(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022086190
(43)【公開日】2022-06-09
(54)【発明の名称】検出回路
(51)【国際特許分類】
H03K 17/00 20060101AFI20220602BHJP
【FI】
H03K17/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020198076
(22)【出願日】2020-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 尚
(72)【発明者】
【氏名】平松 佑基
【テーマコード(参考)】
5J055
【Fターム(参考)】
5J055AX11
5J055CX27
5J055DX44
5J055EY01
5J055EY02
5J055EZ13
5J055EZ24
5J055EZ39
5J055FX32
5J055GX01
5J055GX02
5J055GX03
(57)【要約】
【課題】より多くのスイッチパターンを検出できる検出回路を提供する。
【解決手段】検出回路CT1の検出部A1、A2は、夫々、2つの部分検出回路P[1]、P[2]を備える。第1部分検出回路P[1]、第2部分検出回路P[2]は、第1ポート接続抵抗Rb[1]、第2ポート接続抵抗Rb[2]の他端同士が接続位置DPで接続される。接続位置DPは、MUX115を介して、AD13に接続される。また、2つの検出部A1、A2の各々の第1ポート接続抵抗Rb[1]、第2ポート接続抵抗Rb[2]の抵抗値は、互いに相違する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部のポートに接続され、複数のスイッチのオンオフ状態の組み合わせを示すスイッチパターンを検出する検出回路であって、
一端がグラウンドに接続されるスイッチと、
一端が前記スイッチの他端と接続され、他端に基準電圧が印加される電源抵抗と、
一端が前記スイッチの前記他端と接続され、他端が前記ポートに接続されるポート接続抵抗と
を備えた部分検出回路を複数備え、
複数の前記部分検出回路の各々の前記ポート接続抵抗の抵抗値は、互いに相違し、
複数の前記部分検出回路の各々の前記ポート接続抵抗の他端同士が接続位置で接続され、且つ前記接続位置は、前記ポートに接続される
ことを特徴とする検出回路。
【請求項2】
複数の前記部分検出回路は、
抵抗値がa[1]である第1電源抵抗、抵抗値がb[1]である第1ポート接続抵抗、及び第1スイッチを含む第1部分検出回路と、
抵抗値がa[2]である第2電源抵抗、抵抗値がb[2]である第2ポート接続抵抗、及び第2スイッチを含む第2部分検出回路と、及び
抵抗値がa[3]である第3電源抵抗、抵抗値がb[3]である第3ポート接続抵抗、及び第3スイッチを含む第3部分検出回路と
を含み、
b[1]>b[2]>b[3]となる第1条件を満たし、且つ、
b[1]/b[2]、及び、b[2]/b[3]が2±10%となる第2条件、及び、a[1]≧a[2]≧a[3]となる第3条件のうち少なくとも何れかを満たす
ことを特徴とする請求項1に記載の検出回路。
【請求項3】
前記制御部は、複数の前記スイッチの夫々のオンオフを検出する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の検出回路。
【請求項4】
前記制御部は、前記接続位置の電圧値に基づき、前記スイッチパターンを検出する
ことを特徴とする請求項1~3の何れか一つに記載の検出回路。
【請求項5】
前記制御部は、複数の前記ポートを備え、
前記複数の部分検出回路は、前記複数のポート毎に設けられ、
前記複数の部分検出回路の夫々の前記接続位置は、対応する前記ポートに接続される
ことを特徴とする請求項1~4の何れか一つに記載の検出回路。
【請求項6】
前記複数の部分検出回路が接続可能な入力ポートが複数設けられ、且つ前記複数の部分検出回路との接続を前記入力ポート毎に選択可能な選択制御部を備え、
前記制御部は、前記選択制御部を制御することで、前記入力ポート毎に接続された前記複数の部分検出回路を順次選択し、前記複数の部分検出回路毎に前記接続位置の電圧値を検出する
ことを特徴とする請求項1~4の何れか一つに記載の検出回路。
【請求項7】
前記制御部は、前記接続位置の電圧値が前記基準電圧であると判定した場合、全ての前記部分検出回路の前記スイッチがオフ状態であると判定する
ことを特徴とする請求項1~6の何れか一つに記載の検出回路。
【請求項8】
前記制御部は、前記接続位置の電圧値が前記基準電圧から、前記基準電圧よりも低い電圧値となったことを検出した場合、前記複数の部分検出回路の何れかのスイッチがオンされたと判定する
ことを特徴とする請求項1~7の何れか一つに記載の検出回路。
【請求項9】
前記制御部は、前記接続位置の電圧値が前記基準電圧よりも低い電圧値から、前記基準電圧となったこと検出した場合、全ての前記部分検出回路の前記スイッチがオフされたと判定する
ことを特徴とする請求項1~8の何れか一つに記載の検出回路。
【請求項10】
前記スイッチパターンは、印刷装置に装着されるカセットの種類毎に異なり、
前記制御部は、
前記接続位置の電圧値に基づき、前記スイッチパターンを検出し、
検出された前記スイッチパターンに基づき、前記カセットの種類を検出する
ことを特徴とする請求項1~9の何れか一つに記載の検出回路。
【請求項11】
制御部のポートに接続され、複数のスイッチのオンオフ状態の組み合わせを示すスイッチパターンを検出する検出回路であって、
N個の部分検出回路である第1部分検出回路から第N部分検出回路(Nは2以上の整数)を備え、
前記第1部分検出回路は、
一端がグラウンドに接続される第1スイッチと、
一端が前記第1スイッチの他端と接続され、他端に基準電圧が印加される第1電源抵抗と
を備え、
第n(nは2以上N以下の何れかの整数)部分検出回路は、
一端がグラウンドに接続される第nスイッチと、
一端が前記第nスイッチの他端と接続され、他端に前記基準電圧が印加される第n電源抵抗と、
第1端子、第2端子、及び第3端子を備え、前記第1端子と前記第3端子との間の抵抗の抵抗値である第1可変抵抗値、及び、前記第3端子と前記第2端子との間の抵抗の抵抗値である第2可変抵抗値を調整可能であり、前記第1可変抵抗値及び前記第2可変抵抗値の加算値が不変となる第n可変抵抗と
を備え、
第n-1部分検出回路の第n-1スイッチの他端に、前記第n部分検出回路の前記第n可変抵抗の前記第1端子が接続され、
前記第n部分検出回路の前記第nスイッチの他端に、前記第n部分検出回路の前記第n可変抵抗の前記第2端子が接続され、
前記第n可変抵抗の前記第3端子は前記ポートに接続されている
