(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022085819
(43)【公開日】2022-06-08
(54)【発明の名称】積層型キャパシター
(51)【国際特許分類】
H01G 4/30 20060101AFI20220601BHJP
【FI】
H01G4/30 201F
H01G4/30 201G
H01G4/30 201K
H01G4/30 201L
H01G4/30 513
H01G4/30 512
H01G4/30 515
H01G4/30 516
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021077228
(22)【出願日】2021-04-30
(31)【優先権主張番号】10-2020-0162564
(32)【優先日】2020-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】リー、ジャン イェオル
(72)【発明者】
【氏名】バン、ヒエ ミン
(72)【発明者】
【氏名】ジュン、ホ フィル
(72)【発明者】
【氏名】チョ、スン ミン
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AF06
5E082AA01
5E082AB03
5E082EE01
5E082FF05
5E082FG26
5E082GG10
5E082GG11
5E082GG12
(57)【要約】
【課題】積層型キャパシターを提供する。
【解決手段】
本発明の一実施形態は、複数の誘電体層が積層された積層構造、上記誘電体層を挟んで積層された複数の内部電極を含む本体と、上記本体の外部に形成され、上記内部電極と接続され、上記本体で上記内部電極が露出した第1面に配置された第1電極層、及び上記第1電極層をカバーする第2電極層を含む外部電極と、上記第1及び第2電極層の間に配置され、不連続領域を有する第1絶縁コーティング層と、上記本体で外部電極が配置されていない表面のうち一部をカバーするように不連続領域を有する第2絶縁コーティング層とを含む積層型キャパシターを提供する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の誘電体層が積層された積層構造、前記複数の誘電体層を挟んで積層された複数の内部電極を含む本体と、
前記本体の外部に形成され、前記複数の内部電極と接続され、前記本体で前記複数の内部電極が露出した第1面に配置された第1電極層、及び前記第1電極層をカバーする第2電極層を含む外部電極と、
前記第1及び第2電極層の間に配置され、不連続領域を有する第1絶縁コーティング層と、
前記本体で前記外部電極が配置されていない表面のうち一部をカバーするように不連続領域を有する第2絶縁コーティング層と、
を備える、積層型キャパシター。
【請求項2】
前記第1絶縁コーティング層は多数の凝集体を含み、前記多数の凝集体間領域は前記不連続領域に該当する、請求項1に記載の積層型キャパシター。
【請求項3】
前記第1電極層の表面には溝が形成され、前記第1絶縁コーティング層は前記第1電極層の溝を充填する、請求項1または2に記載の積層型キャパシター。
【請求項4】
前記第1絶縁コーティング層における前記第1電極層の溝を充填する領域は、前記第1電極層の溝の内壁をコーティングする、請求項2または3に記載の積層型キャパシター。
【請求項5】
前記第1電極層は焼成電極であり、
前記第2電極層はメッキ層である、請求項1から4のいずれか一項に記載の積層型キャパシター。
【請求項6】
前記本体の表面には溝が形成されており、前記第2絶縁コーティング層は前記溝を充填する形態である、請求項1から5のいずれか一項に記載の積層型キャパシター。
【請求項7】
前記第2絶縁コーティング層における前記本体の溝を充填する領域は、前記本体の溝の内壁をコーティングする、請求項6に記載の積層型キャパシター。
【請求項8】
前記第1及び第2絶縁コーティング層は、互いに連結されている、請求項1から7のいずれか一項に記載の積層型キャパシター。
【請求項9】
前記第1及び第2絶縁コーティング層は、互いに同一の物質を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の積層型キャパシター。
【請求項10】
前記第2電極層は、前記第2絶縁コーティング層の一部をカバーする、請求項1から9のいずれか一項に記載の積層型キャパシター。
