IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コマニー株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-データセンタのサーバ格納システム 図1
  • 特開-データセンタのサーバ格納システム 図2
  • 特開-データセンタのサーバ格納システム 図3
  • 特開-データセンタのサーバ格納システム 図4
  • 特開-データセンタのサーバ格納システム 図5
  • 特開-データセンタのサーバ格納システム 図6
  • 特開-データセンタのサーバ格納システム 図7
  • 特開-データセンタのサーバ格納システム 図8
  • 特開-データセンタのサーバ格納システム 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022086173
(43)【公開日】2022-06-09
(54)【発明の名称】データセンタのサーバ格納システム
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/20 20060101AFI20220602BHJP
   G06F 1/16 20060101ALI20220602BHJP
   H05K 7/18 20060101ALI20220602BHJP
【FI】
G06F1/20 C
G06F1/16 311A
G06F1/20 B
H05K7/18 A
H05K7/18 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020198045
(22)【出願日】2020-11-30
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和2年10月28日に掲載アドレス「https://www.comany.co.jp/products/c_pod/」のウェブサイトにおいて公開された。
(71)【出願人】
【識別番号】000105693
【氏名又は名称】コマニー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】特許業務法人ナガトアンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】梅田 篤史
(72)【発明者】
【氏名】中田 正利
(72)【発明者】
【氏名】岡野 友洋
(57)【要約】
【課題】サーバラックのレイアウトの自由度が高く、種々の形状及び大きさのサーバラックを配置可能であり、施工コスト及び材料コストを低減しつつ、施工性、メンテナンス性、及び拡張性に優れたデータセンタのサーバ格納システムを提供する。
【解決手段】サーバ格納システム1は、データセンタ2にホットアイル4を区画し、サーバラック8の配置スペース10の上側において、サーバラック8とともにホットアイル4を区画するパーティション30と、パーティション30の下部に取り付けられる複数のフィラーパネル52とを備え、パーティション30は、その上部を構成する横フレーム34aにおいて、データセンタ2の天井18に取り付けられた天井レール26に固定されて天井18に吊り下げ支持され、フィラーパネル52は、高さ調整機構54を介してパーティション30に対し上下動可能に支持される。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
データセンタにホットアイルを区画するサーバ格納システムであって、
サーバが収容されるサーバラックの配置スペースの上側において、前記サーバラックとともに前記ホットアイルを区画するパーティションと、
前記パーティションの下部に取り付けられる複数のフィラーパネルと
を備え、
前記パーティションは、その上部を構成する横フレームにおいて、前記データセンタの天井に取り付けられた天井レールに固定されて前記天井に吊り下げ支持され、
前記フィラーパネルは、高さ調整機構を介して前記パーティションに対し上下動可能に支持される、データセンタのサーバ格納システム。
【請求項2】
前記高さ調整機構は、前記フィラーパネルにその縦方向を長手方向として穿孔された長孔と、前記長孔に挿通されるボルトと、前記パーティションの下部を構成する横フレームに形成されたボルト締結部とを含み、前記ボルトを前記長孔に挿通した状態で前記ボルト締結部にて締結して前記フィラーパネルを所定の高さ位置に固定可能とする、請求項1に記載のデータセンタのサーバ格納システム。
【請求項3】
前記長孔は、前記フィラーパネルの前記縦方向に沿って複数設けられる、請求項2に記載のデータセンタのサーバ格納システム。
【請求項4】
前記長孔は、前記フィラーパネルの横方向に沿って複数設けられる、請求項2又は3に記載のデータセンタのサーバ格納システム。
【請求項5】
前記フィラーパネルの下部にはブラシが取り付けられている、請求項1から4の何れか一項に記載のデータセンタのサーバ格納システム。
【請求項6】
