IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社セイバンの特許一覧

<>
  • 特開-ランドセル 図1
  • 特開-ランドセル 図2
  • 特開-ランドセル 図3
  • 特開-ランドセル 図4
  • 特開-ランドセル 図5
  • 特開-ランドセル 図6
  • 特開-ランドセル 図7
  • 特開-ランドセル 図8
  • 特開-ランドセル 図9
  • 特開-ランドセル 図10
  • 特開-ランドセル 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022086188
(43)【公開日】2022-06-09
(54)【発明の名称】ランドセル
(51)【国際特許分類】
   A45F 3/04 20060101AFI20220602BHJP
【FI】
A45F3/04 400P
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020198072
(22)【出願日】2020-11-30
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】391043756
【氏名又は名称】株式会社セイバン
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河 颯介
【テーマコード(参考)】
3B045
【Fターム(参考)】
3B045AA24
3B045CB02
3B045DA42
3B045EA02
3B045EA06
3B045FC04
3B045FC05
3B045FC09
3B045GA03
3B045HA03
3B045HA04
3B045HB03
3B045IA01
(57)【要約】
【課題】一対のマチ部を補強することができるランドセルを提供する。
【解決手段】ランドセルは、収容部と、蓋部と、一対の背負いベルトとを備えている。収容部1は、背板1aと、一対のマチ部1bと、前板1cと、一対の芯材1eとを含んでいる。一対の芯材1eは、一対のマチ部1bの各々にそれぞれ接続されている。前板1cは、正面部1c1と、一対の突出部1c2とを含んでいる。一対の突出部1c2は、一対のマチ部1bにそれぞれ向かい合う正面部1c1の両端から背板1aに向けて突出している。一対の突出部1c2の各々は、一対のマチ部1bの各々にそれぞれ接続されている。一対の芯材1eの各々は、一対の突出部1c2の各々から背板1aまで直線状に延びている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部が設けられた収容部と、
前記開口部を開閉可能に前記収容部に接続された蓋部と、
前記収容部に接続された一対の背負いベルトとを備え、
前記収容部は、前記蓋部および前記一対の背負いベルトが接続された背板と、前記背板に接続されかつ互いに向かい合うように配置された一対のマチ部と、前記背板と向かい合うように配置された前板と、前記一対のマチ部の各々にそれぞれ接続された一対の芯材とを含み、
前記前板は、正面部と、前記一対のマチ部にそれぞれ向かい合う前記正面部の両端から前記背板に向けて突出した一対の突出部とを含み、
前記一対の突出部の各々は、前記一対のマチ部の各々にそれぞれ接続されており、
前記一対の芯材の各々は、前記一対の突出部の各々から前記背板まで直線状に延びている、ランドセル。
【請求項2】
前記一対の芯材の各々の内側面は、前記一対の突出部の各々の内側面とそれぞれ面一となるように構成されている、請求項1に記載のランドセル。
【請求項3】
内側部材をさらに備え、
