(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022085988
(43)【公開日】2022-06-09
(54)【発明の名称】炊飯米の食感改善用組成物、炊飯米の粘り改善用組成物、炊飯米の粒感・粒立ち改善用組成物、炊飯米のふっくら感改善用組成物及び炊飯米の製造方法
(51)【国際特許分類】
A23L 7/10 20160101AFI20220602BHJP
C12N 9/10 20060101ALN20220602BHJP
C12N 15/54 20060101ALN20220602BHJP
【FI】
A23L7/10 Z
A23L7/10 E ZNA
C12N9/10
C12N15/54
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020197775
(22)【出願日】2020-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000226415
【氏名又は名称】物産フードサイエンス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110766
【弁理士】
【氏名又は名称】佐川 慎悟
(74)【代理人】
【識別番号】100165515
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 清子
(74)【代理人】
【識別番号】100169340
【弁理士】
【氏名又は名称】川野 陽輔
(74)【代理人】
【識別番号】100195682
【弁理士】
【氏名又は名称】江部 陽子
(74)【代理人】
【識別番号】100206623
【弁理士】
【氏名又は名称】大窪 智行
(72)【発明者】
【氏名】冨山 香里
(72)【発明者】
【氏名】栃尾 巧
【テーマコード(参考)】
4B023
4B050
【Fターム(参考)】
4B023LC05
4B023LE11
4B023LK06
4B023LK07
4B023LK17
4B023LP03
4B023LP05
4B023LP10
4B023LP15
4B050CC07
4B050DD02
4B050KK07
4B050KK15
4B050LL02
4B050LL05
(57)【要約】
【課題】効果的な炊飯米の食感改善用組成物、粘り改善用組成物、粒感・粒立ち改善用組成物及びふっくら感改善用組成物並びに該食感改善用組成物を用いた炊飯米の製造方法を提供する。
【解決手段】炊飯米の食感改善用組成物は、還元水飴及び分枝酵素を有効成分として含有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
還元水飴及び分枝酵素を有効成分として含有する、
ことを特徴とする炊飯米の食感改善用組成物。
【請求項2】
前記還元水飴は、下記(a)又は(b)である、
ことを特徴とする請求項1に記載の組成物;
(a)単糖が1~50質量%、二糖が6~55質量%、三糖が1~35質量%、四糖が0~13質量%、五糖以上が0~82質量%含有する糖組成である還元水飴、
(b)デキストロース当量が26以上70以下の水飴を還元してなる還元水飴。
【請求項3】
還元水飴及び分枝酵素を有効成分として含有する、
ことを特徴とする炊飯米の粘り改善用組成物。
【請求項4】
前記還元水飴は、下記(a)又は(b)である、
ことを特徴とする請求項3に記載の組成物;
(a)単糖が1~50質量%、二糖が6~55質量%、三糖が1~35質量%、四糖が0~13質量%、五糖以上が0~82質量%含有する糖組成である還元水飴、
(b)デキストロース当量が26以上70以下の水飴を還元してなる還元水飴。
【請求項5】
還元水飴及び分枝酵素を有効成分として含有する、
ことを特徴とする炊飯米の粒感・粒立ち改善用組成物。
【請求項6】
前記還元水飴は、下記(a)又は(b)である、
ことを特徴とする請求項5に記載の組成物;
(a)単糖が1~50質量%、二糖が6~55質量%、三糖が1~35質量%、四糖が0~13質量%、五糖以上が0~82質量%含有する糖組成である還元水飴、
(b)デキストロース当量が26以上70以下の水飴を還元してなる還元水飴。
【請求項7】
還元水飴及び分枝酵素を有効成分として含有する、
ことを特徴とする炊飯米のふっくら感改善用組成物。
【請求項8】
前記還元水飴は、下記(a)又は(b)である、
ことを特徴とする請求項7に記載の組成物;
(a)単糖が1~50質量%、二糖が6~55質量%、三糖が1~35質量%、四糖が0~13質量%、五糖以上が0~82質量%含有する糖組成である還元水飴、
(b)デキストロース当量が26以上70以下の水飴を還元してなる還元水飴。
【請求項9】
