8wt%のイオン交換水に溶解または分散させて、含浸液を調整した。
30×30cmにカットした中層がレーヨン、外層がポリエチレン/ポリエステルのマイクロファイバーで構成された不織布(全体の目付け量:70g/m2、中心層10g、外層の片側30g、メッシュ開口部は15%、メッシュ部分の面積は全体の10%、波状に配置)に不織布の重量に対して2.5重量倍に相当する含浸液を均一に含浸させてサンプルを得た。
【0039】
比較例1
ジメチルシリコーンエマルジョンA 4.00wt%
イオン交換水 96.00wt%
100.00wt%
イオン交換水にジメチルシリコーンエマルジョンA、を分散させて含浸液を調整した。
30×30cmにカットしたポリエチレン/ポリプロピレンのマイクロファイバーで構成された不織布(全体の目付け量:70g/m2)に不織布の重量に対して2.5重量倍に相当する含浸液を均一に含浸させてサンプルを得た。
【0040】
比較例2
シリコーン樹脂エマルジョンA 5.00wt%
イオン交換水 95.00wt%
100.00wt%
イオン交換水にシリコーン樹脂エマルジョンAを分散させて、含浸液を調整した。
30×30cmにカットしたポリエチレン/ポリエステルのマイクロファイバーで構成された不織布(全体の目付け量:70g/m2)に不織布の重量に対して2.5重量倍に相当する含浸液を均一に含浸させてサンプルを得た。
【0041】
比較例3
シリコーン樹脂エマルジョンA 2.00wt%
ワックスエマルジョンB 1.00wt%
ジメチルシリコーンエマルジョンB 1.00wt%
イオン交換水 96.00wt%
100.00wt%
イオン交換水にシリコーン樹脂エマルジョンA、ワックスエマルジョンB、ジメチルシリコーンエマルジョンBを分散させて、含浸液を調整した。
30×30cmにカットしたポリエステルとレーヨンの混紡品(混紡比率70:30、不織布の構成繊維径が2.0デニール)で構成された不織布(目付け量:70g/m2)に不織布の重量に対して2.5重量倍に相当する含浸液を均一に含浸させてサンプルを得た。
【0042】
比較例4
カチオン系界面活性剤A 0.50wt%
ジメチルシリコーンエマルジョンB 4.00wt%
イオン交換水 95.50wt%
100.00wt%
イオン交換水にカチオン系界面活性剤A、ジメチルシリコーンエマルジョンBを分散させて含浸液を調整した。
30×30cmにカットしたナイロン/ポリエチレンのマイクロファイバーで構成された不織布(全体の目付け量:70g/m2、メッシュ開口部は15%、メッシュ部分の面積は全体の8%、水玉状に配置)に不織布の重量に対して2.5重量倍に相当する含浸液を均一に含浸させてサンプルを得た。
【0043】
比較例5
カチオン系界面活性剤A 1.00wt%
両末端OH変性ジメチルシリコーンエマルジョンA 0.50wt%
ジメチルシリコーンエマルジョンB 3.00wt%
イオン交換水 95.50wt%
100.00wt%
イオン交換水にカチオン系界面活性剤A、両末端OH変性ジメチルシリコーンエマルジョンA、ジメチルシリコーンエマルジョンBを分散させて含浸液を調整した。
30×30cmにカットしたナイロン/ポリエチレンのマイクロファイバーで構成された不織布(全体の目付け量:70g/m2、メッシュ開口部は15%、メッシュ部分の面積は全体の8%、水玉状に配置)に不織布の重量に対して2.5重量倍に相当する含浸液を均一に含浸させてサンプルを得た。
【0044】
試験方法
作成した処理布(繊維性シート)を使用して、塗装面についての処理直後の撥水状態、ガラス面についての 処理直後の撥水状態、 塗装面の汚れの除去性、ガラス面の汚れの除去性、について調べた。
【0045】
評価試験は次のように行った。
試験用として2010年型トヨタカローラフィールダー(「トヨタ」「トヨタカローラ」「カローラ」「フィールダー」は登録商標)、黒色塗装車のボンネット部分及びフロントガラス部分を使用した。ボンネット部分は、クリーナーワックスをかけて汚れを除去し、さらに残っているワックスの被膜部分を脂肪族系溶剤で除去した後、屋外にて2週間放置し、自然に汚れたボンネットを試験面とした。この試験面を12区分に(1区分は約25×40cm四方)分けた後、それぞれのサンプルを使用して拭き上げた。次に、フロントガラス部分は、ガラス用研磨剤をかけて汚れや、撥水性コート被膜を除去し、さらに残っている油膜をIPAで除去した後、屋外にて2週間放置し、自然に汚れたボンネットを試験面とした。この試験面を12区分に(1区分は約25×40cm四方)分けた後、それぞれのサンプルを使用して拭き上げた。
このとき、1区画だけを空試験として無処理で残しておくようにした。
【0046】
A.塗装面の汚れの除去性
各サンプルを4つ折りにし、試験面全体を拭き上げるように作業を往復10回行い、汚れの除去性を評価した
◎ 大変良い(汚れがきれいに除去され、均一な艶が出ている状態)
○ 良い(汚れがきれいに除去されているが、少し濃淡ムラになっている状態)
△ 普通(汚れが少なくなったがところどころに汚れが筋状に残っている状態)
× 悪い(試験面全体に汚れが筋状に残っている状態)
【0047】
B.ガラス面の汚れの除去性
各サンプルを4つ折りにし、試験面全体を拭き上げるように作業を往復10回行い、汚れの除去性を評価した
◎ 大変良い(汚れがきれいに除去され、拭き残りやギラつきがなく均一な状態)
○ 良い(汚れがきれいに除去されているが、少し濃淡ムラがある状態)
△ 普通(汚れが少なくなったがところどころに汚れが筋状に残っている状態)
× 悪い(試験面全体に汚れが筋状に残っている状態)
【0048】
C.処理直後の撥水状態(塗装面)
試験面に水をかけ水玉の状態を目視にて判定する。
◎ よく水玉になってはじく
○ はじきはあるが、水玉が変形している。
△ やや、はじきが鈍い
× 殆どはじかない
【0049】
D.処理直後の撥水状態(ガラス面)
試験面に水をかけ水玉の状態を目視にて判定する。
◎ よく水玉になってはじく
○ はじきはあるが、水玉が変形している。
△ やや、はじきが鈍い
× 殆どはじかない
【0050】
E.撥水の耐久性
屋外に駐車した状態で1ヶ月放置した後、水洗い洗車を行った後に、試験面に水をかけ水玉の状態を目視にて判定する。
◎ よく水玉になってはじく
○ はじきはあるが、水玉が変形している。
△ やや、はじきが鈍い
× 殆どはじかない
【表1】
【0051】
表1の試験結果から、塗装面の汚れの除去性、ガラス面の汚れの除去性、処理直後の撥水状態(塗装面)、処理直後の撥水状態(ガラス面)、撥水の耐久性(塗装面)に関して、実施例1~6では、◎又は○の評価が得られ、比較例1~5では、○の評価が少なく、△又は×の評価が多かった。また、撥水の耐久性(ガラス面)に関して、実施例1~6では、一部に△の評価があるものの、その他は◎の評価であった。その反面、比較例1~5では、すべて×の評価であった。以上より、本発明に係る水無しウェットシートは、塗装面の汚れの除去性、ガラス面の汚れの除去性、処理直後の撥水状態(塗装面)、処理直後の撥水状態(ガラス面)、撥水の耐久性(塗装面)、撥水の耐久性(ガラス面)、に関して優れた作用を発揮し、比較例1~5を凌いでいることが判る。