前記内側部材は、前記前板および前記一対のマチ部の内側に配置されている、請求項2に記載のランドセル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ランドセルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ランドセルの収容部では、前板と一対のマチ部とは互いに縫着されている。例えば、実公昭57-131116号公報(特許文献1)には、背板に向けて折り曲げられた前板の左右両端部が一対のマチ部にそれぞれ縫着されたランドセルが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公昭57-131116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記公報に記載されたランドセルでは、背板に向けて前板が外部から加圧されると、一対のマチ部が座屈しやすいという問題がある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされてものであり、その目的は、一対のマチ部を補強することができるランドセルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のランドセルは、収容部と、蓋部と、一対の背負いベルトとを備えている。収容部には開口部が設けられている。蓋部は、開口部を開閉可能に収容部に接続されている。一対の背負いベルトは、収容部に接続されている。収容部は、背板と、一対のマチ部と、前板と、一対の芯材とを含んでいる。背板には、蓋部および一対の背負いベルトが接続されている。一対のマチ部は、背板に接続されかつ互いに向かい合うように配置されている。前板は、背板と向かい合うように配置されている。一対の芯材は、一対のマチ部の各々にそれぞれ接続されている。前板は、正面部と、一対の突出部とを含んでいる。一対の突出部は、一対のマチ部にそれぞれ向かい合う正面部の両端から背板に向けて突出している。一対の突出部の各々は、一対のマチ部の各々にそれぞれ接続されている。一対の芯材の各々は、一対の突出部の各々から背板まで直線状に延びている。
【発明の効果】
【0007】
本発明のランドセルによれば、一対の芯材によって一対のマチ部を補強することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態に係るランドセルの概略斜視図である。
図2】本発明の実施の形態に係るランドセルの概略背面図である。
図3】本発明の実施の形態に係るランドセルの蓋部が開いた状態での概略斜視図である。
図4図3のIV-IV線に沿う概略断面図である。
図5】本発明の実施の形態に係るランドセルの一対のマチ部、前板、底部および一対の芯材を示す概略斜視図である。
図6】比較例のランドセルの概略断面図である。
図7】比較例のランドセルにおいて、背板に向けて前板が外部から加圧された状態を示す概略断面図である。
図8】本発明の実施の形態に係るランドセルにおいて、背板に向けて前板が外部から加圧された状態を示す概略断面図である。
図9】本発明の実施の形態に係るランドセルの変形例1の概略断面図である。
図10】本発明の実施の形態に係るランドセルの変形例2の一対のマチ部、前板、底部および一対の芯材を示す概略斜視図である。
図11】本発明の実施の形態に係るランドセルの変形例3の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。なお、以下の図においては、同一または相当する部分に同一の符号を付すものとし、重複する説明は繰り返さない。
【0010】
図1図5を参照して、実施の形態に係るランドセル100の構成について説明する。図1図3に示されるように、実施の形態に係るランドセル100は、収容部1と、蓋部2と、一対の背負いベルト3と、連結部材4と、副収容部5と、前ポケット6と、マチベルト7と、接続部8と、先端部9と、保持部10を主に有している。
【0011】
図1は、実施の形態に係るランドセル100の正面側から見た概略斜視図である。図2は、実施の形態に係るランドセル100の背面側から見た概略背面図である。図3は、実施の形態に係るランドセル100の蓋部2が開いた状態を正面側から見た概略斜視図である。
【0012】
収容部1は、背板1aと、一対のマチ部1bと、前板1cと、底部1dとを含んでいる。収容部1には開口部OPが設けられている。
【0013】
本実施の形態では、開口部OPが上側に配置されかつ底部1dが下側に配置された状態において、開口部OPと底部1dとが向かい合う方向を上下方向D1とする。また、開口部OPが上側に配置されかつ底部1dが下側に配置された状態において、一対のマチ部1bが互いに向かい合う方向を左右方向D2とする。また、開口部OPが上側に配置されかつ底部1dが下側に配置された状態において、背板1aと前板1cとが向かい合う方向を前後方向D3とする。上下方向D1と、左右方向D2と、前後方向D3とは互いに直交している。
