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特開2022-85898クランプ及びスパスムの治療ための製剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022085898
(43)【公開日】2022-06-08
(54)【発明の名称】クランプ及びスパスムの治療ための製剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/05 20060101AFI20220601BHJP
   A61K 36/9066 20060101ALI20220601BHJP
   A61K 33/36 20060101ALI20220601BHJP
   A61K 33/44 20060101ALI20220601BHJP
   A61K 33/24 20190101ALI20220601BHJP
   A61K 33/34 20060101ALI20220601BHJP
   A61K 33/38 20060101ALI20220601BHJP
   A61K 33/32 20060101ALI20220601BHJP
   A61K 33/14 20060101ALI20220601BHJP
   A61K 33/06 20060101ALI20220601BHJP
   A61K 33/00 20060101ALI20220601BHJP
   A61K 33/242 20190101ALI20220601BHJP
   A61K 33/04 20060101ALI20220601BHJP
   A61K 33/244 20190101ALI20220601BHJP
   A61K 33/30 20060101ALI20220601BHJP
   A61K 33/243 20190101ALI20220601BHJP
   A61K 33/28 20060101ALI20220601BHJP
   A61K 33/22 20060101ALI20220601BHJP
   A61K 33/20 20060101ALI20220601BHJP
   A61K 33/16 20060101ALI20220601BHJP
   A61K 33/18 20060101ALI20220601BHJP
   A61K 33/241 20190101ALI20220601BHJP
   A61K 33/26 20060101ALI20220601BHJP
   A61K 31/12 20060101ALI20220601BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20220601BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220601BHJP
【FI】
A61K38/05
A61K36/9066
A61K33/36
A61K33/44
A61K33/24
A61K33/34
A61K33/38
A61K33/32
A61K33/14
A61K33/06
A61K33/00
A61K33/242
A61K33/04
A61K33/244
A61K33/30
A61K33/243
A61K33/28
A61K33/22
A61K33/20
A61K33/16
A61K33/18
A61K33/241
A61K33/26
A61K31/12
A61P21/00
A61P43/00 121
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021193063
(22)【出願日】2021-11-29
(31)【優先権主張番号】63/118,775
(32)【優先日】2020-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】510341189
【氏名又は名称】リトーン・エンタープライズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Lytone Enterprise, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】チャン, ウィリアム ティエンフン
(72)【発明者】
【氏名】チャン, ヴィヴィアン ウェイティン
(72)【発明者】
【氏名】フゥ, ユウ
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
4C088
4C206
【Fターム(参考)】
4C084AA02
4C084AA03
4C084BA08
