(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022086185
(43)【公開日】2022-06-09
(54)【発明の名称】運搬台車
(51)【国際特許分類】
B62B 5/04 20060101AFI20220602BHJP
【FI】
B62B5/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020198067
(22)【出願日】2020-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】597144484
【氏名又は名称】ジー・オー・ピー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117857
【弁理士】
【氏名又は名称】南林 薫
(72)【発明者】
【氏名】千田 豊治
【テーマコード(参考)】
3D050
【Fターム(参考)】
3D050AA01
3D050BB02
3D050DD03
3D050EE09
3D050JJ02
(57)【要約】
【課題】ブレーキペダルが破損しにくい運搬台車を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の運搬台車は、台車本体部110と、台車本体部100の少なくとも四隅に配置されるキャスター121Aと、を備える運搬台車であって、キャスター121Aは、支持部124と、支持部124によって回転可能に支持される車輪123と、車輪123の回転を固定するためのブレーキペダル127と、を有し、ブレーキペダル127は、足で踏み込む操作部128を有し、操作部128は、車輪123よりも後側に位置し、車輪123が前後方向を向いた状態を平面視で見たとき、操作部128は台車本体部110と重なり合うことを特徴とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
台車本体部と、
前記台車本体部の少なくとも四隅に配置されるキャスターと、を備える運搬台車であって、
前記キャスターは、支持部と、前記支持部によって回転可能に支持される車輪と、前記車輪の回転を固定するためのブレーキペダルと、を有し、
前記ブレーキペダルは、足で踏み込む操作部を有し、
前記操作部は、前記車輪よりも後側に位置し、
前記車輪が前後方向を向いた状態を平面視で見たとき、前記操作部は前記台車本体部と重なり合うことを特徴とする運搬台車。
【請求項2】
前記キャスターは、
上下方向に沿った旋回軸を中心に旋回可能であり、
平面視で、いずれの旋回位置であっても、前記操作部が前記台車本体部と重なり合うことを特徴とする請求項1に記載の運搬台車。
【請求項3】
台車本体部と、
前記台車本体部の少なくとも四隅に配置されるキャスターと、を備える運搬台車であって、
前記キャスターは、支持部と、前記支持部によって回転可能に支持される車輪と、前記車輪の回転を固定するためのブレーキペダルと、を有し、
前記ブレーキペダルは、足で踏み込む操作部を有し、
前記操作部は、前記車輪よりも後側に位置し、
前記車輪が前後方向を向いた状態を平面視で見たとき、前記車輪の少なくとも一部および前記操作部は、前記台車本体部と重ならない位置にあることを特徴とする運搬台車。
【請求項4】
前記キャスターは、
上下方向に沿った旋回軸を中心に旋回可能であり、
前記車輪が前後方向、または左右方向を向いた状態を底面視で見たとき、前記車輪の少なくとも一部および前記操作部が前記台車本体部と重なり合わないことを特徴とする請求項3に記載の運搬台車。
【請求項5】
台車本体部と、
前記台車本体部の少なくとも四隅に配置されるキャスターと、を備える運搬台車であって、
前記台車本体部は、フレーム部と、前記台車本体部の四隅の角部で前記フレーム部同士を接合するコーナー部材を有し、
前記コーナー部材は、上側から挿入される手押部材が少なくとも前記フレーム部の下端の位置または下端よりも上側の位置で支持される挿入孔が設けられ、
前記キャスターは、支持部と、前記支持部によって回転可能に支持される車輪と、
前記車輪の回転を固定するためのブレーキペダルと、を有し、
前記ブレーキペダルは、足で踏み込む操作部を有し、