【0014】
収容部1の上端に開口部OPが設けられている。収容部1は、開口部OPに連通する収容空間ISを有している。収容空間ISは、背板1a、一対のマチ部1b、前板1cおよび底部1dのそれぞれによって取り囲まれた空間である。収容部1は、開口部OPを通して収容空間ISに教科書等を収容可能に構成されている。
【0015】
背板1aには蓋部2および一対の背負いベルト3が接続されている。背板1aには蓋部2が接続されている。背板1aには、連結部材4が取り付けられている。連結部材4の一部は、カバー部材によって覆われている。一対の背負いベルト3のそれぞれは連結部材4を介して背板1aに接続されている。
【0016】
一対のマチ部1bは、背板1aに接続されている。一対のマチ部1bは、背板1aの外縁に接続されている。一対のマチ部1bは、互いに向かい合うように配置されている。一対のマチ部1bは、底部1dの両端から立ち上がるように構成されている。
【0017】
前板1cは、一対のマチ部1bおよび底部1dに接続されている。前板1cは、背板1aと向かい合うように配置されている。
【0018】
底部1dは、背板1a、一対のマチ部1bおよび前板1cに接続されている。底部1dは、収容部1の下端に配置されている。底部1dは、開口部OPと向かい合うように配置されている。
【0019】
蓋部2は、開口部OPを開閉可能に収容部1に接続されている。具体的には、蓋部2は、収容部1の背板1aの上端部に接続されており、背板1aの上端部を基端にして開口部OPを開閉可能に構成されている。
【0020】
図1に示されるように、蓋部2が閉じられた状態で、蓋部2は、収容部1の開口部OP、前板1c、副収容部5および前ポケット6を覆うことが可能に構成されている。また、図3に示されるように、蓋部2が開かれた状態で、蓋部2は、収容部1の開口部OP、前板1c、副収容部5および前ポケット6を露出させることが可能に構成されている。
【0021】
蓋部2に接続部8を介して先端部9が接続されている。接続部8の根元は蓋部2に接続されている。接続部8の先端は先端部9に接続されている。先端部9は、収容部1の底部1dに取り付けられた保持部10に着脱可能に構成されている。先端部9には、保持部10の摘体と係合可能な係合孔が設けられている。
【0022】
一対の背負いベルト3は、収容部1に接続されている。具体的には、一対の背負いベルト3のそれぞれの一端は、連結部材4を介して背板1aの上端部に接続されている。一対の背負いベルト3のそれぞれの他端は、保持部10を介して収容部1の底部1dに接続されている。一対の背負いベルト3は、左右に1本ずつ設けられている。一対の背負いベルト3は、使用者がランドセル100を背負ったときに使用者の両肩に装着されるように構成されている。
【0023】
連結部材4は、一対の背負いベルト3を背板1aに取り付けるように構成されている。連結部材4は、背板1aの外側に配置されている。連結部材4は、背板1aの上部に配置されている。
【0024】
副収容部5は、前板1cよりも前側に配置されている。副収容部5は、前板1cに対して収容空間ISと反対側に配置されている。副収容部5は、文房具等を収容可能に構成されている。
【0025】
前ポケット6は、副収容部5よりも前側に配置されている。前ポケット6は、副収容部5に対して収容部1と反対側に配置されている。前ポケット6は、ファスナーにより開閉可能に構成されている。
【0026】
マチベルト7は、収容部1の一対のマチ部1bと副収容部5とにわたって配置されている。マチベルト7は、一対のマチ部1bの上側に配置されている。
【0027】
補強部11は、収容部1の開口部OPを補強するためのものである。補強部11は、収容部1の一対のマチ部1bおよび前板1cに連続して取り付けられている。補強部11は、収容部1の一対のマチ部1bおよび前板1cの上端部に取り付けられている。補強部11は、収容部1の一対のマチ部1bおよび前板1cの上端を覆うように構成されている。
【0028】
次に、図3図5を参照して、収容部1の構成について詳しく説明する。