請求項1又は2に記載の食感改善用組成物を添加して炊飯する工程を含む、炊飯米の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炊飯米の食感改善用組成物、炊飯米の粘り改善用組成物、炊飯米の粒感・粒立ち改善用組成物、炊飯米のふっくら感改善用組成物及び炊飯米の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
米飯加工品には、パック米やレトルト米、チルド・常温弁当、おにぎり、冷凍炒飯など様々な形態がある。近年、コンビニエンスストアや量販店などの中食市場が拡大しており、その中でも米加工品として、おにぎり、弁当などの需要が増大している。
【0003】
米飯加工品の中食向け商品では、製造から販売までの過程で澱粉が老化することによる食感劣化が課題となっていた。特にチルド商品では、食感劣化が顕著化しやすく、いかに炊飯時に近い食感を維持するかが重要なポイントとなっていた。
【0004】
炊飯米の食感劣化を防止するための技術がいくつか提言されてきた。特許文献1には、還元澱粉分解物を使用することにより米飯の粘り、風味、旨味を増加させる方法が開示されている。また、特許文献2には、ブランチングエンザイム及びα-グルコシダーゼを併用することにより、デンプン含有食品に硬さ・弾力を付与する方法が開示されている。また、特許文献3には、アミラーゼ、分枝酵素を含む酵素水溶液を米に接触させる工程を含む、劣化が遅い調理米製品の製造方法が開示されている。また、特許文献4には、糖アルコールを米飯に添加することを特徴とする米飯の製造法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7-236435号公報
【特許文献2】再表2014-115894号公報
【特許文献3】特表2015-525564号公報
【特許文献4】特開平1-60341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
米飯加工品の中食向け商品は市場で好評を博しており、炊飯米の食感劣化を効果的に防止することで、さらに消費者のニーズにマッチした米飯加工品を中食市場に提供することができる。このため、炊飯米の新たな食感改善方法の開発が、強く待たれている状況にあった。
【0007】
このような状況下、本発明者らは、鋭意研究した結果、還元水飴と分枝酵素とを併用することで、炊飯米の食感を良好に改善させる方法を見出し、本発明を完成させた。本発明は、効果的な炊飯米の食感改善用組成物、粘り改善用組成物、粒感・粒立ち改善用組成物及びふっくら感改善用組成物並びに該食感改善用組成物を用いた炊飯米の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る食感改善用組成物は、
還元水飴及び分枝酵素を有効成分として含有する。
【0009】
例えば、前記還元水飴は、下記(a)又は(b)である、
ことを特徴とする請求項1に記載の組成物;
(a)単糖を1~50質量%、二糖を6~55質量%、三糖を1~35質量%、四糖を0~13質量%、五糖以上を0~82質量%含有する糖組成である還元水飴、
(b)デキストロース当量が26以上70以下の水飴を還元してなる還元水飴。
【0010】
本発明の第2の観点に係る炊飯米の粘り改善用組成物は、
還元水飴及び分枝酵素を有効成分として含有する。
【0011】
例えば、前記還元水飴は、下記(a)又は(b)である、
ことを特徴とする請求項1に記載の組成物;
(a)単糖を1~50質量%、二糖を6~55質量%、三糖を1~35質量%、四糖を0~13質量%、五糖以上を0~82質量%含有する糖組成である還元水飴、
(b)デキストロース当量が26以上70以下の水飴を還元してなる還元水飴。
【0012】
本発明の第3の観点に係る炊飯米の粒感・粒立ち改善用組成物は、
還元水飴及び分枝酵素を有効成分として含有する。
【0013】
例えば、前記還元水飴は、下記(a)又は(b)である、
ことを特徴とする請求項1に記載の組成物;
(a)単糖を1~50質量%、二糖を6~55質量%、三糖を1~35質量%、四糖を0~13質量%、五糖以上を0~82質量%含有する糖組成である還元水飴、
(b)デキストロース当量が26以上70以下の水飴を還元してなる還元水飴。
【0014】
本発明の第4の観点に係る炊飯米のふっくら感改善用組成物は、
還元水飴及び分枝酵素を有効成分として含有する。
【0015】
例えば、前記還元水飴は、下記(a)又は(b)である、
ことを特徴とする請求項1に記載の組成物;
(a)単糖を1~50質量%、二糖を6~55質量%、三糖を1~35質量%、四糖を0~13質量%、五糖以上を0~82質量%含有する糖組成である還元水飴、
(b)デキストロース当量が26以上70以下の水飴を還元してなる還元水飴。
【0016】
本発明の第5の観点に係る炊飯米の製造方法は、
