(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022085797
(43)【公開日】2022-06-08
(54)【発明の名称】遺言書作成システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/18 20120101AFI20220601BHJP
【FI】
G06Q50/18 320
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2020207119
(22)【出願日】2020-11-27
(71)【出願人】
【識別番号】520493452
【氏名又は名称】奈良 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】奈良 浩伸
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC32
(57)【要約】
【課題】ユーザ端末から戸籍、住所、財産情報を入力し、遺言者を指定し遺言条文を入力すると、相続人、遺贈者、相続割合(額)、遺留分割合(額)を自動で計算し、計算結果が随時、遺言書作成画面に表示すされることで画面の情報を確認しながら遺言書を作成できる遺言書作成システムを提供する。
【解決手段】ユーザが端末により遺言者を指定するとプログラムにより法定相続人を識別し、相続財産が計算され、これら情報を結合すると法定相続人の相続割合(額)、遺留分割合(額)が算出され、これらの結果はユーザの遺言書作成画面に表示され、ユーザが端末により遺言条文情報を入力すると必要に応じて前記結果は変動し、その変動結果を確認しながら遺言書の条文作成ができ、最終的に遺言書定型に基づき条文抽出、条数付記をして遺言書が作成できる機能とした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ端末により入力された戸籍、住所、財産情報を蓄積する個人情報データベースと、
ユーザ端末により遺言書を作成する被相続人の指定を行う遺言者指定部と、
前記個人情報データベースから遺言者に関連する戸籍情報を抽出する戸籍情報抽出部と、
抽出された戸籍情報から法定相続人を識別し法定相続人情報を作成する法定相続人識別部と、
で構成される遺言書作成システム。
【請求項2】
、
前記個人情報データベースから財産情報を抽出する財産情報抽出部と、
遺言者の相続財産の合計額を計算し相続財産情報を作成する相続財産計算部と、
前記法定相続人情報及び前記相続財産情報を基に各法定相続人の法定相続額、遺留分額を計算する法定相続額・遺留分額計算部と、
で構成する請求項1に記載される遺言書作成システム。
【請求項3】
前記ユーザ端末から入力された遺言書の条文情報を蓄積する条文情報データベースと、
法定相続人、法定相続額、遺留分額に影響を及ぼす影響条文情報を抽出する影響条文情報抽出部と、
前記法定相続額・遺留分計算部で作成された情報と前記影響条文情報に基づき相続人遺贈者一覧情報を作成する相続人遺贈者一覧情報作成部と、
前記相続人遺贈者一覧情報に基づき相続人遺贈者一覧表を作成する相続人遺贈者一覧表作成部と、
で構成する請求項1及び請求項2に記載される遺言書作成システム。
【請求項4】
前記相続人遺贈者一覧表の情報をユーザ端末に送信する一覧表送信部と、
ユーザ端末に送信された前記相続人遺贈者一覧表の情報をユーザ端末のディスプレイに表示する一覧表ディスプレイ表示部と、
前記遺条文情報を入力するための画面をユーザ端末のディスプレイに表示する条文入力画面ディスプレイ表示部と、
前記条文情報データベースから情報を抽出し遺言書条文を作成する遺言書条文作成部と
作成された前記遺言書条文をユーザ端末のディスプレイに表示する遺言書条文画面ディスプレイ表示部と、
で構成する請求項1から請求項3に記載される遺言書作成システム
【請求項5】
前記、遺言書条文作成部から遺言書の条文をあらかじめ定義した順番に基づき条文の並び替えを行う条文並替部と、
並び替えた順番どおりに条文に条項号の番号を付記する条項番号付記部と、
条項号番号を付記された条文を定型の遺言書に挿入させ遺言書を作成する遺言書作成部と、
で構成する請求項1から請求項4に記載される遺言書作成システム。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遺言書の作成システムに関する。
【背景技術】
【0003】