図4は、図3のIV-IV線に沿う概略断面図であり、説明の便宜のため収容部1のみを図示している。図5は、実施の形態に係るランドセル100の一対のマチ部1b、前板1c、底部1dおよび一対の芯材1eを背面側から見た概略斜視図である。
【0029】
前板1cの左右方向D2での両端部は、背板1aに向けて折り曲げられている。前板1cの両端部は、直角に折り曲げられていることが好ましい。前板1cは、正面部1c1と、一対の突出部1c2とを含んでいる。正面部1c1の左右方向D2での両端は、一対のマチ部1bにそれぞれ向かい合うように配置されている。一対の突出部1c2は、一対のマチ部1bのそれぞれに向かい合う正面部1c1の両端から背板1aに向けて突出している。一対の突出部1c2の各々は、正面部1c1から直角に突出していることが好ましい。一対の突出部1c2の各々は、背板1aに対して直交するように延びていることが好ましい。
【0030】
一対の突出部1c2の各々は、一対のマチ部1bの各々にそれぞれ接続されている。一対の突出部1c2の各々は、一対のマチ部1bの各々に沿って延びている。一対の突出部1c2の各々は、一対のマチ部1bの各々の前端部にそれぞれ接続されている。一対の突出部1c2の各々は、一対のマチ部1bの各々の内側に接続されている。一対の突出部1c2は、一対のマチ部1bに挟まれている。一対の突出部1c2の各々は、一対のマチ部1bの各々に縫い糸20で縫着されている。縫い糸20は、一対の突出部1c2の各々と一対のマチ部1bの各々とをそれぞれ貫通している。一対の突出部1c2の各々の前後方向D3での後端は、平面状に構成されていることが好ましい。
【0031】
収容部1は、一対の芯材1eを含んでいる。一対の芯材1eの各々は、一対のマチ部1bの各々にそれぞれ接続されている。一対の芯材1eの各々は、一対のマチ部1bの各々に、例えば、図示しない接着剤、感圧テープおよび鋲の少なくともいずれかによって固定されている。
【0032】
一対の芯材1eの各々は、一対の突出部1c2の各々から背板1aまで直線状に延びている。一対の芯材1eの各々は、一対の突出部1c2の各々と背板1aとの間にそれぞれ配置されている。一対の芯材1eの各々は、一対の突出部1c2の真下に配置されている。一対の芯材1eの各々は、前後方向D3において直線状に延びている。一対の芯材1eの各々は、一対の突出部1c2の各々と背板1aとに接している。一対の芯材1eの各々の前後方向D3での前端は、一対の突出部1c2の各々にそれぞれ接触している。一対の芯材1eの各々の前後方向D3での後端は、背板1aに接触している。
【0033】
一対の芯材1eの各々は、平板状に構成されている。一対の芯材1eの各々は、一定の厚みを有していることが好ましい。一対の芯材1eの各々の前後方向D3での両端は、平面状に構成されていることが好ましい。つまり、一対の芯材1eの各々の前端および後端は、平面状に構成されていることが好ましい。一対の芯材1eの各々の前端と一対の突出部1c2の各々の後端とはそれぞれ面接触していることが好ましい。一対の芯材1eの各々の後端と背板1aとは面接触していることが好ましい。
【0034】
一対の芯材1eの各々の前端は、互いに同じ面積であることが好ましい。一対の芯材1eの各々の後端は、互いに同じ面積であることが好ましい。一対の芯材1eの各々の前端と後端とは、互いに同じ面積であることが好ましい。
【0035】
一対の芯材1eの各々の前後方向D3での長さは、互いに同じであることが好ましい。一対の芯材1eの各々の前端は、前後方向D3において互いに同じ位置に配置されていることが好ましい。一対の芯材1eの各々の後端は、前後方向D3において互いに同じ位置に配置されていることが好ましい。一対の芯材1eの各々は、互いに同じ形状に構成されていることが好ましい。
【0036】
一対の芯材1eの各々の厚さは、一対の突出部1c2の各々の厚さ以下である。一対の芯材1eの各々は、一対の突出部1c2の各々と同じ厚さであることが好ましい。一対の芯材1eの各々の厚さは、一対のマチ部1bの各々の厚さよりも薄いことが好ましい。
【0037】
一対の芯材1eの各々の内側面1esは、一対の突出部1c2の各々の内側面1csとそれぞれ面一となるように構成されている。つまり、一対の芯材1eの各々の内側面1esと一対の突出部1c2の各々の内側面1csとの間に段差がない。