本発明の第1の観点に係る食感改善用組成物を添加して炊飯する工程を含む。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、効果的な炊飯米の食感改善用組成物、粘り改善用組成物、粒感・粒立ち改善用組成物及びふっくら感改善用組成物並びに該食感改善用組成物を用いた炊飯米の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】炊飯米のテクスチャー測定の結果を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
まず、本発明による炊飯米の食感改善用組成物について詳細に説明する。
【0020】
本発明の炊飯米の食感改善用組成物は、還元水飴及び分枝酵素を有効成分として含有する。該組成物を添加して炊飯された炊飯米は、ふっくらとした柔らかい食感を有し、粒感・粒立ちに優れ、粘りが付与されてパサつきが軽減されており、炊飯後の経時的変化(硬さの増強、粘りの低減、ふっくら感の低減)も軽減される。
【0021】
還元水飴は、水飴を還元して得られる糖アルコールの一種である。糖アルコールは、アルデヒド基(-CHO)を持つ糖を還元し、末端をアルコール(-CH2OH)に変化させた化合物をいう。糖アルコールは、一般に、高圧下で触媒を用いて糖を還元(水素付加)することにより得られる。水飴はデンプンを酸や酵素などで糖化して得られるものであり、単糖(ブドウ糖)及び多糖(オリゴ糖、デキストリンなど)の混合物である。よって、還元水飴も、単糖の糖アルコール及び多糖(二糖、三糖又は四糖以上)の糖アルコールのうち、2種以上の糖アルコールを含む混合物である。
【0022】
還元水飴は、糖化の程度により高糖化還元水飴(糖の総重量を100%とした場合において単糖アルコールが30~50質量%、二糖アルコールが20~50質量%、三糖以上の糖アルコールが25質量%以下)、中糖化還元水飴(糖の総重量を100%とした場合において単糖アルコールが30質量%未満かつ五糖以上の糖アルコールが50質量%未満)及び低糖化還元水飴(糖の総重量を100%とした場合において五糖以上の糖アルコールが50質量%以上)に分けられる場合があるが、本発明においては、これらのいずれも用いることができる。
【0023】
還元水飴として、例えば、(i)単糖が1~50質量%、二糖が6~55質量%、三糖が1~35質量%、四糖が0~13質量%、五糖以上が0~82質量%の糖組成の還元水飴が用いられ、好ましくは、(i)単糖が37~50質量%、二糖が26~55質量%、三糖が1~21質量%、四糖が0~10質量%、五糖以上が0~8質量%の糖組成の高糖化還元水飴、(ii)単糖が2~10質量%、二糖が43~55質量%、三糖が15~35質量%、四糖が1~5質量%、五糖以上が1~38質量%の糖組成の中糖化還元水飴、又は(iii)単糖が1~10質量%、二糖が6~21質量%、三糖が7~23質量%、四糖が5~13質量%、五糖以上が50~82質量%の糖組成の低糖化還元水飴が用いられ得る。
【0024】
なお、本発明において、糖組成とは、糖の総質量に占める各糖の質量割合を百分率で示すものをいう。すなわち、糖の総質量を100とした場合の、各糖の質量百分率である。
【0025】
糖組成は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて確認することができる。すなわち、還元水飴や水を試料としてHPLCに供してクロマトグラムを得る。当該クロマトグラムにおいて、全ピークの面積の総和が「糖の総質量」に、各ピークの面積が「各糖の質量」に相当する。よって、試料における各糖の質量百分率は、検出された全ピークの面積の総和に対する各ピークの面積の割合として算出することができる。HPLCの条件は、定法に従って適宜設定することができるが、下記条件を例示することができる。
(HPLCの条件)
カラム:Shodex SUGAR KS-802 HQ(8.0mm ID×300mm) 2本
溶離液:高純水
流速:1.0mL/分
注入量:200μL
カラム温度:50℃
検出:示差屈折率検出器Shodex RI
【0026】
本発明において、還元水飴は、市販されているものをそのまま用いてもよく、当業者に公知の方法に従って製造して用いてもよい。還元水飴の公知の製造方法としては、原料となる水飴(原料糖)に水素を添加する還元反応を挙げることができる。
【0027】
水素添加による還元反応は、例えば、40~75質量%の原料糖水溶液を、還元触媒と併せて高圧反応器中に仕込み、反応器中の水素圧を4.9~19.6MPa、反応液温を 70~180℃として、混合攪拌しながら、水素の吸収が認められなくなるまで反応を行なえばよい。その後、還元触媒を分離し、イオン交換樹脂処理、必要であれば活性炭処理等で脱色脱塩した後、所定の濃度まで濃縮すれば、高濃度の還元水飴を作ることができる 。
