(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022086128
(43)【公開日】2022-06-09
(54)【発明の名称】印字ユニットおよび携帯型端末
(51)【国際特許分類】
B41J 11/00 20060101AFI20220602BHJP
B41J 2/32 20060101ALI20220602BHJP
B41J 3/36 20060101ALI20220602BHJP
B65H 5/00 20060101ALI20220602BHJP
【FI】
B41J11/00 A
B41J2/32 Z
B41J3/36 Z
B65H5/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020197975
(22)【出願日】2020-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002325
【氏名又は名称】セイコーインスツル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142837
【弁理士】
【氏名又は名称】内野 則彰
(74)【代理人】
【識別番号】100166305
【弁理士】
【氏名又は名称】谷川 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100171251
【弁理士】
【氏名又は名称】篠田 拓也
(72)【発明者】
【氏名】宮脇 浩平
【テーマコード(参考)】
2C055
2C058
2C065
3F101
【Fターム(参考)】
2C055CC01
2C055CC05
2C058AB02
2C058AB03
2C058AC06
2C058AE04
2C058AF06
2C058AF31
2C058BA01
2C058BA08
2C065AA01
2C065AB01
2C065AD02
2C065CZ06
3F101AA13
3F101LA07
3F101LB03
(57)【要約】
【課題】部品点数を削減できるモータ固定構造を有する印字ユニットを提供する。
【解決手段】印字ユニット6は、記録紙を搬送するプラテンローラと、プラテンローラの外周面に圧接し、記録紙に印字するサーマルヘッドと、プラテンローラを所定軸線回りに回転させるモータ60と、プラテンローラを回転可能に支持するとともにモータ60が接着剤によって固定された本体フレーム10と、を備える。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録紙を搬送するプラテンローラと、
前記プラテンローラの外周面に圧接し、前記記録紙に印字するサーマルヘッドと、
前記プラテンローラを所定軸線回りに回転させるモータと、
前記プラテンローラを回転可能に支持するとともに前記モータが接着剤によって固定されたフレームと、
を備える印字ユニット。
【請求項2】
前記接着剤の粘度は、温度23℃、湿度50%の環境下で40Pa・s以上110Pa・s以下である、
請求項1に記載の印字ユニット。
【請求項3】
前記接着剤の硬度は、ショアA15以上、かつショアA58またはショアD60以下である、
請求項1または請求項2に記載の印字ユニット。
【請求項4】
前記接着剤の被膜形成時間は、4分以上25分以下である、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の印字ユニット。
【請求項5】
前記フレームに支持されるとともに前記サーマルヘッドが固定された支持体と、
前記モータのハウジングに接触し、前記ハウジングと前記支持体とを導通する導通部材と、
を備え、
前記フレームおよび前記導通部材は、前記モータが前記フレームに前記接着剤によって固定された状態で互いに組み付け可能に形成されている、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の印字ユニット。
【請求項6】
前記フレームと前記モータとの間には、前記ハウジングによって画成され、前記導通部材が配置される接点空間が形成され、
前記フレームおよび前記支持体からなる組体には、前記接点空間と外部とを直線的に連通し、前記導通部材が挿通された連通部が形成されている、
請求項5に記載の印字ユニット。
【請求項7】
前記導通部材の脱落を規制する脱落規制部を備える、
請求項5または請求項6に記載の印字ユニット。
【請求項8】
前記支持体を前記支持体に対して前記プラテンローラ側に付勢する弾性部材を備え、
前記導通部材は、前記弾性部材と一体に形成されている、
請求項5から請求項7のいずれか1項に記載の印字ユニット。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の印字ユニットを備えた携帯型端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印字ユニットおよび携帯型端末に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、下記特許文献1に記載の印字ユニットが知られている。この印字ユニットは、プラテンローラとサーマルヘッドとで記録紙を挟んだ状態でプラテンローラを回転させることで、記録紙を紙送りしながら記録紙の印字面をサーマルヘッドの発熱素子により加熱し、印字面を発色させて印字を行う。プラテンローラは、軸の一端部にギヤを備えている。プラテンローラは、印字ユニットのフレームに取り付けられたモータの動力が減速ギヤを介してプラテンローラのギヤに伝達されることで回転する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の印字ユニットでは、ねじ穴が形成されたフランジをモータに設け、フレームにフランジをねじ締結することにより、モータをフレームに固定している。このため、従来の印字ユニットにおいては、フレームへのモータの固定構造を簡素化して、部品点数削減によるユニット重量の低減、および製造コストの低減を図るという点で改善の余地がある。