ことを特徴とする検出回路。
【請求項12】
前記第n可変抵抗は、抵抗体と摺動子とを備える
ことを特徴とする請求項11に記載の検出回路。
【請求項13】
前記第n可変抵抗は、抵抗体と摺動子と摺動子調整手段とを有する
ことを特徴とする請求項11に記載の検出回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチの状態を検出する検出回路に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、マイコンに設けられたアナログ入力ポートに接続されるスイッチ入力回路を開示する。スイッチ入力回路は、例えば3つの抵抗、2つのスイッチ、アクチュエータ等を備える。3つの抵抗は直列接続される。直列接続された3つの抵抗は、一端には基準電圧が印加され、他端がグラウンドに接続される。一方のスイッチは、グラウンドに接続された抵抗に対して並列接続され、他方のスイッチは、中央に配置された抵抗に対して並列接続される。また、基準電圧に接続された抵抗と中央に配置された抵抗との接続部分は、マイコンのアナログ入力ポートに接続される。
【0003】
2つのスイッチは、アクチュエータの駆動状態に応じて、ON/OFFが切り替わる。2つのスイッチのON/OFFの組み合わせに応じて、スイッチ入力回路の分圧抵抗の抵抗値は変化する。これにより、マイコンのアナログ入力ポートへの出力電圧は変化する。マイコンは、アナログ入力ポートへの出力電圧に基づき、スイッチのON/OFFの組み合わせを検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記スイッチ検出回路は、分圧抵抗の抵抗値に応じた出力電圧が出力されるので、出力できる電圧レベルの範囲は、基準電圧とグラウンドとの間の範囲に制約され、狭くなる。スイッチ検出回路により、多くのスイッチの夫々のON/OFFの状態を区別して検出しようとした場合、複数のスイッチの夫々のON/OFFの組み合わせ毎に異なる値の出力電圧を出力しなければならない。しかし、スイッチ検出回路が出力できる電圧レベルの範囲が狭いので、スイッチパターンの検出が困難になるという可能性があった。
【0006】
本発明の目的は、より多くのスイッチパターンを検出できる検出回路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1態様に係る検出回路は、制御部のポートに接続され、複数のスイッチのオンオフ状態の組み合わせを示すスイッチパターンを検出する検出回路であって、一端がグラウンドに接続されるスイッチと、一端が前記スイッチの他端と接続され、他端に基準電圧が印加される電源抵抗と、一端が前記スイッチの前記他端と接続され、他端が前記ポートに接続されるポート接続抵抗とを備えた部分検出回路を複数備え、複数の前記部分検出回路の各々の前記ポート接続抵抗の抵抗値は、互いに相違し、複数の前記部分検出回路の各々の前記ポート接続抵抗の他端同士が接続位置で接続され、且つ前記接続位置は、前記ポートに接続されることを特徴とする。
【0008】
検出回路は、スイッチパターンに対応して出力される電圧値の範囲を広く設定でき、より多くのスイッチパターンを検出可能となる。
【0009】
複数の前記部分検出回路は、抵抗値がa[1]である第1電源抵抗、抵抗値がb[1]である第1ポート接続抵抗、及び第1スイッチを含む第1部分検出回路と、抵抗値がa[2]である第2電源抵抗、抵抗値がb[2]である第2ポート接続抵抗、及び第2スイッチを含む第2部分検出回路と、及び抵抗値がa[3]である第3電源抵抗、抵抗値がb[3]である第3ポート接続抵抗、及び第3スイッチを含む第3部分検出回路とを含み、b[1]>b[2]>b[3]となる第1条件を満たし、且つ、b[1]/b[2]、及び、b[2]/b[3]が2±10%となる第2条件、及び、a[1]≧a[2]≧a[3]となる第3条件のうち少なくとも何れかを満たしてもよい。検出回路は、第1条件を満たし、且つ第2条件と第3条件のうち少なくとも何れかを満たすよう電源抵抗とポート接続抵抗の抵抗値が調整される。故に、検出回路は、各スイッチパターンにおける電圧値を均等に調整できる。
【0010】
前記制御部は、複数の前記スイッチの夫々のオンオフを検出してもよい。検出回路は、複数のスイッチの夫々のオンオフの状態変化を検出できる。
【0011】
前記制御部は、前記接続位置の電圧値に基づき、前記スイッチパターンを検出してもよい。検出回路は、接続位置の電圧値に基づき、スイッチパターンを検出できる。
【0012】
前記制御部は、複数の前記ポートを備え、前記複数の部分検出回路は、前記複数のポート毎に設けられ、前記複数の部分検出回路の夫々の前記接続位置は、対応する前記ポートに接続されてもよい。検出回路は、各ポートに複数の部分検出回路を接続できるので、より多くのスイッチパターンを検出できる。
【0013】
前記複数の部分検出回路が接続可能な入力ポートが複数設けられ、且つ前記複数の部分検出回路との接続を前記入力ポート毎に選択可能な選択制御部を備え、前記制御部は、前記選択制御部を制御することで、前記入力ポート毎に接続された前記複数の部分検出回路を順次選択し、前記複数の部分検出回路毎に前記接続位置の電圧値を検出してもよい。制御部は、選択制御部により、入力ポート毎に接続された複数の部分検出回路との接続を順次選択し、夫々の部分検出回路毎に接続位置の電圧値を検出する。また、制御部は、各接続位置の電圧値に基づき、スイッチパターンを検出する。故に、検出回路は、より多くのスイッチパターンを検出できる。
【0014】
前記制御部は、前記接続位置の電圧値が前記基準電圧であると判定した場合、全ての前記部分検出回路の前記スイッチがオフ状態であると判定してもよい。検出回路は、全てのスイッチがオフ状態であることを容易に判定できる。
【0015】
前記制御部は、前記接続位置の電圧値が前記基準電圧から、前記基準電圧よりも低い電圧値となったことを検出した場合、前記複数の部分検出回路の何れかのスイッチがオンされたと判定してもよい。検出回路は、スイッチの何れかがオンされたことを容易に検出できる。
【0016】
前記制御部は、前記接続位置の電圧値が前記基準電圧よりも低い電圧値から、前記基準電圧となったこと検出した場合、全ての前記部分検出回路の前記スイッチがオフされたと判定してもよい。検出回路は、全てのスイッチがオフされたことを、容易に検出できる。
【0017】
前記スイッチパターンは、印刷装置に装着されるカセットの種類毎に異なり、前記制御部は、前記接続位置の電圧値に基づき、前記スイッチパターンを検出し、検出された前記スイッチパターンに基づき、前記カセットの種類を検出してもよい。検出回路は、印刷装置に対してカセットが装着された場合に、検出されたスイッチパターンに基づき、カセットの種類を検出できる。