【0028】
他の観点において、本発明で用いられる還元水飴は、デキストロース当量が26以上70以下の水飴を還元してなる還元水飴であってもよい。
【0029】
デキストロース当量について説明する。還元水飴は、水飴を還元して製造することから、還元水飴の糖化の程度は、水飴の糖化の程度に準じる。すなわち、原料水飴の糖化の程度が高いほど還元水飴の糖化の程度が高く、原料水飴の糖化の程度が低いほど還元水飴の糖化の程度は低い。水飴の糖化の程度の指標は、一般に、デキストロース当量(Dextrose Equivalent値:DE)が用いられる。DEは、試料中の還元糖をブドウ糖として測定したときの、当該還元糖の全固形分に対する割合(百分率)である。DEの最大値は100で、固形分の全てがブドウ糖であることを意味し、DEが小さくなるほど少糖類や多糖類が多いことを意味する。
【0030】
なお、水飴のDEは、下記の方法により測定することができる。
《DEの測定方法》
試料2.5gを正確に量り、水で溶かして200mLとする。この液10mLを量り、1/25mol/L ヨウ素溶液(注1)10mLと1/25mol/L 水酸化ナトリウム溶液(注2)15mLを加えて20分間暗所に放置する。次に、2mol/L塩酸(注3)を5mL加えて混和した後、1/25mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液(注4)で滴定する。滴定の終点近くで液が微黄色になったら、デンプン指示薬(注5)2滴を加えて滴定を継続し、液の色が消失した時点を滴定の終点とする。水を用いてブランク値を求め、次式1によりDEを求める。
(注1)1/25mol/L ヨウ素溶液:ヨウ化カリウム20.4gとヨウ素10.2gを2Lのメスフラスコに入れ、少量の水で溶解後、標線まで水を加える。
(注2)1/25mol/L 水酸化ナトリウム溶液:水酸化ナトリウム3.2gを2Lのメスフラスコに入れ、少量の水で溶解後、標線まで水を加える。
(注3)2mol/L 塩酸:水750mLに塩酸150mLをかき混ぜながら徐々に加える。
(注4)1/25mol/L チオ硫酸ナトリウム溶液:チオ硫酸ナトリウム20gを2Lのメスフラスコに入れ、少量の水で溶解後、標線まで水を加える。
(注5)デンプン指示薬:可溶性デンプン5gを水500mLに溶解し、これに塩化ナトリウム100gを溶解する。
【0031】
【0032】
分枝酵素(ブランチングエンザイム、EC2.4.1.18)は澱粉やグリコーゲンなどのグルコース構成多糖に作用する転移酵素(6-α-グルカノトランスフェラーゼ)である。本酵素はα-1,4結合を切断し、α-1,6結合で別の場所に転移する反応を触媒する。本明細書において、分枝酵素は、単に「酵素」という場合がある。
【0033】
本発明において分枝酵素活性は、Takata et al.,Applied and Environmental Microbiology(1994),p.3097(assayA)に記載の方法の改良版に従い確認することができる。具体的には、まず、50μLの酵素溶液と50μLの基質溶液(0.1M Tris緩衝液に0.1%の濃度となるようIII型アミロースを溶解したもの)とを混合し、60℃で30分間インキュベートする。続いて、2mLのヨウ素試薬を混合し、室温で15分間インキュベートして、アミロース-ヨウ素複合体を形成させる。ヨウ素試薬は、0.5mLの1N HClと0.5mLの保存液(0.26gのI2及び2.6gのKIを10mLの水に溶解したもの)とを混合した後、130mLとなるよう水で希釈したものである。その後、660nmにおける吸光度(A660)を測定する。対照試料は酵素溶液を水で置換したものを用いる。分枝酵素活性は、供試試料と対照試料との間のA660の差異として測定する。1ユニット(U)の分枝酵素活性は、60℃、pH7.0で1分当たり1%ずつA660を低下させ得る酵素量として定義される。
【0034】
分枝酵素は、60℃~120℃、好ましくは60℃~100℃、より好ましくは60℃~80℃、よりさらに好ましくは60℃~70℃の範囲に至適温度を有する。また、6~8の範囲内に至適pH(相対的活性70%以上)を有するものが好ましい。
【0035】
分枝酵素は、市販の食品用分枝酵素製剤を用いることができ、そのような市販品としては、例えば、「デナチームBBR LIGHT」(ナガセケムテックス)、グライコトランスフェラーゼ「アマノ」L(天野エンザイム)などを挙げることができる。
【0036】
