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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022085929
(43)【公開日】2022-06-09
(54)【発明の名称】締結部材
(51)【国際特許分類】
   F16B 39/10 20060101AFI20220602BHJP
   F16B 35/00 20060101ALI20220602BHJP
   F16B 39/02 20060101ALI20220602BHJP
   F16B 2/20 20060101ALI20220602BHJP
   F16B 2/22 20060101ALI20220602BHJP
【FI】
F16B39/10 D
F16B35/00 X
F16B39/02 F
F16B2/20 C
F16B2/20 B
F16B2/22 Z
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020197694
(22)【出願日】2020-11-29
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-12-01
(71)【出願人】
【識別番号】515192911
【氏名又は名称】松永 孝一
(72)【発明者】
【氏名】松永 孝一
【テーマコード(参考)】
3J022
【Fターム(参考)】
3J022EA41
3J022EB14
3J022EC12
3J022EC22
3J022FB04
3J022FB08
3J022FB12
3J022FB17
3J022HA03
3J022HA05
3J022HB02
3J022HB06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ボルトとナットの緩み止めを実現できる締結部材を提供する。
【解決手段】頭部11とねじ軸12とを有するボルト1と、前記ボルトに螺合するナット2の緩みを阻止する緩み止め締結具3とを備え、前記ボルトは、前記ねじ軸のうち、雄ねじ部121が形成されている周面において、周方向の一部に、かつ軸方向の少なくとも一部にわたって、前記軸方向に沿った縦溝部122が形成されており、前記緩み止め締結具は、前記ねじ軸を環状に囲むように締め付けることが可能であり、締め付けられたときに前記縦溝部に係合することにより周方向の動きを制止する突起である縦溝突起部と、締め付けられたときに前記雄ねじ部に係合することにより前記軸方向の動きを制止する突起である突起爪部と、を有している締結部材により、ボルトとナットの緩み止めを実現する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭部(11)とねじ軸(12)とを有するボルト(1)と、前記ボルト(1)に螺合するナット(2)の緩みを阻止する緩み止め締結具(3)とを備え、前記ボルト(1)は、前記ねじ軸(12)のうち、雄ねじ部(121)が形成されている周面において、周方向の一部に、かつ軸方向の少なくとも一部にわたって、前記軸方向に沿った縦溝部(122)が形成されており、前記緩み止め締結具(3)は、前記ねじ軸(12)を環状に囲むように締め付けることが可能であり、締め付けられたときに前記縦溝部(122)に係合することにより周方向の動きを制止する突起である縦溝突起部(312)と、締め付けられたときに前記雄ねじ部(121)に係合することにより前記軸方向の動きを制止する突起である突起爪部(313)と、を有している、締結部材。
【請求項2】
前記突起爪部(313)は、前記緩み止め締結具(3)が締め付けられる前には、前記緩み止め締結具(3)の他の部分に対して、周方向にスライド可能であり、前記緩み止め締結具(3)が締め付けられたときには、前記周方向に沿った緩み方向の動きが制止される、請求項1に記載の締結部材。
【請求項3】
