(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022085727
(43)【公開日】2022-06-08
(54)【発明の名称】自転車サドル、および自転車
(51)【国際特許分類】
B62J 9/28 20200101AFI20220601BHJP
G09F 23/00 20060101ALI20220601BHJP
G09F 21/04 20060101ALI20220601BHJP
B62J 1/08 20060101ALI20220601BHJP
B62J 50/20 20200101ALI20220601BHJP
【FI】
B62J9/28
G09F23/00 A
G09F21/04 U
B62J1/08 C
B62J50/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020197552
(22)【出願日】2020-11-27
(71)【出願人】
【識別番号】520468759
【氏名又は名称】一般社団法人東和ホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】110002815
【氏名又は名称】IPTech特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】軍司 義貴
(57)【要約】
【課題】荷物の重量を増やした際のハンドルの操作性への影響を抑えることができる自転車サドルを提供する。
【解決手段】本発明の自転車サドルは、自転車のシートチューブに挿入されるサドルポストと、サドルポストに連結され、サドルポストから後方に向かうに従い、漸次上方に向けて延びるとともに、後端部に筐体を吊架して支持する支持フレームと、を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転車のシートチューブに挿入されるサドルポストと、
前記サドルポストに連結され、前記サドルポストから後方に向かうに従い、漸次上方に向けて延びるとともに、後端部に筐体を吊架して支持する支持フレームと、を備えた自転車サドル。
【請求項2】
前記サドルポストと、前記支持フレームと、は一体に形成されている、請求項1に記載の自転車サドル。
【請求項3】
前記支持フレームは、
弾性部材を有する支持部を介して、前記筐体を前記支持フレームの後端部に支持する、請求項1又は2に記載の自転車サドル。
【請求項4】
前記支持部は、
前記筐体を吊架する吊架部材と、
前記吊架部材を囲むように配置されたコイルばねと、具備する、請求項3に記載の自転車サドル。
【請求項5】
前記筐体は立方体状をなし、前記筐体の外面のうち、少なくとも一つには、広告表示部が形成されている、請求項1から4のいずれか1項に記載の自転車サドル。
【請求項6】
前記広告表示部は、パネルモニターである、請求項5に記載の自転車サドル。
【請求項7】
前記筐体には、後方に向けて前記筐体の内部を開口する扉が形成されている、請求項5又は6に記載の自転車サドル。
【請求項8】
前記広告表示部は、前記扉の外面に配置されている、請求項7に記載の自転車サドル。
【請求項9】
前記筐体は、合成樹脂材料の発泡成形により形成されている、請求項1から8のいずれか1項に記載の自転車サドル。
【請求項10】
前記筐体の内部には、前記筐体の内部を仕切る仕切り板が配置されている、請求項1から9のいずれか1項に記載の自転車サドル。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項に記載の自転車サドルが、前記シートチューブに挿入された自転車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車サドル、および自転車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、搬送できる荷物を増やすために、ハンドルに荷物かごが設けられた自転車が知られている。
例えば、特許文献1には、大容量の荷物かごの載置が可能なハンドルを備えた自転車が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の自転車では、荷物かごがハンドルと連結されているので、荷物かごに収容される荷物の重量が増えることで、ハンドルの操作性に影響がでるという課題があった。
【0005】
