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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022086052
(43)【公開日】2022-06-09
(54)【発明の名称】環境配慮型空気清浄化システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/0076 20190101AFI20220602BHJP
   A61L 9/00 20060101ALI20220602BHJP
   A61L 9/015 20060101ALI20220602BHJP
   A61L 9/20 20060101ALI20220602BHJP
【FI】
F24F1/0076
A61L9/00 C
A61L9/015
A61L9/20
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020197851
(22)【出願日】2020-11-30
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-10-06
(71)【出願人】
【識別番号】520158366
【氏名又は名称】株式会社未来のコト
(71)【出願人】
【識別番号】520158377
【氏名又は名称】株式会社HITEX
(74)【代理人】
【識別番号】100151208
【弁理士】
【氏名又は名称】植田 吉伸
(72)【発明者】
【氏名】中農 竜二
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 夏津樹
【テーマコード(参考)】
3L051
4C180
【Fターム(参考)】
3L051BC02
3L051BC03
4C180AA07
4C180AA10
4C180CA01
4C180DD03
4C180EA17X
4C180HH11
4C180HH20
4C180KK02
4C180KK03
4C180LL04
4C180LL06
(57)【要約】
【課題】新型コロナウイルスなどに対して除菌、殺菌などの効果を有する環境配慮型空気清浄化システムを提供することである。
【解決手段】環境配慮型空気清浄化システム10は、所定の空間領域内の空調前の空気を吸い込む開口部を有する吸込口部16と、吸込口部16に設けられ、空調前の空気に紫外線を照射する紫外線照射部36と、紫外線が照射された空調前の空気に対して空調された空調後の空気を吹き出す開口部を有する吹出口部18と、吸込口部16から空調前の空気を取り込み、吹出口部18から空調後の空気を吹き出すように空気を流通させるために回転するファン部14と、を備えることを特徴とする。
【選択図】図1


【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の空間領域内の空調前の空気を吸い込む開口部を有する吸込口部と、
前記吸込口部に設けられ、前記空調前の空気に紫外線を照射する紫外線照射部と、
前記紫外線が照射された前記空調前の空気に対して空調された空調後の空気を吹き出す開口部を有する吹出口部と、
前記吸込口部から前記空調前の空気を取り込み、前記吹出口部から前記空調後の空気を吹き出すように空気を流通させるために回転するファン部と、
を備えることを特徴とする環境配慮型空気清浄化システム。
【請求項2】
請求項1に記載の環境配慮型空気清浄化システムにおいて、
前記空調システムは、前記所定の空間領域の天井部に埋め込まれた天井カセット式のエアコンを有し、
前記吸込口部は、前記天井部に埋設された前記開口部と、前記開口部から前記ファン部に向かって設けられる筒状の流路部を備え、
前記紫外線照射部は、前記流路部に設けられることを特徴とする環境配慮型空気清浄化システム。
【請求項3】
請求項1に記載の環境配慮型空気清浄化システムにおいて、
前記空調システムは、前記所定の空間領域の壁部に装着される壁掛式のエアコンを有していることを特徴とする環境配慮型空気清浄化システム。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の環境配慮型空気清浄化システムにおいて、
前記吸込口部に設けられ、前記紫外線が前記空調前の空気に含まれる菌に継続して照射されるように前記菌を捕獲する捕獲フィルタを備えることを特徴とする環境配慮型空気清浄化システム。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の環境配慮型空気清浄化システムにおいて、