前記緩み止め締結具(3)は、弾性復元力により、前記ねじ軸(12)を締め付けるように、かつ一周を超えて環状に囲むように曲げられた板バネ部(81)と、前記板バネ部(81)の両端に連結された一対のつまみ部(82,82)と、を有し、前記縦溝突起部(312,811)と前記突起爪部(313,812)は、前記板バネ部(81)の内周面に設けられており、前記一対のつまみ部(82,82)を指でつまむことにより、前記弾性復元力に抗して、前記板バネ部(81)による締め付けを緩めることができる、請求項1又は2に記載の締結部材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナットの緩みを抑える締結部材に関する。
【背景技術】
【0002】
ボルトとナットおよびワッシャを含むボルトナットは、雌雄のねじ部の螺旋斜面による締め付けと、摩擦による緩み止めとによって、その締結が達成されているが、振動等により緩みが生じると、ボルトからナットが外れるおそれがある。そのため、ボルトおよびナットの緩み止めの構造が種々提案されている。下記特許文献1に開示された緩み止めは、ボルトの軸部のねじ山部分の一部に、板ばね型の突起部を設けるとともに、ナットに前記ボルトへ組み込んだ際に前記突起部が係止される凹部を設けることで、ナットのボルトに対する回動が規制され、ボルトとナットの緩みが防止される。
特許文献1の課題点として、板ばね型の突起部は、締結する被締結部材の厚さが異なると、ナットの締め付けの位置も異なることから、板ばね型の突起部をボルトの軸部のねじ山全域に設ける必要があることと、必要なときであっても、板ばね型の突起部とナットに設けた凹部の係合を解除して、ナットを緩めることができないことが挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-344772
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、ボルトの構造を簡素にしたまま、ナットの緩みを抑えるとともに、必要なときにはナットの緩み止めを解除できる締結部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記の目的を達成するため、本発明の第1の形態は、締結部材であって、頭部(11)とねじ軸(12)とを有するボルト(1)と、前記ボルト(1)に螺合するナット(2)の緩みを阻止する緩み止め締結具(3)と、を備える。そして、前記ボルト(1)は、前記ねじ軸(12)のうち、雄ねじ部(121)が形成されている周面において、周方向の一部に、かつ軸方向の少なくとも一部にわたって、前記軸方向に沿った縦溝部(122)が形成されている。さらに、前記緩み止め締結具(3)は、前記ねじ軸(12)を環状に囲むように締め付けることが可能であり、締め付けられたときに前記縦溝部(122)に係合することにより周方向の動きを制止する突起である縦溝突起部(312)と、締め付けられたときに前記雄ねじ部(121)に係合することにより前記軸方向の動きを制止する突起である突起爪部(313)と、を有している。
【0006】
本発明の第2の形態は、第1の形態の締結部材において、前記突起爪部(313)は、前記緩み止め締結具(3)が締め付けられる前には、前記緩み止め締結具(3)の他の部分に対して、周方向にスライド可能であり、前記緩み止め締結具(3)が締め付けられたときには、前記周方向に沿った緩み方向の動きが制止される。
【0007】
本発明の第3の形態は、第1又は第2の形態の締結部材において、前記緩み止め締結具(3)は、弾性復元力により、前記ねじ軸(12)を締め付けるように、かつ一周を超えて環状に囲むように曲げられた板バネ部(81)と、前記板バネ部(81)の両端に連結された一対のつまみ部(82,82)と、を有している。そして、前記縦溝突起部(312,811)と前記突起爪部(313,812)は、前記板バネ部(81)の内周面に設けられている。また、前記一対のつまみ部(82,82)を指でつまむことにより、前記弾性復元力に抗して、前記板バネ部(81)による締め付けを緩めることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の第1の形態の締結部材によれば、ナットをボルトに締結した後に、ナットに接する位置で、前記緩み止め締結具(3)を、前記ボルト(1)の前記ねじ軸(12)を環状に囲むように締め付けることにより、緩み止め締結具(3)の縦溝突起部(312)は、前記ボルト(1)の前記ねじ軸(12)に切られた縦溝部(122)に係合し、周方向の動きを制止し、突起爪部(313)は、前記ねじ軸(12)に切られた雄ねじ部(121)に係合し、前記軸方向の動きを制止し、緩み止め締結具(3)の回動が止まる。緩み止め締結具(3)の回動が止まると、緩み止め締結具(3)に接するナット(2)の回動も止まり、ボルトとナットの緩み止めが実現する。
