(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022086126
(43)【公開日】2022-06-09
(54)【発明の名称】異物除去装置及び異物除去方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20220602BHJP
B08B 7/00 20060101ALN20220602BHJP
【FI】
H01L21/304 643C
H01L21/304 648G
H01L21/304 647A
B08B7/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020197973
(22)【出願日】2020-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000115902
【氏名又は名称】レーザーテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(74)【代理人】
【識別番号】100129953
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 康弘
(72)【発明者】
【氏名】大野 晃寛
(72)【発明者】
【氏名】山崎 輝明
【テーマコード(参考)】
3B116
5F157
【Fターム(参考)】
3B116AA08
3B116BA01
3B116CD42
5F157AA04
5F157AA91
5F157AB02
5F157AB33
5F157AB98
5F157AC01
5F157AC13
5F157BB22
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5F157BB66
5F157BE12
5F157BF02
5F157CD15
5F157CD16
5F157CE25
5F157CF34
5F157CF36
5F157CF40
5F157CF42
5F157CF44
5F157DB02
5F157DB03
(57)【要約】
【課題】薄膜に付着した異物を除去する際の薄膜の破損を抑制することができる異物除去装置及び異物除去方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る異物除去装置1は、針状の針部材11の先端13に流体の粘着部材12が形成された粘着針10と、薄膜40の一方の面41に付着した異物50と、粘着部材12との間の距離を薄膜40の他方の面42側から計測する距離計測部20と、を備え、異物50に粘着部材12を接触させた状態で、粘着針10を薄膜40から離すことにより、異物50を薄膜40から除去する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
針状の針部材の先端に流体の粘着部材が形成された粘着針と、
薄膜の一方の面に付着した異物と、前記粘着部材との間の距離を前記薄膜の他方の面側から計測する距離計測部と、
を備え、
前記異物に前記粘着部材を接触させた状態で、前記粘着針を前記薄膜から離すことにより、前記異物を前記薄膜から除去する、
異物除去装置。
【請求項2】
前記粘着部材は、水、油、紫外線硬化樹脂の少なくともいずれかを含む、
請求項1に記載の異物除去装置。
【請求項3】
前記針部材を冷却または加熱することにより、前記粘着部材の粘度を制御する加熱冷却部をさらに備えた、
請求項1または2に記載の異物除去装置。
【請求項4】
前記粘着部材に紫外線を照射することにより、前記粘着部材の粘度を制御する紫外線照射部をさらに備えた、
請求項1または2に記載の異物除去装置。
【請求項5】
前記針部材は中空の管であり、
前記針部材を通して前記先端に前記粘着部材を供給する粘着部材供給容器をさらに備えた、
請求項1~4のいずれか1項に記載の異物除去装置。
【請求項6】
前記粘着部材供給容器に設けられ、前記粘着部材を熱膨張させて前記先端に前記粘着部材を供給するヒータをさらに備えた、
請求項5に記載の異物除去装置。
【請求項7】
前記距離計測部は、共焦点光学系を含む、
請求項1~6のいずれか1項に記載の異物除去装置。
【請求項8】
針状の針部材の先端に流体の粘着部材を形成して粘着針を準備するステップと、
薄膜の一方の面に付着した異物と、前記粘着部材との間の距離を前記薄膜の他方の面側から計測するステップと、
前記異物に前記粘着部材を接触させるステップと、
前記異物に前記粘着部材を接触させた状態で、前記粘着針を前記薄膜から離すことにより、前記異物を前記薄膜から除去するステップと、
を備えた異物除去方法。
