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特開2022-85867渦巻きばねの有効長を設定する手段を備える計時器用共振器機構のための渦巻きばね
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  • 特開-渦巻きばねの有効長を設定する手段を備える計時器用共振器機構のための渦巻きばね 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022085867
(43)【公開日】2022-06-08
(54)【発明の名称】渦巻きばねの有効長を設定する手段を備える計時器用共振器機構のための渦巻きばね
(51)【国際特許分類】
   G04B 17/32 20060101AFI20220601BHJP
   G04B 18/02 20060101ALI20220601BHJP
【FI】
G04B17/32
G04B18/02 Z
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021183845
(22)【出願日】2021-11-11
(31)【優先権主張番号】20210406.3
(32)【優先日】2020-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】507276380
【氏名又は名称】オメガ・エス アー
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】ロマン・ル モアル
(72)【発明者】
【氏名】ローラン・ジャンヌレ
(72)【発明者】
【氏名】ピエール・キュザン
(57)【要約】
【課題】 渦巻きの有効長を変えることによって計時器のレートを設定するように構成している、効率的かつ正確な設定手段を備える渦巻きばねを提供する。
【解決手段】 本発明は、 計時器用共振器機構のための渦巻きばね(1)に関し、この渦巻きばね(1)は、実質的に1つの平面内に延在し、何回か自身のまわりに巻かれたフレキシブルな巻きブレード(2)と、及び巻きブレード(2)の有効長を変えるための設定手段とを備える。設定手段は、渦巻きばね(1)の少なくとも1つの端部分(6)に沿って動くことができるクランプ(3)を備え、クランプ(3)は、渦巻きばね(1)の平面内にて実質的に延在しており、クランプ(3)には、渦巻きばね(1)の可変有効長を定めるように巻きブレード(2)の両側における多数の位置に配置される2つの支持面(4、5)がある。クランプ(3)と巻きブレード(2)は、クランプ(3)と支持面(4、5)が巻きブレード(2)に沿って動くことを可能にするフレキシブル要素(7)によって互いにリンクされている。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
計時器用共振器機構のための渦巻きばね(1、10、20、30、40)であって、
前記渦巻きばね(1、10、20、30、40)は、実質的に1つの平面内に延在し、何回か自身のまわりに巻かれたフレキシブルな巻きブレード(2)と、及び前記巻きブレード(2)の有効長を変えるための設定手段とを備え、
前記設定手段は、前記渦巻きばね(1、10、20、30、40)の少なくとも1つの端部分(6)に沿って動くことができるクランプ(3、23、53、63)を備え、
前記クランプ(3、23、53、63)は、前記渦巻きばね(1、10、20、30、40)の前記平面内にて実質的に延在しており、
前記クランプ(3、23、53、63)には、前記渦巻きばね(1、10、20、30、40)の可変有効長を定めるように前記巻きブレード(2)の両側における多数の位置に配置される2つの支持面(4、5、24、25、48、49、66、67)があり、
前記クランプ(3、23、53、63)と前記巻きブレード(2)は、前記クランプ(3、23、53、63)と前記支持面(4、5、24、25、48、49、66、67)が前記巻きブレード(2)に沿って動くことを可能にするフレキシブル要素(7、17、51、87)によって互いにリンクされている
ことを特徴とする渦巻きばね。
【請求項2】
