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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022086197
(43)【公開日】2022-06-09
(54)【発明の名称】炭酸ガス供給装置
(51)【国際特許分類】
   A01G 9/18 20060101AFI20220602BHJP
   F23K 3/00 20060101ALI20220602BHJP
【FI】
A01G9/18
F23K3/00 302
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020198085
(22)【出願日】2020-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山路 啓貴
【テーマコード(参考)】
2B029
【Fターム(参考)】
2B029JA03
(57)【要約】
【課題】燃焼ガスを用いた炭酸ガス供給装置の高さ方向のサイズを抑制するとともに、装置内部の温度上昇を抑制する。
【解決手段】筐体101に格納された燃焼発生部100は、燃焼により発生した、二酸化炭素を含む燃焼ガスを排気口105から出力する。少なくとも燃焼発生部100の筐体101には、外部から空気を導入するための開口部106が設けられる。筐体201に格納された空気混合部200は、開口部12xが設けられた仕切板12を介して、筐体101に格納された燃焼発生部100の下部に配置される。空気混合部200は、排気口105からの燃焼ガスと、開口部12xを通過した空気を含む混合用空気との混合気を生成する。ダクトユニット30は、二酸化炭素を含む混合気を炭酸ガス発生装置1の外部へ供給する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭酸ガス供給装置であって、
筐体に格納されて、燃焼により発生した、二酸化炭素を含む燃焼ガスを排気口から出力する様に構成された燃焼ガス発生部と、
筐体に格納されて、前記燃焼ガス発生部の下部に配設された空気混合部と、
前記空気混合部と接続されて、前記空気混合部から前記炭酸ガス供給装置の外部に二酸化炭素を含む混合気を導出するための供給用ダクトとを更に備え、
少なくとも前記燃焼ガス発生部を格納する筐体には、当該筐体の外部から空気を導入するための第1の開口部が設けられ、
前記燃焼ガス発生部及び前記空気混合部の間には、前記燃焼ガス発生部及び前記空気混合部の間に通気経路を生じさせるための第2の開口部が設けられ、
前記空気混合部は、前記排気口からの前記燃焼ガスと、前記第2の開口部を通過した空気を含む混合用空気との前記混合気を生成する様に構成される、炭酸ガス供給装置。
【請求項2】
前記供給用ダクトには、前記空気混合部から前記混合気を吸引するための送風用ファンが配置される、請求項1記載の炭酸ガス供給装置。
【請求項3】
前記燃焼ガス発生部に設けられた前記第1の開口部から前記空気混合部までの経路において、前記空気の流路抵抗を増加するための流路抵抗部を更に備える、請求項2記載の炭酸ガス供給装置。
【請求項4】
前記第1の開口部は、前記空気混合部を格納する筐体には非形成とされる、請求項1~3のいずれか1項に記載の炭酸ガス供給装置。
【請求項5】
前記燃焼ガス発生部及び前記空気混合部の前記筐体は、一体的に形成される、請求項1~4のいずれか1項に記載の炭酸ガス供給装置。
【請求項6】
前記第2の開口部は、前記燃焼ガス発生部及び前記空気混合部を区画する仕切板にスリット形状で設けられ、
前記第1の開口部は、前記筐体のうちの、前記仕切板よりも上部側の領域に形成される一方で、前記仕切板よりも下部側の領域には非形成とされる、請求項5記載の炭酸ガス供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭酸ガス供給装置に関し、より特定的には、温室、ビニールハウス等の栽培室内に植えられた植物に炭酸ガス(二酸化炭素;CO)を供給する炭酸ガス供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、温室、ビニールハウス等の栽培室内に植えられた植物(農作物)に対して、燃料を燃焼した排気を用いた炭酸ガス(二酸化炭素)の供給装置が知られている。例えば、特開2020-130064号公報(特許文献1)には、熱源機から排出された燃焼ガスをダクトフード内に導入された空気と混合して、供給ダクトから出力する炭酸ガス供給装置が記載されている。
【0003】
