(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022085843
(43)【公開日】2022-06-08
(54)【発明の名称】バランスの間隙調整の固定用デバイス
(51)【国際特許分類】
G04B 35/00 20060101AFI20220601BHJP
G04B 29/02 20060101ALI20220601BHJP
【FI】
G04B35/00 Z
G04B29/02 A
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021147472
(22)【出願日】2021-09-10
(31)【優先権主張番号】20210242.2
(32)【優先日】2020-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】591048416
【氏名又は名称】ウーテーアー・エス・アー・マニファクチュール・オロロジェール・スイス
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】ジュリアン・サグリーニ
(72)【発明者】
【氏名】ラファエル・クルヴォワジエ
(57)【要約】
【課題】 バランスの間隙を調整するための固定用デバイスを提供する。
【解決手段】 本発明は、バランス(200)の間隙を調整するための固定用デバイス(100)に関する。この少なくとも1つの固定用デバイス(100)は、少なくとも1つのスタッドホルダー(110)、少なくとも1つの支持体(120)、少なくとも1つの支持メンバー(130)及び少なくとも1つの保持メンバー(140)を備える。前記少なくとも1つの支持体(120)は、前記少なくとも1つのスタッドホルダー(110)に対して動いて、前記バランス(200)の前記間隙の調整を固定するように構成している。前記少なくとも1つの支持メンバー(130)は、前記少なくとも1つの保持メンバー(140)によって保持される前に前記少なくとも1つの支持体(120)を少なくとも1つのスタッドホルダー(110)に対して押すように構成している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バランス(200)の間隙を調整するための少なくとも1つの固定用デバイス(100)であって、
前記固定用デバイス(100)は、少なくとも1つのスタッドホルダー(110)、少なくとも1つの支持体(120)、少なくとも1つの支持メンバー(130)及び少なくとも1つの保持メンバー(140)を備え、
前記少なくとも1つの支持体(120)は、前記少なくとも1つのスタッドホルダー(110)に対して動くように構成しており、
前記少なくとも1つの支持メンバー(130)は、前記少なくとも1つの支持体(120)を前記少なくとも1つのスタッドホルダー(110)に対して押すように構成しており、
前記少なくとも1つの保持メンバー(140)は、前記少なくとも1つの支持体(120)を前記少なくとも1つの支持メンバー(130)に対して押されている状態で保持するように構成しており、これによって、前記バランス(200)の前記間隙の調整を固定する
ことを特徴とする固定用デバイス(100)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの保持メンバー(140)と連係するように構成している少なくとも1つのバランスブリッジ(150)を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の固定用デバイス(100)。
【請求項3】
前記少なくとも1つの支持体(120)は、前記少なくとも1つのスタッドホルダー(110)と前記少なくとも1つの支持メンバー(130)の間に備えられるように構成している
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の固定用デバイス(100)。
【請求項4】
前記少なくとも1つの支持メンバー(130)には、前記少なくとも1つのスタッドホルダー(110)に対して前記少なくとも1つの支持体(120)を押すように構成している第1の支持面(131)と、前記少なくとも1つの保持メンバー(140)と接触するように構成している少なくとも1つの第2の支持面がある
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の固定用デバイス(100)。
【請求項5】
前記少なくとも1つの支持体(120)には、前記少なくとも1つの支持体(120)の外周部に形成されるタッピング又はねじ山があり、
前記少なくとも1つのスタッドホルダー(110)には、前記少なくとも1つのスタッドホルダー(110)の内周部に形成されるねじ山又はタッピングがある
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の固定用デバイス(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腕時計製造の分野に関する。本発明は、さらに、バランスの間隙を調整するための固定用デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
機械式ムーブメントが正常に動作するためには、バランスの間隙の調整が不可欠である。スタッドホルダーとバランスのショックアブソーバーのポジショニングとロックも、重要である。多くの機械式ムーブメントにおいては、ショックアブソーバーをバランスブリッジ内に入れ込み、このバランスブリッジ自体がスタッドホルダーをロックする。
【0003】