遺言書は、遺言者の意思を伝えるものであり、相続トラブルの回避において遺言書を作成しておくことは最も効果が大きく、相続人に大きな影響を与える非常に重要な書類であり間違いが許されないものであるため、専門的知識を有した士業に作成依頼することが多い。
【0004】
遺言書作成の依頼を受けた士業は、戸籍を収集し法定相続人を識別し、顧客から財産等の情報をヒアリングしながらテンプレートなどを利用して遺言書を作成するケースが多い。
【0005】
遺言書作成の依頼を受けた士業は、遺言書作成ソフトを利用して作成する場合もあり、既存の遺言書作成ソフトは、条文を選択し遺言情報を入力して遺言書を作成するものでテンプレートを利用するより効率的であり、方法としては事前に人が専門知識により相続人を識別し、相続割合・遺留分等を計算し、遺言内容を確定したうえで作成する。
【0006】
士業に遺言書作成を依頼せずに、自身で遺言書を作成するケースもあるが、専門的知識を有していないと、自筆遺言書が無効となったり、遺留分を侵害し相続トラブルが発生するなど、死亡後に問題が発生する場合がある。
【0007】
特許文献1では、相続財産の分割案を提示し遺言書作成の支援を行うものであり、専門的知識を有した人が被相続人の財産と法定相続人等を人的に識別して入力すると、遺留分の侵害などを考慮して最適な分割案を提示するものである。
【先行特許文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、テンプレートを利用する、あるいは遺言書作成システムを利用して遺言書を作成する場合、法定相続人の識別ミスや考慮漏れ、条文記載漏れ、遺留分計算ミスなどが発生する恐れがあり、専門家を介しても人的に遺言書を作成するには限界がある。
【0010】
従来の遺言書作成システムは事前人的に相続割合・遺留分等の計算をして相続人や受遺者を確定してから遺言書を作成するため、被相続人の意思の変化や相続財産の変化などが発生した場合、再度、人的に計算をやり直し遺言書を作成しなければならないため、計算ミスの発生の恐れや、労力的な負担が大きい。
【0011】
遺言書作成においては、複数の相続人や受遺者あるいは胎児認知、遺言認知、特別受益や相続欠格者、相続人排除などがからむと相続割合・相続金額又は遺留分額、遺留分侵害の計算が難しくなり、計算ミスが発生する恐れがある。
【0012】
遺言書の作成については、専門的な知識が必要なことから士業へ協力してもらうことが多いが、士業の知識によって遺言書の充実性、確実性に差が生じるとともに、人的な労力が過度であるため遺言書作成の費用が高額となる場合があり、多くの人が遺言書を作成しない理由のひとつとなっている。
【0013】
特許文献1では、専門的知識を有している者が人的に相続人を識別し手入力すると、システムにより遺留分の侵害などを考慮して最適な分割案をユーザに提示し遺言書作成の支援をするものであるが、法定相続人の識別や、遺言書条文作成によって変化する相続人等に対応が出来ないため、結果的に、法定相続人の識別ミスや考慮漏れ、条文記載漏れ、遺留分計算ミスなどが発生する恐れがある。
【0014】
本発明は、上述した事情に鑑み、法定相続人識別、相続・遺留分の計算においてミスが無いようにシステムが自動で行い労力的な負担も軽減し、遺言書作成者が端末入力画面で確認しながら、条文の漏れが無いように自分に適した条文を選択しながら入力すると、相続人識別及び相続・遺留分の再計算を随時行い、条文の追加・変更・削除により変更される法定相続人や各相続人の法定相続額・遺留分額、相続累計額、遺留分侵害額等の計算結果を常に画面で確認しながら、効率よく遺言書を作成できる遺言書作成システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
請求項1の発明は、遺言者の法定相続人を自動で識別できるものであり、
ユーザ端末により入力された戸籍、住所、財産情報を蓄積する個人情報データベースと、
ユーザ端末により遺言書を作成する被相続人の指定を行う遺言者指定部と、前記個人情報データベースから遺言者に関連する戸籍情報を抽出する戸籍情報抽出部と、抽出された戸籍情報から法定相続人を識別し法定相続人情報を作成する法定相続人識別部とで構成される遺言書作成システムである。
【0016】
請求項2の発明は、各相続人の法定相続額及び遺留分額を自動で計算できるものであり、
前記個人情報データベースから財産情報を抽出する財産情報抽出部と、遺言者の相続財産の合計額を計算し相続財産情報を作成する相続財産計算部と、前記法定相続人情報及び前記相続財産情報を基に各法定相続人の法定相続額、遺留分額を計算する法定相続額・遺留分額計算部とで構成する請求項1に記載される遺言書作成システムである。