【0018】
本発明の第2態様に係る検出回路は、制御部のポートに接続され、複数のスイッチのオンオフ状態の組み合わせを示すスイッチパターンを検出する検出回路であって、N個の部分検出回路である第1部分検出回路から第N部分検出回路(Nは2以上の整数)を備え、前記第1部分検出回路は、一端がグラウンドに接続される第1スイッチと、一端が前記第1スイッチの他端と接続され、他端に基準電圧が印加される第1電源抵抗とを備え、第n(nは2以上N以下の何れかの整数)部分検出回路は、一端がグラウンドに接続される第nスイッチと、一端が前記第nスイッチの他端と接続され、他端に前記基準電圧が印加される第n電源抵抗と、第1端子、第2端子、及び第3端子を備え、前記第1端子と前記第3端子との間の抵抗の抵抗値である第1可変抵抗値、及び、前記第3端子と前記第2端子との間の抵抗の抵抗値である第2可変抵抗値を調整可能であり、前記第1可変抵抗値及び前記第2可変抵抗値の加算値が不変となる第n可変抵抗とを備え、第n-1部分検出回路の第n-1スイッチの他端に、前記第n部分検出回路の前記第n可変抵抗の前記第1端子が接続され、前記第n部分検出回路の前記第nスイッチの他端に、前記第n部分検出回路の前記第n可変抵抗の前記第2端子が接続され、前記第n可変抵抗の前記第3端子は前記ポートに接続されていることを特徴とする。
【0019】
検出回路は、スイッチパターンに対応して出力される電圧値の範囲を広く設定でき、より多くのスイッチパターンを検出可能となる。
【0020】
前記第n可変抵抗は、抵抗体と摺動子とを備えてもよい。検出回路は、第n可変抵抗により、電源抵抗の部品点数を減らすことができる。また、抵抗体と摺動子を調整することで、第1可変抵抗値と第2可変抵抗値を調整できる。故に、部分検出回路は、設計自由度が高い。
【0021】
前記第n可変抵抗は、抵抗体と摺動子と摺動子調整手段とを有してもよい。制御部は、デジタルポテンショメータをデジタル制御することで、第n可変抵抗の第1可変抵抗値と第2可変抵抗値とを調整できる。故に、部分検出回路は、設計自由度が高い。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】第1実施形態におけるカセットカバー6が開かれた状態の印刷装置1の斜視図である。
【
図2】テープカセット30及びカセット装着部8の斜視図である。
【
図3】印刷装置1の電源回路の構成を示すブロック図である。
【
図4】(a)は第1実施形態における検出回路CT1を示すブロック図であり、(b)は検出部A1(A2)の回路図である。
【
図5】(a)は検出部A1(A2)の各抵抗の抵抗値を示す表であり、(b)は各スイッチパターンと電圧値との関係を示すテーブルAの表である。
【
図6】パターン検出処理を示すフローチャートである。
【
図7】(a)は第1変形例における検出回路CT1を示すブロック図であり、(b)は検出部B1(B2)の回路図である。
【
図8】(a)は検出部B1(B2)の各抵抗の抵抗値を示す表であり、(b)は各スイッチパターンと電圧値との関係を示すテーブルBの表である。
【
図9】(a)は第2実施形態における検出回路CT3を示すブロック図であり、(b)は検出部C1(C2)の回路図である。
【
図10】(a)は第2変形例における検出回路CT4を示すブロック図であり、(b)は検出回路CT4の検出部D1(D2)の回路図である。
【
図11】第n-1部分検出回路P[n-1]と第n部分検出回路P[n]とを実装した場合における検出部E1(E2)の回路図である。
【
図12】第3変形例における制御部81Aと検出回路CT5を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。参照する図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明する為に用いられるものであり、記載される装置の構成などは、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。本実施形態の説明では、
図1の左下側、右上側、右下側、左上側、上側、下側を、夫々印刷装置1の前側、後側、右側、左側、上側、下側とする。
図2の右下側、左上側、右上側、左下側、上側、下側を、夫々テープカセット30の前側、後側、右側、左側、上側、下側とする。
【0024】
<印刷装置1>
図1~
図3を参照して、印刷装置1を説明する。印刷装置1は、1台でサーマルタイプ、ラミネートタイプ等、各種のテープカセットを使用可能な汎用の装置である。
【0025】
図1に示すように、印刷装置1は、略直方体形状の本体カバー2を備える。本体カバー2上面の前部には、キーボード3が配設される。キーボード3の後側には、ディスプレイ5が設けられる。ディスプレイ5の後側には、テープカセット30(
図2参照)の交換時に開閉されるカセットカバー6が設けられる。本体カバー2の内部には、テープカセット30が着脱可能に収容されるカセット装着部8が設けられている。本体カバー2の左側面後方には、排出スリット111が設けられる。印刷済のテープ50は、排出スリット111を介してカセット装着部8から排出される。
【0026】
図1及び
図2に示すように、カセット装着部8は、カセット装着部8に装着されたテープカセット30の周縁の下面を支持する。カセット装着部8の前部には、金属製のヘッドホルダ74が設けられる。ヘッドホルダ74は、複数の発熱抵抗体(図示略)を備えるサーマルヘッド10を搭載する。テープカセット30がカセット装着部8に装着された場合、ヘッドホルダ74はヘッド挿入部(図示略)に挿入される。
【0027】
カセット装着部8の外側には、テープ送りモータ23が配設される。テープカセット30がカセット装着部8に装着された状態で、テープ送りモータ23を回転駆動すると、テープ50が搬送される。
【0028】
排出スリット111(
図1参照)の右側には、カット機構(図示略)が設けられる。カット機構は、テープカセット30から排出されたテープ50を所定位置でカットする。
【0029】
<媒体検出スイッチ>
図2を参照して、媒体検出スイッチ310の詳細について説明する。
図2に示すように、後方支持部813には、媒体検出スイッチ310が設けられている。媒体検出スイッチ310は、4つのスイッチで構成されている。なお、4つのスイッチは、
図4(b)に示す検出部A1(A2)の第1スイッチS[1]、第2スイッチS[2]と対応する。検出部A1(A2)については後述する。
【0030】
媒体検出スイッチ310は、本体部(図示略)の内部に設けられたバネ部材(図示略)によって、検出ピンが後方支持部813の上面よりも上方に伸出した状態に保持される。媒体検出スイッチ310は、検出ピンが上方から押圧されていないときはオフ状態になり、検出ピンが上方から押圧されて下方の位置に移動したときはオン状態になる。