前記ブラシは、ケーブルラックが挿通可能な可撓性及び毛丈を有する、請求項5に記載のデータセンタのサーバ格納システム。
【請求項7】
前記パーティションは、引き違いで開閉可能なスライドドアを含む、請求項1から6の何れか一項に記載のデータセンタのサーバ格納システム。
【請求項8】
前記配置スペースにおいて前記サーバラックが存在しないブランキングスペースに配置されたブランキングパネルをさらに備え、
前記ブランキングパネルは、前記パーティションの下部を構成する横フレームに吊り下げ支持される、請求項1から7の何れか一項に記載のデータセンタのサーバ格納システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データセンタのサーバ格納システムに関し、特にデータセンタにホットアイルを形成するサーバ格納システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、急増し続ける通信トラフィックに対応するため、高速大容量の通信が可能な5G(第5世代移動通信システム)の普及が進められている。5Gの普及に伴い、データセンタにおいてサーバとして機能するコンピュータや種々の電子機器、すなわちサーバの処理量及び設置数が増大し、データセンタで発生する排熱量も増大している。
【0003】
サーバは、正常に作動するための周囲の環境温度範囲が定められている。このため、データセンタでは、サーバが排熱によって過度に加熱されないように、空調設備からの冷却風により冷却しつつ、サーバからの排熱により生じた暖気をホットアイル(暖気通路)に封じ込め、天井に形成した排気口を介し外部に排出することが行われている。これにより、データセンタにおける冷気と暖気との混合が防止され、データセンタの空調に係る消費電力費用などのエネルギーコストを低減することができる。
【0004】
特許文献1には、サーバが収容されるサーバラックの配置スペースの上側において、ホットアイルを囲い込む上部パネルを備えたサーバ格納システムが開示されている。上部パネルは天井から吊り下げられている。上部パネルには、上部パネルとサーバラックとの隙間を覆うフィラーパネルが設置され、サーバ格納システムはサーバラックから自立して設置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2019/261533号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のサーバ格納システムにおいては、特許文献1のFIG.1に示されるように、サーバラックの配置スペースのホットアイルとの境界に多数の縦フレームが存在する。各縦フレームは、フィラーパネル及び床に固定されており、サーバ格納システムの施工コスト及び材料コストが増大する。
【0007】
また、サーバラックの配置スペースに多数の縦フレームが設置されることにより、サーバラックのレイアウトが制約を受ける。また、配置するサーバラックは、フィラーパネル及び各縦フレームに衝突しない形状及び大きさ(高さ、横幅、奥行き)でなければならず、サーバラックの形状及び大きさも制約を受ける。また、フィラーパネル及び各縦フレームが邪魔になって、サーバに接続するケーブルの配線作業に支障が生ずることも考えられる。
【0008】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、サーバラックのレイアウトの自由度が高く、種々の形状及び大きさのサーバラックを配置可能であり、施工コスト及び材料コストを低減しつつ、施工性、メンテナンス性、及び拡張性に優れたデータセンタのサーバ格納システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するべく、本発明のデータセンタのサーバ格納システムは、データセンタにホットアイルを区画し、サーバが収容されるサーバラックの配置スペースの上側において、サーバラックとともにホットアイルを区画するパーティションと、パーティションの下部に取り付けられる複数のフィラーパネルとを備え、パーティションは、その上部を構成する横フレームにおいて、データセンタの天井に取り付けられた天井レールに固定されて天井に吊り下げ支持され、フィラーパネルは、高さ調整機構を介してパーティションに対し上下動可能に支持される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、サーバラックのレイアウトの自由度が高く、種々の形状及び大きさのサーバラックを配置可能であり、施工コスト及び材料コストを低減しつつ、施工性、メンテナンス性、及び拡張性に優れたデータセンタのサーバ格納システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係るサーバ格納システムが複数配置されたデータセンタの斜視図である。
図2】サーバ格納システムの斜視図である。
図3】天井レールとパーティションとの接続を表した縦断面図である。