特許文献1の炭酸ガス供給装置では、燃焼器が格納された缶体の下部に設けられた排気口には、筐体内の下部で折り返された後に上方へ延びるように排気ダクトが連結されており、燃焼ガスは、上記筐体の上部に配設されたダクトフードへ導かれる。又、ダクトフードに設けられた、空気導入用の開口部には、埃等を除去するためのカバー部材が設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-130064号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の構成では、排気ダクトを上下方向に折り曲げるスペースを設けることで、燃焼器の配置高さを確保することで、水害等で浸水が発生しても機器保護を図ることができる。一方で、配置高さを確保した燃焼器の上部にダクトフードが配設されるので、装置サイズが高さ方向に大型化する。そして、装置最上部に位置する供給ダクトから炭酸ガスが供給されるため、軒高の低い栽培室に対する炭酸ガス供給装置の配置が困難になることが懸念される。
【0006】
一方で、装置の小型化を図る際には、燃焼ガスの熱がこもり易くなるため、装置内部の温度上昇による部品寿命への影響を抑制することも必要である。
【0007】
本発明は、この様な問題点を解決するためになされたものであって、本発明の目的は、燃焼ガスを用いた炭酸ガス供給装置の高さ方向のサイズを抑制するとともに、装置内部の温度上昇を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある局面では、炭酸ガス供給装置であって、燃焼ガス発生部と、空気混合部と、供給用ダクトとを備える。燃焼ガス発生部は、筐体に格納されて、燃焼により発生した、二酸化炭素を含む燃焼ガスを排気口から出力する様に構成される。空気混合部は、筐体に格納されて、燃焼ガス発生部の下部に配設される。供給用ダクトは、空気混合部と接続されて、空気混合部から炭酸ガス供給装置の外部に二酸化炭素を含む混合気を導出するように構成される。少なくとも燃焼ガス発生部を格納する筐体には、当該筐体の外部から空気を導入するための第1の開口部が設けられる。燃焼ガス発生部及び空気混合部の間には、燃焼ガス発生部及び空気混合部の間に通気経路を生じさせるための第2の開口部が設けられる。空気混合部は、排気口からの燃焼ガスと、第2の開口部を通過した空気を含む混合用空気との混合気を生成する様に構成される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、燃焼ガスを用いた炭酸ガス供給装置において、空気混合部を燃焼ガス発生部の下部に配置することで高さ方向のサイズを抑制するとともに、第1の開口部から導入された空気が第2の開口部から空気混合部に導入される経路を形成することで、燃焼ガス発生部の内部に空気を通すことにより装置内部の温度上昇を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施の形態に係る炭酸ガス供給装置の設置例を模式的に示す図である。
図2】本実施の形態に係る炭酸ガス供給装置の構成を説明するための概念的な断面図である。
図3図2中の空気混合部200の平面断面図及び側面断面図である。
図4図2中の仕切板の平面図である。
図5】本実施の形態に係る炭酸ガス供給装置の制御構成を説明するためのブロック図である。
図6】本実施の形態の変形例に係る炭酸ガス供給装置の構成を説明するための概念的な断面図である。
図7】通気経路に設けられる流路抵抗部の構成例を説明するための概念的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下では図中の同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は原則的に繰返さないものとする。
【0012】
図1は、本実施の形態に係る炭酸ガス供給装置の設置例を模式的に示す図である。
【0013】
本実施の形態に係る炭酸ガス供給装置1は、温室、ビニールハウス等の栽培室2に設置されて、栽培室2内で育成される農作物等の植物に炭酸ガス(二酸化炭素)を供給する。炭酸ガスの供給により、植物の光合成が促進される。
【0014】
炭酸ガス供給装置1は、燃焼式の熱源機10と、空冷式の放熱機20と、ダクトユニット30とを備える。熱源機10は栽培室2内に設置され、放熱機20は栽培室2の外、即ち屋外に設置される。ダクトユニット30は、熱源機10に接続されて、植物の近傍へ向けて延在するように配設される。ダクトユニット30によって、炭酸ガス供給装置1の外部の植物の近くに二酸化炭素が導かれる。ダクトユニット30は「供給用ダクト」の一実施例に対応する。
【0015】
尚、図1の例では、栽培室2は、植物が栽培される部屋と熱源機10が設置される部屋とに区切られていない。即ち、熱源機10は、植物が栽培される部屋に設置される。或いは、栽培室2は、上記2つの部屋に区切られていてもよい。この場合、熱源機10が設置された部屋から植物が栽培される部屋へとダクトユニット30が配設されることになる。