前記操作部は、前記車輪よりも後側に位置することを特徴とする運搬台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運搬台車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、台車のブレーキペダルの視認性を向上させることで、使用者が、咄嗟にブレーキペダルを視認し、即座にブレーキを操作することで、台車を制動することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような運搬台車では、ブレーキペダルの視認性を高めるために、台車本体からブレーキペダルのみが突出することで、通常の使用、例えば、運搬台車の旋回時にブレーキペダルをぶつけ、破損させることがある。
【0005】
本発明は、上述したような問題点に鑑みてなされたものであり、ブレーキペダルが破損しにくい運搬台車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の運搬台車は、台車本体部と、前記台車本体部の少なくとも四隅に配置されるキャスターと、を備える運搬台車であって、前記キャスターは、支持部と、前記支持部によって回転可能に支持される車輪と、前記車輪の回転を固定するためのブレーキペダルと、を有し、前記ブレーキペダルは、足で踏み込む操作部を有し、前記操作部は、前記車輪よりも後側に位置し、前記車輪が前後方向を向いた状態を平面視で見たとき、前記操作部は前記台車本体部と重なり合うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ブレーキペダルが破損しにくい運搬台車を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図6】第1実施形態の運搬台車のキャスターの拡大図である。
【
図12】第2実施形態の運搬台車のキャスターの拡大図である。
【
図18】第3実施形態の運搬台車のキャスターの拡大図である。
【
図19】変形例に係るコーナー部材の構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本実施形態に係る運搬台車について図面を参照して説明する。なお、説明を容易にするために、各図には必要に応じて、上側をUp、下側をLo、右側をRi、左側をLe、前側をFr、後側をRrとして示している。ただし、運搬台車100は、走行面上を前後左右の何れの方向にも走行することができる。
【0010】
(第1実施形態)
図1は、運搬台車100の斜視図である。
図2は、運搬台車100の底面図である。
図3は、運搬台車100の平面図である。
運搬台車100は、台車本体部110、走行部120、手押部材130を備える。
【0011】
台車本体部110は、複数のフレーム部等が連結して構成され、運搬物を積載する。台車本体部110は、平面視において前後方向を長手方向とし、左右方向を短手方向とする略矩形状である。台車本体部110は、前側フレーム部111a、後側フレーム部111b、右側フレーム部111c、左側フレーム部111d、コーナー部材112、補強フレーム部(補強部)115a~115c、載置部117を有する。
【0012】
前側フレーム部111a、後側フレーム部111b、右側フレーム部111c、左側フレーム部111dは、台車本体部110の外形を構成する。前側フレーム部111aと後側フレーム部111bとは一対の対向するフレーム部の一例に対応する。また、右側フレーム部111cと左側フレーム部111dとは一対の対向するフレーム部の一例に対応する。前側フレーム部111a、後側フレーム部111b、右側フレーム部111c、左側フレーム部111dは、例えば、アルミニウム合金製の角状の中空状パイプ等を用いることができる。
【0013】
図4は、運搬台車100の背面図である。
図5は、運搬台車100の側面図である。
コーナー部材112は、例えば、押出し成形により形成されるアルミニウム合金製である。コーナー部材112は、上側に開口する挿入孔113と、下方を閉塞するストッパ部114とを有する。コーナー部材112の挿入孔113には、手押部材130が挿入可能である。挿入孔113に挿入された手押部材130の下端はストッパ部114によって支持される。
【0014】
ここで、コーナー部材112は、側面視、背面視で、挿入孔113の位置する部位の高さ寸法がフレーム部に結合される部位の高さ寸法よりも大きい略台形である。
図4および
図5から見て、挿入孔113の深さは、台車本体部110の外形を構成する各フレーム部よりも深い。つまり、ストッパ部114は、台車本体部110の下端よりも低い位置に位置し、手押部材130を支持する。
【0015】
