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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022085876
(43)【公開日】2022-06-08
(54)【発明の名称】アルブミン測定用試験片
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/52 20060101AFI20220601BHJP
   G01N 33/68 20060101ALI20220601BHJP
【FI】
G01N33/52 B
G01N33/68
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021189688
(22)【出願日】2021-11-22
(31)【優先権主張番号】P 2020197352
(32)【優先日】2020-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2021114976
(32)【優先日】2021-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】000141897
【氏名又は名称】アークレイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】特許業務法人池内アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】宇田 圭吾
(72)【発明者】
【氏名】稲留 美希
【テーマコード(参考)】
2G045
【Fターム(参考)】
2G045CA26
2G045DA38
2G045FB17
2G045GC12
(57)【要約】
【課題】一態様において、BCP改良法を原理とし、高い感度でアルブミンを測定可能なアルブミン測定用試験片を提供する。
【解決手段】 一態様において、支持体と、前記支持体上に設けられ、検体が点着される試薬保持層とを有するアルブミン測定用試験片に関する。試薬保持層は、蛋白質変性剤(成分A)、SH試薬(成分B)、ブロムクレゾールパープル(成分C)及び非イオン性界面活性剤(成分D)を含み、試薬保持層において、前記成分Cに対する前記成分Dの重量比(D/C)が0.3~13であり、試薬保持層に点着する検体量に対する成分Cの含有量が0.4μg/μL~5.4μg/μLであり、試薬保持層に点着する検体量に対する成分Dの含有量が25μg/μL以下である。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体と、
前記支持体上に設けられ、検体が点着される試薬保持層とを有する、
前記検体に含まれるアルブミンを測定するためのアルブミン測定用試験片であって、
前記試薬保持層は、蛋白質変性剤(成分A)、SH試薬(成分B)、ブロムクレゾールパープル(成分C)、及び非イオン性界面活性剤(成分D)を含み、
前記試薬保持層において、
前記成分Cに対する前記成分Dの重量比(D/C)が、0.3~13であり、
前記検体の点着量に対する前記成分Cの含有量が、0.4μg/μL~5.4μg/μLであり、
前記検体の点着量に対する前記成分Dの含有量が、25μg/μL以下である、アルブミン測定用試験片。
【請求項2】
前記成分Cに対する前記成分Dの重量比(D/C)が、1.3~13であり、
前記検体の点着量に対する前記成分Cの含有量が、0.4μg/μL~5μg/μLであり、
前記検体の点着量に対する前記成分Dの含有量が、20μg/μL以下である、請求項1に記載の試験片。
【請求項3】
前記非イオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレン基を有する非イオン性界面活性剤である、請求項1又は請求項2に記載の試験片。
【請求項4】
前記非イオン性界面活性剤のHLB値が、13.4~16.9である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の試験片。
【請求項5】
前記非イオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレン(13)オレイルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン(12)ラウリルエーテル、及びポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエートからなる群から選択される1又は複数の非イオン性界面活性剤である、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の試験片。
【請求項6】
前記成分Dがポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテルであり、
前記成分Cに対する前記成分Dの重量比(D/C)が、1.3~13であり、
前記検体の点着量に対する前記成分Cの含有量が、0.4μg/μL~5μg/μLであり、
前記検体の点着量に対する前記成分Dの含有量が、20μg/μL以下である、請求項1に記載の試験片。
【請求項7】
前記成分Dがポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテルであり、
前記成分Cに対する前記成分Dの重量比(D/C)が、1.2~10.6であり、
前記検体の点着量に対する前記成分Cの含有量が、0.5μg/μL~5.4μg/μLである、請求項1に記載の試験片。
【請求項8】
前記成分Dがポリオキシエチレン(13)オレイルエーテルであり、
前記成分Cに対する前記成分Dの重量比(D/C)が、0.9~9.3であり、
前記検体の点着量に対する前記成分Cの含有量が、0.5μg/μL~5.4μg/μLである、請求項1に記載の試験片。
【請求項9】
前記成分Dがポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルであり、
前記成分Cに対する前記成分Dの重量比(D/C)が、1.2~2.3であり、
前記検体の点着量に対する前記成分Cの含有量が、2.2μg/μL~5.4μg/μLである、請求項1に記載の試験片。
【請求項10】
前記成分Dがポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートであり、
前記成分Cに対する前記成分Dの重量比(D/C)が、1.7~2.3であり、
前記検体の点着量に対する前記成分Cの含有量が、2.2μg/μL~4.3μg/μLである、請求項1に記載の試験片。
【請求項11】
前記成分Dがポリオキシエチレン(12)ラウリルエーテルであり、
前記成分Cに対する前記成分Dの重量比(D/C)が、1.2~2.3であり、
前記検体の点着量に対する前記成分Cの含有量が、2.2μg/μL~4.3μg/μLである、請求項1に記載の試験片。
【請求項12】
支持体と、
前記支持体上に設けられ、検体が点着される試薬保持層とを有する、
前記検体に含まれるアルブミンを測定するためのアルブミン測定用試験片であって、
前記試薬保持層は、蛋白質変性剤(成分A)、SH試薬(成分B)、ブロムクレゾールパープル(成分C)、及び非イオン性界面活性剤(成分D)を含み、
前記成分Dがポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエートであり、
前記試薬保持層において、
前記成分Cに対する前記成分Dの重量比(D/C)が、1.2~13.9であり、
前記検体の点着量に対する前記成分Cの含有量が、0.5μg/μL~5.4μg/μLであり、
前記検体の点着量に対する前記成分Dの含有量が、30μg/μL以下である、アルブミン測定用試験片。
【請求項13】
前記蛋白質変性剤は、陰イオン性界面活性剤である、請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の試験片。
【請求項14】
生体試料中のアルブミンを測定するための、請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の試験片。
【請求項15】
前記生体試料は、血清又は血漿である、請求項14に記載の試験片。
【請求項16】
蛋白質変性剤及びSH試薬の存在下で、ブロムクレゾールパープルの光学特性の測定値に基づいて検体中のアルブミン量を測定する方法であって、
蛋白質変性剤(成分A)と、SH試薬(成分B)と、ブロムクレゾールパープル(成分C)と、非イオン性界面活性剤(成分D)とを含む試薬保持層を有する試験片の前記試薬保持層に所定量の検体を点着して前記検体と前記成分Aと前記成分Bと前記成分Cと前記成分Dとが混合した混合液を調製することを含み、
前記混合液において、
前記成分Cに対する前記成分Dの重量比(D/C)が、0.3~13であり、
前記成分Cの濃度が、0.4μg/μL~5.4μg/μLであり、
前記成分Dの濃度が、25μg/μL以下である、測定方法。
【請求項17】
前記試験片は、請求項1から請求項15のいずれか1項に記載の試験片である、請求項16に記載の測定方法。
【請求項18】
前記検体は、生体試料である、請求項16又は請求項17に記載の測定方法。
【請求項19】
前記生体試料は、血清又は血漿である、請求項18に記載の測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アルブミン測定用試験片に関し、特に、ブロモクレゾールパープル(BCP)改良法を用いたアルブミン測定用試験片及びそれを用いたアルブミンの測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生体試料中のアルブミンを測定する方法として、抗アルブミン血清を用いて抗原抗体複合物由来の散乱強度を測定する免疫学的測定法やブロモクレゾールグリーン(BCG)やBCPなどの色素を用いた色素結合法が知られており、色素結合法は日常検査で広く普及している。近年特に、BCP改良法が、免疫学的測定法との相関性の高い方法として汎用されている(特許文献1)。BCP改良法は、蛋白変性剤とスルフヒドリル試薬(SH試薬)とにより還元型アルブミンを酸化型アルブミンに変化させた後、BCPと反応させる方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-232233号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
BCP改良法は、アルブミンに特異性が高く、上記のとおり汎用されているが、BCP、蛋白変性剤、及びSH試薬を含有する溶液(液体試薬)と生体試料とを混合してアルブミンとBCPとを反応させる液系のアルブミン測定試薬が主流である。BCP、蛋白変性剤、及びSH試薬を含有する乾燥試薬と生体試料とを直接混合してアルブミンとBCPとを反応させるドライ系のアルブミン測定試薬は無かった。つまり、BCP、蛋白変性剤、及びSH試薬を含有する、BCP改良法を用いたアルブミン測定用試験片は無かった。
そこで、本開示は、BCP改良法を原理とし、高い感度でアルブミンを測定可能なアルブミン測定用試験片を提供し、好ましくは高い精度でアルブミンを測定可能なアルブミン測定用試験片を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、一態様において、支持体と、前記支持体上に設けられ、検体が点着される試薬保持層とを有する、前記検体に含まれるアルブミンを測定するためのアルブミン測定用試験片であって、前記試薬保持層は、蛋白質変性剤(成分A)、SH試薬(成分B)、BCP(成分C)、及び非イオン性界面活性剤(成分D)を含み、前記試薬保持層において、前記成分Cに対する前記成分Dの重量比(D/C)が0.3~13であり、前記検体の点着量に対する前記成分Cの含有量が0.4μg/μL~5.4μg/μLであり、前記検体の点着量に対する前記成分Dの含有量が25μg/μL以下である、アルブミン測定用試験片に関する。
【0006】
本開示は、その他の態様において、支持体と、前記支持体上に設けられ、検体が点着される試薬保持層とを有する、前記検体に含まれるアルブミンを測定するためのアルブミン測定用試験片であって、前記試薬保持層は、蛋白質変性剤(成分A)、SH試薬(成分B)、BCP(成分C)、及びポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテル(成分D)を含み、前記試薬保持層において、前記成分Cに対する前記成分Dの重量比(D/C)が1.3~13であり、前記検体の点着量に対する前記成分Cの含有量が0.4μg/μL~5μg/μLであり、前記検体の点着量に対する前記成分Dの含有量が20μg/μL以下である、アルブミン測定用試験片に関する。
【0007】
本開示は、その他の態様において、蛋白質変性剤及びSH試薬の存在下で、BCPの光学特性の測定値に基づいて検体中のアルブミン量を測定する方法であって、蛋白質変性剤(成分A)と、SH試薬(成分B)と、BCP(成分C)と、非イオン性界面活性剤(成分D)とを含む試薬保持層を有する試験片の前記試薬保持層に所定量の検体を点着して前記検体と前記成分A、B、C及びDとが混合した混合液を調製することを含み、前記混合液において、前記成分Cに対する成分Dの重量比(D/C)が0.3~13であり、成分Cの濃度が0.4μg/μL~5.4μg/μLであり、成分Dの濃度が25μg/μL以下である、アルブミンの測定方法に関する。
【0008】
本開示は、その他の態様において、蛋白質変性剤及びSH試薬の存在下で、BCPの光学特性の測定値に基づいて検体中のアルブミン量を測定する方法であって、蛋白質変性剤(成分A)と、SH試薬(成分B)と、BCP(成分C)と、ポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテル(成分D)とを含む試薬保持層を有する試験片の前記試薬保持層に所定量の検体を点着して前記検体と前記成分A、B、C及びDとが混合した混合液を調製することを含み、前記混合液において、前記成分Cに対する成分Dの重量比(D/C)が1.3~13であり、成分Cの濃度が0.4μg/μL~5μg/μLであり、成分Dの濃度が20μg/μL以下である、アルブミンの測定方法に関する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、BCP改良法を原理とし、アルブミンを高い感度で測定可能なアルブミン測定用試験片、好ましくは高い精度でアルブミンを測定可能なアルブミン測定用ドライ試験片を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本開示の実施形態1に係るアルブミン測定用試験片の構成を示し、図1(a)は斜視図であり、図1(b)はA-A縦断面図である。
図2図2は、実施例に基づくアルブミン測定用試験片の測定における点着した検体量に対するBCP(成分C)及びポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテル(Brij35)(成分D)の含有量の比率(D/C)及びその評価を示す。