前記クランプ(3、23、53、63)と前記巻きブレード(2)は、単一部品であるように作られ、好ましくは、ケイ素によって作られる
ことを特徴とする請求項1に記載の渦巻きばね。
【請求項3】
前記巻きブレード(2)には、端部分(6)があり、
前記支持面(4、5、24、25、48、49、66、67)は、前記端部分(6)の両側にて支持するように構成している
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の渦巻きばね。
【請求項4】
前記クランプ(3、23、53)には、前記渦巻きばねの前記端部分(6)の両側にて延在している2つのブランチ(8、9、18、19、39、41)があり、
各ブランチ(8、9、18、19、39、41)の端には、前記支持面(4、5、24、25、48、49)の1つがある
ことを特徴とする請求項3に記載の渦巻きばね。
【請求項5】
前記フレキシブル要素(7、17、51、87)には、一方では前記ブランチ(8、9、18、19、39、41)に、そして他方では前記巻きブレード(2)の前記端部分(6)に、リンクされた少なくとも2つのフレキシブルブレードがある
ことを特徴とする請求項4に記載の渦巻きばね。
【請求項6】
前記フレキシブルブレード(31、32、52、54)は、前記フレキシブル要素(7、17、51、87)の基本位置において前記端部分(6)に対して実質的に垂直である
ことを特徴とする請求項5に記載の渦巻きばね。
【請求項7】
前記フレキシブルブレード(11、12)は、前記端部分(6)を部分的に囲んでいる
ことを特徴とする請求項5に記載の渦巻きばね。
【請求項8】
前記クランプ(63)には、高剛性メンバー(59)と、及びそれぞれに前記支持面(66、67)の1つがある2つの可動体(64、65)がある
ことを特徴とする請求項3に記載の渦巻きばね。
【請求項9】
前記フレキシブル要素(87)には、各可動体(64、65)を前記高剛性メンバー(59)に接続するための少なくとも2つのフレキシブルブレード(68、69、83、84)がある
ことを特徴とする請求項8に記載の渦巻きばね。
【請求項10】
前記フレキシブル要素(87)には、一方では前記クランプ(63)に、他方では前記端部分(6)に、リンクされた並進運動プラットフォーム(71)がある
ことを特徴とする請求項8又は9に記載の渦巻きばね。
【請求項11】
前記並進運動プラットフォーム(71)には、好ましくは2つのフレキシブルブレード(72、73)である少なくとも1つの副フレキシブルブレード、及び高剛性部分(74)があり、
前記副フレキシブルブレード(72、73)は、前記高剛性部分(74)と前記高剛性メンバー(59)に連結しており、
前記巻きブレード(2)の前記端部分(6)は、前記高剛性部分(74)に連結している
ことを特徴とする請求項10に記載の渦巻きばね。
【請求項12】
前記フレキシブル要素(87)には、2つのばね(75、76)があり、前記ばね(75、76)はそれぞれ、一方では前記並進運動プラットフォーム(71)の前記高剛性部分(74)に、他方では各可動体(64、65)にリンクされている
ことを特徴とする請求項11に記載の渦巻きばね。
【請求項13】
前記支持面(4、5、24、25、48、49、66、67)は、前記巻きブレード(2)を支えるように構成している
ことを特徴とする請求項1~12のいずれか一項に記載の渦巻きばね。
【請求項14】
前記支持面は、前記巻きブレード(2)から離れているように維持するように構成している
ことを特徴とする請求項1~12のいずれか一項に記載の渦巻きばね。
【請求項15】
バランスを備える計時器用共振器機構であって、
バランスばねである請求項1~14のいずれか一項に記載の渦巻きばね(1、10、20、30、40)を備える
ことを特徴とする計時器用共振器機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計時器用共振器機構のための渦巻きばねに関し、この渦巻きばねは、この渦巻きばねの有効長を設定する手段を備える。本発明は、さらに、このような渦巻きばねを備える計時器用共振器機構に関する。
【背景技術】
【0002】