【0031】
テープカセット30がカセット装着部8に装着されていない場合、媒体検出スイッチ310の検出ピンはテープカセット30で押圧されないので、全てがオフ状態となる。テープカセット30がカセット装着部8の適正位置に装着されると、媒体検出スイッチ310の検出ピンは、テープカセット30の媒体指標部900(
図2参照)によって選択的に押圧される。
【0032】
印刷装置1は、媒体検出スイッチ310のオンオフの組合せを示すスイッチパターンに基づいて、テープカセット30のテープ50の種類を検出する。以下、テープカセット30のテープ50の種類を検出することを、単に、テープカセット30の種類を検出するともいう。
【0033】
<テープカセット30>
次に、
図2を参照して、テープカセット30について簡単に説明する。テープカセット30は、印刷媒体であるテープ50を収容する。テープカセット30は、内部に収納されるテープ50の種類を適宜変更することによって、サーマルタイプ、ラミネートタイプ、レセプタタイプ等に実装可能な汎用カセットである。
【0034】
媒体指標部900は、テープカセット30の後端部に設けられている。媒体指標部900は、テープカセット30の種類に応じて、孔部(図示略)と押圧部(図示略)が配置されている。テープカセット30がカセット装着部8に装着された場合には、媒体検出スイッチ310は、テープカセット30の種類に応じて設けられた孔部と押圧面により、選択的にオンオフされる。
【0035】
<印刷動作>
印刷装置1は、テープカセット30がカセット装着部9に装着されると、装着されたテープカセット30の種類を特定する。その後、印刷装置1は、印刷データに基づき、装着されているテープカセット30を使用して印刷を実行する。印刷済のテープ50は、テープ排出部49から外部に排出され、カット機構によってカットされる。
<電気的構成>
図3を参照して、印刷装置1の電気的構成について説明する。
図3に示すように、印刷装置1は、制御基板上に設けられた制御部81を備えている。制御部81では、ROM86、CGROM87、RAM88、EEPROM89、入出力インタフェース82が、データバス83を介してCPU85に接続されている。CPU85は、印刷装置1を統括制御し、アナログデジタルコンバータ(以下、「AD13」という。)を含む。
【0036】
ROM86には、CPU85が印刷装置1を制御する為に実行する各種プログラムが記憶されている。CGROM87は、キャラクタを印字する為の印字用ドットパターンデータが記憶されている。RAM88には、テキストメモリ、印字バッファ等、複数の記憶エリアが設けられている。EEPROM89には、テープカセット30の種類を特定する為のテーブルAが記憶されている。
【0037】
入出力インタフェース82には、キーボード3、液晶駆動回路(LCDC)51、駆動回路52、53、54、検出回路CT1等が接続されている。LCDC51は、ディスプレイ5を駆動する為の電子回路である。LCDC51は、ディスプレイ5に表示データを出力する為のビデオRAM(図示略)を有する。
【0038】
駆動回路52は、印字を実行する場合に、サーマルヘッド10を駆動する為の電子回路である。駆動回路53は、テープ50を搬送する場合に、テープ送りモータ16を駆動する為の電子回路である。駆動回路54は、印字済のテープ50を切断する場合に、カッターモータ24を駆動する為の電子回路である。検出回路CT1は、媒体検出スイッチ310のスイッチのスイッチパターンに基づく電圧値をCPU85に対して出力する。詳細は後述する。
【0039】
<検出回路CT1>
図4を参照して、検出回路CT1について説明する。検出回路CT1は、MUX115、2つの検出部A1、A2を備える。MUX115は、CPU85のAD13のポートに接続されている。2つの検出部A1、A2は、MUX115の入力ポートに夫々並列接続されている。MUX115は、制御部81からの選択制御により、2つの検出部A1、A2との接続を切り替える。なお、検出部A1、A2は、同一の回路構成である。従って、以下の説明では、検出部A1についてのみ説明する。
【0040】
<検出部A1(A2)>
検出部A1は、第1部分検出回路P[1]、第2部分検出回路P[2]で構成される。第1部分検出回路P[1]は、第1スイッチS[1]、第1電源抵抗Ra[1]、第1ポート接続抵抗Rb[1]を備える。第1スイッチS[1]の一端は、グラウンドGNDに接続される。第1電源抵抗Ra[1]の一端は、第1スイッチS[1]の他端と接続される。第1電源抵抗Ra[1]の他端は、基準電圧Vccが印加される。第1ポート接続抵抗Rb[1]の一端は、第1スイッチS[1]の他端と接続される。
【0041】
第2部分検出回路P[2]は、第2スイッチS[2]、第2電源抵抗Ra[2]、第2ポート接続抵抗Rb[2]を備える。第2スイッチS[2]の一端は、グラウンドGNDに接続される。第2電源抵抗Ra[2]の一端は、第2スイッチS[2]の他端と接続される。第2電源抵抗Ra[2]の他端は、基準電圧Vccが印加される。第2ポート接続抵抗Rb[2]の一端は、第2スイッチS[2]の他端と接続される。
【0042】
第1ポート接続抵抗Rb[1]、第2ポート接続抵抗Rb[2]の他端同士は、接続位置DPで接続される。接続位置DPは、MUX115に接続されている。つまり、第1ポート接続抵抗Rb[1]の他端と、第2ポート接続抵抗Rb[2]の他端は、MUX115の入力ポートに接続される。
【0043】
図5(a)に示すように、第1電源抵抗Ra[1]、第2電源抵抗Ra[2]の抵抗値は、10kΩである。また、第1ポート接続抵抗Rb[1]、第2ポート接続抵抗Rb[2]の抵抗値は、夫々、68kΩ、33kΩである。つまり、第1ポート接続抵抗Rb[1]と第2ポート接続抵抗Rb[2]の抵抗値は、互いに相違する。
【0044】
接続位置DPにおける電圧値は、第1スイッチS[1]、第2スイッチS[2]のオンオフの組み合わせを示すスイッチパターンにより変化する。
【0045】
図5(b)に示すように、例えば条件Aは、第1スイッチS[1]がオフ状態、且つ第2スイッチS[2]がオフ状態である。この場合、接続位置DPの電圧値は、3.261Vである。なお、3.261Vは、基準電圧Vccと略同じ電圧である。
【0046】
条件Bは、第1スイッチS[1]がオン状態、且つ第2スイッチS[2]がオフ状態である。この場合、接続位置DPの電圧値は、2.022Vである。条件Cは、第1スイッチS[1]がオフ状態、且つ第2スイッチS[2]がオン状態である。この場合、接続位置DPの電圧値は、0.981Vである。
【0047】
