(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022086356
(43)【公開日】2022-06-09
(54)【発明の名称】プリンタ
(51)【国際特許分類】
B41J 11/42 20060101AFI20220602BHJP
B41J 11/70 20060101ALI20220602BHJP
B65H 7/20 20060101ALI20220602BHJP
【FI】
B41J11/42
B41J11/70
B65H7/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020198309
(22)【出願日】2020-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100143960
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 早百合
(72)【発明者】
【氏名】神田 龍一
(72)【発明者】
【氏名】村山 健太郎
【テーマコード(参考)】
2C058
3F048
【Fターム(参考)】
2C058AB12
2C058AC06
2C058AE04
2C058AF31
2C058GA03
2C058GA14
2C058GB49
2C058LC28
3F048AA05
3F048AB01
3F048BB04
3F048CC11
3F048DA05
3F048EB17
(57)【要約】
【課題】印刷媒体片の取り扱いに関するユーザの利便性を従来よりも向上させたプリンタを提供すること。
【解決手段】プリンタは印刷部、搬送部、切断部、筐体、及び制御部を備える。制御部は、印刷媒体片の排出モードの設定を受け付け(S23、S24)、印刷命令に応じて印刷部により印刷媒体に画像を印刷し(S5)、切断部により印刷媒体を印刷媒体片に切断する(S7)。制御部は、排出モードに強制排出モードが設定されている場合(S8:YES)、一の印刷命令に応じた切断処理後、且つ、次の印刷命令に応じた印刷処理前に、搬送部により印刷媒体を第一搬送量だけ搬送方向に搬送し、印刷媒体片を筐体の排出口から筐体の外部に排出させる強制排出処理を行う(S10)。制御部は、排出モードに非強制排出モードが設定されている場合(S8:NO)、強制排出処理を行わない(S13からS15)。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺状の印刷媒体に画像を印刷する印刷部と、
前記印刷媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、
前記印刷部より前記搬送方向下流側に位置し、前記印刷媒体を印刷媒体片に切断する切断部と、
前記印刷部、前記搬送部、及び前記切断部を収容する筐体と、
前記印刷部、前記搬送部、及び前記切断部を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、
前記印刷媒体片の排出モードを、強制排出モードと、非強制排出モードとを含む複数のモードの中から設定を受け付ける設定処理と、
印刷命令に応じて、前記印刷部を駆動し、前記印刷媒体に前記画像を印刷する印刷処理と、
前記印刷命令に応じた前記印刷処理後に、前記切断部を駆動して、前記印刷媒体を前記印刷媒体片に切断する切断処理と
を行い、
前記排出モードに前記強制排出モードが設定されている場合、一の前記印刷命令に応じた前記切断処理後、且つ、次の前記印刷命令に応じた前記印刷処理前に、前記搬送部を駆動して前記印刷媒体を第一搬送量だけ前記搬送方向に搬送し、前記印刷媒体の先端部で前記印刷媒体片を押して、前記印刷媒体片を前記筐体に形成された排出口から前記筐体の外部に排出させる強制排出処理を行い、前記排出モードに前記非強制排出モードが設定されている場合、前記強制排出処理を行わないことを特徴とするプリンタ。
【請求項2】
前記制御部は更に、
前記印刷媒体片の前記搬送方向の長さが閾値以下の場合、前記排出モードに前記非強制排出モードが設定されていても、前記一の印刷命令に応じた前記切断処理後、且つ、前記次の印刷命令に応じた前記印刷処理前に、前記搬送部を駆動して前記印刷媒体を前記第一搬送量以下である第二搬送量だけ前記搬送方向に搬送し、前記印刷媒体の前記先端部で前記印刷媒体片を前記搬送方向に押す押出し処理を行うことを特徴とする請求項1に記載のプリンタ。
【請求項3】
前記制御部は更に、
前記排出モードに前記非強制排出モードが設定されている場合であって、前記一の印刷命令に応じた前記印刷処理終了時に、前記次の印刷命令がある場合には、前記一の印刷命令に応じた前記印刷処理終了から所定時間経過後に前記次の印刷命令に応じた前記印刷処理を行う印刷制御処理を実行することを特徴とする請求項1又は2に記載のプリンタ。
【請求項4】
前記制御部は、
前記排出モードに前記強制排出モードが設定されている場合であっても、前記一の印刷命令に応じた前記印刷処理終了時に、前記次の印刷命令がある場合には、前記一の印刷命令に応じた前記印刷処理後、且つ、前記次の印刷命令に応じた前記印刷処理前に前記強制排出処理を行わないことを特徴とする請求項1から3の何れかに記載のプリンタ。
【請求項5】
前記搬送部は、前記印刷媒体を前記搬送方向と、前記搬送方向とは反対の逆搬送方向とに搬送可能であり、