【0017】
請求項3の発明は、遺言書の条文内容によって影響の受ける法定相続額・遺留分額及び相続・遺贈累計額、遺留分侵害額について条文を入力するたびに自動計算するものであり、
前記ユーザ端末から入力された遺言書の条文情報を蓄積する条文情報データベースと、
法定相続人、法定相続額、遺留分額に影響を及ぼす影響条文情報を抽出する影響条文情報抽出部と、前記法定相続額・遺留分計算部で作成された情報と前記影響条文情報に基づき相続人遺贈者一覧情報を作成する相続人遺贈者一覧情報作成部と、前記相続人遺贈者一覧情報に基づき相続人遺贈者一覧表を作成する相続人遺贈者一覧表作成部とで構成する請求項1及び請求項2に記載される遺言書作成システムである。
【0018】
請求項4の発明は、条文を入力するたびに変動する法定相続額・遺留分額及び相続・遺贈累計額、遺留分侵害額について画面で確認しながら遺言書の条文を作成できるものであり、
前記相続人遺贈者一覧表の情報をユーザ端末に送信する一覧表送信部と、ユーザ端末に送信された前記相続人遺贈者一覧表の情報をユーザ端末のディスプレイに表示する一覧表ディスプレイ表示部と、前記遺条文情報を入力するための画面をユーザ端末のディスプレイに表示する条文入力画面ディスプレイ表示部と、前記条文情報データベースから情報を抽出し遺言書条文を作成する遺言書条文作成部と作成された前記遺言書条文をユーザ端末のディスプレイに表示する遺言書条文画面ディスプレイ表示部とで構成する請求項1から請求項3に記載される遺言書作成システムである。
【0019】
請求項5の発明は、条文を入力すると遺言書が自動で作成できるものであり、
前記、遺言書条文作成部から遺言書の条文をあらかじめ定義した順番に基づき条文の並び替えを行う条文並替部と、並び替えた順番どおりに条文に条項号の番号を付記する条項番号付記部と、条項号番号を付記された条文を定型の遺言書に挿入させ遺言書を作成する遺言書作成部とで構成する請求項1から請求項4に記載される遺言書作成システムである。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、相続において重要であるにもかかわらず敬遠されている遺言書の作成において、人的な能力では限界のあるミスや漏れを無くすとともに、作成者の過大であった労力の負担を大きく軽減でき、情報を入力すれば自動で遺言書を作成できることから、多少の知識のある者が自分自身で作成することも可能であり、また、専門家に依頼しても安価に作成することが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図2】ユーザ端末から入力される相続情報の説明図である。
【
図3】法定相続人識別部のアルゴリズム説明図である。
【
図5】法定相続額・遺留分額計算部のアルゴリズム説明図である。
【
図6】相続人等一覧作成計算部と遺言書条文作成部の関係説明図である。
【
図7】相続人等一覧情報のディスプレイ表示説明図である。
【
図8】遺言条文並替部・条項番号付記部・遺言書作成部の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。
図1は、ユーザ端末(1)から戸籍情報(10)、住所情報(20)、財産情報(30)を入力すると個人情報データベース(40)に情報が蓄積され、ユーザ端末(1)から遺言者指定(3)を行うと、戸籍情報抽出部(110)により指定された遺言者に関わる戸籍情報が抽出され法定相続人識別部(200)に送信されると遺言者の法定相続人が識別され法定相続人情報が作成され、
同時に財産情報抽出部(130)により指定された遺言者に関わる財産情報が抽出され相続財産計算部(300)に送信されると遺言者の相続財産が計算され相続財産情報が作成され、
法定相続人情報、及び相続財産情報は、法定相続額・遺留分額計算部(400)に送信され、
各法定相続人の相続額、遺留分額が計算され、
この計算結果は、相続人・遺贈者一覧作成部(500)に送信されて相続人・遺贈者一覧情報が作成され、
相続人・遺贈者一覧表作成部(600)に作成された情報が送信されると、ユーザ端末(1)のディスプレイに相続人・遺贈者一覧表が表示され
遺言書条文作成部(600)には、住所情報抽出部(120)で抽出された情報が送信されており、
ユーザ端末のディスプレイで相続人・遺贈者板井蘭表を確認しながらユーザー端末から、遺言書条文作成部(600)の入力画面により条文情報を入力すると、条文情報データベース(60)に条文情報が送信蓄積されるとともに、