図3図3は、実施例に基づくアルブミン測定用試験片の測定における試薬保持層の検体点着面(検体を点着する面)の単位面積あたりのBCP(成分C)及びポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテル(Brij35)(成分D)の含有量の比率(D/C)及びその評価を示す。
図4図4は、実施例5の試験片とBCP改良法の液体試薬との相関性試験の結果の一例を示すグラフである。
図5図5は、実施例に基づくアルブミン測定用試験片の測定における点着した検体量に対するBCP(成分C)及びポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル(エマルゲンA90)(成分D)の含有量の比率(D/C)及びその評価を示す。
図6図6は、実施例に基づくアルブミン測定用試験片の測定における試薬保持層の検体点着面(検体を点着する面)の単位面積あたりのBCP(成分C)及びポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル(エマルゲンA90)(成分D)の含有量の比率(D/C)及びその評価を示す。
図7図7は、実施例に基づくアルブミン測定用試験片の測定における点着した検体量に対するBCP(成分C)及びポリオキシエチレン(13)オレイルエーテル(エマルゲン420)(成分D)の含有量の比率(D/C)及びその評価を示す。
図8図8は、実施例に基づくアルブミン測定用試験片の測定における試薬保持層の検体点着面(検体を点着する面)の単位面積あたりのBCP(成分C)及びポリオキシエチレン(13)オレイルエーテル(エマルゲン420)(成分D)の含有量の比率(D/C)及びその評価を示す。
図9図9は、実施例に基づくアルブミン測定用試験片の測定における点着した検体量に対するBCP(成分C)及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル(エマルゲンLS110)(成分D)の含有量の比率(D/C)及びその評価を示す。
図10図10は、実施例に基づくアルブミン測定用試験片の測定における試薬保持層の検体点着面(検体を点着する面)の単位面積あたりのBCP(成分C)及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル(エマルゲンLS110)(成分D)の含有量の比率(D/C)及びその評価を示す。
図11図11は、実施例に基づくアルブミン測定用試験片の測定における点着した検体量に対するBCP(成分C)及びポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート(Tween20)(成分D)の含有量の比率(D/C)及びその評価を示す。
図12図12は、実施例に基づくアルブミン測定用試験片の測定における試薬保持層の検体点着面(検体を点着する面)の単位面積あたりのBCP(成分C)及びポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート(Tween20)(成分D)の含有量の比率(D/C)及びその評価を示す。
図13図13は、実施例に基づくアルブミン測定用試験片の測定における点着した検体量に対するBCP(成分C)及びポリオキシエチレン(12)ラウリルエーテル(エマルゲン120)(成分D)の含有量の比率(D/C)及びその評価を示す。
図14図14は、実施例に基づくアルブミン測定用試験片の測定における試薬保持層の検体点着面(検体を点着する面)の単位面積あたりのBCP(成分C)及びポリオキシエチレン(12)ラウリルエーテル(エマルゲン120)(成分D)の含有量の比率(D/C)及びその評価を示す。
図15図15は、実施例に基づくアルブミン測定用試験片の測定における点着した検体量に対するBCP(成分C)及びポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート(Tween80)(成分D)の含有量の比率(D/C)及びその評価を示す。
図16図16は、実施例に基づくアルブミン測定用試験片の測定における試薬保持層の検体点着面(検体を点着する面)の単位面積あたりのBCP(成分C)及びポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート(Tween80)(成分D)の含有量の比率(D/C)及びその評価を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
BCP改良法は、SDS等の蛋白質変性剤及びSH試薬存在下で、検体中の還元型アルブミンを酸化型アルブミンに酸化し、その酸化型アルブミンをBCPと結合させることによって生じるBCPの光学特性の変化、例えば吸光度の変化を測定する方法である。具体的には波長570~660nmの吸光度が測定される。
試験片等といったドライ系の測定の場合、乾燥試薬を液体検体によって溶解させるため、検体そのものの性状や光学特性が測定結果に大きく影響を及ぼす。特に、検体が血清や血漿である場合、溶血等によって検体中に赤血球から溶出したヘモグロビンが含まれている場合がある。ヘモグロビンは波長610nm付近に吸収を有するが、BCP改良法の測定波長も610nm付近であることから、ヘモグロビンの存在がアルブミンの測定に大きな影響を及ぼす。このため、ヘモグロビンの影響を除くための補正や較正を行うことも考えられるが、ドライ系の測定の場合、液系と比較して補正や較正を行うのは非常に困難でありまた煩雑である。
【0012】
本開示は、BCP改良法を用いた液系の測定において通常使用される試薬である蛋白質変性剤(成分A)、SH試薬(成分B)及びBCP(成分C)に加え、非イオン性界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテル等)(成分D)を試薬保持層に含有させ、かつ、その試薬保持層におけるBCP(成分C)に対するポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテル等の非イオン性界面活性剤(成分D)の比率(D/C、重量比)とこれらの含有量を所定の範囲にすることによって、アルブミンを高い感度で測定可能でき、好ましくは血清中のヘモグロビン等の共存物質の影響を抑制しつつ、高い精度でアルブミンを測定できるという知見に基づく。なお、ポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテルの括弧内の数字はオキシエチレン基の付加モル数を示す。
【0013】
本開示によれば、BCP改良法を原理とするアルブミン測定用ドライ系試験片を提供することができる。本開示によれば、BCP改良法を原理とし、高い感度でアルブミンを測定可能なアルブミン測定用ドライ系試験片を提供することができる。本開示によれば、一又は複数の実施形態において、検体中にヘモグロビンが含まれている場合であっても、好ましくは検体中のアルブミンを高い精度で測定することができる。
【0014】
[アルブミン測定用試験片]
本開示のアルブミン測定用試験片は、支持体と、支持体上に設けられた試薬保持層とを有し、BCP改良法に基づいてアルブミンを測定するための試験片である。試薬保持層は、蛋白質変性剤(成分A)、SH試薬(成分B)、BCP(成分C)及び非イオン性界面活性剤(成分D)を含み、試薬保持層における成分Cに対する成分Dの重量比(D/C)が0.3~13であり、試薬保持層に点着した検体量に対する成分Cの含有量が0.4μg/μL~5.4μg/μLであり、試薬保持層に点着した検体量に対する成分Dの含有量が25μg/μL以下である。
【0015】
試薬保持層は、アルブミンの測定に用いる試薬を含み、検体が点着される部位であって、一又は複数の実施形態において、後述するように多孔性物質等で構成されている。所定の量の検体をこの試薬保持層に点着すると、一又は複数の実施形態において、検体は試薬保持層全体に広がり試薬保持層中に保持され、試薬保持層全体は検体に浸される。この所定の検体点着量が試薬保持層の検体保持容量ということもできる。検体点着量と試薬保持層の検体保持容量とは実質的に同じである。検体の所定量(検体点着量)としては、適宜決定することができ、一又は複数の実施形態において、1~20μL程度である。
【0016】
本開示の試験片において試薬保持層は、一又は複数の実施形態において、乾燥した状態の試薬(乾燥試薬)を含有する。乾燥試薬は、一又は複数の実施形態において、蛋白質変性剤(成分A)、SH試薬(成分B)、BCP(成分C)、非イオン性界面活性剤(成分D)を乾燥した状態で含有する。本開示における「乾燥した」又は「乾燥試薬」とは、実質的に水を含有しないことをいい、固体状態の試薬をいう。
【0017】
[成分C]
BCP(成分C)は、一又は複数の実施形態において、通常市販されているものを使用することができる。BCPは、ブロモクレゾールパープル又はブロムクレゾールパープルとも称する。BCPの化学名は5,5'-ジブロモ-o-クレゾールスルホンフタレイン(CAS No.115-40-2)である。
【0018】
試薬保持層における成分Cに対する成分Dの比率(D/C、重量比)は、0.3~13であり、検体中のヘモグロビンの影響を抑制しつつ高い精度での測定が可能になる点から、1.3~13が好ましい。
【0019】
試薬保持層における検体の点着量に対する成分Cの含有量は、0.4μg/μL~5.4μg/μLであり、検体中のヘモグロビンの影響を抑制しつつ高い精度での測定が可能になる点から、0.4μg/μL~5μg/μLが好ましい。
【0020】
試薬保持層における成分Cの含有量は、5.8μg/cm2~77.2μg/cm2であり、検体中のヘモグロビンの影響を抑制しつつ高い精度での測定が可能になる点から、5.8μg/cm2~71.5μg/cm2が好ましい。なお、本開示にける試薬保持層における含有量(μg/cm2)は、試薬保持層の検体点着面(検体を点着する面)における単位面積あたりの含有量をいう。
【0021】
[成分D]
本開示における非イオン性界面活性剤としては、一又は複数の実施形態において、ポリオキシエチレン基を有する非イオン性界面活性剤である。ポリオキシエチレン基を有する非イオン性界面活性剤としては、一又は複数の実施形態において、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、及び脂肪酸エステル等が挙げられる。ポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、一又は複数の実施形態において、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、及びポリオキシエチレンミリスチルエーテル等が挙げられる。脂肪酸エステルとしては、一又は複数の実施形態において、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、及びポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート等が挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、一又は複数の実施形態において、ポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレン(13)オレイルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン(12)ラウリルエーテル、及びポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート等が挙げられる。
非イオン性界面活性剤は、一又は複数の実施形態において、1種類であってもよいし、複数種類であってもよい。
【0022】
本開示における非イオン性界面活性剤のエチレンオキシ基の平均付加モル数は、一又は複数の実施形態において、10、11、12又は13以上であり、若しくは25、24又は23以下である。
【0023】
本開示における非イオン性界面活性剤のHLBは、一又は複数の実施形態において、13~17、又は13.4~16.9である。本開示におけるHLBは、グリフィンHLB値をいう。グリフィンHLB値は、刊行物J. Soc. Cosm. Chem. 1954(第5巻)、249~256頁に定義されている。
【0024】
試薬保持層における検体の点着量に対する成分Dの含有量は、25μg/μL以下であり、検体中のヘモグロビンの影響を抑制しつつ高い精度での測定が可能になる点から、20μg/μL以下が好ましい。
【0025】
試薬保持層における成分Dの含有量は、357μg/cm2以下であり、検体中のヘモグロビンの影響を抑制しつつ高い精度での測定が可能になる点から、300μg/cm2以下が好ましい。
【0026】
本開示の試験片の試薬保持層に含まれる蛋白質変性剤(成分A)、SH試薬(成分B)及びBCP(成分C)は、BCP改良法を原理とするアルブミンの測定において必須とされる成分である。
【0027】
[成分A]
蛋白質変性剤(成分A)としては、一又は複数の実施形態において、陰イオン性界面活性剤、両イオン性界面活性剤、尿素、グアニジン塩類、無機塩、及びチオシアン酸塩等が挙げられる。成分Aは、一又は複数の実施形態において、一種類で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。蛋白質変性剤(成分A)は、一又は複数の実施形態において、成分Dとして使用する非イオン性界面活性剤を実質的に含まず、好ましくは非イオン性界面活性剤を実質的に含まない。本開示において「実質的に含まない」とは、蛋白質変性剤(成分A)中における非イオン性界面活性剤の含有量が、一又は複数の実施形態において、3質量%以下、1質量%以下、又は0.1質量%以下であり、好ましくは0質量%、即ち、含有しないことを意味する。
【0028】
グアニジン塩類としては、一又は複数の実施形態において、グアニジン塩酸塩及びグアニジン硫酸塩が挙げられる。無機塩としては、一又は複数の実施形態において、フッ化ナトリウム、アジ化ナトリウム、塩化ナトリウム及び塩化カリウム等が挙げられる。チオシアン酸塩類としては、一又は複数の実施形態において、チオシアン酸アンモニウム、チオシアン酸カリウム、及びチオシアン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0029】
成分Aとしては、一又は複数の実施形態において、陰イオン性界面活性剤が好ましい。陰イオン性界面活性剤としては、一又は複数の実施形態において、アルキル硫酸エステル系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、及びアルキルベンゼンスルホン酸塩等が挙げられる。アルキル硫酸エステル系界面活性剤としては、一又は複数の実施形態において、ラウリル硫酸ナトリウム(SDS)及びセチル硫酸ナトリウム等が挙げられる。ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩としては、一又は複数の実施形態において、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム等が挙げられる。ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩としては、一又は複数の実施形態において、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム及びポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸トリエタノールアミン等が挙げられる。アルキルベンゼンスルホン酸塩としては、一又は複数の実施形態において、ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウム及びセチルベンゼンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0030】