前側フレーム部111a、後側フレーム部111b、右側フレーム部111c、および、左側フレーム部111dは、フレーム部同士がコーナー部材112により4つの角部で結合されることで、矩形状の四方のフレーム枠を構成する。フレーム枠内は複数の補強フレーム部115a、115b、115cが前後左右方向に付き合わされ、ネジ、リベット、溶接等で接合されることで補強される。補強フレーム部115a、115b、115cは、例えば、アルミニウム合金製の角状の中空状パイプや断面凹凸状のプレート等を用いることができる。ここでは、前後方向に長尺な2本の補強フレーム部115a、115bに対して左右方向に短尺な12本の補強フレーム部115cを接合することで、平面視において前後方向に3列、左右方向に5列に区分けされた複数の矩形状の空間116が形成される。
また、台車本体部110は、複数の空間116のうち後述する取付部材122A、122Bによって閉塞されていない空間116の上部に載置部117が取り付けられる。載置部117は運搬物を載置するための平面状の金属板である。載置部117は、各フレーム部や各補強フレーム部にリベットやネジにより結合される。なお、載置部117によって閉塞されていない空間116、すなわち上側が開口する空間116は、同じ運搬台車100を積み重ねたときに上段の運搬台車100の後述するキャスター121A、121Bの一部分が入り込む。
【0016】
走行部120は、台車本体部110および運搬物の荷重を支持しながら走行面を走行する。
走行部120は、複数のキャスター121A、121Bを有する。
図2に示すように、走行部120は、台車本体部110の四隅に配置される4つのキャスター121Aと、前後方向の中央であって左右に離れて配置される2つのキャスター121Bとの6つのキャスターを有する。キャスター121A、121Bは、空間116を下側から塞ぐような態様で各フレーム部や各補強フレーム部に結合された取付部材122A、122Bを介して台車本体部110に取り付けられる。キャスター121A、121Bは、上下方向に沿った旋回軸O1を中心として旋回可能である。
【0017】
ここで、四隅に配置されるキャスター121Aは、使用者の操作に応じてブレーキを掛けたり、ブレーキを解除したりすることができるブレーキ付キャスターである。一方、中央に配置されるキャスター121Bは、ブレーキなしキャスターである。以下、キャスター121Aの構成について説明する。なお、キャスター121Bは、キャスター121Aからブレーキの機能を省略した構成であり、具体的な説明は省略する。
【0018】
図6は、キャスター121Aを拡大した拡大図である。
図6ではコーナー部材112を二点鎖線で示している。
図5、
図6に示すように、キャスター121Aは、車輪123、支持部124、ブレーキペダル127、旋回部129を有する。
車輪123は、内部にベアリングが内蔵されたホイール部と、ホイール部の外周に嵌め込まれたタイヤ部と、を有する。
【0019】
支持部124は、車軸を介して車輪123を回転可能に支持する。支持部124は、車輪123を支持するフォーク部材125と、ブレーキペダル127を揺動可能に保持するペダル保持部材126とを有する。
フォーク部材125は、例えば、鋼板をプレス成形することによって形成される。フォーク部材125は、車輪123の両側に位置する一対の側壁と、一対の側壁を車輪123の上側で連結させた円形の天板とで一体的に形成される。天板は旋回部129によって、旋回可能に保持される。
【0020】
ペダル保持部材126は、例えば、鋼板をプレス成形することによって形成される。ペダル保持部材126は、車輪123の両側にそれぞれ位置し、フォーク部材125に固定された一対の側壁と、一対の側壁を上側で連結した連結板とで一体的に形成される。
【0021】
ブレーキペダル127は、車輪123の回転を固定する。ブレーキペダル127は例えば、鋼板をプレス成形することによって形成される。ブレーキペダル127はペダル保持部材126に対して上下に揺動可能である。ブレーキペダル127は、操作部128を有する。操作部128は、略板状であって、使用者の足等でブレーキペダル127の上下の揺動が操作される。操作部128は、車輪123が前後方向を向いた状態において使用者が操作し易いように、車輪123よりも後側、より具体的には車輪123の後端よりも後側に位置する。
【0022】
ブレーキを解除した状態では、ブレーキペダル127は上昇した位置にある。一方、使用者が足でブレーキペダル127の操作部128を下側に踏み込むように操作することで、
図6の二点鎖線に示すように、ブレーキペダル127はバネの付勢に抗して下側に向かって揺動する。ブレーキペダル127の移動に伴って、ブレーキペダル127が直接または間接的に車輪123の外周面を強固に押圧するために、車輪123が回転できない、ブレーキが掛けられた状態となる。また、ブレーキペダル127はブレーキが掛けられた状態で保持されるためにストッパとして機能する。