【請求項9】
前記粘着針を準備するステップにおいて、
前記粘着部材は、水、油、紫外線硬化樹脂の少なくともいずれかを含むようにする、
請求項8に記載の異物除去方法。
【請求項10】
前記粘着針を準備するステップにおいて、
前記針部材を冷却または加熱することにより、前記粘着部材の粘度を制御する、
請求項8または9に記載の異物除去方法。
【請求項11】
前記粘着針を準備するステップにおいて、
前記粘着部材に紫外線を照射することにより、前記粘着部材の粘度を制御する、
請求項8または9に記載の異物除去方法。
【請求項12】
前記粘着針を準備するステップにおいて、
前記針部材を中空の管とし、
前記針部材を通して前記先端に粘着部材供給容器から前記粘着部材を供給する、
請求項8~11のいずれか1項に記載の異物除去方法。
【請求項13】
前記粘着部材を供給する際に、前記粘着部材を熱膨張させて前記先端に前記粘着部材を供給する、
請求項12に記載の異物除去方法。
【請求項14】
前記計測するステップにおいて、
共焦点光学系を用いて計測する、
請求項8~11のいずれか1項に記載の異物除去方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異物除去装置及び異物除去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
EUVマスクのパターンを保護する部材として、パターン面を覆うペリクルが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
EUVマスクのパターンを覆うペリクルは、非常に薄くて破れやすいので、洗浄によって異物を除去することが困難である。また、粘着性のウレタンやシリコーン樹脂をペリクルに貼り付け、異物を粘着させて除去する場合がある。しかし、この場合には、ペリクルを引き剥がす際に、ペリクルを破損させることがある。このように、ペリクル等の薄膜に付着した異物を除去する際の薄膜の破損を抑制する方法が所望されている。
【0005】
本発明の目的は、このような問題を解決するためになされたものであり、薄膜に付着した異物を除去する際の薄膜の破損を抑制することができる異物除去装置及び異物除去方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態の一態様に係る異物除去装置は、針状の針部材の先端に流体の粘着部材が形成された粘着針と、薄膜の一方の面に付着した異物と、前記粘着部材との間の距離を前記薄膜の他方の面側から計測する距離計測部と、を備え、前記異物に前記粘着部材を接触させた状態で、前記粘着針を前記薄膜から離すことにより、前記異物を前記薄膜から除去する。このような構成により、薄膜に付着した異物を除去する際の薄膜の破損を抑制することができる。
【0007】
上記の異物除去装置では、前記粘着部材は、水、油、紫外線硬化樹脂の少なくともいずれかを含んでもよい。
【0008】
上記の異物除去装置では、前記針部材を冷却または加熱することにより、前記粘着部材の粘度を制御する加熱冷却部をさらに備えてもよい。
【0009】
上記の異物除去装置では、前記粘着部材に紫外線を照射することにより、前記粘着部材の粘度を制御する紫外線照射部をさらに備えてもよい。
【0010】
上記の異物除去装置では、前記針部材は中空の管であり、前記針部材を通して前記先端に前記粘着部材を供給する粘着部材供給容器をさらに備えてもよい。
【0011】
上記の異物除去装置では、前記粘着部材供給容器に設けられ、前記粘着部材を熱膨張させて前記先端に前記粘着部材を供給するヒータをさらに備えてもよい。
【0012】
上記の異物除去装置では、前記距離計測部は、共焦点光学系を含んでもよい。
【0013】
本実施形態の一態様に係る異物除去方法は、針状の針部材の先端に流体の粘着部材を形成して粘着針を準備するステップと、薄膜の一方の面に付着した異物と、前記粘着部材との間の距離を前記薄膜の他方の面側から計測するステップと、前記異物に前記粘着部材を接触させるステップと、前記異物に前記粘着部材を接触させた状態で、前記粘着針を前記薄膜から離すことにより、前記異物を前記薄膜から除去するステップと、を備える。このような構成により、薄膜に付着した異物を除去する際の薄膜の破損を抑制することができる。
【0014】
上記の異物除去方法では、前記粘着針を準備するステップにおいて、前記粘着部材は、水、油、紫外線硬化性樹脂の少なくともいずれかを含むようにしてもよい。
【0015】
上記の異物除去方法では、前記粘着針を準備するステップにおいて、前記針部材を冷却することにより、前記粘着部材の粘度を制御してもよい。
【0016】