成分Aとしては、一又は複数の実施形態において、SDS及びラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウムが好ましい。
【0031】
試薬保持層における検体の点着量に対する成分Aの含有量は、一又は複数の実施形態において、0.1μg/μL~15μg/μLである。アルブミンに対してさらに高い感度が得られ、溶血した検体であってもより高い精度でのアルブミンの測定が可能になるという観点から、より好ましくは0.1μg/μL~5μg/μLである。
【0032】
試薬保持層における成分Aの含有量は、一又は複数の実施形態において、1μg/cm2~215μg/cm2である。アルブミンに対してさらに高い感度が得られ、溶血した検体であってもより高い精度でのアルブミンの測定が可能になるという観点から、好ましくは1μg/cm2~72μg/cm2である。
【0033】
[成分B]
SH試薬(成分B)としては、一又は複数の実施形態において、ジスルフィド体、酸化剤、アルキル化剤、マレイミド及びその誘導体、並びにチオフタルイミド等が挙げられる。成分Bは、一又は複数の実施形態において、一種類で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
【0034】
ジスルフィド体としては、一又は複数の実施形態において、5'-ジチオビス(2-ニトロ安息香酸)(DTNB)、2,2'-ジチオビス(5-ニトロピリジン)(NPDS)、2,2'-ジチオジピリジン(2-PDS)、4,4'-ジチオジピリジン(4-PDS)、4,4'-ジチオビス(1-アジドベンゼン)(DTBPA)及び酸化型グルタチオン等が挙げられる。酸化剤としては、一又は複数の実施形態において、ヨウ素,フェリシアン化物,ヨードソ安息香酸、ヨウ素酸塩、亜塩素酸塩類、水銀及び亜鉛等が挙げられる。アルキル化剤としては、一又は複数の実施形態において、ヨード酢酸、クロロ酢酸、ヨードアセトアミド及びクロロアセトフェノン等が挙げられる。マレイミド誘導体としては、一又は複数の実施形態において、N-メチルマレイミド、N-エチルマレイミド及びN,N'-p-フェニレンジマレイミド等が挙げられる。
【0035】
成分Bとしては、一又は複数の実施形態において、DTNB、2-PDS及び4-PDS等のジスルフィド体、マレイミド、並びにN-エチルマレイミド等のマレイミド誘導体が好ましい。
【0036】
試薬保持層における検体の点着量に対する成分Bの含有量は、一又は複数の実施形態において、0.0004μg/μL~8μg/μLである。アルブミンに対してさらに高い感度が得られ、溶血した検体であってもより高い精度でのアルブミンの測定が可能になるという観点から、好ましくは1.5μg/μL~2μg/μLである。
【0037】
試薬保持層における成分Bの含有量は、一又は複数の実施形態において、0.01μg/cm2~115μg/cm2である。アルブミンに対してさらに高い感度が得られ、溶血した検体であってもより高い精度でのアルブミンの測定が可能になるという観点から、好ましくは20μg/cm2~30μg/cm2である。
【0038】
試薬保持層は、一又は複数の実施形態において、緩衝剤及び/又は防腐剤等をさらに含有していてもよい。
【0039】
緩衝剤としては、一又は複数の実施形態において、酢酸塩、クエン酸塩、リン酸塩、コハク酸塩、リンゴ酸塩、及びグッド緩衝剤等が挙げられる。グッド緩衝剤としては、一又は複数の実施形態において、3-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)、及びBis-Tris等が挙げられる。好ましくは、クエン酸塩、リンゴ酸塩、コハク酸塩、3-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)である。緩衝剤のpKaとしては、一又は複数の実施形態において、4.5~6.0であり、好ましくは5.0~5.5である。アルブミンを含む検体を測定したときにBCPの強い発色が得て、アルブミンを含まない検体を測定したときのBCPの発色を抑える点から、試薬保持層に点着された検体(検体と試薬との混合液)のpHが4.5~6.0、好ましくは5.0~5.5となるように、緩衝剤を試薬保持層に含有させることが好ましい。
【0040】
試薬保持層は、一又は複数の実施形態において、上記試薬(成分A、B、C及びD等)を含む試薬液を試薬保持部材に含浸させ乾燥させたものであってもよいし、支持体上に試薬液を直接配置して乾燥させたものであってもよい。試薬保持部材としては、アルブミンの測定に用いる試薬を保持することができる部材であれば特定の部材に限定されない。試薬保持層に点着された試料(検体)は、試薬保持層中に広がり試薬と混合される。一又は複数の実施形態において、試薬保持部材として多孔性物質及び繊維性物質等が使用できる。試薬保持部材は、一又は複数の実施形態において、シート状であってもよいし、膜状であってもよい。試薬保持部材としては、一又は複数の実施形態において、紙状物、フォーム(発泡体)、織布状物、不織布状物、及び編物状物等が挙げられる。試薬保持部材を形成するための材料としては、一又は複数の実施形態において、綿、麻、セルロース、ニトロセルロース、セルロースアセテート、ロックウール、ガラス繊維、シリカ繊維、カーボン繊維、ボロン繊維、ポリアミド、アラミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、レーヨン、ポリエステル、ナイロン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、及びポリオレフィン等が挙げられる。試薬保持層の形状は、特に限定されず、一又は複数の実施形態において、矩形、長矩形、及び円形等が挙げられる。
【0041】
支持体は、一又は複数の実施形態において、液体浸透性を有しない材質が好ましい。支持体の材質としては、一又は複数の実施形態において、紙、プラスチック(合成樹脂)、及び金属等が挙げられる。
【0042】
以下に、本開示の試験片の一実施形態について説明する。
【0043】
[成分D:ポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテル]
本開示の試験片は、一態様において、成分Dとして、ポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテルを含有する。ポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテルとしては、一又は複数の実施形態において、Brij(登録商標)35(製品名、Polyoxyethylene 23 Lauryl Ether、分子量:1225)を使用することができる。
【0044】
本態様において、試薬保持層における成分Cに対する成分Dの比率(D/C、重量比)は、検体中のヘモグロビンの影響を抑制しつつ高い精度での測定が可能になる点から、1.3~13が好ましく、検体中のヘモグロビンの影響をより抑制しつつより高い精度での測定が可能になる点から、1.5~9.3が好ましい。アルブミンに対してさらに高い感度が得られ、溶血した検体であってもより高い精度でのアルブミンの測定が可能になるという観点から、より好ましくは1.5~2.9である。
【0045】
本態様において、試薬保持層における検体の点着量に対する成分Cの含有量は、検体中のヘモグロビンの影響を抑制しつつ高い精度での測定が可能になる点から、0.4μg/μL~5μg/μLが好ましく、検体中のヘモグロビンの影響をより抑制しつつより高い精度での測定が可能になる点から、0.5μg/μL~4.3μg/μLが好ましい。アルブミンに対してさらに高い感度が得られ、溶血した検体であってもより高い精度でのアルブミンの測定が可能になるという観点から、より好ましくは1.6μg/μL~3.8μg/μLである。
【0046】
本態様において、試薬保持層における検体の点着量に対する成分Dの含有量は、検体中のヘモグロビンの影響を抑制しつつ高い精度での測定が可能になる点から、20μg/μL以下が好ましく、検体中のヘモグロビンの影響をより抑制しつつより高い精度での測定が可能になる点から、1.3μg/μL~20μg/μLが好ましい。アルブミンに対してさらに高い感度が得られ、溶血した検体であってもより高い精度でのアルブミンの測定が可能になるという観点から、より好ましくは3.8μg/μL~8.8μg/μLである。
【0047】
[成分D:ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル]
本開示の試験片は、一態様において、成分Dとして、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテルを含有する。ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテルとしては、一又は複数の実施形態において、エマルゲンA90(花王株式会社製、HLB:14.5)を使用することができる。
【0048】
本態様において、試薬保持層における成分Cに対する成分Dの比率(D/C、重量比)は、検体中のヘモグロビンの影響をより抑制しつつより高い精度での測定が可能になる点から、1.2~10.6が好ましい。アルブミンに対してさらに高い感度が得られ、溶血した検体であってもより高い精度でのアルブミンの測定が可能になるという観点から、より好ましくは1.2~2.3である。
【0049】
本態様において、試薬保持層における検体の点着量に対する成分Cの含有量は、検体中のヘモグロビンの影響をより抑制しつつより高い精度での測定が可能になる点から、0.5μg/μL~5.4μg/μLが好ましい。アルブミンに対してさらに高い感度が得られ、溶血した検体であってもより高い精度でのアルブミンの測定が可能になるという観点から、より好ましくは2.2μg/μL~5.4μg/μLである。
【0050】
本態様において、試薬保持層における検体の点着量に対する成分Dの含有量は、検体中のヘモグロビンの影響をより抑制しつつより高い精度での測定が可能になる点から、23.0μg/μL以下が好ましい。アルブミンに対してさらに高い感度が得られ、溶血した検体であってもより高い精度でのアルブミンの測定が可能になるという観点から、12.5μg/μL以下がより好ましく、さらに好ましくは3.8μg/μL~12.5μg/μLである。
【0051】
[成分D:ポリオキシエチレン(13)オレイルエーテル]
本開示の試験片は、一態様において、成分Dとして、ポリオキシエチレン(13)オレイルエーテルを含有する。ポリオキシエチレン(13)オレイルエーテルとしては、一又は複数の実施形態において、エマルゲン420(花王株式会社製、HLB:13.6)を使用することができる。
【0052】
本態様において、試薬保持層における成分Cに対する成分Dの比率(D/C、重量比)は、検体中のヘモグロビンの影響をより抑制しつつより高い精度での測定が可能になる点から、0.9~9.3が好ましい。アルブミンに対してさらに高い感度が得られるという観点から、より好ましくは0.9~2.3である。
【0053】
本態様において、試薬保持層における検体の点着量に対する成分Cの含有量は、検体中のヘモグロビンの影響をより抑制しつつより高い精度での測定が可能になる点から、0.5μg/μL~5.4μg/μLが好ましい。さらに高い感度が得られるという観点から、より好ましくは2.2μg/μL~5.4μg/μLである。
【0054】
本態様において、試薬保持層における検体の点着量に対する成分Dの含有量は、検体中のヘモグロビンの影響をより抑制しつつより高い精度での測定が可能になる点から、12.5μg/μL以下が好ましい。アルブミンに対してさらに高い感度が得られ、溶血した検体であってもより高い精度でのアルブミンの測定が可能になるという観点から、より好ましくは3.8μg/μL~12.5μg/μLである。
【0055】
[成分D:ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル]
本開示の試験片は、一態様において、成分Dとして、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルを含有する。ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルとしては、一又は複数の実施形態において、エマルゲンLS110(花王株式会社製、HLB:13.4)を使用することができる。
【0056】
本態様において、試薬保持層における成分Cに対する成分Dの比率(D/C、重量比)は、検体中のヘモグロビンの影響をより抑制しつつより高い精度での測定が可能になる点から、1.2~2.3が好ましい。
【0057】
本態様において、試薬保持層における検体の点着量に対する成分Cの含有量は、検体中のヘモグロビンの影響をより抑制しつつより高い精度での測定が可能になる点から、2.2μg/μL~5.4μg/μLが好ましい。
【0058】
本態様において、試薬保持層における検体の点着量に対する成分Dの含有量は、検体中のヘモグロビンの影響をより抑制しつつより高い精度での測定が可能になる点から、12.5μg/μL以下が好ましく、より好ましくは3.8μg/μL~12.5μg/μLである。
【0059】
[成分D:ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート]
本開示の試験片は、一態様において、成分Dとして、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートを含有する。ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートとしては、一又は複数の実施形態において、Tween20(HLB:16.7)を使用することができる。
【0060】
本態様において、試薬保持層における成分Cに対する成分Dの比率(D/C、重量比)は、検体中のヘモグロビンの影響をより抑制しつつより高い精度での測定が可能になる点から、1.7~2.3が好ましい。
【0061】
本態様において、試薬保持層における検体の点着量に対する成分Cの含有量は、検体中のヘモグロビンの影響をより抑制しつつより高い精度での測定が可能になる点から、2.2μg/μL~4.3μg/μLが好ましい。
【0062】
本態様において、試薬保持層における検体の点着量に対する成分Dの含有量は、検体中のヘモグロビンの影響をより抑制しつつより高い精度での測定が可能になる点から、10.0μg/μL以下が好ましく、より好ましくは3.8μg/μL~10.0μg/μLである。
【0063】
[成分D:ポリオキシエチレン(12)ラウリルエーテル]