これらの2つの要素を調整するために、これらの要素に大きな力を与える必要があるが、これは面倒であり、これらの要素やその環境を劣化させてしまう原因になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、バランスの間隙を調整するための、好ましくは、前記バランスの間隙を調整する、固定用デバイスに関し、前記固定用デバイスは、少なくとも1つのスタッドホルダー、少なくとも1つの支持体、少なくとも1つの支持メンバー及び少なくとも1つの保持メンバーを備え、前記少なくとも1つの支持体は、前記少なくとも1つのスタッドホルダーに対して動くように構成しており、前記少なくとも1つの支持メンバーは、前記少なくとも1つの支持体を前記少なくとも1つのスタッドホルダーに対して押すように構成しており、前記少なくとも1つの保持メンバーは、前記少なくとも1つの支持体を前記少なくとも1つの支持メンバーに対して押されている状態で保持するように構成しており、これによって、前記バランスの前記間隙の調整を固定する。
【0005】
この構成によって、前記固定用デバイスは、大きな力を与えることなく、前記少なくとも1つのスタッドホルダーと前記少なくとも1つの支持体の位置を調整することができ、動作の機能性と衝撃時の良好な耐性を確実にすることができる。
【0006】
一実施形態において、前記固定用デバイスは、前記少なくとも1つの保持メンバーと連係するように構成している少なくとも1つのバランスブリッジを備える。
【0007】
この構成によって、前記少なくとも1つの保持メンバーは、前記少なくとも1つのバランスブリッジと連係することができる。
【0008】
一実施形態において、前記少なくとも1つの支持体は、前記少なくとも1つのスタッドホルダーと前記少なくとも1つの支持メンバーの間に備えられるように構成している。
【0009】
この構成によって、前記少なくとも1つの支持体の調整が、前記少なくとも1つのスタッドホルダーと前記少なくとも1つの支持メンバーのおかげで維持される。
【0010】
一実施形態において、前記少なくとも1つの支持メンバーには、前記少なくとも1つのスタッドホルダーに対して前記少なくとも1つの支持体を押すように構成している第1の支持面と、前記少なくとも1つの保持メンバーと接触するように構成している少なくとも1つの第2の支持面がある。
【0011】
この構成によって、前記少なくとも1つの支持メンバーは、前記少なくとも1つの保持メンバーの力を前記少なくとも1つの支持体に伝達する。
【0012】
一実施形態において、前記少なくとも1つの支持体には、前記少なくとも1つの支持体の外周部に形成されるタッピング又はねじ山があり、前記少なくとも1つのスタッドホルダーには、前記少なくとも1つのスタッドホルダーの内周部に形成されるねじ山又はタッピングがある。
【0013】
この構成によって、前記少なくとも1つの支持体を前記少なくとも1つのスタッドホルダーにねじ込むことができる。
【0014】
以下において、例として与えられる添付の図面を用いて本発明を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】バランスの間隙調整の固定用デバイスを示している。
【発明を実施するための形態】
【0016】
機械式ムーブメントが正常に動作するためには、バランスの間隙の調整が不可欠である。このために、出願人は、バランス200の間隙を調整するための固定用デバイス100を提案する。前記少なくとも1つの固定用デバイス100は、少なくとも1つのスタッドホルダー110と、少なくとも1つの支持体120と、少なくとも1つの支持メンバー130と、及び少なくとも1つの保持メンバー140とを備える。
【0017】
図1に示しているように、前記少なくとも1つの支持体120は、ねじ山-タッピングを通して前記少なくとも1つのスタッドホルダー110に対して動くように構成している。
【0018】
実際に、いくつかの実施形態において、前記少なくとも1つの支持体120には、前記少なくとも1つの支持体120の外周にタッピング又はスレッドを設けることができる。これに対して、前記少なくとも1つのスタッドホルダー110には、前記少なくとも1つのスタッドホルダー110の内周にねじ又はタッピングを設けることができ、これによって、前記少なくとも1つのスタッドホルダー110に前記少なくとも1つの支持体120をねじ込むことができ、したがって、前記バランスブリッジ200の間隙を調整することができる。
【0019】
前記少なくとも1つの支持メンバー130は、前記少なくとも1つの支持体120を前記少なくとも1つのスタッドホルダー110に対して押すように構成しており、前記少なくとも1つの保持メンバー140は、前記少なくとも1つの支持メンバー130を前記少なくとも1つの支持体120に対して押した状態で保持することができ、これによって、ムーブメントの機能性と良好な耐衝撃性を確実にしつつ、大きな力を与えることなく、前記バランス200の前記間隙の調整、したがって、前記少なくとも1つの支持体120のポジショニングを固定することができる。すなわち、前記少なくとも1つの支持体120は、前記少なくとも1つのスタッドホルダー110と前記少なくとも1つの支持メンバー130の間に設けられることができ、これによって、前記少なくとも1つのスタッドホルダー110と前記少なくとも1つの支持メンバー130を利用して保持されるように構成することができる。
【0020】
この保持は、前記少なくとも1つの支持メンバー130にある支持面によって向上させることができる。実際に、前記少なくとも1つの支持メンバー130には、前記少なくとも1つのスタッドホルダー110に対して前記少なくとも1つの支持体120を押すことを可能にする第1の支持面131と、前記少なくとも1つの保持メンバー140によって与えられる保持力を前記少なくとも1つの支持体120に伝達する少なくとも1つの第2の支持面がある。
【0021】
全体、すなわち、前記少なくとも1つのスタッドホルダー110、前記少なくとも1つの支持体120、前記少なくとも1つの支持メンバー130及び前記少なくとも1つの保持メンバー140は、前記少なくとも1つの保持メンバー140と連係するように構成している少なくとも1つのバランスブリッジ150上に載置される。
【外国語明細書】