前記吹出口部に設けられ、前記空調後の空気に向けたオゾンを発生するオゾン発生部と、
前記所定の空間領域内のオゾンの濃度を計測するオゾン濃度計測部と、
前記オゾンの濃度に基づいて、前記オゾンの発生量を調整するように前記オゾン発生部の動作を制御するオゾン制御部と、
を備えることを特徴とする環境配慮型空気清浄化システム。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の環境配慮型空気清浄化システムにおいて、
前記所定の空間領域は、複数の遊技台が設置されたパチンコホールであり、
前記パチンコホール内の二酸化炭素の濃度を計測する二酸化炭素濃度計測部と、
前記二酸化炭素の濃度と前記遊技台の稼働率とに基づいて、前記紫外線照射部の消費電力が小さくなるように前記紫外線照射部を制御する省エネ制御部と、
を備えることを特徴とする環境配慮型空気清浄化システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環境配慮型空気清浄化システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地球温暖化などの影響により、例えば、夏場などではエアコンをうまく活用して熱中症を予防するなどの対策が講じられており、学校、病院、職場、一般家庭など様々な場所でエアコンが設置されている。
【0003】
本発明に関連する技術として、例えば、特許文献1には、天井据付型エアコンディショナーの熱交換器を洗浄する洗浄装置において、前記熱交換器の内側に位置して洗浄液を前記熱交換器へ向けて噴射するノズルと、前記ノズルを回転させる回転装置と、洗浄液を貯留する洗浄液タンクと、前記洗浄液タンク内の洗浄液を前記ノズルへ圧送するポンプ装置と、前記熱交換器へ噴射された洗浄液を回収し、前記洗浄液タンクへ還流する還流流路と、前記洗浄液タンク内の洗浄液の汚濁度を測定する汚濁度測定装置と、前記汚濁度測定装置からの信号に基づきモータとポンプとを制御する制御装置とを備えていることを特徴とする、洗浄装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-58646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年の新型コロナウイルスの影響により、エアコンの対流によるエアロゾル感染が問題となっている。
【0006】
本発明の目的は、新型コロナウイルスなどに対して除菌、殺菌などの効果を有する環境配慮型空気清浄化システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る環境配慮型空気清浄化システムは、所定の空間領域内の空調前の空気を吸い込む開口部を有する吸込口部と、前記吸込口部に設けられ、前記空調前の空気に紫外線を照射する紫外線照射部と、前記紫外線が照射された前記空調前の空気に対して空調された空調後の空気を吹き出す開口部を有する吹出口部と、前記吸込口部から前記空調前の空気を取り込み、前記吹出口部から前記空調後の空気を吹き出すように空気を流通させるために回転するファン部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る環境配慮型空気清浄化システムにおいて、前記空調システムは、前記所定の空間領域の天井部に埋め込まれた天井カセット式のエアコンを有し、前記吸込口部は、前記天井部に埋設された前記開口部と、前記開口部から前記ファン部に向かって設けられる筒状の流路部を備え、前記紫外線照射部は、前記流路部に設けられることが好ましい。
【0009】
また、本発明に係る環境配慮型空気清浄化システムにおいて、前記空調システムは、前記所定の空間領域の壁部に装着される壁掛式のエアコンを有していることが好ましい。
【0010】
また、本発明に係る環境配慮型空気清浄化システムにおいて、前記吸込口部に設けられ、前記紫外線が前記空調前の空気に含まれる菌に継続して照射されるように前記菌を捕獲する捕獲フィルタを備えることが好ましい。
【0011】
また、本発明に係る環境配慮型空気清浄化システムにおいて、前記吹出口部に設けられ、前記空調後の空気に向けたオゾンを発生するオゾン発生部と、前記所定の空間領域内のオゾンの濃度を計測するオゾン濃度計測部と、前記オゾンの濃度に基づいて、前記オゾンの発生量を調整するように前記オゾン発生部の動作を制御するオゾン制御部と、を備えることが好ましい。