本発明は、荷物の重量を増やした際のハンドルの操作性への影響を抑えることができる自転車サドルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の自転車サドルは、自転車のシートチューブに挿入されるサドルポストと、サドルポストに連結され、サドルポストから後方に向かうに従い、漸次上方に向けて延びるとともに、後端部に筐体を吊架して支持する支持フレームと、を備えている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の自転車サドルによれば、荷物が収容される筐体が、サドルポストに連結されている。このため、筐体をハンドルに支持させることなく、サドルポストに支持させることができる。これにより、筐体に収容する荷物の重量を増やした際のハンドルの操作性への影響を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係る自転車の外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<一実施形態>
以下、本発明の一実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
なお、実施形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
図1は、本発明の一実施形態に係る自転車1の外観図である。
【0010】
本実施形態の概要について説明する。
図1に示すように、自転車1は、特に荷物を搬送する際に用いられる自転車である。自転車1を使用するユーザは、例えば他人からの依頼に応じて荷物を搬送する際に、自転車1の筐体内に荷物を収容した状態で、自転車1を操縦する。
【0011】
図1に示すように、自転車1は、シートチューブ3を備えた自転車本体2と、シートチューブ3に固定されるサドル10(自転車サドル10)と、を備えている。
自転車本体2は、一般にロードバイクと呼ばれる構造をなしている。すなわち、自転車本体2は、主要な構成要素として、前輪4、後輪5、ハンドル6、およびこれらを連結する本体フレーム7を備えている。
なお、以下の説明において、自転車1の進行方向に沿って前後方向を定義し、自転車1の上下方向に沿って、上下方向を定義する。
【0012】
本体フレーム7の前後方向の中央部には、上下方向に延びるシートチューブ3が配置されている。シートチューブ3は、上方に向けて開口する筒状をなしている。
シートチューブ3には、サドル10をシートチューブ3に固定するクランプ8が設けられている。
【0013】
サドル10は、サドルポスト11と、サドル本体12と、支持フレーム13と、を備えている。
サドルポスト11は上下方向に延び、本体フレーム7のシートチューブ3に挿入されている。サドルポスト11をシートチューブ3に挿入した状態で、クランプ8を閉めることで、サドル10が本体フレーム7に固定される。
サドルポスト11の上端部には、ユーザが着座するサドル本体12が連結されている。
【0014】
図2は、
図1に示すサドル10の拡大図である。
図2に示すように、支持フレーム13は、サドルポスト11の上下方向の中間部に連結されている。支持フレーム13は、サドルポスト11から後方に向かうに従い漸次、上方に向けて延びている。本実施形態では、サドルポスト11と、支持フレーム13と、は一体に形成されている。
【0015】
支持フレーム13は、連結ビーム13aと、延伸ビーム13bと、支持ビーム13cと、を備えている。
連結ビーム13aは、前端部13dがサドルポスト11に、例えばアルゴン溶接により連結されている。連結ビーム13aは、サドルポスト11から方向に向けて延びている。
延伸ビーム13bは、連結ビーム13aの後端部から、後方に向かうに従い漸次、上方に向けて延びている。
支持ビーム13cは、延伸ビーム13bの後端部から、後方に向けてまっすぐ伸びている。
【0016】
支持フレーム13の後端に位置する支持ビーム13cの後端部13eには、筐体20が吊架されて支持されている。
筐体20は、弾性部材を有する支持部30を介して、支持フレーム13の端部に支持されている。
【0017】
図3は、
図1に示す筐体20の外観図である。
図3に示すように、筐体20は立方体状をなし、少なくとも一つの外面に、広告表示部21が形成されている。広告表示部21は、パネルモニターである。
【0018】
筐体20には、後方に向けて筐体20の内部を開口する扉22が形成されている。
扉22は、蝶番23を介して筐体本体20Aに連結されている。扉22と筐体本体20Aの外面のうち、蝶番23と反対側に位置する部分には、鍵付きのパッキン錠を設けてもよい。
【0019】
広告表示部21は、扉22の外面に配置されている。すなわち、広告表示部21は、筐体20の外面のうちの後面に配置されている。