4C084BA14
4C084BA23
4C084MA02
4C084MA52
4C084NA05
4C084ZA941
4C084ZC751
4C086AA01
4C086AA02
4C086HA03
4C086HA05
4C086HA06
4C086HA07
4C086HA08
4C086HA09
4C086HA10
4C086HA11
4C086HA12
4C086HA24
4C086HA25
4C086MA03
4C086MA04
4C086MA52
4C086NA05
4C086ZA94
4C086ZC75
4C088AB81
4C088MA05
4C088MA06
4C088MA52
4C088NA05
4C088ZA94
4C088ZC75
4C206AA01
4C206AA02
4C206CB14
4C206MA03
4C206MA04
4C206MA72
4C206NA05
4C206ZA94
4C206ZC75
(57)【要約】      (修正有)
【課題】対象のクランプ及び/又はスパスムの治療が可能である、又は対象のクランプ及び/又スパスムの頻度を減少させることが可能である製剤を提供する。
【解決手段】製剤は、1種又は複数のイミダゾール含有ジペプチドを含有するジペプチド組成物、クルクミンを含有するウコン製品、並びに古代泥炭無機物を含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物の総重量に対して10重量%を超える1種又は複数のイミダゾール含有ジペプチドを含有するジペプチド組成物と、
製品の総重量に対して15重量%を超えるクルクミンを含有するウコン製品と、
古代泥炭無機物と、
任意選択で1種又は複数の担体又は賦形剤と、を含む、製剤。
【請求項2】
前記ジペプチド組成物が、組成物の総重量に対して、約10~40重量%の1種又は複数のイミダゾール含有ジペプチド、好ましくは約15~30重量%の1種又は複数のイミダゾール含有ジペプチドを含有する、請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
前記イミダゾール含有ジペプチドが、カルノシン又はアンセリンである、請求項1又は2に記載の製剤。
【請求項4】
前記ウコン製品が、製品の総重量に対して、約15~50重量%のクルクミン、好ましくは約30~40重量%のクルクミンを含有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項5】
前記ウコン製品が、乾燥ウコン粉末、ウコン抽出物、サブミクロンウコン、又はナノウコンである、請求項4に記載の製剤。
【請求項6】
前記ウコン製品が、サブミクロンウコン又はナノウコンである、請求項5に記載の製剤。
【請求項7】
前記古代泥炭無機物が、アルミニウム、アンチモン、ヒ素、バリウム、ベリリウム、ビスマス、ホウ素、臭素、カドミウム、カルシウム、炭素、セリウム、セシウム、塩化物、クロミウム、コバルト、銅、ジスプロシウム、エルビウム、ユウロピウム、フッ化物、ガドリニウム、ガリウム、ゲルマニウム、金、ハフニウム、ホルミウム、インジウム、ヨウ素、イリジウム、鉄、ランタン、鉛、リチウム、ルテチウム、マグネシウム、マンガン、水銀、モリブデン、ネオジム、ニッケル、ニオブ、窒素、オスミウム、酸素、パラジウム、リン、プラチナ、カリウム、プラセオジム、レニウム、ロジウム、ルビジウム、ルテニウム、サマリウム、スカンジウム、セレニウム、シリコン、銀、ナトリウム、ストロンチウム、硫黄、タンタル、テルル、テルビウム、タリウム、トリウム、ツリウム、スズ、チタン、タングステン、バナジウム、イッテルビウム、イットリウム、亜鉛、及びジルコニウムから選択される、微量無機物元素を含有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項8】
前記ジペプチド組成物が、製剤の総重量に対して、約0.5~10重量%、好ましくは約1~5重量%、より好ましくは約2~3重量%の量である、請求項1~7のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項9】
前記ウコン製品が、製剤の総重量に対して、約0.05~1.5重量%、好ましくは約0.1~0.4重量%、より好ましくは約0.1~0.3重量%の量である、請求項1~8のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項10】
前記古代泥炭無機物が、製剤の総重量に対して、約0.05~5重量%、好ましくは約0.1~0.8重量%、より好ましくは約0.1~0.5重量%の量である、請求項1~9のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の製剤を含み、必要とする対象のクランプの治療に使用するための組成物。