【0038】
一対の芯材1eの各々は、一対のマチ部1bの各々の上下方向D1での上端から下端まで連続して延びている。一対の芯材1eの各々は、一対の突出部1c2の各々の上下方向D1での上端から下端まで連続して延びている。一対の芯材1eの各々は、一対の突出部1c2の各々の上端から下端にわたって接している。一対の芯材1eの各々は、底部1dに接している。
【0039】
一対の芯材1eの各々の曲げ剛性は、一対の突出部1c2の各々の曲げ剛性以上である。一対の芯材1eの各々は、一対の突出部1c2の各々よりも曲げ剛性が高いことが好ましい。
【0040】
一対の芯材1eの素材は、例えば、樹脂である。具体的には、一対の芯材1eの素材は、ポリエチレンテレフタレート繊維およびポリエステル樹脂が主成分として混合された発泡樹脂であってもよい。また、具体的には、一対の芯材1eの素材は、パルプおよびアクリル樹脂が主成分として混合された樹脂と、上記発泡樹脂とが積層されたものであってもよい。
【0041】
次に、実施の形態に係るランドセル100の作用効果について比較例と対比して説明する。
【0042】
図6は、比較例のランドセル100の概略断面図であり、図4に対応する断面図である。図7は、比較例のランドセル100において、背板1aに向けて前板1cが外部から加圧された状態を示す概略断面図である。
【0043】
図6を参照して、比較例のランドセル100は、一対の芯材を備えていない点で、実施の形態に係るランドセル100と異なっている。図7を参照して、比較例のランドセル100では、背板1aに向けて前板1cに外部から図中実線矢印で示すように圧力P1が加えられると、図中白抜き矢印で示すように一対のマチ部1bの中央部分が膨らむ。これにより、一対のマチ部1bは座屈しやすい。
【0044】
図8は、実施の形態に係るランドセル100において、背板1aに向けて前板1cが外部から加圧された状態を示す概略断面図である。
【0045】
実施の形態に係るランドセル100によれば、一対の芯材1eは、一対のマチ部1bの各々にそれぞれ接続されている。このため、一対の芯材1eによって一対のマチ部1bを補強することができる。
【0046】
また、一対の芯材1eの各々は、一対の突出部1c2の各々から背板1aまで直線状に延びている。このため、一対の芯材1eの各々は、つっかえ棒として機能することができる。つまり、一対の芯材1eの各々は、一対の突出部1c2の各々を支えることができる。したがって、背板1aに向けて前板1cに外部から図8中実線矢印で示すように圧力P1が加えられると、一対の芯材1eにより図8中実線矢印で示すように抗力P2が生じる。抗力P2は、圧力P1と反対方向に作用する。これにより、一対の突出部1c2が沈むことを抑えることができる。このため、背板1aに向けて前板1cに外部から圧力P1が加えられたときに、一対のマチ部1bの中央部分が膨らむことを抑えることができるので、一対のマチ部1bが座屈することを抑えることができる。よって、一対のマチ部1bを補強することができる。
【0047】
また、一対の芯材1eの各々の前端と一対の突出部1c2の各々の後端とはそれぞれ面接触している。また、一対の芯材1eの各々の後端と背板1aとは面接触している。したがって、背板1aに向けて前板1cに外部から圧力P1が加えられたときに、一対の芯材1eの各々により一対のマチ部1bの各々が座屈することを効果的に抑えることができる。
【0048】
また、一対の芯材1eの各々の前端は、互いに同じ面積である。したがって、背板1aに向けて前板1cに外部から圧力P1が加えられたときに、一対の芯材1eの各々の前端で均等に圧力P1を支えることができる。このため、一対の芯材1eのどちらかに集中して座屈が生じることを抑えることができる。
【0049】
また、一対の芯材1eの各々の後端は、互いに同じ面積である。したがって、背板1aに向けて前板1cに外部から圧力P1が加えられたときに、一対の芯材1eの各々の後端で均等に圧力P1を支えることができる。このため、一対の芯材1eのどちらかに集中して座屈が生じることを抑えることができる。
【0050】