【請求項11】
前記第1及び第2絶縁コーティング層は、Si系及びF系高分子重合体のうち少なくとも一つを含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の積層型キャパシター。
【請求項12】
前記第1絶縁コーティング層において前記不連続領域が占める面積は、90%より大きい、請求項1から11のいずれか一項に記載の積層型キャパシター。
【請求項13】
前記第2絶縁コーティング層において前記不連続領域が占める面積は、70%より大きい、請求項1から12のいずれか一項に記載の積層型キャパシター。
【請求項14】
前記第1絶縁コーティング層の厚さは、2μm以下である、請求項1から13のいずれか一項に記載の積層型キャパシター。
【請求項15】
前記第2絶縁コーティング層の厚さは、2μm以下である、請求項1から14のいずれか一項に記載の積層型キャパシター。
【請求項16】
前記第1絶縁コーティング層の不連続領域には、前記第2電極層が充填された、請求項1から15のいずれか一項に記載の積層型キャパシター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型キャパシターに関する。
【背景技術】
【0002】
キャパシターは、電気を貯蔵することができる素子であって、一般的に2つの電極を対向させて電圧をかけると各電極に電気が蓄積される原理を利用する。直流電圧を印加した場合には、電気が蓄電されながらキャパシター内部に電流が流れるが、蓄積が完了すると、電流が流れなくなる。一方、交流電圧を印加した場合、電極の極性が反転しながら交流電流が流れるようになる。
【0003】
かかるキャパシターは、電極の間に備えられる絶縁体の種類によって、アルミニウムで電極を構成し、上記アルミニウム電極の間に薄い酸化膜を備えるアルミニウム電解キャパシター、電極材料としてタンタルを用いるタンタルキャパシター、電極の間にチタン酸バリウムなどの高誘電率の誘電体を用いるセラミックキャパシター、電極の間に備えられる誘電体として高誘電率系セラミックを多層構造で用いる積層セラミックキャパシター(Multi-Layer Ceramic Capacitor、MLCC)、電極の間の誘電体としてポリスチレンフィルムを用いるフィルムキャパシターなど、様々な種類に区分され得る。
【0004】
中でも、積層セラミックキャパシターは、温度特性及び周波数特性に優れており、小型で実現可能であるという長所を有することから、近年、高周波回路などの様々な分野で多く応用されている。近年、積層セラミックキャパシターをさらに小さく実現するために、誘電体層と内部電極を薄く形成する試みが続けられている。
【0005】
最近、積層型キャパシターの関連分野では、水分やメッキ液などの浸透による不良を減らして耐湿信頼性を向上させようとする試みが多く行われている。一つの方法として、キャパシター本体のカバー層や外部電極を厚く形成する場合、部品の大きさが大きくなり、同一の大きさで静電容量が低下するという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の一目的は、耐湿信頼性が向上した積層型キャパシターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題を解決するための方法であって、本発明は、一例によって積層型キャパシターの新たな構造を提案する。具体的に、複数の誘電体層が積層された積層構造、上記誘電体層を挟んで積層された複数の内部電極を含む本体と、上記本体の外部に形成され、上記内部電極と接続され、上記本体で上記内部電極が露出した第1面に配置された第1電極層、及び上記第1電極層をカバーする第2電極層を含む外部電極と、上記第1及び第2電極層の間に配置され、不連続領域を有する第1絶縁コーティング層と、上記本体で外部電極が配置されていない表面のうち一部をカバーするように不連続領域を有する第2絶縁コーティング層とを含む。
【0008】
一実施形態において、上記第1絶縁コーティング層は多数の凝集体を含み、上記多数の凝集体間領域は上記不連続領域に該当することができる。
【0009】
一実施形態において、上記第1電極層の表面には溝が形成され、上記第1絶縁コーティング層は上記第1電極層の溝を充填することができる。
【0010】
一実施形態において、上記第1絶縁コーティング層における上記第1電極層の溝を充填する領域は、上記第1電極層の溝の内壁をコーティングすることができる。