【0016】
次に、図2図4を用いて、炭酸ガス供給装置1の構成を説明する。図2は、炭酸ガス供給装置1の構成を示す概略図である。図3(a)は、空気混合部200の平面断面図であり、図3(b)は、図3(a)中のB-B´線で切断された空気混合部200の側面断面図である。
【0017】
図2を参照して、熱源機10及び放熱機20は、栽培室2の床面及び屋外の地面に設けられた一対ずつの設置ブロック41及び42を用いて設置される。
【0018】
熱源機10は、燃焼により発生した、二酸化炭素を含む燃焼ガスを排出する燃焼ガス発生部100と、燃焼ガス発生部100の下部に配置される空気混合部200とを含む。空気混合部200は、燃焼ガス発生部100から排出された燃焼ガスに、熱源機10の外部から導入された空気(栽培室2内の空気)を混合する。
【0019】
熱源機10は、略方形の箱状を有する筐体11を備える。筐体11の内部には、当該内部を区画する仕切板12が設けられ、仕切板12よりも上側が、燃焼ガス発生部100の筐体101を構成する一方で、仕切板12よりも下側が、空気混合部200の筐体201を構成する。
【0020】
仕切板12は、燃焼ガス発生部100の筐体101の底面と、空気混合部200の筐体201の天面とを兼ねる。熱源機10において、燃焼ガス発生部100は、空気混合部200の筐体201によって下方から支えられる。即ち、空気混合部200は、燃焼ガス発生部100を載置するための架台としての機能も有している。
【0021】
燃焼ガス発生部100は、箱状の筐体101内に格納された、缶体102を備える。缶体102内には、上から順に、燃焼ファン110と、燃焼器120と、熱交換器130とが配置される。
【0022】
燃焼ファン110は、例えば、遠心ファンであり、ファン111と、ファン111を回転駆動するモータ112とを含んで構成される。燃焼器120は、燃料供給管121を介して、燃料(例えば、灯油)が貯留された燃料タンク(図示せず)と接続される。燃料供給管121には、供給ポンプ122が配設されており、供給ポンプ122の作動によって、燃料が燃焼器120に導入される。燃焼器120には、気化ヒータ123及びイグナイタ124が設けられる。尚、燃焼ファン110及び燃焼器120は1ユニット化されて缶体102内に配置されてもよい。
【0023】
熱交換器130には、往き管131及び戻り管132が接続される。往き管131及び戻り管132は、缶体102及び筐体101の外に出て、放熱機20側へと延在するように設けられる。戻り管132には、循環ポンプ133が設けられる。
【0024】
放熱機20は、筐体21内に配置された、熱交換器22、及び、熱交換器22を冷却するための冷却ファン23を備える。熱交換器22には、熱源機10側から延びる往き管131と戻り管132が接続される。冷却ファン23は、例えば、軸流ファンであり、ケーシング23a、ケーシング23a内に配置されるファン23b、及び、ファン23bを回転駆動するモータ23cを含む。
【0025】
缶体102の上面には、給気口103が形成される。更に、缶体102の下面には、下方へ延在する円筒状の排気ダクト104が設けられる。図3(a)及び(b)に示される様に、排気ダクト104は、仕切板12を貫通し、その排出口105が空気混合部200の筐体201の内部に臨む。排気ダクト104の排出口105は、網目を有するカバー部材108によって覆われる。カバー部材108によって、排出口105を経由した、燃焼ガス発生部100側への埃等の侵入が抑制される。
【0026】
図4には、図2中の仕切板12の平面図が示される。
【0027】
図4を参照して、仕切板12は、燃焼ガス発生部100(筐体101)及び空気混合部200(筐体201)を区画するために、筐体11の断面形状に相当する矩形の外周形状を有する。更に、仕切板12には、排気ダクト104を貫通させるための貫通穴12zと、通気のための開口部12xが設けられている。
【0028】
開口部12xによって、炭酸ガス供給装置の内部(燃焼ガス発生部100及び空気混合部200の間)に通気経路を設けることができる。即ち、燃焼ガス発生部100の内部に空気が通る様にすることができるとともに、燃焼ガス発生部100に導入された空気の一部を、「混合用空気」として空気混合部200へ導入することが可能となる。即ち、開口部12xは、「第2の開口部」の一実施例に対応する。開口部12xの配置個数及び形状は、所望の通気量が確保される様に任意に設計可能である。
【0029】
再び、図2を参照して、筐体101には、前後左右の4つの側面のうち対向する2つの側面、例えば、左右の側面に、方形状を有する給気用の開口部106が形成される。図2の例では、左右の側面の各々に、複数の開口部106が設けられている。開口部106を設けることによって、筐体101の外部から空気(外気)を燃焼ガス発生部100へ導入することができる。即ち、開口部106は「第1の開口部」の一実施例に対応する。