広告表示部21は、例えば有機ELディスプレイであり、表示内容を任意に変更することができる。広告表示部21には、例えば自転車1を使用するユーザのスポンサーの広告が表示される。
【0020】
図4は、
図1に示す筐体20の断面図である。
筐体20は、合成樹脂材料の発泡成形により形成されている。筐体20の外面および内面は、FRP材(繊維強化プラスティック)により覆われている。FRP材としては、ガラスファイバーを含む材質を採用してもよい。
筐体20の内側には、保冷シートを張ることができる。これにより、筐体20に断熱性を具備させることができる。
【0021】
図4に示すように、筐体20の内部には、筐体20の内部を仕切る仕切り板24が配置されている。図示の例では、仕切り板24は、上下方向に間隔をあけて2枚配置されている。このため、仕切り板24は、筐体20の内部の空間を上下方向に3つの空間に区分けする。なお、仕切り板24の数量は任意に変更することができる。
仕切り板24に断熱性を具備する材質を採用することで、筐体20の内部において、仕切り板24により区分けされた空間同士の断熱性を具備させることができる。
【0022】
筐体本体20Aの上面には、支持部30が取り付けられる取り付け部25が形成されている。取り付け部25は、筐体本体20Aの上面の中央部に配置されている。このため、支持部30により筐体20が吊架された際に、筐体20の姿勢を崩れにくくすることができる。
【0023】
図5は、
図1に示す支持部30の分解斜視図である
図5に示すように、支持部30は、吊架部材31と、弾性部材としてのコイルばね32と、を具備する。
吊架部材31は、筐体20を吊架する部材である。本実施形態では、吊架部材31には、軸材が採用されている。吊架部材31の外面には雄ねじ部が形成され、ナットを介して、支持フレーム13の後端部13e、および筐体20の取り付け部25に固定されている。なお、吊架部材31は、軸材に代えてワイヤー等の線材を採用してもよい。
コイルばね32は、吊架部材31を囲むように配置されている。
【0024】
以上説明したように、本実施形態におけるサドル10によれば、荷物が収容される筐体20を支持する支持フレーム13が、サドルポスト11に連結されている。このため、筐体20をハンドル6に支持させることなく、サドルポスト11に支持させることができる。これにより、筐体20に収容する荷物の重量を増やした際のハンドル6の操作性への影響を抑えることができる。
【0025】
また、サドルポスト11と、支持フレーム13と、が一体に形成されている。このため、サドルポスト11および支持フレーム13を強固に連結することができる。
【0026】
また、筐体20が、弾性部材を有する支持部30を介して、支持フレーム13の端部に支持されている。このため、自転車1の走行に伴い筐体20に伝わる振動を、弾性部材により緩衝して、筐体20に伝わりにくくすることができる。
【0027】
また、支持部30が、筐体20を吊架する吊架部材31と、吊架部材31を囲むように配置されたコイルばね32と、を具備している。このため、吊架部材31により一定の剛性を確保しながら、コイルばね32により支持部30に弾性を具備させることができる。
【0028】
また、筐体20は立方体状をなし、少なくとも一つの外面に、広告表示部21が形成されている。このため、筐体20の外面に広告を表示することで、広告の宣伝を行いながら、荷物の搬送を行うことができる。
【0029】
また、広告表示部21がパネルモニターであるため、例えば夜間にパネルモニターを表示させることで、広告の宣伝を行いながら、後続車へ注意喚起のための点灯機能を発揮することができる。
【0030】
また、筐体20には、後方に向けて筐体20の内部を開口する扉22が形成されている。このため、筐体20の内部に収容したものが、自転車1の走行中に筐体20から落下するのを防ぐことができる。
【0031】
また、広告表示部21は、扉22の外面に配置されている。このため、扉22を筐体本体20Aから取り外すことで、広告表示具に表示させる広告を取り替えたり、広告表示部21であるパネルモニターを修理したりすることができる。
【0032】
また、筐体20は、合成樹脂材料の発泡成形により形成されている。このため、筐体20に一定の剛性を具備させながら、筐体20を軽量化することができる。
【0033】
また、筐体20の内部には、筐体20の内部を仕切る仕切り板24が配置されている。このため、仕切り板24により、筐体20の内部の空間を複数の領域に分けて使用することができ、筐体20の内部の空間を有効的に活用することができる。
【0034】
なお、上記実施形態では、自転車本体2がロードバイクである構成を示したが、自転車本体2は、シティサイクルやクロスバイク、又はマウンテンバイク等の各種の自転車であってもよい。