旋回部129は、車輪123、支持部124、ブレーキペダル127を旋回させる。
【0023】
ここでは、キャスター121Aについて説明したが、キャスター121Bはキャスター121Aのうちブレーキに関する部材が省略された構成である。すなわち、キャスター121Bは、車輪123、支持部124、旋回部129を有しており、ブレーキペダル127を有していない。したがって、キャスター121Bは、キャスター121Aと同様にフォーク部材125の天板を介して旋回軸O1を中心として旋回可能であるが、ブレーキを掛けることができない。
【0024】
このように構成されるキャスター121A、121Bの旋回部129をそれぞれ台車本体部110の所定の位置にリベットやネジで取付部材122A、122Bに取り付けることで、台車本体部110にキャスター121A、121Bを取り付けることができる。
キャスター121A、121Bは、平面視において車輪123の接地位置と旋回軸O1とが偏芯した位置に設定されている。したがって、キャスター121A、121Bは進行方向である前側に対して車輪123が後側になるように旋回軸O1を中心にして旋回する。
【0025】
ここで、
図2、
図6に示すように、後側のキャスター121Aは車輪123が前後方向を向いた状態を平面視で見たとき、操作部128が台車本体部110と重なり合うように位置する。具体的には、平面視で見たとき、操作部128は台車本体部110の後側フレーム部111bに重なり合うように位置する。すなわち、ブレーキペダル127の操作部128は、後端(操作部128の後端)が台車本体部110の後端よりも前側に位置することで、台車本体部110の後端から突出しない。したがって、ブレーキペダル127が障害物と接触して破損してしまうことを抑制することができる。
【0026】
また、
図2では、キャスター121Aが旋回軸O1を中心に旋回したときにキャスター121Aの構成部材のうち旋回軸O1から最も離れた部材(ブレーキペダル127)の軌跡T1を一点鎖線で示している。また、キャスター121Bが旋回軸O1を中心に旋回したときにキャスター121Bの構成部材のうち旋回軸O1から最も離れた部材(車輪123)の軌跡T1’を一点鎖線で示している。
【0027】
ここで、軌跡T1は、その全てが底面視で台車本体部110の内部にある。つまり、キャスター121Aは、旋回したとき、何れの位置にあっても平面視で台車本体部110と重なり合う。すなわち、ブレーキペダル127の操作部128は、台車本体110から突出しないことで、ブレーキペダル127が障害物と接触して破損してしまうことを抑制することができる。一方、軌跡T1は、コーナー部材112の挿入孔113あるいは挿入孔113に挿入される手掛部材130と重なり合わない。なお、取付部材122Aを取り付ける所定の位置は、軌跡T1が上記のような軌跡を取るような、台車本体部110の四隅の位置である。
【0028】
また、キャスター121Bは、ブレーキに関する部材を有していないため、
図2のように、台車本体部110の中央の位置ならば何れの位置であってもよい。ただし、キャスター121Bは、キャスター121Aと同様の構成であってもよい。このとき、キャスター121Bを取り付けた場合の軌跡T1’が、キャスター121Aを取り付けた場合の軌跡T1と同一となる。つまり、取付部材122Bを取り付ける所定の位置は、旋回したとき、何れの位置にあっても平面視で台車本体部110と重なり合うような台車本体部110の中央の位置となる。
【0029】
手押部材130は、運搬台車100を走行させるときに使用者が手を掴むための部材である。使用者は手押部材130を手で掴み押したり引いたりすることで運搬台車100を走行させる。手押部材130は下端をコーナー部材112の挿入孔113に挿入することで、台車本体部110に取り付けられる。また、運搬台車100は4つの手押部材130を有し、各コーナー部材112の挿入孔113に挿入される。4つの手押部材130は、何れも略同一の構成である。ただし、4つの手押部材130を取り付ける場合に限られず、1つ、2つまたは3つの手押部材130を取り付けてもよい。また、手押部材130はコーナー部材112の挿入孔113から抜き出すことで、台車本体部110から取り外される。
【0030】
手押部材130は、本体部としての本体部材131、保護部材133、補強部材134を有する。
本体部材131は、棒状、または、長尺状かつパイプ状の部材である。本体部材131は、例えば、アルミニウム合金製であって、押し出し成形により形成される。本体部材131は、例えば、シルバー等の金属色である。本体部材131は、強度を向上させるために内部が十字状に補強されている。