ボルトは、縦溝部(122)を有するのみで、従来技術のような板ばね型の突起部を要しないので、構造が簡素である。また、必要なときには緩み止め締結具(3)の締め付けを緩めることにより、ナットの緩み止めを解除し、ナットを緩めることができる。
【0009】
本発明の第2の形態の締結部材によれば、突起爪部(313)は、緩み止め締結具(3)が締め付けられる前には、緩み止め締結具(3)の他の部分に対して、周方向にスライド可能であるので、ナットがボルトに締結した後に、ナットの締結位置がどこであるかに関わらず、ナットに接触するように緩み止め締結具(3)を締め付けたときに、突起爪部(313)を、ボルトの溝に係合する位置に定めることができる。そして、突起爪部(313)は、緩み止め締結具(3)が締め付けられたときには、周方向に沿った緩み方向の動きが制止されるので、ボルトの溝に係合する位置から緩み方向に動かない。このため、ナットの締結位置がどこであるかに関わらず、ナットと緩み止め締結具(3)との間に、隙間が生じないようにすることができる。
【0010】
本発明の第3の形態の締結部材によれば、弾性復元力によりボルト(1)のねじ軸(12)を締め付ける板バネ部(81)の内周面に、縦溝突起部(811)と突起爪部(812)が設けられているので、ボルトとナットの緩み止めが実現する。さらに、板バネ部(81)の弾性復元力に抗して、板バネ部(81)の両端に設けられたつまみ部(82)を指でつまむことにより、板バネ部(81)による締め付けを緩めることができ、緩み止め締結具(3)をねじ軸(12)に着脱することができる。このように、簡単な操作により、緩み止め締結具(3)のねじ軸(12)に対する着脱、及びボルトとナットの緩み止めが実現する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の緩み止め締結部材の全体構成の側面図である。
図2】緩み止め締結部材の全体構成における緩み止め締結具部分下方からの拡大図である。
図3】本発明の緩み止め締結部材の全体構成の図1と反対側からの側面図である。
図4】縦溝部を備えたボルトの斜視図である。
図5】ナットの斜視図である。
図6】本発明の縦溝突起部と突起爪部と締付部を備えた緩み止め締結具の斜視図である。
図7】縦溝部を備えたボルトの側面図である。
図8】本発明の緩み止め締結具の詳細説明図である。
図9】帯状緩み止め締結具の斜視図である。
図10】一体型緩み止め締結具の斜視図である。
図11】突起爪分離型緩み止め締結具の斜視図である。
図12】独立突起爪部の斜視図である。
図13】圧縮板バネ型緩み止め締結具の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の緩み止め締結部材の一形態は、締結部材であって、頭部(11)とねじ軸(12)とを有するボルト(1)と、ボルト(1)に螺合するナット(2)の緩みを阻止する緩み止め締結具(3)と、を備え、ボルト(1)は、ねじ軸(12)のうち、雄ねじ部(121)が形成されている周面において、周方向の一部に、かつ軸方向の少なくとも一部にわたって、軸方向に沿った縦溝部(122)が形成されており、緩み止め締結具(3)は、ねじ軸(12)を環状に囲むように締め付けることが可能であり、締め付けられたときに縦溝部(122)に係合することにより周方向の動きを制止する突起である縦溝突起部(312)と、締め付けられたときに雄ねじ部(121)に係合することにより軸方向の動きを制止する突起である突起爪部(313)と、を緩み止め締結具(3)の共通の一方主面に有している。ねじ軸(12)を環状に囲むように、緩み止め締結具(3)を締め付けたときには、この一方主面は、ねじ軸(12)に面する内周面となる。