【0035】
また、上記実施形態では、筐体20が立方体状を呈している構成を示したが、筐体20は例えば直方体状であってもよい。
【0036】
また、上記実施形態では、筐体20を支持する支持部30が1つである構成を示したが、筐体20は複数の支持部30により支持フレーム13に支持されてもよい。
【0037】
また、上記実施形態では、サドルポスト11と支持フレーム13とが一体に形成された構成を示したが、サドルポスト11と支持フレーム13は別体に形成されてもよい。すなわち、一般的な自転車サドル10のサドルポスト11に対して、クランプ部材や締結具を用いて、支持フレーム13を固定することで、本発明の自転車サドル10を構成してもよい。
【0038】
また、支持部30が吊架部材31とコイルばね32とを具備する構成を示したが、支持部30の構造は任意に変更することができる。すなわち、支持部30が弾性部材であるコイルばね32を備えなくてもよい。
【0039】
また、筐体20の材質は一定の剛性および一定の軽量性を確保できる範囲で、任意に変更することができる。ここで、一定の剛性とは、自転車に一般的に求められる搬送重量を、筐体20の内部に収容した際に、筐体20にたわみ等の変形が起こらない程度の変形のしにくさを指す。また、一定の軽量性とは、筐体20自体の重量により、自転車1の操縦に支障が出ない程度の軽さを指す。
【0040】
また、筐体20の広告表示部21の位置や数量は、任意に変更することができる。例えば、広告表示部21を筐体20の両側面および後面にそれぞれ設けてもよい。
また、筐体20の扉22は、上方に向けて開口してもよい。
【0041】
また、筐体20の仕切り板24の形状および数量は、任意に変更することができる。例えば、筐体20の扉22が上方に向けて開口する場合には、仕切り板24は、筐体20の内部の空間を横方向に仕切る向きに配置されてもよい。
【0042】
以上、開示に係る実施形態について説明したが、これらはその他の様々な形態で実施することが可能であり、種々の省略、置換及び変更を行なって実施することが出来る。これらの実施形態及び変形例ならびに省略、置換及び変更を行なったものは、特許請求の範囲の技術的範囲とその均等の範囲に含まれる。
【0043】
以上の各実施形態で説明した事項を、以下に付記する。
【0044】
(付記1)
自転車1のシートチューブ3に挿入されるサドルポスト11と、
サドルポスト11に連結され、サドルポスト11から後方に向かうに従い、漸次上方に向けて延びるとともに、後端部13eに筐体20を吊架して支持する支持フレーム13と、を備えた自転車サドル10。
【0045】
(付記2)
サドルポスト11と、支持フレーム13と、は一体に形成されている、(付記1)に記載の自転車サドル10。
【0046】
(付記3)
支持フレーム13は、
弾性部材を有する支持部30を介して、筐体20を支持フレーム13の後端部13eに支持する、(付記1)又は(付記2)に記載の自転車サドル10。
【0047】
(付記4)
支持部30は、
筐体20を吊架する吊架部材31と、
吊架部材31を囲むように配置されたコイルばね32と、具備する、(付記3)に記載の自転車サドル10。
【0048】
(付記5)
筐体20は立方体状をなし、筐体20の外面のうち、少なくとも一つには、広告表示部21が形成されている、(付記1)から(付記4)のいずれかに記載の自転車サドル10。
【0049】
(付記6)
広告表示部21は、パネルモニターである、(付記5)に記載の自転車サドル10。
【0050】
(付記7)
筐体20には、後方に向けて筐体20の内部を開口する扉22が形成されている、(付記5)又は(付記6)に記載の自転車サドル10。
【0051】
(付記8)
広告表示部21は、扉22の外面に配置されている、(付記7)に記載の自転車サドル10。
【0052】
(付記9)
筐体20は、合成樹脂材料の発泡成形により形成されている、(付記1)から(付記8)のいずれかに記載の自転車サドル10。
【0053】
(付記10)
筐体20の内部には、筐体20の内部を仕切る仕切り板24が配置されている、(付記1)から(付記9)のいずれかに記載の自転車サドル10。
【0054】
(付記11)
(付記1)から(付記10)のいずれかに記載の自転車サドル10がシートチューブ3に挿入された自転車1。
【符号の説明】
【0055】
1 自転車
2 自転車本体
3 シートチューブ
4 前輪
5 後輪
6 ハンドル
7 本体フレーム
8 クランプ
10 サドル
11 サドルポスト
12 サドル本体12
13 支持フレーム
20 筐体
21 広告表示部
23 扉
24 蝶番
25 仕切り板
30 支持部
31 吊架部材
32 コイルばね