【0012】
また、本発明に係る環境配慮型空気清浄化システムにおいて、前記所定の空間領域は、複数の遊技台が設置されたパチンコホールであり、前記パチンコホール内の二酸化炭素の濃度を計測する二酸化炭素濃度計測部と、前記二酸化炭素の濃度と前記遊技台の稼働率とに基づいて、前記紫外線照射部の消費電力が小さくなるように前記紫外線照射部を制御する省エネ制御部と、を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、新型コロナウイルスなどに対して除菌等することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る実施形態の環境配慮型空気清浄化システムを示す構成図である。
図2】本発明に係る実施形態の環境配慮型空気清浄化システムの制御部を示す図である。
図3】本発明に係る実施形態の環境配慮型空気清浄化システムの変形例である環境配慮型空気清浄化システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明に係る実施の形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。以下では、全ての図面において同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、本文中の説明においては、必要に応じそれ以前に述べた符号を用いるものとする。
【0016】
図1は、本発明に係る実施形態の環境配慮型空気清浄化システム10を示す構成図である。図1(a)は、環境配慮型空気清浄化システム10を分解した状態の斜視図であり、図1(b)は、環境配慮型空気清浄化システム10の平面図である。
【0017】
図2は、本発明に係る実施形態の環境配慮型空気清浄化システム10の制御部20を示す図である。図3は、本発明に係る実施形態の環境配慮型空気清浄化システム10の変形例である環境配慮型空気清浄化システム40を示す図である。
【0018】
環境配慮型空気清浄化システム10は、エアコン12と、制御部20とを備えている。環境配慮型空気清浄化システム10は、所定の空間領域内の空気に対し、新型コロナウイルスなどの菌に対して除菌や殺菌を行いつつ空調を行う機能を有している。
【0019】
ここでは、所定の空間領域とは、複数のパチンコの遊技台が設置されたパチンコホールであるものとして説明するが、もちろん、パチンコホール以外の施設などに設定されてもよい。パチンコホール内の遊技台やエアコン12は、ホールコンピュータによって制御されている。
【0020】
ホールコンピュータは、パチンコホール内の各遊技台の情報(稼働中、待機中、出玉、大当たり回数など)を表示でき、また、パチンコホール内のエアコン12及び図示しない換気装置の情報(設定温度、換気比率など)を表示又は制御する機能を有する。
【0021】
「換気比率」とは、1時間あたりの必要換気回数(回/時間)のことを意味している。1時間あたりの必要換気回数(毎時必要換気回数(回/時間)は、毎時必要換気量(m/時間)/部屋の容量(m))で算出される。
【0022】
換気装置は、パチンコホール内に配置された換気扇と、この換気扇の動作を制御する換気スイッチと、換気扇に接続されたダクトに配置されたダンパーを備えている。換気扇は、モータで動作するファンであり、パチンコホール内の空気を外部に排出することができる。
【0023】
ダクトは、換気扇から排出される空気を外部に出す配管である。ダンパーは、当該ダンパーの動作を制御するダンパー制御モータに接続されている。
【0024】
また、ホールコンピュータによって、換気装置の換気比率を操作することができる。具体的には、ホールコンピュータに換気比率を入力することにより、制御部20を介して、換気装置の換気比率を調整することができる。
【0025】
さらに、ホールコンピュータにおいて、パチンコホール内の稼働率データを記憶及び表示させることができる。当該稼働率データは、ホールコンピュータがパチンコホール内に配置されたセンサなどによって稼働率データを収集することができる。
【0026】
制御部20は、換気スイッチおよびダンパー制御モータに接続されている。そして、換気スイッチのオンオフを制御することで、換気扇の動作を制御することができる。制御部20の各構成要素については後述する。
【0027】