携行型時計(例、腕時計、懐中時計)の製造におけるタイムベースの性能を向上させるための探求は、常に関心事となっている。機械式の携行型時計のクロノメーター的性能の主な制限は、伝統的なインパルスエスケープを使用することに基づいている。
【0003】
バランス用の渦巻きばねは、一般的に、携行型時計の精度を向上させるように設定することができる必要がある。このために、渦巻きの有効長を調整するためのインデックスのような渦巻きばねの剛性を設定する手段が用いられる。したがって、携行型時計のレートの精度を調整するために、渦巻きばねの剛性が変更される。しかし、レートの調整における通常のインデックスの効果は依然として限られており、1日あたり数秒や数十秒のオーダーで設定を十分に正確にするためには必ずしも常に効果的ではない。
【0004】
設定の精度を向上させるために、スイス特許文献CH286562は、渦巻きばねの端部分を複数の箇所でクランプして、渦巻きばねの有効長が変えてバランスのレートを設定することを可能にするようなクランプを備える渦巻きばねについて記載している。また、クランプを形成する1つ又は複数のローラーを回転させて、渦巻きばねの長さを選択することができる。
【0005】
しかし、クランプの位置を変えるには、クランプを変位させ、ねじを用いてクランプを固定することによって特定の部分に作用する必要がある。この設定モードは実行が容易ではなく、発振器のレートを十分に微細に調整することはできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、特に渦巻きの有効長を変えることによって計時器のレートを設定するように構成している、効率的かつ正確な設定手段を備える渦巻きばねを提案することによって、前記課題の全部又は一部を克服することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために、本発明は、計時器用共振器機構のための渦巻きばねであって、
前記渦巻きばねは、実質的に1つの平面内に延在し、何回か自身のまわりに巻かれたフレキシブルな巻きブレードと、及び前記巻きブレードの有効長を変えるための設定手段とを備え、
前記設定手段は、前記渦巻きばねの少なくとも1つの端部分に沿って動くことができるクランプを備え、
前記クランプは、前記渦巻きばねの前記平面内にて実質的に延在しており、
前記クランプには、前記渦巻きばねの可変有効長を定めるように前記巻きブレードの両側における多数の位置に配置される2つの支持面がある。
【0008】
本発明は、前記クランプと前記巻きブレードが、前記クランプと前記支持面が前記巻きブレードに沿って動くことを可能にするフレキシブル要素によって互いにリンクされているという点で注目に値する。
【0009】
このようにして、効率的な設定手段が得られて、制御された形態で渦巻きばねの有効長を変えることができる。そして、計時器のレートを容易かつ正確に調整することができる。
【0010】
本発明の特定の実施形態の1つにおいて、前記2つの支持面は、前記巻きブレードを支持するように構成している。
【0011】
本発明の特定の実施形態の1つにおいて、前記2つの支持面は、前記巻きブレードから離れているように維持するように構成しており、前記巻きブレードは、前記渦巻きばねの動作中に前記支持面に接触する。
【0012】
本発明の特定の実施形態の1つにおいて、前記クランプと前記巻きブレードは、単一部品であるように作られ、好ましくは、ケイ素によって作られる。
【0013】
本発明の特定の実施形態の1つにおいて、前記巻きブレードには、端部分があり、前記クランプの前記支持面は、前記端部分の両側にて変位するように構成している。
【0014】
本発明の特定の実施形態の1つにおいて、前記端部分の幅は、前記渦巻きばねの剛性、したがって、レート設定の感度、を変えるように変動している。
【0015】
本発明の特定の実施形態の1つにおいて、前記クランプには、前記渦巻きばねの前記端部分の両側にて延在している2つのブランチがあり、各ブランチの端には、前記支持面の1つがある。
【0016】
本発明の特定の実施形態の1つにおいて、前記フレキシブル要素には、一方では前記ブランチに、そして他方では前記巻きブレードの前記端部分に、リンクされた少なくとも2つのフレキシブルブレードがある。