本開示の試験片は、一態様において、成分Dとして、ポリオキシエチレン(12)ラウリルエーテルを含有する。ポリオキシエチレン(12)ラウリルエーテルとしては、一又は複数の実施形態において、エマルゲン120(花王株式会社製、HLB:15.3)を使用することができる。
【0064】
本態様において、試薬保持層における成分Cに対する成分Dの比率(D/C、重量比)は、検体中のヘモグロビンの影響をより抑制しつつより高い精度での測定が可能になる点から、1.2~2.3が好ましく、アルブミンに対してさらに高い感度が得られ、溶血した検体であってもより高い精度でのアルブミンの測定が可能になるという観点から、より好ましくは1.2~1.4である。
【0065】
本態様において、試薬保持層における検体の点着量に対する成分Cの含有量は、検体中のヘモグロビンの影響をより抑制しつつより高い精度での測定が可能になる点から、2.2μg/μL~4.3μg/μLが好ましく、アルブミンに対してさらに高い感度が得られ、溶血した検体であってもより高い精度でのアルブミンの測定が可能になるという観点から、より好ましくは2.2μg/μL~3.1μg/μLである。
【0066】
本態様において、試薬保持層における検体の点着量に対する成分Dの含有量は、検体中のヘモグロビンの影響をより抑制しつつより高い精度での測定が可能になる点から、5.0μg/μL以下が好ましく、アルブミンに対してさらに高い感度が得られ、溶血した検体であってもより高い精度でのアルブミンの測定が可能になるという観点から、より好ましくは1.3μg/μL~3.8μg/μLである。
【0067】
[成分D:ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート]
本開示の試験片は、一態様において、成分Dとして、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエートを含有する。ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエートとしては、一又は複数の実施形態において、Tween80(HLB:15.0)を使用することができる。
【0068】
本態様において、試薬保持層における成分Cに対する成分Dの比率(D/C、重量比)は、検体中のヘモグロビンの影響をより抑制しつつより高い精度での測定が可能になる点から、1.2~13.9又は1.2~10.6が好ましく、アルブミンに対してさらに高い感度が得られ、溶血した検体であってもより高い精度でのアルブミンの測定が可能になるという観点から、1.2~2.3がより好ましい。
【0069】
本態様において、試薬保持層における検体の点着量に対する成分Cの含有量は、検体中のヘモグロビンの影響をより抑制しつつより高い精度での測定が可能になる点から、0.5μg/μL~5.4μg/μLが好ましく、アルブミンに対してさらに高い感度が得られ、溶血した検体であってもより高い精度でのアルブミンの測定が可能になるという観点から、2.2μg/μL~5.4μg/μLがより好ましい。
【0070】
成分Dとしてポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエートを含有する本開示の試験片は、試薬保持層における検体の点着量に対する成分Dの含有量が25μg/μLを超える場合、例えば、30μg/μLの場合であっても、高い精度でのアルブミンの測定が可能である。
本態様において、試薬保持層における検体の点着量に対する成分Dの含有量は、検体中のヘモグロビンの影響をより抑制しつつより高い精度での測定が可能になる点から、30μg/μL以下、25μg/μL以下又は23μg/μL以下が好ましく、アルブミンに対してさらに高い感度が得られ、溶血した検体であってもより高い精度でのアルブミンの測定が可能になるという観点から、12.5μg/μL以下がより好ましく、さらに好ましくは2.5μg/μL~12.5μg/μLである。
【0071】
よって、本開示は、その他の態様において、支持体と、前記支持体上に設けられ、検体が点着される試薬保持層とを有する、前記検体に含まれるアルブミンを測定するためのアルブミン測定用試験片であって、前記試薬保持層は、蛋白質変性剤(成分A)、SH試薬(成分B)、BCP(成分C)、及びポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート(成分D)を含み、前記試薬保持層において、前記成分Cに対する前記成分Dの重量比(D/C)が1.2~13.9であり、前記検体の点着量に対する前記成分Cの含有量が0.5μg/μL~5.4μg/μLであり、前記検体の点着量に対する前記成分Dの含有量が30μg/μL以下である、アルブミン測定用試験片に関する。
【0072】
本開示の試験片は、一又は複数の実施形態において、生体試料中のアルブミンを測定するために使用でき、とりわけ、溶血検体であっても好適に血清中または血漿中のアルブミンを測定することができうる。
【0073】
[アルブミンの測定方法]
本開示は、その他の態様において、蛋白質変性剤及びSH試薬の存在下で、BCPの光学特性の測定値に基づいて検体中のアルブミン量を測定する方法に関する。本開示の測定方法は、蛋白質変性剤(成分A)と、SH試薬(成分B)と、BCP(成分C)と、非イオン性界面活性剤(成分D)とを含む試薬保持層を有する試験片の前記試薬保持層に所定量の検体を点着して前記検体と前記成分A、B、C及びDとが混合した混合液を調製することを含み、前記混合液において、成分Cに対する成分Dの比率(D/C、重量比)が0.3~13であり、成分Cの濃度が0.4μg/μL~5.4μg/μLであり、成分Dの濃度が25μg/μL以下である。
【0074】
本開示における検体は、一又は複数の実施形態において、液体の検体であって、血清及び血漿等の生体試料等が挙げられる。本開示の測定方法において、一又は複数の実施形態において、試験片に設けられた試薬保持層に検体(液体)を点着(滴下)すると、検体が試薬保持層中を広がり、試薬保持層に含まれる試薬が検体中に溶解し、検体と試薬との混合液が形成する。
【0075】
前記混合液における成分Cの濃度は、0.4μg/μL~5.4μg/μLである。
【0076】
前記混合液における成分Dの濃度は、25μg/μL以下である。
【0077】
前記混合液における成分Cに対する成分Dの比率(D/C、重量比)は、本開示の試験片と同様である。
【0078】
前記混合液における成分Aの濃度は、一又は複数の実施形態において、0.1μg/μL~15μg/μLである。アルブミンに対してさらに高い感度が得られ、溶血した検体であってもより高い精度でのアルブミンの測定が可能になるという観点から、より好ましくは0.1μg/μL~5μg/μLである。
【0079】
前記混合液における成分Bの濃度は、一又は複数の実施形態において、0.0004μg/μL~8μg/μLである。アルブミンに対してさらに高い感度が得られ、溶血した検体であってもより高い精度でのアルブミンの測定が可能になるという観点から、より好ましくは1.5μg/μL~2μg/μLである。
【0080】
混合液は、一又は複数の実施形態において、さらに緩衝剤を含んでいてもよい。混合液における緩衝剤の濃度は混合液を所定のpHに保つことができる濃度であれば良い。例えば混合液における緩衝剤の濃度は、一又は複数の実施形態において、300mmol/L~500mmol/Lである。試薬保持層は、一又は複数の実施形態において、検体点着後における試薬保持層(混合液)のpHが4.5~6.0、好ましくは5.0~5.5となるように緩衝剤が含有されることが好ましい。
【0081】
本開示において混合液における各薬剤の濃度は、本開示の試験片を用いて測定を行った場合、試験片(試薬保持層)における各薬剤の含有量(μg/cm2)に、試薬保持層の面積(cm2)を乗じて、かつ試薬保持層に滴下した検体量を除することによって算出することができる。具体的には、下記式により算出できる。
(混合液における濃度)=試薬保持層における薬剤の含有量(μg/cm2)×試薬保持層の面積(cm2)÷検体量(μL)
【0082】
本開示の測定方法における成分A、B、C及びD並びに緩衝剤は、本開示の試験片と同様である。試験片における成分Cに対する成分Dの比率(D/C)、並びに成分A、B、C及びDの含有量は、本開示の試験片と同様である。
【0083】
以下に、本開示の測定方法の一実施形態について説明する。
【0084】
[成分D:ポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテル]
本開示の測定方法は、一態様において、成分Dとして、ポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテルを使用する。
よって、本開示は、その他の態様において、蛋白質変性剤及びSH試薬の存在下で、BCPの光学特性の測定値に基づいて検体中のアルブミン量を測定する方法に関する。本開示の測定方法は、蛋白質変性剤(成分A)と、SH試薬(成分B)と、BCP(成分C)と、ポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテル(成分D)とを含む試薬保持層を有する試験片の前記試薬保持層に所定量の検体を点着して前記検体と前記成分A、B、C及びDとが混合した混合液を調製することを含み、前記混合液において、成分Cに対する成分Dの比率(D/C、重量比)が1.3~13であり、成分Cの濃度が0.4μg/μL~5μg/μLであり、成分Dの濃度が20μg/μL以下である。
本態様において、前記混合液における成分Cの濃度は、検体中のヘモグロビンの影響を抑制しつつ高い精度での測定が可能になる点から、0.4μg/μL~5μg/μLが好ましく、検体中のヘモグロビンの影響をより抑制しつつより高い精度での測定が可能になる点から、0.5μg/μL~4.3μg/μLが好ましい。アルブミンに対してさらに高い感度が得られ、溶血した検体であってもより高い精度でのアルブミンの測定が可能になるという観点から、より好ましくは1.6μg/μL~3.8μg/μLである。
【0085】
本態様において、前記混合液における成分Dの濃度は、検体中のヘモグロビンの影響を抑制しつつ高い精度での測定が可能になる点から、20μg/μL以下が好ましく、検体中のヘモグロビンの影響をより抑制しつつより高い精度での測定が可能になる点から、1.3μg/μL~20μg/μLが好ましい。アルブミンに対してさらに高い感度が得られ、溶血した検体であってもより高い精度でのアルブミンの測定が可能になるという観点から、より好ましくは3.8μg/μL~8.8μg/μLである。
【0086】
本態様において、前記混合液における成分Cに対する成分Dの比率(D/C、重量比)及びその好ましい範囲は、上記の成分Dとしてポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテルを含有する試験片と同様である。本態様において、前記混合液における成分Aの濃度及び成分Bの濃度は、上述の通りである。
【0087】
[成分D:ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル]
本開示の測定方法は、一態様において、成分Dとして、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテルを使用する。本態様において、前記混合液における成分Cの濃度は、検体中のヘモグロビンの影響をより抑制しつつより高い精度での測定が可能になる点から、0.5μg/μL~5.4μg/μLが好ましい。アルブミンに対してさらに高い感度が得られ、溶血した検体であってもより高い精度でのアルブミンの測定が可能になるという観点から、より好ましくは2.2μg/μL~5.4μg/μLである。
【0088】
本態様において、前記混合液における成分Dの濃度は、検体中のヘモグロビンの影響をより抑制しつつより高い精度での測定が可能になる点から、23.0μg/μL以下が好ましい。アルブミンに対してさらに高い感度が得られ、溶血した検体であってもより高い精度でのアルブミンの測定が可能になるという観点から、12.5μg/μL以下がより好ましく、さらに好ましくは3.8μg/μL~12.5μg/μLである。
【0089】
本態様において、前記混合液における成分Cに対する成分Dの比率(D/C、重量比)及びその好ましい範囲は、上記の成分Dとしてポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテルを含有する試験片と同様である。本態様において、前記混合液における成分Aの濃度及び成分Bの濃度は、上述の通りである。
【0090】
[成分D:ポリオキシエチレン(13)オレイルエーテル]
本開示の測定方法は、一態様において、成分Dとして、ポリオキシエチレン(13)オレイルエーテルを使用する。本態様において、前記混合液における成分Cの濃度は、検体中のヘモグロビンの影響をより抑制しつつより高い精度での測定が可能になる点から、0.5μg/μL~5.4μg/μLが好ましい。アルブミンに対してさらに高い感度が得られ、溶血した検体であってもより高い精度でのアルブミンの測定が可能になるという観点から、より好ましくは2.2μg/μL~5.4μg/μLである。
【0091】
本態様において、前記混合液における成分Dの濃度は、検体中のヘモグロビンの影響をより抑制しつつより高い精度での測定が可能になる点から、12.5μg/μL以下が好ましい。アルブミンに対してさらに高い感度が得られ、溶血した検体であってもより高い精度でのアルブミンの測定が可能になるという観点から、より好ましくは3.8μg/μL~12.5μg/μLである。
【0092】
本態様において、前記混合液における成分Cに対する成分Dの比率(D/C、重量比)及びその好ましい範囲は、上記の成分Dとしてポリオキシエチレン(13)オレイルエーテルを含有する試験片と同様である。本態様において、前記混合液における成分Aの濃度及び成分Bの濃度は、上述の通りである。
【0093】
[成分D:ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル]
本開示の測定方法は、一態様において、成分Dとして、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルを使用する。本態様において、前記混合液における成分Cの濃度は、検体中のヘモグロビンの影響をより抑制しつつより高い精度での測定が可能になる点から、2.2μg/μL~5.4μg/μLが好ましい。
【0094】
本態様において、前記混合液における成分Dの濃度は、検体中のヘモグロビンの影響をより抑制しつつより高い精度での測定が可能になる点から、12.5μg/μL以下が好ましく、より好ましくは3.8μg/μL~12.5μg/μLである。
【0095】
本態様において、前記混合液における成分Cに対する成分Dの比率(D/C、重量比)及びその好ましい範囲は、上記の成分Dとしてポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルを含有する試験片と同様である。本態様において、前記混合液における成分Aの濃度及び成分Bの濃度は、上述の通りである。
【0096】
[成分D:ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート]
