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特開2022-85928不動産評価方法及び不動産評価システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022085928
(43)【公開日】2022-06-09
(54)【発明の名称】不動産評価方法及び不動産評価システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/16 20120101AFI20220602BHJP
【FI】
G06Q50/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020197692
(22)【出願日】2020-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】509221135
【氏名又は名称】株式会社日建設計総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100103399
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 清
(72)【発明者】
【氏名】川除 隆広
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 慎兵
(72)【発明者】
【氏名】岡村 英樹
(72)【発明者】
【氏名】松縄 暢
(72)【発明者】
【氏名】水野 千絵
(72)【発明者】
【氏名】山本 ちはる
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC27
(57)【要約】
【課題】 不動産選定の目的に合致した複数の評価因子を設定し、客観性を持たせた不動産評価方法及びそれを実施できる不動産評価システムを提供する。
【解決手段】 不動産選定の目的に合致した施設に関する複数の評価因子14を設定し、それら各評価因子14について、施設の存在数に基づいた評価点数を抽出する。全ての評価因子14について、それら評価点数を所定の補正を伴って合計し、さらに、所定の補正を伴ってその平均値を算出することによって、特定地点の不動産の評価点数を抽出する。不動産評価システム201は、そのデータベース206内に、少なくとも、ヒートマップ地域地図11のデータ、特定地点の不動産の評価点数をレーダーチャートで表示した不動産評価グラフ12のデータを格納してある。
【選択図】 図16
【特許請求の範囲】
【請求項1】
不動産選定の目的に合致した施設に関する複数の評価因子を設定し、それら各評価因子について、前記施設の存在数に基づいた評価点数を抽出し、全ての評価因子について、それら評価点数を所定の補正を伴って合計し、さらに、所定の補正を伴ってその平均値を算出することによって、特定地点の不動産の評価点数を抽出して、当該不動産の評価をするようにしたことを特徴とする不動産評価方法。
【請求項2】
不動産の評価点数の高低を、地域地図にヒートマップによって表示するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の不動産評価方法。
【請求項3】
特定地点の不動産の評価点数を、レーダーチャートによって表示するようにしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の不動産評価方法。
【請求項4】
特定地点の不動産の評価点数を、棒グラフ、円グラフ又は折線グラフによって表示するようにしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の不動産評価方法。
【請求項5】
クライアントと、このクライアントにインターネットを介して接続したウェブサーバーと、このウェブサーバーに接続したデータベースサーバーと、このデータベースサーバーに付設したデータベースと、から構成され、前記データベースは、少なくとも、一般地域地図に対応するヒートマップ地域地図のデータ、及び、特定地点の不動産の評価点数をレーダーチャートで表示した不動産評価グラフのデータ、を格納したことを特徴とする不動産評価システム。
【請求項6】
スタンドアローンのコンピュータ内に構築したデータベースに、少なくとも、一般地域地図に対応するヒートマップ地域地図のデータ、及び、特定地点の不動産の評価点数をレーダーチャートで表示した不動産評価グラフのデータ、を格納したことを特徴とする不動産評価システム。
【請求項7】