【0011】
一実施形態において、上記第1電極層は焼成電極であり、上記第2電極層はメッキ層であることができる。
【0012】
一実施形態において、上記本体表面には溝が形成されており、上記第2絶縁コーティング層は上記溝を充填する形態であることができる。
【0013】
一実施形態において、上記第2絶縁コーティング層における上記本体の溝を充填する領域は、上記本体の溝の内壁をコーティングすることができる。
【0014】
一実施形態において、上記第1及び第2絶縁コーティング層は、互いに連結されていることができる。
【0015】
一実施形態において、上記第1及び第2絶縁コーティング層は、互いに同一の物質を含むことができる。
【0016】
一実施形態において、上記第2電極層は、上記第2絶縁コーティング層の一部をカバーすることができる。
【0017】
一実施形態において、上記第1及び第2絶縁コーティング層は、Si系及びF系高分子重合体のうち少なくとも一つを含むことができる。
【0018】
一実施形態において、上記第1絶縁コーティング層において上記第1不連続領域が占める面積は、90%より大きいことができる。
【0019】
一実施形態において、上記第2絶縁コーティング層において上記第2不連続領域が占める面積は70%より大きいことができる。
【0020】
一実施形態において、上記第1絶縁コーティング層の厚さは、2μm以下であることができる。
【0021】
一実施形態において、上記第2絶縁コーティング層の厚さは、2μm以下であることができる。
【0022】
一実施形態において、上記第1絶縁コーティング層の不連続領域には、上記第2電極層が充填されることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の一例による積層型キャパシターの場合、耐湿信頼性が向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の一実施形態による積層型キャパシターの外観を概略的に示す斜視図である。
【
図2】
図1の積層型キャパシターにおいて、I-I'断面図である。
【
図3】
図1の積層型キャパシターにおいて、II-II'断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、具体的な実施形態及び添付された図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。しかし、本発明の実施形態は、いくつかの他の形態に変形することができ、本発明の範囲が以下で説明する実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態は、通常の技術者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(又は強調表示や簡略化表示)がされることがあり、図面上の同一の符号で示される要素は同一の要素である。
【0026】
尚、図面において本発明を明確に説明するために説明と関係ない部分は省略し、複数の層及び領域を明確に表現するために厚さを拡大して示しており、同一の思想の範囲内の機能が同一の構成要素は、同一の参照符号を用いて説明する。さらに、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」というのは、特に反対される記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0027】
図1は本発明の一実施形態による積層型キャパシターの外観を概略的に示す斜視図である。
図2及び
図3は
図1の積層型キャパシターにおいて、それぞれI-I'及びII-II'断面図である。そして、
図4から
図8は
図2の一部領域を拡大して示すものである。
【0028】
図1から
図3を共に参照すると、本発明の一実施形態による積層型キャパシター100は、誘電体層111及びこれを挟んで積層された複数の内部電極121、122を含む本体110と、外部電極131、132と、第1及び第2絶縁コーティング層151、152とを含む。ここで、第1及び第2絶縁コーティング層151、152は、外部から湿気やメッキ液などの侵入を防止することができる。第1絶縁コーティング層151は第1不連続領域D1を有し、第2絶縁コーティング層152は第2不連続領域D2を有する。
【0029】