図4】パーティションとサーバラックとの境界を拡大した斜視図である。
図5】フィラーパネルとサーバラックとの境界を表した縦断面図である。
図6】高さが異なるサーバラックが存在する場合のパーティションとサーバラックとの境界を拡大した斜視図である。
図7】ホットアイルの内外に亘ってケーブルラックを設置する場合のパーティションの斜視図である。
図8】スライドドアを有する場合のパーティションの斜視図である。
図9】ブランキングパネルを有する場合のサーバ格納システムの部分的な側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係るサーバ格納システム1(以下、システム1ともいう)が複数配置されたデータセンタ2を示す。システム1は、データセンタ2にホットアイル4を区画することにより、天井吊り下げ型のホットアイルコンテインメントシステム(暖気通路囲い込みシステム)を構築している。なお、ホットアイル4の延設方向を横方向X、ホットアイル4の高さ方向を縦方向Y、ホットアイル4の幅方向を幅方向Zとする。
【0013】
データセンタ2においてサーバとして機能するコンピュータや種々の電子機器(以下、総括してサーバ6という)はサーバラック8に収容される。サーバラック8は、その配置スペース10において、横方向Xに列をなして複数隣接して配置され、ラック列12を形成している。個々のシステム1において、ラック列12は、ホットアイル4を挟んで2列形成され、各ラック列12の列端にはドアフレーム14及びドア16が配置されている。
【0014】
データセンタ2のホットアイル4に面する天井18には複数の排気口20が形成されている。サーバ6の排熱はサーバラック8の背面から排出されてホットアイル4に封じ込められる。そして、図示しない吸気装置による吸い上げ、或いは、図示しない送風装置による押し込みにより、排熱を帯びた暖気が破線矢印で示すような上昇気流となって排気口20からデータセンタ2の外部に排出される。これにより、ホットアイル4と、ホットアイル4よりも低温の冷気が流れるコールドアイル(冷気通路)22とのエアフローの混合が防止され、データセンタの空調に係る消費電力費用などのエネルギーコストが低減される。
【0015】
データセンタ2の天井18を構成する構造体は、天井18に沿って例えば格子状に組み合わされたフレームを含み、このフレームにはケーブルラック24が吊りボルトや支持部材を介して吊り下げ支持されている。ケーブルラック24は、ホットアイル4を取り囲むようにして例えば2段に亘って架渡されたラダー状のラックであり、サーバ6などに接続されるケーブルの配索ルートとして用いられる。
【0016】
図2は、システム1の斜視図を示す。なお、図2においてはケーブルラック24を図示していない。システム1は、データセンタ2の天井18を構成するフレーム構造体に固定された天井レール26に吊り下げ支持される。ドアフレーム14及びドア16は、配置スペース10の横方向Xにおける両端に配置される。ドアフレーム14は、データセンタ2の床28に下端が固定された2本の縦フレーム14aと、各縦フレーム14aの上部に架渡される横フレーム14bとから門型に形成されている。
【0017】
横フレーム14bには、両引き分け戸を構成する2つのドア16が吊り下げ支持されている。各ドア16を手動又は自動により幅方向Zにスライドすることにより、ホットアイル4に対する入退室が可能である。なお、ドアフレーム14及びドア16は、配置スペース10の横方向Xにおける一端のみに配置しても良く、この場合には、配置スペース10の横方向Xにおける他端側の各ラック列12の列端をデータセンタ2の壁面などに密着させてホットアイル4を区画すれば良い。また、両引き分け戸の代わりに、片引き戸や2連引き戸を採用することも可能である。
【0018】
サーバラック8の配置スペース10の上側には一連のパーティション30が配置されている。パーティション30はドアフレーム14の上側にも連続して配置される。パーティション30は、データセンタ2において、サーバラック8及びドア16とともに、ホットアイル4を囲い込んで区画する。
【0019】
図3は、天井レール26とパーティション30との接続を表した縦断面図を示す。パーティション30は、例えば、アルミニウム合金を押出成形した縦フレーム32及び横フレーム34により格子状の構造体を有している。この構造体の格子間には、例えば、1枚又は2枚のポリカーボネート板、或いは1枚のアクリル板から形成されたパネル36がガスケット38を介して固定されている。
【0020】
天井レール26は、断面矩形状の横フレームから形成され、天井18を構成する構造体40の一部をなすフレーム42にボルト44で固定される。構造体40は、フレーム42の他、吊りボルト46やハンガー48などから構成されている。パーティション30の上部を構成する横フレーム34aは、天井レール26内に収容されて天井レール26の両側面においてボルト50で固定される。これにより、パーティション30が天井18に吊り下げ支持される。