【0017】
本発明の特定の実施形態の1つにおいて、前記フレキシブルブレードは、前記フレキシブル要素の基本位置において前記端部分に対して実質的に垂直である。
【0018】
本発明の特定の実施形態の1つにおいて、前記フレキシブルブレードは、前記端部分を部分的に囲んでいる。
【0019】
本発明の特定の実施形態の1つにおいて、前記クランプには、高剛性メンバーと、及びそれぞれに前記支持面の1つがある2つの可動体がある。
【0020】
本発明の特定の実施形態の1つにおいて、前記フレキシブル要素には、各可動体を前記高剛性メンバーに接続するための少なくとも2つのフレキシブルブレードがある。
【0021】
本発明の特定の実施形態の1つにおいて、前記フレキシブル要素には、一方では前記クランプに、他方では前記端部分に、リンクされた並進運動プラットフォームがある。
【0022】
本発明の特定の実施形態の1つにおいて、前記並進運動プラットフォームには、好ましくは2つのフレキシブルブレードである少なくとも1つの副フレキシブルブレード、及び高剛性部分があり、前記副フレキシブルブレードは、前記高剛性部分と前記高剛性メンバーに連結しており、前記巻きブレードの前記端部分は、前記高剛性部分に連結している。
【0023】
本発明の特定の実施形態の1つにおいて、前記フレキシブル要素には、2つのばねがあり、前記ばねはそれぞれ、一方では前記並進運動プラットフォームの前記高剛性部分に、他方では各可動体にリンクされている。
【0024】
本発明は、さらに、バランスを備える計時器のための共振器に関し、この共振器は、本発明に係る渦巻きばねを備える。
【0025】
添付の図面を参照しながら以下に示唆として与えられる説明を読むことによって、他の特徴及び利点が明らかになる。なお、これに限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の第1の実施形態に係る設定手段を備える渦巻きばねの図である。
図2】本発明の第2の実施形態に係る設定手段を備える渦巻きばねの図である。
図3】本発明の第3の実施形態に係る設定手段を備える渦巻きばねの図である。
図4】本発明の第4の実施形態に係る渦巻きばねの設定手段の図である。
図5】本発明の第5の実施形態に係る渦巻きばねの設定手段の図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1~5において、本発明は、計時器用共振器機構のための渦巻きばね1、10、20、30、40の異なる実施形態に関する。共振器機構は、概して円形であるバランスを備え、このバランスの振動周波数は、具体的には渦巻きばね1、10、20、30、40によって決まる。渦巻きばね1、10、20、30、40は、実質的に1つの平面内に延在し、何回か自身のまわりに巻かれたフレキシブルな巻きブレード2を含み、これは、好ましくは、同じ平面内に延在している。渦巻きばね1、10、20、30、40の巻きブレード2には、好ましくは実質的にまっすぐな、端部分6がある。図1~3の実施形態において、端部分6には、端部分6の端を形成する高剛性部分15と、高剛性部分15よりも手前にある薄い部分16がある。好ましくは、高剛性部分15は、端部分6が変位することを防ぐようにムーブメントに固定される。薄い部分16は、厚い高剛性部分15内に少なくとも部分的に埋め込まれる。図4及び5の実施形態においては、端部分6に高剛性部分がない。
【0028】
共振器の振動周波数を変えるために、渦巻きばね1、10、20、30、40は、この渦巻きばね1の有効長を変えることを可能にする設定手段を備える。したがって、ばねの長さは、共振器のレートを可能なかぎり最適に調整するように適応させることができる。設定手段は、渦巻きの少なくとも一部に沿って変位することができるクランプ3、33、53、63を備える。好ましくは、クランプ3、33、53、63は、渦巻きばね1、10、20、30、40と実質的に同じ平面内に延在している。好ましくは、クランプ3、33、53、63及び巻きブレード2は単一部品であるように作られる。すなわち、それらは同じ材料、例えば、ケイ素、によって作られる。