本発明の緩み止め締結部材は、ボルト(1)の雄ねじ部(121)に縦溝部(122)を設けただけの簡易な構造で、新しく考案した緩み止め締結具(3)を組み合わせ使用することで、確実な効果が得られる緩み止めである。また、必要なときには緩み止め締結具(3)の締め付けを緩めることにより、ナットの緩み止めを解除し、ナットを緩めることができる緩み止めである。
緩み止め締結部材の使用方法は、ボルト(1)のねじ軸(12)にナット(2)を螺合し、緩み止め締結具(3)を、ナット(2)の下部に接する位置で、ボルト(1)のねじ軸(12)に締め付けて使用する。
緩み止め締結具(3)を、ボルト(1)のねじ軸(12)を環状に囲むように締め付け、緩み止め締結具(3)の縦溝突起部(312)を、ボルト(1)のねじ軸(12)に切られた縦溝部(122)に係合し、突起爪部(313)を、ねじ軸(12)に切られた雄ねじ部(121)に係合し、締付部(314)を、ボルト(1)のねじ軸(12)に締め付ける。
ボルト(1)のねじ軸(12)に切られた縦溝部(122)に係合した縦溝突起部(312)が、周方向の動きを制止し、ねじ軸(12)に切られた雄ねじ部(121)に係合した突起爪部(313)が、軸方向の動きを制止し、異なる二方向への動きを同時に制止することで、緩み止め締結具(3)の回動が止まる。緩み止め締結具(3)の回動が止まると、緩み止め締結具(3)に接するナット(2)の回動も止まり、ボルトとナットの緩み止めが実現する。
以下、本発明の概略と、本発明の構成を図1図13に基づいて説明する。
【0013】
図1は、本発明の緩み止め締結部材の全体構成の側面図である。
緩み止め締結部材は、ボルト(1)とナット(2)と緩み止め締結具(3)で構成する。
ボルト(1)のねじ軸(12)を、被締結部材(9)である被締結部材A(91)と被締結部材B(92)のねじ軸挿通穴(93)に挿通し、ナット(2)と螺合する。
緩み止め締結具(3)は、ナット(2)の下部に接する位置で、前記ボルト(1)の前記ねじ軸(12)を環状に囲むように締め付ける。
【0014】
図2は、緩み止め締結部材の全体構成における緩み止め締結具部分下方からの拡大図である。
ナット(2)の下部に接する位置で、前記ボルト(1)の前記ねじ軸(12)を環状に囲むように締め付けられた、前記緩み止め締結具(3)の縦溝突起部(312)が、前記ボルト(1)の前記ねじ軸(12)の縦溝部(122)に係合し、突起爪部(313)が、前記ボルト(1)の雄ねじ部(121)に係合する。
前記ボルト(1)の前記ねじ軸(12)に切られた縦溝部(122)に係合した縦溝突起部(312)が、周方向の動きを制止し、前記ねじ軸(12)に切られた雄ねじ部(121)に係合した突起爪部(313)が、前記軸方向の動きを制止し、異なる二方向への動きを同時に制止することで、緩み止め締結具(3)の回動が止まる。緩み止め締結具(3)の回動が止まると、緩み止め締結具(3)に接するナット(2)の回動も止まり、ボルトとナットの緩み止めが実現する。
【0015】
図3は、本発明の緩み止め締結部材の全体構成の図1と反対側からの側面図である。
前記ボルト(1)の前記ねじ軸(12)に係合した前記緩み止め締結具(3)は、締付部(314)を、前記ボルト(1)の前記ねじ軸(12)に締め付ける。
【0016】
図4は、縦溝部を備えたボルトの斜視図である。
前記ボルト(1)は、前記ねじ軸(12)のうち、雄ねじ部(121)が形成されている周面において、周方向の一部に、かつ軸方向の少なくとも一部にわたって、前記軸方向に沿った縦溝部(122)が形成されている。
【0017】
図5は、ナットの斜視図である。
ナット2は、特別な機能を具備しない。
【0018】
図6は、本発明の縦溝突起部と突起爪部と締付部を備えた緩み止め締結具の斜視図である。
本発明で新しく考案した緩み止め締結具(3)は、前記ボルト(1)の前記ねじ軸(12)を環状に囲むように締め付けることが可能であり、締め付けられたときに前記ねじ軸(12)に切られた前記縦溝部(122)係合することにより周方向の動きを制止する突起である縦溝突起部(312)と、締め付けられたときに前記ねじ軸(12)に切られた前記雄ねじ部(121)に係合することにより前記軸方向の動きを制止する突起である突起爪部(313)と、緩み止め締結具(3)を前記ボルト(1)の前記ねじ軸(12)に締め付ける締付部(314)を有する。
