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  • 特開-ナビゲーション用アレイ 図1
  • 特開-ナビゲーション用アレイ 図2
  • 特開-ナビゲーション用アレイ 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022086204
(43)【公開日】2022-06-09
(54)【発明の名称】ナビゲーション用アレイ
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/20 20060101AFI20220602BHJP
   G02C 11/00 20060101ALI20220602BHJP
【FI】
G02B5/20
G02C11/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020198094
(22)【出願日】2020-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】390013033
【氏名又は名称】三鷹光器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】中村 勝之
【テーマコード(参考)】
2H006
2H148
【Fターム(参考)】
2H006CA00
2H148AA00
2H148AA05
2H148AA18
2H148AA27
(57)【要約】
【課題】必要な場合だけ簡易型の3Dメガネに取付けることができるナビゲーション用アレイを提供する。
【解決手段】球状マーカー13に溝部14が形成されているため、複数の球状マーカー13の溝部14を偏光レンズ9の上端12に差し込んで並べるだけでアレイ1として3Dメガネ3に取付けることができる。従ってナビゲーションを必要としない場合は、3Dメガネ3をそのまま使用し、ナビゲーションを必要とする場合だけアレイ1を取付ければ良く、アレイが予め一体的に取付けられた高価な専用3Dメガネを用いる必要がない。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端が露出した一眼型の偏光レンズと左右一対のテンプルを有する3Dメガネに対して取付可能なナビゲーション用アレイであって、
前記偏光レンズの上端に差し込み自在な溝部を有し且つ全体が特定波長の赤外線を受けて赤外蛍光を発する赤外蛍光樹脂で形成された複数の球状マーカーを備え、該複数の球状マーカーがそれぞれ溝部を偏光レンズの上端に差し込み且つ互いに間隔を確保した状態で並んでいることを特徴とするナビゲーション用アレイ。
【請求項2】
溝部が少なくとも球状マーカーの中心に達する深さで形成されていることを特徴とする請求項1記載のナビゲーション用アレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医療現場で使用されるナビゲーション用アレイに関する。
【背景技術】
【0002】
現在モニターに表示された立体映像を3Dメガネを介して見ることにより立体的に観察することができる3D技術が各分野において採用されている。医療分野においてもCTやMRI等の映像或いは手術顕微鏡等で撮影された映像をモニターに表示し、それらの映像をドクターが3Dメガネを介して立体的に観察している。
【0003】
一方で、ドクターが使用する3Dメガネにアレイを一体的に取付けたナビゲーション専用の3Dメガネが知られている。その専用3Dメガネに取付けられたアレイのマーカー位置をナビゲーション用の位置検出手段により検出し、ドクターの頭部の位置及び向きを認識することができる。そしてモニターに表示された立体映像をドクターの頭部の位置及び向きに追従して変化させることができる。更に手術顕微鏡等の位置をドクターの頭部の位置及び向きに追従してロボットアームにより移動させたりする例もある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6513669公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような医療現場で使用される3Dメガネはドクターだけでなく、アシスタントも情報共有のために使用するため、多くの数が使用される。そのためアレイを一体的に備えた高価な専用3Dメガネではコスト的に不利である。
【0006】
そこで一眼型の偏光レンズ(左右のレンズが一体物)で、それに左右一対のテンプルを付けただけの簡易型3Dメガネを利用して、必要な場合だけその簡易型3Dメガネに取付けることができるナビゲーション用アレイの提案が待たれている。
【0007】
本発明は、このような従来の要請に応じてなされたものであり、必要な場合だけ簡易型の3Dメガネに取付けることができるナビゲーション用アレイを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の技術的側面によれば、上端が露出した一眼型の偏光レンズと左右一対のテンプルを有する3Dメガネに対して取付可能なナビゲーション用アレイであって、前記偏光レンズの上端に差し込み自在な溝部を有し且つ全体が特定波長の赤外線を受けて赤外蛍光を発する赤外蛍光樹脂で形成された複数の球状マーカーを備え、該複数の球状マーカーがそれぞれ溝部を偏光レンズの上端に差し込み且つ互いに間隔を確保した状態で並んでいることを特徴とする。