【0030】
各開口部106には、網目を有するカバー部材107を設けることができる。カバー部材107により、開口部106から導入される空気とともに、埃等が開口部106を通じて筐体101内に侵入することを抑制できる。
【0031】
空気混合部200は、箱状の筐体201と、筐体201内において固定台220上に配置された取込ダクト210とを備える。筐体201の左右側面のそれぞれの下部には、ダクトユニット30の供給ダクト310を、空気混合部200、即ち取込ダクト210に接続するための接続口部204が形成される。
【0032】
左右の接続口部204のうち、供給ダクト310の接続に非使用の接続口部204(例えば、図2中右側)は、蓋205により閉じられる。これにより、使用しない接続口部204からの筐体201内への空気の出入りが防止される。
【0033】
図3(a),(b)に示される様に、取込ダクト210は、筐体201内において、排気ダクト104の排出口105の下方に横たわるように配置された円筒状の管である。これに対応して、図1中の接続口部204は、円形の開口部として設けられる。
【0034】
取込ダクト210は、周面の上側の中央部に円形の流入口211を有し、左右双方の端面に流出口212を有する。流入口211の開口面積(口径)は、排出口105の開口面積(口径)よりも大きくされている。
【0035】
また、図3(a)に示される様に、流入口211の中心は、排出口105の中心からずらされている。右側の流出口212は、筐体201の右側面の接続口部204に対応して、当該接続口部204と対向する位置に取り付けられる。左側の流出口212は、筐体201の左側面の接続口部204に対応して、当該接続口部204と対向する位置に取り付けられる。一方の流出口212に対して、対応する接続口部204を貫通した供給ダクト310が接続される。上述の様に、供給ダクト310が接続されない流出口212は、燃焼ガスが流出しないよう、蓋213により閉じられる。
【0036】
図3(a),(b)に示される様に、取込ダクト210は、筐体201の底面に設けられた固定台220に固定される。取込ダクト210には、周面の前後両側にフランジ部214が設けられ、このフランジ部214がボルト215により固定台220に止められる。なお、ボルト215に代えてビスが用いられてもよい。
【0037】
再び図2を参照して、ダクトユニット30は、供給ダクト310と、送風ファン320とを含む。供給ダクト310は、第1ダクト311と第2ダクト312とで構成され、第1ダクト311及び第2ダクト312の間に送風ファン320が設けられる。第1ダクト311は、一端が空気混合部200の取込ダクト210の流出口212に接続されるとともに、他端が送風ファン320に接続される。第2ダクト312は、一端が送風ファン320に接続される。第2ダクト312には、他端側の栽培室2内の植物に対応する位置に、複数の放出口313が形成される。
【0038】
送風ファン320は、例えば、遠心ファンで構成される。送風ファン320は、ケーシング321と、ケーシング321内に配されたファン322と、ファン322を回転駆動するモータ323とを含む。
【0039】
ケーシング321は吸込口321a及び吐出口321bを有する。吸込口321aは第1ダクト311に接続されるとともに、吐出口321bは第2ダクト312に接続される。モータ323には、当該モータ323に過電流が流れたことを検出する過電流センサ324が設けられる。送風ファン320では、モータ323に過電流が流れると、モータ323が停止するので、ファン322が停止する。
【0040】
炭酸ガス供給装置1は、熱源機10、放熱機20、及び、ダクトユニット30に加えて、CO濃度センサ50と、CO検出ユニット60とを更に備える。
【0041】
CO濃度センサ50は、栽培室2内において、供給ダクト310の放出口313と離れた位置に配置されて、栽培室2内、特に、植物の周囲のCOを検出する。
【0042】
CO検出ユニット60は、CO警報器61及びサンプリング管62を含む。CO警報器61は、サンプリング管62を介して、送風ファン320のケーシング321における吐出口321bの近傍に接続される。供給ダクト310を流れる燃焼ガスの一部が、サンプリングガスとして、サンプリング管62を通じてCO警報器61に導入される。CO警報器61は、CO濃度センサ(図示せず)によって、サンプリングガス中のCO(一酸化炭素)の濃度を検出する。CO警報器61は、検出されたCO濃度が許容値を超える場合には、警報信号を出力する。
【0043】