上記の異物除去方法では、前記粘着針を準備するステップにおいて、前記粘着部材に紫外線を照射することにより、前記粘着部材の粘度を制御してもよい。
【0017】
上記の異物除去方法では、前記粘着針を準備するステップにおいて、前記針部材は中空の管であり、前記針部材を通して前記先端に粘着部材供給容器から前記粘着部材を供給してもよい。
【0018】
上記の異物除去方法では、前記粘着部材を供給する際に、前記粘着部材を熱膨張させて前記先端に前記粘着部材を供給してもよい。
【0019】
上記の異物除去方法では、前記計測するステップにおいて、共焦点光学系を用いて計測してもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、薄膜に付着した異物を除去する際の薄膜の破損を抑制することができる異物除去装置及び異物除去方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】実施形態1に係る異物除去装置を例示した構成図である。
【
図2】実施形態1に係る距離計測部を例示した構成図である。
【
図3】実施形態1に係る異物除去方法を例示したフローチャート図である。
【
図4】実施形態2に係る異物除去装置を例示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本実施形態の具体的構成について図面を参照して説明する。以下の説明は、本発明の好適な実施の形態を示すものであって、本発明の範囲が以下の実施の形態に限定されるものではない。以下の説明において、同一の符号が付されたものは実質的に同様の内容を示している。
【0023】
(実施形態1)
まず、実施形態1に係る異物除去装置及び異物除去方法を説明する。
図1は、実施形態1に係る異物除去装置を例示した構成図である。
図1に示すように、異物除去装置1は、粘着針10と、距離計測部20と、を備える。異物除去装置1は、加熱冷却部30をさらに備えてもよい。異物除去装置1は、例えば、ペリクル等の薄膜40に付着した異物50を除去する装置である。
【0024】
ここで、異物除去装置1の説明の便宜のために、XYZ座標軸系を設定する。例えば、薄膜40における異物50が付着した部分の一方の面41をXY面とする。一方の面41側から、反対側の他方の面42側へ向かう方向を+Z軸方向とする。
【0025】
粘着針10は、薄膜40の一方の面41側に配置されている。すなわち、粘着針10は、薄膜40よりも-Z軸方向側に配置されている。粘着針10は、針部材11及び粘着部材12を有する。粘着針10において、針状の針部材11の先端13に流体の粘着部材12が形成されている。粘着針10は、例えば、針部材11の先端13を薄膜40側に向けている。粘着針10は、Z軸方向に沿って配置されている。なお、粘着針10は、先端13を薄膜40側に向けていれば、Z軸方向から傾いて配置されてもよい。
【0026】
粘着針10は、先端13に形成された粘着部材12を異物50に接触させるように移動可能である。また、粘着針10は、薄膜40から離すように移動可能である。例えば、粘着針10を支持する図示しない支持部により、粘着針10を薄膜40に近づけたり遠ざけたりする。また、薄膜40を載置させた図示しないステージを移動させることにより、粘着針10を薄膜40に近づけたり遠ざけたりしてもよい。これにより、異物除去装置1は、異物50に粘着部材12を接触させた状態で、粘着針10を薄膜40から離すことにより、異物50を薄膜40から除去する。
【0027】
針部材11は、針状であり、先端13を有している。針部材11は、数10[μm]から数100[μm]の外径を有する。針部材11は、例えば、10[μm]~900[μm]の外径であり、50[μm]~500[μm]の外径でもよい。針部材11は、材料として、金属を含んでもよい。また、針部材11は、ガラス等の透明部材を含んでもよいし、プラスティックを含んでもよい。針部材11は、伝熱材であることが好ましいが、これにこだわらない。
【0028】
粘着部材12は、針部材11の先端13に形成される。例えば、針部材11の先端13に粘着部材12を付着させることにより、先端13に粘着部材12を形成する。粘着部材12は、流体である。粘着部材12は、例えば、流体の水を含む。なお、粘着部材12は、流体であれば、水に限らず、油、紫外線硬化樹脂を含むものでもよい。
【0029】