緩み止め締結具(3)の筒状部(31)は、前記ボルト(1)の前記ねじ軸(12)を通したときにねじ軸(12)との間に隙間が確保されるように、ねじ軸(12)に対して、ゆったり目に設けられており、締付部(314)は、緩み止め締結具(3)を、ナット(2)の下部に接する位置で、前記ボルト(1)の前記ねじ軸(12)を環状に囲むように締め付け、固定する。
また、緩み止め締結具(3)は、ボルト(1)とナット(2)とは独立した部材であり、ボルト(1)ねじ軸(12)への締め付け、取り外しが可能であり、必要なときには緩み止め締結具(3)の締め付けを緩めることにより、ナットの緩み止めを解除し、ナットを緩めることができる。
【0019】
図7は、縦溝部を備えたボルトの側面図である。
本発明に用いるボルト(1)は、前記ねじ軸(12)のうち、雄ねじ部(121)が形成されている周面において、周方向の一部に、かつ軸方向の少なくとも一部にわたって、前記軸方向に沿った縦溝部(122)が形成されている。
縦溝部(122)は、緩み止め締結具(3)の縦溝突起部(312)と係合する。
【0020】
図8は、本発明の一実施の形態による緩み止め締結具の詳細説明図である。
緩み止め締結具(3)は、前記ボルト(1)の前記ねじ軸(12)に締め付ける締付部(314)を有する。
(a)は、本発明の一実施の形態による緩み止め締結具の側面図である。
緩み止め締結具(3)の筒状部(31)は、前記ボルト(1)の前記ねじ軸(12)に対してゆったり目に設けられており、締付部(314)は、緩み止め締結具(3)を、ナット(2)の下部に接する位置で、前記ボルト(1)の前記ねじ軸(12)を環状に囲むように締め付け、固定する。
(b)は、本発明の一実施の形態による縦溝突起部と突起爪部と締付部を備えた緩み止め締結具の平面図である。
前記緩み止め締結具(3)は、ナット(2)の下部に接する位置で、前記ボルト(1)の前記ねじ軸(12)を環状に囲むように締め付け、緩み止め締結具(3)の縦溝突起部(312)を前記ボルト(1)の前記ねじ軸(12)に切られた縦溝部(122)に係合し、突起爪部(313)を前記ねじ軸(12)に切られた雄ねじ部(121)に係合した後、締付部(314)を、前記ボルト(1)の前記ねじ軸(12)に締め付け、固定する。
前記ボルト(1)の前記ねじ軸(12)に切られた縦溝部(122)に係合した縦溝突起部(312)が、周方向の動きを制止し、前記ねじ軸(12)に切られた雄ねじ部(121)に係合した突起爪部(313)が、前記軸方向の動きを制止し、異なる二方向への動きを同時に制止することで、緩み止め締結具(3)の回動が止まる。緩み止め締結具(3)の回動が止まると、緩み止め締結具(3)に接するナット(2)の回動も止まり、ボルトとナットの緩み止めが実現する。
(c)は、一実施の形態による緩み止め締結具の突起爪部の拡大図である。
突起爪部(313)は、緩み止め締結具(3)の内周面の一部に備えられ、前記ボルト(1)の前記ねじ軸(12)に切られた雄ねじ部(121)に係合する形状を有する。
緩み止め締結具(3)の突起爪部(313)は、前記ボルト(1)の前記雄ねじ部(121)に係合して、前記軸方向の動きを制止する。
(d)は、一実施の形態による緩み止め締結具の縦溝突起部の拡大図である。
縦溝突起部(312)は、緩み止め締結具(3)の内周面の一部に備えられ、前記ボルト(1)の前記ねじ軸(12)に切られた縦溝部(122)に係合する形状を有する。
緩み止め締結具(3)の縦溝突起部(312)は、前記ボルト(1)の前記ねじ軸(12)に切られた縦溝部(122)に係合して、周方向の動きを制止する。
(e)は、一実施の形態による緩み止め締結具の締付部の拡大図である。
締付部(314)は、前記ボルト(1)の前記ねじ軸(12)に対してゆったり目に設けられた、緩み止め締結具(3)の筒状部(31)に備えられ、緩み止め締結具(3)を、前記ボルト(1)前記ねじ軸(12)に締め付けるに十分な膨らみの長さを有する。