条件Dは、第1スイッチS[1]がオン状態、且つ第2スイッチS[2]がオン状態である。この場合、接続位置DPの電圧値は、例えば0.037Vである。ここで、0.037Vは、グラウンドGNDと略同一の電圧である。このように、検出部A1は、各電圧を基準電圧Vcc~グラウンドGNDまでの範囲において、各条件A~Dにおける接続位置DPの電圧値が割り当てられている。
【0048】
制御部81は、MUX115を選択制御して検出部A1を選択させる。AD13は、MUX115を介して、接続位置DPの電圧値を検出する。制御部81は、AD13が検出した電圧値を取得する。
【0049】
次いで、制御部81は、MUX115を選択制御して検出部A2を選択させる。AD13は、MUX115を介して、接続位置DPの電圧値を検出する。制御部81は、AD13が検出した電圧値を取得する。
【0050】
制御部81は、テーブルA(
図5(b))を参照して、検出部A1、A2の第1スイッチS[1]、第2スイッチS[2]のスイッチパターンを夫々特定する。また、制御部81は、検出部A1、A2のスイッチパターンに対応したテープカセット30の種別を検出する。ここで、スイッチパターンは、全部で16通りである。従って、制御部81は、テープカセット30が未装着時の状態を検出でき、且つ15種類のテープカセット30を識別可能である。
【0051】
<スイッチパターン検出処理>
図6を参照して、印刷装置1が実行するパターン検出処理について説明する。印刷装置1の電源がオンされた場合、CPU85は、ROM86に記憶されているプログラムを実行することによりパターン検出処理を開始する。
【0052】
パターン検出処理が実行されると、CPU85は、MUX115を選択制御して、2つの検出部A1、A2のうち、検出部A1を選択させる(S1)。次いで、CPU85は、選択された検出部A1における接続位置DPの電圧値を取得する(S3)。次いで、CPU85は、MUX115を選択制御して、検出部A1から検出部A2に切り替える(S5)。CPU85は、検出部A2における接続位置DPの電圧値を取得する(S7)。
【0053】
CPU85は、2つの接続位置DPにおける電圧が基準電圧Vccか否か判断する(S9)。2つの接続位置DPの電圧値が基準電圧Vccであると判断した場合(S9:YES)、CPU85は、全ての第1スイッチS[1]、第2スイッチS[2]がオフ状態であるので、カセット装着部8に対してテープカセット30が未装着であると判断する(S11)。次いで、CPU85は、ディスプレイ5に、例えば『テープカセットを装着して下さい』等のメッセージを報知し(S13)、処理をS1に戻す。
【0054】
ここで、S11の後にテープカセット30が装着された場合、接続位置DPの電圧値は、基準電圧Vccから基準電圧Vccよりも低い電圧となる。この場合、CPU85は、2つの検出部A1、A2の何れかのスイッチがオンされたと判定する。
【0055】
2つの接続位置DPにおける電圧値が全て基準電圧Vccでないと判断した場合(S9:NO)、CPU85は、テーブルA(
図5(b))を参照して、検出部A1、A2の接続位置DPの各電圧値に基づき、2つの検出部A1、A2のスイッチパターンを夫々特定する(S15)。次いで、CPU85は、特定した検出部A1、A2のスイッチパターンに基づき、テープカセット30の種類を特定する(S17)。CPU85は、処理をS1に戻す。
【0056】
ここで、S17の処理が実行された後、S1~S9の処理が実行され、全ての電圧値が基準電圧Vccであると判断された場合(S9:YES)を例示する。この場合、CPU85は、カセット装着部8に対してテープカセット30が未装着であると判断する(S11)。この時、CPU85は、カセット装着部8からテープカセット30が取り外されたと判断し、例えば「テープカセットが取り外されました」等のメッセージをディスプレイ5に報知する(S13)。
【0057】
つまり、テープカセット30がカセット装着部8から取り外された場合、CPU85は、接続位置DPの電圧値が基準電圧Vccよりも低い電圧値から、基準電圧Vccとなったことを検出する。この場合、CPU85は、検出部A1、A2の第1スイッチS[1]、第2スイッチS[2]が全てオフされたと判定する。
【0058】
<本実施形態の作用、効果>
以上説明したように、第1部分検出回路P[1]、第2部分検出回路P[2]は、第1ポート接続抵抗Rb[1]、第2ポート接続抵抗Rb[2]の他端同士が接続位置DPで接続される。接続位置DPは、MUX115を介して、AD13に接続される。また、2つの検出部A1、A2の各々の第1ポート接続抵抗Rb[1]、第2ポート接続抵抗Rb[2]の抵抗値は、互いに相違する。このような構成とすることにより、印刷装置1は、スイッチパターンに対応して出力される電圧値の範囲を広く設定でき、より多くのスイッチパターンを検出可能となる。
【0059】
CPU85は、接続位置DPの電圧値に基づき、第1スイッチS[1]、第2スイッチS[2]の夫々のオンオフを検出して、スイッチパターンを検出する。印刷装置1は、接続位置DPの電圧値を検出するだけで、オンオフを検出し、スイッチパターンを容易に検出できる。
【0060】
MUX115には、2つの入力ポートの各々に検出部A1、A2が接続される。また、MUX115は、検出部A1、A2との接続を入力ポート毎に選択可能である。制御部81は、MUX115を選択制御することで、入力ポート毎に接続された検出部A1、A2を順次選択し、検出部A1、A2毎に接続位置DPの電圧値を検出する。CPU85は、各接続位置DPの電圧値に基づき、スイッチパターンを検出する。故に、印刷装置1は、より多くのスイッチパターンを検出できる。
【0061】
CPU85は、接続位置DPの電圧値が基準電圧Vccであると判定した場合、全ての検出部A1、A2の第1スイッチS[1]、第2スイッチS[2]がオフ状態であると判定する。印刷装置1は、接続位置DPの電圧値が基準電圧Vccであるかを判定するだけで、全ての第1スイッチS[1]、第2スイッチS[2]がオフ状態であることを、容易に判定できる。
【0062】
CPU85は、接続位置DPの電圧値が、基準電圧Vccから基準電圧Vccよりも低い電圧値になったと判定した場合、検出部A1、A2の第1スイッチS[1]、第2スイッチS[2]の少なくとも何れかがオンされたと判定する。印刷装置1は、接続位置DPの電圧値を検出するだけで、スイッチの何れかがオンされたことを容易に検出できる。
【0063】
CPU85は、接続位置DPの電圧値が基準電圧Vccよりも低い電圧値から、基準電圧Vccとなったことを検出した場合、全ての部分検出回路P[1]、P[2]のスイッチがオフされたと判定する。印刷装置1は、接続位置DPの電圧値を検出するだけで、全てのスイッチがオフされたことを、容易に検出できる。