粘着部材12は、粘度を制御することができるものが好ましい。例えば、加熱冷却部30は、粘着部材12を冷却または加熱することにより、粘着部材12の粘度を制御する。加熱冷却部30は、例えば、ペルチェ素子である。加熱冷却部30は、針部材11に伝熱材31で接続されている。加熱冷却部30は、伝熱材31及び針部材11を介して水を含む粘着部材12を冷却することにより、粘度を増加させる。これにより、粘着部材12に異物50を付着させる。また、加熱冷却部30は、伝熱材31及び針部材11を介して水を含む粘着部材12を加熱することにより、粘度を減少させる。これにより、異物50または異物50を付着させた粘着部材12を先端13から除去してもよい。
【0030】
なお、粘着部材12を冷却または加熱する代わりに、粘着部材12に紫外線を照射することにより、粘着部材12の粘度を制御してもよい。例えば、異物除去装置1は、加熱冷却部30の代わりに、紫外線照射部を備えるようにしてもよい。紫外線照射部は、粘着部材12に紫外線を照射することにより、粘着部材12の粘度を制御する。
【0031】
距離計測部20は、薄膜40の一方の面41に付着した異物50と、粘着部材12との間の距離を薄膜40の他方の面42側から計測する。距離計測部20は、例えば、共焦点光学系を含む。なお、距離計測部20は、薄膜40の一方の面41に付着した異物50と、粘着部材12との間の距離を薄膜40の他方の面42側から計測することができれば、共焦点光学系を含むものに限らず、光学顕微鏡、電子顕微鏡等でもよい。
【0032】
図2は、実施形態1に係る距離計測部20を例示した構成図である。
図2に示すように、距離計測部20は、共焦点光学系として、光源21、ハーフミラー22、レンズ23、ミラー24、レンズ25、レンズ26、対物レンズ27、検出器28、駆動部29a(駆動部29b)を備えている。距離計測部20は、上記の光学部材以外に他の部材を含んでもよい。
【0033】
光源21は、薄膜40、異物50及び粘着部材12を照明する照明光を生成する。薄膜40、異物50及び粘着部材12をまとめて薄膜40等と呼ぶ。光源21は、ランプ光源、LED(Light Emitting Diode)、レーザ光源などの種々の光源を用いることが可能である。
【0034】
光源21からの照明光は、ハーフミラー22に入射する。ハーフミラー22は、入射した光の半分を透過して、残り半分を反射する。ハーフミラー22で反射された照明光は、レンズ23によって平行光束となる。平行光束となった照明光は、ミラー24に入射する。ミラー24は、照明光をレンズ25の方向に反射する。
【0035】
ミラー24には、走査手段が取り付けられてもよい。走査手段が取り付けられたミラー24は、例えば、ガルバノミラーである。走査手段は、ミラー24の傾きを変えることにより、薄膜40等の照明位置をX軸方向及びY軸方向に走査する2次元スキャンを行う。
【0036】
ミラー24で反射した照明光は、レンズ25及びレンズ26で屈折される。レンズ25及びレンズ26は、例えば、リレーレンズである。レンズ26を通過した照明光は、平行光束となっている。
【0037】
レンズ26を通過した照明光は、対物レンズ27に入射する。対物レンズ27は、照明光を集光して薄膜40等を照明する。対物レンズ27は、照明光を焦点面に集光する。対物レンズ27の焦点Fは、光軸OX上であって、薄膜40等の近傍に位置する。
【0038】
対物レンズ27には、駆動部29aが取り付けられてもよい。駆動部29aは、対物レンズ27を光軸方向に移動させる。駆動部29aは、例えば、モータ、ピエゾ素子、アクチュエータ等である。なお、駆動部29aは、対物レンズ27を光軸方向に移動させることができれば、モータ、ピエゾ素子、アクチュエータ等にかぎらない。駆動部29aは、薄膜40に対する対物レンズ27の相対位置を変化させる。これにより、照明光の焦点位置Fに対して、薄膜40等を光軸方向にスキャンすることができる。
【0039】
薄膜40は、ステージ上に載置されてもよい。ステージには、駆動部29bが取り付けられてもよい。駆動部29bは、薄膜40を光軸OX方向に移動させる。駆動部29bは、例えば、モータ、ピエゾ素子、アクチュエータ等である。なお、駆動部29bは、薄膜40を光軸OX方向に移動させることができれば、モータ、ピエゾ素子、アクチュエータ等にかぎらない。駆動部29bは、薄膜40に対する対物レンズ27の相対位置を変化させる。これにより、照明光の焦点位置Fに対して、薄膜40等を光軸OX方向にスキャンすることができる。
【0040】
照明光は、薄膜40等を照明する。そして、照明光は、薄膜40等で反射される。薄膜40等で反射した反射光は、照明光の光路を戻っていく。つまり、反射光は、対物レンズ27で平行光束となって、レンズ26に入射する。レンズ26及びレンズ25は、反射光を屈折する。レンズ25を通過した反射光は、ミラー24で反射されて、レンズ23に入射する。ミラー24に走査手段が取り付けられている場合には、反射光は、ミラー24でデスキャンされる。そして、ミラー24で反射された反射光は、レンズ23で屈折されて、ハーフミラー22に入射する。レンズ23からの反射光の半分が、ハーフミラー22を通過して、検出器28に入射する。