図5は、本実施の形態に係る炭酸ガス供給装置1の制御構成を説明するためのブロック図である。
【0044】
図5を参照して、熱源機10は、図2の構成に加えて、制御部15、燃焼ファン駆動部152、供給ポンプ駆動部153、ヒータ駆動部154、イグナイタ駆動部155、及び、循環ポンプ駆動部156を備える。制御部15は、例えば、マイクロコンピュータによって構成されて、燃焼ファン駆動部152、供給ポンプ駆動部153、ヒータ駆動部154、イグナイタ駆動部155、及び、循環ポンプ駆動部156等を制御する。
【0045】
燃焼ファン駆動部152は、制御部15からの制御信号に従って、燃焼ファン110(モータ112)を駆動する。供給ポンプ駆動部153は、制御部15からの制御信号に従って、供給ポンプ122を駆動する。ヒータ駆動部154は、制御部15からの制御信号に従って、気化ヒータ123を駆動する。イグナイタ駆動部155は、制御部15からの制御信号に従って、イグナイタ124を駆動する。循環ポンプ駆動部156は、制御部15からの制御信号に従って、循環ポンプ133を駆動する。
【0046】
放熱機20は、図2の構成に加えて、制御部24、ファン駆動部25、及び、回転数センサ26を備える。制御部24は、例えば、マイクロコンピュータによって構成される。制御部24には、回転数センサ26が検出した冷却ファン23の回転数に基づく回転数信号が入力される。制御部24は、ファン駆動部25等を制御する。
【0047】
ファン駆動部25は、制御部24からの制御信号に従って、冷却ファン23(モータ23c)を駆動する。例えば、ファン駆動部25は、回転数センサ26で検出された回転数に基づいてモータ23cに供給する電流を調整する。
【0048】
炭酸ガス供給装置1は、熱源機10の近傍位置に設置された操作盤70を更に備える。操作盤70は、制御部71、操作部72、及び、供給ファン駆動部73を備える。
【0049】
制御部71は、例えば、マイクロコンピュータによって構成されて、供給ファン駆動部73等を制御する。操作部72は、CO供給運転を開始させるための開始ボタン、CO供給運転を停止させるための停止ボタン等の操作ボタンを含み、操作された操作ボタンに応じた操作信号を制御部71に出力する。供給ファン駆動部73は、制御部71からの制御信号に従って、送風ファン320(モータ323)を駆動する。
【0050】
制御部71は、信号線等を介して、送風ファン320の過電流センサ324、CO濃度センサ50、CO警報器61等と接続される。送風ファン320のモータ323に過電流が流れてモータ323が異常停止すると、過電流センサ324から検出信号が制御部71へ出力される。又、制御部71には、CO濃度センサ50からCO濃度に応じた検出信号が入力され、CO警報器61から警報信号が入力される。更に、制御部71は、信号線等を介して、熱源機10の制御部15及び放熱機20の制御部24と通信可能に接続される。
【0051】
炭酸ガス供給装置1は、以下に説明する炭酸ガス(CO)供給運転を行う。
【0052】
図5に示された操作盤70において、操作部72による運転開始の操作が行われると、制御部71から熱源機10の制御部15及び放熱機20の制御部24に対して、運転を指示する運転信号が出力される。熱源機10では、制御部15は、運転信号を受けて、燃焼ファン110を動作させる。
【0053】
図2を参照して、燃焼ファン110の作動に応じて、筐体101に設けられた開口部106から、筐体101外部の空気が導入される。当該空気の一部は、図2中に実線の矢印(白抜き)で示す様に、給気口103を経由して、缶体102内に導入される。缶体102に導入された空気は、燃焼用空気として、燃焼器120に供給される。
【0054】
又、制御部15(図4)は、供給ポンプ122、気化ヒータ123、及び、イグナイタ124を動作させる。これにより、燃焼器120に燃料タンクから燃料供給管121を通じて燃料が供給され、供給された燃料が気化ヒータ123により気化される。イグナイタ124により点火が行われ、燃焼器120が燃焼する。燃焼器120の燃焼により、COを含む高温の燃焼ガスが発生する。
【0055】
燃焼ガスは、缶体102内を下方へ流れ、熱交換器130を通過する。制御部15は、循環ポンプ133を動作させる。これにより、熱交換器130と、往き管131と、放熱機20側の熱交換器22と、戻り管132との間で熱媒である水が循環する。熱交換器130を通過する燃焼ガスと熱交換器130内を流れる水との間で熱交換が行われ、燃焼ガスが冷却される。熱交換器130での燃焼ガスの冷却は一次冷却となる。一次冷却された燃焼ガスは、排気ダクト104内を流れて、排出口105から空気混合部200の筐体201内へ排出される。
【0056】
CO供給運転が開始されたとき、操作盤70の制御部71は、送風ファン320を動作させる。排気ダクト104から筐体201内へ排出された燃焼ガスが、流入口211を通じて取込ダクト210内に取り込まれる。