【0064】
スイッチパターンは、印刷装置1に装着されるテープカセット30の種類毎に異なる。CPU85は、接続位置DPの電圧値に基づき、スイッチパターンを検出する。CPU85は、検出されたスイッチパターンに基づき、テープカセット30の種類を検出する。印刷装置1は、検出されたスイッチパターンに基づき、テープカセット30の種類を検出できる。
【0065】
<印刷装置1A>
図7を参照して、第1変形例における印刷装置1Aについて説明する。第1実施形態と異なる部材には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。また、以下説明では第1実施形態とは異なる点について詳細に説明する。第1変形例における印刷装置1Aでは、検出回路CT1の代わりに、検出回路CT2が設けられる点が異なる。
【0066】
<検出部B1(B2)>
検出回路CT2は、検出部B1、B2を備える。検出部B1、B2は、同一の回路であり、MUX115の2つの入力ポートに夫々並列接続されている。以下の説明では、検出部B1について詳細に説明する。
【0067】
検出部B1は、第1部分検出回路P[1]と第2部分検出回路P[2]に加えて、第3部分検出回路P[3]を備える。第1部分検出回路P[1]と第2部分検出回路P[2]は、第1実施形態と同一であるので、説明は省略する。
【0068】
第3部分検出回路P[3]は、第3スイッチS[3]、第3電源抵抗Ra[3]、第3ポート接続抵抗Rb[3]を備える。第3スイッチS[3]の一端は、グラウンドGNDに接続される。第3電源抵抗Ra[3]の一端は、第2スイッチS[2]の他端と接続される。第3電源抵抗Ra[3]の他端は、基準電圧Vccが印加される。第3ポート接続抵抗Rb[3]の一端は、第3スイッチS[3]の他端と接続される。第1ポート接続抵抗Rb[1]、第2ポート接続抵抗Rb[2]、第3ポート接続抵抗Rb[3]の他端同士は、接続位置DPで接続される。
【0069】
ここで、第1電源抵抗Ra[1]~第3電源抵抗Ra[3]、及び第1ポート接続抵抗Rb[1]~第3ポート接続抵抗Rb[3]は、以下の条件を満たすように、各抵抗値が設定されている。
【0070】
各抵抗値が満たすべき条件として、第1条件~第3条件が規定される。第1条件は、b[1]>b[2]>b[3]となる条件である。第2条件は、b[1]/b[2]、及び、b[2]/b[3]が2±10%となる条件である。第3条件は、a[1]≧a[2]≧a[3]である。
【0071】
ここで、a[1]は、第1電源抵抗Raの抵抗値である。b[1]は、第1ポート接続抵抗Rb[1]の抵抗値である。a[2]は、第2電源抵抗Ra[2]の抵抗値である。b[2]は、第2ポート接続抵抗Rb[2]の抵抗値である。a[3]は、第3電源抵抗Ra[3]の抵抗値である。b[3]は、第3ポート接続抵抗Rb[3]の抵抗値である。
【0072】
各抵抗値は、第1条件を満たし、且つ第2条件、及び、第3条件のうち少なくとも何れかを満たすように設定される。これにより、各スイッチパターンに対応する条件A~H(
図8(b)参照)の電圧値を、基準電圧VccからグラウンドGNDの範囲で、均等の間隔で調整可能となる。
【0073】
上記条件を満たす一例として、例えば第1電源抵抗Ra[1]~第3電源抵抗Ra[3]の抵抗値は、10kΩに設定される(
図8(a)参照)。また、第1ポート接続抵抗Rb[1]~第3ポート接続抵抗Rb[3]の抵抗値は、夫々、142kΩ、68kΩ、33kΩに設定される(
図8(a)参照)。なお、検出部B1(B2)の第1ポート接続抵抗Rb[1]~第3ポート接続抵抗Rb[3]の抵抗値は、互いに相違する。
【0074】
ここで、検出部B1、B2における接続位置DPの各電圧値は、第1スイッチS[1]~第3スイッチS[3]のオンオフの組み合わせを示すスイッチパターンに応じて変化する。
【0075】
図8(b)に示すように、条件Aは、第1スイッチS[1]がオフ状態、第2スイッチS[2]がオフ状態、且つ第3スイッチS[3]がオフ状態である。この場合、接続位置DPの電圧値は、例えば3.288Vである。なお、3.288Vは、基準電圧Vccと略同じ電圧である。
【0076】
また、条件Hは、第1スイッチS[1]がオン状態、第2スイッチS[2]がオン状態、且つ第3スイッチS[3]がオン状態である。この場合、接続位置DPの電圧値は、例えば0.01Vである。ここで、0.01Vは、グラウンドGNDと略同一の電圧である。
【0077】
また、詳細な説明は省略するが、条件B~条件Gは、各スイッチの組み合わせに毎に出力される電圧値が段階的に低くなるよう調整される。従って、条件A~条件Hは、各スイッチのスイッチパターンにより、基準電圧Vcc~グラウンドGNDまでの範囲で、出力される電圧値が段階的に設定されている。
【0078】
制御部81は、MUX115を選択制御することで検出部B1を選択する。AD13は、検出部B1の接続位置DPにおける電圧値を検出する。また、制御部81は、MUX115を選択制御することで検出部B2を選択する。AD13は、検出部B2の接続位置DPにおける電圧値を検出する。制御部81は、テーブルB(
図8(b))を参照して、接続位置DPにおける各電圧値に基づき、スイッチパターンを検出する。制御部81は、検出したスイッチパターンに基づき、スイッチパターンに割り当てわれたテープカセット30の種類を特定する。
【0079】
なお、検出部B1、B2が実現するスイッチパターンは夫々8通りである。従って、スイッチパターンは、2つの検出部B1、B2により、64通りである。故に、印刷装置1Aは、テープカセット30が未装着であることを検出でき、且つ63種類のテープカセット30を識別可能となる。
【0080】
以上説明したように、複数の検出部B1、B2は、第1条件を満たし、且つ第2条件、及び、第3条件のうち少なくとも何れかを満たすよう調整されている。故に、検出回路CT3は、各スイッチパターンにおける電圧値を均等に調整できる。
【0081】
<印刷装置1B>
図9を参照して、第2実施形態の印刷装置1Bについて説明する。第1実施形態と同じ部材は、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。以下、説明において、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。第2実施形態の印刷装置1Bは、検出回路CT1の代わりに、検出回路CT3を備える点が異なる。
【0082】
<検出部C1(C2)>
検出回路CT3は、検出部C1、C2を備える。検出部C1、C2の回路構成は同一である。従って、以下の説明では、検出部C1について説明する。
【0083】