【0031】
保護部材133は、使用者が手押部材130を掴んだときに使用者の手が周囲の物体に接触しないように保護する。また、保護部材133は、運搬物を積載するときの最大積載高さを示す指標となる。保護部材133は、本体部材131の上側であって、上端から所定の距離離れた位置にボルトやリベット等で固定される。手押部材130のうち保護部材133よりも上側は使用者が手を掴むグリップ部として機能する。保護部材133は、本体部材131の外周面よりも外側に突出する円板状であり、本体部材131よりも大きい外径を有する。
【0032】
補強部材134は、本体部材131の下端、具体的には下端の近接した位置にボルトやリベット等で固定される。補強部材134は、本体部材131の強度を補強すると共に、本体部材131をコーナー部材112の挿入孔113に挿入したときに挿入孔113との間でガタ付きを抑制する。補強部材134は、例えば、アルミニウム合金製であって、押し出し成形により形成される。
【0033】
このように本実施形態の運搬台車100は、いずれの旋回位置であっても、底面視で台車本体部110と重なるような軌跡T1をとるキャスター121Aを備える。つまり、平面視で運搬台車100を見たとき、台車本体部110とブレーキペダル127の操作部128が重なり合う。したがって、運搬台車100を移動させる際、障害物が操作部128に接触する前に、台車本体部110と接触することで、操作部128と操作部128の破損原因となる障害物との接触を減らすことができる。
【0034】
また、本実施形態の運搬台車100は、軌跡T1がコーナー部材112の挿入孔113あるいは挿入孔112に挿入される手掛部材130に重なり合わないことで、操作部128が手押部材130と干渉しないようにすることができ、コーナー部材112の設計自由度を向上させることができる。ただし、軌跡T1は、コーナー部材112の挿入孔113あるいは挿入孔112に挿入される手掛部材130に重なり合うようにしてもよい。
【0035】
(第2実施形態)
図7は、運搬台車200の斜視図である。
図8は、運搬台車200の底面図である。
図9は、運搬台車200の平面図である。
図10は、運搬台車200の背面図である。なお、第1の実施形態と同様の構成は同一符号を付す等して適宜、説明を省略する。
走行部220は、複数のキャスター221A、121Bを有する。
図8に示すように、走行部220は、台車本体部110の四隅に配置される4つのキャスター221Aと、前後方向の中央であって左右に離れて配置される2つのキャスター121Bとの6つのキャスターを有する。キャスター221Aは、上下方向に沿った旋回軸O2を中心として旋回可能である。
【0036】
ここで、四隅に配置されるキャスター221Aは、使用者の操作に応じてブレーキを掛けたり、ブレーキを解除したりすることができるブレーキ付キャスターである。
【0037】
図11、
図12に示すように、キャスター221Aは、車輪123、支持部224、ブレーキペダル127、旋回部129を有する。
【0038】
支持部224は、車軸を介して車輪123を回転可能に支持する。支持部224は、車輪123を支持するフォーク部材225と、ブレーキペダル127を揺動可能に保持するペダル保持部材126とを有する。
フォーク部材225は、例えば、鋼板をプレス成形することによって形成される。フォーク部材225は、車輪123の両側に位置する一対の側壁と、一対の側壁を車輪123の上側で連結させた円形の天板とで一体的に形成される。
【0039】
図8では、キャスター221Aが旋回軸O2を中心に旋回したときにキャスター221Aの構成部材のうち旋回軸O2から最も離れた部材(ブレーキペダル127)の軌跡を、軌跡T2として、一点鎖線で示している。また、同様に、車輪123のうち旋回軸02から最も離れた部位の軌跡を、軌跡T2’として一点鎖線で示している。このため、軌跡T2が軌跡T2’よりも大きな軌跡となる。
【0040】
キャスター221Aの旋回部229は、それぞれ台車本体部110の所定の位置にリベットやネジで取付部材222Aに取り付けることができる。
ここで、所定の位置とは、キャスター221Aが旋回できるため、平面視でキャスター221Aが、前後方向、または左右方向を向いた状態を平面視で考えると、車輪123の少なくとも一部および操作部128が台車本体部110と重なり合わない位置である。
また、
図11、