【0057】
更に、筐体101の開口部106から導入された空気の一部が、図2中に点線の矢印で示す様に、仕切板12に設けられた開口部12xを経由して空気混合部200内へ導入され、更に、取込ダクト210へ取り込まれる。これにより、取り込まれた空気が混合された燃焼ガス(混合気)が取込ダクト210に取り込まれる。空気が混合されることによって、燃焼ガスが冷却される。空気混合部200での燃焼ガスの冷却は二次冷却となる。
【0058】
尚、取込ダクト210は、流入口211の中心が排出口105の中心からずらされているので、排出口105から排出された燃焼ガスが直ちに流入口211から取り込まれにくくなる。よって、燃焼ガスに空気が混合されやすくなるので、燃焼ガスが冷却され易くなる。
【0059】
尚、高さ方向のサイズ抑制を指向した場合には、燃焼ガスによる熱が熱源機10の内部にこもり易くなることによる高温化によって、部品耐久性が影響を受けることが懸念される。しかしながら、炭酸ガス供給装置1では、仕切板12に設けられた開口部12xによって、図1中に点線で示した通気経路を、燃焼ガス発生部100の内部に形成することができる。これにより、燃焼器120内部での温度上昇を抑制することができるので、部品の長寿命化を図ることができる。
【0060】
取込ダクト210内に流入した二次冷却後の燃焼ガス(混合気)は、流出口212から供給ダクト310に流出し、供給ダクト310内を流れて放出口313から植物の周囲に放出される。これにより、ダクトユニット30から炭酸ガス供給装置1の外部に混合気が導出されて、混合気中の燃焼ガスに含まれるCOが植物に供給される。
【0061】
放熱機20では、燃焼ガスとの熱交換で加熱された、往き管131を流れてきた水が熱交換器22へ流入する。制御部24は、運転信号を受けると、冷却ファン23を動作させる。これにより、栽培室2の外の空気が冷媒(冷却用空気)として熱交換器22に送られる。栽培室2の外の空気は、通常、栽培室2内の空気よりも温度が低い。熱交換器22内を流れる水と冷媒との間で熱交換が行われ、水が冷却される。冷却された水は、戻り管132を通って熱源機10へと戻る。熱交換器22での水との熱交換によって昇温された空気は、放熱機20の外、即ち、栽培室2の外に排出される。
【0062】
この様に、炭酸ガス供給装置1では、熱源機10内で冷却(一次冷却及び二次冷却)された燃焼ガス、即ちCOが栽培室2内に放出されるため、栽培室2内が高温になりにくい。
【0063】
CO供給運転中、CO濃度センサ50により検出されたCO濃度が所定濃度、例えば、植物の育成に適する濃度を超えると、操作盤70の制御部71から、熱源機10の制御部15及び放熱機20の制御部24に対して、運転停止を指示する運転停止信号が出力される。これに応じて、熱源機10では、制御部15が燃焼ファン110と燃焼器120の動作を停止させるとともに、放熱機20では、制御部24が冷却ファン23を停止させる。また、操作盤70の制御部71は、送風ファン320を停止させる。これにより、CO供給運転が自動的に停止する。
【0064】
その後、CO濃度センサ50により検出されたCO濃度が所定濃度を下回ると、操作盤70の制御部71が再び運転信号を出力し、かつ、制御部71が送風ファン320の動作を再開させることにより、CO供給運転が再開される。この様に、CO濃度センサ50により検出されたCO濃度に基づいて、CO供給運転を自動的に停止及び再開することができる。
【0065】
尚、操作盤70において、操作部72による運転停止の手動操作が行われたときも、制御部71から、熱源機10の制御部15及び放熱機20の制御部24に対して運転停止信号が出力されるとともに、送風ファン320が停止される。これにより、CO供給運転は、手動操作に応答して停止する。
【0066】
又、CO供給運転中におけるセンサ出力に基づいて、異常発生に応じてCO供給運転を自動的に停止することも可能である。例えば、送風ファン320のモータ323に過電流が生じた際に過電流センサ324から出力される検出信号、又は、燃焼器120の燃焼不良によりCOが発生した際にCO警報器61から出力される警報信号に応じて、CO供給運転を自動的に停止することができる。
【0067】
以上説明した様に、本実施の形態に係る炭酸ガス供給装置1は、燃焼ガス発生部100から排出された燃焼ガスに、炭酸ガス供給装置1の外部の空気を混合させる空気混合部200を備えているため、燃焼ガスを冷却した後に栽培室2内の植物に供給できる。
【0068】
又、炭酸ガス供給装置1は、特許文献1とは異なり、空気混合部200が燃焼ガス発生部100の下方に位置する構成とされているので、燃焼ガス発生部100の配置高さを自然に確保できる。即ち、水害等により栽培室2が水に漬かっても、燃焼ガス発生部100が水に漬かりにくい。