【0041】
レンズ23は、結像レンズであり、反射光を検出器28の受光面に集光している。検出器28は、例えば、複数の画素を備えたセンサである。具体的には、検出器28として、CCD(Charged Coupled Device)またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサを用いることができる。
【0042】
検出器28の受光面は、対物レンズ27の焦点面とは互いに共役な位置に配置されている。対物レンズ27で集光された照明光が、焦点面において、照明領域を形成する。検出器28の受光面では、反射光が集光される。焦点面から光軸方向にずれた面で反射された反射光は、検出器18の画素の外側に入射する。このようにすることで、共焦点光学系を構成することができる。
【0043】
上記の例では、対物レンズ27の焦点面から共役な位置に検出器28を配置していたが、ピンホールまたはスリットを用いて共焦点光学系を構成してもよい。例えば、ピンホール等を焦点面と共役な位置に配置する。検出器28がピンホール等を通過した反射光を検出するよう、ピンホール等の後ろ側に検出器28を配置する。
【0044】
このような構成とすることにより、焦点面で反射した反射光がピンホール等を通過し、焦点面からずれた面で反射された反射光は、遮光される。よって、共焦点光学系を構成することができる。
【0045】
次に、本実施形態の異物除去方法を説明する。
図3は、実施形態1に係る異物除去方法を例示したフローチャート図である。
図3のステップS11に示すように、粘着針10を準備する。具体的には、針状の針部材11の先端13に流体の粘着部材12を形成して粘着針10を準備する。
【0046】
粘着針10を準備する際に、粘着部材12は、水、油、紫外線硬化樹脂の少なくともいずれかを含むようにしてもよい。また、粘着針10を準備する際に、粘着針10を冷却または加熱することにより、粘着部材12の粘度を制御してもよい。また、粘着針10を準備する際に、粘着部材12に紫外線を照射することによって、粘着部材12の粘度を制御してもよい。
【0047】
次に、ステップS12に示すように、薄膜40上の異物50と、粘着部材12との間の距離を計測する。具体的には、薄膜40の一方の面41に付着した異物50と、粘着部材12との間の距離を薄膜40の他方の面42側から計測する。異物50と、粘着部材12との間の距離を計測する際に、共焦点光学系を用いて計測してもよい。
【0048】
次に、ステップS13に示すように、異物50に粘着部材12を接触させる。異物50と、粘着部材12との間の距離を計測しながら、例えば、粘着針10を支持する支持部を移動させることにより、異物50に粘着部材12を接触させる。また、薄膜40を載置させたステージを移動させることにより、異物50に粘着部材12を接触させてもよい。
【0049】
次に、ステップS14に示すように、異物50に粘着部材12を接触させた状態で、粘着針10を薄膜40から離すことにより、異物50を薄膜40から除去する。例えば、粘着針10を支持する支持部を移動させることにより、粘着針10を薄膜40から離してもよいし、薄膜40を載置させたステージを移動させることにより、粘着針10を薄膜40から離してもよい。このようにして、薄膜40から異物50を除去する。
【0050】
次に、本実施形態の効果を説明する。本実施形態の異物除去装置1は、先端13に流体の粘着部材12が形成された粘着針10を用いている。よって、異物50を粘着針10の先端13の粘着部材12に接触させて除去するので、薄膜40に付着した異物50を除去する際の薄膜40の破損を抑制することができる。
【0051】
粘着部材12として、流体の水を用いてもよい。仮に、薄膜40に水が接しても、薄膜40に及ぼす水の影響はほとんど無視することができる。また、水は、冷却または加熱することにより、粘度を制御することができる。よって、水は、粘度を制御することにより、薄膜40に付着した異物50を吸着することができる。粘着部材12として、流体の油を用いた場合も、冷却または加熱することにより、粘度を制御することができる。
【0052】
粘着部材12として、流体の紫外線硬化樹脂を用いてもよい。紫外線硬化樹脂に紫外線を照射することにより、粘着部材の粘度を制御することができる。よって、粘度を制御することにより、薄膜40に付着した異物50を吸着することができる。