【0029】
クランプ3、33、53、63には、設定に応じて多くの位置にて巻きブレード2をその両側にて支持するように構成している2つの支持面4、5、24、25、48、49、66、67がある。したがって、クランプ3、33、53、63は、フレキシブルな巻きブレードにおけるその位置に応じて、渦巻きばね1、10、20、30、40の可変有効長を定めることを可能にする。支持面4、5、24、25、48、49、66、67は、例えば、巻きブレード2の端部分6と接触しており、この端部分6、特に、薄い部分16、に沿って変位させることができる。
【0030】
本発明によると、クランプ3、33、53、63及び巻きブレード2は、フレキシブル要素7、17、51、87によって互いに組み付けられる。フレキシブル要素7、17、51、87は、巻きブレード2の端部分6に沿った支持面4、5、24、25、48、49、66、67の変位を可能にするように押されるように構成している。巻きブレード2の端部分6に対して、実質的に平行な又はさらには共線的な方向に、圧力が与えられる。フレキシブル要素7、17、51、87に力を与えることによって、クランプ3、33、53、63は変位して端部分6上の位置を変える。また、クランプの寸法構成を適応させることによって、押圧力の強さを変えることができる。
【0031】
クランプ3、33、53、63及び巻きブレード2は、以下の2つの方法によって接続される。第1の接続は、固定リンクであり、巻きブレードとクランプはそれぞれ、フレキシブル要素7、17、51、87に組み付けられる。第2の接続は、支持面4、5と巻きブレード2の間に形成される可動リンクである。この可動リンクは、巻きブレードの有効長を選択するように端部分6に沿って変位することができる。したがって、固定リンクは、可動リンクを形成する支持面と巻きブレードの異なる接続である。
【0032】
クランプ3、33、53、63に圧力を与えることができるようにするために、図示していない付与手段が用いられる。この付与手段は、例えば、レバー、クランプの方へと長手方向に向いているねじ、又は頭部がクランプ3、33、53、63に対向するように配置される偏心ねじである。
【0033】
図1の第1の実施形態において、クランプ3には、渦巻きばね1の巻きブレード2の両側にて延在している2つのブランチ8、9がある。ブランチ8、9は、好ましくはフレキシブルであり、各ブランチ8、9の一端には支持面4、5の1つがある。ブランチ8、9は、曲がった支持面4、5を端とする円弧の形をしている。ブランチ8、9は、2つの支持面4、5が巻きブレード2の両側に対して接触するように構成している。したがって、巻きブレードの端部分6は、2つの支持面4、5の間を通過する。
【0034】
クランプ3には、一方ではブランチ8、9に、他方では巻きブレード2の端部分6に、リンクされる少なくとも2つのフレキシブルブレード11、12がある。フレキシブルブレード11、12は、巻きブレード2の端部分6に対してブランチ8、9が変位することを可能にする。フレキシブルブレード11、12は、端部分6の両側に配置される。フレキシブルブレード11、12は、クランプ3が端部分6に沿って変位するときに伸長又は収縮することができるように曲がっている。フレキシブルブレード11、12の曲がりは、ブランチ8、9の方を向いており、渦巻きばね1の平面内にて構成している。したがって、フレキシブルブレード11、12は、端部分6を部分的に包囲する。
【0035】
クランプ3の位置に応じて、支持面4、5は、薄い部分16の異なる位置にて接触する。フレキシブルブレード11、12は、一方では、端部分6、具体的には高剛性部分、の自由端13に、他方では、ブランチ8、9の端に、すなわち、支持面4、5に、組み付けられる。
【0036】
したがって、クランプ3が押されると、フレキシブル要素7が伸長し、押す力がなくなると、フレキシブル要素7はその初期状態まで戻る。図1の実施形態において、フレキシブルブレード11、12の曲率は、増加又は減少する。
【0037】