【0021】
図9は、本発明の別の実施の形態による緩み止め締結具である帯状緩み止め締結具の斜視図である。
緩み止め締結具をボルトのねじ軸に取り付ける方法には、圧縮板バネを用いた緩み止め締結具を用いて締め付ける、緩み止め締結具の締付部を溶接する、締付部をタッピングする、締付部に締付バンドを用いて締め付ける、締付部を合わせ潰して締め付ける、など様々な方法が考えられるが、本発明の別の一形態としての、帯状形態の帯状緩み止め締結具(4)は、前記ボルト(1)の前記ねじ軸(12)に対してゆったり目に設けられた、緩み止め締結具(3)の筒状部(31)の締付部(314)を真ん中位置で切断し、締付部を帯状緩み止め締結具(4)の帯状部(41)の両端に帯状締付部(413)として備えた緩み止め締結具である。
帯状緩み止め締結具(4)は、帯状部(41)の同一面に、前記ボルト(1)の前記ねじ軸(12)に切られた縦溝部(122)に係合する縦溝突起部(411)と、複数箇所に前記ねじ軸(12)に切られた雄ねじ部(121)に係合する突起爪部(412)を備える。
帯状緩み止め締結具(4)は、ナット(2)の下部に接する位置で、縦溝突起部(411)を前記ボルト(1)の前記ねじ軸(12)の縦溝部(122)に係合させ、帯状部(41)を前記ボルト(1)の前記ねじ軸(12)を環状に囲むように巻き付け、複数箇所に備えた突起爪部(412)を前記ボルト(1)の前記ねじ軸(12)の雄ねじ部(121)に係合させ、帯状部(41)の両端の帯状締付部(413)を締め付けて使用する。
複数箇所に備えた突起爪部(412)は、それぞれの突起爪部(412)が、前記ねじ軸(12)に切られた雄ねじ部(121)の異なる位置に係合することで、ナットと緩み止め締結具との間の隙間の縮小と、前記軸方向の動きを制止する強度に寄与する。
【0022】
図10は、本発明のさらに別の実施の形態による緩み止め締結具である一体型緩み止め締結具の斜視図である。
一体型緩み止め締結具(5)は、緩み止め締結具(3)の別の一形態として、緩み止め締結具(3)の縦溝突起部(312)と突起爪部(313)を突起爪一体縦溝突起部(511)として集約し、機能を一体化し、構造を簡素化した緩み止め締結具である。
一体型緩み止め締結具(5)は、突起爪を中心より左右二つに分け、縦溝突起部の両側にくっつけた形状の突起爪一体縦溝突起部(511)を備え、緩み止め締結具(3)の持つ、周方向の動きを制止する機能と、前記軸方向の動きを制止する二つ機能を損なうことなく、緩み止め締結具(3)の簡素化と、前記ボルト(1)の雄ねじ部(121)との係合を容易にする機能性に優位な緩み止めである。
一体型緩み止め締結具(5)は、突起爪一体縦溝突起部(511)を前記ボルト(1)の前記ねじ軸(12)の縦溝部(122)に係合させると、同一位置で突起爪一体縦溝突起部(511)の突起爪部分が前記ボルト(1)の前記ねじ軸(12)の雄ねじ部(121)に係合するので、筒状部の(51)の締付部(512)を、前記ボルト(1)の前記ねじ軸(12)を環状に囲むように巻き付け、締め付けて使用する。
【0023】
図11は、本発明のさらに別の実施の形態による緩み止め締結具である突起爪分離型緩み止め締結具の斜視図である。
緩み止め締結具(3)の別の一形態としての、突起爪分離型緩み止め締結具(6)は、縦溝突起部(611)のみを備えた帯状形態の緩み止め締結具であり、緩み止め締結具(3)から分離して別の部材となった独立突起爪(7)を、突起爪分離型緩み止め締結具(6)の帯状部(61)に、引っ掛けるなどスライド可能な形で取り付けて使用する。
独立突起爪(7)は、突起爪分離型緩み止め締結具(6)の帯状部(61)を、周方向にスライド可能であるので、ナットがボルトに締結した後に、ナットの締結位置がどこであるかに関わらず、ナットに接触するように突起爪分離型緩み止め締結具(6)を締め付けたときに、独立突起爪(7)を、ボルトの溝に係合する位置に定めることができる。これにより、ナットの締結位置がどこであるかに関わらず、ナットと突起爪分離型緩み止め締結具(6)との間に、隙間が生じないようにすることができる。