また、分枝酵素は、植物や微生物等の天然に存在する生物から定法に従って抽出・精製したものを用いてもよい。分枝酵素を有する生物としては、例えば、ロドサームス・オバメンシス(Rhodothermus obamensis)、ロドサームス・マリヌス(Rhodothermus marinus)、アルスロバクタ・グロビホルミス(Arthrobacter globiformis)、バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)、ストレプトコッカス・ミチス(Streptococcus mitis)、サルモネラ・タイフィムリウム(Salmonella typhimurium)、藻類シアニジウム・カルダリウム(Cyanidium caldarium)、大腸菌、バチルス・カルドリチクス(Bacillus caldolyticus)、ゲオバチルス・ステアロサーモフィルス(Geobacillus stearothermophilus)、シネココッカス(Synechococcus)などを挙げることができる。
【0037】
分枝酵素を天然に存在する生物から調製する方法は、例えば、分枝酵素を生産する微生物を培養する工程(培養工程)、培養液から微生物菌体を分離する工程(菌体分離工程)、及び微生物菌体から分枝酵素を抽出・精製する工程(抽出精製工程)を含む。培養工程では、当該微生物が利用し得る栄養源を含む培地で当該微生物を培養する。培地の形態は、分枝酵素の生産を促進する限り、液体状であっても固体状であってもよいが、培地調製が容易で、高い菌濃度にまで培養が可能であるという点から液体培地が好ましい。栄養源としては、例えば、炭素源、窒素源及び無機塩類が挙げられる。炭素源としては、例えば、グルコース、グリセリン、デキストリン、スターチ、糖蜜、及び動植物油が挙げられる。窒素源としては、例えば、大豆粉、コーンスチープリカー、綿実かす、肉エキス、ペプトン、酵母エキス、硫酸アンモニウム、硝酸ソーダ、及び尿素が挙げられる。無機塩類としては、例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、マンガン、鉄、コバルト、亜鉛、及びリン酸が挙げられる。培養法は、静置培養でも振盪培養又は通気攪拌培養でもよいが、空気及び栄養源を効率的に菌体に供給することができるという点から、通気攪拌培養が好ましい。培養温度は、例えば、25℃~70℃、好ましくは30℃~60℃を挙げることができる。培地のpHは、pH5~pH8を挙げることができる。培養時間は、例えば、1日間~7日間であり、分枝酵素の菌体内蓄積量が最高になったときに培養を停止する。菌体分離工程は、例えば、遠心分離、ろ過、減圧蒸留によって行うことができる。抽出精製工程における抽出方法は、例えば、凍結融解、高圧ホモジナイザー処理、ビーズ処理といった物理的方法、細胞膜に損傷を与えるような薬剤での処理、浸透圧を急激に変化させる方法、アルカリ処理、酵素処理といった化学的方法を挙げることができる。抽出精製工程における精製方法は、例えば、排除分子量5000又は排除分子量10000のろ過膜を用いた限外ろ過、硫安又はエタノールを用いた分画、クロマトグラフィーによる精製などの公知の手段を目的の分枝酵素の精製度に応じて適宜組み合わせて用いることができる。分枝酵素は、分枝酵素を含む溶液をそのまま液体状で使用してもよく、真空乾燥又は凍結乾燥して得られた粉末状の酵素として使用してもよい。
【0038】
本発明において好適に用いられる分枝酵素として、下記(a)又は(b)のアミノ酸配列を有するポリペプチド(以下、「本ポリペプチド」という場合がある。)を例示することができる;
(a)配列番号2と90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列、
(b)下記(ア)~(ウ)のいずれかの核酸配列によってコードされるアミノ酸配列、
(ア)配列番号1の核酸配列、
(イ)配列番号1に相補的な核酸配列(配列番号3)、
(ウ)(ア)又は(イ)と、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列。
【0039】
ここで、配列番号2は、特許第4732591号公報に記載の配列番号2のアミノ酸配列に、配列番号1は、同公報に記載の配列番号1の核酸配列に、それぞれ等しい。配列番号2は、ロドサームス・オバメンシスの株JCM 9785の分枝酵素(以下、「JCM9785分枝酵素」という場合がある。)のアミノ酸配列である。また、配列番号1は、配列番号2のアミノ酸配列をコードする核酸配列である。また、配列番号3は、配列番号1に相補的な核酸配列である。すなわち、本ポリペプチドは、アミノ酸配列及び酵素活性の点でJCM9785分枝酵素と同一又は高い類似性を有する分枝酵素を意味する。
【0040】
本ポリペプチドは、ロドサームス・オバメンシスの株JCM 9785(理化学研究所微生物系統保存施設)から上述の方法により抽出・生成して得ることができる。また、上述の(a)又は(b)のアミノ酸配列情報に基づいて、Fmoc法(フルオレニルメチルオキシカルボニル法)、tBoc法(t-ブチルオキシカルボニル法)などの化学合成法に従って化学合成することができる他、各種の市販のペプチド合成機を利用して化学合成することもできる。