【0021】
このように、天井レール26は、データセンタ2の室内において、パーティション30との境界を形成する笠木として機能し、パーティション30はこの笠木に吊り下げ支持される。従って、システム1においては、サーバラック8の配置スペース10にパーティション30を支持するための縦フレームが存在しない。
【0022】
従って、従来要していた多数の縦フレームに係る材料コストを削減することができる。また、各縦フレームを床28に固定する作業が不要となるため、システム1の施工コストを低減することもできる。また、配置スペース10に縦フレームが存在しないため、サーバラック8のレイアウトの自由度が向上するとともに、横方向Xにおける幅が異なるサーバラック8や、幅方向Zにおける奥行きが異なるサーバラック8であっても容易に配置可能となり、システム1の多様な仕様に柔軟に対応することができる。
【0023】
図4は、パーティション30とサーバラック8との境界を拡大した斜視図を示す。パーティション30の下部を構成する横フレーム34bには複数のフィラーパネル52が取り付けられている。フィラーパネル52は、例えば、パーティション30の隣り合う縦フレーム32間に1枚ずつ設けられている。個々のフィラーパネル52は、高さ調整機構54を介してパーティション30に対し上下動可能に支持されている。また、個々のフィラーパネル52の下部にはブラシ56が取り付けられている。
【0024】
図5は、フィラーパネル52とサーバラック8との境界を表した縦断面図を示す。フィラーパネル52は、パーティション30の下部を構成する横フレーム34bにボルト58で固定される。高さ調整機構54は、フィラーパネル52に縦方向Yに穿孔された長孔60と、長孔60に挿通される前述したボルト58と、パーティション30の横フレーム34bに形成されたネジ孔(ボルト締結部)62とから構成されている。
【0025】
ボルト58を長孔60の所望のボルト締結位置にて挿通し、ネジ孔62に締結してフィラーパネル52を所望の高さ位置に固定することにより、図5に示すように、ブラシ56をサーバラック8の上面に接触状態とすることができる。これにより、サーバラック8の高さに合わせて、フィラーパネル52及びブラシ56によりホットアイル4の横開口を塞ぎ、ホットアイル4における暖気の封じ込めを行うことができる。従って、縦方向Yにおける高さが異なるサーバラック8であっても容易に配置可能となり、システム1の多様な仕様に一層柔軟に対することができる。
【0026】
図6は、縦方向Yにおける高さが異なるサーバラック8が存在する場合のパーティション30とサーバラック8との境界を拡大した斜視図を示す。図4及び図5にも示すように、長孔60は、個々のフィラーパネル52において、例えば、横方向Xの両端部と、横方向Xの中央部の2か所とに、それぞれ縦方向Yに3つ並べて形成されている。
【0027】
他とは異なる高さのサーバラック8を配置スペース10に設置した場合、当該サーバラック8の高さに合わせて、使用する長孔60を選定し、さらに、選定した長孔60の所望のボルト締結位置にてボルト58を挿通し、ネジ孔62に締結してフィラーパネル52を所望の高さ位置に固定する。これにより、ブラシ56をサーバラック8の上面に接触状態とすることができる。
【0028】
このように、長孔60がフィラーパネル52の縦方向Yに沿って複数設けられることにより、異なる高さのサーバラック8が存在する場合であっても、サーバラック8の高さに合わせてフィラーパネル52及びブラシ56によりホットアイル4の横開口を塞ぎ、ホットアイル4における暖気の封じ込めを行うことができる。従って、縦方向Yにおける高さが大幅に異なるサーバラック8であっても容易に配置可能となり、システム1の多様な仕様により一層柔軟に対応することができる。
【0029】
また、長孔60がフィラーパネル52の横方向Xに沿って複数設けられることにより、パーティション30に対してフィラーパネル52が強固に固定される。従って、パーティション30からのフィラーパネル52の脱落を確実に防止可能となるため、システム1の構造体としての剛性を高めることができ、システム1の信頼性を向上することができる。
【0030】
一方、図5に示すように、パーティション30の下部を構成する横フレーム34bには、ホットアイル4を挟んで対向するパーティション30を連結するための連結フレーム64がビスで取り付けられている。連結フレーム64の両端部とパーティション30の横フレーム34bとは、平面略三角形状のブラケット66がビスで取り付けられている。連結フレーム64及びブラケット66を設けたことにより、ホットアイル4を挟んで対向するパーティション30が強固に一体化され、システム1の構造体としての剛性を高めることができる。
【0031】
また、図5に示すように、ブラシ56は、その上部に設けられた取付部56aにおいてフィラーパネル52の下部に樹脂キャップ68で取り付けられている。ブラシ56は、樹脂やゴムなどの可撓性を有する材料から形成され、毛先がサーバラック8の上面に接触可能な毛丈を有している。