図12のように、運搬台車200を側面から見ると、旋回軸O2と、ペダル保持部材126は、フォーク部材225を挟むことで、一定の距離l1を有する。同様に車輪123の最も離れた距離l3も有する。このとき、距離l1の大きさにより、床面と水平な方向のペダル保持部材126とブレーキペダル127の距離l2をあわせた距離lの大きさ、および、床面と水平な方向の車輪123の最も離れた距離l’の大きさを調整できる。
つまり、軌跡T2およびT2’の大きさは、距離l1の大きさに依存し、距離l1の大きさは、フォーク部材225の大きさに依存する。
ここで、キャスター221Aは、前後方向、または左右方向を向いた状態を平面視で考えると、車輪123の少なくとも一部および操作部128が台車本体部110と重なり合わない。このため、距離l1は、軌跡T2およびT2’が少なくとも台車本体部110と重なり合わないような大きさとなる。
【0041】
このように、本実施形態の運搬台車200は、台車本体部110より、車輪123の少なくとも一部と、操作部128が台車本体部110の外側に位置する。したがって、障害物が操作部128に接触する際に、操作部128だけでなく、車輪123とも接触することで、操作部128にかかる力を分散し、破損する力がかからないようにできる。
【0042】
(第3実施形態)
図13は、運搬台車300の斜視図である。
図14は運搬台車300の底面図である。
図15は、運搬台車300の平面図である。
図16は、運搬台車300の背面図である。
図17は、運搬台車300の側面図である。なお、第1実施形態、第2実施形態と同様の構成は同一符号を付す等して適宜、説明を省略する。
【0043】
コーナー部材312は、例えば、押出し成形により形成されるアルミニウム合金製である。コーナー部材312は、上側に開口する挿入孔313と、下方を閉塞するストッパ部314とを有する。
【0044】
図18は、運搬台車300のキャスターの拡大図である。
図18ではコーナー部材312を二点鎖線で示している。
コーナー部材312は、平面視で略L字状であり、側面視、前面視、背面視で略矩形状の部材である。コーナー部材312の挿入孔313には、手押部材130が挿入可能である。挿入孔313に挿入された手押部材130の下端はストッパ部314によって支持される。
ここで、コーナー部材312は、側面視、背面視で、挿入孔313の位置する部位の高さ寸法がフレーム部に結合される部位の高さ寸法と同一の矩形である。手押部材130は、少なくとも台車本体部110が備えるフレーム部の下端の位置で支持される。つまり、ストッパ部314は、台車本体部110のフレーム部の下端の位置と同じ高さに設置され、手押部材130を支持する。また、キャスター121Aのうち、少なくとも操作部128は、コーナー部材312よりも低い位置に位置する。
【0045】
また、コーナー部材312のストッパ部314は、フレーム部の下端の位置で、手押部材130を支持する場合に限られず、フレーム部の下端よりも上の位置で支持するのであれば、挿入孔313のどのような位置であってもよい。例えば、ストッパ部314は、挿入孔313の途中の位置に設置して手押し部材130を支持してもよい。このときも、キャスター121Aのうち、少なくとも操作部128は、コーナー部材312よりも低い位置に位置する。
【0046】
また、運搬台車300は、キャスター121A、121Bは、旋回軸O1を中心に旋回することができる。
図14では、キャスター121Aが旋回軸O1を中心に旋回したときにキャスター121Aの構成部材のうち旋回軸O1から最も離れた部材(ブレーキペダル127)の軌跡T3を一点鎖線で示している。また、キャスター121Bが旋回軸O1を中心に旋回したときにキャスター121Bの構成部材のうち旋回軸O1から最も離れた部材(車輪123)の軌跡T1’を一点鎖線で示している。
キャスター121A、121Bは、前後方向または左右方向に向いたとき、平面視でキャスター121A、121Bの一部が台車本体部110と重ならないように旋回軸O1が設定されている。つまり、キャスター121A、121Bの取り付け位置もそれに基づき決定されているが、その他の位置であってもよい。また、軌跡T3は、コーナー部材312の挿入孔313あるいは挿入孔313に挿入される手掛部材130と重なり合うものの、コーナー部312がフレーム部の下端の位置または下端よりも上側の位置で支持される挿入孔313を有することで、操作部128がコーナー部312と接触しないようにすることができる。
【0047】
このように、本実施形態の運搬台車300は、台車本体部110の下端位置から下部分に、走行部120以外の部材を有せず、キャスター121A、121Bが旋回したとしても、運搬台車300の他の部材と接触しない。したがって、ブレーキペダル127の破損の原因となる他の部材との接触を減らすことができる。