前記データベースに、さらに、一般地域地図のデータを格納させ、前記ヒートマップ地域地図のデータと連携させたことを特徴とする請求項5又は6に記載の不動産評価システム。
【請求項8】
前記ヒートマップ地域地図において、検索したい特定地点を指定することによって、当該特定地点の不動産の評価点数が前記不動産評価グラフで表示されることを特徴とする請求項5乃至7の何れかに記載の不動産評価システム。
【請求項9】
さらに、当該特定地点の不動産の評価点数と同一又は近似する、他の特定地点の不動産の存在地点の名称、その不動産の評価点数を、関連付けて自動抽出するような機能を付加したことを特徴とする請求項5乃至8の何れかに記載の不動産評価システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、その立地環境を種々観点から判断することによって、不動産、特に、土地の特定側面に関する価値を極力客観的に評価することができる不動産評価方法及び不動産評価システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、不動産、特に、土地の価値を評価する場合、公示された地価、交通の便の良さ、買い物のし易さ等の評価因子を設定し、種々業者又は団体によって半ば恣意的に、不動産の価値が評価されている。
【0003】
ここで、不動産の評価因子として、交通の便の良さは重要なものであって、特に、最寄り駅からの距離は、不動産購入又は賃貸の選定時においても重要であるため、最寄り駅に関する情報を評価因子とする不動産評価方法が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
一方、同一の不動産であっても、評価する業者又は団体によって、設定する評価因子によって、又、価値評価を使用する目的によって、その評価は相当程度異なって、客観性に乏しいというのが実情である。
【0005】
そこで、評価する業者又は団体によらず、恣意的な評価因子によらず、誰が評価しても略同様な結果が得られる、極力客観性を持たせた不動産評価方法が提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019-121277号公報
【特許文献2】特開2003-132134号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載された不動産評価方法によれば、最寄り駅に関する情報を評価因子とするから、サラリーマンが自宅を選定したり、商人が店舗を選定するというビジネス上においては適当であるとしても、妻子がいる家庭が自宅を選定するには必ずしも適切であるとは言えない。
【0008】
又、特許文献2に記載された不動産評価方法によれば、交通アクセス、周辺の利便性等の複数の評価因子によって不動産の価値評価をするから、ニーズに見合った不動産を選定できるが、価値評価をする際に不動産を個別に検索していかなければならず、検索時に不便であった。
【0009】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みて為されたものであって、評価する業者又は団体によらず、不動産選定の目的に合致した複数の評価因子を設定して、誰が評価しても略同様な結果が得られる、客観性を持たせた不動産評価方法及びそれを実施できる不動産評価システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の不動産評価方法は、不動産選定の目的に合致した施設に関する複数の評価因子を設定し、それら各評価因子について、前記施設の存在数に基づいた評価点数を抽出し、全ての評価因子について、それら評価点数を所定の補正を伴って合計し、さらに、所定の補正を伴ってその平均値を算出することによって、特定地点の不動産の評価点数を抽出して、当該不動産の評価をするようにしたことを特徴とする。
【0011】
ここで、不動産の評価点数の高低を、地域地図にヒートマップによって表示するようにしたことを特徴とする。
【0012】
又、特定地点の不動産の評価点数を、レーダーチャートによって表示するようにしたことも特徴とする。
【0013】
前記レーダーチャートに代えて、特定地点の不動産の評価点数を、棒グラフ、円グラフ又は折線グラフによって表示するようにしてもよい。
【0014】
一方、本発明の不動産評価システムは、本発明の不動産評価方法を好適に実現するものであって、クライアントと、このクライアントにインターネットを介して接続したウェブサーバーと、このウェブサーバーに接続したデータベースサーバーと、このデータベースサーバーに付設したデータベースと、から構成され、前記データベースは、少なくとも、一般地域地図に対応するヒートマップ地域地図のデータ、及び、特定地点の不動産の評価点数をレーダーチャートで表示した不動産評価グラフのデータ、を格納したことを特徴とする。