また、一対の芯材1eの各々の前端は、前後方向D3において互いに同じ位置に配置されている。したがって、背板1aに向けて前板1cに外部から圧力P1が加えられたときに、一対の芯材1eの各々の前端で均等に圧力P1を支えることができる。このため、一対の芯材1eのどちらかに集中して座屈が生じることを抑えることができる。
【0051】
また、一対の芯材1eの各々の後端は、前後方向D3において互いに同じ位置に配置されている。したがって、背板1aに向けて前板1cに外部から圧力P1が加えられたときに、一対の芯材1eの各々の後端で均等に圧力P1を支えることができる。このため、一対の芯材1eのどちらかに集中して座屈が生じることを抑えることができる。
【0052】
実施の形態に係るランドセル100によれば、一対の芯材1eの各々の内側面1esは、一対の突出部1c2の各々の内側面1csとそれぞれ面一となるように構成されている。したがって、一対の芯材1eの各々の内側面1esと一対の突出部1c2の各々の内側面1csとの間に段差がないため、収容部1の内側の見栄えを良くすることができる。また、収容部1の使いやすさを向上させることができる。
【0053】
次に、実施の形態に係るランドセル100の変形例について説明する。実施の形態に係るランドセル100の変形例は、特に説明しない限り、上記の実施の形態に係るランドセル100と同一の構成および効果を有している。
【0054】
図9を参照して、実施の形態に係るランドセル100の変形例1は、内側部材15を備えている点で実施の形態に係るランドセル100と異なっている。図9は、実施の形態に係るランドセル100の変形例1の概略断面図であり、図4に対応する断面図である。
【0055】
実施の形態に係るランドセル100の変形例1は、内側部材15をさらに備えている。内側部材15は、前板1cおよび一対のマチ部1bの内側に配置されている。内側部材15は、一対の芯材1eの各々の内側面1esおよび一対の突出部1c2の各々の内側面1csに、例えば、図示しない接着剤によって固定されている。内側部材15は、均一の厚みを有していることが好ましい。内側部材15の素材は、例えば、人工皮革である。
【0056】
実施の形態に係るランドセル100の変形例1によれば、一対の芯材1eの各々の内側面1esは、一対の突出部1c2の各々の内側面1csとそれぞれ面一となるように構成されている。さらに、内側部材15は、前板1cおよび一対のマチ部1bの内側に配置されている。このため、一対の芯材1eの各々の内側面1esと一対の突出部1c2の各々の内側面1csとの間に段差がない状態で、前板1cおよび一対のマチ部1bの内側に内側部材15が配置することができる。したがって、収容部1の内側の見栄えを良くすることができる。
【0057】
図10を参照して、実施の形態に係るランドセル100の変形例2は、一対の芯材1eの形状が実施の形態に係るランドセル100と異なっている。図10は、実施の形態に係るランドセル100の変形例2の一対のマチ部1b、前板1c、底部1dおよび一対の芯材1eを背面側から見た概略斜視図である。
【0058】
実施の形態に係るランドセル100の変形例2では、一対の芯材1eの各々は、一対のマチ部1bの各々の上下方向D1での一部に接続されている。一対の芯材1eの各々は、一対のマチ部1bの各々の上下方向D1での中央部分に配置されていることが好ましい。
【0059】
実施の形態に係るランドセル100の変形例2によれば、一対の芯材1eの各々は、一対のマチ部1bの各々の上下方向D1での一部に接続されている。このため、一対の芯材1eの各々が一対のマチ部1bの各々の上端部から下端部まで接続されている場合に比べて、一対の芯材1eのコストを低減することができる。また、一対の芯材1eの取り付け作業が容易となる。
【0060】
図11を参照して、実施の形態に係るランドセル100の変形例3は、前板1cと一対の芯材1eの構成が実施の形態に係るランドセル100と異なっている。図11は、実施の形態に係るランドセル100の変形例3の概略断面図であり、図4に対応する断面図である。
【0061】
実施の形態に係るランドセル100の変形例3では、前板1cと一対の芯材1eとは一体的に構成されている。つまり、前板1cと一対の芯材1eとは1つの部材で構成されている。
【0062】