独立突起爪(7)は、突起爪分離型緩み止め締結具(6)の縦溝突起部(611)を、前記ボルト(1)の前記ねじ軸(12)に切られた縦溝部(122)に係合させた後、引っ掛け部(71)を、突起爪分離型緩み止め締結具(6)の帯状部(61)に取り付けると、雄ねじ係合部(72)がボルト(1)の雄ねじ部(121)に係合した状態となるので、ナット(2)の下部に接して、ナット締め付け方向に、ナット(2)に対して回動が止まる位置までスライドさせる。
独立突起爪(7)のスライドが止まった位置で、ナットと突起爪分離型緩み止め締結具(6)との間に、隙間が生じていないことを確認した後、突起爪分離型緩み止め締結具(6)の帯状部(61)の両端に設けた帯状締付部(612)を、ナットが緩む方向面側の独立突起爪(7)に接する位置で締め付け、独立突起爪(7)をナット(2)に圧着させ、独立突起爪(7)のナットの緩み方向への回動を止める。
独立突起爪(7)のナットの緩み方向への回動を止めると、突起爪分離型緩み止め締結具(6)の回動が止まり、突起爪分離型緩み止め締結具(6)に接するナット(2)の回動も止まることで、より強いボルトとナットの緩み止めが実現する。
【0024】
図12は、図11に示した独立突起爪の斜視図である。
独立突起爪(7)は、緩み止め締結具から分離した突起爪部であり、突起爪分離型緩み止め締結具(6)の帯状部(61)に取り付ける引っ掛け部(71)と、ボルト(1)の雄ねじ部(121)に係合しながら帯状部(61)をスライドする雄ねじ係合部(72)を有する。
独立突起爪(7)は、引っ掛け部(71)を、突起爪分離型緩み止め締結具(6)の帯状部(61)に取り付けると、雄ねじ係合部(72)がボルト(1)の雄ねじ部(121)に係合した状態となるので、ナット(2)の下部に接して、ナット締め付け方向に、ナット(2)に対して回動が止まる位置までスライドさせて使用する。
【0025】
図13は、本発明のさらに別の実施の形態による緩み止め締結具である圧縮板バネ型緩み止め締結具の説明図である。(a)は、圧縮板バネ型緩み止め締結具(8)の斜視図である。(b)は、圧縮板バネ型緩み止め締結具のつまみ部(82)が左側に位置するように見た、圧縮板バネ型緩み止め締結具(8)の側面図である。(c)は、圧縮板バネ型緩み止め締結具(8)のつまみ部(82)が左右両側に位置するように見た、圧縮板バネ型緩み止め締結具(8)の側面図である。(d)は、圧縮板バネ型緩み止め締結具(8)の平面図である。
圧縮板バネ型緩み止め締結具(8)は、緩み止め締付具の締め付けに、弾性を持つ板バネを用いて、ボルトとナットの緩み止めを実現する、と共に、板バネの弾性的な拡張収縮により、ボルトのねじ軸に対する着脱(取り付け取り外し)を可能とした緩み止め締結具である。
圧縮板バネ型緩み止め締結具(8)は、一周を超える円形に曲げられた板バネ部(81)の両端に設けたつまみ部(82)をつまみ、圧縮板バネ型緩み止め締結具(8)がボルト(1)のねじ軸(12)を通るように円周を広げ、ねじ軸(12)を通し、ねじ軸(12)に締め付けられたナット(2)の下部で、縦溝突起部(811)をねじ軸(12)の縦溝部(122)に係合させ、つまみ部(82)のつまみを緩め、元の状態で、突起爪部(812)をねじ軸(12)の雄ねじ部(121)に係合させて取り付けて使用する。
ボルト(1)のねじ軸(12)に取り付けた圧縮板バネ型緩み止め締結具(8)は、板バネ部(81)のつまみ部(82)をつまみ、圧縮板バネ型緩み止め締結具(8)の円周を広げ、ボルト(1)のねじ軸(12)から取り外すことも簡単にできる。
特に、図13(a)、(b)、(c)から明瞭に分かるように、圧縮板バネ型緩み止め締結具(8)は、円形に曲げられた板バネ部(81)のうち両端部は、互いに干渉しないように、一方端部は中心軸(83)方向中央部に延びる腕部(813)を有し、他方端部は二股に分かれて中心軸(83)方向両端部に延びる腕部(814)を有する。これら腕部(813,814)の先端部につまみ部(82,82)が連結している。また特に、図13(d)から明瞭に分かるように、圧縮板バネ型緩み止め締結具(8)には、内周面に縦溝突起部(811)と突起爪部(812)が設けられている。突起爪部(812)を、図11に例示した突起爪分離型緩み止め締結具(6)の独立突起爪(7)と同様に、板バネ部(81)に対して、周方向にスライド可能に設けても良い。