【0069】
更に、特許文献1の様な、空気混合部200が燃焼ガス発生部100の上方に位置する構成とは異なり、炭酸ガス供給装置1の高さ方向のサイズを抑制することができるので、栽培室2の軒高に依存して炭酸ガス供給装置1の設置が制限されにくい。
【0070】
又、炭酸ガス供給装置1は、空気混合部200の筐体201によって燃焼ガス発生部100を支える構成とされているので、架台等を用いることなく、燃焼ガス発生部100を栽培室2の地面から高い位置に保持できる。
【0071】
空気混合部200では、筐体201の側面に接続口部204が設けられているので、筐体201の底面に接続口部204が設けられる構成と違って、空気混合部200の下方に供給ダクト310が通るスペースを設ける必要がなく、炭酸ガス供給装置1の高さを一層低く抑えることができる。
【0072】
更に、炭酸ガス供給装置1では、燃焼ガス発生部100及び空気混合部200を区画する仕切板12に設けられた開口部12xによって生じる通気経路によって、燃焼ガス発生部100の内部に空気が通る様になる。これにより、燃焼器120内部での温度上昇を抑制して、部品の長寿命化を図ることができる。
【0073】
更に、空気混合部200を下方に配置することで、栽培室2内の低い位置に配置される供給ダクト310を、高い位置まで持ち上げることなく、容易に空気混合部200に接続できる。
【0074】
又、空気混合部200では、取込ダクト210を設けることによって、排気ダクト104から下方に排出されて空気が混合された燃焼ガスを、取込ダクト210で受けて、筐体201の側面側に接続された供給ダクト310へ円滑に導くことができる。
【0075】
更に、取込ダクト210に設けられた、燃焼ガスの流入口211の開口面積を、燃焼ガス発生部100の排気ダクト104の排出口105の開口面積よりも大きくすることにより、空気が混合された燃焼ガスを取込ダクト210に良好に取り込むことができる。
【0076】
又、空気混合部200には、筐体201の複数の側面に、接続口部204が設けられている。これにより、栽培室2内における空気混合部200に対する供給ダクト310の配置に応じて、例えば、供給ダクト310の長さを抑制可能となる等の効果が得られる、最良の接続口部204を選択することできる。
【0077】
更に、取込ダクト210には、流出口212が、複数(2つ)の接続口部204のそれぞれに対応するように、複数(2つ)設けられているので、供給ダクト310の配置に応じて接続口部204が選択されたときに、それに応じて流出口212を選択でき、供給ダクト310を円滑に取込ダクト210に接続することができる。
【0078】
<変形例>
次に、本実施の形態に係る炭酸ガス供給装置の変形例を説明する。
【0079】
図6は、本実施の形態の変形例に係る炭酸ガス供給装置の構成を説明するための概念的な断面図である。
【0080】
図6を参照して、本実施の形態の変形例に係る炭酸ガス供給装置1♯は、図2に示した炭酸ガス供給装置1と比較して、空気混合部200の筐体201にも、筐体11の外部から空気を導入するための開口部202が設けられる点で異なる。例えば、筐体201の前後左右の4つの側面のそれぞれの上部に開口部202を形成することが可能である。各開口部202には、網目を有するカバー部材203が設けられる。
【0081】
炭酸ガス供給装置1♯のその他の部分の構成は、図2図4で説明した炭酸ガス供給装置1と同様であるので詳細な説明は繰り返さない。即ち、炭酸ガス供給装置1♯においても、仕切板12には、図4で説明した開口部12xが設けられる。
【0082】
炭酸ガス供給装置1♯によれば、空気混合部200への外気の導入が、炭酸ガス供給装置1よりも容易となる。しかしながら、本実施の形態では、空気混合部200は下部に配置されるため、筐体201に設けられた開口部202からは、カバー部材203を配置しても、外部(栽培室2)からの埃等の異物の侵入が懸念される。
【0083】
言い換えると、炭酸ガス供給装置1では、燃焼ガス発生部100の筐体101のみに外気導入のための開口部106(「第1の開口部」)を形成し、空気混合部200の筐体201には「第1の開口部」を非形成とすることで、空気混合部200を下方配置とすることによる高さ方向のサイズ抑制と、炭酸ガス供給装置内への異物侵入の抑制との両立が可能となる。
【0084】
尚、炭酸ガス供給装置1及び1♯のそれぞれでは、筐体101に設けられた開口部106、及び、仕切板12に設けられた開口部12xの形状及び面積(合計)等を適宜調整して、空気混合部200に必要な空気量が導入される様に設計することができる。
【0085】