前記制御部は更に、
前記排出モードに前記強制排出モードが設定されている場合、前記強制排出処理を行った後、前記次の印刷命令に応じた前記印刷処理前に、前記搬送部を駆動して、前記印刷媒体を前記第一搬送量に応じた逆搬送量だけ前記逆搬送方向に搬送させる逆搬送処理を行うことを特徴とする請求項1から4の何れかに記載のプリンタ。
【請求項6】
前記逆搬送量は、前記次の印刷命令で指定される前記搬送方向の余白量と、前記第一搬送量とに応じた量であり、
前記逆搬送処理は、前記次の印刷命令を取得後、前記次の印刷命令に応じた前記印刷処理開始前に実行されることを特徴とる請求項5に記載のプリンタ。
【請求項7】
前記印刷媒体又は前記印刷媒体片が前記排出口を通過可能な開位置と、前記排出口の少なくとも一部を塞ぐ閉位置とに変位可能な案内部材を更に備え、
前記案内部材は、前記印刷媒体又は前記印刷媒体片が前記排出口に配置されない時に前記閉位置にあることを特徴とする請求項5又は6に記載のプリンタ。
【請求項8】
前記案内部材は、前記印刷媒体片と当接することで、前記印刷媒体片が前記搬送方向とは反対の前記逆搬送方向に移動することを規制する規制部を備えることを特徴とする請求項7に記載のプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画像記録装置は、搬送された連続記録紙に画像を記録し、画像が記録された記録紙を切断装置により切断する(例えば、特許文献1参照)。切断された記録紙は、排出部からスタッカに落下し、スタッカにスタックされる。特許文献1の画像記録装置は、記録紙の切断後の画像記録装置内の残りの連続記録紙を空送りすることで、切断されても落下せずに排出部に残った記録紙の落下を加勢する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のプリンタ(画像記録装置)は、印刷媒体片(切断された記録紙)は必ず排出口から筐体の外部に落下させているが、ユーザによっては、印刷媒体片を排出口に留めておきたい場合がある。
【0005】
本発明の目的は、印刷媒体片の取り扱いに関するユーザの利便性を従来よりも向上させたプリンタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るプリンタは、長尺状の印刷媒体に画像を印刷する印刷部と、前記印刷媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、前記印刷部より前記搬送方向下流側に位置し、前記印刷媒体を印刷媒体片に切断する切断部と、前記印刷部、前記搬送部、及び前記切断部を収容する筐体と、前記印刷部、前記搬送部、及び前記切断部を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記印刷媒体片の排出モードを、強制排出モードと、非強制排出モードとを含む複数のモードの中から設定を受け付ける設定処理と、印刷命令に応じて、前記印刷部を駆動し、前記印刷媒体に前記画像を印刷する印刷処理と、前記印刷命令に応じた前記印刷処理後に、前記切断部を駆動して、前記印刷媒体を前記印刷媒体片に切断する切断処理とを行い、前記排出モードに前記強制排出モードが設定されている場合、一の前記印刷命令に応じた前記切断処理後、且つ、次の前記印刷命令に応じた前記印刷処理前に、前記搬送部を駆動して前記印刷媒体を第一搬送量だけ前記搬送方向に搬送し、前記印刷媒体の先端部で前記印刷媒体片を押して、前記印刷媒体片を前記筐体に形成された排出口から前記筐体の外部に排出させる強制排出処理を行い、前記排出モードに前記非強制排出モードが設定されている場合、前記強制排出処理を行わない。
【0007】
本態様のプリンタは、印刷媒体片の排出モードを、強制排出モードと、非強制排出モードとを含む複数のモードの中から設定を受け付ける。プリンタは、設定された排出モードに応じて、強制排出処理を実行するか否かを切り替えることができる。故にプリンタは、印刷媒体を搬送方向に搬送することで排出口から筐体の外部に押出すか否かを設定できなかった従来のプリンタに比べ、印刷媒体片の取り扱いに関するユーザの利便性を従来よりも向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】蓋体4が開位置にある場合のプリンタ1の斜視図である。
【
図2】蓋体4が閉位置にある場合のプリンタ1の内部構造を示す断面図である。
【
図3】プリンタ1の電気的構成を示すブロック図である。
【
図4】具体例の印刷データに基づき印刷される画像E1からE3の説明図である。
【
図7】メイン処理実行時の印刷媒体Mの先端部(前端部)、印刷媒体片P、プラテンローラ61、印刷部5、切断部8、及び排出口31の位置関係の遷移図である。
【
図8】メイン処理実行時の印刷媒体Mの先端部、印刷媒体片P、プラテンローラ61、印刷部5、切断部8、及び排出口31の位置関係の遷移図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施形態のプリンタ1を、図面を参照して説明する。プリンタ1は、印刷媒体Mに印刷を行う感熱方式のラベルプリンタである。印刷媒体Mは、長尺状の感熱テープである。以下、図中に矢印で示す左右、前後、及び上下を各々、プリンタ1の左右、前後、及び上下として説明する。