【請求項12】
請求項1~10のいずれか一項に記載の製剤を含み、必要とする対象のスパスムの治療に使用するための組成物。
【請求項13】
請求項1~10のいずれか一項に記載の製剤を含み、必要とする対象のクランプの頻度の減少に使用するための組成物。
【請求項14】
請求項1~10のいずれか一項の製剤を含み、必要とする対象のスパスムの頻度の減少に使用するための組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
[0001]本出願は、2020年11月に出願された米国特許仮出願第63/118,775号の優先権を主張し、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
[発明の分野]
【0002】
[0002]本発明は、クランプ(cramp)及びスパスム(spasm)の治療のための製剤に関し、この製剤は1種又は複数のイミダゾール含有ジペプチドを含有するジペプチド組成物、クルクミンを含有するウコン製品、及び古代泥炭無機物を含む。
【背景技術】
【0003】
[発明の背景]
[0003]スパスム及びクランプは、筋肉の使いすぎ、脱水、又は電解質のバランスの乱れが原因となると、一般的には考えられている。筋クランプはスパスムと似ているが、クランプはスパスムよりも持続時間が長く、非常に強制的に収縮することが多い。クランプ及びスパスムは、妊娠、運動又は過労、年齢(高齢者に多い)、医学的な状態(例えば、ジストニア)と関連していることが多く、又は運動ニューロン障害の兆候である場合もある。クランプ及びスパスムは骨格筋又は平滑筋で発生する場合がある。骨格筋のクランプ/スパスムは、筋肉の疲労又はナトリウム(低ナトリウム血症と呼ばれる状態)、カリウム(低カリウム血症と呼ばれる状態)、若しくはマグネシウム(低マグネシウム血症と呼ばれる状態)等の電解質の不足が原因となっている場合がある。平滑筋のクランプ/スパスムは、月経又は胃腸炎が原因となっている場合がある。運動ニューロン障害(例えば、筋萎縮性側索硬化症)、代謝性障害(例えば、肝不全)、一部の薬剤(例えば、利尿剤及び吸入式β-アゴニスト)、及び血液透析が筋クランプ/スパスムを引き起こす場合もある。最も一般的に、筋肉のクランプ/スパスムは、突発的な痛みを伴う。
【0004】
[0004]キニーネは、クランプ及びスパスムの治療において多少は有効である。しかし、キニーネは、クランプの頻度を4分の1程度しか減少させないことが分かった。さらに、キニーネの通常の治療用量で、キニーネ中毒、低血糖症、低血圧、聴覚及び視覚障害、並びに溶血を含む様々な副作用を引き起こす場合がある。2010年に、筋肉クランプの対症的管理に関するアメリカの神経内科医向けの診療ガイドラインは、有効である可能性は高いものの、毒作用の可能性があるため、キニーネの常用は避けるべきであると結論付けた。ボツリヌス毒素は、クランプを局所的に治療できることが知られている。しかし、ボツリヌス毒素の注射は侵襲的な治療であるため、患者の薬剤服用順守を低下させる場合があり、ボツリヌス毒素は赤み及び腫れ、痛み、並びに局所的な筋力低下等の副作用を引き起こす場合がある。したがって、クランプ及びスパスムの状態を改善するか、又は発生の頻度を減少させるために、この分野には依然として需要がある。
【0005】
[発明の概要]
[0005]したがって、本発明は、対象のクランプ及び/又はスパスムを治療する、並びに/又は対象のクランプ及び/若しくはスパスムの頻度を減少させる製剤を提供する。
【0006】
[0006]本発明の一態様は、組成物の総重量に対して10重量%を超える1種又は複数のイミダゾール含有ジペプチドを含有するジペプチド組成物、抽出物の総重量に対して15重量%を超えるクルクミンを含有するウコン製品、及び古代泥炭無機物、並びに任意選択で1種又は複数の担体又は賦形剤を含む製剤に関する。
【0007】
[0007]本発明の一態様は、必要とする対象のクランプの治療のための方法における本発明の製剤の使用に関し、この方法は治療有効量の本発明の製剤を対象に投与することを含む。
【0008】
[0008]本発明の一態様は、必要とする対象のスパスムの治療のための方法における本発明の製剤の使用に関し、この方法は治療有効量の本発明の製剤を対象に投与することを含む。
【0009】
[0009]本発明の一態様は、必要とする対象のクランプの頻度の減少のための方法における本発明の製剤の使用に関し、この方法は治療有効量の本発明の製剤を対象に投与することを含む。
【0010】