エアコン12は、パチンコホール内の天井部に埋め込まれた天井カセット式のエアコンである。エアコン12は、ファン部14と、吸込口部16と、吹出口部18と、紫外線照射部36と、オゾン発生部38とを備えている。
【0028】
エアコン12は、天井部に形成された略四角柱形状の孔部に嵌合されるような略四角柱形状を有しており、天井部から略正方形の化粧板が露出している。
【0029】
吸込口部16は、パチンコホール内の空調前の空気を吸い込み天井部に埋設された開口部と、開口部からファン部14に向かって設けられる筒状の流路部14aを備えている。吸込口部16は、略正方形の形状を有し、化粧板の中央部に設けられており、埃などを捕獲するための埃フィルタが設けられている。
【0030】
吹出口部18は、化粧板において中央部に設けられる吸込口部16の周囲に形成される4つのスリット状の開口部である。
【0031】
ファン部14は、吸込口部16から空調前の空気を取り込み、吹出口部18から空調後の空気を吹き出すように空気を流通させるために回転するファン15を有している。ファン部14は、吸込口部16に連なるように設けられる円筒状の流路部14aが設置されている。
【0032】
流路部14aには、吸込口部16に設けられ、紫外線が空調前の空気に含まれる菌に継続して照射されるように菌を捕獲する菌捕獲フィルタ17が設けられている。菌捕獲フィルタ17は、空気中からゴミ、塵埃などを取り除き、清浄空気にする目的で使用するエアフィルタの一種であり、空気清浄機やクリーンルームのメインフィルタとして用いられる。ここでは、定格風量で粒径が0.3μmの粒子に対して99.97%以上の粒子捕集率をもち、かつ初期圧力損失が245Pa以下の性能を持つHEPAフィルタであるものとして説明するが、定格風量で粒径が0.15μmの粒子に対して99.9995%以上の粒子捕集率をもち、かつ初期圧力損失が245Pa以下の性能を持つULPAフィルタであってもよい。
【0033】
ファン15は、流路部14aよりも下流側に設けられ、複数の羽を有し円筒状の流路部14aの周方向に沿って回転する。ファン15の回転によって、吸込口部16から空調前の空気が取り込まれ、この取り込まれた空気が図示しない熱交換器によって空調されて、空調後の空気が吹出口部18から吹き出される。
【0034】
紫外線照射部36は、吸込口部16から取り込まれた空気内に含まれる菌を殺菌するために紫外線を照射する紫外線ランプを含んでいる。紫外線照射部36は、流路部14aに沿って曲げられて形成されており、流路部14aと面ファスナーを介して接続されている。流路部14aと紫外線照射部36は面ファスナーで接続されているため、エアコン12を分解洗浄する際に紫外線照射部36を取り外して洗浄することが出来る。
【0035】
紫外線照射部36は、複数の紫外線ランプで構成されており、流路部14aの奥行方向に沿って所定の間隔を置いて設けられている。これにより、吸込口部16から取り込まれた空気に対する紫外線の照射時間を長くすることが出来る。
【0036】
紫外線照射部36は、棒状に延伸し、紫外線を多く放射するように形成されたランプであり、水銀蒸気中の放電により、253.7nmのスペクトルを出す。紫外線の光化学作用、殺菌作用、紅斑作用を利用する多くの分野で用いられている。なお、ここでは、紫外線照射部36は、100~280nmの所謂UVCと呼ばれる紫外線を用いている。
【0037】
圧力10-2mmHg程度の低圧水銀放電は主として253.7nmの紫外線を放射するので、石英ガラスまたは紫外線透過ガラスで放電管をつくり、殺菌ランプとして、吸い込口部16から取り込まれた空気に含まれる菌の殺菌に用いられる。
【0038】
オゾン発生部38は、吸込口部16から取り込まれた空気内に含まれる菌を殺菌するためにオゾンを発生するオゾンランプである。オゾン発生部38は、殺菌紫外線253.7nmと同時に、オゾン生成作用をもつ185nmの紫外線を透過する石英ガラスを用いたオゾンランプ(短波長殺菌ランプ)である。
【0039】
オゾン発生部38は、4つのオゾンランプで構成されており、各オゾンランプは、図1(b)に示されるように、ファン部14を経由して吹出口部18に向かう空気に向かってオゾンを発生するように四隅に設けられている。
【0040】
オゾン濃度計測部は、パチンコホール内の所定の場所に設置される計測器である。オゾンの濃度の計測方法として、紫外線吸収法と定電位電解法とがある。
【0041】
