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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022086266
(43)【公開日】2022-06-09
(54)【発明の名称】焼き網
(51)【国際特許分類】
   A47J 37/06 20060101AFI20220602BHJP
【FI】
A47J37/06 331
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020198182
(22)【出願日】2020-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】516132655
【氏名又は名称】株式会社ハーヴェスト
(74)【代理人】
【識別番号】110001092
【氏名又は名称】特許業務法人サクラ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小川 将史
【テーマコード(参考)】
4B040
【Fターム(参考)】
4B040AA02
4B040AC02
4B040AD04
4B040EA04
4B040EA07
(57)【要約】
【課題】油脂の加熱源への落下を従来に較べてより確実に防止することができるとともに、食材が転がり落ちてしまうことを防止することのできる焼き網を提供する。
【解決手段】枠状に形成されたフレームと、前記フレームの内側に、当該フレームの対向面の間に架け渡されるように、略平行に複数配置され、食材を支持するための複数の長板状のブレードとを具備し、前記ブレードは、上端側に位置し、前記食材を支持するための食材支持部と、前記食材支持部から下方に向けて斜めに延在する側面部と、前記側面部の下端側において、前記食材支持部と反対側に上側に向けて折り曲げられ、前記側面部の下端部との間に樋状の流路部を形成する下側折曲部と、を有し、前記流路部は、前記ブレードの一端側から他端側に向けて下方に向かう傾斜を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠状に形成されたフレームと、
前記フレームの内側に、当該フレームの対向面の間に架け渡されるように、略平行に複数配置され、食材を支持するための複数の長板状のブレードと
を具備し、
前記ブレードは、
上端側に位置し、前記食材を支持するための食材支持部と、
前記食材支持部から下方に向けて斜めに延在する側面部と、
前記側面部の下端側において、前記食材支持部と反対側に上側に向けて折り曲げられ、前記側面部の下端部との間に樋状の流路部を形成する下側折曲部と、
を有し、
前記流路部は、前記ブレードの一端側から他端側に向けて下方に向かう傾斜を有する
ことを特徴とする焼き網。
【請求項2】
請求項1記載の焼き網であって、
前記食材支持部には、下方に向けて折り曲げられた上側折曲部が設けられている
ことを特徴とする焼き網。
【請求項3】
請求項1又は2記載の焼き網であって、
複数の前記ブレードの前記食材支持部によって構成される食材の支持面は、略平面状である
ことを特徴とする焼き網。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1項に記載の焼き網であって、
前記下側折曲部が、隣接する前記ブレードの前記食材支持部の先端部の下部より隣接する前記ブレード側まで延在し、上下方向において重なる領域を有する
ことを特徴とする焼き網。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1項に記載の焼き網であって、
前記ブレードの前記他端側の下方に位置するように、前記フレームに支持されたオイルパンを有する
ことを特徴とする焼き網。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか1項に記載の焼き網であって、
前記ブレードは、前記フレームに対して着脱自在とされている
ことを特徴とする焼き網。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋外等で炭火等によって肉、魚、野菜等の食材を調理する際に使用される焼き網に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からキャンプ等の際に、屋外にて炭火等の加熱源を使用して肉、魚、野菜等の食材を調理する場合には、針金等で格子状に形成された焼き網を炭火等の加熱源の上方に配置し、この焼き網に食材を載せて加熱調理することが行われている。
【0003】
上記の焼き網を用いて、肉や魚等の食材を加熱調理した場合、肉や魚から出た油脂分等が炭火等の加熱源に落下し、油脂分等が燃えて油煙が発生したり、油脂分等が燃えた際の火炎が食材に作用して焦がしてしまう等の問題が発生する。
【0004】
上記のような加熱調理をした際に食材から生じる油脂分等の落下を抑制するものとしては、食材を載置する部分を樋状とするとともに、この部分を両端部よりも中央部が高いアーチ状の形状とし、油脂が樋状の部分を中央部から周辺部に向けて流れるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6161094号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記した従来の技術では、ある程度油脂の落下を抑制することができ、油煙の発生や、火炎の発生をある程度抑制することができるが、十分とは言えない。また、全体の形状が両端部よりも中央部が高いアーチ状の形状とされているため、例えば、ソーセージ等の転がり易い食材が転がり落ちてしまう等の問題も発生する。
【0007】