【0041】
また、本ポリペプチドは、遺伝子組換え技術によって得ることもできる。この方法では、本ポリペプチドを好適な発現系にて発現させればよい。すなわち、(ア)~(ウ)の核酸配列を、適当なベクターに挿入して組換えベクターを得た後、その組換えベクターを適当な宿主に導入して形質転換体を得る。そして、得られた形質転換体を培養して本ポリペプチドを発現させることにより得ることができる。ここで、(ア)~(ウ)の核酸配列は、その配列情報に基づいて、市販されている種々のDNA合成機を用いて合成することができるほか、JCM9785分枝酵素をコードするDNAを鋳型として、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行うことにより得ることができる。また、係る形質転換体として、特許第4732591号公報に記載の大腸菌のクローン(NMO049443、寄託番号DSM12607)を用いることもできる。
【0042】
なお、アミノ酸配列の同一性は、常法に従って確認することができ、例えば、FASTA(http://www.genome.JP/tools/fasta/)、Basic local alignment search tool(BLAST;http://www.ncbi.nlm.nih.gov.)、Position-Specific Iterated BLAST(PSI-BLAST;http://www.ncbi.nlm.nih.gov.)などのプログラムを用いて確認することができる。なお、「同一性」とは一致性を指し、「identity」と交換可能に用いられる。
【0043】
ストリンジェントな条件下でのハイブリダイズは、下記を例示することができる;5×SSPE、0.3%SDS、200μg/mLの剪断・変性したサケ精子DNA、50%ホルムアミドにおける、標準的なサザンブロッティング法に従う42℃でのプレハイブリダイゼーション及びハイブリダイゼーション。2×SSC、0.2%SDSを用いて、65℃又は70℃で各15分間、3回洗浄。
【0044】
本発明の食感改善用組成物が適用される米の種類としては特に限定はなく、例えば、うるち米、もち米のいずれもが対象となり得る。また、本発明における炊飯米の種類についても特に限定されず、白飯の他、赤飯、おこわ、炊き込みご飯、かやくご飯のような味付の米飯又は具入りの米飯も含まれ得る。
【0045】
本発明において、炊飯米は、例えば、米を洗米して水切りし、これに所定量の水並びに所定量の還元水飴及び分枝酵素を添加して所定時間浸漬した後、公知の炊飯器で炊飯することで得ることができる。
【0046】
本発明の食感改善用組成物において、還元水飴の含有量は、例えば、対生米0.2~10%(固形分重量)である。また、分枝酵素の含有量は、例えば、対生米0.001~1.0%量であり、生米100gあたり25~25000Uである。本発明の効果を奏する範囲内であれば、還元水飴及び分枝酵素の含有量を適宜増減させることができる。
【0047】
本発明の食感改善用組成物の形態は、固体状、半固体状、スラリー状、液状、ゲル状等、特に制限されない。また、本発明の食感改善用組成物には、還元水飴及び分枝酵素の他に、炊飯に適する他の成分が含有されていてもよい。
【0048】
本発明において、炊飯米の食感改善効果については、例えば、(i)硬さ、(ii)粘り、(iii)粒感・粒立ち、(iv)ふっくら感等の項目により評価することができる。例えば、本発明の食感改善用組成物を添加せずに得られた炊飯米よりも、本発明の食感改善用組成物を適用して得られた炊飯米のほうが(i)硬くない(柔らかい)場合、(ii)粘りが増強された(粘り気がある)場合、(iii)粒感・粒立ちが増強された(粒粒感が感じられる)場合、(iv)ふっくら感が増強された(ふっくらしている)場合に、食感が改善されたと判断することができる。これらの項目の評価方法について、例えば、炊飯米を喫食又は目視により観察して官能評価する方法、公知のレオメーター、硬さ・粘り計、テクスチャーアナライザ等により測定する方法等を挙げることができる。なお、本発明の食感改善用組成物を用いて炊飯することで、炊飯直後、炊飯数時間後、炊飯数日後のいずれであっても炊飯米の食感改善効果が得られる。例えば、炊飯後数日間、冷蔵保存した炊飯米は、一般的に硬くなり、粘りが低減してしまうが、本発明の食感改善用組成物を用いて炊飯することで、炊飯後数日間、冷蔵保存した場合でも、柔らかさや粘りなどの食感を維持することができる。
【0049】