【0005】
そこで本発明は、部品点数を削減できるモータ固定構造を有する印字ユニット、およびその印字ユニットを備えた携帯型端末を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の印字ユニットは、記録紙を搬送するプラテンローラと、前記プラテンローラの外周面に圧接し、前記記録紙に印字するサーマルヘッドと、前記プラテンローラを所定軸線回りに回転させるモータと、前記プラテンローラを回転可能に支持するとともに前記モータが接着剤によって固定されたフレームと、を備える。
【0007】
本発明によれば、ねじ等の締結部材を用いることなくモータをフレームに固定できる。したがって、従来の印字ユニットに比べて部品点数が削減されたモータ固定構造を有する印字ユニットを提供できる。
【0008】
上記の印字ユニットにおいて、前記接着剤の粘度は、温度23℃、湿度50%の環境下で40Pa・s以上110Pa・s以下であってもよい。
【0009】
本発明によれば、高粘度の接着剤を用いた際に生じ得る塗布精度の低下、および低粘度の接着剤を用いた際に生じ得る接着剤の漏出を抑制できる。したがって、高品質な印字ユニットを提供できる。
【0010】
上記の印字ユニットにおいて、前記接着剤の硬度は、ショアA15以上、かつショアA58またはショアD60以下であってもよい。
【0011】
接着剤の硬度が比較的高い場合には、印字ユニットの落下時に重量物であるモータに作用する衝撃によって接着剤にクラックが生じ得る。本発明によれば、印字ユニットの落下衝撃によって接着剤にクラックが生じることを抑制できる。したがって、耐久性の高い印字ユニットを提供できる。
【0012】
上記の印字ユニットにおいて、前記接着剤の被膜形成時間は、4分以上25分以下であってもよい。
【0013】
本発明によれば、被膜形成時間を4分以上確保することで、印字ユニットの製造工程において複数のフレームまたはモータにまとめて接着剤を塗布した後、フレームにモータを貼り合わせることができる。また、被膜形成時間を25分以下とすることで、モータが接着されたフレームを速やかに次工程に流すことができる。したがって、優れた生産性を有する印字ユニットを提供できる。
【0014】
上記の印字ユニットにおいて、前記フレームに支持されるとともに前記サーマルヘッドが固定された支持体と、前記モータのハウジングに接触し、前記ハウジングと前記支持体とを導通する導通部材と、を備え、前記フレームおよび前記導通部材は、前記モータが前記フレームに前記接着剤によって固定された状態で互いに組み付け可能に形成されていてもよい。
【0015】
モータがフレームに固定される前にフレームおよび導通部材を互いに組み付ける必要がある構成では、接着剤を介してモータをフレームに貼り合わせた後に、接着剤の硬化前に導通部材のモータへの接触圧によってモータが変位し、モータがフレームに対して位置ずれし得る。本発明によれば、接着剤が硬化した後にフレームおよびモータを組み付けることができるので、フレームに対するモータの位置ずれを抑制できる。したがって、高品質な印字ユニットを提供できる。
【0016】
上記の印字ユニットにおいて、前記フレームと前記モータとの間には、前記ハウジングによって画成され、前記導通部材が配置される接点空間が形成され、前記フレームおよび前記支持体からなる組体には、前記接点空間と外部とを直線的に連通し、前記導通部材が挿通された連通部が形成されていてもよい。
【0017】
本発明によれば、フレームおよび支持体からなる組体の外側から連通部に導通部材を直線的に挿通させることで、導通部材の一部を接点空間に配置してモータのハウジングに接触させることができる。したがって、モータがフレームに固定された状態で、導通部材をフレームに組み付けることができる。
【0018】
上記の印字ユニットにおいて、前記導通部材の脱落を規制する脱落規制部を備えていてもよい。
【0019】
本発明によれば、導通部材の脱落に伴ってモータのハウジングとサーマルヘッドの支持体との導通が解消されることを抑制できる。したがって、印字ユニットの信頼性を向上させることができる。
【0020】
上記の印字ユニットにおいて、前記支持体を前記支持体に対して前記プラテンローラ側に付勢する弾性部材を備え、前記導通部材は、前記弾性部材と一体に形成されていてもよい。
【0021】
本発明によれば、導通部材が弾性部材とは別部材として設けられている場合と比較して、部品点数を削減することができる。また、弾性部材を所定位置に組み付けることで、導通部材もフレームに組み付けることができる。よって、導通部材が弾性部材とは別部材として設けられている場合と比較して、製造工程が増加することを抑制できる。したがって、製造コストの上昇を抑制できる。