本発明は、上記従来の事情に対処してなされたものであり、油脂の加熱源への落下を従来に較べてより確実に防止することができるとともに、食材が転がり落ちてしまうことを防止することのできる焼き網を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の焼き網の一態様は、枠状に形成されたフレームと、前記フレームの内側に、当該フレームの対向面の間に架け渡されるように、略平行に複数配置され、食材を支持するための複数の長板状のブレードとを具備し、前記ブレードは、上端側に位置し、前記食材を支持するための食材支持部と、前記食材支持部から下方に向けて斜めに延在する側面部と、前記側面部の下端側において、前記食材支持部と反対側に上側に向けて折り曲げられ、前記側面部の下端部との間に樋状の流路部を形成する下側折曲部と、を有し、前記流路部は、前記ブレードの一端側から他端側に向けて下方に向かう傾斜を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の焼き網によれば、油脂の加熱源への落下を従来に較べてより確実に防止することができるとともに、食材が転がり落ちてしまうことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係る焼き網の全体構成を模式的に示す図。
図2】実施形態に係る焼き網の要部概略構成を模式的に示す図。
図3】実施形態に係る焼き網の要部概略構成を模式的に示す図。
図4】実施形態に係る焼き網の要部概略構成を模式的に示す図。
図5】実施形態に係る焼き網の要部概略構成を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態に係る焼き網の構成を、図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係る焼き網100の全体構成を模式的に示す図である。焼き網100は、金属、例えばステンレス鋼等からなる矩形の枠状に形成されたフレーム101を具備している。
【0013】
矩形の枠状に形成された本実施形態のフレーム101は、第1辺101a(図1中下側の辺)、第1辺101aと対向する第2辺101b(図1中上側の辺)、これらと隣接する第3辺101c(図1中右側の辺)、第3辺101cと対向する第4辺101d(図1中左側の辺)の4つの辺を有している。なお、フレーム101は、矩形の枠状に限定されるものではなく、他の形であっても良い、
【0014】
フレーム101の枠で囲まれた内部の領域には、フレーム101の対向面の間に架け渡されるように、複数(図1に示す例では12個)のブレード102が設けられている。すなわち、ブレード102は、フレーム101の第1辺101aと、これと対向する第2辺101bとの間に架け渡されるように配設されている。
【0015】
各ブレード102は、略平行になるように一定の間隔(ピッチ)で配列されている。これらのブレード102によって形成される上側の面は、加熱調理する食材を載置するための載置面(支持面)となるが、この載置面は、略水平になっている。ブレード102は、フレーム101と同様に、例えばステンレス鋼等の金属製の板材から略長板状に構成されている。また、フレーム101の第2辺101bには、着脱自在とされたオイルパン103が設けられている。
【0016】
図2(a)に図1に示す焼き網100のA-A断面構成を示し、図2(b)に焼き網100のB-B断面構成を示す。図2に示すように、ブレード102は、断面形状が略S字状とされており、上側に位置し、下側に向けて折曲されその上に調理する食材が載置される上側折曲部102aと、上側折曲部102aから斜め下方に向けて延在する側面部102bと、側面部102bの下端側において上側折曲部102aとは反対方向に上側に向けて折曲された下側折曲部102cを具備している。上側に向けて折曲された下側折曲部102cと、側面部102bの下端部分との間は、樋状(凹溝状)となっており、この部分が食材から生じた液状の油脂等が流れる流路部102dとして作用する。なお、ブレード102の上端側は、食材を支持するための食材支持部を構成する部分である。本実施形態では、この食材支持部に、下側に向けて折曲された上側折曲部102aが形成されているが、この上側折曲部102aは、必ずしも設ける必要はない。すなわち、上側折曲部102aの無いブレード102の上端側のエッヂ部分をそのまま、或いは、水平面となるように切削加工して食材支持部としてもよい。
【0017】
図2(a)は、焼き網100のA-A断面構成、つまり、フレーム101の第1辺101a側の断面構成を示しており、図2(b)は、焼き網100のB-B断面構成、つまり、フレーム101の第2辺101b側の断面構成を示している。図2(a)と図2(b)とを比較すると明らかなように、図2(a)の方が、図2(b)と比べて下側折曲部102cの位置が、上側折曲部102aに近い上方に位置しており、図2(b)の方が、下側折曲部102cの位置が、上側折曲部102aから遠い下方に位置している。また、ブレード102の側面構成を示した図3を見れば明らかなように、上述した下側折曲部102cと、側面部102bの下端部分との間の樋状(凹溝状)の流路部102dは、第1辺101a側から第2辺101b側に向けて、徐々に下方に向かうように傾斜して設けられている。
【0018】
また、図2(a)、図2(b)に示すように、ブレード102は、断面形状が略S字状とされ側面部102bが斜めに位置するよう設けられている。そして、図2(a)、図2(b)の左側端部に図示された垂直方向を示す点線を基準として見れば、点線の右側のブレード102の下側折曲部102cが、点線の左側の隣接するブレード102の上側折曲部102aの下部まで延在し、上下方向において重なる領域を有する構成となっている。このようにブレード102の幅、傾き、ピッチ(ブレード102同士の間隔)等が設定されている。したがって、図1のように。焼き網100を真上から見た時に、ブレード102より下側(加熱源側)が見えない構成となっている。