[0010]本発明の一態様は、必要とする対象のスパスムの頻度の減少のための方法における本発明の製剤の使用に関し、この方法は治療有効量の本発明の製剤を対象に投与することを含む。
【0011】
[0011]本発明の他の態様は、以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、治療の前後における患者のクランプの平均頻度を示す。
図2図2は、治療の前後における患者の痛みの平均レベルを示す。
図3図3は、治療の前後における患者の平均クランプ継続時間を示す。
図4図4は、治療の前後における患者の睡眠の質の平均レベルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[0016]本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されている限り、文脈上明らかに他を指示する場合を除いて、単数形である「a」、「an」及び「the」は複数形の指示対象を含むことに注意しなければならない。このように、文脈によって必要とされない限り、単数用語は複数形を含み、複数用語は単数形を含むものとする。
【0014】
[0017]多くの場合、本明細書において、範囲は、「約」1つの特定の値から及び/又は「約」別の特定の値へのものとして表される。このような範囲が表される場合、実施形態は1つの特定の値から及び/又は他の特定の値への範囲を含む。同様に、値が近似値として表される場合、「約」という言葉の使用によって、特定の値が別の実施形態を形成すると理解されるだろう。さらに、範囲それぞれの両端点は、他の端点との関係においても及び他の端点と独立しても、重要であることが理解されるだろう。本明細書で使用する場合、用語「約」は、±20%、±15%、±10%、±9%、±8%、±7%、±6%、±5%、±4%、±3%、±2%、±1%、±0.5%、又は±0.25%を指す。
【0015】
[0018]「任意選択の」又は「任意選択で」は、続いて記載されている事象又は状況が起こることがあるか、又は起こらないことがあることを意味し、その記載には前記事象又は状況が発生する場合及び発生しない場合が含まれる。例えば、「任意選択である剤を含む」という表現は、その剤が存在していてもよく、存在していなくてもよいことを意味する。
【0016】
[0019]本明細書に使用される用語「担体」又は「賦形剤」は、それ自体は治療薬ではなく、担体及び/又は希釈剤及び/又は補助剤として、或いは治療薬を対象に送達するための、又はその取り扱い特性若しくは保管特性を向上するため又は組成物の用量単位を経口投与に適切なカプセル若しくは錠剤等の個別の品物に形成するのを可能にするか若しくは容易にするために製剤に加えられる、ビヒクルとして使用される、任意の物質を指す。適切な担体又は賦形剤は、医薬製剤又は食品を製造する当業者に周知である。担体又は賦形剤として、緩衝液、希釈剤、崩壊剤、結着剤、接着剤、湿潤剤、ポリマー、滑沢剤、流動促進剤、不快な味又は匂いを隠す若しくは弱めるために添加される物質、香味料、染料、香料、及び組成物の外観を向上するために添加される物質を、説明のために非限定的に挙げることができる。許容可能な担体又は賦形剤として、クエン酸塩緩衝液、リン酸塩緩衝液、酢酸塩緩衝液、重炭酸塩緩衝液、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、酸化マグネシウム、リン酸及び硫酸のナトリウム塩及びカルシウム塩、炭酸マグネシウム、タルク、ゼラチン、アカシアガム、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、デキストリン、マンニトール、ソルビトール、乳糖、ショ糖、デンプン、ゼラチン、セルロース系材料(アルカン酸のセルロースエステル及びセルロースアルキルエステル等)、低融点ワックス、ココアバター、アミノ酸、尿素、アルコール類、アスコルビン酸、リン脂質、タンパク質(例えば、血清アルブミン)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、塩化ナトリウム又は他の塩、リポソーム、マンニトール、ソルビトール、グリセロール又は粉末、ポリマー(ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、及びポリエチレングリコール等)、及び他の薬学的に許容可能な材料が挙げられる。担体又は賦形剤は、治療薬の薬理活性を破壊すべきではなく、治療的量の治療薬を送達するために十分な用量で投与された場合、無毒であるべきである。好ましい実施形態では、担体又は賦形剤は、発泡作用をもたらすことができる。この場合、担体又は賦形剤は、アルカリ金属炭酸塩(炭酸塩及び重炭酸塩を含む)並びに有機酸を含み、これらは常温で固形である。