紫外線吸収法は、紫外線中の254nmの波長を強く吸収するオゾンの性質を利用して、オゾン濃度を測定する方法である。オゾン濃度が高いほど吸収されやすく、オゾンが通過する測定セルに254nmの紫外線を当て、その吸収量からオゾン濃度を割り出す。また、同じ254nm付近を吸収するガスが混在していると測定に影響が出るため、全試料中のオゾンと分解した残存ガスの双方を測定し、純粋なオゾン濃度を算出するのが一般的である。
【0042】
定電位電解法は、オゾンガスに特定の電位をかけた際に生じる電流を計測し、濃度を測定する方法である。ガスの種類によって出力が異なるため、別のガスが混在している場合でも影響を受けにくいという特徴がある。また、非常に低濃度のガスも敏感に検知し、誤差が出やすい低濃度領域でも定量的な計測が出来る。
【0043】
二酸化炭素濃度計測部25は、パチンコホール内の二酸化炭素の濃度を計測する。二酸化炭素濃度計測部25は、大気中の二酸化炭素濃度の検出にはNDIRという方式を用いることができる。二酸化炭素分子は、波長4.26ミクロンの赤外線を選択的に吸収する性質を持っている。
【0044】
二酸化炭素分子が高濃度で存在するとより強く吸収する事になる。この性質を利用したのがNDIRである。具体的には赤外光源と光センサ素子を両端に固定した筒(セル)の中に測定したい気体を流す。
【0045】
制御部20は、エアコン12と通信を行い、エアコン12を制御する機能を有している。制御部20は、空調運転連動手動切替部22と、オゾン濃度制御部24と、省エネ制御部26と、エアコン負荷制御部28と、玉切れ検知部30と、リアルタイム情報表示部32とを備えている。
【0046】
空調運転連動手動切替部22は、図示しない温度センサなどに基づいて、ファン部14を含むエアコン12の空調機能が作動するように制御する。空調運転連動手動切替部22は、当該空調機能の作動中に連動してオゾン発生部38が作動するように制御するが、図示しないユーザからの操作によって手動でオゾン発生部38のオンオフの切り替えが可能となる。
【0047】
オゾン濃度制御部24は、オゾン濃度計測部から得られるオゾンの濃度に関する情報に基づいて、オゾンの発生量を調整するようにオゾン発生部38の動作を制御する。
【0048】
具体的には、オゾン濃度制御部24は、オゾン発生部38が作動してから経過した時間とオゾンの濃度の変化によってオゾンの濃度が所定の基準値以下となるようにオゾン発生部38を制御する。なお、所定の基準値とは、人体に悪影響がないとされる数値未満に設定されている。
【0049】
オゾン濃度制御部24は、所定の時間(例えば、30分)毎にオゾンの濃度を計測し、当該の濃度の経時的変化に応じて、オゾンの濃度が基準値以下となるように、オゾン発生部38を制御し、例えば、4つのオゾンランプで構成されるときは、オゾンランプの作動の個数を調整するなどして濃度が基準値以下となるようにする。
【0050】
省エネ制御部26は、二酸化炭素濃度計測部25から取得する二酸化炭素の濃度とパチンコホール内の遊技台の稼働率とに基づいて、紫外線照射部36及びオゾン発生部38の消費電力が小さくなるように紫外線照射部36及びオゾン発生部38を制御する。ここで、遊技台の稼働率とは、パチンコホールにおける各種データを取得するホールコンピュータなどから取得することが出来る。
【0051】
具体的には、省エネ制御部26は、二酸化炭素の濃度や遊技台の稼働率に基づいて、遊技台を利用するユーザの人数が少ないときには、紫外線照射部36やオゾン発生部38の動作を停止(例えば、複数の紫外線ランプ、オゾンランプのうち、所定数のランプを動作させない)することで消費電力を抑えることが出来る。
【0052】
エアコン負荷制御部28は、パチンコホール内の電力情報を取得し、要求される電力が増加しそうな傾向があると判断したとき(例えば、デマンド値が経時的変化に所定の傾き以上となったとき)に、パチンコホールに設置された換気装置の動作を抑えて、エアコン12の負荷を抑制する機能を有している。
【0053】
玉切れ検知部30は、紫外線照射部36及びオゾン発生部38の近傍に設けられる。玉切れ検知部30は、紫外線照射部36及びオゾン発生部38から発せられる光を検知することで各ランプの故障を検知して報知する機能を有している。なお、報知方法としては、モニタなどにアラートを表示することができる。
【0054】
リアルタイム情報表示部32は、二酸化炭素濃度計測部25から取得する二酸化炭素の濃度に基づいてパチンコホール内の人の密集度を表示することができる。リアルタイム情報表示部25は、パチンコホール内の二酸化炭素の濃度が低く保つことができている場合には、パチンコホール内が蜜となっていないことをPRするような情報をパチンコホール内に設置されたモニタ等に表示することが出来る。