【0022】
本発明の携帯型端末は、上記の印字ユニットを備える。
【0023】
本発明によれば、部品点数が削減されたモータ固定構造を有することで重量が低減され、かつ製造コストが低減された印字ユニットを備えるので、軽量かつ安価な携帯型端末を提供できる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、部品点数を削減できるモータ固定構造を有する印字ユニット、および携帯型端末を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図2】第1実施形態の印字ユニットの斜視図である。
【
図3】第1実施形態の印字ユニットの分解斜視図である。
【
図4】第1実施形態の印字ユニットの斜視図である。
【
図5】第1実施形態の印字ユニットの一部を後上方から見た斜視図である。
【
図6】第1実施形態の印字ユニットの一部を後下方から見た斜視図である。
【
図7】接着剤の硬度と接着剤の耐剥離力の低下量との関係を示す図である。
【
図8】第2実施形態の印字ユニットの斜視図である。
【
図9】第2実施形態の印字ユニットの分解斜視図である。
【
図10】第2実施形態の印字ユニットの斜視図である。
【
図11】第2実施形態の印字ユニットの一部を後上方から見た斜視図である。
【
図12】第2実施形態の印字ユニットの一部を後上方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。
【0027】
(携帯型端末)
図1は、実施形態の携帯型端末の斜視図である。
図1に示すように、携帯型端末1は、記録紙Pを印刷可能に構成されたものである。記録紙Pは、熱を加えると発色する感熱紙であり、各種ラベルやレシート、チケット等の印刷等に好適に使用される。記録紙Pは、中空孔を有するように巻回されたロール紙Rの状態で携帯型端末1にセットされ、ロール紙Rから引き出された部分に対して印刷が行われる。
【0028】
携帯型端末1は、ケーシング3と、表示部4と、制御部5と、印字ユニット6と、を有する。
ケーシング3は、ABSやABSとポリカーボネートとの複合材等のプラスチックや金属材料により中空箱状に形成されている。ケーシング3は、直方体状の本体部7と、本体部7の長手方向の一端部において、本体部7の厚み方向の一方側に屈曲するロール紙収容部8と、を有する。本体部7の長手方向の一端部には、印字ユニット6が収容されている。本体部7の長手方向の一端面には、排出口3aが形成されている。排出口3aは、印字ユニット6を通って印刷された記録紙Pが排出される。本体部7の厚み方向の他方側に面する主面には、表示部4が配置されている。表示部4は、例えば液晶パネルであって、制御部5に接続されて各種の情報を表示する。ロール紙収容部8には、ロール紙Rが収容される。印字ユニット6は、いわゆるサーマルプリンタである。
【0029】
(第1実施形態の印字ユニット)
図2および
図4は、第1実施形態の印字ユニットの斜視図である。
図3は、第1実施形態の印字ユニットの分解斜視図である。
図2から
図4に示すように、印字ユニット6は、従動ギヤ54を有するプラテンローラ50と、プラテンローラ50を回転軸線O(所定軸線)回りに回転させるモータ60と、プラテンローラ50を回転可能に支持するとともにモータ60が固定された本体フレーム10(フレーム)と、モータ60の駆動力を減速して従動ギヤ54に伝達する第1減速ギヤ31および第2減速ギヤ32と、プラテンローラ50の外周面に圧接されるサーマルヘッド40と、本体フレーム10に支持されるとともにサーマルヘッド40が固定されたヘッド支持体45と、を備える。
【0030】
図2に示すように、印字ユニット6は、プラテンローラ50とサーマルヘッド40との間を通った記録紙Pを矢印Aの指向する方向に向かって排出する。以下、主に印字ユニット6の説明では、矢印Aに沿う方向を上下方向L1と定義するとともに、矢印Aが指向する方向を上方と定義する。また、上下方向L1に直交し、記録紙Pの幅方向に一致する方向を左右方向L2と定義する。さらに、上下方向L1および左右方向L2に直交する方向を前後方向L3と定義し、前後方向L3においてサーマルヘッド40に対するプラテンローラ50側を前方と定義する。
【0031】
図3に示すように、本体フレーム10は、例えばガラス繊維を含むポリカーボネート樹脂等の板材により形成されている。本体フレーム10は、上下方向L1から見て前方に向けて開放されたU字状に形成されている。具体的に、本体フレーム10は、左右方向L2に延在する背板部11と、背板部11の左右方向L2における一方側(左側)の端部から前方に立設された第1側壁部12と、背板部11の左右方向L2における他方側(右側)の端部から少なくとも前方に立設された第2側壁部13と、第1側壁部12と第2側壁部13との間に設けられた紙ガイド部18と、を有する。
【0032】
図3および
図4に示すように、背板部11は、前後方向L3に厚みを有する板状に形成されている。背板部11は、上端縁に沿って左右方向L2に延びる厚板部21と、厚板部21に下方で隣接して左右方向L2に延びる薄板部22と、を有する。厚板部21は、薄板部22よりも後方に膨出することで、薄板部22よりも前後方向L3に厚く形成されている。第1側壁部12は、左右方向L2に厚みを有する板状に形成されている。第1側壁部12の上端縁には、下方に向けて切り込まれた第1ローラ挿入溝14Aが形成されている。第2側壁部13は、左右方向L2に厚みを有する板状に形成されている。第2側壁部13の上端縁には、下方に向けて切り込まれた第2ローラ挿入溝14Bが形成されている。第1ローラ挿入溝14Aおよび第2ローラ挿入溝14Bは、左右方向L2から見て互いに一致するように形成されている。第1ローラ挿入溝14Aおよび第2ローラ挿入溝14Bには、プラテンローラ50が着脱可能に挿入される。