【0053】
距離計測部20に共焦点光学系を含むようにすることにより、異物50と粘着部材12との間の距離を光学的に計測することができる。よって、異物50と粘着部材12との間の距離を高精度に計測することができ、粘着部材12を異物50のみに接触させることができる。
【0054】
(実施形態2)
次に、実施形態2に係る異物除去装置及び異物除去方法を説明する。本実施形態では、粘着針の針部材は、中空の管であり、針部材を通して粘着針の先端に粘着部材を供給する。
図4は、実施形態2に係る異物除去装置を例示した図である。
図4に示すように、異物除去装置2は、粘着針60と、距離計測部20と、粘着部材供給容器70と、を備える。
【0055】
粘着針60は、薄膜40の一方の面41側に配置されている。粘着針60は、針部材61及び粘着部材62を有する。本実施形態の針部材61は、中空の管である。針部材61が数10[μm]から数100[μm]の外径を有することは、実施形態1の針部材11と同様である。針部材61は、例えば、10[μm]~900[μm]の内径の管状であり、50[μm]~500[μm]の内径の管状でもよい。針部材61は、実施形態1の針部材11と同様の材料を含んでもよい。
【0056】
粘着部材62が針部材61の先端63に形成されることは、実施形態1と同様である。しかしながら、粘着部材62は、管状の針部材61を通して粘着部材供給容器70から先端63に供給される。粘着部材62は、実施形態1の粘着部材12と同様の材料を含んでもよい。粘着部材62は、実施形態1と同様に、粘度を制御することができるものが好ましい。異物除去装置2において、加熱冷却部30を針部材61に伝熱材31によって接続されてもよい。また、異物除去装置2において、加熱冷却部30の代わりに、紫外線照射部を備えるようにし、粘着部材12に紫外線を照射することにより、粘着部材12の粘度を制御してもよい。
【0057】
粘着部材供給容器70は、粘着部材62を保持する。粘着部材供給容器70は、保持した粘着部材62を、針部材61を通して、針部材61の先端63に供給する。例えば、粘着部材供給容器70にはヒータ71が設けられている。粘着部材供給容器70に設けられたヒータ71は、粘着部材62を熱膨張させて先端63に粘着部材62を供給する。なお、粘着部材62を、針部材61を通して、針部材61の先端63に供給する方法は、ヒータにより粘着部材62を熱膨張させて供給する方法に限らず、プランジャー等により圧入する方法でもよい。
【0058】
本実施形態の異物除去方法は、実施形態1の異物除去方法におけるスッテプS11の粘着針を準備するステップにおいて、針部材61を、中空の管とし、針部材61を通して先端13に粘着部材供給容器70から粘着部材62を供給するようにする。粘着部材62を供給する際に、粘着部材62を熱膨張させて先端63に粘着部材62を供給してもよい。
【0059】
本実施形態によれば、中空の針部材61を通して先端63に粘着部材12を供給するので、先端63に粘着部材62を容易に形成することができる。例えば、粘着部材供給容器70に設けられたヒータ71によって、粘着部材62を熱膨張させることにより、先端63に粘着部材62を容易に形成することができる。
【0060】
また、粘着部材62に異物50を付着させた後で、先端63から粘着部材62を押し出すことにより、異物50が付着した粘着部材12を粘着針10から排出するとともに、先端63に新たな粘着部材62を用意することができる。よって、異物除去の効率を向上させることができる。本実施形態の異物除去装置2及び異物除去方法におけるこれ以外の構成、動作及び効果は、実施形態1の記載に含まれている。
【0061】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はその目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に、上記の実施形態による限定は受けない。例えば、実施形態1~2の各構成を組み合わせたものも、実施形態の技術的思想の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0062】
1、2 異物除去装置
10 粘着針
11 針部材
12 粘着部材
13 先端
20 距離計測部
21 光源
22 ハーフミラー
23 レンズ
24 ミラー
25、26 レンズ
27 対物レンズ
28 検出器
29a、29b 駆動部
30 加熱冷却部
31 伝熱材
40 薄膜
41 一方の面
42 他方の面
50 異物
60 粘着針
61 針部材
62 粘着部材
63 先端
70 粘着部材供給容器
71 ヒータ