一方で、仕切板12の開口部12xを設けたことで生じる通気経路により、筐体101(燃焼ガス発生部)に設けられた開口部106から導入された空気のうち、缶体102の給気口103から燃焼器120に導入される燃焼空気量が不足することも懸念される。
【0086】
従って、炭酸ガス供給装置1及び1♯においては、仕切板12の開口部12xを含む側の通気経路において、空気流量を減少させるための流路抵抗を設けることも可能である。
【0087】
図7は、流路抵抗部の構成例を説明するための概念的な断面図である。図7(a)及び(b)には、流路抵抗部の第1の構成例及び第2の構成例が示される。
【0088】
図7(a)を参照して、開口部106が設けられた筐体101と、缶体102との間には、開口部106から導入された空気の通流経路が形成される。具体的には、開口部106から給気口103側の通気経路150と、開口部106から仕切板12(開口部12x)側の通気経路151とが形成される。
【0089】
通気経路151には、缶体102及び筐体101の少なくとも一方に対して、通気経路を狭めるための突出部157が設けられる。図7(a)では、缶体102及び筐体101の両方に突出部157が設けられる例が示される。
【0090】
これにより、通気経路151の少なくとも一部の断面積を、通気経路150の断面積よりも小さくすることで、通気経路151に「流路抵抗部」を設けることができる。この結果、開口部106から導入された空気量に対して、給気口103に導入される燃焼空気量が過小となることを防止できる。
【0091】
或いは、図7(b)に示される様に、缶体102及び/又は筐体101の形状を変形することで、通気経路151の少なくとも一部の断面積(S2)を、通気経路150の断面積(S1)よりも小さくすることも可能である。この様にしても、通気経路151に「流路抵抗部」を設けることができる。
【0092】
尚、図7(a)及び(b)では、燃焼ガス発生部100(筐体101の内部)に「流路抵抗部」を配置する例を示したが、同様の「流路抵抗部」は、仕切板12の開口部12xを含んで形成される、筐体101に設けられた開口部106から、空気混合部200の取込ダクト210に設けられた流入口211までの通気経路のいずれかの個所に配置することが可能である。即ち、上記通気経路内であれば、燃焼ガス発生部100(筐体101)の外部に「流路抵抗部」を設けてもよい。
【0093】
尚、本実施の形態では、仕切板12によって筐体11を区画することで、燃焼ガス発生部100の筐体101及び空気混合部200の筐体201を構成しており、筐体101及び筐体201が一体的に形成されている例を説明した。一方で、燃焼ガス発生部100の筐体101及び空気混合部200の筐体201を別体とする構成に対しても、本実施の形態は適用可能であり、この様な構成では、当該筐体101及び筐体201の両者の接触部位に、仕切板12の開口部12xに相当する「第2の開口部」を設けることができる。
【0094】
又、本実施の形態では、燃焼器120の燃料として灯油等の液体燃料を例示したが、プロパンガスなどの気体燃料の燃焼によって、二酸化炭素を含む燃焼ガスを発生してもよい。或いは、上記実施の形態では、2つの熱交換器130、22の間で循環する熱媒として水が用いられたが、熱媒として水以外の液体、例えば、不凍液が用いられてもよい。更に、気体の熱媒が熱交換器130、22の間で循環するような構成とされてもよい。
【0095】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0096】
1,1♯ 炭酸ガス供給装置、2 栽培室、10 熱源機、11,101,201 筐体、12 仕切板、12x 開口部(仕切板)、12z 貫通穴、20 放熱機、22,130 熱交換器、23 冷却ファン、23a,321 ケーシング、23b,111,322 ファン、23c,112,323 モータ、30 ダクトユニット、41,42 設置ブロック、50 CO濃度センサ、60 検出ユニット、61 警報器、62 サンプリング管、100 燃焼ガス発生部、102 缶体、103 給気口、104 排気ダクト、105 排出口、106,202 開口部(筐体)、107,108,203 カバー部材、110 燃焼ファン、120 燃焼器、121 燃料供給管、122 供給ポンプ、123 気化ヒータ、124 イグナイタ、133 循環ポンプ、150,151 通気経路、157 突出部、200 空気混合部、205,213 蓋、210 取込ダクト、211 流入口、212 流出口、214 フランジ部、215 ボルト、220 固定台、310 供給ダクト、311 第1ダクト、312 第2ダクト、313 放出口、320 送風ファン、321a 吸込口、321b 吐出口、324 過電流センサ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7