【0055】
続いて、上記構成の環境配慮型空気清浄化システム10の作用について説明する。環境配慮型空気清浄化システム10によれば、パチンコホール内の空気を吸込口部16から取り込み、紫外線照射部36によって空気に紫外線が照射された後の空気が空調された吹出口部18から吹き出されるため、除菌又は殺菌された綺麗な空調後の空気がパチンコホール内に戻される。
【0056】
したがって、パチンコホール内の空気に新型コロナウイルスなどの菌が含まれていた場合であっても、環境配慮型空気清浄化システム10によって除菌又は殺菌しつつ、空調を行うことが出来るという顕著な効果を奏する。
【0057】
また、環境配慮型空気清浄化システム10によれば、吸込口部16に菌捕獲フィルタ17が設けられているため、これにより、新型コロナウイルスなどの菌を捕獲しつつ、紫外線を継続的に照射することで確実に殺菌することが出来るという利点がある。
【0058】
さらに、環境配慮型空気清浄化システム10によれば、既存の天井カセット式のエアコンに対して紫外線照射部36、オゾン発生部38及び制御部20を装着するだけで実現することができるため、新たなエアコンを設置することなく、環境配慮しつつ新型コロナウイルスなどの菌を好適に除菌、殺菌することができる。
【0059】
そして、環境配慮型空気清浄化システム10によれば、空調運転連動手動切替部22の機能により、空調機能の作動に連動してオゾン発生部38を自動的に作動させるようにできるとともに、オゾン臭などが気になる場合にオゾン発生部38を手動で停止することも可能である。
【0060】
また、環境配慮型空気清浄化システム10によれば、オゾン濃度制御部24の機能により、殺菌や除菌などの効果が得られて、かつ、害のないと考えられるオゾン濃度を保つようにオゾン発生部38が制御される。
【0061】
さらに、環境配慮型空気清浄化システム10によれば、省エネ制御部26の機能により、パチンコホール内に想定した人数よりも少ない人数しかいない場合に紫外線照射部36及びオゾン発生部38のランプの作動数を少なくすることで消費電力を削減することが出来る。
【0062】
そして、環境配慮型空気清浄化システム10によれば、エアコン負荷制御部28の機能により、デマンド値が上がりそうなタイミングを察知して、換気装置の作動を抑えることで、エアコン12の負荷を下げることができることが出来る。
【0063】
また、環境配慮型空気清浄化システム10によれば、玉切れ検知部30の機能により、紫外線照射部36及びオゾン発生部38のランプの光を検知しているため、ランプが切れえてしまった場合にアラートが表示されるため、紫外線照射部36及びオゾン発生部38の故障を迅速に察知して交換などの対応をすることが出来る。
【0064】
さらに、環境配慮型空気清浄化システム10によれば、リアルタイム情報表示部32の機能により、パチンコホール内が人で蜜になっているか否かなどをリアルタイムに知ることが出来るという効果を奏する。
【0065】
次に、環境配慮型空気清浄化システム10の変形例である環境配慮型空気清浄化システム40について説明する。環境配慮型空気清浄化システム40は、エアコン42と、制御部20とを備える。なお、環境配慮型空気清浄化システム40は、環境配慮型空気清浄化システム10とほぼ同様の構成を有しているため、以下では相違点を中心に説明する。
【0066】
エアコン42は、一般家庭などの部屋の壁に設置される壁掛け式のエアコンである。エアコン42は、ファン部48と、吸込口部43と、吹出口部45と、紫外線照射部44と、フィルタ50と、熱交換器46とを備えている。
【0067】
エアコン42は、ファン部48が作動することにより、吸込口部43から吸い込まれた空気が熱交換器46によって空調されて吹出口部45から吹き出される。ここで、紫外線照射部44が吸込口部43の上方に装着され、吸込口部43に入る前に空気に対して紫外線を照射することで新型コロナウイルスなどの菌を除菌することが出来る。
【0068】
環境配慮型空気清浄化システム40によっても、環境配慮型空気清浄化システム10と同様の効果を奏するとともに、紫外線照射部44及び制御部20を装着するだけで実現することができるため、新たなエアコンを設置することなく、環境配慮しつつ新型コロナウイルスなどの菌を好適に除菌、殺菌することができる。
【0069】
また、環境配慮型空気清浄化システム40によれば、紫外線照射部44を吸込口部43の上方(上流側)に設置するものとして説明したが、吸込口部43よりも下流側に設置することも可能である。