クランプ3には、端部分6に対して実質的に垂直に配置される長手方向の高剛性メンバー14があり、この長手方向の高剛性メンバー14に対して上記の付与手段によって力が与えられる。高剛性メンバー14の端にブランチ8、9が接続されている。したがって、高剛性メンバー14が付与手段によって押されると、ブランチ8、9は前方又は後方に動き、これによって、接触面4、5は、端部分6に沿って変位する。この高剛性メンバー14は、フレキシブル要素7が押されたときに高剛性メンバー14が高剛性部分15に近づいたり離れたりすることを可能にするように高剛性部分15から離れて配置される。
【0038】
図2の渦巻きばね10の第2の実施形態において、クランプ23には、反転したL字状のブランチ18、19があり、これは、好ましくは、高剛性である。これらのブランチ18、19は、円弧状の高剛性ロッド29、31によって高剛性メンバー14の各端に接続されており、各ロッドは、L字の角から始まる。ロッドの円弧の曲がりは、クランプ23の外側の方を向いている。高剛性メンバー14は、巻きブレード2の端部分6に対して実質的に垂直である。各L字型ブランチ18、19には、大きなセグメント33、34及び小さなセグメント27、28があり、これらは実質的に垂直である。L字の小さなセグメント27、28の端は、2つの支持面24、25を形成し、その間で、巻きブレード2の端部分6が通る。
【0039】
2つのブランチ18、19は、クランプ23の弾性要素17を形成する2つの対の平行なフレキシブルブレード31、32を利用して、巻きブレード2の端部分6の端を形成する高剛性部分15にリンクされている。フレキシブルブレードの各対31、32は、一方ではL字の大きなセグメント33、34の内側に、他方では端部分6の高剛性部分15に、組み付けられる。これらのフレキシブルブレードの対31、32は、好ましくは、端部分6に対して対称に配置され、これらのブレードは、高剛性部分15に対して実質的に垂直である。端部分6の薄い部分16は、端部分6に対して実質的に垂直であるL字の小さなセグメント27、28の間を通る。端部分6の高剛性部分15は、L字の2つの大きなセグメント33、34の間に延在している。高剛性部分15とL字の2つの大きなセグメント33、34は、実質的に平行である。高剛性メンバー14は、L字の大きなセグメント33、34に対して、そして、端部分6の高剛性部分15に対して、実質的に垂直である。したがって、高剛性メンバー14が押されると、傾斜するフレキシブルブレードの対31、32のおかげで、クランプは端部分6に沿って変位する。
【0040】
渦巻きばね20の第3の実施形態において、クランプ33のブランチ39、41は、階段状であり、これらのブランチ39、41のそれぞれには、第1のレベル42、43及び第2のレベル44、45である2つのレベルがあり、これらの第1のレベル42、43及び第2のレベル44、45どうしは、これらの2つのレベルに対して実質的に垂直なセクションによってリンクされている。各ブランチ39、41の第1のレベル42、43どうしは実質的に平行であり、各ブランチ39、41の第2のレベル44、45どうしは実質的に平行である。
【0041】
各ブランチ39、41の第1のレベル42、43どうしは第2のレベル44、45どうしよりも近く、好ましくはフレキシブルであり、また、各ブランチ39、41の第2のレベル44、45どうしは第1のレベル42、43どうしよりも離れており、好ましくは高剛性である。各第1のレベル42、43の自由端には、支持面48、49がある突起46、47があり、突起46、47は、巻きブレード2の端部分6の方へと第2のレベル44、45に対して垂直に延在している。端部分6は、クランプ20の2つのブランチ39、41の間に延在しており、すなわち、突起46、47の間、第1のレベル42、43の間、そして第2のレベル44、45の間にて延在している。端部分6には、薄い短い部分16があり、これによって、設定手段がベース位置にあるときに突起46、47が空欠部55、56に挿入されることを可能にする。渦巻きばねの有効長を設定するために、突起46、47がそれらの空欠部から出て端部分6の厚い部分57と接触するように、ブランチ39、41が押される。ブランチ39、41は、端部分6から脱する。
【0042】