水等の溶媒の存在下では、炭酸アルカリと有機酸は一緒になって二酸化炭素ガスを発生すると思われる。アルカリ金属炭酸塩化合物の例として、NaHCO、KHCO、CaCO、NaCO、KCO、MgCO、Ca(HCO、CKNaO、CNa(セスキ炭酸ナトリウム)及びCNNa(グリシン炭酸ナトリウム)が挙げられるが、これらに限定されない。有機酸の例として、酒石酸、クエン酸、フマル酸、サリチル酸、シュウ酸、コハク酸、マレイン酸、リンゴ酸、グリコール酸、アジピン酸、及びその他の適切な酸又は酸無水物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0017】
[0020]用語「アミノ酸」は、天然アミノ酸、非天然アミノ酸及びアミノ酸類似体を指す。特に明記しない限り、それぞれの構造がこの種の立体異性形を許容する場合、用語「アミノ酸」はD及びL立体異性体の両方を含む。
【0018】
[0021]天然アミノ酸として、アラニン(Ala又はA)、アルギニン(Arg又はR)、アスパラギン(Asn又はN)、アスパラギン酸(Asp又はD)、システイン(システイン又はC)、グルタミン(Gln又はQ)、グルタミン酸(Glu又はE)、グリシン(Gly又はG)、ヒスチジン(His又はH)、イソロイシン(Ile又はI)、ロイシン(Leu又はL)、リジン(Lys又はK)、メチオニン(Met又はM)、フェニルアラニン(Phe又はF)、プロリン(Pro又はP)、セリン(Ser又はS)、スレオニン(Thr又はT)、トリプトファン(Trp又はW)、チロシン(Tyr又はY)及びバリン(Val又はV)が挙げられる。
【0019】
[0022]非天然アミノ酸又は自然にないアミノ酸として、アゼチジンカルボン酸、2-アミノアジピン酸、3-アミノアジピン酸、β-アラニン、ナフチルアラニン(「naph」)、アミノプロピオン酸、2-アミノ酪酸、4-アミノ酪酸、6-アミノカプロン酸、2-アミノヘプタン酸、2-アミノイソ酪酸、3-アミノイソ酪酸、2-アミノピメリン酸、第三級ブチルグリシン(「tBuG」)、2,4-ジアミノイソ酪酸、デスモシン、2,2‘-ジアミノピメリン酸、2,3-ジアミノプロピオン酸、N-エチルグリシン、N-エチルアスパラギン、ホモプロリン(「hPro」又は「homoP」)、ヒドロキシリジン、アロ-ヒドロキシリジン、3-ヒドロキシプロリン(「3Hyp」)、4-ヒドロキシプロリン(「4Hyp」)、イソデスモシン、アロ-イソロイシン、N-メチルアラニン(「MeAla」又は「Nime」)、N-メチルグリシンを含むNアルキルグリシン(「NAG」)、N-メチルイソロイシン、N-メチルペンチルグリシンを含むN-アルキルペンチルグリシン(「NAPG」)、N-メチルバリン、ナフチルアラニン、ノルバリン(「Norval」)、ノルロイシン(「Norleu」)、オクチルグリシン(「OctG」)、オルニチン(「Orn」)、ペンチルグリシン(「pG」又は「PGly」)、ピペコリン酸、チオプロリン(「ThioP」又は「tPro」)、ホモリジン(「hLys」)、及びホモアルギニン(「hArg」)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0020】
[0023]一態様では、本発明は、組成物の総重量に対して10重量%を超える1種又は複数のイミダゾール含有ジペプチドを含有するジペプチド組成物、製品の総重量に対して15重量%を超えるクルクミンを含有するウコン製品、及び古代泥炭無機物、並びに任意選択で1種又は複数の担体又は賦形剤を含む製剤を提供する。
【0021】
[0024]本発明の好ましい実施形態では、ジペプチド組成物が、該組成物の総重量に対して、約10~40重量%の1種又は複数のイミダゾール含有ジペプチド、より好ましくは約15~30重量%の1種又は複数のイミダゾール含有ジペプチドを含有する。
【0022】
[0025]本明細書で使用される場合、用語「ジペプチド」は、ペプチド結合としても知られているアミド結合を介して、2つのアミノ酸が結合して形成されたペプチドを指す。用語「イミダゾール含有ジペプチド」は、その中の少なくとも1つのアミノ酸がイミダゾール部分を含有し、イミダゾール含有アミノ酸がジペプチドのN末端又はC末端のいずれか、又はジペプチドの両方の末端に存在してもよい、ジペプチドを指す。好ましい実施形態では、イミダゾール含有アミノ酸はヒスチジンである。イミダゾール含有ジペプチドの例として、カルノシン(β-アラニル-L-ヒスチジン)及びアンセリン(β-アラニル-1-メチル-L-ヒスチジン)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0023】