圧縮板バネ型緩み止め締結具(8)は、一例として、家庭用ガス機器へのガス用ゴム管の接続部に、ゴム管の抜け止めとして用いられるクリップバンドを利用することも可能である。すなわち、このクリップバンドの内周面に、縦溝突起部(811)と突起爪部(812)を設けることによっても、圧縮板バネ型緩み止め締結具(8)を製造することができる。
【符号の説明】
【0026】
1 ボルト
11 頭部
12 ねじ軸
121 雄ねじ部
1211 ねじ山
1212 ねじ谷
122 縦溝部
123 ねじ先端部
2 ナット
21 ボルト挿通部
211 雌ねじ部
3 緩み止め締結具
31 筒状部
311 外周部
312 縦溝突起部
313 突起爪部
314 締付部
4 帯状緩み止め締結具
41 帯状部
411 縦溝突起部
412 突起爪部
413 帯状締付部
5 一体型緩み止め締結具
51 筒状部
511 突起爪一体縦溝突起部
512 締付部
6 突起爪部分離型緩み止め締結具
61 帯状部
611 縦溝突起部
612 帯状締付部
7 独立突起爪
71 引っ掛け部
72 雄ねじ係合部
8 圧縮板バネ型緩み止め締結具
81 板バネ部
811 縦溝突起部
812 突起爪部
813 腕部
814 腕部
82 つまみ部
83 中心軸
9 被結合部材
91 被締結部材A
92 被締結部材B
93 ねじ軸挿通穴

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2021-06-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭部(11)とねじ軸(12)とを有するボルト(1)と、前記ボルト(1)に螺合するナット(2)の緩みを阻止する緩み止め締結具(3,6)とを備え、前記ボルト(1)は、前記ねじ軸(12)のうち、雄ねじ部(121)が形成されている周面において、周方向の一部に、かつ軸方向の少なくとも一部にわたって、前記軸方向に沿った縦溝部(122)が形成されており、前記緩み止め締結具(3,6)は、前記ねじ軸(12)を環状に囲むように締め付けることが可能であり、締め付けられたときに前記縦溝部(122)に係合することにより周方向の動きを制止する突起である縦溝突起部(312,611)と、締め付けられたときに前記雄ねじ部(121)に係合することにより前記軸方向の動きを制止する突起である突起爪部(313,7)と、を有しており、
前記突起爪部(313,7)は、前記緩み止め締結具(3,6)が締め付けられる前に は、前記緩み止め締結具(3,6)の他の部分に対して、周方向にスライド可能であり、 前記緩み止め締結具(3,6)が締め付けられたときには、前記周方向に沿った緩み方向 の動きが制止され、それにより、前記緩み止め締結具(3,6)が締め付けられたときの 、前記突起爪部(313,7)と前記縦溝突起部(312,611)との間の周方向に沿 った間隔が調整可能である、締結部材。
【請求項2】
頭部(11)とねじ軸(12)とを有するボルト(1)と、前記ボルト(1)に螺合するナット(2)の緩みを阻止する緩み止め締結具(3)とを備え、前記ボルト(1)は、前記ねじ軸(12)のうち、雄ねじ部(121)が形成されている周面において、周方向の一部に、かつ軸方向の少なくとも一部にわたって、前記軸方向に沿った縦溝部(122)が形成されており、前記緩み止め締結具(3)は、前記ねじ軸(12)を環状に囲むように締め付けることが可能であり、締め付けられたときに前記縦溝部(122)に係合することにより周方向の動きを制止する突起である縦溝突起部(312)と、締め付けられたときに前記雄ねじ部(121)に係合することにより前記軸方向の動きを制止する突起である突起爪部(313)と、を有しており、
前記緩み止め締結具(3)は、環状であり、かつその周方向の一部に径方向外方に突出 するように曲がった部分である締付部(314)を有し、この締付部(314)を締め付 けることにより、前記緩み止め締結具(3)を、前記ねじ軸(12)を環状に囲むように 締め付けることが可能である、締結部材。