【0010】
図1及び
図2を参照し、プリンタ1の物理的構成を説明する。
図1及び
図2に示すように、プリンタ1は、筐体2、印刷部5、搬送部6、切断部8、及び案内部材10を備える。筐体2は、印刷部5、搬送部6、及び切断部8を収容する。筐体2は、本体ケース3と、蓋体4とを備える。本体ケース3は、開口30及び排出口31が形成された箱状であり、収容部32、左右一対の保持部33、及び操作部34を備える。開口30は、本体ケース3の後部上端部に、平面視矩形状に形成される。排出口31は、本体ケース3の前面に、左右方向に長い矩形状に形成される。収容部32は、本体ケース3の後部に設けられた、本体ケース3の開口30から下方に向けて凹む凹部である。収容部32は、印刷媒体Mが巻回されたロール体Rを収容する。左右一対の保持部33は、収容部32に設けられた上下方向に延びる板状の部材であり、ロール体Rの左右両側から、ロール体Rを回動可能に支持する。ロール体Rが一対の保持部33に支持された場合の印刷媒体Mの幅方向Wは、左右方向である。操作部34は、排出口31の右方に設けられる。操作部34は、電源ボタン等を含み、各種情報をプリンタ1に入力できる。蓋体4は、平面視矩形状であり、本体ケース3の後端部に、左右方向に延びる軸(図示略)を中心に回動可能に支持される。蓋体4は、収容部32を覆う閉位置(
図2参照)と、収容部32を露出する開位置(
図1参照)とに回動できる。プリンタ1は、閉位置に配置された蓋体4の上面に、表示部35を備える。表示部35は、各種情報を表示できる。
【0011】
印刷部5は、本体ケース3の収容部32の前方、且つ、排出口31の後方に設けられる。印刷部5は、長尺状の印刷媒体Mに画像を印刷する。本実施形態の印刷部5は、サーマルヘッドであり、複数の発熱体(図示略)を含む。搬送部6は、印刷媒体Mを搬送方向Dに搬送する。搬送部6は、プラテンローラ61、軸64、ローラギヤ62、伝達機構(図示略)、及び搬送モータ63を備える。プラテンローラ61は、左右方向に延びる円柱状の部材であり、左右方向に延びる軸64を中心に回転可能に蓋体4の前端部下面に支持される。プラテンローラ61は、印刷部5と対向し、蓋体4の開閉に応じて上下方向に移動できる。蓋体4が閉位置にある時、プラテンローラ61は、印刷部5との間で印刷媒体Mを挟む。蓋体4が開位置にある時、プラテンローラ61は、印刷部5から上方に離れる。ローラギヤ62は、プラテンローラ61の軸64の右端部に固定される。伝達機構及び搬送モータ63は、本体ケース3の内部に設けられる。伝達機構は、複数のギヤを含み、搬送モータ63の動力をローラギヤ62に伝達する。搬送モータ63は、例えば、正転及び逆転可能なステッピングモータである。蓋体4が閉位置にある時、搬送部6のプラテンローラ61は、印刷部5を下方へ押圧する。このとき、ローラギヤ62は、伝達機構のギヤと噛み合い、伝達機構を介して搬送モータ63と連結する。蓋体4が閉位置にある時、プラテンローラ61は、搬送モータ63の駆動により回転し、印刷媒体Mをロール体Rから排出口31までの搬送経路Qに沿って搬送する。搬送経路Qは、ロール体Rの上部から、印刷位置P1及び切断位置P2を通り、排出口31に至る経路である。印刷位置P1は、印刷部5とプラテンローラ61とにより印刷媒体Mが挟持される位置である。切断位置P2は、後述の切断部8の固定刃81と、可動刃82とにより印刷媒体Mが切断される位置である。
図7、
図8では、印刷位置P1と、切断位置P2とを、搬送方向Dの位置を示す。搬送方向Dは、搬送経路Q上の位置に応じて変化する方向である。印刷位置P1から、搬送方向下流側における搬送方向Dは、概ね前方であり、印刷位置P1から、搬送方向上流側における搬送方向Dは、概ね前下方である。
【0012】
切断部8は、印刷部5より搬送方向下流側(前方)に位置し、印刷媒体Mを印刷媒体片Pに切断する。切断部8は、筐体2の内部に固定刃81、可動刃82、及び切断モータ83を備える。固定刃81の刃先の前後方向の位置は、プラテンローラ61の前端よりも僅かに前方に位置する。可動刃82は、固定刃81に対して後方に離隔して配置される。可動刃82は、固定刃81に対し揺動可能である。可動刃82が上方に揺動した場合、可動刃82の刃先は、固定刃81の刃先に前方から接触する。切断部8は、切断モータ83の回転駆動に応じて可動刃82を揺動させる。切断モータ83は、例えば、ステッピングモータである。可動刃82が揺動した場合、固定刃81及び可動刃82は、印刷媒体Mを幅方向Wに沿って厚み方向(上下方向)に切断する。以下では、切断部8により切り離された部分を、「印刷媒体片P」という。
【0013】
案内部材10は、左右方向に長い板状の部材であり、排出口31から排出される印刷媒体片Pを筐体2の外部に案内する。案内部材10は、印刷媒体Mの幅方向Wにおいて、排出口31の延設範囲の内、少なくとも、印刷媒体Mが通過する範囲K2に設けられ、より好ましくは、