検出部C1は、第1部分検出回路P[1]、第2部分検出回路P[2]を備える。第1部分検出回路P[1]は、第1電源抵抗Ra[1]、第1スイッチS[1]を備える。なお、第1電源抵抗Ra[1]、第1スイッチS[1]は、第1実施形態と同一の部材であるので、詳細な説明は省略する。
【0084】
第2部分検出回路P[2]は、第2電源抵抗Ra[2]、第2スイッチS[2]、第2可変抵抗Rx[2]を備える。第2電源抵抗Ra[2]、第2スイッチS[2]は、第1実施形態と同一の部材であるので、詳細な説明は省略する。
【0085】
第2可変抵抗Rx[2]は、第1端子L1~第3端子L3を備える。第2可変抵抗Rx[2]の第1端子L1は、第1スイッチS[1]の他端と接続される。第2可変抵抗Rx[2]の第2端子L2は、第2スイッチS[2]の他端と接続される。第2可変抵抗Rx[2]の第3端子L3は、MUX115の入力ポートに接続される。
【0086】
第2可変抵抗Rx[2]は、摺動抵抗であり、抵抗体と摺動子とを備える。抵抗体に対して、摺動子を摺動させることで、内部の抵抗値が切り替わる。摺動子により切り替えられた一方の抵抗部は第1可変抵抗値Raを有し、他方の抵抗部は第2可変抵抗値Rbを有する(
図9(b)参照)。第2可変抵抗Rx[2]において、第1可変抵抗値Ra及び第2可変抵抗値Rbの加算値は常に一定となる。
【0087】
第1可変抵抗値Raは、第1端子L1と第3端子L3との間の抵抗の抵抗値である。第2可変抵抗値Rbは、第3端子L3と第2端子L2との間の抵抗の抵抗値である。
【0088】
ここで、第1可変抵抗値Raは、第1実施形態の第1ポート接続抵抗Rb[1]と同一の抵抗値となるよう、調整されている。また、第2可変抵抗値Rbは、第1実施形態の第2ポート接続抵抗Rb[2]の値と同じ値となるよう、調整されている。これにより、第2実施形態の検出部C1(C2)は、第1実施形態の検出部A1(A2)と等価回路を構成する。
【0089】
検出部C1(C2)が検出部A1(A2)と等価であるので、第3端子L3の電圧値は、各スイッチのスイッチパターンに応じて、第1実施形態の接続位置DPの電圧値と同じ値を出力する(
図5(b)参照)。従って、制御部81は、第3端子L3の電圧値に基づきスイッチパターンを検出でき、且つスイッチパターンに基づきテープカセット30の種類を検出できる。
【0090】
<印刷装置1C>
図10を参照して、第2変形例における印刷装置1Cについて説明する。第2実施形態と異なる部材には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。また、以下説明では第2実施形態とは異なる点について詳細に説明する。第2変形例における印刷装置1Cは、検出回路CT3の代わりに、検出回路CT4を備える点が異なる。
【0091】
<検出部D1(D2)>
検出回路CT4は、2つの検出部D1、D2を備える。検出部D1、D2は、同一の回路であり、MUX115の2つの入力ポートに夫々並列接続されている。以下、検出部D1、D2は同一の回路構成であるので、検出部D1について説明する。
【0092】
検出部D1は、第1部分検出回路P[1]と第2部分検出回路P[2]に加えて、第3部分検出回路P[3]を備える。第1部分検出回路P[1]と第2部分検出回路P[2]は、第2実施形態と同一であるので、説明は省略する。
【0093】
第3部分検出回路P[3]は、第3スイッチS[3]、第3電源抵抗Ra[3]、第3可変抵抗Rx[3]を備える。第3スイッチS[3]の一端は、グラウンドGNDに接続される。第3電源抵抗Ra[3]の一端は、第3スイッチS[3]の他端と接続される。第3電源抵抗Ra[3]の他端は、基準電圧Vccが印加される。
【0094】
第3可変抵抗Rx[3]は、第1端子L1~第3端子L3を備える。第3可変抵抗Rx[3]の第1端子L1は、第2スイッチS[2]の他端と接続される。第3可変抵抗Rx[3]の第2端子L2は、第3スイッチS[3]の他端と接続される。第3可変抵抗Rx[3]の第3端子L3は、MUX115の入力ポートに接続される。
【0095】
第3可変抵抗Rx[3]は、摺動抵抗であり、抵抗体と摺動子とを備える。抵抗体に対して、摺動子を摺動させることで、内部の抵抗値が切り替わる。摺動子により切り替えられた一方の抵抗部は第1可変抵抗値Rcを有し、他方の抵抗部は第2可変抵抗値Rdを有する(
図10(b)参照)。第3可変抵抗Rx[3]の抵抗値において、第1可変抵抗値Rc及び第2可変抵抗値Rdの加算値は常に一定となる。
【0096】
第1可変抵抗値Rcは、第1端子L1と第3端子L3との間の抵抗の抵抗値である。第2可変抵抗値Rdは、第3端子L3と第2端子L2との間の抵抗の抵抗値である。
【0097】
ここで、第1可変抵抗値Raは、第1変形例の第1ポート接続抵抗Rb[1]と同一の抵抗値となるよう、調整されている。また、第2可変抵抗値Rbと第1可変抵抗値Rcとの和は、第1変形例の第2ポート接続抵抗Rb[2]の値と同じ抵抗値となるよう、調整されている。また、第2可変抵抗値Rdは、第1変形例の第3ポート接続抵抗Rb[3]と同じ抵抗値となるよう、調整されている。これにより、第2実施形態の検出部D1(D2)は、第1変形例の検出部B1(B2)と等価回路を構成する。
【0098】
検出部D1(D2)が検出部B1(B2)と等価であるので、第3端子L3の電圧値は、各スイッチのスイッチパターンに応じて、第1変形例の接続位置DPの電圧値と同じ値を出力する(
図8(b)参照)。従って、制御部81は、第1変形例と同様に、テーブルB(
図8(b)参照)を参照して、接続位置DPの電圧値に基づきスイッチパターンを検出でき、且つスイッチパターンに基づきテープカセット30の種類を検出できる。
【0099】
以上説明したように、第2変形例における検出回路CT4は、第2可変抵抗Rx[2]、第3可変抵抗Rx[3]を用いて、第1変形例の検出回路CT2と等価の回路を実現する。故に、印刷装置1は、第1変形例と同様に、スイッチパターンを検出でき、テープカセット30の種類を特定できる。
【0100】
<一般化>
ここで、
図11を参照して、部分検出回路がN個設けられ、N-1個の可変抵抗が設けられる場合を想定する。検出部E1、E2は、夫々、N個(Nは2以上の整数)の部分検出回路である第1部分検出回路P[1]・・・第N部分検出回路P[N]を備える。なお、第1部分検出回路P[1]は、第2実施形態及び第2変形例の第1部分検出回路P[1]と同一である。
【0101】
第n-1(nは、2以上N以下の何れかの整数)部分検出回路P[n-1]は、第n-1電源抵抗Ra[n-1]、第n-1スイッチS[n-1]、第n-1可変抵抗Rx[n-1]を備える。第n-1スイッチS[n-1]の一端は、グラウンドGNDに接続する。第n-1電源抵抗Ra[n-1]の一端は、第n-1スイッチS[n-1]の他端に接続する。第n-1電源抵抗Ra[n-1]の他端は、基準電圧Vccが印加される。