[0026]本発明によれば、ジペプチド組成物は、動物、例えば、魚、鶏肉、若しくは牛肉、又は植物、例えば、大豆等の天然物質の加水分解物又は抽出物でもよく(K.M.Chanら、「Extraction and activity of carnosine,a naturally occurring antioxidant in beef muscle」、Journal of Food Science,Vol.58,No.1,1993,pp.1-4;B.Maikhunthod and K.-O.Intarapichet,「Heat and ultrafiltration extraction of broiler meat carnosine and its antioxidant activity」、Meat Science,2005,71,pp.364-374;及びM.Satoら、「Safety evaluation of chicken breast extract containing carnosine and anserine」、Food and Chemical Toxicology,46,2008,pp.480-489)、又はNH Foods Ltd.及び焼津水産化学工業株式会社等から商業的に入手できる。
【0024】
[0027]クルクミン(ジフェルロイルメタン)は、インドやアジアの他の地域で自然に育つ多年生植物のショウガ科(Zingiberaceae)に属する、一般にウコンとして知られるクルクミンロンガ(Curcumin longa)の主要な構成成分である。クルクミンは、例えば、がん、心臓血管疾患、肥満、炎症性疾患、及び老化等の幅広い様々な疾患の治療のための、ウコンの有効成分であることが証明されている。
【0025】
[0028]本発明の好ましい実施形態では、ウコン製品は、製品の総重量に対して、約15~50重量%のクルクミン、より好ましくは約30~40重量%のクルクミンを含有する。本発明によれば、ウコン製品は、乾燥ウコン粉末、ウコン抽出物、粒径の範囲が100~1000nmのサブミクロンウコン、又は粒径の範囲が1~100nmのナノウコンであってもよい。
【0026】
[0029]本発明によれば、ウコン製品は、例えば、Aleksandra Zielinskaら「Properties,Extraction Methods,and Delivery Systems for Curcumin as a Natural Source of Beneficial Health Effects」、Medicina,2020,56,336;及びHiroki Sasakiら.「Innovative Preparation of Curcumin for Improved Oral Bioavailability」、Biol.Pharm.Bull.,2011,34(5)660-665等の当技術分野で知られている任意の方法により得ることができ、例えば、Theravalues Corporationから商業的に入手できる。
【0027】
[0030]本発明によれば、古代泥炭無機物は、深海底に堆積した泥炭から抽出された無機物栄養素(化学元素)である。古代泥炭無機物は、砂岩の層の間で何千年もの間保存されてきた古い植物性無機物のグループに由来する、植物由来の無機物からも抽出される。古代泥炭無機物は、アルミニウム、アンチモン、ヒ素、バリウム、ベリリウム、ビスマス、ホウ素、臭素、カドミウム、カルシウム、炭素、セリウム、セシウム、塩化物、クロミウム、コバルト、銅、ジスプロシウム、エルビウム、ユウロピウム、フッ化物、ガドリニウム、ガリウム、ゲルマニウム、金、ハフニウム、ホルミウム、インジウム、ヨウ素、イリジウム、鉄、ランタン、鉛、リチウム、ルテチウム、マグネシウム、マンガン、水銀、モリブデン、ネオジム、ニッケル、ニオブ、窒素、オスミウム、酸素、パラジウム、リン、プラチナ、カリウム、プラセオジム、レニウム、ロジウム、ルビジウム、ルテニウム、サマリウム、スカンジウム、セレニウム、シリコン、銀、ナトリウム、ストロンチウム、硫黄、タンタル、テルル、テルビウム、タリウム、トリウム、ツリウム、スズ、チタン、タングステン、バナジウム、イッテルビウム、イットリウム、亜鉛、及びジルコニウムを含む70種を超える無機物栄養素及び微量元素を含有する。古代泥炭無機物は、例えば、FutureCeuticals,Inc.及びAZOMITE(登録商標)Mineral Products,Incから市販されている。
【0028】