本体110は、複数の誘電体層111を含み、例えば、複数のグリーンシートを積層した後、焼結して得られることができる。かかる焼結工程により複数の誘電体層111は一体化した形態を有することができる。そして、
図1に示す形態のように、本体110は直方体と類似の形状を有することができる。本体110に含まれた誘電体層111は高誘電率を有するセラミック材料を含むことができ、例えばBT系、即ち、チタン酸バリウム(BaTiO
3)系セラミックを含むことができるが、十分な静電容量が得られる限り、当技術分野で知られた他の物質も使用可能である。誘電体層111には、主成分であるかかるセラミック材料と共に、必要な場合、添加剤、有機溶剤、可塑剤、結合剤及び分散剤などがさらに含まれることができる。ここで、添加剤の場合、これらは製造過程で金属酸化物の形態で添加されることができる。かかる金属酸化物添加剤の例として、MnO
2、Dy
2O
3、BaO、MgO、Al
2O
3、SiO
2、Cr
2O
3及びCaCO
3のうち少なくともいずれか一つの物質を含むことができる。
【0030】
複数の内部電極121、122は、セラミックグリーンシートの一面に所定の厚さで導電性金属を含むペーストを印刷した後、これを焼結して得られることができる。この場合、複数の内部電極121、122は、本体110の互いに対向する方向(図面を基準としてZ方向)に露出した第1及び第2内部電極121、122を含むことができ、本体110で第1及び第2内部電極121、122が露出した面を第1面S1と定義する。第1及び第2内部電極121、122は、互いに異なる外部電極131、132と連結されて、駆動時に互いに異なる極性を有することができ、これらの間に配置された誘電体層111によって互いに電気的に分離されることができる。但し、外部電極131、132の個数や内部電極121、122との連結方式は、実施形態によって変わることができる。内部電極121、122をなす主要構成物質は、Cu、Niなどが例として挙げられ、これらの合金も使用することができる。
【0031】
外部電極131、132は、本体110の外部に形成され、第1及び第2内部電極121、122とそれぞれ接続された第1及び第2外部電極131、132を含むことができる。外部電極131、132は第1電極層141、第2電極層142を含む。
【0032】
第1電極層141は、本体110の第1面S1に配置され、ここで、第1面S1は内部電極121、122が露出した面に該当する。第1電極層141は内部電極121、122と接続され、導電性物質、例えば、Cu、Niやこれらの合金で形成されることができる。第1電極層141は、本体110の第1面S1に導電性ペーストを転写するか、プリンティング或いはデイッピングする方式などで形成されることができる。これにより、第1電極層141は、焼成電極形態で実現されることができる。この場合、第1電極層141は、本体110の第1面S1の他に内部電極121、122の積層方向(X方向)に垂直な第2面S2、S3、そして第1面S1及び第2面S2に垂直な第3面S3に全て形成されることができる。但し、実施形態によっては、第1電極141は、本体110の第1面S1のみに形成されることもできる。第2電極層142は、第1電極層141をカバーし、メッキ層であることができる。第2電極層142は、Ni、Snなどを含む多層構造で実現されることができる。
【0033】
第1絶縁コーティング層151は、第1及び第2電極層141、142の間に配置され、
図4に示す形態のように第1不連続領域D1を有する。第1絶縁コーティング層151は、メッキ液などが第1電極層141を経て本体110に浸透することを効果的に遮断することができる。この場合、第1絶縁コーティング層151は、第1電極層141が切れた部分、例えば、第1電極141の表面溝などを充填して、第2電極層152が本体110の内部に浸透することを防止し、構造的に緻密かつ安定して形成可能にする。かかる機能を考慮して、本実施形態では比較的薄く均一にコーティングされることができる絶縁物質、例えば、撥水材質で第1絶縁コーティング層151を実現して、外部電極131、132の大きさを小さく維持しながらも耐湿遮断特性を向上させようとした。かかる機能を考慮して第1絶縁コーティング層151を構成する物質を選択することが好ましく、例えば、第1絶縁コーティング層151は、Si系及びF系高分子重合体のうち少なくとも一つを含むことができる。
【0034】