【0009】
本発明の第2の技術的側面によれば、溝部が少なくとも球状マーカーの中心に達する深さで形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の第1の技術的側面によれば、球状マーカーに溝部が形成されているため、複数の球状マーカーの溝部を偏光レンズの上端に差し込んで並べるだけでアレイとして3Dメガネに取付けることができる。従ってナビゲーションを必要としない場合は、3Dメガネをそのまま使用し、ナビゲーションを必要とする場合だけアレイを取付ければ良く、アレイが予め一体的に取付けられた高価な専用3Dメガネを用いる必要がない。
【0011】
本発明の第2の技術的側面によれば、溝部が少なくとも球状マーカーの中心に達する深さで形成されているため、球状マーカーを偏光レンズの上端に確実に差し込んで取付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】アレイを取付けた3Dメガネを装着したドクターを示す図。
図2】アレイを取付けた3Dメガネを示す斜視図。
図3】球状マーカーを示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1図3は本発明の好適な一実施形態を示す図である。
【0014】
この実施形態に係るアレイ1は、ドクター2が装着する簡易型の3Dメガネ3に取付けられて使用される。ドクター2の前方には大型のモニター4が設置されている。そのモニター4にはMRIにより撮影された臓器5が表示されている。この臓器5の表示は3Dメガネ3をかけて見ることにより立体的に観察することができる。
【0015】
モニター4の上部にはナビゲーションの位置検出手段6が設置され、この位置検出手段6により3Dメガネ3に取付けられたアレイ1を検出することができる。位置検出手段6とモニター4はコントローラ8を介して接続されている。
【0016】
3Dメガネ3は薄型で樹脂製の偏光レンズ9を備えている。偏光レンズ9は左右が一体の一眼型で、左右両側には直角に曲がったサイド部10が一体形成されている。左右のサイド部10には耳にかけるためのテンプル11がそれぞれ取付けられている。3Dメガネ3は1つの偏光レンズ9と、2つのテンプル11の3部品からなる簡易構造で安価に製造することができる。テンプル11はサイド部10に取付けられるだけなので、偏光レンズ9の前面の上端12は露出した状態になっている。
【0017】
アレイ1は3つの球状マーカー13から構成されている。球状マーカー13は全体が赤外蛍光樹脂で形成されている。赤外蛍光樹脂は特定波長の赤外線を受光して赤外蛍光を発する赤外蛍光色素を樹脂に混練したもので、赤外蛍光の発光強度が高い。
【0018】
各球状マーカー13の下側には偏光レンズ9の上端12に差し込み自在で、球状マーカー13の中心に達する深さの溝部14が形成されている。この溝部14を利用して3つの球状マーカー13をそれぞれ互いに間隔を確保した状態で偏光レンズ9の上端12に差し込んで並べることによりアレイ1が形成される。溝部14が球状マーカー13の中心に達する深さのため、球状マーカー13を偏光レンズ9の上端12に確実に差し込んで取付けることができる。
【0019】
室内には特定波長の赤外線がフラッシュ照射され、球状マーカー13がその赤外線を受光して、その赤外線から所定の波長分だけシフトした赤外蛍光を発する。位置検出手段6はこの球状マーカー13から発せられた波長の赤外蛍光だけを検出し、それ以外の赤外線は検出しない。
【0020】
位置検出手段6が球状マーカー13の赤外蛍光を検出し、その位置情報がコントローラ8に出力されることにより、コントローラ8はドクター2の頭部7の位置や傾きを認識することができる。そして認識した頭部7に連動してモニター4に表示された臓器5の向きを変化させることができる。例えば、ドクター2の頭部7が右に移動すれば、モニター4中の臓器5も回転して臓器5の右側の面を見ることができる。
【0021】
この実施形態によれば、球状マーカー13の溝部17を偏光レンズ9の上端12に差し込むだけで、アレイ1を3Dメガネ3に対して取付けることができるため、ナビゲーションを必要とせず、臓器5をそのままの状態で観察したい場合は、3Dメガネ3をそのまま使用し、ナビゲーションを利用して臓器5の向きを変化させたい場合はアレイ1を取付ければ良い。高価な専用3Dメガネを用いる必要がないため、コスト的に有利である。
【0022】
またアレイ1が3Dメガネ3に対して着脱自在であるため、使用しない場合は保管が容易であり、殺菌も容易である。
【0023】
以上の実施形態では、偏光レンズ9のサイド部10にそれぞれ左右一対のテンプル11を取付ける構造を示したが、左右のテンプルの前側が偏光レンズ9の前面まで回り込んで連結された一体型のテンプル構造であっても良い。そのような場合も偏光レンズ9の上端12はテンプルの連結部の上方に露出するため、その上端12にアレイ1を取付けることができる。
【符号の説明】
【0024】
1 アレイ
3 3Dメガネ
9 偏光レンズ
11 テンプル
12 上端
13 球状マーカー
14 溝部
図1
図2
図3