相続人・遺贈者一覧表に影響する条文を適用入力したときは、影響条文抽出部(1100)が情報を相続人・遺贈者一覧作成部(500)に送信し、相続人一覧情報作成部は送信された情報に基づき再度計算を行い、変更された情報を相続人・遺贈者一覧表作成部に送信することから、変更された内容をユーザ端末のディスプレイで確認しながら、条文を入力することが可能となり、
遺言書条文作成部(600)においては条文情報データベース(60)から条文情報を抽出して条文を作成し、
作成された条文は、遺言条文並替部(700)において並び替えが行われ、
並び替えられた条文は条項番号付記部(800)で条項に番号が付記され、遺言書作成部(1000)に情報が送信され
財産目録作成部(900)は財産情報抽出部(130)がら財産情報を抽出して財産目録を作成し遺言書作成部(1000)に情報が送信され、
最終的に遺言書作成部(1000)で財産目録と合わせた遺言書が作成される。
【0023】
図2は、ユーザ端末(1)から遺言書作成前に入力する情報の内容であり、入力する情報は、戸籍情報(10)、住所情報(20)、財産情報(30)で、入力された情報は個人情報データベース(40)に蓄積される。
【0024】
図3は、情報抽出部(100)により指定された遺言者に関わる戸籍情報が抽出され法定相続人識別部(200)に送信されると遺言者の法定相続人が識別され法定相続人情報を作成するが、戸籍情報から法定相続人を識別するためのアルゴリズム例であり、このアルゴリズムにより作成された法定相続人情報は、法定相続額・遺留分額計算部(400)へ送信される。
【0025】
図4は、財産情報抽出部(130)により指定された遺言者に関わる財産情報が抽出され相続財産計算部(300)に送信されると遺言者の相続財産が計算され相続財産情報を作成するが、相続財産計算部(300)では遺言者のプラスの財産とマイナスの財産(負債)を合計した情報を相続財産情報として相続割合・遺留分等計算部へ送信される。
【0026】
図5は、法定相続人識別部(200)から送信される法定相続人情報と相続財産計算部(300)から送信される相続財産情報を受信する法定相続額・遺留分額計算部(400)のアルゴリズム例であり、このアルゴリズムにより作成された法定相続額・遺留分額情報は、相続人・遺贈者一覧情報作成部(500)に送信される。
【0027】
図6は、影響条文抽出部が相続人、遺贈者、相続額、遺留分額などに影響のある条文を抽出したときは、条文情報(501~506)により相続人・遺贈差一覧情報作成部が再計算を行うアルゴリズム例であり、相続人・遺贈者一覧表(520)はユーザ端末のディスプレイに表示され、ユーザは再計算により変更される相続人・遺贈者一覧表(52)を確認しながら条文を適用入力することができる。
【0028】
図7は、遺言書条文作成部(600)から条文情報(50)を受信する遺言条文並替部(700)において、(701)のようにあらかじめ定義した順番で条文が並び替えされ、並び替えされた条文情報(50)は、条文番号付記部(800)により順番通りに条文番号が付記され、条文番号が付記された条文情報(50)は、遺言書作成部(1000)に送信され、同時に財産情報(30)により財産目録作成部(900)で作成された財産目録情報も遺言書作成部(1000)に送信され、遺言書作成部(1000)は、条文情報(50)及び財産目録情報を公正証書遺言書、秘密証書遺言書、自筆遺言書(見本)の定型文に差し込み遺言書を完成させる。
【符号の説明】
【0029】
1 ユーザ端末
10 戸籍情報
20 財産情報
30 遺言情報
40 個人情報データベース
50 条文情報
60 条文情報データベース
70 財産目録情報
100 情報抽出部
110 戸籍情報抽出部
120 住所商法抽出部
130 財産情報抽出部
200 法定相続人識別部
300 相続財産計算部
400 法定相続額・遺留分額計算部
500 相続人・遺贈者一覧情報作成部
600 遺言書条文作成部
700 遺言書条文並替部
800 条項番号付記部
900 財産目録作成部
1000 遺言書作成部
1100 影響条文抽出部
【手続補正書】
【提出日】2021-01-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0021】
【
図2】ユーザ端末から入力される相続情報の説明図である。
【
図3】法定相続人識別部のアルゴリズム説明図である。
【
図5】法定相続額・遺留分額計算部のアルゴリズム説明図である。
【
図6】相続人等一覧作成計算部と遺言書条文作成部の関係説明図である。
【
図7】相続人等一覧情報のディスプレイ表示説明図である。