本開示の測定方法は、一態様において、成分Dとして、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートを使用する。本態様において、前記混合液における成分Cの濃度は、検体中のヘモグロビンの影響をより抑制しつつより高い精度での測定が可能になる点から、2.2μg/μL~4.3μg/μLが好ましい。
【0097】
本態様において、前記混合液における成分Dの濃度は、検体中のヘモグロビンの影響をより抑制しつつより高い精度での測定が可能になる点から、10.0μg/μL以下が好ましく、より好ましくは3.8μg/μL~10.0μg/μLである。
【0098】
本態様において、前記混合液における成分Cに対する成分Dの比率(D/C、重量比)及びその好ましい範囲は、上記の成分Dとしてポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートを含有する試験片と同様である。本態様において、前記混合液における成分Aの濃度及び成分Bの濃度は、上述の通りである。
【0099】
[成分D:ポリオキシエチレン(12)ラウリルエーテル]
本開示の測定方法は、一態様において、成分Dとして、ポリオキシエチレン(12)ラウリルエーテルを使用する。本態様において、前記混合液における成分Cの濃度は、検体中のヘモグロビンの影響をより抑制しつつより高い精度での測定が可能になる点から、2.2μg/μL~4.3μg/μLが好ましく、アルブミンに対してさらに高い感度が得られ、溶血した検体であってもより高い精度でのアルブミンの測定が可能になるという観点から、より好ましくは2.2μg/μL~3.1μg/μLである。
【0100】
本態様において、前記混合液における成分Dの濃度は、検体中のヘモグロビンの影響をより抑制しつつより高い精度での測定が可能になる点から、5.0μg/μL以下が好ましく、アルブミンに対してさらに高い感度が得られ、溶血した検体であってもより高い精度でのアルブミンの測定が可能になるという観点から、より好ましくは1.3μg/μL~3.8μg/μLである。
【0101】
本態様において、前記混合液における成分Cに対する成分Dの比率(D/C、重量比)及びその好ましい範囲は、上記の成分Dとしてポリオキシエチレン(12)ラウリルエーテルを含有する試験片と同様である。本態様において、前記混合液における成分Aの濃度及び成分Bの濃度は、上述の通りである。
【0102】
[成分D:ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート]
本開示の測定方法は、一態様において、成分Dとして、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエートを使用する。本態様において、前記混合液における成分Cの濃度は、検体中のヘモグロビンの影響をより抑制しつつより高い精度での測定が可能になる点から、0.5μg/μL~5.4μg/μLが好ましく、アルブミンに対してさらに高い感度が得られ、溶血した検体であってもより高い精度でのアルブミンの測定が可能になるという観点から、2.2μg/μL~5.4μg/μLがより好ましい。
【0103】
成分Dとしてポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエートを含有する本開示の試験片を用いて測定を行った場合、試薬保持層における検体の点着量に対する成分Dの含有量が25μg/μLを超える場合、例えば、30μg/μLの場合であっても、成分Cを検体に十分に溶解でき、かつ高い精度でアルブミンを測定することができる。
本態様において、前記混合液における成分Dの濃度は、検体中のヘモグロビンの影響をより抑制しつつより高い精度での測定が可能になる点から、30μg/μL以下、25μg/μL以下又は23.0μg/μL以下が好ましく、アルブミンに対してさらに高い感度が得られ、溶血した検体であってもより高い精度でのアルブミンの測定が可能になるという観点から、12.5μg/μL以下がより好ましく、さらに好ましくは2.5μg/μL~12.5μg/μLである。
【0104】
本開示は、その他の態様において、蛋白質変性剤及びSH試薬の存在下で、BCPの光学特性の測定値に基づいて検体中のアルブミン量を測定する方法に関する。本開示の測定方法は、蛋白質変性剤(成分A)と、SH試薬(成分B)と、BCP(成分C)と、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート(成分D)とを含む試薬保持層を有する試験片の前記試薬保持層に所定量の検体を点着して前記検体と前記成分A、B、C及びDとが混合した混合液を調製することを含み、前記混合液において、成分Cに対する成分Dの比率(D/C、重量比)が1.2~13.9であり、成分Cの濃度が0.5μg/μL~5.4μg/μLであり、成分Dの濃度が30μg/μL以下である。
【0105】
本態様において、前記混合液における成分Cに対する成分Dの比率(D/C、重量比)及びその好ましい範囲は、上記の成分Dとしてポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエートを含有する試験片と同様である。本態様において、前記混合液における成分Aの濃度及び成分Bの濃度は、上述の通りである。
【0106】
[アルブミン測定用試験片の製造方法]
本開示は、その他の態様において、本開示のアルブミン測定用試験片の製造方法に関する。本開示の製造方法は、一又は複数の実施形態において、蛋白質変性剤(成分A)、SH試薬(成分B)、BCP(成分C)、及び非イオン性界面活性剤(成分D)を混合して含浸液を調製すること、含浸液に試薬保持部材に含浸させること、試薬保持部材に含浸した含浸液を乾燥させること、及び含浸液を含浸させた試薬保持部材を支持体に貼付することを含み、成分Cに対する成分Dの比率(D/C、重量比)が0.3~13であり、使用時の検体の点着量に対する成分Cの濃度が0.4μg/μL~5.4μg/μLであり、使用時の検体の点着量に対する成分Dの濃度が25μg/μL以下となるように含浸液の調製を行うことを含む。
【0107】
本開示の製造方法における使用時の検体の点着量に対する成分C及び成分Dの濃度及びその好ましい範囲は、本開示の測定方法における混合液における濃度と同様である。本開示の製造方法における成分Cに対する成分Dの比率(D/C)及びその好ましい範囲は、本開示の試験片と同様である。
【0108】
本開示は、その他の態様において、本開示のアルブミン測定用試験片の製造方法に関する。本開示の製造方法は、一又は複数の実施形態において、蛋白質変性剤(成分A)、SH試薬(成分B)、BCP(成分C)、及びポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテル(成分D)を混合して含浸液を調製すること、含浸液に試薬保持部材に含浸させること、試薬保持部材に含浸した含浸液を乾燥させること、及び含浸液を含浸させた試薬保持部材を支持体に貼付することを含み、成分Cに対する成分Dの比率(D/C、重量比)が1.3~13であり、使用時の検体の点着量に対する成分Cの濃度が0.4μg/μL~5μg/μLであり、使用時の検体の点着量に対する成分Dの濃度が20μg/μL以下となるように含浸液の調製を行うことを含む。
【0109】
本開示の製造方法は、一又は複数の実施形態において、含浸液の調製において、使用時の検体の点着量に対する成分Aの濃度が、0.1μg/μL~15μg/μLとなるように、含浸量の調製を行うことを含んでいてもよい。本開示の製造方法は、一又は複数の実施形態において、含浸量の調製において、使用時の検体の点着量に対する成分Bの濃度が、0.0004μg/μL~8μg/μLとなるように、含浸液の調製を行うことを含んでいてもよい。
【0110】
本開示の製造方法は、一又は複数の実施形態において、含浸液の調製において、成分A、成分B、成分C及び成分Dを、緩衝剤と混合することをさらに含んでいてもよい。緩衝剤は、一又は複数の実施形態において、使用時の検体点着後における試薬保持層のpHが、4.5~6.0、好ましくは5.0~5.5となるように成分A、成分B、成分C及び成分Dと混合することが好ましい。
【0111】
[実施の形態1]
実施の形態1に係るアルブミン測定用試験片1は、図1(a)に示すように、細長い短冊形状の支持体2と、その一端に形成された試薬保持層3とから構成される。図1(b)に示すように、試薬保持層3は、粘着剤(図示せず)等により支持体2上に接着して配置されている。
【0112】
実施の形態1に係るアルブミン測定用試験片1は、以下のようにして作製することができる。なお、本実施の形態1では成分Dとしてポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテルを使用した形態を例にとり説明する。
【0113】
まず、支持体2を作製する。支持体2は、PETシートを所定の寸法を有する細長い片として切り出し、支持体2が作製される。支持体2の幅及び長さは、一又は複数の実施形態において、測定に使用する検体の量に応じて適宜決定できる。支持体2の幅は、検体の点着量が5μL程度である場合、一又は複数の実施形態において、5mm~1cm程度である。支持体2の長さは、一又は複数の実施形態において、5cm~15cm程度である。
【0114】
次に、試薬保持層3を作製する。まず、試薬保持層に含浸させる含浸液を調製する。蒸留水に、BCP(成分C)、ポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテル(製品名:Brij35)(成分D)、1M コハク酸/NaOH緩衝液 pH5.5、SDS(成分A)及びDTNB(成分B)をこの順番で順次加えて撹拌し、分散させることによって含浸液を調製する。このとき、含浸液における成分Cに対する成分Dの比率(D/C、重量比)を1.3~13とし、使用時の検体の点着量に対する成分Cの濃度を0.4μg/μL~5μg/μL、使用時の検体の点着量に対する成分Dの濃度を20μg/μL以下となるように調製する。また、コハク酸/NaOH緩衝液は、検体点着後の反応液(検体と試薬との混合液)のpHが4.5~6.0、好ましくは5.0~5.5になるように含浸液に加える。
【0115】
調製した含浸液を、布帛材等といった液体浸透性を有する材質の試薬保持部材に吸収させることによって、含浸液に含まれる試薬を試薬保持部材に分散させる。そして乾燥して水分を除去し、所定の大きさに切り出すことによって試薬保持層3を作製する。試薬保持層3の大きさは、支持体2の幅や測定に使用する検体の量に応じて適宜決定できる。検体の試験量が5μL程度である場合、試薬保持層3の大きさは、一又は複数の実施形態において、5mm~10mm×5mm~10mm程度である。試薬保持層3の厚みは100μm~500μm程度である。
【0116】
次に、試薬保持層3を、支持体2上に配置する。試薬保持層3は、一又は複数の実施形態において、接着剤や粘着剤によって支持体2上に接着することができる。
【0117】
このようにして、アルブミン測定用試験片1を作製することができる。
【0118】
本実施の形態1に係るアルブミン測定用試験片1を用いたアルブミンの測定は、次のようにして行うことができる。
【0119】
予め定められた一定量(例えば、5μL程度)の血清を、試薬保持層3(5mm×7mm、厚み:235μm)に滴下する。液状の検体は、試薬保持層3全体に瞬時に拡散し、すべての試薬を一体化させ、検体に試薬が溶解した混合液(反応液)が試薬保持層3内に調製される。混合液中における成分Cの濃度は0.4μg/μL~5μg/μLであり、成分Dの濃度が20μg/μL以下である。
【0120】
BCP(成分C)は、還元型アルブミンよりも酸化型アルブミンで発色しやすい傾向がある。このため、混合液において、SDS(成分A)はアルブミンを変性し、DTNB(成分B)は検体中の変性されたアルブミンや還元型アルブミンにジスルフィド結合を形成することによって酸化型アルブミンにする。BCPはアルブミン(酸化型アルブミン)と結合してBCP-アルブミン複合体を形成し、混合液の色調が黄色から緑色に変化する。よって、混合液を含む試薬保持層3は、検体に含まれるアルブミン濃度に応じて黄色から緑色に色調が変化する。
【0121】
ついで、試薬保持層3に光を照射し、試薬保持層を反射した光や試薬保持層を通過した光の強度を測定する。測定は、一又は複数の実施形態において、検体点着後120秒~300秒後、好ましくは180秒後に行うことができる。波長は、BCP-アルブミン複合体の色調を測定できる波長であればよく、一又は複数の実施形態において、570nm~660nmであり、好ましくは600nm~630nm又は610nm付近である。測定時の温度は、一又は複数の実施形態において、15℃~37℃である。
【0122】
試薬保持層3に光を照射し、試薬保持層3から反射した反射光を受光することによって、着色の度合い(K/S値)を算出してもよい。K/S値は、可視光の反射率をRとすると、下記のKubelka-Munk式で算出できる。
K/S=(1-R)2/2R
【0123】
光の強度の測定は、市販の光学分析装置を用いて行うことができる。また光学分析装置としては、一又は複数の実施形態において、スポットケム(登録商標)(アークレイ株式会社製)が挙げられる。
【0124】
本実施の形態1のアルブミン測定用試験片によれば、試薬保持層3に成分C(BCP)及び成分D(ポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテル、Brij35)が所定の比率で含有されていることから、例えば、上記測定波長である波長610nm付近に吸収する性質を有するヘモグロビンが血清中に含まれている場合であっても、別途補正処理を行わずに、ヘモグロビンの影響を抑制することができる。このため、高い精度で血清中のアルブミンを測定することができ、好ましくは定量することができる。
【0125】
実施の形態1では成分Dとしてポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテルを使用した形態を例にとり説明したが、本開示における成分Dはこれに限定されず、その他の成分D(非イオン性界面活性剤)を用いた場合であっても同様に製造及び測定することができる。
【0126】
実施の形態1では、試薬保持部材として布帛材を使用した形態を例にとり説明したが、試薬保持部材の材質はこれに限定されず、試薬を保持可能なさまざまな材質が使用でき、ろ紙等の繊維体等であってもよい。
【0127】
実施の形態1では、試薬保持層3として含浸液に含浸させた試薬保持部材を支持体2に配置した形態を例にとり説明したが、試薬保持層3の形成方法はこれに限定されない。試薬保持層3は、一又は複数の実施形態において、含浸液を試薬保持部材に含浸させることなく、含浸液を支持体2に直接滴下して乾燥させることによって、支持体2上に直接に形成してもよい。この場合(試薬保持層3が試薬保持部材を含有しない形態の場合)、支持体2上に滴下された含浸液や検体が所定の面積範囲に留まり保持されるように、支持体2上を疎水性処理したり、支持体2上に窪みを設けるなどしてもよい。
【0128】