実施の形態に係るランドセル100の変形例3によれば、前板1cと一対の芯材1eとは一体的に構成されているため、一対の芯材1eの取り付け作業が容易となる。
【0063】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることを意図される。
【符号の説明】
【0064】
1 収容部、1a 背板、1b マチ部、1c1 正面部、1c2 突出部、1c 前板、1cs,1es 内側面、1d 底部、1e 芯材、2 蓋部、3 ベルト、4 連結部材、5 副収容部、6 前ポケット、7 マチベルト、8 接続部、9 先端部、10 保持部、11 補強部、15 内側部材、100 ランドセル、OP 開口部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2022-03-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部が設けられた収容部と、
前記開口部を開閉可能に前記収容部に接続された蓋部と、
前記収容部に接続された一対の背負いベルトとを備え、
前記収容部は、前記蓋部および前記一対の背負いベルトが接続された背板と、前記背板に接続されかつ互いに向かい合うように配置された一対のマチ部と、前記背板と向かい合うように配置された前板と、前記一対のマチ部の各々にそれぞれ接続された一対の芯材とを含み、
前記前板は、正面部と、前記一対のマチ部にそれぞれ向かい合う前記正面部の両端から前記背板に向けて突出した一対の突出部とを含み、
前記一対の突出部の各々は、前記一対のマチ部の各々にそれぞれ接続されており、
前記一対の芯材の各々は、前記一対の突出部の各々から前記背板まで直線状に延びており、
前記一対の芯材の各々は、前記一対の突出部の各々の上下方向での上端から下端まで連続して延びており、前記一対の突出部の各々の前記上端から前記下端にわたって接している、ランドセル。
【請求項2】
前記一対の芯材の各々の内側面は、前記一対の突出部の各々の内側面とそれぞれ面一となるように構成されている、請求項1に記載のランドセル。
【請求項3】
内側部材をさらに備え、
前記内側部材は、前記前板および前記一対のマチ部の内側に配置されている、請求項2に記載のランドセル。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0002
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0002】
従来、ランドセルの収容部では、前板と一対のマチ部とは互いに縫着されている。例えば、実昭57-131116号公報(特許文献1)には、背板に向けて折り曲げられた前板の左右両端部が一対のマチ部にそれぞれ縫着されたランドセルが記載されている。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0003
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0003】
【特許文献1】実開昭57-131116号公報
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本発明のランドセルは、収容部と、蓋部と、一対の背負いベルトとを備えている。収容部には開口部が設けられている。蓋部は、開口部を開閉可能に収容部に接続されている。一対の背負いベルトは、収容部に接続されている。収容部は、背板と、一対のマチ部と、前板と、一対の芯材とを含んでいる。背板には、蓋部および一対の背負いベルトが接続されている。一対のマチ部は、背板に接続されかつ互いに向かい合うように配置されている。前板は、背板と向かい合うように配置されている。一対の芯材は、一対のマチ部の各々にそれぞれ接続されている。前板は、正面部と、一対の突出部とを含んでいる。一対の突出部は、一対のマチ部にそれぞれ向かい合う正面部の両端から背板に向けて突出している。一対の突出部の各々は、一対のマチ部の各々にそれぞれ接続されている。一対の芯材の各々は、一対の突出部の各々から背板まで直線状に延びている。一対の芯材の各々は、一対の突出部の各々の上下方向での上端から下端まで連続して延びており、一対の突出部の各々の上端から下端にわたって接している。