図1に示す本実施形態の案内部材10のように、排出口31の左右両端部の全範囲K1に亘って延びる。案内部材10は、左側面視S字状に屈曲した形状であり、案内部材10の上端部は、本体ケース3の前壁部背面の内、排出口31の上方に、左右方向に延びる軸11を中心に回動可能に支持される。案内部材10は前後方向において排出口31を跨いでおり、案内部材10の上端部は、筐体2の内部に配置され、案内部材10の下端部は、筐体2の外部に配置される。案内部材10は、印刷媒体M又は印刷媒体片Pが排出口31を通過可能な開位置と、排出口31の少なくとも一部を塞ぐ閉位置とに変位可能である。案内部材10は、印刷媒体M又は印刷媒体片Pが排出口31に配置されない時に、閉位置にある。案内部材10が閉位置にある時、案内部材10の下面14が、排出口31の下端部に当接する。案内部材10は、印刷媒体Mが排出口31から排出される時に閉位置から右側面視時計回りに回動して開位置に配置される。案内部材10は、印刷媒体片Pと当接することで、印刷媒体片Pが搬送方向Dとは反対の逆搬送方向に移動することを規制する規制部12を備える。本実施形態の規制部12は、案内部材10の下面14から下方に突出した凸部である。規制部12の、下面14からの突出量は、印刷媒体片Pの厚みよりも大きい。規制部12は、排出口31の下端部よりも搬出方向下流側(前方)、つまり、筐体2の外部に配置される。
【0014】
図3を参照し、プリンタ1の電気的構成を説明する。プリンタ1は、CPU9と、CPU9に電気的に接続されたROM41、CGROM42、RAM43、フラッシュメモリ44、駆動回路51から54、操作部34、及び通信IF56とを備える。CPU9は、プリンタ1の制御を司り、印刷部5、搬送部6、及び切断部8を制御する。ROM41は、CPU9による各種プログラムの実行時に必要な各種パラメータ等を記憶する。CGROM42は、印刷媒体Mに印刷するキャラクタの画像データを記憶する。RAM43は、CPU9による演算結果等、各種情報を一時的に記憶する。フラッシュメモリ44は、CPU9によって実行される各種プログラム等を記憶する不揮発性の記憶装置である。
【0015】
駆動回路51は、表示部35を駆動するための電子回路である。駆動回路52は、搬送モータ63を駆動するための電子回路である。駆動回路53は、印刷部5を駆動するための電子回路である。駆動回路54は、切断モータ83を駆動するための電子回路である。通信IF56は、プリンタ1が外部機器と通信を行うためのインターフェイスである。
【0016】
図4から
図8を参照して、プリンタ1のCPU9によって実行されるメイン処理について、
図4に示す具体例の画像E1からE3を連続印刷する場合を例に説明する。メイン処理は、プリンタ1の電源がONされた場合に実行される。具体例の画像E1からE3は、三桁の連番数字を表す画像である。以下の説明において、各処理のステップを「S」と略記する。メイン処理開始時において、印刷媒体Mは、プラテンローラ61と印刷部5との間に挟まれており、印刷媒体Mの前端はプラテンローラ61よりも搬送方向下流側(前方)且つ後述の前回搬送量に応じた位置にある。
【0017】
図6に示すように、CPU9は、印刷処理を実行することを指示する印刷命令を検出したかを判断する(S1)。印刷命令は、操作部34を介してプリンタ1に入力されてもよいし、通信IF56を介して、PC及び携帯端末等の外部機器からプリンタ1に入力されてもよい。印刷命令が検出されない場合(S1:NO)、CPU9は、印刷媒体片Pの排出条件の設定を指示する排出設定命令を検出したかを判断する(S21)。排出設定命令が検出されない場合(S21:NO)、CPU9は後述のS28の処理を行う。ユーザは、印刷媒体片Pの排出条件の設定を行う時、操作部34を操作して、排出設定命令をCPU9に入力する。排出設定命令が検出された場合(S21:YES)、CPU9は、フラッシュメモリ44に記憶された排出モードの設定と、所定時間の設定とに基づき、
図5に示す、排出条件を設定するための設定画面20を表示部35に表示させる(S22)。本実施形態のプリンタ1は、排出条件として、印刷媒体片Pの排出モードと、所定時間とを設定できる。設定画面20は、欄21、22、及びキー23を含む。欄21は、選択可能な排出モードと、現在設定されている排出モードとを表示する。本実施形態のプリンタ1は、印刷媒体片Pの排出モードを、強制排出モードと、非強制排出モードとを含む複数のモードの中から設定を受け付ける。欄21では、現在設定されている排出モードは、黒色背景且つ白色文字で表され、現在設定されていない排出モードは、白色背景且つ黒色文字で表される。
図5は、排出モードが強制排出モードに設定されている場合を表す。欄22は、排出モードに非強制排出モードが設定されている場合の印刷処理の時間間隔を規定する所定時間を表示する。キー23は、排出条件の設定を終了する指示を入力する場合に選択される。
【0018】
CPU9は、排出モードを設定する指示を検出したかを判断する(S23)。ユーザは、排出モードを設定する場合、操作部34を操作して、複数のモードの中から所望のモードを選択し、排出モードを設定する指示を入力する。排出モードを設定する指示が検出された場合(S23:YES)、CPU9は、指示に従って排出モードを設定し、フラッシュメモリ44に記憶する(S24)。
【0019】