[0031]本発明によれば、ジペプチド組成物は、製剤の総重量に対して、約0.5~10重量%、好ましくは約1~5重量%、より好ましくは約2~3重量%の量であり;ウコン製品は、製剤の総重量に対して、約0.05~1.5重量%、好ましくは約0.1~0.4重量%、より好ましくは約0.1~0.3重量%の量であり;古代泥炭無機物は、製剤の総重量に対して、約0.05~5重量%、好ましくは約0.1~0.8重量%、より好ましくは約0.1~0.5重量%の量である。
【0029】
[0032]本発明の他の実施形態は、必要とする対象のクランプの治療のための方法における本発明の製剤の使用に関し、この方法は治療有効量の本発明の製剤を対象に投与することを含む。
【0030】
[0033]本発明の他の実施形態は、必要とする対象のスパスムの治療のための方法における本発明の製剤の使用に関し、この方法は治療有効量の本発明の製剤を対象に投与することを含む。
【0031】
[0034]本発明の他の実施形態は、必要とする対象のクランプの頻度の減少のための方法における本発明の製剤の使用に関し、この方法は治療有効量の本発明の製剤を対象に投与することを含む。
【0032】
[0035]本発明の他の実施形態は、必要とする対象のスパスムの頻度の減少のための方法における本発明の製剤の使用に関し、この方法は治療有効量の本発明の製剤を対象に投与することを含む。
【0033】
[0036]本明細書で使用される用語「対象」は、任意の動物、好ましくは哺乳類、より好ましくはヒトを意味する。対象の例として、ヒト、非ヒト霊長類、齧歯動物、モルモット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ウシ、ウマ、イヌ及びネコが挙げられる。
【0034】
[0037]本明細書で示されている活性成分の「有効量」という用語は、所望の機能の所望の制御を提供するために、十分な成分の量の活性成分を意味する。以下に指摘するように、正確な必要量は対象ごとに異なり、対象の疾患の状態、身体状態、年齢、性別、種、体重、組成物の特徴及び製剤等に依存する。投与計画は、最適な治療反応を誘発するように調整することもできる。例えば、いくつかの分割された用量を毎日投与してもよく、又は治療状況の緊急性に応じて指示されたように用量を相対的に減少させることもできる。したがって、正確な「有効量」を特定することは不可能である。しかし、慣例の試験を使用するだけで、当業者によって適切な有効量を決定することができる。例えば、本発明の実施形態に従って、有効量は、対象の体重に対して、15mg/Kg~400mg/Kg、好ましくは20mg/Kg~300mg/Kg、より好ましくは30mg/Kg~200mg/Kgの範囲でもよい。
【0035】
[0038]本明細書で使用される場合、用語「治療する」又は「治療」は、これらの用語が適用される障害、疾患、若しくは状態、又はそれら障害、疾患、若しくは状態の1種又は複数の症状を、逆転、緩和、進行を阻害又は改善することを意味する。
【0036】
[0039]本明細書で使用される場合、用語「クランプ/スパスムの頻度」は、対象において、所定の期間に、例えば、6時間、12時間、18時間、24時間、昼間、夜間、又は1日の間に、クランプ/スパスムが発生する再発時間を意味する。
【0037】
[0040]本明細書で使用される場合、用語「クランプ/スパスムの頻度を減少させる」は、対象において、治療後にクランプ/スパスムが所定期間に発生する再発時間が、例えば治療前の対象の再発時間の約1/2、約1/3、約1/4、又は約1/5に減少させること、又は対象のクランプ/スパスムが治療後に所定期間発生しないことを意味する。
【0038】
[0041]製剤は、固体投与形態又は液体投与形態、経口投与形態、経鼻投与形態、薬用キャンディ、トローチ、制御放出投与形態、パルス放出投与形態、即時放出投与形態、懸濁液、又はそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない様々な投与形態で投与することができる。本発明の一実施形態では、製剤を経口投与する。経口投与の場合、対象による摂取に適切なように、製剤は、錠剤、発泡性錠剤、丸薬、糖衣錠、薬用キャンディ若しくはカプセルの単位用量形態として、粉剤、発泡性の粉剤若しくは顆粒として、又は水性溶液、懸濁液、液体、ゲル、シロップ、スラリー等として、一般的に提供される。
【0039】
[0042]本発明の実施形態は、以下の特定の実施例により説明する。当業者は、これらの実施例が説明目的のためであって、本発明の範囲から逸脱することなく、他の修正及び変更が可能であると理解するであろう。
【実施例0040】