実施の形態1では、試薬保持層3に滴下する検体の量が5μL程度の形態を例にとり説明したが、検体の量はこれに限定されない。また試薬保持層3への検体の供給方法も試薬保持層3に検体を滴下することに限定されない。試薬保持層3に検体を点着してもよいし、容器に入った検体に試薬保持層3を潜らせて試薬保持層3に検体を含浸させてもよい。
【0129】
実施の形態1では、試薬保持層3に照射する光の反射率を用いてBCPの色調を測定する形態を例にとり説明したが、BCPの色調を測定する方法はこれに限定されず、透過光を用いて測定してもよい。
【0130】
本開示は以下の限定されない一又は複数の実施形態に関しうる。
[1] 支持体と、
前記支持体上に設けられ、検体が点着される試薬保持層とを有する、
前記検体に含まれるアルブミンを測定するためのアルブミン測定用試験片であって、
前記試薬保持層は、蛋白質変性剤(成分A)、SH試薬(成分B)、ブロムクレゾールパープル(成分C)、及び非イオン性界面活性剤(成分D)を含み、
前記試薬保持層において、
前記成分Cに対する前記成分Dの重量比(D/C)が、0.3~13であり、
前記検体の点着量に対する前記成分Cの含有量が、0.4μg/μL~5.4μg/μLであり、
前記検体の点着量に対する前記成分Dの含有量が、25μg/μL以下である、アルブミン測定用試験片。
[2] 前記成分Cに対する前記成分Dの重量比(D/C)が、1.3~13であり、
前記検体の点着量に対する前記成分Cの含有量が、0.4μg/μL~5μg/μLであり、
前記検体の点着量に対する前記成分Dの含有量が、20μg/μL以下である、[1]に記載の試験片。
[3] 前記非イオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレン基を有する非イオン性界面活性剤である、[1]又は[2]に記載の試験片。
[4] 前記非イオン性界面活性剤のHLB値が、13.4~16.9である、[1]から[3]のいずれかに記載の試験片。
[5] 前記非イオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレン(13)オレイルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン(12)ラウリルエーテル、及びポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエートからなる群から選択される1又は複数の非イオン性界面活性剤である、[1]から[4]のいずれかに記載の試験片。
[6] 支持体と、
前記支持体上に設けられ、検体が点着される試薬保持層とを有する、
前記検体に含まれるアルブミンを測定するためのアルブミン測定用試験片であって、
前記試薬保持層は、蛋白質変性剤(成分A)、SH試薬(成分B)、ブロムクレゾールパープル(成分C)、及びポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテル(成分D)を含み、
前記試薬保持層において、
前記成分Cに対する前記成分Dの重量比(D/C)が、1.3~13であり、
前記検体の点着量に対する前記成分Cの含有量が、0.4μg/μL~5μg/μLであり、
前記検体の点着量に対する前記成分Dの含有量が、20μg/μL以下である、アルブミン測定用試験片。
[7] 前記成分Cに対する前記成分Dの重量比(D/C)が、1.5~9.3であり、 前記検体の点着量に対する前記成分Cの含有量が、0.5μg/μL~4.3μg/μLである、[6]に記載の試験片。
[8] 前記成分Cに対する前記成分Dの重量比(D/C)が、1.5~2.9であり、 前記検体の点着量に対する前記成分Cの含有量が、1.6μg/μL~3.8μg/μLである、[6]に記載の試験片。
[9] 支持体と、
前記支持体上に設けられ、検体が点着される試薬保持層とを有する、
前記検体に含まれるアルブミンを測定するためのアルブミン測定用試験片であって、
前記試薬保持層は、蛋白質変性剤(成分A)、SH試薬(成分B)、ブロムクレゾールパープル(成分C)、及びポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル(成分D)を含み、
前記試薬保持層において、
前記成分Cに対する前記成分Dの重量比(D/C)が、1.2~10.6であり、
前記検体の点着量に対する前記成分Cの含有量が、0.5μg/μL~5.4μg/μLであり、
前記検体の点着量に対する前記成分Dの含有量が、25μg/μL以下である、アルブミン測定用試験片。
[10] 支持体と、
前記支持体上に設けられ、検体が点着される試薬保持層とを有する、
前記検体に含まれるアルブミンを測定するためのアルブミン測定用試験片であって、
前記試薬保持層は、蛋白質変性剤(成分A)、SH試薬(成分B)、ブロムクレゾールパープル(成分C)、及びポリオキシエチレン(13)オレイルエーテル(成分D)を含み、
前記試薬保持層において、
前記成分Cに対する前記成分Dの重量比(D/C)が、0.9~9.3であり、
前記検体の点着量に対する前記成分Cの含有量が、0.5μg/μL~5.4μg/μLであり、
前記検体の点着量に対する前記成分Dの含有量が、25μg/μL以下である、アルブミン測定用試験片。
[11] 支持体と、
前記支持体上に設けられ、検体が点着される試薬保持層とを有する、
前記検体に含まれるアルブミンを測定するためのアルブミン測定用試験片であって、
前記試薬保持層は、蛋白質変性剤(成分A)、SH試薬(成分B)、ブロムクレゾールパープル(成分C)、及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル(成分D)を含み、
前記試薬保持層において、
前記成分Cに対する前記成分Dの重量比(D/C)が、1.2~2.3であり、
前記検体の点着量に対する前記成分Cの含有量が、2.2μg/μL~5.4μg/μLであり、
前記検体の点着量に対する前記成分Dの含有量が、25μg/μL以下である、アルブミン測定用試験片。
[12] 支持体と、
前記支持体上に設けられ、検体が点着される試薬保持層とを有する、
前記検体に含まれるアルブミンを測定するためのアルブミン測定用試験片であって、
前記試薬保持層は、蛋白質変性剤(成分A)、SH試薬(成分B)、ブロムクレゾールパープル(成分C)、及びポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート成分D)を含み、
前記試薬保持層において、
前記成分Cに対する前記成分Dの重量比(D/C)が、1.7~2.3であり、
前記検体の点着量に対する前記成分Cの含有量が、2.2μg/μL~4.3μg/μLであり、
前記検体の点着量に対する前記成分Dの含有量が、25μg/μL以下である、アルブミン測定用試験片。
[13] 支持体と、
前記支持体上に設けられ、検体が点着される試薬保持層とを有する、
前記検体に含まれるアルブミンを測定するためのアルブミン測定用試験片であって、
前記試薬保持層は、蛋白質変性剤(成分A)、SH試薬(成分B)、ブロムクレゾールパープル(成分C)、及びポリオキシエチレン(12)ラウリルエーテル(成分D)を含み、
前記試薬保持層において、
前記成分Cに対する前記成分Dの重量比(D/C)が、1.2~2.3であり、
前記検体の点着量に対する前記成分Cの含有量が、2.2μg/μL~4.3μg/μLであり、
前記検体の点着量に対する前記成分Dの含有量が、25μg/μL以下である、アルブミン測定用試験片。
[14] 支持体と、
前記支持体上に設けられ、検体が点着される試薬保持層とを有する、
前記検体に含まれるアルブミンを測定するためのアルブミン測定用試験片であって、
前記試薬保持層は、蛋白質変性剤(成分A)、SH試薬(成分B)、ブロムクレゾールパープル(成分C)、及びポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート(成分D)を含み、
前記試薬保持層において、
前記成分Cに対する前記成分Dの重量比(D/C)が、1.2~13.9 であり、 前記検体の点着量に対する前記成分Cの含有量が、0.5μg/μL~5.4μg/μLであり、
前記検体の点着量に対する前記成分Dの含有量が、30μg/μL以下である、アルブミン測定用試験片。
[15] 前記蛋白質変性剤は、陰イオン性界面活性剤である、[1]から[14]のいずれか1項に記載の試験片。
[16] 生体試料中のアルブミンを測定するための、[1]から[15]のいずれか1項に記載の試験片。
[17] 前記生体試料は、血清又は血漿である、[16]に記載の試験片。
[18] 蛋白質変性剤及びSH試薬の存在下で、ブロムクレゾールパープルの光学特性の測定値に基づいて検体中のアルブミン量を測定する方法であって、
蛋白質変性剤(成分A)と、SH試薬(成分B)と、ブロムクレゾールパープル(成分C)と、非イオン性界面活性剤(成分D)とを含む試薬保持層を有する試験片の前記試薬保持層に所定量の検体を点着して前記検体と前記成分Aと前記成分Bと前記成分Cと前記成分Dとが混合した混合液を調製することを含み、
前記混合液において、
前記成分Cに対する前記成分Dの重量比(D/C)が、0.3~13であり、
前記成分Cの濃度が、0.4μg/μL~5.4μg/μLであり、
前記成分Dの濃度が、25μg/μL以下である、測定方法。
[19] 蛋白質変性剤及びSH試薬の存在下で、ブロムクレゾールパープルの光学特性の測定値に基づいて検体中のアルブミン量を測定する方法であって、
蛋白質変性剤(成分A)と、SH試薬(成分B)と、ブロムクレゾールパープル(成分C)と、ポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテル(成分D)とを含む試薬保持層を有する試験片の前記試薬保持層に所定量の検体を点着して前記検体と前記成分Aと前記成分Bと前記成分Cと前記成分Dとが混合した混合液を調製することを含み、
前記混合液において、
前記成分Cに対する前記成分Dの重量比(D/C)が、1.3~13であり、
前記検体の点着量に対する前記成分Cの含有量が、0.4μg/μL~5μg/μLであり、
前記検体の点着量に対する前記成分Dの含有量が、20μg/μL以下である、測定方法。
[20] 蛋白質変性剤及びSH試薬の存在下で、ブロムクレゾールパープルの光学特性の測定値に基づいて検体中のアルブミン量を測定する方法であって、
蛋白質変性剤(成分A)と、SH試薬(成分B)と、ブロムクレゾールパープル(成分C)と、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル(成分D)とを含む試薬保持層を有する試験片の前記試薬保持層に所定量の検体を点着して前記検体と前記成分Aと前記成分Bと前記成分Cと前記成分Dとが混合した混合液を調製することを含み、
前記混合液において、
前記成分Cに対する前記成分Dの重量比(D/C)が、1.2~10.6であり、
前記検体の点着量に対する前記成分Cの含有量が、0.5μg/μL~5.4μg/μLであり、
前記検体の点着量に対する前記成分Dの含有量が、25μg/μL以下である、測定方法。
[21] 蛋白質変性剤及びSH試薬の存在下で、ブロムクレゾールパープルの光学特性の測定値に基づいて検体中のアルブミン量を測定する方法であって、
蛋白質変性剤(成分A)と、SH試薬(成分B)と、ブロムクレゾールパープル(成分C)と、ポリオキシエチレン(13)オレイルエーテル(成分D)とを含む試薬保持層を有する試験片の前記試薬保持層に所定量の検体を点着して前記検体と前記成分Aと前記成分Bと前記成分Cと前記成分Dとが混合した混合液を調製することを含み、
前記混合液において、
前記成分Cに対する前記成分Dの重量比(D/C)が、0.9~9.3であり、
前記検体の点着量に対する前記成分Cの含有量が、0.5μg/μL~5.4μg/μLであり、
前記検体の点着量に対する前記成分Dの含有量が、25μg/μL以下である、測定方法。
[22] 蛋白質変性剤及びSH試薬の存在下で、ブロムクレゾールパープルの光学特性の測定値に基づいて検体中のアルブミン量を測定する方法であって、
蛋白質変性剤(成分A)と、SH試薬(成分B)と、ブロムクレゾールパープル(成分C)と、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル(成分D)とを含む試薬保持層を有する試験片の前記試薬保持層に所定量の検体を点着して前記検体と前記成分Aと前記成分Bと前記成分Cと前記成分Dとが混合した混合液を調製することを含み、 前記混合液において、
前記成分Cに対する前記成分Dの重量比(D/C)が、1.2~2.3であり、
前記検体の点着量に対する前記成分Cの含有量が、2.2μg/μL~5.4μg/μLであり、
前記検体の点着量に対する前記成分Dの含有量が、25μg/μL以下である、測定方法。
[23] 蛋白質変性剤及びSH試薬の存在下で、ブロムクレゾールパープルの光学特性の測定値に基づいて検体中のアルブミン量を測定する方法であって、
蛋白質変性剤(成分A)と、SH試薬(成分B)と、ブロムクレゾールパープル(成分C)と、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート(成分D)とを含む試薬保持層を有する試験片の前記試薬保持層に所定量の検体を点着して前記検体と前記成分Aと前記成分Bと前記成分Cと前記成分Dとが混合した混合液を調製することを含み、
前記混合液において、
前記成分Cに対する前記成分Dの重量比(D/C)が、1.7~2.3であり、
前記検体の点着量に対する前記成分Cの含有量が、2.2μg/μL~4.3μg/μLであり、
前記検体の点着量に対する前記成分Dの含有量が、25μg/μL以下である、測定方法。
[24] 蛋白質変性剤及びSH試薬の存在下で、ブロムクレゾールパープルの光学特性の測定値に基づいて検体中のアルブミン量を測定する方法であって、
蛋白質変性剤(成分A)と、SH試薬(成分B)と、ブロムクレゾールパープル(成分C)と、ポリオキシエチレン(12)ラウリルエーテル(成分D)とを含む試薬保持層を有する試験片の前記試薬保持層に所定量の検体を点着して前記検体と前記成分Aと前記成分Bと前記成分Cと前記成分Dとが混合した混合液を調製することを含み、
前記混合液において、
前記成分Cに対する前記成分Dの重量比(D/C)が、1.2~2.3であり、
前記検体の点着量に対する前記成分Cの含有量が、2.2μg/μL~4.3μg/μLであり、
前記検体の点着量に対する前記成分Dの含有量が、25μg/μL以下である、測定方法。
[25] 蛋白質変性剤及びSH試薬の存在下で、ブロムクレゾールパープルの光学特性の測定値に基づいて検体中のアルブミン量を測定する方法であって、
蛋白質変性剤(成分A)と、SH試薬(成分B)と、ブロムクレゾールパープル(成分C)と、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート(成分D)とを含む試薬保持層を有する試験片の前記試薬保持層に所定量の検体を点着して前記検体と前記成分Aと前記成分Bと前記成分Cと前記成分Dとが混合した混合液を調製することを含み、
前記混合液において、
前記成分Cに対する前記成分Dの重量比(D/C)が、1.2~13.9 であり、 前記検体の点着量に対する前記成分Cの含有量が、0.5μg/μL~5.4μg/μLであり、
前記検体の点着量に対する前記成分Dの含有量が、30μg/μL以下である、測定方法。