【0032】
図7は、ホットアイル4の内外に亘ってケーブルラック24を設置する場合のパーティション30の斜視図を示す。パーティション30の下部を構成する横フレーム34bの下側のみならず、パーティション30の中間部を構成する横フレーム34cにもブラシ56が取り付けられている。ブラシ56はケーブルラック24を容易に挿通可能な可撓性及び毛丈を有するのが好ましい。この場合には、下部の横フレーム34bの下側からケーブルラック24を挿通可能となるのは勿論のこと、図7に示したパーティション30のように、中間部の横フレーム34cの下側からもケーブルラック24が挿通可能となり、システム1の多様な仕様に柔軟に対応することができる。
【0033】
図8は、スライドドア70を有する場合のパーティション30の斜視図を示す。この場合には、パーティション30に横方向Xに引き違いで開閉可能なスライドドア70が設けられている。スライドドア70は、パーティション30の場合と同様の縦フレーム及び横フレームにより格子状の構造体を有し、この構造体の格子間にはパーティション30の場合と同様のパネルが固定されている。
【0034】
パーティション30に引き違いで開閉可能なスライドドア70を設けたことにより、サーバ6のメンテナンス時などに、開放したドアがその周囲に衝突することはなく、ケーブルラック24に配索されたケーブル72をホットアイル4内に容易に引き込むことができる。従って、サーバに接続するケーブルの配線作業を容易に行うことができ、システム1のメンテナンス性及び拡張性を向上することができる。
【0035】
図9は、ブランキングパネル74を有する場合のシステム1の部分的な側面図を示す。この場合には、配置スペース10においてサーバラック8が存在しないブランキングスペース76にブランキングパネル74が配置されている。ブランキングパネル74は、パーティション30の場合と同様の縦フレーム及び横フレームにより格子状の構造体を有し、この構造体の格子間にはパーティション30の場合と同様のパネルが固定されている。
【0036】
ブランキングパネル74は、パーティション30の上部を構成する横フレーム34aに吊り下げ支持されている。より具体的には、ブランキングパネル74は、横フレーム34aに設けたフックへの引っ掛けにより容易に着脱可能であり、ブランキングスペース76の形成に伴い生じたホットアイル4の横開口を迅速に塞ぐことができる。これにより、サーバ6やサーバラック8の入れ替えなどにより一時的にブランキングスペース76が形成されたとしても、ホットアイル4への暖気の封じ込めを引き続き行うことができ、システム1の拡張に柔軟に対応可能である。
【0037】
以上のように、本実施形態では、サーバラック8のレイアウトの自由度が高く、種々の形状及び大きさ(高さ、横幅、奥行き)のサーバラック8を配置可能であり、施工コスト及び材料コストを低減しつつ、施工性、メンテナンス性、及び拡張性に優れたデータセンタのサーバ格納システム1を提供することができる。
【0038】
以上で本発明の一実施形態についての説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更ができるものである。例えば、フィラーパネル52をパーティション30に対し上下動可能に支持するのであれば、高さ調整機構54以外の機構を採用しても良く、また、高さ調整機構54を採用した場合であっても、長孔60の配置及び数は上記実施形態に厳密に限定されるものではない。
【0039】
また、ドア16及びブランキングパネル74は吊り下げ型であるが、これらの下部を構成する横フレームにブラシ56を取り付けても良い。また、ブランキングパネル74の両側部に位置する縦フレームにそれぞれブラシ56を取り付けても良い。これにより、ホットアイル4における暖気の封じ込めをより一層効果的に行うことができ、データセンタ2のエネルギーコストをさらに低減可能である。
【0040】
また、図7から図9に示した形態は、要求されるシステム1の仕様に応じて採用するか否かを適宜選定可能である。従って、システム1において、図7から図9に示した形態は、必ずしもすべて備える必要はなく、何れか1つ以上の形態を備えるか、或いは、何れの形態も備えなくとも良い。
【符号の説明】
【0041】
1 サーバ格納システム
2 データセンタ
4 ホットアイル
6 サーバ
8 サーバラック
10 配置スペース
18 天井
24 ケーブルラック
26 天井レール
30 パーティション
34a パーティションの上部を構成する横フレーム
34b パーティションの下部を構成する横フレーム
52 フィラーパネル
54 高さ調整機構
56 ブラシ
58 ボルト
60 長孔
62 ネジ孔(ボルト締結部)
70 スライドドア
74 ブランキングパネル
76 ブランキングスペース
X 横方向
Y 縦方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9