[0043]実験は整形外科クリニックにおいて実施した。実験において、夜間クランプ、神経損傷によって引き起こされるスパスム、筋肉の疲労、神経筋障害に独立して罹患している対象の状態を、医師からの問診により決定した。基本的な個人情報、クランプ/スパスムの頻度、痛みのレベル、クランプ/スパスムの継続時間、睡眠の質、及びサルコペニアのレベルを含むデータ、1~2週間の間実施された問診から得られたデータは、Kuo-hsin Chan,Prevalence and Factors Associated with Nocturnal Leg Cramps among Adolescents,2009,Department of Natural Biotechnology,Nanhua University,Chiayi,Taiwanに記載の方法を改変した方法により、評価した。
【0041】
実施例1 製剤Aの調製
[0044]製剤Aは、表1に示されている成分を混合して調製した。
【0042】
【表1】
【0043】
実施例2 夜間クランプ及び神経疾患によって引き起こされる筋スパスムの治療における製剤Aの効果
[0045]夜間クランプ及び神経疾患によって引き起こされる筋スパスムを独立して病んでいる、及び週に平均4~5回の足、脚、又は腰の筋肉におけるクランプを病んでいる、28~75歳の8人の患者が、この試験に参加した。
【0044】
[0046]4.1gの製剤Aを150mlの水と室温で混合して溶液Aを形成し、溶液Aを睡眠前の患者が直ちに服用した。このような治療を2週間実施した。図1から分かるように、1週間の治療後、クランプの平均頻度は25.4%減少し、2週間の治療後、クランプの平均頻度は47.6%減少した。痛みの程度はFace Rating Scaleで測定し、レベルの5は最大限の程度を示すために使用した。図2から分かるように、治療以前の痛みの平均レベルは3.5であり、1週間の治療後、平均レベルは2.3(約35.71%の減少)に下がり、2週間の治療後、平均レベルは2.1(約57.14%の減少)に下がった。各クランプの継続時間も測定し、その結果を図3に示す。図3から分かるように、治療の前の平均クランプ継続時間は3.8分であり、1週間の治療後、平均クランプ継続時間は2.6分に低下し、2週間の治療後、平均クランプ継続時間は2.1分に低下した。
【0045】
実施例3 睡眠の質の改善における製剤Aの効果
[0047]4.1gの製剤Aを150mlの水と室温で混合して溶液Aを形成し、溶液Aを夜間クランプを病んでいる睡眠前の患者が直ちに服用した。このような治療を2週間実施した。レベル5は、夜間クランプによる中断によって引き起こされる最悪の睡眠の質を示すために使用した。図4から分かるように、治療の前の睡眠の質の平均レベルは2.8であり、1週間の治療後、平均レベルは1.8(約36.4%の減少)まで下り、2週間の治療後、平均レベルは0.9(約68.2%の減少)までが下った。
【0046】
実施例4 筋力の向上における製剤Aの効果
[0048]夜間クランプ及び神経疾患によって引き起こされる筋肉スパスムを独立して病んでいる5人の患者が、この試験に参加した。4.1gの製剤Aを150mlの水と室温で混合して溶液Aを形成し、患者は昼間にクランプが発生した時及び睡眠前に溶液Aを服用した。このような治療を2週間実施した。サルコペニアの程度は、強さ、歩行補助、椅子からの立ち上がり、階段の上り下り(SARC-F)に基づいて基本的に評価し、レベル6は最大限の程度を示すために使用した。以下の表2に示すように、治療の前、患者5人のサルコペニアのレベルは1~3であり、1週間の治療後、患者3人のレベルは0に下がり、2週間の治療後、別の患者のレベルも0に下がった。
【0047】
【表2】
【0048】
実施例5 製剤Bの調製
[0049]製剤Bは、表3に示されている成分を混合して調製した。
【0049】
【表3】
【0050】
実施例6 クランプの迅速な緩和、筋スパスム、及び痛みにおける製剤Bの効果
[0050]クランプが発生した時、4.1gの製剤Bを150mlの水に室温で溶解して溶液Bを形成し、患者はクランプ開始後2分以内に溶液Bを服用した。表4に示すように、患者のクランプと痛みは0.5~2分以内に消滅した。何人かの患者において、クランプと痛みが治療の10分後に再発した。しかし、同じ治療により再治療した後、クランプと痛みは再発しなかった。このことは、本発明の製剤がクランプによって引き起こされる症候群を迅速に緩和し、再発の可能性を減少させることができることを示唆している。
【0051】
【表4】
【0052】
[0051]前述の発明は、理解を明確にするために説明及び例としてある程度詳細に説明されているが、この説明及び例は、発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。本明細書で引用されたすべての特許及び科学文献の開示は、参照によりそれらの全体が明示的に組み込まれる。
図1
図2
図3
図4
【外国語明細書】