排出モードを設定する指示が検出されていない場合(S23:NO)、又はS24の次に、CPU9は、所定時間を設定する指示が検出したかを判断する(S25)。本実施形態にプリンタ1は、排出モードに非強制排出モードが設定されている場合であって、S1で検出された一の印刷命令に応じた印刷処理終了時に、次の印刷命令がある場合には、一の印刷命令に応じた印刷処理終了から所定時間経過後に次の印刷命令に応じた印刷処理を行う。プリンタ1は所定時間の設定を受け付ける。排出モードが強制排出モードである場合の所定時間は0に設定される。ユーザは、所定時間を設定する場合、操作部34を操作して、所定時間を入力することで、所定時間を設定する指示を入力する。所定時間を設定する指示が検出された場合(S25:YES)、CPU9は指示に従って所定時間を設定し、フラッシュメモリ44に記憶する(S26)。所定時間を設定する指示が検出されない場合(S25:NO)、又はS26の次に、CPU9は、キー23が選択されたかに基づき、排出条件の設定を終了する指示が検出されたかを判断する(S27)。設定を終了する指示が検出されない場合(S27:NO)、CPU9は、処理をS23に戻す。設定を終了する指示が検出された場合(S27:YES)、CPU9は、後述のS28を行う。
【0020】
具体例のS1において、ユーザは、操作部34を操作して、連続印刷を行うための連続印刷命令をCPU9に入力する。具体例の連続印刷命令は、画像E1からE3の各々に対応した三の印刷命令を含む。各印刷命令は、印刷データに加え、
図4に示す、前余白の搬送方向Dの長さM1、後余白の搬送方向Dの長さM2、及び印刷命令に応じて生成される印刷媒体片Pの搬送方向Dの長さCを表す情報を含む。前余白は、搬送方向下流側の余白であり、後余白は、搬送方向上流側の余白である。余白は、印刷媒体片Pの内、画像が形成される印刷範囲Vを規定する。長さM1と、長さM2とは互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよい。連続印刷命令のように複数の印刷命令が同時期に入力された場合、CPU9は、複数の印刷命令をRAM43に記憶し、印刷命令を一ずつ印刷順に読み出して、印刷命令毎に印刷処理を行う。
【0021】
画像E1を印刷するための印刷命令が検出された場合(S1:YES)、CPU9は逆搬送量を算出する(S2)。逆搬送量は、前回検出された印刷命令に応じた切断処理後(S7)、今回検出された印刷命令に応じた印刷処理前に(S5)、逆搬送方向に印刷媒体Mを搬送する量であり、前回搬送量に応じた量である。本実施形態のCPU9は、以下の式(1)に従って、逆搬送量を算出する。前回搬送量は、前回検出された印刷命令に応じたS11、S14、及びS15の何れかで設定され、フラッシュメモリ44に記憶された値である。プリンタ1の起動直後等、前回の印刷命令が検出されていない場合には、例えば、前回搬送量には0が設定される。逆搬送量は、搬送モータの駆動量で表されてもよいし、印刷媒体Mの搬送方向Dの長さで表されてもよい。
逆搬送量=前回搬送量+印刷位置P1と切断位置P2との間の搬送方向Dの長さD1-印刷指令で指定される前余白の搬送方向Dの長さM1 ・・・式(1)
図7(A)に示すように、本実施形態では、前回搬送量が後述の第一搬送量L1である時、逆搬送量はB1であり、前回搬送量が後述の第二搬送量L2の時、逆搬送量はB2であり、前回搬送量が0である時、逆搬送量はB3である。逆搬送量B2は、逆搬送量B1よりも小さく、逆搬送量B3よりも大きい。
【0022】
CPU9は、S2で算出された逆搬送量だけ印刷媒体Mを逆搬送方向に搬送する(S3)。S3の処理によりCPU9は、排出モードに強制排出モードが設定されている所定の場合、強制排出処理を行った後(S10)、次の印刷命令に応じた印刷処理前に(S5)、搬送部6を駆動して、印刷媒体MをS11で設定された第一搬送量L1に応じた逆搬送量B1だけ逆搬送方向に搬送させる。S3の処理により、
図7(B)に示すように、印刷媒体Mは、印刷部5と、ロール体Rとの間で撓む。案内部材10は閉位置にある。CPU9は、排出モードに非強制排出モードが設定されている所定の場合、押出し処理を行った後(S13)、次の印刷命令に応じた印刷処理前に(S5)、搬送部6を駆動して、印刷媒体MをS14で設定された第二搬送量L2に応じた逆搬送量B2だけ逆搬送方向に搬送させる。
【0023】
CPU9は、前回印刷処理を行ってから所定時間が経過したかを判断する(S4)。CPU9は、前回印刷処理を行ってから所定時間が経過するまでS4で待機する(S4:NO)。上記のように、排出モードに強制排出モードが設定されている場合には、所定時間に0が設定されるため、S4の処理は省略されてよい。前回印刷処理を行ってから所定時間が経過した場合(S4:YES)、CPU9は、
図7(C)に示すように、S1で検出された印刷命令に応じて、印刷部5を駆動し、印刷媒体Mに画像を印刷する印刷処理を行う(S5)。本実施形態のプリンタ1は、印刷部5の駆動と同期して、搬送部6を駆動し、印刷媒体Mを搬送方向Dに搬送しながら印刷を行う。印刷処理の過程で、印刷媒体Mの先端(前端)は、案内部材10を前方に押し、案内部材10は閉位置から開位置に回動する。S5の処理により具体例の画像E1が印刷媒体Mに印刷される。
【0024】
CPU9は、所定時間にリセットし、所定時間の計測を開始する(S6)。CPU9は、S1で検出された印刷命令に応じた印刷処理後(S5)に、切断部8を駆動して、印刷媒体Mを切断する切断処理を行う(S7)。具体的には、CPU9は、搬送部6を駆動して、印刷媒体Mの切断部分Jを切断位置P2まで搬送方向Dに搬送する。