【0015】
本発明の不動産評価システムは、又、スタンドアローンのコンピュータ内に構築したデータベースに、少なくとも、一般地域地図に対応するヒートマップ地域地図のデータ、及び、特定地点の不動産の評価点数をレーダーチャートで表示した不動産評価グラフのデータ、を格納したものとしてもよい。
【0016】
前記データベースに、さらに、一般地域地図のデータを格納させ、前記ヒートマップ地域地図のデータと連携させることが好ましい。
【0017】
ここで、前記ヒートマップ地域地図において、検索したい特定地点を指定することによって、当該特定地点の不動産の評価点数が前記不動産評価グラフで表示されることを特徴とする。
【0018】
さらに、当該特定地点の不動産の評価点数と同一又は近似する、他の特定地点の不動産の存在地点の名称、その不動産の評価点数を、関連付けて自動抽出するような機能を付加してもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明の不動産評価方法によれば、評価する業者又は団体によらず、不動産選定の目的に合致した複数の評価因子を設定することができ、客観性を持たせた不動産の価値評価を実施することができる。
【0020】
又、本発明の不動産評価システムによれば、この不動産評価方法を実現できると共に、簡単な操作によって、又、可視化した地図、レーダーチャート等によって、誰にでも特定地点の不動産の価値評価を明確に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】住宅用不動産に関する評価点数をヒートマップによって表示した地域地図である。
図2図1の地域地図中における特定地点の不動産の評価点数をレーダーチャートによって表示した不動産評価グラフである。
図3】事業用不動産に関する評価点数をヒートマップによって表示した地域地図である。
図4図3の地域地図中における特定地点の不動産の評価点数をレーダーチャートによって表示した不動産評価グラフである。
図5】特定地点の不動産の評価点数を算出する手順を示す説明図である。
図6】特定地点の不動産の評価点数を算出する手順を示す説明図である。
図7】特定地点の不動産の評価点数を算出する手順を示す説明図である。
図8】特定地点の不動産の評価点数を算出する手順を示す説明図である。
図9】特定地点の不動産の評価点数を算出する手順を示す説明図である。
図10】特定地点の不動産の評価点数を算出する手順を示す説明図である。
図11】異なる特定地点の不動産の評価点数を対比して評価点数の意義を明確化する説明図である。
図12】異なる特定地点の不動産の評価点数を対比して評価点数の意義を明確化する説明図である。
図13】本発明の不動産評価システムの全体構成を示す説明図である。
図14】本発明の不動産評価システムを構成するクライアントの構成を示す説明図である。
図15】本発明の不動産評価システムを構成するデータベースの構成を示す説明図である。
図16】一般地域地図から特定地点を選択、抽出して、当該特定地点の不動産の評価点数を表示する手順を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
先ず、本発明の不動産評価方法について、不動産の評価点数の算出手順を含め、以下、図面を参照して詳細に説明する。
【0023】
図1は、住宅用不動産に関する評価点数をヒートマップによって表示した地域地図11であって、図2は、その地域地図11中における特定地点の不動産の評価点数をレーダーチャートによって表示した不動産評価グラフ12である。
【0024】
図3は、事業用不動産に関する評価点数をヒートマップによって表示した地域地図21であって、図4は、その地域地図21中における特定地点の不動産の評価点数をレーダーチャートによって表示した不動産評価グラフ22である。
【0025】
ここで、ヒートマップとは、評価点数の高低を順次色彩を遷移させ、地図に対応させて表示したものである。
図1及び3では、色彩が明示されていないが、例えば、評価点数が100点の場合には暖色である赤色を、50点の場合には寒色である青色を、その間の点数については、順次色彩を遷移して対応させることによって、色彩によって評価点数の高低が一目で理解できるようにしてある。
【0026】