【0033】
図3に示すように、紙ガイド部18は、左右方向L2に沿って延びる柱状に形成されている。紙ガイド部18は、左右方向L2の一方側(左側)の端部が第1側壁部12の内側面に接続するとともに、左右方向L2の他方側(右側)の端部が第2側壁部13の内側面に接続している。
【0034】
図5は、第1実施形態の印字ユニットの一部を後上方から見た斜視図である。なお、
図5では、フレキシブルプリント基板70の図示を省略しているとともに、本体フレーム10の一部を切断して示している。また、
図5では、モータ60を本体フレーム10から取り外した状態を示している。
図5に示すように、背板部11は、ヘッド支持体45の後方に配置される。背板部11のヘッド支持体45側を向く面(前面)には、後述する弾性部材47を受け入れる凹部23が形成されている。凹部23は、背板部11の厚板部21に形成されている。凹部23は、後方に窪むとともに上下方向L1に延びて上方に開口している。凹部23は、弾性部材47と同数(本実施形態では3つ)設けられている(
図3参照)。
【0035】
第2側壁部13は、モータ支持部25を備える。モータ支持部25は、左右方向L2から見て背板部11および紙ガイド部18のうち少なくともいずれか一方を挟んでプラテンローラ50とは反対側に形成されている(
図3参照)。図示の例では、モータ支持部25は、左右方向L2から見て背板部11を挟んでプラテンローラ50とは反対側に形成されている。すなわちモータ支持部25は、左右方向L2から見て背板部11の後方に形成されている。モータ支持部25における左右方向L2の内側を向く面は、モータ60が接着される接着面とされ、左右方向L2に直交する平坦面状に形成されている。モータ支持部25には、モータ60の出力軸61が挿通される貫通孔26が形成されている。貫通孔26は、モータ60の出力軸線Qを中心とする円孔である。
【0036】
図6は、第1実施形態の印字ユニットの一部を後下方から見た斜視図である。なお、
図6では、フレキシブルプリント基板70の図示を省略しているとともに、モータ60以外の構成部品を左右方向L2および前後方向L3に沿って切断して示している。
図6に示すように、モータ60は、モータ支持部25に対して左右方向L2の内側に配置されている。これにより、モータ60は、背板部11を挟んでプラテンローラ50とは反対側に配置されている(
図5を併せて参照)。モータ60は、出力軸線Q回りトルクを発生させる。モータ60は、出力軸線Qがプラテンローラ50の回転軸線Oと平行になるように配置されている。モータ60は、モータ支持部25の接着面を除き、本体フレーム10に対して間隔をあけて配置されている。さらに、モータ60の全体は、携帯型端末1のケーシング3に対して間隔をあけて配置される。
【0037】
モータ60は、図示しないステータおよびロータと、ステータおよびロータを収容するハウジング62と、ハウジング62から出力軸線Qに沿って突出した出力軸61と、を備える。ハウジング62は、左右方向L2に延びるとともにステータを周方向の外側から囲う円筒部63と、円筒部63におけるモータ支持部25側の開口を閉塞する第1フランジ64と、円筒部63における第1フランジ64とは反対側の開口を閉塞する第2フランジ65と、を備える。
【0038】
円筒部63は、出力軸線Qを中心とする円筒状に形成されている。第1フランジ64は、左右方向L2を厚み方向とする円板状に形成されている。第1フランジ64には、軸孔64aと、円筒ボス64bと、ノッチ64cと、が形成されている。軸孔64aは、第1フランジ64の中心に形成されている。軸孔64aは、出力軸線Qを中心とする円孔である。軸孔64aには、出力軸61が挿通されている。円筒ボス64bは、軸孔64aの開口縁からモータ60の外側に向かって突出している。円筒ボス64bは、出力軸線Qを中心とする円筒状に形成されている。円筒ボス64bは、モータ支持部25の貫通孔26に挿入されている。円筒ボス64bの外径は、モータ支持部25の貫通孔26の内径と略一致している。円筒ボス64bの外周面は、モータ支持部25の貫通孔26の内周面に対して全周にわたって密接している。これにより、モータ60は、モータ支持部25に対して上下方向L1および前後方向L3に変位不能に固定されている。ノッチ64cは、第1フランジ64の外周縁に形成されている。第2フランジ65は、第1フランジ64と同形同大に形成されている。すなわち、第2フランジ65には、軸孔65a、円筒ボス65bおよびノッチ65cが形成されている(
図5参照)。ただし、第2フランジ65の形状は特に限定されず、出力軸61が挿通される軸孔が形成されていればよい。
【0039】