[26] 前記試験片は、[1]から[17]のいずれかに記載の試験片である、[18]から[25]のいずれかに記載の測定方法。
[27] 前記蛋白質変性剤は、陰イオン性界面活性剤である、[18]から[26]のいずれかに記載の測定方法。
[28] 前記検体は、生体試料である、[18]から[27]のいずれかに記載の測定方法。
[29] 前記生体試料は、血清又は血漿である、[28]に記載の測定方法。
【0131】
以下、実施例及び比較例により本開示をさらに詳細に説明するが、これらは例示的なものであって、本開示はこれら実施例に制限されるものではない。
【実施例0132】
[アルブミン測定用試験片の作製1]
蒸留水に、BCP、Brij35(Polyoxyethylene 23 Lauryl Ether、非イオン性界面活性剤、HLB:16.9)、1M コハク酸/NaOH緩衝液(pH5.5)、SDS(蛋白質変性剤)、及びDTNB(5,5'-Dithiobis(2-nitrobenzoic acid)、SH試薬)を順次加えて含浸液を調製した。調製した含浸液をポリエステルとナイロンとの複合糸で編まれた布(厚み:235μm)全体に均一に含浸した。なお、試薬保持層に検体を点着した後の反応液(検体と試薬との混合液)のpHが5.5になるように、コハク酸/NaOH緩衝液を含浸液に加えた。
含浸した布を50℃で10分乾燥し、5mmx7mmに切断して試薬保持層を作製した。作製した試薬保持層3を、長さ70mmx幅5mmの白色のPET板2に粘着剤で貼り付け、図1に示すアルブミン測定用試験片1を得た。得られた試験片(試薬保持層)に含まれる試薬の含有量を下記表1に示す。表1における混合液(測定時)の濃度は、試薬保持層に検体を点着した後の反応液における濃度をいう。
【表1】
【0133】
[試料の調製]
下記の試薬を適宜混合し、下記表2に示す試料1~6を調製した。
・凍結プール血清(3.9g/dLアルブミン、0g/dLヘモグロビン;コンセーラ(登録商標)、日水製薬(株)社)
・生理食塩水
・human serum albumin(Sigma-Aldrich社)
・溶血ヘモグロビン(干渉チェック・Aプラス、シスメックス(株)社)
【表2】
【0134】
[検量線の作成]
試料1~3を用いて、以下の手順でK/S値を測定し検量線を作成した。
アルブミン測定用試験片の試薬保持層に試料5μLを点着した。点着後180秒後に波長610nmの光を試薬保持層に照射し、反射した波長610nmの光の強度を測定し、照射光の強度に対する反射光の測定強度の割合である反射率Rを算出した。反射率RとKubelka-Munk式から試薬保持層の呈色の度合い(K/S値)を算出し、検量線を求めた。得られたK/S値及び検量線を下記表3に示す。
反射率の測定は、SPOTCHEM(登録商標) D-Concept(アークレイ(株)製)を用いて、以下の条件で行った。
[測定パラメータ]
主波長 :610nm
副波長 :810nm
測定終了時間 :180秒
測定方法 :エンドポイントアッセイ
検体量 :5μL
(Kubelka-Munk式) K/S=(1-R)2/2R
【0135】
【表3】
検量線: y=0.2118x2+2.3002x-0.2768
y:アルブミン濃度[g/dL]
x:K/S値
【0136】
[濃度未知の血清アルブミンの測定]
試料5(アルブミン濃度:3.5g/dL)を用いて、上記に記載した方法で測定を行いK/S値を算出した。算出したK/S値と上記の検量線とを用いてアルブミン濃度を求めた。その結果、アルブミン濃度は3.4g/dLと算出され、誤差は±3%以内であり、高い精度で測定できた。
【0137】
[アルブミン測定用試験片の作製2]
下記表4に示すBrij35及びBCPの含有量並びにこれらの比率のアルブミン測定用試験片(実施例1~21及び参考例1~3)を作製した。試験片は、上記アルブミン測定用試験片の作製1と同様の手順で作製した。
【0138】
[アルブミン測定用試験片の評価]
以下の3項目に基づき、下記表4に示すBCP(成分C)及びBrij35(成分D)の含有量(検体点着量に対する含有量)が異なるアルブミン測定用試験片の評価を行った。
項目1)濃度直線性
項目2)測定感度
項目3)溶血検体を測定したときの正確性(精度)
なお、下記表4の試験片における緩衝剤(1M コハク酸/NaOH緩衝液(pH5.5))、SDS(成分A)及びDTNB(成分B)の含有量は上記アルブミン測定用試験片の作製1(表1)と同じである。
【0139】
項目(1)濃度直線性
表4の試験片について、試料1~3を用いて上記に記載した方法で測定を行いK/S値を算出した。算出したK/S値と試料1~3のアルブミン濃度とを用いて検量線を作成した。得られた検量線と試料2及び3のK/S値から、試料2及び3のアルブミン濃度を算出した。得られたアルブミン濃度を用いて以下の評価基準で評価を行い、各試験片についての濃度直線性を評価した。
上記測定及び評価は、下記表4に示す試験片それぞれについて行った。その結果を下記表4に示す。なお、表4に記載したK/S値は、試料3の測定値から算出したK/S値である。
<評価基準>
良好:試料2の測定値から算出されたアルブミン濃度が3.9g/dL±15%以内、
かつ
試料3の測定値から算出されたアルブミン濃度が6.5g/dL±15%以内
不良:上記以外
【0140】
項目(2)測定感度
試料1(アルブミン濃度:0g/dL)を用いた上記測定を3回行ってK/S値を算出し、その平均値と標準偏差(SD)とを求めた。さらに、試料4(アルブミン濃度:1g/dL)を用いた上記測定を3回行ってK/S値を算出し、その平均値と標準偏差(SD)とを求めた。得られたK/S値の平均値と標準偏差(SD)を用いて以下の評価基準で評価を行い、各試験片についての測定感度を評価した。
上記測定及び評価は、下記表4に示す試験片それぞれについて行った。その結果を下記表4に示す。
<評価基準>
良好:(K/S値1)+3×標準偏差(SD1)の範囲と、(K/S値4)-3×標準偏差(SD4)の範囲とが重なる部分がない
不良:(K/S値1)+3×標準偏差(SD1)の範囲と、(K/S値4)-3×標準偏差(SD4)の範囲とで重なる部分がある
K/S値1:試料1のK/S値の平均値
K/S値4:試料4のK/S値の平均値
SD1:試料1の標準偏差(SD)
SD4:試料4の標準偏差(SD)
【0141】
項目(3)溶血検体を測定したときの正確性(精度)
上記試料1~3を用いて上記[検量線の作成]に記載した方法でK/S値を求め、検量線を作成した。
次に試料5及び6(いずれもアルブミン濃度:3.5g/dL)を用いて同様の方法で測定を行いK/S値を算出した。得られた試料5及び6のK/S値と各試料1~3を用いて作成した検量線とから、試料5及び6のアルブミン濃度を算出した。算出した試料5及び6のアルブミン濃度を用いて、下記式より乖離率(%)を算出し、得られた乖離率(%)を用いて以下の評価基準で評価を行い、各試験片についての溶血検体を測定したときの正確性を評価した。試料6のヘモグロビン濃度はCLSI(臨床・検査標準協会)EP07-A2の推奨濃度である0.5g/dLである。
乖離率(%)={(アルブミン濃度6)-(アルブミン濃度5)}/(アルブミン濃度5)×100
アルブミン濃度5:試料5のK/S値から算出したアルブミン濃度
アルブミン濃度6:試料6のK/S値から算出したアルブミン濃度
<評価基準>
良好:乖離率が15%以内
不良:乖離率が15%を超える
【表4】
【0142】
上記表4に示すアルブミン測定用試験片の評価を、横軸を検体の点着量に対するBCP含有量(μg/μL)とし、縦軸を検体の点着量に対するBrij35含有量(μg/μL)としてプロットしたものを図2に示す。同評価を、横軸を試薬保持層の単位面積当たりのBCP含有量(μg/cm2)とし、縦軸を試薬保持層の単位面積当たりのBrij35含有量(μg/cm2)としてプロットしたものを図3に示す。図2及び図3において、上記表4で評価が◎であった試験片に該当する箇所を黒色でプロットし、〇であった試験片に該当するセルを灰色でプロットした。また、各セル内の数字はBCP含有量に対するBrij35含有量の比率(D/C、重量比)を示す。表4における評価は、以下の通りとした。
◎:(1)~(3)の評価項目すべてが良好
〇:(1)及び(2)の評価項目が良好
×:(1)の評価項目のみ良好、又は(1)~(3)評価項目すべてが不良
上記評価、図2並びに図3の結果、下記条件を満たすドライ系試験片であれば、ヘモグロビンを含む血清を測定する場合であっても、アルブミン濃度を高い精度で測定できることが確認できた。
D/C(Brij35/BCP、重量比):1.5~9.3
BCP濃度:0.5~4.3μg/μL(含有量:7.7~61.7μg/cm2) Brij35濃度:20μg/μL以下(含有量:285.7μg/cm2以下)
図2及び3において、D/Cの値に下線を付した条件を満たす実施例の試験片は、アルブミン濃度が6.5g/dL(ヘモグロビン濃度:0g/dL)である試料3を測定したときのK/S値が2.2以上を示す。これらの試験片(実施例1~5、8、9及び11)は、実施例1~21の試験片の中でもアルブミンに対して高いK/S値を示す。同じアルブミン濃度の試料を測定したにも関わらずK/S値が高いということは、つまり下線を付したD/Cの試験片はアルブミンに対する感度が高く、K/S値が変化してもアルブミン測定値(K/S値から算出したアルブミン濃度)の変化量は小さいといえる。よって下線を付した下記条件を満たす試験片では多量のヘモグロビンを含む血清であってもより高い精度でアルブミンを測定できる。
D/C(Brij35/BCP、重量比):1.5~2.9
BCP濃度:1.6~3.8μg/μL
Brij35濃度:3.8~8.8μg/μL
【0143】
[BCP改良法の液体試薬との相関性試験]
同意を得た患者48名から採取した血清を、既存の製品であるBCP改良法の液体試薬および実施例5の試験片で測定した。液体試薬での測定は製品に付属の添付文書に従って行った。実施例5の試験片の測定は上記に記載した方法で測定を行い、K/S値を得た。 [液体試薬]
血液検査用アルブミンキット L-タイプワコーALB-BCP(富士フイルム和光純薬社製)
(測定原理:BCP改良法)
[試験片]
実施例5の試験片
【0144】
図4はBCP改良法の液体試薬の測定値と実施例5の試験片のK/S値の相関を示す。実施例5の試験片のK/S値はBCP改良法の液体試薬の測定値に対して良好な相関性を示した。このことから、本開示の試験片は良好な性能を有することがわかった。
【0145】
[アルブミン測定用試験片の作製3]
Brij35に代えてポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル(花王株式会社製、エマルゲンA90、HLB:14.5)を使用し、エマルゲンA90及びBCPの含有量及び比率を下記表5に示すとおりにした以外は、上記アルブミン測定用試験片の作製1と同様の手順でアルブミン測定用ドライ系試験片を作製した。作製した試験片につき、上記(1)~(3)の評価を行った。その結果を下記表5に示す。表5におけるK/S値は、試料3の測定値から算出したK/S値であり、表5における評価は、以下の通りとした。
◎:(1)~(3)の評価項目すべてが良好
〇:(1)及び(2)の評価項目が良好
×:(1)の評価項目のみ良好、又は(1)~(3)評価項目すべてが不良
【0146】
【表5】
【0147】
上記表5に示すアルブミン測定用試験片の評価を、横軸を検体の点着量に対するBCP含有量(μg/μL)とし、縦軸を検体の点着量に対するエマルゲンA90含有量(μg/μL)としてプロットしたものを図5に示す。同評価を、横軸を試薬保持層の単位面積当たりのBCP含有量(μg/cm2)とし、縦軸を試薬保持層の単位面積当たりのエマルゲンA90含有量(μg/cm2)としてプロットしたものを図6に示す。図5及び図6において、上記表5で評価が◎であった試験片に該当する箇所を黒色でプロットし、〇であった試験片に該当する箇所を灰色でプロットし、×であった試験片に該当する箇所を薄い灰色でプロットした。また、各セル内の数字はBCP含有量に対するエマルゲンA90含有量の比率(D/C、重量比)を示す。また、図5及び図6において、D/Cの値に下線を付した条件を満たす実施例の試験片は、試料3を測定したときのK/S値が2.2以上を示す。
【0148】
上記表5、図5及び図6に示すとおり、成分DとしてエマルゲンA90を含有するドライ系試験片において、すべての実施例の試験片は、評価項目(1)及び(2)の双方の評価が良好であり、高い感度でアルブミンを測定できることが確認できた。さらに高い直線性を示すので高い精度でアルブミンを測定できることがわかった。
上記表5に示すとおり、成分DとしてエマルゲンA90を含有するドライ系試験片において、下記条件を満たす試験片(実施例1-1~1-10)は、ヘモグロビンを含む血清を測定する場合であっても、アルブミン濃度を高い精度で測定できることが確認できた。 D/C(エマルゲンA90/BCP、重量比):1.2~10.6
BCP濃度:0.5~5.4μg/μL(含有量:7.7~77.2μg/cm2) エマルゲンA90濃度:23μg/μL以下(含有量:328.6μg/cm2以下)
実施例1-2~1-5、1-7及び1-9のドライ系試験片は、アルブミン濃度が6.5g/dL(ヘモグロビン濃度:0g/dL)である試料3を測定したときのK/S値が2.2以上を示した。よって、下記条件を満たす試験片は、多量のヘモグロビンを含む血清であってもより高い精度でアルブミンを測定できる。
D/C(エマルゲンA90/BCP、重量比):1.2~2.3
BCP濃度:2.2~5.4μg/μL
エマルゲンA90濃度:12.5μg/μL以下
【0149】
[アルブミン測定用試験片の作製4]
Brij35に代えてポリオキシエチレン(13)オレイルエーテル(花王株式会社製、エマルゲン420、HLB:13.6)を使用し、エマルゲン420及びBCPの含有量及び比率を下記表6に示すとおりにした以外は、上記アルブミン測定用試験片の作製1と同様の手順でアルブミン測定用ドライ系試験片を作製した。作製した試験片につき、上記(1)~(3)の評価を行った。その結果を下記表6に示す。表6におけるK/S値は、試料3の測定値から算出したK/S値であり、表6における評価の評価基準はアルブミン測定用試験片の作製3と同様にした。
【0150】
【表6】
【0151】
上記表6に示すアルブミン測定用試験片の評価を、横軸を検体の点着量に対するBCP含有量(μg/μL)とし、縦軸を検体の点着量に対するエマルゲン420含有量(μg/μL)としてプロットしたものを図7に示す。同評価を、横軸を試薬保持層の単位面積当たりのBCP含有量(μg/cm2)とし、縦軸を試薬保持層の単位面積当たりのエマルゲン420含有量(μg/cm2)としてプロットしたものを図8に示す。図7及び図8において、上記表6で評価が◎であった試験片に該当する箇所を黒色でプロットし、〇であった試験片に該当する箇所を灰色でプロットし、×であった試験片に該当する箇所を薄い灰色でプロットした。また、各セル内の数字はBCP含有量に対するエマルゲン420含有量の比率(D/C、重量比)を示す。また、図7及び図8において、D/Cの値に下線を付した条件を満たす実施例の試験片は、試料3を測定したときのK/S値が2.2以上を示す。
【0152】