住宅用不動産に関する評価点数Sを算出する場合には、前提として、先ず、評価分野として、図2に示すように、1)食料品店、医療施設、公共施設等の生活必需施設に関する分野、2)飲食店、喫茶店等の余暇娯楽施設に関する分野、3)教育施設、学習教室等の教育学習施設に関する分野、という3分野を想定し、これらを大評価因子13として設定する。
【0027】
次に、各評価分野を細分化した評価業種として、例えば、図2に示すように、1)生活必需施設に関する分野として、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、医療施設、公共施設等、2)余暇娯楽施設に関する分野として、飲食店、喫茶店等、3)教育学習施設に関する分野として、教育施設、学習教室等、という20以上の業種を想定し、これらを小評価因子14として設定する。
【0028】
不動産に関する評価点数を算出する際には、評価点数算出テーブルを使用するが、特定地点から施設までの距離を考慮して、図5に示すように、特定地点から1)0~400m圏内、2)400~800m圏内、3)800~1200m圏内、という3圏内から成る評価点数算出テーブル101,102,103を使用する。
【0029】
ここで、本実施形態においては、特定地点から所定施設までの距離は、単に地図上での直線距離を測定したものではなく、実際に徒歩で移動できる経路に沿って測定したものとしてある。
【0030】
各評価点数算出テーブル101,102,103の行には、所定の特定地域を地番表示等を基に区分した複数の特定区域15(メッシュ1,2,・・・)に関する情報等を入力する。図5においては、特定地域を10の特定区域15に区分してある。
【0031】
ここで、本実施形態においては、特定地点を中心とする特定区域15(メッシュ)は、略一街区に相当する50m×50mの正方形区域としてある。
【0032】
一方、各評価点数算出テーブル101,102,103の列には、上記に説明した大評価因子13、小評価因子14に関する情報を入力する。図5においては、小評価因子14として13の業種を設定してある。
【0033】
評価点数算出ステップ1
評価点数算出ステップ1では、図5に示すように、各評価点数算出テーブル101,102,103について、その圏内に存在する小評価因子14に該当する施設の個数を抽出して、評価点数算出テーブル111,112,113を作成する。
【0034】
例えば、1)0~400m圏内の評価点数算出テーブル111において、メッシュ3については、スーパーマーケットが2店舗、医療施設が36施設、飲食店が28店舗、教育施設が2施設存在しているから、評価点数算出テーブル111の該当する点数記載欄31にそれら個数を入力する。
同様に、メッシュ1,2,・・・についても、小評価因子14に該当する施設の個数を抽出して、該当する点数記載欄31にそれら個数を入力する。
【0035】
又、2)400~800m圏内、3)800~1200m圏内の評価点数算出テーブル112,113についても、小評価因子14に該当する施設の個数を抽出して、該当する点数記載欄31にそれら個数を入力する。
【0036】
評価点数算出ステップ2
評価点数算出ステップ2では、算出ステップ1において作成した評価点数算出テーブル111,112,113を基に、図6に示すように、特定地点からの範囲を0~1200m圏内に統合した評価点数算出テーブル121を作成する。
【0037】
ここで、評価点数算出テーブル111の点数記載欄31の点数はそのまま、評価点数算出テーブル112の点数記載欄31の点数には距離減衰係数αを乗算し、評価点数算出テーブル113の点数記載欄31の点数には距離減衰係数βを乗算し、それらを加算して、
評価点数算出テーブル121の該当する点数記載欄32に点数を入力する。
【0038】
距離減衰係数α,βは、小評価因子14に該当する施設が存在したとしても、特定地点から距離が離反するに従ってその施設の存在価値は低下する、という想定に基づき、導入するものである。
ここでは、距離減衰係数αは0.5、距離減衰係数βは0.2と設定して、評価点数算出テーブル121を作成してある。
【0039】
さらに、評価点数算出テーブル121の各小評価因子14について、特定区域15(メッシュ)間における最大値及び最小値を抽出すると共に、特定区域15(メッシュ)間における平均値を算出して、評価点数分析テーブル122を作成する。
【0040】
評価点数算出ステップ3
評価点数算出ステップ3では、算出ステップ2において作成した評価点数算出テーブル121を基にして、図7に示すように、特定地点からの距離を0~1200m圏内に統合すると共に、施設が複数存在する場合の効用逓減について考慮した評価点数算出テーブル131を作成する。