モータ60は、接着剤によってモータ支持部25に固定されている。接着剤は、モータ60の第1フランジ64、およびモータ支持部25それぞれの互いに対向し合う面の全体に塗布されている。本実施形態では、モータ60の第1フランジ64のうちモータ支持部25側を向く主面全体に塗布されている。これにより、接着剤は、モータ支持部25に対してモータ60を前後方向L3、上下方向L1および左右方向L3に変位不能に固定している。接着剤は、一液性の接着剤である。接着剤の硬化前の粘度は、温度23℃、湿度50%の環境下で40Pa・s以上110Pa・s以下である。接着剤の硬化後の硬度は、ショアA15以上ショアA60以下である。接着剤の被膜形成時間は、4分以上25分以下である。ただし、接着剤は上記の特性を有するものに限定されない。
【0040】
モータ60には、端子66および端子用台座67が設けられている。端子用台座67は、ハウジング62の円筒部63の外周面からモータ60の外側に向けて突出している。端子66は、端子用台座67からモータ60の外側に向けて突出している。端子66には、フレキシブルプリント基板70が接続されている(
図4参照)。モータ60は、フレキシブルプリント基板70を介して制御部5(
図1参照)に電気的に接続されている。モータ60は、制御部5からの信号に基づいて駆動する。
【0041】
図3に示すように、第2側壁部13の外側には、ギヤボックス部15が形成されている。ギヤボックス部15は、第2側壁部13の周縁から左右方向L2の外側に向かって立設された周壁部16を有する。つまり、ギヤボックス部15は、第2側壁部13および周壁部16によって形成され、左右方向L2の外側に向かって開口している。周壁部16は、左右方向L2から見て上方に向けて開放されている。周壁部16には、下方に向かって凹む一対の係止凹部17が形成されている。一対の係止凹部17は、周壁部16の上方開放部の前後両側に形成されている。一対の係止凹部17には、ギヤカバー30が係合する。ギヤカバー30は、ギヤボックス部15の内側を左右方向L2の外側から覆う。
【0042】
ギヤボックス部15の内部には、第1減速ギヤ31および第2減速ギヤ32が回転可能に組み付けられている。第1減速ギヤ31は、モータ60の出力軸61に噛合している。第2減速ギヤ32は、第1減速ギヤ31に噛合している。
【0043】
サーマルヘッド40は、記録紙P(
図2参照)に対して印刷を行うものである。サーマルヘッド40は、前後方向L3から見て左右方向L2を長手方向とした矩形状に形成されている。サーマルヘッド40は、その厚さ方向を前後方向L3に一致させた状態で配置されている。サーマルヘッド40のヘッド面40aには、左右方向L2に多数の発熱素子41が配列されている。
【0044】
ヘッド面40aは、記録紙Pの印字面と対向し、プラテンローラ50の外周面との間で記録紙Pを挟持し得るようになっている。サーマルヘッド40は、フレキシブルプリント基板70を介して、制御部5(
図1参照)に接続され、サーマルヘッド40上に搭載されたドライバーIC(不図示)が、制御部5からの信号に基づいて、発熱素子41の発熱を制御している。サーマルヘッド40は、発熱素子41の発熱が制御されて、各種の文字や図形等を記録紙Pの印字面へ印刷する。サーマルヘッド40は、ヘッド支持体45に貼り付けられることで固定されている。
【0045】
ヘッド支持体45は、背板部11の前方、かつ紙ガイド部18よりも後方で、第1側壁部12および第2側壁部13の間に配置されている。ヘッド支持体45は、金属材料により形成されている。ヘッド支持体45は、左右方向L2を長手方向とした板状の部材である。ヘッド支持体45は、厚さ方向を前後方向L3に一致させた状態で配置されている。ヘッド支持体45は、前面でサーマルヘッド40を固定している。
【0046】
ヘッド支持体45の上端部には、ヘッド支持体45の回動範囲を規制するための一対のストッパ45aが形成されている。一対のストッパ45aは、略四角柱状に形成され、ヘッド支持体45における左右方向L2の外側に向けて延出している。一対のストッパ45aは、本体フレーム10の第1側壁部12の上部に形成された矩形状の孔部12a、および第2側壁部13の上部に形成された矩形状の孔部13a内に挿入されている。ストッパ45aは、ヘッド支持体45の回動に伴って孔部12a,13a内を移動し、孔部12a,13aの内壁面に接触可能に構成されている。ストッパ45aは、孔部12a,13aの内壁面に接触することにより、ヘッド支持体45の回動量を規制している。
【0047】
図5に示すように、ヘッド支持体45の背板部11側を向く面(後面)には、凸部46が形成されている。凸部46は、背板部11の凹部23に近接する位置に一対ずつ設けられている。一対の凸部46は、後方から見て凹部23の上端開口の中心を挟むように、左右方向L2に間隔をあけて配置されている。一対の凸部46の間隔は、弾性部材47の左右方向L2の幅よりも小さい。
【0048】
ヘッド支持体45と背板部11との間には、弾性部材47が介装されている。弾性部材47は、ヘッド支持体45と背板部11とを互いに離間させる方向に向けて付勢している。すわなち、弾性部材47は、ヘッド支持体45を前方に向けて常に押圧するように構成されている。図示の例では、弾性部材47は、前方から後方に向かって縮径する円錐ばねである。弾性部材47の後端部は、背板部11の凹部23に挿入されている。弾性部材47の前端部は、ヘッド支持体45の後面に当接し、凸部46によって上方移動を規制されている。弾性部材47は、左右方向L2に間隔をあけて複数(本実施形態では3個)配列されている(
図3参照)。
【0049】