本発明の他の観点において、還元水飴及び分枝酵素を有効成分として含有する炊飯米の硬さ改善用組成物;還元水飴及び分枝酵素を有効成分として含有する炊飯米の粘り改善用組成物;還元水飴及び分枝酵素を有効成分として含有する炊飯米の粒感・粒立ち改善用組成物;又は還元水飴及び分枝酵素を有効成分として含有する炊飯米のふっくら感改善用組成物が提供される。
【0050】
上記の炊飯米の硬さ改善用組成物において、例えば、(i)単糖が1~50質量%、二糖が6~55質量%、三糖が1~35質量%、四糖が0~13質量%、五糖以上が0~82質量%の糖組成の還元水飴が用いられる。
【0051】
上記の炊飯米の粘り改善用組成物において、例えば、(i)単糖が1~50質量%、二糖が6~55質量%、三糖が1~35質量%、四糖が0~13質量%、五糖以上が0~82質量%の糖組成の還元水飴が用いられ、粘り改善効果の観点から、好ましくは、単糖が2~10質量%、二糖が43~55質量%、三糖が15~35質量%、四糖が1~5質量%、五糖以上が1~38質量%の糖組成の中糖化還元水飴;又は単糖が1~10質量%、二糖が6~21質量%、三糖が7~23質量%、四糖が5~13質量%、五糖以上が50~82質量%の糖組成の低糖化還元水飴が用いられ得る。炊飯米の粘り改善効果については、例えば、本発明の粘り改善用組成物を添加せずに得られた炊飯米よりも、本発明の粘り改善用組成物を適用して得られた炊飯米のほうが、喫食による官能評価によって粘りが増強された(粘り気がある)場合に、粘り改善効果を有すると判断できる。また、レオメーター(粘弾性測定装置)により炊飯米の「付着性」を測定すること等によっても粘り改善効果を評価することができる。
【0052】
上記の炊飯米の粒感・粒立ち改善用組成物において、例えば、(i)単糖が1~50質量%、二糖が6~55質量%、三糖が1~35質量%、四糖が0~13質量%、五糖以上が0~82質量%の糖組成の還元水飴が用いられ、粒感・粒立ち改善効果の観点から、好ましくは、(i)単糖が37~50質量%、二糖が26~55質量%、三糖が1~21質量%、四糖が0~10質量%、五糖以上が0~8質量%の糖組成の高糖化還元水飴;又は(ii)単糖が2~10質量%、二糖が43~55質量%、三糖が15~35質量%、四糖が1~5質量%、五糖以上が1~38質量%の糖組成の中糖化還元水飴が用いられ得る。炊飯米の粒感・粒立ち改善効果については、例えば、本発明の粒感・粒立ち改善用組成物を添加せずに得られた炊飯米よりも、本発明の粒感・粒立ち改善用組成物を適用して得られた炊飯米のほうが、目視観察での官能評価によって粒感・粒立ちが増強された(粒粒感が感じられる)場合に、粒感・粒立ち改善効果を有すると判断できる。
【0053】
上記の炊飯米のふっくら感改善用組成物において、例えば、(i)単糖が1~50質量%、二糖が6~55質量%、三糖が1~35質量%、四糖が0~13質量%、五糖以上が0~82質量%の糖組成の還元水飴が用いられ、ふっくら感改善効果の観点から、好ましくは、単糖が2~10質量%、二糖が43~55質量%、三糖が15~35質量%、四糖が1~5質量%、五糖以上が1~38質量%の糖組成の中糖化還元水飴が用いられ得る。炊飯米のふっくら感改善効果については、例えば、本発明のふっくら感改善用組成物を添加せずに得られた炊飯米よりも、本発明のふっくら感改善用組成物を適用して得られた炊飯米のほうが、喫食による官能評価によってふっくら感が増強された(ふっくらしている)場合に、ふっくら感改善効果を有すると判断できる。また、目視観察による官能評価やテクスチャーアナライザ等によってもふっくら感改善効果を評価することができる。
【0054】
次に、本発明による炊飯米の製造方法について説明する。
【0055】
本発明による炊飯米の製造方法は、本発明の食感改善用組成物を添加して炊飯する工程を含む。
【0056】
本発明による炊飯米の製造方法の一例を示す。例えば、米を洗米して水切りし、これに所定量の水並びに所定量の還元水飴及び分枝酵素を添加して所定時間浸漬した後、公知の炊飯器で炊飯する。還元水飴、分枝酵素、米、炊飯米等については、前述同様である。
【0057】
本発明による製造方法で得られた炊飯米は、食感が改善されており、例えば、(i)硬さ、(ii)粘り、(iii)粒感・粒立ち、(iv)ふっくら感が改善されている。(i)~(iv)を含む食感改善効果及びその評価方法の詳細については、前述同様である。
【0058】
以上説明したように、本発明による炊飯米の食感改善用組成物及び製造方法によって、ふっくらとした柔らかい食感を有し、粒感・粒立ちに優れ、粘りが付与されてパサつきが軽減されており、炊飯後の経時的変化(硬さの増強、粘りの低減、ふっくら感の低減)も軽減された炊飯米を得ることができる。米飯加工品の中食向け商品では、製造から販売までの過程で澱粉が老化することによる食感劣化が課題となっていたが、本発明による食感改善用組成物及び製造方法によって、食感が改善された炊飯米を提供できる。また、中食市場おけるチルド商品では、特に経時的な食感劣化が問題視されていたが、本発明による食感改善用組成物及び製造方法では、炊飯後数日間、冷蔵保存した場合でも、柔らかさや粘りなどの食感を維持することができるため、市場ニーズにマッチした炊飯米を提供できる。