【0041】
ここで、評価点数算出テーブル121の点数記載欄32の点数を自然対数化する演算を実行して、評価点数算出テーブル131の該当する点数記載欄33に演算後の数値を点数として入力する。
【0042】
このような演算を実行するのは、同一圏内に同一業種の施設が複数存在したとしても、施設の効用は存在個数に比例して増大する訳ではなく、存在個数に何等かの関係性を有しつつも効用は逓減される、という想定に基づくものである。
【0043】
さらに、評価点数算出テーブル131の各小評価因子14について、特定区域15(メッシュ)間における最大値及び最小値を抽出すると共に、特定区域15(メッシュ)間における平均値を算出して、評価点数分析テーブル132を作成する。
【0044】
評価点数算出ステップ4
評価点数算出ステップ4では、算出ステップ3において作成した評価点数算出テーブル131を基にして、図8(A)に示すように、特定区域15(メッシュ)間における点数の最大値を100、最小値を50とした、評価点数算出テーブル141を作成する。
【0045】
さらに、評価点数算出テーブル141の各小評価因子14について、特定区域15(メッシュ)間における最大値及び最小値を抽出すると共に、特定区域15(メッシュ)間における平均値を算出して、評価点数分析テーブル142を作成する。
【0046】
このような評価点数算出テーブル141によれば、図8(B)に示すように、特定区域15(メッシュ)毎に、不動産の評価点数をレーダーチャートによって表示した不動産評価グラフ143を作成することができる。
【0047】
評価点数算出ステップ5
評価点数算出ステップ5では、算出ステップ4において作成した評価点数算出テーブル141を基にして、図9に示すように、特定区域15(メッシュ)毎に、各小評価因子14の点数を合計し、その平均値を算出した、評価点数算出テーブル151を作成する。
【0048】
さらに、評価点数算出テーブル151について、特定区域15(メッシュ)間における最大値及び最小値を抽出すると共に、特定区域15(メッシュ)間における平均値を算出して、評価点数分析テーブル152を作成する。
【0049】
評価点数算出ステップ6
評価点数算出ステップ6では、算出ステップ5において作成した評価点数算出テーブル151を基にして、図10(A)に示すように、特定区域15(メッシュ)間における点数の最大値を100、最小値を50とした、評価点数算出テーブル161を作成する。
【0050】
さらに、評価点数算出テーブル161について、特定区域15(メッシュ)間における最大値及び最小値を抽出すると共に、特定区域15(メッシュ)間における平均値を算出して、評価点数分析テーブル162を作成する。
【0051】
このような評価点数算出テーブル161によれば、図10(B)に示すように、特定区域15(メッシュ)毎に、不動産の評価点数をレーダーチャートによって表示した不動産評価グラフ163を作成することができると共に、総合的な評価点数をも表示することができる。
【0052】
以上のような不動産に関する評価点数の算出方法によれば、各特定地点の不動産について評価点数を算出することによって、図1に示すように、住宅用不動産に関する評価点数をヒートマップによって表示した地域地図11、又、図2に示すように、その地域地図11中における特定地点の不動産の評価点数をレーダーチャートによって表示した不動産評価グラフ12を作成することができる。
【0053】
住宅用不動産に関する評価の場合には、その住宅のタイプ、すなわち、家族用、単身者用、高齢者用に区分して、大評価因子13、小評価因子14を適宜設定すれば、住宅のタイプを選択肢とした評価点数を算出することができる。
【0054】
そして、評価点数が100点の場合には暖色である赤色を、50点の場合には寒色である青色を、その間の点数については、順次色彩を遷移させて地域地図に表示させることによって、図1に示すように、住宅用不動産に関する評価点数をヒートマップによって表示した地域地図11を作成することができる。
【0055】
事業用不動産に関する評価点数Sを算出する場合にも、前提として、先ず、評価分野として、図4に示すように、1)食料品店、郵便局、医療施設等の生活必需施設に関する分野、2)飲食店、喫茶店、娯楽施設等の余暇娯楽施設に関する分野、3)文化施設、学習教室、書店等の教育学習施設に関する分野、という3分野を想定し、これらを大評価因子13として設定する。
【0056】