図2に示すように、プラテンローラ50は、回転軸線Oを左右方向L2に一致させた状態でサーマルヘッド40に対向配置されている。プラテンローラ50は、サーマルヘッド40との間に記録紙Pを挟んだ状態で回転軸線Oを中心に回転することで、記録紙Pを矢印Aの指向する方向に送り出す。
【0050】
図3に示すように、プラテンローラ50は、ローラシャフト51と、ローラシャフト51に外装されたローラ本体52と、ローラシャフト51の両端に装着された一対の軸受53と、を有する。ローラシャフト51は、本体フレーム10の第1側壁部12と第2側壁部13との離間距離よりやや長く形成されている。ローラ本体52は、例えばゴム等により形成され、左右方向L2に沿って、ローラシャフト51の両端を除く全体に亘って一様に配置されている。
【0051】
図2および
図3に示すように、プラテンローラ50は、両端に装着された一対の軸受53が本体フレーム10の第1ローラ挿入溝14Aおよび第2ローラ挿入溝14Bに挿入される。軸受53は、本体フレーム10に支持された係止ばね19によって第1ローラ挿入溝14Aおよび第2ローラ挿入溝14B内に保持されている。これによりプラテンローラ50は、本体フレーム10に対して回転可能に保持されている。また、プラテンローラ50は、係止ばね19を弾性変形させて軸受53を第1ローラ挿入溝14Aおよび第2ローラ挿入溝14Bに進退させることにより、本体フレーム10に対して着脱可能となっている。プラテンローラ50は、第1ローラ挿入溝14Aおよび第2ローラ挿入溝14Bに挿入された状態において、ロール紙R(
図1参照)から引き出された記録紙Pを間に挟み、ローラ本体52がサーマルヘッド40に対して接触するように設けられている。
【0052】
図3に示すように、プラテンローラ50の左右方向L2における他方側(右側)の端部には、従動ギヤ54が固定されている。従動ギヤ54は、プラテンローラ50が第1側壁部12および第2側壁部13に保持されたときに、ギヤボックス部15の上部に組み付けられる。従動ギヤ54は、第2減速ギヤ32に噛合している。これにより、モータ60からの回転駆動力は、第1減速ギヤ31および第2減速ギヤ32を介して従動ギヤ54に伝達される。プラテンローラ50は、第1側壁部12および第2側壁部13に保持された状態で回転し、記録紙P(
図2参照)を送り出すことができる。
【0053】
図5に示すように、印字ユニット6は、導通部材80をさらに備える。導通部材80は、モータ60のハウジング62に接触し、ハウジング62とヘッド支持体45とを導通している。導通部材80の一部は、モータ60と本体フレーム10との間の接点空間Sに配置されている。接点空間Sは、モータ60のハウジング62の前方、かつ本体フレーム10の背板部11の後方に形成されている。接点空間Sは、モータ60のハウジング62に後方から画成され、かつ背板部11の薄板部22の後面に前方から画成されている。
【0054】
接点空間Sは、連通部27を通じて、本体フレーム10およびヘッド支持体45からなる組体の外部に直線的に連通している。連通部27は、背板部11の厚板部21を上下方向L1に沿って直線的に貫通し、本体フレーム10およびヘッド支持体45からなる組体の外側に開口している。連通部27の上部は、凹部23に一致している。これにより、接点空間Sは、連通部27の一部を通じて凹部23と連通している。連通部27の上部は、背板部11の厚板部21とヘッド支持体45との間に形成され、連通部27の下部は、背板部11の厚板部21に形成されている。
【0055】
導通部材80は、導電性を有する材料により形成されている。本実施形態では、導通部材80は、金属ワイヤにより形成されている。導通部材80は、ヘッド支持体45に電気的に接続している。導通部材80は、1つの弾性部材47に機械的に接続され、弾性部材47を通じてヘッド支持体45に電気的に接続している。本実施形態では、導通部材80は、弾性部材47と一体化している。導通部材80は、接点空間Sで弾性変形に伴う復元力によってモータ60のハウジング62に圧接している。導通部材80は、本体フレーム10およびヘッド支持体45からなる組体の外部に向けて、接点空間Sから連通部27に延びている。導通部材80は、連通部27の上部(凹部23)で弾性部材47に接続している。
【0056】
導通部材80の具体的な形状について詳述する。導通部材80は、連通部27から接点空間Sにわたって配置された基部81と、接点空間Sでモータ60のハウジング62に接触する接点部82と、を備える。基部81は、弾性部材47の後端部から下方に延びている。接点部82は、基部81の下端部81lから上方かつ後方に延びている。接点部82の上端部82uは、連通部27の接点空間S側の開口よりも後方かつ下方に位置している。これにより、導通部材80は、接点部82が連通部27の接点空間S側の開口縁27aに係止されることで連通部27からの脱落を規制されている。また、導通部材80は、導通部材80に機械的に接続された弾性部材47がヘッド支持体45の凸部46によって上方移動を規制されているので、連通部27からの脱落を規制されている。
【0057】
導通部材80の組み付け方法について説明する。
導通部材80は、本体フレーム10にモータ60が接着剤によって固定された状態で、本体フレーム10の所定位置に組み付け可能に形成されている。具体的には、導通部材80の基部81の下端部81lを連通部27に上方から挿入して、連通部27を通過させる。この際、導通部材80は、接点部82の上端部82uが基部81に接近するように撓む。これにより、導通部材80の外形が連通部27の延在方向(上下方向L1)から見て縮小され、基部81とともに接点部82も連通部27を通過させることができる。接点部82が連通部27を通過すると、導通部材80は復元し、接点部82が後方に変位してモータ60のハウジング62に接触する。