【0102】
第n部分検出回路P[n]は、第n電源抵抗Ra[n]、第nスイッチS[n]、第n可変抵抗Rx[n]を備える。第nスイッチS[n]の一端は、グラウンドGNDに接続する。第n電源抵抗Ra[n]の一端は、第nスイッチS[n]の他端に接続する。第n電源抵抗Ra[n]の他端は、基準電圧Vccが印加される。
【0103】
第n可変抵抗Rx[n]の第1端子L1は、第n-1スイッチS[n-1]の他端に接続される。第n可変抵抗Rx[n]の第2端子L2は、第nスイッチS[n]の他端に接続される。
【0104】
第n-1可変抵抗Rx[n-1]の第3端子L3と第n可変抵抗Rx[n]の第3端子L3は、接続位置DPで接続されている。接続位置DPは、MUX115の入力ポートに接続されている。
【0105】
ここで、例えばN=2の場合には、第n-1可変抵抗Rx[n-1]及び第n可変抵抗Rx[n]の第1可変抵抗値Ra1、Rc1と第2可変抵抗値Rb1、Rd1は、第2実施形態と同様に抵抗値が夫々設定される。また、N=3の場合には、第1可変抵抗値Ra1、Rc1と第2可変抵抗値Rb1、Rd1は、第2変形例と同様に夫々の抵抗値が夫々設定される。
【0106】
また、N=4以上の場合において、各抵抗値が適宜設定されることで、制御部81は、基準電圧VccとグラウンドGNDとの間の範囲内で、接続位置DPに発生する電圧値を、2N個のスイッチパターンに応じて均等に設定可能である。
【0107】
以上説明したように、第n-1部分検出回路P[n-1]の第n-1スイッチS[n-1]の他端は、第n部分検出回路P[n]の第n可変抵抗Rx[n]の第1端子L1が接続される。第n部分検出回路P[n]の第nスイッチS[n]の他端は、第n部分検出回路P[n]の第n可変抵抗Rx[n-1]の第2端子L2が接続される。第n可変抵抗Rx[n]の第3端子L3はMUX115の入力ポートに接続されている。本構成により、印刷装置1は、スイッチパターンに対応して出力される電圧値の範囲を広く設定でき、より多くのスイッチパターンを検出可能となる。
【0108】
第n可変抵抗Rx[n]は、抵抗体と摺動子とを備える。印刷装置1は、第n可変抵抗Rx[n]により、電源抵抗の部品点数を減らすことができる。また、抵抗体と摺動子を調整することで、第1可変抵抗値Rc1と第2可変抵抗値Rd1を調整できる。故に、検出部E1、E2は、設計自由度が高い。
【0109】
<変形例>
上記実施形態及び変形例の印刷装置1は、種々の変更が可能である。上記印刷装置1、1A、1B、1Cでは、MUX115が設けられたが、
図12に示す第3変形例の印刷装置1DのようにMUX115はなくてもよい。印刷装置1Dは、制御部81A、及び検出回路CT5を備え、且つMUX115がない点が第1実施形態とは異なる。
【0110】
制御部81Aは、2つのAD13A、13Bを備える。2つの検出部A1、A2は、MUX115の入力ポートに接続される代わりに、AD13A、AD13Bのポートに夫々接続される。
【0111】
AD13Aは、検出部A1の接続位置DP(
図4(b)参照)の電圧値を検出する。また、AD13Bは、検出部A2の接続位置DPの電圧値を検出する。制御部81Aは、AD13A、AD13Bが検出した電圧値を夫々取得する。2つの検出部A1、A2の構成は、第1実施形態と同じであるので、制御部81Aは、各接続位置DPの電圧値に基づき、テーブルA(
図5(b)参照)して、第1実施形態と同様にスイッチパターンを検出する。制御部81Aは、スイッチパターンに基づき、テープカセット30の種類を特定する。
【0112】
以上の場合、印刷装置1Aは、AD13A、AD13Bの各ポートに2つの検出部A1、A2を夫々接続できるので、より多くのスイッチパターンを検出できる。なお、印刷装置1A~1Cについても、同様の変更が可能である。
【0113】
上記印刷装置1では、2つの検出部A1、A2が夫々設けられたが、例えば1つの検出部A1のみ接続されてもよい。この場合、4つのスイッチパターンに応じて、接続位置DPの電圧値が設定される。この場合においても、印刷装置1は、4つのテープカセット30の種類を特定できる。また、接続位置DPの電圧値は、基準電圧Vcc~グラウンドGDNの範囲で設定可能である。この場合、印刷装置は、設定する電圧値との間隔がより広くなるので、スイッチパターンが誤検出されにくくなる。なお、印刷装置1A~1Dについても、同様の変更が可能である。
【0114】
また、検出回路CT1は、3以上の検出部A1により構成されてもよい。この場合、制御部81は、更に多くのスイッパターンを検出することが可能となる。検出回路CT2~CT5についても、同様の変更が可能である。検出回路CT1は、各検出部A1、B1、C1、D1を組み合わせて構成されていてもよい。例えば、検出部A1と検出部B1が組み合わされ、MUX115に夫々接続されてもいし、検出部B1と検出部D1が組み合わされてMUX115に夫々接続されてもよい。
【0115】
上記印刷装置1、1Aは、
図5(a)、
図8(a)のように、第1電源抵抗Ra[1]~第3電源抵抗Ra[3]、第1ポート接続抵抗Rb[1]~第3ポート接続抵抗Rb[2]の各抵抗値が設定されたが、適宜変更してもよい。
【0116】
第2可変抵抗Rx[2]~第N可変抵抗Rx[N]は、手動で抵抗値を調整する摺動抵抗であったが、デジタルポテンショメータであってもよい。これにより、制御部81は、デジタル制御により抵抗体に対する摺動子の位置をデジタル制御する。従って、制御部81は、デジタルポテンショメータをデジタル制御することで、第n可変抵抗Rx[n]の抵抗値を調整できる。故に、印刷装置1B、1Cは、設計自由度が高いものとなる。
【0117】
上記説明にて、AD13、AD13A、13Bのポートは、本発明の「ポート」の一例である。第1電源抵抗Ra[1]、第2電源抵抗Ra[1]、第3電源抵抗Ra[3]は、本発明の「電源抵抗」の一例である。第1ポート接続抵抗Rb[1]、第2ポート接続抵抗Rb[2]、第3ポート接続抵抗Rb[3]は、本発明の「ポート接続抵抗」の一例である。MUX115は、本発明の「選択制御部」の一例である。MUX115の入力ポートは、本発明の「入力ポート」の一例である。
【符号の説明】
【0118】
1 印刷装置
81 制御部
85 CPU
86 ROM
88 RAM
115 MUX
P[1]、P[2]、P[3]、P[n-1]、P[n] 部分検出回路
S[1]、S[2]、S[3]、S[n-1]、S[n] スイッチ
Ra[1]、Ra[2]、Ra[3]、Ra[n-1]、Ra[n] 電源抵抗
Rb[1]、Rb[2]、Rb[3] ポート接続抵抗
Rx[2]、Rx[3]、Rx[n-1]、Rx[n] 可変抵抗