第1絶縁コーティング層151の場合、第1不連続領域D1を含むが、そのうち少なくとも一部は第1及び第2電極層141、142のうち少なくとも一つが充填され、第1及び第2電極層141、142は互いに連結されることができる。ここで、第1電極層141を焼成した後、第1絶縁コーティング層151と第2電極層142を形成する場合は、
図2に示す形態のように、第1不連続領域D1には第2電極層142が充填されることができる。かかる第1不連続領域Dによって第1及び第2電極層141、142の電気連結経路が形成されることができる。第1絶縁コーティング層151の第1不連続領域Dは、第1絶縁コーティング層151を形成した後、これを研磨するかエッチングする方法などにより、一部を除去して得られることができる。第1絶縁コーティング層151の具体的な形態の一例として、
図4に示す形態のように、第1絶縁コーティング層151は多数の凝集体Aを含むことができ、かかる多数の凝集体A間領域は上記不連続領域に該当する。
【0035】
図5及び
図6に示す形態のように、第1絶縁コーティング層151は、第1電極層141の表面に形成された溝を充填することができ、第1電極層141の欠陥などを通じて水分やメッキ液が浸透することを効果的に防止することができる。この場合、第1絶縁コーティング層151において第1電極層141の溝を充填する領域は、第1電極層141の溝の内壁をコーティングする形状(
図5及び
図6で上部2つ)であってよく、第1電極層141の溝を完全に満たす形状(
図5及び
図6で下部1つ)であってもよい。図示の形態のように、第1絶縁コーティング層151の多様な形状は混用されることができ、また、第1電極層141の溝を完全に満たす必要はない。本実施形態では、第1絶縁コーティング層151に第1不連続領域D1を形成して、第1及び第2電極層141、142の電気接続経路を確保し、第2電極層142が緻密かつ安定して形成できるようにした。これにより、第2電極層142をメッキ層で実現する場合、メッキ不良が低減することができる。第1絶縁コーティング層151を研磨やエッチングで除去する場合、
図6の実施形態のように、第1電極層141の溝を充填する領域の他に残りの領域を全て除去することができる。また、第1絶縁コーティング層151において第1不連続領域D1が占める面積は、第1不連続領域D1のかかる機能を考慮して決められ、好ましくは、第1絶縁コーティング層151において第1不連続領域D1が占める面積は90%より大きいことができる。また、第1絶縁コーティング層151の厚さは、2μm以下であることができるが、第1絶縁コーティング層151が厚くなり過ぎる場合、第2電極層142の形成に妨害になる恐れがあり、外部電極131、132の電気的特性が低下し得る。第1絶縁コーティング層151の厚さは例えば、最も厚い領域を基準として測定されることができる。
【0036】
第2絶縁コーティング層152は、本体110で外部電極131、132が配置されていない表面のうち少なくとも一部をカバーし、本実施形態の場合、第2絶縁コーティング層152は、本体110の第2面S2と第3面S3をカバーする。但し、第2絶縁コーティング層152は、第1面S2と第3面S3のいずれか一つのみをカバーしてもよい。
図2に示す形態のように、第1及び第2絶縁コーティング層151、152は互いに連結されていることができる。また、第1及び第2絶縁コーティング層151、152は、互いに同一の物質を含むことができ、例えば、第2絶縁コーティング層152は、Si系及びF系高分子重合体のうち少なくとも一つを含むことができる。第1及び第2絶縁コーティング層151、152はそれぞれ、第1電極層141と本体110をカバーするように同時に同一の物質で形成されることができる。第1及び第2絶縁コーティング層152を形成した後、第2電極層142を形成する場合、図示の形態のように、第2電極層142は第2絶縁コーティング層152の一部をカバーすることができる。
【0037】
第2絶縁コーティング層152は第2不連続領域D2を含み、第1絶縁コーティング層151と同様に第2絶縁コーティング層152を研磨するかエッチングする方法などで第2不連続領域D2を形成することができる。本発明の発明者らは、第2絶縁コーティング層152が本体110の表面を多くカバーするほど耐湿信頼性の側面からは有利であるが、積層型キャパシター100を基板などに実装する際に実装ずれの問題が起こることを発見した。これは、第2絶縁コーティング層152が撥水材質の場合、外部接触物質との帯電現象により静電気が容易に誘導されて実装時に部品にずれが生じるものといえる。また、第2電極層142の周辺に第2絶縁コーティング層152が多量で存在する場合、積層型キャパシター100の実装時にソルダーと第2絶縁コーティング層152はウエッティング(wetting)が少なく起こるため、リフロー(reflow)不良が生じることもある。かかる副効果を低減するために第2絶縁コーティング層152に第2不連続領域D2を形成し、この場合、第2不連続領域D2が占める割合は70%より大きいことができる。第1不連続領域D1と第2不連続領域D2の機能が異なるため、これらの割合も互いに異なることができ、第1不連続領域D1の相対的な割合がさらに高いことができる。