【0058】
導通部材80を連通部27に挿入する際に、導通部材80に接続された弾性部材47を凹部23に挿入する。具体的には、弾性部材47を圧縮状態で凹部23に上方から挿入して凸部46を乗り越えさせる。弾性部材47は、凸部46を乗り越えると凸部46に下方から係合する。
以上により、弾性部材47および導通部材80を所定位置に組み付けることができる。
【0059】
以上に説明したように、本実施形態の印字ユニット6では、モータ60が接着剤によって本体フレーム10に固定されている。この構成によれば、ねじ等の締結部材を用いることなくモータ60を本体フレーム10に固定できる。したがって、従来の印字ユニットに比べて部品点数が削減されたモータ固定構造を有する印字ユニット6を提供できる。
【0060】
接着剤の粘度は、温度23℃、湿度50%の環境下で40Pa・s以上110Pa・s以下である。この構成によれば、高粘度の接着剤を用いた際に生じ得る塗布精度の低下、および低粘度の接着剤を用いた際に生じ得る接着剤の漏出を抑制できる。したがって、高品質な印字ユニット6を提供できる。
【0061】
ところで、接着剤の硬度が比較的高い場合には、印字ユニット6の落下時に重量物であるモータ60に作用する衝撃によって接着剤にクラックが生じ得る。
図7は、接着剤の硬度と接着剤の耐剥離力の低下量との関係を示す図である。耐剥離力の低下量は、印字ユニット6を落下させてモータ60に落下衝撃1000Gを加える前後での、モータ支持部25からモータ60を剥離するのに要する力の低下量である。
図7に示すように、接着剤の硬度がショアA15以上、かつショアA58またはショアD60以下であれば、モータ60に落下衝撃1000Gが加わっても、接着剤の耐剥離力の低下が生じないことがわかる。なお、ショアD60は、ショアA58よりも十分に高硬度である。よって、本実施形態によれば、印字ユニット6の落下衝撃によって接着剤にクラックが生じることを抑制できる。したがって、耐久性の高い印字ユニット6を提供できる。
【0062】
接着剤の被膜形成時間は、4分以上25分以下である。この構成によれば、被膜形成時間を4分以上確保することで、印字ユニット6の製造工程において複数の本体フレーム10またはモータ60にまとめて接着剤を塗布した後、本体フレーム10にモータ60を貼り合わせることができる。また、被膜形成時間を25分以下とすることで、モータ60が接着された本体フレーム10を速やかに次工程に流すことができる。したがって、優れた生産性を有する印字ユニット6を提供できる。
【0063】
本体フレーム10および導通部材80は、モータ60が本体フレーム10に接着剤によって固定された状態で互いに組み付け可能に形成されている。仮にモータ60が本体フレームに固定される前に本体フレームおよび導通部材を互いに組み付ける必要がある構成では、接着剤を介してモータ60を本体フレームに貼り合わせた後に、接着剤の硬化前に導通部材のモータ60への接触圧によってモータ60が変位し、モータ60が本体フレームに対して位置ずれし得る。本実施形態によれば、接着剤が硬化した後に本体フレーム10およびモータ60を組み付けることができるので、本体フレーム10に対するモータ60の位置ずれを抑制できる。したがって、高品質な印字ユニット6を提供できる。
【0064】
本体フレーム10とモータ60との間には、モータ60のハウジング62によって画成され、導通部材80が配置される接点空間Sが形成されている。本体フレーム10およびサーマルヘッド40のヘッド支持体45からなる組体には、接点空間Sと外部とを直線的に連通し、導通部材80が挿通された連通部27が形成されている。この構成によれば、本体フレーム10およびヘッド支持体45からなる組体の外側から連通部27に導通部材80を直線的に挿通させることで、導通部材80の一部を接点空間Sに配置してモータ60のハウジング62に接触させることができる。したがって、モータ60が本体フレーム10に固定された状態で、導通部材80を本体フレーム10に組み付けることができる。
【0065】
印字ユニット6は、導通部材80の脱落を規制する連通部27の開口縁27a、および凸部46を備える。この構成によれば、導通部材80の脱落に伴ってモータ60のハウジング62とサーマルヘッド40のヘッド支持体45との導通が解消されることを抑制できる。したがって、印字ユニット6の信頼性を向上させることができる。
【0066】
印字ユニット6は、ヘッド支持体45をヘッド支持体45に対してプラテンローラ50側に付勢する弾性部材47を備える。導通部材80は、弾性部材47と一体に形成されている。この構成によれば、導通部材が弾性部材とは別部材として設けられている場合と比較して、部品点数を削減することができる。また、弾性部材47を所定位置に組み付けることで、導通部材80も本体フレーム10に組み付けることができる。よって、導通部材が弾性部材とは別部材として設けられている場合と比較して、製造工程が増加することを抑制できる。したがって、製造コストの上昇を抑制できる。
【0067】