上記表6、図7及び図8に示すとおり、成分Dとしてエマルゲン420を含有するドライ系試験片において、すべての実施例の試験片は、評価項目(1)及び(2)の双方の評価が良好であり、高い感度でアルブミンを測定できることが確認できた。さらに高い直線性を示すので高い精度でアルブミンを測定できることがわかった。
上記表6に示すとおり、成分Dとしてエマルゲン420を含有するドライ系試験片において、下記条件を満たす試験片(実施例2-1~2-10)は、ヘモグロビンを含む血清を測定する場合であっても、アルブミン濃度を高い精度で測定できることが確認できた。 D/C(エマルゲン420/BCP、重量比):0.9~9.3
BCP濃度:0.5~5.4μg/μL(含有量:7.7~77.2μg/cm2) エマルゲン420濃度:12.5μg/μL以下(含有量:178.6μg/cm2以下)
実施例2-2~2-5及び2-7~2-10のドライ系試験片は、アルブミン濃度が6.5g/dL(ヘモグロビン濃度:0g/dL)である試料3を測定したときのK/S値が2.2以上を示した。よって、下記条件を満たす試験片では多量のヘモグロビンを含む血清であってもより高い精度でアルブミンを測定できる。
D/C(エマルゲン420/BCP、重量比):0.9~2.3
BCP濃度:2.2~5.4μg/μL
エマルゲン420濃度:3.8~12.5μg/μL
【0153】
[アルブミン測定用試験片の作製5]
Brij35に代えてポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル(花王株式会社製、エマルゲンLS110、HLB:13.4)を使用し、エマルゲンLS110及びBCPの含有量及び比率を下記表7に示すとおりにした以外は、上記アルブミン測定用試験片の作製1と同様の手順でアルブミン測定用ドライ系試験片を作製した。作製した試験片につき、上記(1)~(3)の評価を行った。その結果を下記表7に示す。表7におけるK/S値は、試料3の測定値から算出したK/S値であり、表7における評価の評価基準はアルブミン測定用試験片の作製3と同様にした。
【0154】
【表7】
【0155】
上記表7に示すアルブミン測定用試験片の評価を、横軸を検体の点着量に対するBCP含有量(μg/μL)とし、縦軸を検体の点着量に対するエマルゲンLS110含有量(μg/μL)としてプロットしたものを図9に示す。同評価を、横軸を試薬保持層の単位面積当たりのBCP含有量(μg/cm2)とし、縦軸を試薬保持層の単位面積当たりのエマルゲンLS110含有量(μg/cm2)としてプロットしたものを図10に示す。図9及び図10において、上記表7で評価が◎であった試験片に該当する箇所を黒色でプロットし、〇であった試験片に該当する箇所を灰色でプロットし、×であった試験片に該当する箇所を薄い灰色でプロットした。また、各セル内の数字はBCP含有量に対するエマルゲンLS110含有量の比率(D/C、重量比)を示す。また、図9及び図10において、D/Cの値に下線を付した条件を満たす実施例の試験片は、試料3を測定したときのK/S値が2.2以上を示す。
【0156】
上記表7、図9及び図10に示すとおり、成分DとしてエマルゲンLS110を含有するドライ系試験片において、すべての実施例の試験片は、評価項目(1)及び(2)の双方の評価が良好であり、高い感度でアルブミンを測定できることが確認できた。さらに高い直線性を示すので高い精度でアルブミンを測定できることがわかった。
上記表7に示すとおり、成分DとしてエマルゲンLS110を含有するドライ系試験片において、下記条件を満たす試験片(実施例3-1~3-6)は、ヘモグロビンを含む血清を測定する場合であっても、アルブミン濃度を高い精度で測定できることが確認できた。
D/C(エマルゲンLS110/BCP、重量比):1.2~2.3
BCP濃度:2.2~5.4μg/μL(含有量:30.9~77.2μg/cm2
エマルゲンLS110濃度:12.5μg/μL以下(含有量:178.6μg/cm2以下)
上記条件を満たす試験片は、アルブミン濃度が6.5g/dL(ヘモグロビン濃度:0g/dL)である試料3を測定したときのK/S値が2.2以上又は2.2に近いK/S値を示した。よって、上記条件を満たす試験片は多量のヘモグロビンを含む血清であってもより高い精度でアルブミンを測定できる。
【0157】
[アルブミン測定用試験片の作製6]
Brij35に代えてポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート(Tween20、HLB:16.7)を使用し、Tween20及びBCPの含有量及び比率を下記表8に示すとおりにした以外は、上記アルブミン測定用試験片の作製1と同様の手順でアルブミン測定用ドライ系試験片を作製した。作製した試験片につき、上記(1)~(3)の評価を行った。その結果を下記表8に示す。表8におけるK/S値は、試料3の測定値から算出したK/S値であり、表8における評価の評価基準はアルブミン測定用試験片の作製3と同様にした。
【0158】
【表8】
【0159】
上記表8に示すアルブミン測定用試験片の評価を、横軸を検体の点着量に対するBCP含有量(μg/μL)とし、縦軸を検体の点着量に対するTween20含有量(μg/μL)としてプロットしたものを図11に示す。同評価を、横軸を試薬保持層の単位面積当たりのBCP含有量(μg/cm2)とし、縦軸を試薬保持層の単位面積当たりのTween20含有量(μg/cm2)としてプロットしたものを図12に示す。図11及び図12において、上記表8で評価が◎であった試験片に該当する箇所を黒色でプロットし、〇であった試験片に該当する箇所を灰色でプロットし、×であった試験片に該当する箇所を薄い灰色でプロットした。また、各セル内の数字はBCP含有量に対するTween20含有量の比率(D/C、重量比)を示す。また、図11及び図12において、D/Cの値に下線を付した条件を満たす実施例の試験片は、試料3を測定したときのK/S値が2.2以上を示す。
【0160】
上記表8、図11及び図12に示すとおり、成分DとしてTween20を含有するドライ系試験片において、すべての実施例の試験片は、評価項目(1)及び(2)の双方の評価が良好であり、高い感度でアルブミンを測定できることが確認できた。さらに高い直線性を示すので高い精度でアルブミンを測定できることがわかった。
上記表8に示すとおり、成分DとしてTween20を含有するドライ系試験片において、下記条件を満たす試験片(実施例4-1及び4-2)は、ヘモグロビンを含む血清を測定する場合であっても、アルブミン濃度を高い精度で測定できることが確認できた。
D/C(Tween20/BCP、重量比):1.7~2.3
BCP濃度:2.2~4.3μg/μL(含有量:30.9~61.7μg/cm2
Tween20濃度:10.0μg/μL以下(含有量:142.9μg/cm2以下)
【0161】
[アルブミン測定用試験片の作製7]
Brij35に代えてポリオキシエチレン(12)ラウリルエーテル(花王株式会社製、エマルゲン120、HLB:15.3)を使用し、エマルゲン120及びBCPの含有量及び比率を下記表9に示すとおりにした以外は、上記アルブミン測定用試験片の作製1と同様の手順でアルブミン測定用ドライ系試験片を作製した。作製した試験片につき、上記(1)~(3)の評価を行った。その結果を下記表9に示す。表9におけるK/S値は、試料3の測定値から算出したK/S値であり、表9における評価の評価基準はアルブミン測定用試験片の作製3と同様にした。
【0162】
【表9】
【0163】
上記表9に示すアルブミン測定用試験片の評価を、横軸を検体の点着量に対するBCP含有量(μg/μL)とし、縦軸を検体の点着量に対するエマルゲン120含有量(μg/μL)としてプロットしたものを図13に示す。同評価を、横軸を試薬保持層の単位面積当たりのBCP含有量(μg/cm2)とし、縦軸を試薬保持層の単位面積当たりのエマルゲン120含有量(μg/cm2)としてプロットしたものを図14に示す。図13及び図14において、上記表9で評価が◎であった試験片に該当する箇所を黒色でプロットし、〇であった試験片に該当する箇所を灰色でプロットし、×であった試験片に該当する箇所を薄い灰色でプロットした。また、各セル内の数字はBCP含有量に対するエマルゲン120含有量の比率(D/C、重量比)を示す。また、図13及び図14において、D/Cの値に下線を付した条件を満たす実施例の試験片は、試料3を測定したときのK/S値が2.2以上を示す。
【0164】
上記表9、図13及び図14に示すとおり、成分Dとしてエマルゲン120を含有するドライ系試験片において、すべての実施例の試験片は、評価項目(1)及び(2)の双方の評価が良好であり、高い感度でアルブミンを測定できることが確認できた。さらに高い直線性を示すので高い精度でアルブミンを測定できることがわかった。
上記表9に示すとおり、成分Dとしてエマルゲン120を含有するドライ系試験片において、下記条件を満たす試験片(実施例5-1~5-4)は、ヘモグロビンを含む血清を測定する場合であっても、アルブミン濃度を高い精度で測定できることが確認できた。
D/C(エマルゲン120/BCP、重量比):1.2~2.3
BCP濃度:2.2~4.3μg/μL(含有量:7.7~77.2μg/cm2) エマルゲン120濃度:5.0μg/μL以下(含有量:71.4μg/cm2以下)
上記表9において、実施例5-2のドライ系試験片は、アルブミン濃度が6.5g/dL(ヘモグロビン濃度:0g/dL)である試料3を測定したときのK/S値が2.2以上を示した。よって、下記条件を満たす試験片では多量のヘモグロビンを含む血清であってもより高い精度でアルブミンを測定できる。
D/C(エマルゲン120/BCP、重量比):1.2~1.4
BCP濃度:2.2~3.1μg/μL
エマルゲン120濃度:1.3~3.8μg/μL
【0165】
[アルブミン測定用試験片の作製8]
Brij35に代えてポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート(Tween80、HLB:15.0)を使用し、Tween80及びBCPの含有量及び比率を下記表10に示すとおりにした以外は、上記アルブミン測定用試験片の作製1と同様の手順でアルブミン測定用ドライ系試験片を作製した。作製した試験片につき、上記(1)~(3)の評価を行った。その結果を下記表10に示す。表10におけるK/S値は、試料3の測定値から算出したK/S値であり、表10における評価の評価基準はアルブミン測定用試験片の作製3と同様にした。
【0166】
【表10】
【0167】
上記表10に示すアルブミン測定用試験片の評価を、横軸を検体の点着量に対するBCP含有量(μg/μL)とし、縦軸を検体の点着量に対するTween80含有量(μg/μL)としてプロットしたものを図15に示す。同評価を、横軸を試薬保持層の単位面積当たりのBCP含有量(μg/cm2)とし、縦軸を試薬保持層の単位面積当たりのTween80含有量(μg/cm2)としてプロットしたものを図16に示す。図15及び図16において、上記表10で評価が◎であった試験片に該当する箇所を黒色でプロットし、〇であった試験片に該当する箇所を灰色でプロットし、×であった試験片に該当する箇所を薄い灰色でプロットした。また、各セル内の数字はBCP含有量に対するTween80含有量の比率(D/C、重量比)を示す。また、図15及び図16において、D/Cの値に下線を付した条件を満たす実施例の試験片は、試料3を測定したときのK/S値が2.2以上を示す。
【0168】
上記表10、図15及び図16に示すとおり、成分DとしてTween80を含有するドライ系試験片において、すべての実施例の試験片は、評価項目(1)及び(2)の双方の評価が良好であり、高い感度でアルブミンを測定できることが確認できた。さらに高い直線性を示すので高い精度でアルブミンを測定できることがわかった。
上記表10に示すとおり、成分DとしてTween80を含有するドライ系試験片において、下記条件を満たす試験片(実施例6-1~6-11)は、ヘモグロビンを含む血清を測定する場合であっても、アルブミン濃度を高い精度で測定できることが確認できた。 D/C(Tween80/BCP、重量比):1.2~13.9
BCP濃度:0.5~5.4μg/μL(含有量:7.7~77.2μg/cm2) Tween80濃度:30μg/μL以下(含有量:428.6μg/cm2以下)
実施例6-2~6-4、6-6、6-8及び6-9のドライ系試験片は、アルブミン濃度が6.5g/dL(ヘモグロビン濃度:0g/dL)である試料3を測定したときのK/S値が2.2以上を示した。よって、下記条件を満たす試験片では多量のヘモグロビンを含む血清であってもより高い精度でアルブミンを測定できる。
D/C(Tween80/BCP、重量比):1.2~2.3
BCP濃度:2.2~5.4μg/μL
Tween80濃度:12.5μg/μL以下
【0169】
上述の評価結果から明らかなように、下記の7種類の非イオン性界面活性剤を成分Dとし、下記の条件Aを満たす試験片は、評価項目(1)及び(2)の双方の評価が良好であった。よって非イオン性界面活性剤を成分Dとして下記の条件Aを満たす試験片は、高い感度でアルブミンを測定できることがわかった。さらに高い直線性を示すので高い精度でアルブミンを測定できることがわかった。さらに下記の条件Bを満たす試験片は、さらに評価項目(3)の評価も良好であった。よって非イオン性界面活性剤を成分Dとして下記の条件Bを満たす試験片は、ヘモグロビンを含む血清中のアルブミン濃度をさらに高い精度で測定できることがわかった。
成分D:
ポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテル(Brij35、HLB値:16.9)
ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル(花王株式会社製、エマルゲンA90、HLB:14.5)
ポリオキシエチレン(13)オレイルエーテル(花王株式会社製、エマルゲン420、HLB:13.6)
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル(花王株式会社製、エマルゲンLS110、HLB:13.4)
ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート(Tween20、HLB:16.7)
ポリオキシエチレン(12)ラウリルエーテル(花王株式会社製、エマルゲン120、HLB:15.3)
ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート(Tween80、HLB:15.0)
条件A:
D/C(BCP/非イオン性界面活性剤、重量比):0.3~13
成分C(BCP)濃度:0.4~5.4μg/μL(含有量:5.7~77.2μg/cm2
成分D(非イオン性界面活性剤)濃度:25μg/μL以下(含有量:357.1μg/cm2以下)
条件B:
D/C(BCP/非イオン性界面活性剤、重量比):1.3~13
成分C(BCP)濃度:0.4~5μg/μL(含有量:5.7~71.4μg/cm2
成分D(非イオン性界面活性剤)濃度:20μg/μL以下(含有量:285.7μg/cm2以下)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16