【0038】
図7及び
図8に示す形態のように、第2絶縁コーティング層152は、本体110の表面に形成された溝を充填することができ、本体110の欠陥などを通じて水分やメッキ液が浸透することを効果的に防止することができる。この場合、第2絶縁コーティング層152における本体110の溝を充填する領域は、本体110の溝の内壁をコーティングする形状(
図6及び
図7で左側2つ)であってよく、本体110の溝を完全に満たす形状(
図6及び
図7で右側1つ)であってもよい。図示の形態のように、第2絶縁コーティング層152の多様な形状は混用されることができ、また、本体110の溝を完全に満たす必要はない。
【0039】
上述したように、第2絶縁コーティング層151に第2不連続領域D2を形成して部品の実装不良を低減することができる。第2絶縁コーティング層152を研磨やエッチングで除去する場合、
図8の実施形態のように、本体110の溝を充填する領域の他に残りの領域を全て除去することができる。また、第1絶縁コーティング層151と同様に、第2絶縁コーティング層151の厚さは2μm以下であることができるが、第2絶縁コーティング層152が厚くなり過ぎる場合、実装不良が増加する傾向を示すおそれがある。第2絶縁コーティング層152の厚さは例えば、最も厚い領域を基準として測定されることができる。
【0040】
以下では、本発明の上述した実施形態の効果を実験した結果を説明する。下記の表1のように、第1及び第2絶縁コーティング層の不連続領域の割合、コーティング種類、コーティング厚さを異ならせて、メッキ不良、実装不良、高温加速寿命テストを進行した。ここで、メッキ不良有無は、サンプルの断面において一定間隔で選択された地点を検査して、メッキ層が切られているか否かを観察した(25個のサンプル)。実装不良は、部品を基板に実装する場合に半田付けに不良が発生するか否かを観察するために二次相が生じたか否かを基準として判別した(400個のサンプル)。高温加速寿命実験(HALT)は、耐電圧特性などのように、積層型キャパシターの信頼性を測定するためのものであり、80個のサンプルに対して進行した。
【0041】
【0042】
上記の実験結果から分かるように、絶縁コーティング層を形成していない場合、メッキや実装不良はなかったが、耐電圧特性が悪く(高温加速実験不良率の増加)、これは、電極層と本体の欠陥などを通じて水分やメッキ液が浸透したものと理解される。また、絶縁コーティング層に不連続領域を形成していない場合(0%)、メッキ不良率が非常に高く、実装不良率も高く表れた。第1不連続領域が存在するがその割合は低い場合も、メッキが切られることによるメッキ不良率が高くなることを確認し、第1不連続領域の割合が90より大きい場合、安定してメッキ層が実現されることができた。但し、絶縁コーティング層が厚くなる場合(2.0μm超)は、メッキ層の形成に制約が生じ、メッキ不良が一部生じることが確認できた。第2不連続領域の割合が低い場合は、実装不良が一部発生し、70%より大きい場合は、実装不良が起きないことを確認した。
【0043】
本発明は、上述した実施形態及び添付の図面によって限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって限定される。従って、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で様々な形態の置換、変形及び変更が可能であるということは当技術分野の通常の知識を有する者には自明なことであり、これも添付の特許請求の範囲に記載された技術的思想に属するといえる。
【符号の説明】
【0044】
100:積層型キャパシター
110:本体
111:誘電体層
121、122:内部電極
131、132:外部電極
141:第1電極層
142:第2電極層
151:第1絶縁コーティング層
152:第2絶縁コーティング層