そして、本実施形態の携帯型端末1は、部品点数が削減されたモータ固定構造を有することで重量が低減され、かつ製造コストが低減された印字ユニット6を備えるので、軽量かつ安価な携帯型端末とすることができる。
【0068】
(第2実施形態の印字ユニット)
図8および
図10は、第2実施形態の印字ユニットの斜視図である。
図9は、第2実施形態の印字ユニットの分解斜視図である。
第2実施形態は、導通部材90が背板部11の外表面に沿って配置されている点で、第1実施形態とは異なる。なお、以下で説明する以外の構成は、第1実施形態と同様である。
【0069】
図8から
図10に示すように、本体フレーム10の第2側壁部13は、第1実施形態のモータ支持部25に代えて、モータ支持部25Aを有する。モータ支持部25Aは、左右方向L2から見て紙ガイド部18を挟んでプラテンローラ50とは反対側に形成されている。モータ支持部25Aは、左右方向L2から見て背板部11および紙ガイド部18の下方に形成されている。モータ支持部25Aにおける左右方向L2の内側を向く面には、モータ60が固定されている。これにより、モータ60は、紙ガイド部18を挟んでプラテンローラ50とは反対側であって、背板部11の下方に配置されている。モータ60は、接着剤によってモータ支持部25Aに固定されている。
【0070】
図11は、第2実施形態の印字ユニットの一部を後上方から見た斜視図である。
図12は、第2実施形態の印字ユニットの一部を後上方から見た斜視図である。なお、
図12では、一部の構成部品を上下方向L1および前後方向L3に沿って切断して示している。
図11および
図12に示すように、背板部11には、スリット28が形成されている。スリット28は、背板部11を前後方向L3に貫通し、背板部11の下端縁におけるモータ60のハウジング62に対向する位置から上方に延びている。スリット28は、モータ60のハウジング62に向けて開放されている。
【0071】
印字ユニット6Aは、導通部材80に代えて、導通部材90を備える。導通部材90は、1つの弾性部材47に機械的に接続され、弾性部材47を通じてヘッド支持体45に電気的に接続している。本実施形態では、導通部材90は、弾性部材47と一体化している。導通部材90は、本体フレーム10にモータ60が接着剤によって固定された状態で、本体フレーム10の所定位置に組み付け可能に形成されている。導通部材90は、導通部材90に機械的に接続された弾性部材47がヘッド支持体45の凸部46によって上方移動を規制されているので、本体フレーム10の所定の組み付け位置からの脱落を規制されている。
【0072】
導通部材90は、スリット28に配置された接点部91と、背板部11の外表面に沿って配置され接点部91と弾性部材47とを連結する連結部92と、を備える。連結部92は、背板部11の後面に沿って配置されている。連結部92は、背板部11の凹部23の上端開口近傍で弾性部材47に機械的に接続されている。連結部92は、弾性部材47との接続部から背板部11の上端縁に沿って左方に延びた後、スリット28に向けて下方に延びている。連結部92の下端部には、接点部91が接続されている。接点部91は、全体にわたって左右方向L2に直交する方向に延びている。接点部91は、連結部92の下端部から前後方向L3に蛇行しながら下方に延び、モータ60のハウジング62に接触している。これにより接点部91は、上下方向L1に弾性変形可能とされ、収縮状態でスリット28に配置されることでモータ60のハウジング62に圧接している。
図12に示すように、接点部91は、背板部11の後方で左右方向L2の外側から見てヘッド支持体45を跨るように延びている。接点部91は、ヘッド支持体45に左右方向L2の外側から接触可能とされ、ヘッド支持体45の変位を規制している。
【0073】
以上に説明したように、本実施形態の印字ユニット6Aでは、第1実施形態の印字ユニット6と同様に、モータ60が接着剤によって本体フレーム10に固定されているので、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0074】
また、印字ユニット6Aは、導通部材90の脱落を規制する凸部46を備える。この構成によれば、導通部材90の脱落に伴ってモータ60のハウジング62とサーマルヘッド40のヘッド支持体45との導通が解消されることを抑制できる。したがって、印字ユニット6Aの信頼性を向上させることができる。
【0075】
なお、本発明は、図面を参照して説明した上述の実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において様々な変形例が考えられる。
例えば、上記実施形態では、モータ支持部25およびモータ60それぞれの接着面は平坦に形成されている。しかし、モータ支持部およびモータそれぞれの接着面のうち少なくともいずれか一方には溝等の凹凸形状が形成されていてもよい。これにより、モータ支持部およびモータの接着強度を向上させることができる。
【0076】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
【符号の説明】
【0077】
1…携帯型端末 6,6A…印字ユニット 10…本体フレーム(フレーム) 27…連通部 27a…開口縁(脱落規制部) 40…サーマルヘッド 46…凸部(脱落規制部) 47…弾性部材 50…プラテンローラ 60…モータ 62…ハウジング 80,90…導通部材 P…記録紙 S…接点空間