図4に示すように、切断部分Jは、印刷媒体Mの内の、S1で検出された印刷命令の印刷範囲Vの搬送方向上流側端部から、後余白M2分、搬送方向上流側の部分である。CPU9が切断部分Jが固定刃81の下方となる切断位置P2まで印刷媒体Mを搬送する。印刷媒体Mを切断位置P2に搬送後、CPU9は、切断部8を駆動して、印刷媒体Mを切断する。これにより、
図7(D)及び
図8(E)に示すように、S5の印刷処理で印刷された部分が印刷媒体片Pとして印刷媒体Mから切り離される。具体例では、印刷媒体片Pの前端部は、排出口31よりも前方に位置するが、排出口31に留まっている。
【0025】
CPU9は、排出モードに強制排出モードが設定されているか否かを判断する(S8)。排出モードに強制排出モードが設定されている場合(S8:YES)、CPU9は、RAM43を参照し、印刷順が次の印刷命令が有るかを判断する(S9)。具体例では画像E1の次に印刷される画像E2を印刷するための印刷命令がRAM43に記憶されているので(S9:YES)、CPU9は、前回搬送量に0を設定する(S15)。このように、CPU9は、排出モードに強制排出モードが設定されている場合であっても(S8:YES)、S1で検出された一の印刷命令に応じた印刷処理終了時に、次の印刷命令がある場合には(S9:YES)、一の印刷命令に応じた印刷処理後、且つ、次の印刷命令に応じた印刷処理前に強制排出処理を行わない。
【0026】
次の印刷命令がない場合(S9:NO)、CPU9は強制排出処理を行う(S10)。具体的にはCPU9は、S1で検出された一の印刷命令に応じた切断処理後(S7)、且つ、次の印刷命令に応じた印刷処理(S5)前に、搬送部6を駆動して印刷媒体Mを第一搬送量L1だけ搬送方向Dに搬送する。第一搬送量L1は、切断位置P2から排出口31までの搬送方向Dの長さD2に応じた落下押出し量以上であり、例えば、フラッシュメモリ44に記憶されている。S10の処理により、
図8(F)に示すように、印刷媒体Mの先端部は、筐体2の外部に配置される。印刷媒体Mの先端部の下面は、排出口31の下端部と当接し、印刷媒体Mの先端部の上面は、案内部材10の規制部12の下端部と当接する。印刷媒体Mの先端部の上面は、案内部材10の規制部12の下面14とは離隔する。印刷媒体Mの先端部は、搬送方向Dに搬送される過程で印刷媒体片Pを前方に押して、印刷媒体片Pを筐体2に形成された排出口31から筐体2の外部に排出させる。印刷媒体片Pは案内部材10に案内され、本体ケース3の前面の傾斜に沿って、前下方に移動する。CPU9は、S10の強制排出処理での印刷媒体Mの搬送方向Dの搬送量である第一搬送量L1を前回搬送量に設定する(S11)。
【0027】
排出モードに非強制排出モードが設定されている場合(S8:NO)、CPU9は強制排出処理を行わず、S1で取得された印刷命令に応じて生成される印刷媒体片Pの搬送方向Dの長さCが閾値よりも大きいかを判断する(S12)。閾値は、印刷媒体片Pを排出口31から取り出すことが可能な最低長さである取出し可能長さを考慮して設定される。取出し可能長さは、切断位置P2から排出口31までの搬送方向Dの長さD2に、所定長さ(例えば、10mm)加えた値であり、例えば、フラッシュメモリ44に記憶される。長さCが閾値よりも大きい場合(S12:YES)、CPU9は、後述の押出し処理を行わず、前回搬送量に0を設定する(S15)。これにより、印刷媒体片Pの後端及び印刷媒体Mの先端は、切断位置P2で維持される。印刷媒体片Pは、印刷媒体片Pの搬送方向Dの長さCに応じて、排出口31から落下せず、排出口31に留まる。印刷媒体片Pの搬送方向Dの長さCが閾値以下の場合(S12:NO)、CPU9は、排出モードに非強制排出モードが設定されていても、押出し処理を行う(S13)。具体的には、CPU9は、S1で検出された一の印刷命令に応じた切断処理後(S7)、且つ、次の印刷命令に応じた印刷処理前に(S5)、搬送部6を駆動して印刷媒体Mを第一搬送量L1以下である第二搬送量L2だけ搬送方向Dに搬送する。第二搬送量L2は、S12の閾値から長さCを差し引いた値以上、且つ、第一搬送量L1以下である。本実施形態の第二搬送量L2は、第一搬送量L1よりも小さく、例えば、フラッシュメモリ44に記憶されている。S13の処理により、印刷媒体Mの先端部は切断位置P2よりも搬送方向下流側にあり、
図8(G)に示すように、印刷媒体Mの先端部は印刷媒体片Pを搬送方向Dに押す。CPU9は、前回搬送量に第二搬送量L2を設定する(S14)。
【0028】
S11、S14、又はS15の次に、CPU9は、プリンタ1の電源をOFFにするかを判断する(S28)。プリンタ1の電源をOFFにしない場合(S28:NO)、CPU9は、処理をS1に戻す。具体例では、画像E2を印刷するための印刷命令に基づく処理と、画像E3印刷するための印刷命令に基づく処理とが順に実行される。電源をOFFにする場合(S28:YES)、CPU9は、以上でメイン処理を終了する。
【0029】
上記実施形態において、プリンタ1、印刷部5、搬送部6、切断部8、筐体2、及びCPU9は各々、本発明のプリンタ、印刷部、搬送部、切断部、筐体、及び制御部の一例である。
図6のS23、S24の処理は、本発明の設定処理の一例である。S5の処理は、本発明の印刷処理の一例である。S7の処理は、本発明の切断処理の一例である。S10の処理は、本発明の強制排出処理の一例である。S13の処理は、本発明の押出し処理の一例である。S4の処理は、本発明の印刷制御処理の一例である。S3の処理は、本発明の逆搬送処理の一例である。