フレキシブル要素51には、平行なフレキシブルブレードの2つの対52、54がある。各対52、54は、一方では各ブランチ39、41の第2のレベルに、そして、端部分6の高剛性部分16に、連結する。同じ対52、54のブレードどうしは実質的に平行であり、2つの対52、54は、端部分6の高剛性部分15に対して対称である。この実施形態において、力が付与される端部分6に対して垂直な高剛性メンバーは存在しない。第2のレベル44、45と実質的に共線的な力が第2のレベル44、45に与えられ、これによって、クランプ3を端部分6に沿って摺動させ、そして、突起46、47がそれらの空欠部55、56から外れる。
【0043】
渦巻きばね30、40の第4及び第5の実施形態は、高剛性メンバー59と、支持面66、67がある2つの可動体64、65とを備えるクランプ63を示している。可動体64、65は、端部分6の方へと延在している長細いオブロング状の形を有する。クランプ63には、各可動体64、65を高剛性メンバー59に接続するための少なくとも1つのフレキシブルブレード68、69、83、84がある。高剛性メンバー59は、ベースセグメント77及び2つの平行なセグメント78、79があるU字形である。このU字の内側は、可動体64、65の方を向いている。平行なセグメント78、79の端はまっすぐであり、フレキシブルブレードは実質的にまっすぐである。フレキシブルブレード68、69は、一方では各平行なセグメント78、79の端に配置され、他方では可動体64、65に配置される。第4の実施形態において、2つのフレキシブルブレード68、69は、基本位置(rest position)において平行なセグメント78、79と実質的に共線的であり、また、第5の実施形態の4つのフレキシブルブレード83、84は、端部分6に対して斜めの向きである。
【0044】
フレキシブル要素62には、一方では高剛性メンバー59に、他方では渦巻きばね30のフレキシブルな巻きブレード2に、リンクされた並進運動プラットフォーム71がある。並進運動プラットフォーム71には、好ましくは2つの副フレキシブルブレード72、73である少なくとも1つの副フレキシブルブレード、及び高剛性部分74があり、副フレキシブルブレード72、73は、一端によって高剛性部分74に連結し、他端によって高剛性メンバー59に連結する。副フレキシブルブレード72、73は、平行なセグメント79の内側で連結する。高剛性部分74は、ここでは直角エルボーであるエルボーを形成し、このエルボーには、実質的に垂直である2つのセグメント81、82がある。巻きブレードの端部分6は、第1のセグメント81に連結し、また、副ブレード72、73は、第2のセグメント82に連結する。したがって、端部分6は、並進運動プラットフォーム71の副フレキシブルブレード72、73に対して実質的に垂直である。また、クランプ61には、2つのばね75、76があり、これらの2つのばね75、76はそれぞれ、一方では並進運動プラットフォーム71の高剛性部分74に、他方では異なる可動体64、65に、固定される。
【0045】
したがって、高剛性メンバー59に力が与えられると、可動体64、65は、端部分6に沿って変位する。並進運動プラットフォーム71は、端部分6の位置が実質的に不変であるように維持することを可能にする。
【0046】
本発明は、当然、図面を参照しながら説明した実施形態に限定されず、本発明の範囲から逸脱することなく変異形態を考えることができる。説明した実施形態は、支持面が巻きブレードに接触するようなクランプについて示している。可能な代替的実施形態において、支持面は、巻きブレードから離れた位置を維持し、共振器機構の動作中に巻きブレードが支持面に接触する。
【符号の説明】
【0047】
1、10、20、30、40 渦巻きばね
2 巻きブレード
3、23、53、63 クランプ
4、5、24、25、48、49、66、67 支持面
6 端部分
7、17、51、87 フレキシブル要素
8、9、18、19、39、41 ブランチ
11、12、31、32、52、54、68、69、72、73、83、84 フレキシブルブレード
59 高剛性メンバー
63 クランプ
71 並進運動プラットフォーム
74 高剛性部分
64、65 可動体
66、67 支持面
75、76 ばね
図1
図2
図3
図4
図5
【外国語明細書】