【0048】
以上、本発明を種々の実施形態を用いて説明したが、本発明は上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲内で変更等が可能であり、実施形態および変形例を適宜、組み合わせてもよい。
例えば、運搬台車200が、コーナー部材312を備えていてもよい。
【0049】
上述した実施形態ではコーナー部材112、312を用いる場合について説明したが、この場合に限られない。
図19(a)は変形例に係るコーナー部材412の斜視図であり、
図19(b)は変形例に係るコーナー部材412の平面図である。
図19(a)はコーナー部材412の側壁の一部を一点鎖線に示すように切断して、挿入孔413の内部を視認できるように図示している。
コーナー部材412は、筒状部414と、結合部415a、415bと、ストッパ部416とを有する。
【0050】
筒状部414は内部に上下方向に沿った挿入孔413が形成される。筒状部414の下端の高さは、台車本体部110の下端の高さと略同じ位置である。一方、筒状部414の上端の高さは、台車本体部110の上端の高さよりも高い位置である。
結合部415a、415bは、前側フレーム部111a、後側フレーム部111b、右側フレーム部111cおよび左側フレーム部111dのうち隣り合う2つのフレーム部をボルト、リベット、溶接等を用いて結合する。結合部415a、415bは、筒状部414からそれぞれ直交する方向に延びており、それぞれ一対の平行な側壁により構成される。前側フレーム部111a、後側フレーム部111b、右側フレーム部111cおよび左側フレーム部111dは、結合部415a、415bの一対の側壁に間に挟まれた状態で結合される。結合部415a、415bの下端の高さは、台車本体部110の下端の高さと略同じ位置である。一方、結合部415a、415bの上端の高さは、筒状部414の上端の高さと略同じ部分から台車本体部110の上端の高さと略同じ部分に向かって徐々に低くなる。
【0051】
ストッパ部416は、挿入孔413に挿入された手押部材140を支持する。ストッパ部416は、軸部材417と、固定部材418とを有する。軸部材417は、例えばボルトであり、固定部材418は、例えばナットである。筒状部414の対向する側壁には軸部材417を挿通させるための挿通孔がそれぞれ形成され、軸部材417は挿通孔を略水平方向に挿通することで挿入孔413を横切るように配置される。固定部材418は、軸部材417が筒状部414から外れないように筒状部414の外側で軸部材417を固定する。具体的には、固定部材418を軸部材417のネジ部に螺合することで、軸部材417が筒状部414に固定される。
【0052】
手押部材140は、挿入孔413に挿入可能な本体部材141を有する。手押部材140を挿入孔123に挿入することで、手押部材140の下端がストッパ部416により支持される。ストッパ部416は、手押部材140を前側フレーム部111a、後側フレーム部111b、右側フレーム部111cおよび左側フレーム部111dの下端よりも上の位置で支持する。このような場合であっても、コーナー部材412の上端の高さが、台車本体110あるいは、前側フレーム部111a、後側フレーム部111b、右側フレーム部111cおよび左側フレーム部111dの上端の高さよりも高い位置であるために、挿入孔413の深さが浅くなることを抑制することができる。なお、変形例では、軸部材417がボルトである場合について説明したが、軸部材417はリベットであってもよく、リベットの先端を加締めることで固定部材418を構成してもよい。また、変形例では、手押部材140は補強部材134を有していないが、補強部材134を有していてもよい。
【符号の説明】
【0053】
100、200、300:運搬台車 110:台車本体部 121、221:キャスター 112、312、412:コーナー部材 114、314、416:ストッパ部 125、225:フォーク部材 126:ペダル保持部材 127:ブレーキペダル 111a、111b、111c:フレーム部 T1、T1’、T2、T2’:軌跡 116:空間 117:載置部 124、224:支持部 123:車輪 122A、122B、222A、222B:取付部材 130、140:手押部材 O1、O2:旋回軸 129、229:旋回部 113、313、413:挿入孔 128:操作部 120、220:走行部 133:保護部材 115:補強フレーム部 134:補強部材 131:本体部材 l、l1、l2、l3:距離