【実施例0059】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0060】
以下の実施例では、特段の記載のない限り、百分率(%)は質量%を示す。また、本実施例において、高糖化還元水飴、中糖化還元水飴及び低糖化還元水飴については、表1に記載の市販品(物産フードサイエンス株式会社製)を用いた。
【0061】
【0062】
また、以下の実施例では、分枝酵素(以下「酵素」という)として、配列番号2と90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチドを用いた。
【0063】
(実施例1)
還元水飴及び酵素を添加して炊飯した米の食感について検証した。
【0064】
生米に還元水飴及び酵素を添加して炊飯し、炊飯米の食感について官能評価を行った。なお、比較例として、生米のみ(コントロール)、還元水飴単体及び酵素単体でも同様に実験を行った。各サンプルの配合を表2に示す。
【0065】
【0066】
(炊飯方法)
(1)洗米した生米に各還元水飴、酵素、水を添加し、1時間浸漬させた。
(2)炊飯器で通常炊飯した。
(3)炊飯米をほぐした後、ライスガードに包み、常温で15分間放冷した。
(4)蓋付容器に約150gずつ小分けし、冷蔵で3日間保管した。
(5)レンジアップし、各サンプルとした。
【0067】
(評価方法)
硬さ、粘り、粒感・粒立ち、ふっくら感の4項目についてパネラー6名(A~F)による官能評価を行った。評価方法については、下記を指標に点数評価し、その回答平均値を算出した。なお、「総合評価」については、「好ましい(5点)」~「好ましくない(1点)」として各パネラーが点数評価した。
「5点」=明らかに強い/硬い
「4点」=やや強い/硬い
「3点」=コントロール同等
「2点」=やや弱い/柔らかい
「1点」=明らかに弱い/柔らかい
【0068】
(結果)
官能評価の結果を表3に示す。また、パネラー6名(A~F)の各々の点数評価について表4に示す。酵素単体に比して、還元水飴+酵素の併用では、いずれの還元水飴の試験区でも総合評価が高い結果となり、特に、粘り、粒感・粒立ち、ふっくら感の項目において優れた改善効果がみられた。また、還元水飴の種類別にみると、SE600では、「粒感・粒立ち」の項目において、コントロール、SE600単体及び酵素単体に比して優れた改善効果がみられた。また、スイートOLでは、「総合評価」がコントロール、スイートOL単体及び酵素単体に比して高いうえに、「粘り」、「粒感・粒立ち」、「ふっくら感」の各項目において、コントロール、スイートOL単体及び酵素単体に比して優れた改善効果がみられた。また、SE30では、「総合評価」がコントロール、SE30単体及び酵素単体に比して高いうえに、「粘り」の項目において、コントロール、SE30単体及び酵素単体に比して優れた改善効果がみられた。
【0069】
【0070】
【0071】
(実施例2)
還元水飴(スイートOL)及び酵素を添加して炊飯した米のテクスチャー測定を行うことで、炊飯米の粘りについて検証した。
【0072】
スイートOL+酵素の併用による炊飯当日及び冷蔵保管3日後の炊飯米のサンプルの「付着性」を測定することで、炊飯米の粘りを検証した。炊飯方法については、スイートOLを対生米3%(固形分重量)用いた以外は、酵素の添加量も含めて実施例1と同様の方法で行った。なお、比較例として、生米のみ(コントロール)でも同様に実験を行った。
【0073】
測定方法については、カップに約15gの炊飯米を計量し、山電社のレオメーターを用いて、円形プランジャーにて圧縮測定した。より具体的には、歪率50%まで圧縮し、「付着性」(J/m3)を測定した。なお、冷蔵保管3日後のサンプルは、レンジアップして10分間放冷した後に測定した。
【0074】
「付着性」の測定結果を
図1に示す。
図1において、縦軸は、付着性(J/m
3)であり、横軸の「Day0」は炊飯当日、「Day3」は冷蔵保管3日後の結果を示す。Day0において、酵素+スイートOLの併用により、コントロールに比して付着性が増加することが示された。また、コントロールでは、Day0からDay3へと時間の経過に伴い付着性が低下するのに対し、酵素+スイートOLの併用では付着性の低下がみられず、炊飯後冷蔵保管3日後でも品質(粘り)が維持されていることが示された。
【0075】
以上より、炊飯時に還元水飴と酵素とを併用添加することにより、粘り、粒感・粒立ち、ふっくら感といった炊飯米の食感が改善されること、また、炊飯後もこれらの食感が維持され、食感の経時的な劣化が防止されることが示された。