【0030】
上記実施形態のプリンタ1は、印刷部5、搬送部6、切断部8、筐体2、及びCPU9を備える。印刷部5は、長尺状の印刷媒体Mに画像を印刷する。搬送部6は、印刷媒体Mを搬送方向Dに搬送する。切断部8は、印刷部5より搬送方向下流側に位置し、印刷媒体Mを印刷媒体片Pに切断する。筐体2は、印刷部5、搬送部6、及び切断部8を収容する。CPU9は、印刷部5、搬送部6、及び切断部8を制御する。CPU9は、印刷媒体片Pの排出モードを、強制排出モードと、非強制排出モードとを含む複数のモードの中から設定を受け付ける設定処理と(S23、S24)、印刷命令に応じて、印刷部5を駆動し、印刷媒体Mに画像を印刷する印刷処理と(S5)、印刷命令に応じた印刷処理後に、切断部8を駆動して、印刷媒体Mを印刷媒体片Pに切断する切断処理と(S7)を行う。CPU9は、排出モードに強制排出モードが設定されている場合(S8:YES)、一の印刷命令に応じた切断処理後、且つ、次の印刷命令に応じた印刷処理前に、搬送部6を駆動して印刷媒体Mを第一搬送量L1だけ搬送方向Dに搬送し、印刷媒体Mの先端部で印刷媒体片Pを押して、印刷媒体片Pを筐体2に形成された排出口31から筐体2の外部に排出させる強制排出処理を行う(S10)。CPU9は、排出モードに非強制排出モードが設定されている場合(S8:NO)、強制排出処理を行わない(S13からS15)。プリンタ1は、設定された排出モードに応じて、強制排出処理を実行するか否かを切り替えることができる。故に、プリンタ1は、印刷媒体片Pを印刷媒体Mを搬送方向Dに搬送することで排出口31から筐体2の外部に押出すか否かを設定できなかった従来のプリンタ1に比べ、印刷媒体片Pの取り扱いに関するユーザの利便性を従来よりも向上できる。
【0031】
CPU9は、印刷媒体片Pの搬送方向Dの長さCが閾値以下の場合(S12:NO)、排出モードに非強制排出モードが設定されていても(S8:NO)、一の印刷命令に応じた切断処理後、且つ、次の印刷命令に応じた印刷処理前に、搬送部6を駆動して印刷媒体Mを第一搬送量L1以下である第二搬送量L2だけ搬送方向Dに搬送し、印刷媒体Mの先端部で印刷媒体片Pを搬送方向Dに押す押出し処理を行う(S13)。プリンタ1は、印刷媒体片Pの搬送方向Dの長さCが短すぎて、排出口31から印刷媒体片Pを取り出しにくい状態になることを回避できる。
【0032】
CPU9は、排出モードに非強制排出モードが設定されている場合であって、一の印刷命令に応じた印刷処理終了時に、次の印刷命令がある場合には(S4:YES)、一の印刷命令に応じた印刷処理終了から所定時間経過後に次の印刷命令に応じた印刷処理を行う(S5)。プリンタ1がS4の処理を行わず、一の印刷命令に応じた印刷処理に続けて次の印刷命令に応じて印刷処理を行う場合、排出モードに、非強制排出モードが設定されているのに、次の印刷命令に応じた印刷処理時に搬送方向Dに搬送された印刷媒体Mに印刷媒体片Pが押され、排出口31から筐体2の外部に落下することになる。これに対し、S4の処理を行うプリンタ1は、排出モードに非強制排出モードが設定されている条件で、複数の印刷命令に基づき、連続して印刷処理が実行される場合には、印刷処理後(S5)、所定時間経過後に、次の印刷処理を行う。このため、プリンタ1は、所定時間、印刷媒体片Pを排出口31に留まらせることができる。本実施形態のプリンタ1は、所定時間の設定を受け付けるので(S26)、所定時間の設定を受け付けない場合に比べ、ユーザの利便性を向上できる。
【0033】
プリンタ1は、一の印刷命令に応じた印刷処理終了時に、次の印刷命令がある場合には、次の印刷命令に応じた印刷処理時に、一の印刷命令に応じて作成された印刷媒体片Pが搬送方向下流側に押されるので、強制排出処理を行う必要がない場合がある。これに対し、本実施形態のCPU9は、排出モードに強制排出モードが設定されている場合であっても(S8:YES)、一の印刷命令に応じた印刷処理終了時に、次の印刷命令がある場合には(S9:YES)、一の印刷命令に応じた印刷処理後、且つ、次の印刷命令に応じた印刷処理前に強制排出処理を行わない(S15)。このため、プリンタ1は、一の印刷命令に応じた印刷処理終了時に、次の印刷命令がある場合にも排出モードの設定に従って強制排出処理を行う場合に比べ、印刷時間を短縮できる。
【0034】
プリンタ1の搬送部6は、印刷媒体Mを搬送方向Dと、搬送方向Dとは反対の逆搬送方向とに搬送可能である。CPU9は、排出モードに強制排出モードが設定されている場合(S8:YES)、強制排出処理を行った後(S10)、次の印刷命令に応じた印刷処理前に、搬送部6を駆動して、印刷媒体Mを第一搬送量L1に応じた逆搬送量B1だけ逆搬送方向に搬送させる逆搬送処理を行う(S2、S3)。プリンタ1は、強制排出処理を行うことにより次の印刷命令に応じた印刷処理により作成される印刷媒体片Pの搬送方向Dの余白が印刷命令で指定された余白よりも大きくなることを回避できる。
【0035】