次に、各評価分野を細分化した評価業種として、図4に示すように、1)生活必需施設に関する分野として、コンビニエンスストア、郵便局、医療施設等の業種、2)余暇娯楽施設に関する分野として、飲食店、喫茶店、娯楽施設等の業種、3)教育学習施設に関する分野として、文化施設、学習教室、書店等の業種、というように、事業用不動産に関する評価をするために適当と考える多数の業種を想定し、これらを小評価因子14として設定する。
【0057】
事業用不動産に関する評価点数を算出する際にも、住宅用不動産の評価と同様に、特定地点から1)0~400m圏内、2)400~800m圏内、3)800~1200m圏内、という3圏内を想定した評価点数算出テーブル101,102,103を使用する。
【0058】
又、各評価点数算出テーブル101,102,103の行には、特定地域を地番表示等を基に区分した複数の特定区域15(メッシュ)に関する情報を入力すると共に、その列には、大評価因子13、小評価因子14に関する情報を入力する。
【0059】
そして、住宅用不動産に関する評価点数算出手順と同様に、評価点数算出の各ステップを実行して、特定区域15(メッシュ)間における点数の最大値を100、最小値を50とした、評価点数算出テーブル161を作成する。
【0060】
さらに、評価点数算出テーブル161について、特定区域15(メッシュ)間における最大値及び最小値を抽出すると共に、特定区域15(メッシュ)間における平均値を算出して、評価点数分析テーブル162を作成する。
【0061】
このような評価点数算出テーブル161によれば、特定区域15(メッシュ)毎に、不動産の評価点数をレーダーチャートによって表示した不動産評価グラフを作成することができると共に、総合的な評価点数をも表示することができる。
【0062】
以上のような不動産に関する評価点数の算出方法によれば、図3に示すように、事業用不動産に関する評価点数をヒートマップによって表示した地域地図21、又、図4に示すように、その地域地図21中における特定地点の不動産の評価点数をレーダーチャートによって表示した不動産評価グラフ22を作成することができる。
【0063】
ここで、事業用不動産に関する評価の場合には、特に、複数のタイプに区分してはいないが、オフィス用、商業店舗用等、事業形態に合わせた適宜タイプに区分してもよい。
【0064】
そして、評価点数が100点の場合には暖色である赤色を、50点の場合には寒色である青色を、その間の点数については、順次色彩を遷移させて地域地図に表示させることによって、図3に示すように、事業用不動産に関する評価点数をヒートマップによって表示した地域地図21を作成することができる。
【0065】
本発明の住宅用不動産に関する評価点数Sを利用して、異なる特定地点の不動産の評価点数Sを対比してみれば、図11に示すように、一般的には、平均家賃が相当程度異なる地点であっても、実際上では、住宅用不動産の価値としては、略同様の価値を有する地点であるということを、客観性をもって把握することができる。
【0066】
又、本発明の業務用不動産に関する評価点数Sを利用して、異なる特定地点の不動産の評価点数Sを対比してみれば、図12に示すように、一般的には、平均家賃が殆ど異ならない隣接地点であっても、実際上では、事業用不動産の価値としては、相当程度異なる価値を有する地点であるということを、客観性をもって把握することができる。
【0067】
評価点数の算出は、原則として、特定区域15(メッシュ)内における所定施設の存在数を基に算出しているが、スーパーマーケットに関しても大小規模のもの、医療施設に関しても大病院、医院、診療所、公共施設に関しても大小規模のもの、飲食店に関してもレストラン、料理店、居酒屋、教育施設に関しても総合大学、短期大学というように、同業種においても業態の相違、規模の大小があり、それによって及ぼす影響も大いに異なると想定される。
【0068】
そこで、施設の存在数だけではなく、その大小規模の相違をも考慮に入れ、所定の補正係数を勘案した上で、評価点数を算出するようにしてもよい。
施設の規模をどのような基準で判断するかは難しいところであり、必ずしも正確な基準とは言えないが、例えば、当該施設の面積を基準としてもよい。この場合には、地域地図から容易に判断でき、便利である。
【0069】
次に、本発明の不動産評価システムの好適な実施形態について、以下、図面を参照して詳細に説明する。
【0070】
本発明の不動産評価システム201は、図13に示すように、クライアント202と、このクライアント202にインターネット203を介して接続したウェブサーバー204と、このウェブサーバー204に接続したデータベースサーバー205と、このデータベースサーバー205に付設したデータベース206と、から構成してある。