【符号の説明】
【0070】
10 環境配慮型空気清浄化システム、12 エアコン、14 ファン部、14a 流路部、15 ファン、16 吸込口部、17 菌捕獲フィルタ、18 吹出口部、20 制御部、22 空調運転連動手動切替部、24 オゾン濃度制御部、25 二酸化炭素濃度計測部、25 リアルタイム情報表示部、26 省エネ制御部、28 エアコン負荷制御部、30 検知部、32 リアルタイム情報表示部、36 紫外線照射部、38 オゾン発生部、40 環境配慮型空気清浄化システム、42 エアコン、43 吸込口部、44 紫外線照射部、45 吹出口部、46 熱交換器、48 ファン部、50 フィルタ。
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2021-06-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の空間領域内の空調前の空気を吸い込む開口部を有する吸込口部と、
前記吸込口部に設けられ、前記空調前の空気に紫外線を照射する紫外線照射部と、
前記紫外線が照射された前記空調前の空気に対して空調された空調後の空気を吹き出す開口部を有する吹出口部と、
前記吸込口部から前記空調前の空気を取り込み、前記吹出口部から前記空調後の空気を吹き出すように空気を流通させるために回転するファン部と、
を備え
前記所定の空間領域は、複数の遊技台が設置されたパチンコホールであり、
前記パチンコホール内の二酸化炭素の濃度を計測する二酸化炭素濃度計測部と、
前記二酸化炭素の濃度と前記遊技台の稼働率とに基づいて、前記紫外線照射部の消費電力が小さくなるように前記紫外線照射部を制御する省エネ制御部と、
を備えることを特徴とする環境配慮型空気清浄化システム。
【請求項2】
請求項1に記載の環境配慮型空気清浄化システムにおいて、
前記空調システムは、前記所定の空間領域の天井部に埋め込まれた天井カセット式のエアコンを有し、
前記吸込口部は、前記天井部に埋設された前記開口部と、前記開口部から前記ファン部に向かって設けられる筒状の流路部を備え、
前記紫外線照射部は、前記流路部に設けられることを特徴とする環境配慮型空気清浄化システム。
【請求項3】
請求項1に記載の環境配慮型空気清浄化システムにおいて、
前記空調システムは、前記所定の空間領域の壁部に装着される壁掛式のエアコンを有していることを特徴とする環境配慮型空気清浄化システム。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の環境配慮型空気清浄化システムにおいて、
前記吸込口部に設けられ、前記紫外線が前記空調前の空気に含まれる菌に継続して照射されるように前記菌を捕獲する捕獲フィルタを備えることを特徴とする環境配慮型空気清浄化システム。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の環境配慮型空気清浄化システムにおいて、
前記吹出口部に設けられ、前記空調後の空気に向けたオゾンを発生するオゾン発生部と、
前記所定の空間領域内のオゾンの濃度を計測するオゾン濃度計測部と、
前記オゾンの濃度に基づいて、前記オゾンの発生量を調整するように前記オゾン発生部の動作を制御するオゾン制御部と、
を備えることを特徴とする環境配慮型空気清浄化システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本発明に係る環境配慮型空気清浄化システムは、所定の空間領域内の空調前の空気を吸い込む開口部を有する吸込口部と、前記吸込口部に設けられ、前記空調前の空気に紫外線を照射する紫外線照射部と、前記紫外線が照射された前記空調前の空気に対して空調された空調後の空気を吹き出す開口部を有する吹出口部と、前記吸込口部から前記空調前の空気を取り込み、前記吹出口部から前記空調後の空気を吹き出すように空気を流通させるために回転するファン部と、を備え、前記所定の空間領域は、複数の遊技台が設置されたパチンコホールであり、前記パチンコホール内の二酸化炭素の濃度を計測する二酸化炭素濃度計測部と、前記二酸化炭素の濃度と前記遊技台の稼働率とに基づいて、前記紫外線照射部の消費電力が小さくなるように前記紫外線照射部を制御する省エネ制御部と、を備えることを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】削除
【補正の内容】