CPU9は、逆搬送量を、次の印刷命令で指定される搬送方向Dの前余白の長さM1と、第一搬送量L1とに応じた量として算出する(S2)。CPU9は、S1で次の印刷命令を取得後、次の印刷命令に応じた印刷処理開始前(S5)に逆搬送処理を実行する(S3)。プリンタ1は、次の印刷命令で指定される搬送方向Dの前余白の長さM1を考慮して逆搬送処理を行うことができる。プリンタ1は、一の印刷命令に応じた印刷処理の後に前余白の長さM1を考慮せずに逆搬送処理を行い、S3の逆搬送処理とは別途前余白の長さM1分の搬送を行う場合に比べ、処理を簡単にできる。
【0036】
プリンタ1は、印刷媒体M又は印刷媒体片Pが排出口31を通過可能な開位置と、排出口31の少なくとも一部を塞ぐ閉位置とに変位可能な案内部材10を備える。案内部材10は、印刷媒体M又は印刷媒体片Pが排出口31に配置されない時に閉位置にある。プリンタ1は、案内部材10により、筐体2内部にゴミが侵入することを抑制できる。
【0037】
案内部材10は、印刷媒体片Pと当接することで、印刷媒体片Pが搬送方向Dとは反対の逆搬送方向に移動することを規制する規制部12を備える。プリンタ1は、
図8(F)の拡大図に示すように、強制排出処理後に印刷媒体片Pが印刷媒体Mに重なった状態で排出口31付近に留まり、逆搬送処理時に印刷媒体Mと共に印刷媒体片Pが逆搬送方向に移動したとしても、移動の過程で、印刷媒体片Pの後端部が規制部12に当接する。このためプリンタ1は、印刷媒体片Pが印刷媒体Mと共に逆搬送方向に移動することが規制できる。故にプリンタ1は、強制排出処理後に印刷媒体片Pが印刷媒体Mに重なった状態で排出口31付近に留まっている場合でも、逆搬送処理時に印刷媒体片Pが排出口31から筐体2の外部に落下させることができる。
【0038】
本発明のプリンタは、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更が加えられてもよい。例えば、以下の変形が適宜加えられてもよい。
【0039】
筐体2の形状は適宜変更されてよく、例えば上下方向に長い直方体状でもよく、排出口31は直方体状の筐体の前面に形成されてもよい。切断部8の構成は適宜変更されてよく、例えば搬送経路Qに対して上方に固定刃に対して揺動可能な可動刃が配置されてもよい。プリンタ1は、案内部材10を省略してもよい。案内部材10は、プリンタ1が対応する最小幅の印刷媒体Mが通過する範囲K2に延設してもよい。範囲K2は、範囲K1の幅方向Wの何れかの端部を含む部分であってもよいし、範囲K2は、範囲K1の幅方向Wの中心を含む部分であってもよい。案内部材10の上端部は、筐体2の外側に配置されてもよい。案内部材10は規制部12を備えなくてもよく、例えば、印刷媒体Mが接触する部材よりも、摩擦係数が大きい部材により形成され、印刷媒体片Pに当接した部分に生じる摩擦力により印刷媒体片Pが逆搬送方向に移動するのを規制してもよい。案内部材10及び規制部12の形状、配置、大きさ等は適宜変更されてよい。
【0040】
図6のメイン処理を実行させるための指令を含むプログラムは、CPU9がプログラムを実行するまでに、プリンタ1の記憶装置に記憶されればよい。従って、プログラムの取得方法、取得経路及びプログラムを記憶する機器の各々は、適宜変更してもよい。CPU9が実行するプログラムは、ケーブル又は無線通信を介して、他の装置から受信し、フラッシュメモリ等の記憶装置に記憶されてもよい。他の装置は、例えば、PC、及びネットワーク網を介して接続されるサーバを含む。
【0041】
プリンタ1のメイン処理の各ステップは、CPU9によって実行される例に限定されず、一部又は全部が他の電子機器(例えば、ASIC)によって実行されてもよい。メイン処理の各ステップは、複数の電子機器(例えば、複数のCPU)によって分散処理されてもよい。メイン処理の各ステップは、必要に応じて順序の変更、ステップの省略、及び追加が可能である。プリンタ1上で稼動しているオペレーティングシステム(OS)等が、CPU9からの指令に基づきメイン処理の一部又は全部を行う態様も、本発明の範囲に含まれる。例えば、メイン処理に以下の変更が適宜加えられてもよい。
【0042】
プリンタ1で、設定可能な排出モードの種類は、強制排出モードと、非強制排出モードとを含めばよく、他の排出モードを含んでもよい。プリンタ1は、強制排出処理直後(例えば、S10と、S11との間)に印刷媒体Mを逆搬送方向に搬送し、印刷媒体Mの先端部が切断位置P2となる位置に配置させ、S2及びS3の処理に替えて、印刷位置P1から前余白M1分搬送方向下流側となる位置まで、切断位置P2から逆搬送方向に搬送する処理を行ってもよい。一の印刷命令に応じた印刷処理後、次の印刷命令に応じた印刷処理前に、印刷媒体Mを逆搬送方向に搬送する逆搬送処理は省略されてもよい。逆搬送量の算出方法は適宜変更されてよく、例えば、印刷命令で指定される搬送方向Dの余白量に応じた値でなくてもよい。
【0043】
プリンタ1は、排出モードに強制排出モードが設定されている場合(S8:YES)、次の印刷命令が有るかによらず、強制排出処理を行ってもよい。プリンタ1は、排出モードに非強制排出モードが設定されている場合(S8:NO)、印刷媒体片Pの搬送方向Dの長さCによらず、押出し処理を行わなくてもよい。
【0044】
上記実施形態及び上記変形例に開示された各プリンタの特徴を適宜組み合わせて、他の変形例のプリンタが構成されてもよい。
【符号の説明】
【0045】
1:プリンタ、2:筐体、5:印刷部、6:搬送部、8:切断部、9:CPU、10:案内部材、12:規制部、31:排出口、41:ROM、43:RAM、44:フラッシュメモリ