【0071】
クライアント202は、検索者のオフィス等に設置してあり、図14に示すように、コンピュータ211と、入力装置212と、出力装置213と、から構成されている。
通常、入力装置212としては、キーボード214、マウス215が、出力装置213としては、ディスプレイ216、プリンター217が装備されている。
【0072】
ウェブサーバー204、データベースサーバー205及びデータベース206は、クラウド上の管理者のオフィス等に設置してあり、図15に示すように、データベース206は、統合管理データベース221に、少なくとも、一般地域地図10のデータを格納したデータベース222と、一般地域地図10に対応したヒートマップ地域地図11のデータを格納したデータベース223と、特定地点の不動産の評価点数をレーダーチャートで表示した不動産評価グラフ12のデータを格納したデータベース224と、を連携して構成してある。
【0073】
本発明の不動産評価システム201を使用して、特定地点の不動産の評価点数を検索、抽出する場合には、検索者は、先ず、クライアント202のコンピュータ211の電源をONにし、ウェブブラウザを起動させ、インターネット203を介してクラウド上のウェブサーバー204に接続する。
【0074】
次に、ウェブブラウザによって、ウェブサーバー204内に格納したアプリケーションソフトを起動させ、データベースサーバー205に付設したデータベース206内を検索して、図16(A)に示すように、検索したい不動産が存在している一般地域地図10をディスプレイ216上に表示させる。
【0075】
次に、図16(A)に示すように、マウス215を適宜操作して、一般地域地図10において、検索したい特定地点周辺をポインタで指定し、マウス215をクリックすることによって、当該特定地点周辺を選定する。
【0076】
これによって、図16(B)に示すように、ディスプレイ216上にヒートマップ地域地図11が表示され、さらに、選定した特定地点周辺が拡大表示される。
【0077】
次に、図16(B)に示すように、マウス215を適宜操作して、ヒートマップ地域地図11において、検索したい特定地点をポインタで指定し、マウス215をクリックすることによって、当該特定地点を選定する。
【0078】
これによって、図16(C)に示すように、ディスプレイ216上に特定地点の不動産の評価点数をレーダーチャートで表示した不動産評価グラフ12が表示される。
【0079】
よって、検索者は、特定地点の不動産の評価点数をレーダーチャートで表示した不動産評価グラフ12を閲覧することによって、特定地点の不動産の評価点数を容易に把握することができる。
【0080】
上記実施形態においては、データベース206は、インターネット203で接続したクラウド上に配置されたデータベースサーバー205に連携、構築するものとしたが、インターネット203ではなく、ローカルエリアネットワーク(LAN)で接続したサーバー内に構築するものであってもよい。
さらに、データベース206は、スタンドアローンのコンピュータ内に構築するものであってもよい。
【0081】
上記実施形態においては、特定地点の不動産の評価点数をレーダーチャートで表示した不動産評価グラフ12を採用するようにしたが、これに代えて、棒グラフ、円グラフ等で表示した不動産評価グラフを採用するようにしてもよい。
さらに、所定期間における不動産の評価点数の推移を明示するため、折線グラフで表示した不動産評価グラフを採用するようにしてもよい。
【0082】
上記実施形態においては、特定地点の不動産を選定することによって、当該特定地点の不動産の評価点数を不動産評価グラフ12で表示するようにしたが、さらには、当該特定地点の不動産の評価点数と同一又は近似する、他の特定地点の不動産の存在地点の名称、
その不動産の評価点数を、関連付けて自動抽出するようなシステムを構成してもよい。
【0083】
さらに、本発明の不動産評価システムは、上記に説明した実施形態に捉われるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々変形、改変したシステムとすることができる。
【符号の説明】
【0084】
10 一般地域地図
11 ヒートマップ地域地図
12 不動産評価グラフ
13 大評価因子
14 小評価因子
201 不動産評価システム
202 クライアント
203 インターネット
204 ウェブサーバー
205 データベースサーバー
206 データベース
図1
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