【0019】
このような構成とすることにより、ブレード102の上側折曲部102aの上に載置された食材から生じた液状の油脂等は、ブレード102の側面部102bを伝わってそのブレード102の流路部102dに流れるか、上側折曲部102aの反対側に垂れた液状の油脂等は、隣接するブレード102の流路部102dに落ちる。したがって。ブレード102より下側に設けられた炭火等の加熱源に落ちて、火炎が発生したり油煙が発生したりすることが無く、食材を良好に調理することができる。
【0020】
そして、ブレード102の流路部102dに流れた液状の油脂等は、流路部102dに、フレーム101の第1辺101a側から第2辺101b側に向けて下る勾配が設けられていることから、第2辺101b側に向けて流下し、第2辺101b側に設けられたオイルパン103内に流れ込むようになっている。このオイルパン103は、前述した通り、着脱自在となっているので、オイルパン103内に液状の油脂等が溜まった場合は、オイルパン103を取り外して液状の油脂等を捨てることができる。
【0021】
なお、図3には、ブレード102とオイルパン103との位置関係を示すため、オイルパン103の位置を点線で示してある。また、図3に示されるように、下側折曲部102cは、オイルパン103側において、ブレード102の全長より僅かに短くなっており、したがって、流路部102dも、この下側折曲部102cの終端部で終わっている。そして、この部分からオイルパン103内に液状の油脂等が流れ落ちるようになっている。
【0022】
また、各ブレード102の上側折曲部102aによって形成される、調理する食材の載置面は、略平面状であり、両端部よりも中央部が高いアーチ状の形状等とはなっていない。したがって、転がり易い形状の食材、例えばソーセージ等を調理する際にも、食材が転がり落ちてしまうこともない。
【0023】
すなわち、本実施形態の焼き網100によれば、油脂の加熱源への落下を従来に較べてより確実に防止することができるとともに、食材が転がり落ちてしまうことを防止することができる。
【0024】
さらに、例えば鉄板状のグリルパン等と違い、炭火等の加熱源と連通されている空隙を有するので、加熱源で加熱された空気流や加熱源からの赤外線等を調理する食材に作用させることができ、良好に加熱調理を行うことができる。
【0025】
本実施形態では、図3に示すように、ブレード102の一方の端部(図3中左側の端部)には、2つの突起102eが設けられ、ブレード102の他方の端部(図3中右側の端部)には、2つの突起102fが設けられている。一方、図1に示すように、フレーム101の第1辺101aには、ブレード102の数と同数(本実施形態では12個)の切込部101eが設けられており、同様にフレーム101の第2辺101bにも、ブレード102の数と同数(本実施形態では12個)の切込部101fが設けられている。
【0026】
なお、図1では、切込部101e、切込部101fの上側開口部の形状のみ図示されているが、図2に示したようにブレード102が斜めに保持されるよう、切込部101e、切込部101fは斜めに形成されている。図4に、フレーム101の第2辺101bにおける斜めに形成された切込部101fの例を模式的に示す。なお、第2辺101bには、オイルパン103を係止するための複数(図4に示す例では2つ)のオイルパン係止孔101gが設けられている。
【0027】
そして、各ブレード102の突起102eを、フレーム101の第1辺101aに設けられた切込部101e(図1参照。)に挿入し、突起102fを、フレーム101の第2辺101bに設けられた切込部101f(図1参照。)に挿入することによって、ブレード102を着脱自在にフレーム101に係止できる構成となっている。
【0028】
上記のように、本実施形態では、各ブレード102が、着脱自在にフレーム101に固定されるようになっているので、使用後の掃除などの際は、フレーム101から各ブレード102を取り外した状態で、容易に手入れを行うことができる。しかしながら、このような構成に限定されるものではなく、ブレード102をフレーム101に溶接等によって固着した構成等としても良い。
【0029】
図5は、図1に示したフレーム100の第3辺101cの側面構成を示している。図5に示すように、第3辺101cの側面には、複数(図5では4つ)のハンドル係止孔101hが設けられている。そして、これらのハンドル係止孔101hに図示しないハンドルに設けられた突起を差し込んで、ハンドルをフレーム100に固定し、ハンドルを握って焼き網100を移動することができるようになっている。なお、フレーム100の第4辺101dの側面構成も同様になっており、第3辺101cの側面及び第4辺101dの側面の何れにもハンドルを取り付けることができるようになっている。
【0030】
また、図示は省略するが、オイルパン103の側面にも同様なハンドル係止孔が設けられており、オイルパン103にハンドルを取り付けて、オイルパン103をフレーム100から取り外すことができるようになっている。
【0031】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、各種の変形が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0032】
100……焼き網、101……フレーム、101a……第1辺、101b……第2辺、101c……第3辺、101d……第4辺、101e……切込部、101f……切込部、101g……オイルパン係止孔、101h……ハンドル係止孔、102……ブレード、102a……上側折曲部、102b……側面部、102c……下側折曲部、102d……流路部、102e……突起、102f……突起、103……オイルパン。
図1
図2
図3
図4
図5